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ヤムチャ異星録

七章『七転び八起き』



ヤムチャは逃げ回ってる途中、元のカプセルハウスがあった場所で2人とも鉢合わせした。
「大丈夫か・・・・・?」
「結構痛いぞ」
「かなり痛いね」
ヤムチャは気の使いすぎで全身疲労。
ジンズは体当たりの直撃で腕骨折。ボディーブローで肋骨一本折れた。
シスル、腹部から血がドクドク出てる。服が真っ赤だ。
3人とも満身創痍といった感じだ。
おもむろに新生・ギニュー特戦隊の3人が現れた。
ああ・・・・ヤバイかも。
オレの相手したトカゲ野郎は完全にぶちキレてるし。
岩男はかなり苛々してそうだ。今にも3人まとめて吹き飛ばそうとしている。
前髪はわりかしクール・・・・いや訂正。一番殺気放ってる。
それぞれ善戦したらしいが、やはり倒すには至らない。相手の気は殆ど減っていないようだ。
むしろ、地球に来たサイヤ人との戦いでは、本命のベジータと戦う前に殆どの奴が死んだから
この3人が一対一で生き残ったのは奇跡的とも言えるだろう。
相手の慢心とこちらの技量でなんとか時間は稼げたけれども、今度は完璧に殺す気マンマンだ。
「なぁ・・・パンジさんまだ来ないのか?」
「アタシが知るわけないさ。薬研の連中が試作品出すの渋ってるんじゃないの?」
こんなときに渋られても・・・・あまりにもクリティカル。

「ヨッグ!チヅゥ!コイツ等まとめて殺すぞ!!」
「よっしゃ、アレだな!」
「ああ・・・・」
3人の腕の気が高まる。
放電し、三角形に気のフィールドが出来る。
「やべぇ!?」
「ヤバくないとも」
キッパリとした声。一瞬ジンズかと思ったが、違う。
異星人3人の顔の前に手榴弾が放り投げられる。
いや、アレは手榴弾ではなく---閃光弾。
次の瞬間三箇所から強烈な光と音が発生した。
「やあやあ遅くなって申し訳ない。
 これが例の薬だ」
いつもの調子で現われ、いつもの調子で語りかけてきたパンジ博士。
唐突にクレーターの真ん中に公衆便所ぐらいの小部屋が出現。
「どうやったんだ?」
「それは・・・・・秘密だよヤムチャ君。早く使いたまえ。敵がひるんでいる間に」
片手に3本の注射器。飲み薬じゃないのか・・・・
ヤムチャとジンズは手馴れた手つきで静脈注射する。シスルは固まっている。
「何やってるんだよ。ほら」
ぷす。
「ぎゃあ。」
「『ぎゃあ。』って・・・注射が怖かったとか」

針の痕を気にしながらシスルは否定した。涙ぐんでるが。
「別に全然全くちっともこれっぽちも怖くないさ?」
怖いんだな・・・・いい年して。と思ったがここで喧嘩になっても意味ないし。言わないどこう。
うっ・・・・・!?
足元がふらつく。ふらつくのは足元だけでは無い。視界もゆらゆら。
気持ちが悪い。吐きそうだ。空間転送の数倍気持ちが悪い。
気が、大幅に下がってないか・・・・?
ジンズとシスルも同じ症状だ。気が、一般人レベルに変わっている。
「どぅなってるんだ・・・・?」
「一次効果が出るまで60秒かかるのだよ。しばらく待ちたまえ」
パンジが意外で、しかも絶望的なことを冷静に告げる。
一分この状態だったら何回アイツらに殺される?
「ん?おい、あいつら苦しんでないか?」
視界が復活したラクトースが言う。
「戦闘力・・・・10に低下・・・・
 新たに出現した敵・・・・戦闘力100」
「カス以下じゃねぇか。一気に決めようぜ!」
再び気を貯め出す。
ヤバイ・・・・何を喰らっても死ぬ自身がある。
足元がお留守とかそういうレベルじゃない。消し飛ばされる。
「私が時間を稼ぐ。大丈夫あと45秒」
「ぅ・・・無茶だ・・・」
異星人3人の気が再び三角形状になる。
とんでもない気。3人分合わさっている。
小さなことまで力を合わせやがって。こいつらブラザーか。

「いっくぜェェェェェッ!必殺・ニュールイ!」
「カマンベール・・・・・」
「ヨグルーペェェ!!」
三角形のそれぞれの頂点からエネルギーの奔流がこちらに押し寄せてくる。
死ぬ!?
そう思ったとき、エネルギーは何か見えない壁に阻まれて消えた。
なにが起きた?こんなことできて、この場にいる唯一の人間は。
パンジを見る。彼は不適に笑っている。
「何が起きたか分からない・・・・といった顔だね。そこの宇宙人たち。
 ならば説明しよう。これは私が作った空間転送装置の機能を応用したものだ。
 このタイプの装置は指定した範囲の物質を微粒子化するんだ。
 中のエネルギー体ともいえる鉱石『マエバリウム』から出るクワイネット放射能を
 三重クライン構造で増幅して放射能をカットする新システム・ケラスタンスで囲んだ機体により
 内部の物質のみ微粒子化することに成功したんだ。
 このクワイネット放射能は大気中では50メートル程度進んだところで消えてしまう弱い
 科学線なのだが、ケラスタンス機能を外す事で周囲50メートルに入ってきた物を微粒子化してしまう。
 なんで私らが消えないかって?広域散布されたクワイネット放射能は独自の磁場を発生させて中の物を・・・・・
 おっと、もういいようだ」
何がなにやら・・・・・・
かなりの早口で、小難しい話を始めたパンジにうっかりギニュー特戦隊の3人は聞き入ってしまっていた。
その間に体の調子が良くなった。45秒息継ぎ無しで喋り続けたらしい。
気が溢れてくる。なんだか体が軽くなるような。薬が効いたようだ。
そうだ。気の開放を・・・・・
「はぁぁぁぁ!!!!!」
思い切り増えた勢いをつけて気を開放する。
元に、戻れるか?

眩い光が辺りを包む。
背が高くなった。目の位置がジンズに近づいたようだ。
あれ?まだ足りないような・・・・・?
「どうなった?」
パンジに聞いてみる。
「どうって・・・」
「年齢がそのまま5歳上がった感じ?女の子のままだよ」
えぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・
戻ってねぇ。
大きくなっただけかよ。10センチぐらい身長が伸びているようだが。多分現在160センチぐらい。
うわー・・・せめて男の体に戻れれば界王拳が使えるのに。
それでも気がかなりアップしたらしい。力が溢れてくる。
「おいどうなったんだ。チヅゥ」
「戦闘力測定開始。・・・・青髪戦闘力4800。赤髪戦闘力4300。黒髪戦闘力5400」
「いきなしパワーアップかよ・・・・くそっ!」
気が大きくアップしたシスルとジンズが起き上がる。
体の怪我も治っているようだ。
「散々タコ殴りにしてくれたんだ。そろそろ仕返しといくかい?」
「賛成だ」
これなら、勝てる。
気はまだ相手がやや上だが、技量と言うか戦術はこちらが上だ。
三つ巴再開といくか。








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