ヤムチャ・レクイエム 
       〜最後の聖戦〜
 


【第24話】 行け!ラディッツ!サイヤ人の誇りを見せてやれ


「む!クリリンたちも動きだしたようだな…。なんとか間に合いそうだ」
大急ぎで天津飯の群れへと向かっているピッコロ。そのとき、ピッコロは真向かいから近づいてくる影に気づいた。

「……あ……あいつは……」
不運なことにピッコロと鉢合わせたのはラディッツだった。

「げっ!!」

「きさま、孫悟空の兄貴…!!??なぜ……」

混乱するピッコロ。戦闘服に刻まれたレッドリボン軍のマークを見て、ラディッツが人造人間として復活したことを推測する。

「なるほどな……ドクターゲロの野郎……この男の死体を……。どうりで気を感じんわけだぜ」

「せ……せ…戦闘力2000万……!!??こ……こんな数値ってありえるのか」
一方、ラディッツはピッコロの戦闘力を測定し、そのありえない(ラディッツの中では)数値にちびっていた。

「降りろ」

睨みをきかせたままピッコロは言う。ガクガク震えながらラディッツはピッコロに従った。

「ほう……ここはあのときの……」
偶然にもここは悟空とピッコロがラディッツと戦った場所。つまりラディッツの死に場所だった。
悲劇のシーンがフラッシュバックするラディッツ。ちょっと涙目になり吐気を催す。

「なぜ今更、人造人間が動きだしたのかわからんが、消させてもらうぜ。
お前を葬ったあの技でな」
余裕のピッコロ。魔貫光殺法の構えをとる。

一方、ガクブル状態のラディッツは顔面蒼白になり、声もでない。

(こ……殺される……)

「魔貫光殺法――ッ!!」

「ぐ……ちっくしょぉぉぉぉぉーーーッ」

魔貫光殺法はたやすくラディッツの腹をつきやぶっていき、ラディッツは地面に転がった。

「ふん。さて、こんなことをしている場合ではない」
ラディッツの死体を一瞥するとピッコロは飛び上がろうとした。
…が、ピッコロは目を疑った。

「な……なに……」
死んだと思っていたラディッツが再び立ち上がったのだ。

「あ…あれ……」
自分でも困惑気味のラディッツ。すぐさま頭を切り替える冷静なピッコロ。

「……致命傷を避けやがったな。運のいいヤツめ。もう一度くらわせてやる!
魔貫光殺法!!」

ドンッ!!

今度は心臓をえぐりぬく。

「へっ。これならもう…………バカな!?」
ピッコロの魔貫光殺法は正確にラディッツの心臓に命中したはずだった。しかしラディッツは平然と起き上がってきたのだ。

「………なるほど。人造人間だからそれくらいでは死なんということだな!いいだろう。首ならどうだ!」

あくまで冷静なピッコロ、魔貫光殺法を何発も何発も繰り出す。そのうちの一発が首にあたり、ラディッツの首はスパーーンっと無残にもふっとばされた。

「ハァハァ………これならばもう復活できまい……」
早々に立ち去ろうとしたピッコロだったが……、ムクリと何事もなかったようにラディッツは身を起こした。首もつながっている。確かに飛ばしたはずなのに。

「そ……そんな……」
愕然としているピッコロ。目の前の光景を信じられないといった様子でラディッツを見つめる。

「………ど……どういうことだ……?」
当のラディッツもビックリだ。

「く……くそったれ!!魔貫光殺法!!」
再び、首をもぎ落とそうとしたピッコロ。しかし!魔貫光殺法はラディッツの身体を貫くことはなかった。

「いてぇーーっ!いてぇーーーっ!!」
ダメージはあったが。

「つ……強くなっている!?まさか、そんなことはあるまい!!
……いい……加減に……死ねーーーッ!!!」

「ひぃっ!戦闘力4000万…6000万……信じられん。まだあがっていく!!」
冷静なピッコロがついにブチきれ、気を最大に高める。その気を計測し、下半身ずぶぬれのラディッツ。

「かぁッ!!」

ピッコロの手から莫大なエネルギー波、爆力魔波が放出された。それにあっさり飲み込まれるラディッツ。
牧草地帯は荒野へと変わり果ててしまった。そんなことはまったく気にした様子もなく、ピッコロはあたりを見回す。

「さすがにこれではもう復活できまい…はぁはぁ……まったく……」
いいかげん立ち去ろうとしたピッコロだが、地面に落ちているあるモノに目をくぎ付けにされた。

「肌色の肉がウネウネうごいているぅぅぅぅぅーーーーーーっ!(ガビーン)」
肉の塊はそこらじゅうから集まりだし、かたまり始めた。やがて大きな肉片となると徐々にラディッツの姿へと戻った。

「こ……これは魔人ブウにそっくりだ!!一体……」

「一体どういうことだーーっ!!」

「お前が言うなっ!」

「何か知らんが身体からパワーが溢れてくるぜ……!」

「おい!キサマ!魔人ブウというのを知っているか?」

「ブウ?何だ?……知らんな。そういえば、仲間の餃子がブウというヤツと合体してキモいデブになったが、関係ないだろうし……。それがどうした!」

「な……なんだと……」

「そいつの腹の肉があまりにうまそうだったんで、ちょっと頂いて食わせてもらったが、無関係だろうし……。それがどうしたと言っているんだ!!」

それを聞いて明晰なピッコロの頭脳が素早く一つの答えに到達した。

「そ…そんな……ブウの肉を食うことでこいつにもブウの再生能力が身についたのだ……。そして…サイヤ人の特性である死にかけから復活することで段々パワーを高めていったのかッ!!
気がないから気づかなかったぜ……!」

「なんだとーーーッ!!!すげぇじゃねぇか!オレ!!」

「く…くそっ……、最悪だ……!」
今度は余裕のラディッツにおびえるピッコロの図へと換わった。

「ほれ!どうした!さっきのやつやってみろ!」

「強さとともに……態度がころっと変わりやがる!」

ピッコロがやぶれかぶれで魔貫光殺法を撃ったがラディッツにはもはや何のダメージを与えられなかった。

「あ……あ……ぅわぁぁぁーーーーーッ!!!」
ピッコロが逃げ出す。しかしラディッツはエネルギー波を放ち、ピッコロを消し飛ばした。

「口ほどにもない!!これならベジータにも楽勝だぜ!!」
ついにラディッツが恐るべき能力を開花させはじめた。どうするベジータ!?どうするヤムチャ!?っつーか天津飯はどーする!!



天津飯;現在32662人








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