ヤムチャ・レクイエム 
       〜最後の聖戦〜
 


【第7話】 そしてヘタレがまた一人



餃子「いや。言ってみただけ」

界王神「ところで…そこに寝転がっている男は何者です」

界王神はヤムチャとの死闘の果てに天津飯に気絶させられたラディッツにやっと気づいた。

天津飯「いえ。オレたちにもわからないんですが、いきなり襲ってきたんです」
ヤムチャ「サイヤ人のラディッツとか言ってました。たぶん悟空の兄貴ですよ。……昔、地球に悟空を連れ去りにきた男です。しかし…なぜ……」

界王神「ラディッツですって!?」

天津飯「ご存知なのですか」

餃子「ラディッツを!?」

界王神「ええ。実は私はこの男を追っていたのです。閻魔大王のミスにより、地獄から二人の者が脱走したのです。一人がこの男。」

ヤムチャ「なんですって!?」

天津飯「も…もう一人は!?」

界王神「忘れました」

ヤムチャ「…そ…そうですか」

餃子「……そうですか……」

天津飯「いちいちうるさいぞ!餃子!」

餃子「だって…ヒマなんだもん」

天津飯「だったら話聞いてろよ………」

ヤムチャ「まぁどうでもいいことだが、この男の戦闘服のマークと、こいつ自身まったく気がないことからすると、
悟空たちに倒されたあと、ドクターゲロによって人造人間に改造されたんだろうな。つくづく哀れなヤツだぜ」

餃子「ホントにどうでもいいことだね」

天津飯「そうでもないだろ……」

界王神「では、私はこの男の息の根を止め、地獄に返してくるとしましょう。先ほどの話はそのあとで……」
界王神が倒れているラディッツのほうへ歩み寄ると、その喉笛をめがけて手刀をふりおろした。……が……界王神の手は途中でピタっと止まったのである。

ヤムチャ「ど…どうしたのですか?界王神さま」
困惑顔のヤムチャたち。が、そんな彼らを無視して界王神は倒れている男に問う。

界王神「………な…泣いているのですか?」

ラディッツ「…あんたらの話を聞いていたよ…。ひでぇよな……。
エリート戦士に彼女を寝取られて……、故郷の星を潰されて……、ナッパやベジータには毎日パシられて…、実の弟に殺されて……
種族の本能に従って生きただけなのに、地獄行きで死んだ後も苦しまされ……
挙句の果てにゃあ何か、閻魔のミスで勝手に生き返らされて、また殺されるか……?
はは……ヘタレのオレにはお似合いの人生ってわけかい……。
ふふっ……なぁなんとか神さんよ……運命ってのがあるんなら誰がそいつを決めているんだい?あんたかい?
ひどいじゃないかよ……こんな……こんなことって……」

ラディッツのぼやきを聞いていたヤムチャも無意識のうちに涙を流していた。
ヤムチャ「オレたちとこいつ……何が違う……?同じじゃないか……」

天津飯(ぜ…全然違うと思うが………)

ヤムチャ「界王神さま……。こいつを殺さないでやってくれませんか?」

界王神「いいでしょう……」

天津飯「え……」

界王神「彼はヘタレ扱いされる者の悔しさを知っている人です。他人とは思えません」

天津飯「……えぇぇ〜〜〜!?極悪人ですよ!?」

餃子「あんたはフローレス。故に危うくもあるんだね」

天津飯「お前は黙ってろ」

界王神「そのかわり彼には私たちに協力してもらいましょう」

ラディッツ「ふ…ごほっ……ごほっ……。ああ……いいだろう。なんだってやってやるさ……。怖くないことならな」

天津飯「あ……あう……そしてヘタレがまた一人……」



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