ヤムチャ・レクイエム
〜最後の聖戦〜
【第22話】 これはビックリ!天津飯の勘違い
界王神が死んで3、4時間が経過した。
仮眠をとっていたヤムチャが、ふと気の動きに気づきがばっと起きだした。
(……ピッコロが動きだしたな…。今になって悟空の気が消えたことに気づき動揺したのか?)
ヤムチャ「くっくっく………バカどもめ……」
ラディッツ「ん?むにゃ……何だ?ヤムチャ……」
ヤムチャ「……逃げようか?」
ヤムチャは寝ていたラディッツたちを起こすとアジトの外へ出た。
チャパ王「なっ…なんだ!!これは!!」
ラディッツ「ぅげぇぇ……」
チャオブ「ぅわぁぁ天さんがいっぱいだ!」
驚きの声をあげる一同。アジトがある荒野一杯に無数の天津飯が佇んでいたのである。
ヤムチャ「お…恐ろしい数だな。しかし…なんだってこんな……」
チャパ王「愚か者が。ねずみ算を知らんのか」
ヤムチャ「しかし30分で二人に分離するだけで…数時間でこんなにもなるものなのか?すごいぜ天津飯。しかもこれだけ分身してもパワーが減ってない!」
チャオブ「さすが天さん!」
口々に天津飯を称える一同。しかしヤムチャはピッコロたちの気が近づいていることを思い出し、皆にそのことを伝えた。ゆっくりしているヒマはない。
チャパ王「しかし、これだけの天津飯を相手にはできまい」
ヘラヘラ笑いながらチャパ王は近くで構えをとっている天津飯に近づいた。
チャパ王「お前さんならやってくれると信じておっ……ぐへひゃっ!!」
ヤムチャ「!?」
バリッ。
ヤムチャたちの目にはチャパ王の頭が一瞬に消えたようにしか見えなかった。
続いて聞こえる肉と骨を噛み砕くような音。
ぐちゃっぐちゃっ…。
ジース「ひぃぃぃっ!!」
なんということだろう。天津飯は近づいたチャパ王をいきなり両手でつかむと頭からバリバリ食べ始めたではないか!
ラディッツ「ぅわぁぁぁぁぁっ!!!!」
ラディッツはあまりの光景にびっくりしてどこかへ逃げていってしまった。
ヤムチャ「待て!ラディーーーッツ!!
あ…あの野郎!いきなり逃げるなんて本当に弱虫野郎だぜっ!
そ…それにしてもどういうことだ!?なぜ天津飯が……」
虚ろな目をしながらチャパ王の足をポリポリ食べている天津飯を、おそるおそる観察するヤムチャ。
天津飯「………うぇへっへっへ……」
ヤムチャ「しょ…正気じゃないよーーーっ!とっ……とりあえず……この場から逃げるぞ!」
ジース「ま、待ってくれ!!」
ヤムチャはなきそうになりながらそこから離れた。ジースも大慌てでヤムチャを追う。
天津飯のアジトに焦った様子でピッコロが向かっていた。
ピッコロ「くそっ!……早くせんと取り返しのつかんことになるぞ…!バカどもめ!」
ピッコロはテレパシーで、ベジータたちや悟飯たち、クリリンたちにも出動の要請をしだす。
一方、必死に逃げているヤムチャ。
ヤムチャ「一体…天津飯はどうしてしまったんだ……。
理論的に無理がある技だと思っていたが………。
ま…まさか……!!
そ……そうか、分身するとパワーは減らないが、その分、知能が低下していったのだ…!!天津飯……なんてバカなことを…!
分身していくたびに知性や理性が半減していき……結果……本能だけが残った……!
ただの本能じゃない、あいつは根っからの戦闘好き…
闘争本能を色濃く残しているに違いない!!
このままでは………」
ジース「あ…あいつどうするんだ……!一人でもオレたちより強いんだろ。あんなにいては……」
ヤムチャ「なに……心配するな、この星にはもっと強い連中がたくさんいるんだ。……うまくいけば共倒れになってくれるかも…」
ヤムチャの安易な考えとは裏腹に事態は深刻化しようとしていた。
「ぐ……?何が起きたんだ……?」
チャパ王がむくりと起き上がる。コキコキと首を振り、あたりを見ると…
「ぅわぁぁぁぁーーーーっ!」
無数の天津飯が自分のほうを見ている。狂気の目で。
「あ、あんたも早く逃げたほうがいい!」
チャパ王はそばでぼーっと天津飯の群れを眺めていたチャオブに言う。が、当のチャオブはすまして、応えた。
「天さん、ボクを襲わない。でも、お前食う気まんまん。逃げたほうがいいぞ」
「ひぃぃ!」
チャパ王はそれを聞くとダッシュで逃げ出した。
天津飯;現在16384人
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