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Saiyan Killer


〜プロローグ〜

ドゥゥゥオン…!
何度も何度も激しく起こる爆発音。その度に巻き起こる砂塵の中に見えるのは
2つの人影。常人には理解しがたいこの光景は、どうやらこの二人の戦いに
よって引き起こされているらしい。だが、よく見ると「戦っている」のは一人
だけで、もう一人…小柄なシルエットはただ一方的に攻撃を受けている。
ゆらり、とその小柄が動く。度重なる攻撃にダメージを受け、崩れ落ちるように
腰が落ちていく。ついにこの戦いに決着が着いたのか。

その刹那、まさに神速とも言える速度で、小柄がもう一人の戦士との距離を
ゼロにした。腰を落としたのはダメージによるものではなく、ダッシュの
溜めだったのだ。
詰め寄られた戦士は、一瞬何が起きたのか判らず、呆然としている。

「もういいだろう? いくらやってもお前はわたしに勝てない」
小柄が声を掛ける。戦いの中にあるとは思えない、静かな、そして冷たい声。
「な…っ…ふざけるな…−ッ!!」
我に帰った戦士が叫ぶ。そして渾身のパンチを眼前に繰り出そうとした瞬間、
ひときわ大きな閃光が走り、戦士はボロクズのように吹き飛ばされた。

戦いは終わった。それと共に砂塵も収まり、二人の姿もあらわになっていく。
もはや動く事も満足に出来なくなった戦士に小柄が近づく。
「ぐ…く…そうぅ…俺が…この戦闘民族サイヤ人の俺様が……貴様ごとき
小娘に…っ」
「そう、こんな小娘にも負けるのがお前たちサイヤ人だ。宇宙一の強戦士族が
聞いてあきれる…ふふっ」
小柄なシルエットの持ち主は、まだ幼さを感じさせる少女だった。対する戦士は
いかにも歴戦の兵といった風貌で、先ほどの戦いの結果がこれとは、にわかには
信じがたい光景である。

「…お前がサイヤ人最後の生き残りだな。これで宇宙からサイヤ人は残らず消える」
冷たい笑みを浮かべながら、先ほどと同じ閃光が手から溢れ出す。
「くっくっ…くっ…残念だったな…俺は最後のサイヤ人じゃねぇ…。地球という
星にも…いるんだよ…」
「な…んだと…」
予想外の戦士の言葉に、今度は少女が呆然とする番だった。
「…くく…しかもうわさじゃ…そいつは伝説の超サイヤ人だ…そうだ…」
「………」
「行け!地球に行くがいい! そして犯され殺されるがいい!いくら貴様が…」
ドオォォォンン…ッ!
戦士の言葉は最後まで語られる事無く、再び巻き起こった轟音と砂塵にかき消されて
いった。

「地球か……」



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