ヤムチャ・レクイエム 
       〜最後の聖戦〜
 


【第20話】 ヘタレにはヘタレなりの戦い方がある


界王神「さて……それでは準備も終わったことですし、そろそろ行動開始としましょうか」
最初の計画が成功し、少し気が緩み気味の一同を界王神がまとめる。

天津飯「それじゃあ…オレはあの技を開始するとしよう。じゃあ皆、頼んだぜ」
天津飯は両手を顔の前で交差させ、ふんばりだす。何かの技を始めるようだ。

ヤムチャ「…じゃあプーアル。お前は戦いの巻き添えを食わないようにオレのアジトで待機しているんだ」
プーアル「そ…そんな……」
ヤムチャ「必要になったら呼ぶ。いいな」
プーアル「はい…」
ショボンとした様子でプーアルは出ていった。

界王神「では…私はまず悟空さんの息の根を止めに行きます」
チャパ王「悟空は私が倒したかったんだがな……」
ヤムチャ「わかりました。気をつけてくださいね…」
彼らの作戦はまず、要である悟空を消すことにあった。これでフュージョンの心配はない。

界王神(私でも不意をつけば悟空さんを倒せるところを見せてやりますよ…。)

シャッ!!

自信満々の笑みを浮かべながら界王神の姿が消えた。悟空のところに瞬間移動したのだ。

悟空「…えっ!?」
不運なことにトイレでうんこをしていた悟空。いきなりの訪問者にびっくり。

界王神「はっ!!」
悟空「うがっ!?」
ピタッ!!

界王神が両手を突き出し金縛りを発動させたのだ。悟空は動きを完全に止められてしまった。下半身まるだしのままで。

界王神(このまま宇宙に瞬間移動しましょう!)
界王神はゆっくりと手を伸ばし、悟空のカラダに触れる。両手を常に向けてないと金縛りが解け、攻撃されてしまうから慎重だ。

ビッ!!

界王神が悟空を連れ宇宙空間へ瞬間移動した。しかし悟空は死ぬ様子がない。気とかカラダの頑丈さとかでどうにかなるらしい。

悟空「ぐぐ……」
界王神「あなたがこのくらいで死なないのは予想済みです!あれを見なさい!」
金縛りで動かないのにビッと悟空の後を指差す界王神。
悟空の背後にはブラックホールが存在していた。見えないけど。

「このまま金縛りにした状態のまま『キッ』で悟空さんをブラックホールへとふっ飛ばします!」

界王神がカッコつけて指差したときに金縛りが解けていた。
それに気づいた悟空が動く!

(今だ!!)

「やばっ!!」
ピタッ!!

界王神が慌てて両手を突き出し、再び悟空の動きが止まった。

「はぁはぁ。危なかったです。……ん?」
「へへ……」

悟空は界王神に攻撃こそできなかったものの、界王神の腕をつかんでいたのだ。

界王神「おはなしなさい!」
悟空「や〜だよ〜。っていうか、動けないから、離せないけどな」
これでは動けない。
ちょっとでも両手の構えを解いたら、金縛りも解け、今度こそ悟空に瞬殺されるだろう。

悟空「どーする?界王神さま?そのまま手を出してたら、ずっとこのままだぞ?」
界王神「………どうしましょう」
もうすぐ界王神のエナジーの底が尽きる。
金縛りが解け悟空に殺されるか、二人一緒にブラックホールに飲み込まれるかのどちらかしかない。

悟空「もうちょっとだ……へへ」

界王神「離しなさい!離すのです!!私までブラックホールに飲み込まれてしまうじゃないですか!!私が死んでしまっても責任はとれませんよ!!」

悟空「界王神さまもしつけぇな〜。動けないから離せないんだよ。だから金縛りといてくれ」

界王神「といたとたんに殺すつもりじゃありませんか!そんな汚い手には乗りませんよ!
さぁ、何とかなさい!考えるのです!私一人だけが助かる方法を!!
う……ぅわぁぁぁ……。た…たすけてぇ〜〜〜」

悟空「ぐわっ!すげぇ重圧だ!な…なんだ!?」

界王神と悟空はお手てを仲良くつないだままブラックホールに飲み込まれてしまった。


ピッコロ「消えた……悟空の気が……」
遠く離れた地球でピッコロが呟いた。



リタイヤ;悟空、界王神





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