ヤムチャ・レクイエム
〜最後の聖戦〜
【第25話】 動き出す帝王
ピッコロの気が消えたことは悟飯に悟天、ベジータにトランクス、そして、クリリン夫妻が気づいた。
ラディッツの気がないので、皆、増殖天津飯たちにやられたのかと思った。
「そ……そんなピッコロさんまで……」
学会の準備の合間にエロサイトを見ていた悟飯は動揺した。天津飯ごとき、ベジータやピッコロでもどうにでもなると思っていて参加していなかったのだ。
「ゆ……ゆるさない……天津飯………」
バジバジ……っと悟飯のカラダの周りにスパークがほとばしりはじめる。
悟飯、今まで封印していた究極化の力を今、解き放った。
スパークの影響で、パソコンの電源もふっとぶ。
「あっ……ああ!!……今の画像、保存してなかったのにぃぃ!!」
――その頃……ヤムチャたちは最大の危機に直面していた。
海の上で運悪くベジータと鉢合わせしてしまったのである!
「よぉ……ベジータ……」
「フン……誰かと思えば………ジース!?」
「はは……どうも……」
「プッ……」
「何笑ってやがる!!」
「いや……お前らが並んでいるとおかしくておかしくて……」
ジースが復活したことよりも、ヘタレ二人が並んでいることがおかしくてたまらないベジータ。ここにラディッツもいたら、ベジータの腹筋はよじれていただろう。
「…で、お前と決戦するんだよな?え?ヤムチャさんよ」
「バ……バカ言うな!!ありゃ単なる冗談だ!!」
いきなり白旗をあげるヤムチャ。ジースも自然にそれを受け入れる。
「で、殺してもいいって話だったよな」
「だから冗談だって……ひぃぃっ!ひぃぃ!!」
ベジータが手にエネルギーを生み出す。
「消えろ!!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃーーーーっ!」
「生き返ったばかりでもう死ぬのかぁぁぁーーっ(泣)」
ベジータが放り投げたエネルギー球は、ヤムチャたちを飛び越え、遥か後ろで爆発した。
「くっくっく。久々に殺しができるぜ……」
ヤムチャたちがふりむくと彼方に小さな影がいくつも海に落下していくのが見えた。天津飯だ。
「なんてことだ。本格的に動き出したらしいぞ、天津飯」
「きさまらなんぞ興味はない。オレはあいつらを皆殺しにする」
数百体の天津飯たちがこっちにむかってきている。
「ジース!巻き添えを食うぞ!!」
ヤムチャはジースを連れ、付近の小さな小島へと降りた。
「何やってんだ!さっさとここから逃げようぜ!!」
「バカやろう!チャンスじゃないか!!あの憎らしい男に一発かます…」
「何だと……」
「教えただろ……フュージョンの準備だ!!」
天津飯の群れとベジータがぶつかりあっている。オラオラオラ……とベジータのエネルギー波が天津飯を次々打ち落としていく。
ひさびさなのか、ベジータは楽しそうだ。害虫駆除みたいで精神的にすっきりしているのかもしれない。
その間に、ヤムチャとジースのフュ−ジョンが無人島で完成していた。
「オレはヤムチャでもジースでもない……オレはベジータに一発食らわせるものだ!!」
誰もいない島でヤムースはぽつりとつぶやいた。
「はぁ……っ!くらえ……クラッシャー繰気弾!!」
ちょっと離れた小島から、クラッシャー繰気弾を飛ばし、ベジータへと向かわせる。ヤムースは岩陰に隠れ、気弾を操りながらこっそり様子を見ている。
「ふふふ……これならば誰がやったかわからんだろ……」
ドンッ!!
ベジータの背中にクラッシャー繰気弾がヒットした。
「いたっ!…誰だ!!……このハゲどもか!くそーーっ!!」
怒りだすベジータ。
「ひひひ……きづいてないバーカ。それもういっちょ食らえ」
またクラッシャー繰気弾をつくって、ベジータにこっそりぶつける。
あたるたびにキョロキョロするベジータを見てヤムースはおかしくて転げまわる。
「ひっひっひ……バーカ!」
まるでガキのいたずらじゃねーか……と誰かが言った。
クラッシャー繰気弾の7発目をヤムースが飛ばそうとしたころ、ベジータは計522人の天津飯をすべて片付けていた。
今ごろ、下の海では豊富な餌に魚たちが喜んでいることだろう。
そこへヒュ−っとクラッシャー繰気弾が近づき、ポンっとベジータの背中にぶち当たった。
「ぐわっ!くそっ!まだ生き残りが………誰もいない……」
あたりをキョロキョロと見回すベジータ。
運悪くちょうどそのとき、ヤムース八発目のクラッシャー繰気弾を島から打ち出していた。
ベジータがその様子を見る。
「あ…あそこだーーーっ!おまえらかぁぁぁ!!そんなところからずっとやってたんだなぁぁぁ!!」
怒り狂って島を一直線に目指すベジータ。
「げっ!バレた!!」
フュージョンもとけ、焦る二人。
「げっ!まずいこれではクラッシャー繰気弾を出せない!!」
「出せても意味ないけどな!!ぅわぁぁぁぁ」
そのとき!!
「天さんをいじめるなーーーーーーっ!!」
真っ白い巨体がベジータにアタックをしかけてきた。
不意をつかれたベジータは軽々突き飛ばされ、海へと落下した。
すぐに海から飛び出してくるベジータ。ますます怒り狂っている。
「誰だ!!……何だキサマ……!?……え…えっとマジで誰!?…ブウ……か?」
真っ白い肌を太陽に照らしながら現れたのはブウと合体した餃子、チャオブであった。
「気色悪いデブだぜ……!ブウの兄弟か何かか?」
「むっ!ボクの悪口言ったな。ゆるさない!天さんをいじめるヤツも許さない!死ね!けけけ」
「いい根性だ!!」
ベジータVSチャオブの決戦が始まった!ヤムチャとジースはその隙に逃げていたことは言うまでもない。
天津飯;現在32141人
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