ヤムチャ・レクイエム
〜最後の聖戦〜
【第18話】 ヘタレどもの宴
占いババの宮殿での壮絶な戦いからさらに2週間が過ぎた……。
「さて………。これから宣戦布告にカプセルコーポレーションに言ってくる。決戦開始は明日の正午(西の都標準時間)だ。とめるならいまのうちだぜ?」
ヤムチャはニヤリと笑って、面々をながめた。皆、緊張の表情だ。
「天津飯……餃子……ラディッツ……チャパ王……ジース……界王神様……」
天津飯と餃子をのぞけば、みな車田キャラ並に髪の毛の量が多かった。どうでもいいことだけど。
「ボクも戦います!」
そういってプーアルがヤムチャの前に飛び出る。
「ありがとう。しかし……ここより先は戦士しか立ち入れない領域だ!」
「ボクは最後までヤムチャ様と一緒です!戦士とかそんなもの関係ありません!!」
「……いいだろう!お前も一員だ!!」
「はいっ!!」
「では…行って来る!」
場面は変わってカプセルコーポレーションの研究室。
「……はぁ?あんた正気なの?」
宣戦布告と書いた手紙を見て呆れ顔のブルマ。
「さぁどうかな?だが、そこに書いてある内容は本当だとだけ言っておこう」
「カッコつけやがって。この場でキサマをミンチにしてやろうか!?」
「ひぃ!?ベベベベ……ベジータ!?」
いつの間に来たのか、ヤムチャの背後にはベジータが佇んでいた。
ベジータはうすら笑いを浮かべて言う。
「まあここのところ、ずっと刺激がなかったからな。暇つぶしにはいいだろう。
しかし……無謀にもほどがあるな」
「そうよねーーっ。『標的は以下の者とする。悟空、悟飯、ベジータ、トランクス、悟天、ピッコロ、18号、クリリン、ブウ』
……って……あんた勝てるわけないじゃないの!」
「フン。だったら勝ってみるんだな。オレをヘタレ扱いしたらどうなるか思い知らせてやるぜ」
「ほう……」
ベジータは目を薄めて興味深げにヤムチャを見据えた。
「いまのうちに悟空に頼んでナメック星のドラゴンボールをかき集めておいたほうがいいぜ。殺しもありだからな」
「望むところだ。ところでキサマの方は何人だ?まさかキサマ一人じゃあるまい」
「お楽しみってとこだな。まぁ7……いや8人とだけ言っておく」
「フン……それっぽちでいいのか?…で……いつだ?」
「あ、そこに書いてあるとおり、明日の正午からで」
「ちょっと待ってよ!いきなり明日はないでしょ!明日はトランクスの授業参観なのよ!!」
「え!?あ、そうなの?それじゃダメだな。じゃあ…あさっては?」
「あさっては…チチさんと悟天くんとトランクスとで買い物の約束があるし……」
「えーっ、予定ずらせないのか?じゃ、そっちで決めてくれ」
「……くだらん。いつでもいい!準備が出来たらいつでも来い!連中にもそう伝えておけばいい!!」
「え、あ、ああ……んじゃ、そゆことでお願いしまーす」
フラフラと軽い足取りで部屋を出て行くヤムチャの後姿を見て、ブルマは言い知れぬ不安感を抱いた。
「ね…ねぇ大丈夫よね……」
「当たり前だ。戦闘力もそれほどあがったようには思えんし…。ただ……」
「ただ?」
「眼光だけは鋭くなったな……あれは覚悟を決めた男の目だ………。ひょっとしたらあなどれん相手になるかもな……くっくっく………」
ベジータが嬉しそうに微笑んだ。
ヤムチャの宣戦布告はその日のうちに悟空やクリリンたちの耳に入った。
誰もが聞いた直後「無謀だ」とつぶやいた。
カメハウスでは―――
亀仙人「あのバカもの…」
クリリン「オレにすら適わないくせに何考えているんだ、ヤムチャさんは」
18号「誰だい?ヤムチャって」
悟空宅では―――。
「……ふぅん。まぁいいんじゃねぇか。面白そうだし」
「しかし他の6人が誰なのか気になりますね」
「そうだな。しかし気の動きから天津飯と餃子がいることはまちげぇねぇ」
「その二人がいても何の問題もないですけれどね」
「どんな作戦たててくるんだろ〜〜。楽しみだなぁ」
悟空がいつもどおり軽い調子ではしゃぐ。
「むしろボクは迷惑ですね。勝てもしない戦いを挑んでくるなんて愚か過ぎですよ。それに大事な学会の時期だというのに。まぁすぐにケリはつきますが」
対照的に不快な顔をする悟飯。ちょっとキレかかっている。一番怒らせてはいけない男を怒らせてしまいそうだ。
だが、彼らは忘れていた。
自分たちも絶対勝てないと思われていた戦いにこれまで勝利してきたことを。
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