ヤムチャ・レクイエム
〜最後の聖戦〜
【第19話】 ミスター・ブウ
さて…ついにヤムチャ復讐計画が始まった!
時間はいつでもいいとかベジータが勝手なことを言ったので、何か緊張感なく始まった。
一応言い出しっぺのヤムチャがリーダーとなり、皆に指示を出す。
ヤムチャ「まずはブウを狙う。わかっているな!」
チャパ王「うむ」
餃子「でも本当にうまくいくの?ボクが吸収されるだけじゃないの?」
界王神「そんなことにはなりませんよ!では行きましょう!」
界王神がヤムチャ・プーアル・餃子たちを連れ、サタンの家に瞬間移動をする。
サタンシティは真夜中だ。ブウは自分の部屋で犬と戯れていた。
ブウ「ん?何だ。お前たち」
部屋の中にいきなり現れた界王神たちに驚きもせずいつもの間の抜けた調子で尋ねる。
ヤムチャ「あれ?サタンはいないのか……」
ブウ「サタン、今、隣の部屋で女といる」
ヤムチャ「……なるほどギシギシ言ってるな、ベッドが」
ブウ「で、なんだお前たち、泥棒というヤツか?」
界王神「そそそんなワケないでしょう!」
ブウ「ん?お前、どっかで見たことあるか?」
界王神「ま…まっさか…あっ……きょ……今日はお菓子をプレゼントしにきました」
ブウ「え!?ホントか!」
界王神はスーパーで買ってきたチョコやら飴やらをブウにビニール袋ごと手渡す。美味しそうに袋をあさり、がつがつと食べはじめるブウ。その間に、ヤムチャとプーアルはこっそり抜け出てサタンの部屋へとむかった。
界王神「あ……あとブウさん…このイヤリングをプレゼントしますよ」
ブウ「なにそれ?食い物じゃなきゃいらない」
機嫌のよかったブウがいきなり不機嫌そうになる。お菓子をあげてもあくまで気まぐれなブウ。
界王神「いやいや、これを耳につけるととってもカッコよくなるんですよ!」
あわてて取り繕う界王神。
ブウ「へへ?カッコよく?オレつける」
界王神「私がつけてあげましょう!はい!!」
カッ!!
界王神がブウの耳(と思われるところ)にポタラをつける!まばゆい光がブウの部屋を照らす。
思わず目をつぶってしまう界王神。おそるおそる目を開けるとそこには見たこともない人物が……。
「ど……どうやらうまくいったようですね……」
「……へっへっへ……どんな姿になったんだろ〜〜」
そいつは部屋にあった大きな鏡に全身を映した。
「キモーーーーーッ!!」
鏡に映ったのは真っ白な肌のデブ。大きな丸い目とほっぺの赤いまる…。
そう。ブウは餃子とポタラで合体してしまったのだ。
「……で、ボクは……これからお菓子を食えばいいのか?それとも悟空たちを食えばいいのか?」
ブウと餃子の意識が混ざり合い、少し混乱している様子。
そこにサタンとヤムチャが入ってくる。
「ブウ。えーと…じゃあこれからこのヤムチャさまたちに従って頑張ってください。君の使命は悟空たちを倒すことだよ、いいね」
唐突にサタンが変なことを言った。もちろん、サタンに変身したプーアルだ。
「うん。わかった」
それだけ言うとサタン(プーアル)は部屋を出て行った。
「こ…これでブウの思考が邪魔をしなくなりますね!ブウの単純な思考であるサタンの言うことを聞くということを制御できるはず」
界王神が説明口調で語った。
余計なブウの思考を抑制するための計画。餃子にはあらかじめプーアルがサタンに化けることは話していない。
そのほうがブウの意志は完全に沈黙すると判断したためだ。
「うまくいったようですね。では帰りましょう。界王神さま、それに……」
「チャオブだ」
「よ…よろしくチャオブ……」
岩山のアジトでいったん集うヤムチャ一味。
ヤムチャ「ははは。うまくいった、うまくいった!」
天津飯「うわぁ……。あの愛くるしい餃子の姿が……こんなデヴになってしまうなんて…」
ジロと天津飯を睨みつけるチャオブ。頭から若干、湯気が出ている。
慌てて、『プリティだけどな』と付け足す天津飯。
ひそひそ声でヤムチャの耳元でささやく。
天津飯「……本当に戻れるんだろうな?
餃子がずっとこんな姿なんて我慢できんぞ……。」
ヤムチャ「……お前はホント餃子好きなんだなぁ〜」
天津飯「当たり前だ。餃子に『死ね』と言われたら問答無用で死んでやるくらい好きだ」
ヤムチャ「……はは。まぁ愛のカタチは人それぞれだが……。
まぁ大丈夫だよ。悟空たちが言ってたんだ。ポタラ合体した悟空とベジータはブウの体内で元に二人に戻れたってな!つまりポタラ合体を解除するにはブウに吸収してもらえばいいってことさ!」
プーアル「で……でも……今は餃子さん自身がブウさんなんですよね……」
ヤムチャ「…………」
天津飯「…………」
チャオブ「…………」
天津飯「きさまぁーーーーーっ!!」
チャオブ「こ…こいつぅあああああああ!!!」
ヤムチャ「ま……待てよ……!!大丈夫だって!ブウなら分身作ったりできるから!な!な!!」
天津飯「本当だろうな……」
ラディッツ「それにしても腹減ったな…」
界王神「そうですね。ブウのためのお菓子で天津飯さんのお金を全部使ってしまいましたから」
チャオブ「へへへ。ボク、これ食う」
そういうとチャオブは自分の腹の肉をむんずとつかむとそれを引きちぎった。みょーんと伸びる真っ白な肉。肉というより餅みたいだ。
チャオブ「天さんも食うか?うまいぞ」
天津飯「いや…遠慮しておく……」
チャオブは美味しそうに自分の腹の肉をくちゃくちゃ食いだした。
ラディッツ「ゴクッ……オレにもくれ……」
チャパ王「ワシにも………」
空腹に耐えかねた二人も、チャオブの腹の肉を食いだした。
ヤムチャ「………ぅえっ………」
ラディッツ「うまうま」
天津飯「…………よく食えるなお前ら」
チャパ王「そうか?餅みたいでけっこういけるぞ?」
天津飯「ふーーん……てかまずお前誰……?」
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