ヤムチャ・レクイエム
〜最後の聖戦〜
【第3話】 誇り高き兄、目覚める
闇の中で一人の男が目を覚ました。
「ここはどこだ…!!暗い……なんでオレはこんなところに……!?」
今自分がいる場所も、なぜこんなところにいるのかもわからない男は記憶をたどる。
「……待てよ……オレは一度…死んだような気がする……
死んであの世に行って……そして、地獄に落とされ―――。
しばらくは地獄で罰を受けていたような…んで…いきなりまばゆい光に覆われ……。
それからはわからん……とぎれ、とぎれにしか……」
そこで男はハッとする。自分は誰だ?名前は?
わからない。まったく浮かんでこない。
無理に思い出そうとするとなぜか頭に激痛が走る。
「……どういうことだ……」
そのとき、男は全身にみなぎる力を感じた。
「このパワーは何だ?少しでも力をいれれば……どうなるんだろ……」
真っ暗で何も見えないが、自分には肉体が存在しているのは確かだ。
そのことを確信した男は、全力でこの力を放出しようと試みた。
「はっ!!」
肉体から爆発的にオーラが噴出し、視界が黒から一気に白へと転じた。
直後、男の目には青く澄み切った空が飛び込んできた。
ゆっくりと流れる雲が目に入る。
「ここは…現世………?…いて…」
と呟く男。一息入れて、上空から無数の岩石が落ちてきた!男がさきほどエネルギーを出してふっ飛ばしたやつだ。
「ぐわーーー」
男の頭部に巨岩が直撃する。そのとき頭に激痛とともに閃光が走った!
「オレの名はラディッツ!!誇り高き全宇宙一の強戦士族サイヤ人だ!!」
岩に潰されながらもその男、ラディッツはあらん限りの声で叫んだ。
「やれやれ……。」
瓦礫の岩山からはいでたラディッツは頭に強い衝撃を受けてこれまでの記憶を全て思い出した。
「あの緑色の野郎にカカロットとごと腹を貫かれ、オレは死んだ。
そして地獄で重労働を強いられていた。……が、なぜか体がまばゆい光に覆われたんだ……。
次に目をさましたとき、オレの目の前に変なジジイがいやがった。
オレの体をいじくっているようだったが、体はまったく動かず……。
何をやっているかわからなかったがジジイの野郎は
『失敗作だ』などと言っていたのを覚えている……。
そして、オレは暗い倉庫の中にほうりこまれ、ずっと放置されてきたんだ……。
そのときそのジジイはオレにむかってこう言っていたのを思い出した。
人造人間……12号と……」
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