ヤムチャ・レクイエム 
       〜最後の聖戦〜
 


【第31話】 残されたヘタレたち


自分のアジトへ一時避難しにいくヤムチャとジース。

「さて……もう残すはオレとお前、そしてプーアルしかいないな」

「ラディッツの野郎もいるじゃないか」

「そういえばそうだった、あいつどこで何しているんだ?」

ふと、下からおーいと言う声。見るとラディッツが小島で呼んでいた。
合流するヤムチャたちとラディッツ。

「お前、一体何してたんだよ?」

何かしらんが、再生能力が身についたのだが、ベジータにボコボコにされて、たった今、復活したんだとラディッツは語った。
ホントかよ?といぶかしがるヤムチャたちはラディッツをボコボコにする。が、回復は当たり前のようにしなかった。

「お前〜〜。嘘はよくないぜ」

「ごへっ……嘘じゃないん……だ……」

「あれ?それに、お前、何か気を感じるぞ」

「へ……?」

ラディッツは細胞のひとかけらになるまでに消滅しかかったので、そこから再生するのに、全エネルギーを注ぎ込んでしまい、人造人間になる前の生身へと戻っていた。
その戦闘力たるやなんと1500!ピッコロ大魔王編ならば無敵だったというほどの戦闘力だ。

「つまりまた以前の弱虫ラディッツに戻ってしまったというわけだな?」
ジースがちょっと偉そうに言った。

「そのようで」
へへへとラディッツは媚びへつらうように言った。

「まぁそんなことよりあの天津飯どもをどうにかしないとな。ベジータたちを倒したはいいが、今度はオレたちの身が危うくなる」

「それもそうだな。何か手はないか?」

「まずはプーアルを迎えにいこう。あそこも心配だ」
ヤムチャたちはいったん、プーアルを迎えにアジトへ戻る。テレビでは各地で天津飯による被害があいついでいると伝えていた。

「ヤムチャ、何か手はないのか?」

「どうしよう、マジ」

「ドラゴンボールを使うのはどうでしょう?」

「しかし天津飯たちはどうにかならんだろう。あいつら素でも初期フリーザに近いくらいの力はある」

「いえ。まず、ヤムチャさまが地球を破壊するんです」

「なるほど!そしてナメック星のドラゴンボールを使って、
一つ目の願いで地球を再生し、二つ目の願いで天津飯以外の地球人をよみがえらせ、三つ目の願いでネックレスをもらうと!
オレの願いもさりげなくかなっちゃってたりしていい考えだな!」

「いや…ネックレスは……」

「それだとオレらいったん死ぬのか!?」

「ぅわーーっ!いやだ!」
泣き叫ぶラディッツとジース。いったん、どころか、こいつらは悪人だから二度と生き返れないのだが。
そのとき、ドドドドという地響きがこのアジトに近づいてきた。

「ま……まさか………」

「天津飯に見つかったぞ――――っ!!」

「しまった……もう逃げられない!!」

「戦いたい」という闘争本能が、天津飯たちを現在一番強い気を発しているヤムチャたちのもとへとおびき寄せたのだった。
アジトから出るヤムチャ一味。
暗雲がとどろく空の下、四方八方に無数の天津飯たちがひしめいている。逃げるのはもう無理だ。

「あががが………あがが………」
顎がはずれかかっているラディッツ。ジースも涙を浮かべガチガチと歯を鳴らせている。唯一冷静なのが、ヤムチャだった。

「やるか……フュージョンを………」
静かに呟くヤムチャ。

「フュージョンだと!?」

「お前にも教えたよな、ラディッツ」

「ああ……オレが天津飯とお前でやればいいじゃんって言ったら、そのまんま東みたいになるからやだって言ったやつだろ」

「その通り。今回は三人で合体するぞ。トリプルフュージョンだ!」

「なにっ!どうやってだ!?」

「オレは気をコントロールできる。まず、オレがラディッツに気をあわせてフュージョンし……」

「そのあと、オレと……か」

「そういうことだ。いいか!!失敗は許されんぞ!!」
かつてない技が今、試されようとしている。フュージョンを立て続けに行うという大技中の大技。
どちらか一方のフュージョンが失敗しただけで、この技は成り立たなくなってしまう危険な技だ。
もしこれが成功しないと………三人の脳裏に不安がよぎる。

「が…頑張ってください!」
プーアルも応援する。

天津飯たちも一斉攻撃の準備をしてるっぽい。

もう後にはひけない。

「よしやろう!ヤムチャ!ラディッツ!」

「おう!ヤムチャ!ジース様!」

「いっちょ……久々に燃えるか……」

ヘタレたちの心は今、まさに集結し燃え上がらんとしていた。



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