ヤムチャ・レクイエム 
       〜最後の聖戦〜
 


【第32話】 史上最強のヘタレ出現

「フュージョンっ!はっ!!」

カッ!!
まばゆい光とともに新たな一人の戦士……ヤムッツが誕生した。

「……ま、まずは成功ですねっ!」
ヘタレ同士、相性がよく、戦闘力も爆発的に上昇した。なお、ヤムッツ自体の潜在力は相当なものなので(ラディッツ単体では潜在力はヘタレ)、超サイヤ人に変身可能となる。

「よし!では次だ!!」
ヤムッツがジースの気の大きさに合わせる。

ごくっ…、プーアルが息を飲みつつ、二人を見守る。

「フューーーーー……ジョン!はっ!!!」

カッ!!

まぶしい光が放たれる。思わず目をつむるプーアル。

ゴゴゴゴ………
と都合よく雷雲もとどろいて、いい演出になる。

バチバチッ…バチバチバチバチッ……
プーアルが目をあける前にスパークがほとばしる音が聞こえてきた。

スパークはあふれ出るエネルギーの証。
白銀の長髪を風になびかせ、その男はそこに出現した。
連続フュージョンという反則的な技の結果、今、最強でもないけどそこそこ強い戦士が!
カカッと稲光が走る。
整った顔立ちに天津飯たちはいっせいにゴクリと生唾を飲んだ。

『フッ……』
髪をかきあげるしぐさに見とれ、何人かの天津飯たちは失神した。

『オレはヤムチャでもラディッツでもジースでもない!
オレはキサマを倒す者ヤムッツースだ!!!』

「……語呂わる……」

ヤムッツースとしての潜在力はさらに高まり、超サイヤ人3まで自在に変身可能となった!
天国にいた悟空ですら、ヤムッツースを見たときに震えが走ったという。

「ゥオオオオオオーーーーーッ!!!」
底の見えない深遠な気に動揺した天津飯たちが、いっせいにヤムッツースへと襲い掛かる。
ニヤリと不敵に笑うヤムッツ−ス。まるで動じていない。
そして叫ぶ。

『プーアル!!』

「は……はいっ!隠れています!!」

『違う!餃子に変身しろ』

「えっ!?……はい!餃子さんにへんげっ!」

ボンッ!!

『その姿で天津飯に「死ね」とさけぶんだ。ありったけでっかいこえでな』

「は……はい………」

すーーっと息を大きく吸ってあらん限りの声をはりあげるプーアル。

「死ねーーーーーーーっ!!!!!!」


ぴたっと無数の天津飯たちの動きが止まる!

その直後。

「ぅわぁっぁぁぁぁっぁぁぁあーーーーっ」
天津飯たちの咆哮がとどろく。

「ィやダァァッァぁーーーーーッ」

そして次々と天津飯たちの頭が破裂していく。

パァ――ン!パァ−ンッ!!パー――ン!!

破裂の音と絶叫が別に美しくないハーモニーを奏でていた。
いつまでも。いつまでも。


「ヤムチャさま……どういうことです?なぜ天津飯さんたちは死んでしまったのですか?」
戦いが終わり、元に戻ったヤムチャにプーアル問うた。

「なに、簡単なことさ。天津飯は餃子に「氏ね」といわれたら死んでやると言ってたからな。
そのことを思い出してな、うまくいくかもと考えていたのさ。
天津飯は自ら死を選んだのさ」

「フッ…。ヤツらの愛は本当だった……ってことだな」
ジースが暗雲が消えかけてゆく青空を見上げていった。

「あいつら……あの世でうまくやるといいな……」
すっきりした表情でラディッツも言う。

3人は荒野に散らばる天津飯の残骸を見ないふりして(吐きそうになるから)、いつまでも青く澄み始めた空を見上げるのだった。

そんな彼らとは裏腹にプーアルは一つのわだかまりを捨てきれずにいた。
(ねぇ……ヤムッツースは……ヤムッツースの意味は……??)





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