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ヤムチャ異星録

一章『一つのスイッチ』




「カプセル・コーポレーション」大発明家ブリーフ博士によって急速に世界最大になった企業である。
ブリーフ博士が開発した『ほいぽいカプセル』。物質を粒子状に圧縮し、スイッチを入れると成型化する。
これによりカプセル・コーポレーション及びブリーフ博士は世界一の大金持ちになった。
西の都にちょっとした遊園地ほどもある邸宅を作り、恐竜などを放し飼いにして暮らしている。
魔人ブウの恐怖から数年。そんな邸宅の庭のある出来事・・・・・

「う〜ん・・・・なんでこんな部品がついてるのかしら?」
ちょっとした部屋程もある巨大な球状の機械。それの中にブルマは入ってなにやらうめいている。
それは異星人の宇宙船であった。しかし土がついたりして、なんとなく薄汚れている。
「ぱっと見、コールドスリープ装置なんだけど・・・・
 用途不明のパーツがついてるのよねー」
さきほどから人が一人収まる寝台みたいなので悩んでいるのだ。
この宇宙船は百年前の地層から見つかった。
つまり百年前に宇宙人が地球に来ている証拠なのだ。
ちなみにそれ以外の『航行装置』『生命維持装置』『人工重力発生装置』などはまだ生きている。
「おい」
振り向く。入口に少々肥満気味の異国ファッションをした男、ヤジロベーが立っていた。
「あ、ヤジロベーあれ買ってきてくれた?」
「ほらよ」
ヤジロベーに宇宙船に乗せる非常食を買ってくれるように頼んでいた。
別に、誰かが今すぐ宇宙に行くわけではないがとりあえず買ってきてもらったのだ。
自前の刀に大風呂敷を結び付けている。
ふと、ブルマが食品にまぎれている不審なものを発見した。
「ちょっと・・・なによこれ」
紛れていたもの・・・・侍風の服に巨大な中華まん(冷凍)。
「いいじゃねえか、買い物に行ってやったんだからそれぐらい買っても。いやそれにその服サイズが小さすぎて着れなかった」
「はぁ・・・そうねちょっと休憩しましょう・・・・
 中華まん暖めにいきましょ」
「おう」
ヤジロベーはその場に刀と新しい服を置いて家の中へ入っていった。

「なんだこりゃ」
頬に十字傷、それなりにハンサムだが年相応に口元には小じわが出来ている男が宇宙船に近づいてきた。
ヤムチャである。
「宇宙船だよなぁ・・・」
いまだに生活が苦しくなると金を借りに来るダメな大人なヤムチャは遠慮なく船内に入っていった。
うろうろ船内を歩き回り、壁に寄りかかったところで一つスイッチを押してしまった。
ウィーン。入口が閉まった。
『ハッチ閉鎖・・・起動シークエンス全省略・・・』
「お、おい!どうしたんだよ?」
いきなりの事にすっかり狼狽してしまった。
焦ってコントロールパネルに近づく。
『コマンダー新規登録・・・姓名と声紋入力・・・』
「なんだ?言えば良いのか?ヤムチャだ!天下のロンリーウルフ、ヤムチャ!」
おッとうっかり名乗ってしまったぜ。まあいいか。ところでどうやって入口開けるんだろう?
ヤムチャはしばらく悩み、そして大胆かつ豪快に一つのボタンを押した。
(オレの荒野のオオカミ的勘が鈍ってなければあってるはずさ!)
『コマンダー登録・・・セミ・オートモードへシフト・・・』
「あれ?じゃあこれだ!」
ぽちっ。
高度なオート化がされている機械に、ヤムチャはどんどん目的の反対へ突き進んでいた。
『発射軸決定・・・座標入力確認・・・』
「お、おい・・・・」
『発射』
その宇宙船は光を超える速度でブルマの家の庭から消え去った・・・・



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