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ヤムチャ異星録

四章『四回目の最悪』




「ようするに生体エネルギーの実体化か。
 ・・・・オカルト臭い話だが」
「実際、アンタはそれでやられただろ」
壊した橋から5キロほど離れた飲食店『ミスター・フンドセルフ』
あの後、警察を撒くために結構遠くの店に避難した。
わりかし古風な内装の店だ
その中でうどんを食べながら話していた。
そこでジンズから質問があった。
『昨日から気になっていたが、なんだ?あの、光球と空を飛ぶ術は』
とりあえず気の概念からなんから適当に説明した。
『えーとだな。アレは気というものを使ったんだ。
 気ってのは要するに、誰もが持ってる力のことで・・・・』
そんな感じで話してしばらく。
ようやく気について理解が得られた所だ。
ジンズ自身も操気弾で倒されたので結構早く納得してくれた。
「私も・・・使えるだろうか」
「んー。修行すれば使えるようになると思うぞ。
 アンタはかなり気が高いし、戦ったとき技使ったろ?えと、確かまーすな・・・」
「技名を繰り返すな恥ずかしい」
顔をさっと背けてぼそりと言う。
自分が照れるような技名つけるなよ。




『えーとだな。アレは気というものを使ったんだ。
 気ってのは要するに、誰もが持ってる力のことで・・・・』
そんな感じで話してしばらく。
ようやく気について理解が得られた所だ。
ジンズ自身も操気弾で倒されたので結構早く納得してくれた。
「私も・・・使えるだろうか」
「んー。修行すれば使えるようになると思うぞ。
 アンタはかなり気が高いし、戦ったとき技使ったろ?えと、確かまーすな・・・」
「技名を繰り返すな恥ずかしい」
顔をさっと背けてぼそりと言う。
自分が照れるような技名つけるなよ。
「・・・・・とりあえずアレの時は足に気が集中していた。
 あんな感じで後はイメージ力だな」
うどんをすすりながら気楽に答える。
月見うどんだ。味はなかなか良いが、うっかり唐辛子を入れすぎてちょっと辛い。
「イメージ・・・・」
「ああ。例えば橋を壊したかめはめ波だ。まず気を腕に集中させるイメージ。
 次に気を練り合わせるイメージ。最後に腕か放出するイメージ。
 イメージが悪いと気も無駄が多くなる。
 オレが刀に纏わり付かせた気はな、半分他人の技が混じっていたから気の消費がデカかった」
そこまで言ったところでうどんのつゆを飲みきった。
ジンズはさっきからたくあんを齧っている。
「じゃ、講師料としてここの勘定頼むな」

うどんを食べた後、しばらく歩いて研究所まで向かった。
その間ジンズはなにやら難しげな表情をしていた。
さっきヤムチャに言われた事を考えているのだろうか。
途中、あの女と戦った橋は、元に戻っていた。
もう修理したのだろうか。警官もいなかったが。
それっぽい建物の前をジンズは通り過ぎていく。
「おい、ここじゃないのか?」
そう言われて考えていながら歩いていたジンズははっと止まった。
デカくて広い建物だ。学校ぐらい広い。それに6階建てぐらいか。
周りの田舎田園風景に見事にマッチしていない。
「ああ・・すまん、ここだ」
何歩か戻り、警備員らしき若い男に話しかけた。
「パンジ博士はいるか?
 弟のジンズという者だが」
「あー・・・ジンズさんですか。今日は休業日なんですよ。
 パンジ博士は何か、『何かキそう』とか言って出かけて、明日にならないと消息不明です」
「ちっ・・・『発明日和』か・・・・」
ジンズがうんざりと呟いた。
休業でも警備員は結構多いな。
まぁ泥棒も狙ってくるなら休業日だろうし。
「なんだ?それ」
「兄が何か発明品が閃きそうなときに一日消える日だ。
 昔から何故か放浪癖があってな」
ということは今どこか分からないのか・・・くそ。
明日まで待たないといけないか。

「ほかに誰か研究員は来てないのか?」
「あ、そういえばさっき研究員の一人が修理するものがある、と入っていきましたが」
その人に当たってみるか。何か分かるかもしれないし。
ジンズが頼み、中に特別に入れてもらう事になった。
うわーなんか本格的な設備。
ブリーフ博士の研究室思い出すな・・・あれよりすごいけど。
すいすいと迷わずジンズが先行して進んでいく。
相当大きなエレベーターに乗り、上に行く。
3階・工業技術課作業場に案内された。
中からバチバチ音がする。作業中なのだろう。
「すみませーん」
中ではツナギを着た赤っぽい銀髪の女が刀の鞘のような機械を修理していた。
ゴーグルを外してこっちを振り返る。
「はーい・・・・ってアンタら」
ツナギを着た女・・・シスルだった。
台の上には先ほどのコールドナイフの鞘が置いてある。
その周りに、はんだみたいなのとかドライバーとかが散らかっている。
作業場は配線やらなんやらでつまずきそうだ。ごちゃごちゃした機材が積み上げられている。
「うわ。お前研究員だったんだ。思いっきり意外だな。
 てゆーか研究員なのに通り魔するなよ」
「わ、悪いか!人の趣味にケチをつけるなさ」
「ほぼ犯罪の趣味もどうかと思うが。橋の件はどうなったのだ?」
「橋カプセルを取り寄せて再設置したよ。アタシの給金からカプセル代は引かれちまった」
唇を尖らせてシスルは告げた。置いて逃げたのを根に持ってるのか。
さっきの橋は都市カプセルとは別のカプセルなんだ。
どうやらシスルはさっきヤムチャが壊したコールドナイフの鞘を修理しているらしい。
通り魔兼研究員・・・さっさと逮捕したほうが良いような気がするが、ともかく。
「あのさー。橋の件は置いといて。いきなり悪いんだけど、パンジ博士の居場所知らない?
 もしくは宇宙船に詳しい人とか居ないかな」
しばらく彼女は考え、困ったように言った。

「ううーん・・・ちょっと博士の場所は分からないさねぇ。
 それに宇宙船ったってここじゃ開発してないし・・・分かるといったら天才チックなパンジ博士ぐらいしか・・・
 って宇宙船!?」
ああそうだった。
なんも説明しないでこんな事言ったら意味分からないな。
ちょっと説明タイム。

かなり胡散臭げだがとりあえず納得してもらう事に成功。
途中、『あの変なオーラはなんだ?』って聞かれたが、一日に二度説明するのは勘弁なので後でジンズに聞け、と言った。
「ん・・・まぁあんたがわざわざ宇宙船の修理できる人を捜して回っているってことは分かったけどさ。
 こんなの事するのは本当に宇宙人か、虚言癖なヤツぐらいだしね」
なんかさらりと失礼な事言われたような気がするが、とりあえず無視。
どうやら本気でパンジ博士は明日にならないと居場所が分からないらしい。
以前本職の探偵を雇って調べたが見事に撒かれたらしい。
建物に入ったのを確認して、出入り口と窓を総勢30名で塞いだのに中には誰もいなくて、翌朝研究所に出現したこともあるそうだ。
どういう人だよ。一体。
「まぁ今日はアタシが助けてくれたお礼に観光案内でもしてやるさ。修理も終わったし。
 どこか行きたい所はあるかい?」
どこか・・・・と言う問いにヤムチャは息を呑んだ。
そして意を決したように言った。
「銭湯・・・・だ」




かぽーん。
銭湯『サラシ』
大きな日本家屋系の建物だ。
その入口でヤムチャは立ち尽くしていた。
「何やってんのさ」
「行こうと言い出したのはお前だぞ」
後ろでジンズとシスルが話しかけてくるが、緊張で耳に入らない。
ついに・・・来たか。
「そ、それじゃあ行くぞ・・・・・・」
中に入る。正面に番台のお婆さんが座っている。
シスルが女二人と男一人と告げる。
『〜女〜』と書かれたのれんをくぐる。一歩踏み出すのにかなり時間が掛かった。
「腕の霜焼けが治ったって言ってもさ。
 風呂で温まるのは良い事だよ」
袴をするする脱ぎながらシスルは言う。
さっきまでツナギだったが出掛けるときに着替えたようだ。
戦った時とは違うデザインだった。あの時の服はボロボロになってたし。
他にも何人か脱衣所に女性がいる。これがまた下腹部とか脳内にズンときて・・・・・

「ゆっくり湯に浸かって今日は寝る事だね。
 ってうわー・・・ヤムチャ凄い鼻血。どうしたのさ」
おっとっといけね。鼻からだくだく血が出てる。
落ち着け・・・落ち着け。よしオレはもう落ち着いた。
「何でもないんだ。さ、さあ風呂場へ」
何とか意志の力で鼻血を止め、ロボットのようなカクカクした動きで風呂場に入っていった。
意外なことに風呂場には、美女がめちゃめちゃ居た。
普通に体を洗ったり髪を梳いたりしているだけなのにヤムチャにはとても艶めかしく見えた。
・・・プーアル、無天老子様、ウーロン!
オレはやった!世界を手に入れたんだ。悟空でも成し得なかった事をやり遂げた!
お前たちには見せてやれないが、せめてこの瞳孔に焼き付けて帰ってやる。お前たちのためにも!
ヤムチャは湯船に入ったままギラギラした目で周りを見続けた。
男の姿だったら目つきだけで通報されそうな熱い視線を、シスルその他女性達に注いでいた。
今は少女の姿だったから、まったく不審に思われなかった。
そしてしばらく。

「あー・・・いい湯だったさね。
 そろそろ揚がろうか・・・・ヤムチャ?」
つんつん触ってみるが反応が無い。
「おーい・・・・ってうわっ!?」
頭をぺしっと叩いたら凄まじい勢いではなぢを吹きだし倒れた。
血の池地獄のようになる風呂場。泣き叫ぶ女性達。
「ヤ、ヤムチャー!どうしたのさー!おーい!
 渡るな!永眠するな!おーい・・・・・」
一生懸命に、ヤムチャの頬をぴしぴし叩きながら呼びかけるシスル。
あたりを血祭りにした張本人のヤムチャだけは安らかな、満足した顔で息絶えていた・・・

一方ジンズ。
サウナも入って風呂から上がり、持参の浴衣を着ていた。
そしてコーヒー牛乳を飲みながらマッサージ機に座り、しばらくのんびり。
その後卓球をしていた所で気絶したヤムチャ(生きてた)を背負ってシスルが揚がって来た。
ヤムチャは彼女の下宿に泊まらせるようだった。
では自分は適当に宿をとり、明日研究所前で、と別れた。
そして彼は、ホテルで明け方まで瞑想に耽っていた。
気の、イメージ。




翌朝。
散らかりまくった部屋で目が覚めた。
えーと。うん確か女湯で倒れたんだよな。
あれはよかった。人生で一番よかった。
で、その後・・・この状況だとシスルに運んでもらったのかな。たぶん。
「うおーい」
ぐいぐい隣で寝ているシスルのほっぺを引っ張る。
昨夜の記憶が無く、朝起きたら隣に女が寝ていましたってのは何度かあるけど今とはかなり状況違うな。
「ほへ?は、おはひゃあ〜って引っ張るなさ!」
手を外される。
部屋を見回すと改めて、汚い。片付けろよ。ただ一角に刀が一本飾ってある。
キッチンとトイレは付いてるようだ。風呂は、多分さっきの銭湯だろう。
「ん〜・・寝た寝た。
 ヤムチャ血ィ足りてる?」
そういえば昨日銭湯で風呂場が血祭りになったんだった。
とりあえず立ち上がってみる。
少し頭が重いぐらいだが、ふらふらしたりしない。
軽い二日酔いみたいなもんだ。
「だいじょぶっぽい。
 ちょっと飯食ったりしとけば治るかな」
ふらりとシスルも立ち上がる。寝巻きは普通にパジャマらしい。

ヤムチャもだぶだぶのシスルの物と思しきパジャマに着替えさせられている。
洗面所ではなくキッチンで顔を洗う。ヤムチャもそれに習う。
タオルで顔をごしごし拭いて一息。腹が減った。
「さて、朝ごはんさ。はい」
カップ麺。インスタント。
「ふ、不健康食ベストワン・・・」
オイオイまじかよ。
料理とかできないのかこのアマ。
出来ないにしてもパンとか無いのか。
「だって・・・ねぇ。パンはあるけどジャムとか無いしさ」
「ええぃ、冷蔵庫見せてみろ」
がぱっと冷蔵庫を開ける。
ろくな材料入ってねぇ。
仕方ない、例のヤツでいくか。

ヤムチャ簡単お料理教室朝ごはん編。
牛乳と卵と蜂蜜を混ぜる。
この際、卵の白身を取っておくと卵臭さが出ない。
パンに浸す。
リンゴをむく。
細かくきざみ、アルミホイルに包む。

「なあ、オーブンかレンジ無いか?」
んー?とシスルは呟く。髪を三つ編みにしていたらしい。
ごそごそと散らかりまくった部屋をあさり、ゴミの山からカプセルを1つ取り出した。
ぼんっ
小さいオーブンが出てくる。
オブーンに浸したパンとアルミホイルに包んだりんごを入れて、加熱。
その間にリンゴの皮を水に入れて、お湯を沸かす。
途中、アルミホイルだけを取り出す。
パンがからからになったら取り出す。
その上に先ほどアルミホイルに包んでいた焼きりんごを載せる。
リンゴの皮を入れて沸騰させたお湯で、その辺に散らかっていたティーパックで紅茶を作る。
これだけでずいぶん香りが違ってくる。
ヤムチャ様特製、焼きりんごフレンチトーストと、アップルティーの完成だ。
「出来たぞ」
「わぁお!まともな朝ごはん!一人暮らし始めてから初物さ」
ずっとカップ麺ばかり食ってたのか。
さて、さっさと食って、パンジさんとやらに会いに行くか。

予想通り、ヤムチャの朝ごはんは大好評だった。




また研究所まで来た。
シスルは侍服に三つ編み。不思議と似合っている。腰には部屋に飾っていた刀を差してあった。
あいからわず周りの風景と合ってない近代的な建物だ。昨日より人が多く活気がある。
門のとなりの壁にジンズがもたれかかって目をつぶっていた。
服は動きやすそうなスポーツジーンズで黒い服と頑丈そうなジャケットを着て、いつものタシギ鋼入りブーツを履いている。
「おーいジン・・・ズ?」
ジンズの体に気が充満していた。
感覚の目で見ると体がぼんやり光っているほどだ。
「む・・・来たか」
シュウっと気が薄れる。
壁から体を離し、こちらに近づいてくる。
「お前・・・もう気の扱い方覚えたのか?」
満足そうに首を縦に振る。
「ふむ。イメージトレーニングを積んでみたのだが。その反応だとうまくいったらしいな」
「へぇ〜やるじゃないのさ。
 アタシも使えるようになりたいね」
そう言いながら、IDカードを警備員に見せた。

施設内に入ると、ちらほらと研究員が見える。
時折こちらに視線を向ける人もいたが、特に呼び止められることは無かった。
しかしシスルの格好は研究員として明らかに目立ちまくっている。
作業するときはツナギだったけど、やっぱそのサムライ・ルックは私服なんだ。
「ジンズはここに入ったことはあるのか?」
前もすいすいと進んでいたが。
妙に建物の構造が分かっているジンズに聞く。
こちらをちらりと振り返り、言った。
「何度かな。兄の研究の人体実験の材料にされた。
 ヤツの研究室は最上階だ」
人体実験に弟使うなよ・・・
かなりキてる人だな。
エレベーターでしばらく上がり、最上階に着く。
ここには一つしか部屋がなく、『研究総主任室』と書いてある。
中から『ふはははは!』とか高笑いが聞こえる。
普段だったら絶対入りたくねぇ・・・・・

「失礼しまっさ〜」
シスルがそういい部屋に入る。あまり礼儀を気にしていない。
中はかなり広くて-まぁ1階ぶち抜きだからだが-思いっきり散らかっていた。
壁にはカプセルが収容できる棚が並んである。
足元は蛸足ケーブルが発火しそうなほど繋がっている。大丈夫なんだろうか。
デカイ机の向こうにある広めのトイレ個室ぐらいの機械の前に男が立っている。
青みがかった銀髪で、顔立ちはジンズによく似ているが、何か軽薄な印象だ。白衣を着ている。
あれが、パンジ博士だろうか。
「ぬ?おお!これはこれは・・・可愛くない弟と美人な工業技術主任のシスルくん。
 それと・・・そのオゼウさんは?二人のお子さん?」
オゼウさんときやがったこのおッさん。
シスルは『二人のお子さん?』あたりで顔を赤くしてうつむいた。
冗談にまったくニコリともしない真顔でジンズは告げた。
「とりあえず、こちらの話を聞け兄。
 ・・・急げ。ヤツはほっとくとひたすら話しかけてくるぞ」
説明するのはやっぱりオレか。
3人目だぞ。わざわざ言うのは。
イッツア説明タイム三回目。




パンジ博士は目を輝かせながら聞いていた。
「宇宙!素晴らしい!グレイトだよ君。
 と、言う事は宇宙船はまだあるんだね?うんそんな感じだ。
 よし!早速行って分解、いや調査して・・・宇宙開発は停滞気味だったからな。くくくくく」
一発で信じたよこの人。
荷物をまとめ出した。話の分かる人かバカだ。
と、言うか普通の大人だったら鼻で笑うような話だろう。
こんな、子どものようにすぐ信じる性格で、素晴らしい発想の大発明家になったのかもしれないな。
「博士〜?宇宙船もいいけどさ。散々書類が溜まってるんだけど」
シスルが机の上に積み上げられた紙を叩きながら言った。
偉い人だからそりゃあ書類ぐらい大量にでるよな。
「無視」
きっぱりはっきりとそう言って検査機や工具をまとめたカバンを引っつかんだ。
そして机に積み上げられた書類を薙ぎ散らした。
シスルがため息をつく。よくあるのだろう。たぶんこの性格からして。
「さてさてヤムチャ君。その宇宙船はどこにあるんだい?」
宇宙船・・・どこだっけ。
ああそういえば近くにショーツさんの家があったな。
そう告げると、パンジはうれしそうに笑った。
まぁさっきからずっと笑っているが。
「それはナイスだ。我が可愛い娘とセクシーな妻がいる家なら先ほど組み上げたマシンで行けるとも。
 さぁシスルくん!ジンズ!諸君も来たまえ!」
散らばった書類をかき集めていたシスルと壁のカプセル棚を眺めていたジンズに呼びかけた。
シスルは意外そうな顔をしていった。
「アタシも行くんですか?」
さもあらんといった顔をしてパンジは答えた。
「当然だとも。宇宙船を工業ラインにのせるのは君の課なのだぞ。
 さあ入りたまえ」
マシンに入る。
広めに作ってあるが、4人も入ると窮屈だ。
「これはなんだ?兄」
得意げに微笑むパンジ。
「これは空間転送装置だよ弟。昨日閃いて早速作ったんだ。
 実験にはちょうどいい機会」
はい・・・?
実験って。
失敗したらどうなる?パンジはヤムチャの心の声を聞いた様に答えた。
「ちなみに失敗したら体が他の人とくっついたり、機械とくっついたり、消し飛んだまま二度と現れなかったり・・・・・」
『をい!』
3人分の声がハモッた。
じょ、冗談じゃない!
死んだらどうする。ヤバイ。抜け出せ!
手の先から無くなっていく。
「ははは、もう無駄だよ諸君。装置を起動させた。
 私の発明品に失敗はありえないから安心したま---」
ふぅっと体が浮くような感覚に襲われる。
さよなら研究所。こんにちは荒野。





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