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ハンター・ヤムチャ

第5部

 

669 名前:ハンター ◆38sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/20 22:10 ID:???
>>前回553

荒野の砂漠に、ひっそりと立つヤムチャハウス。
この家には、プーアルと言う喋る猫と
ヤムチャと呼ばれる青年の二人が暮らしている。
そのヤムチャハウスに、一本の電話がかかってきた。
「ヤムチャ様、電話ですよ、手がふさがっているので代りにでてください」
プーアルは、ヤムチャと自分の二人の昼食を作る為に
現在、フライパンで手がふさがっている。
そんなプーアルの言葉を聞きながら、
ヤムチャと呼ばれる青年は、受話器を見つめていた。
実は、ヤムチャハウスに電話をかけてくるのは、ほとんどブリーフと神様の二人。
しかも、ブリーフと神様は、いつもろくな内容で電話をかけてこないので、
ヤムチャは心構えをしてから、電話を取る事にしていた。

「よし行くぞ、覚悟は良いか受話器」
「ヤムチャ様どうでもいいですから、とっとと電話に出てください」
ヤムチャが受話器を手に取り、10cm程上げると、
台の上に置いてある電話機から音が鳴り止み、通話状態に成った。
通話状態に成り、音が鳴り止んだことを確認すると
ヤムチャは受話器を10cm下げて、電話を切った。
自分の仕事をやり終えて、満面の笑みを浮かべるヤムチャ、
そして、そんなヤムチャを見ていた
プーアルから、熱いフライパンが投げられた。

670 名前:ハンター ◆38sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/20 22:11 ID:???
プーアルの投げたフライパンが、ヤムチャの脇腹に見事命中。
ヤムチャはその場にうずくまってしまった。
「ヤムチャ様、あんた何やってんだ」
「いやね、どうせろくな内容じゃないだろうから、
それなら聞かないでおいた方が、幸せかなと思ったんだよ」
「せめて話だけでも聞いて下さい、もしも大事な話だったらどうするんです」
しぶしぶ納得したヤムチャ。その時、電話がまたも鳴り響いた。
今度は普通に受話器を取るヤムチャ。
かけてきたのは、いつもかけて来る二人のうちの一人、神様だった。

「あ、ヤムチャ君?先ほど電話をかけたんだけど
急に切れたんじゃよ、どうしたんじゃ?」
「いえね、ちょっとした事故がありましてね。
それより何の用で電話してきたんですか」
「実は少し前にブルマ君が、サイヤ人の事で話があると神殿に来てな。
知っての通りブルマ君は、サイヤ人の妻じゃ。
何事かと思い、話を聞いてみると、サイヤ人達は地球征服を止めたと言うのじゃよ」

671 名前:ハンター ◆38sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/20 22:12 ID:???
「神様それは本当ですか?しかしなんで急に」
「わしが聞いた所によるとだな」
神様はヤムチャに、ブルマから聞いたサイヤ人達の事情を説明した。

「なるほど、そんな事があったんですか。でも、ベジータというサイヤ人は
何でサイヤ人を復興させる気がないんでしょうかね」
「さあな、わしが知っているのはここまでじゃ、これからゴクウを迎えに行くために、
あの世まで行かなければ行けないんじゃ、じゃあなヤムチャ君」
ゴクウがあの世へ旅立っていると聞いて驚くヤムチャ。
まさか、あの世に行っているとは、思ってもいなかった。

「ゴクウって死んでたんですか?
確か修行に行くとか行ってませんでしたか」
「いや、死んでないぞ。ゴクウが界王星に旅立った事は知っているな
実はその界王星は、あの世にあるのじゃよ、つまりゴクウは生身で
あの世に旅立っているんじゃ」
「あ、そうなんですか、俺はてっきり死んだのかと思いましたよ」
電話越しに笑い合うヤムチャと神様。
「俺だったら、あの世に行ってまで修行なんて考え付きませんね。
あの世に行ってナンパとかなら考えてますけどね」
またも笑い合うヤムチャと神様。
「はっはっは、ではそろそろゴクウを迎えに行ってくるよヤムチャ君」

つづく

25 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/26 06:18 ID:vuySFTiY
>>前回669

神様から、サイヤ人の脅威がなくなり、
地球に平和が戻った事を知る、Z戦士達。
しかし、サイヤ人との戦いは終わったが、サイヤ人とZ戦士との間には
大きな溝が出来ており、その溝は全く埋まる気配が無かった。
なぜそこまで大きな溝が出来たのか。その理由は1年前まで遡る事となる。
1年前、サイヤ人達はZ戦士を不意打ち。
その結果、Z戦士達の心にサイヤ人に対して、大きな敵対心が出来てしまったのだ。

まとめてみると、Z戦士達はちょっと大人気無い。
まあ、1年も経てば心の中で、いろいろな妄念がうずくまり
相手の事を実際より悪く思っても、しょうがないと言えばしょうがない。
だがしかし、こんな状況に心を痛めていた神様が
Z戦士達とサイヤ人達のパーティーを天界で開く事を決定。
実は、単に面白そうだったからパーティーを開く事を決めたのだが
一応、表向きの理由として妥当なところを主張しておく神様。
Z戦士以外に、親友のブリーフにも招待状を出して、早速準備に取りかかる。
サイヤ人側には、サイヤ人の妻であるブルマを通して
神様の旨を伝えた結果、地球に残ったサイヤ人達は全員出席OKの返事を貰えた。

そしてついに、パーティーは開かれる事となった。

26 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/26 06:19 ID:vuySFTiY
サイヤ人側は地球に残った全員と言っても、
ベジータ・ナッパ・ラディッツ・バーダックの四人だけが出席。
他のサイヤ人達は、ナメック星へと旅立ってしまった。
地球側は、テンシンハンを除く全員が出席。
最初のうちは、Z戦士達はサイヤ人に対して、ギスギスした態度をとっていたが
話してみると、思ったより悪い人達じゃなかったのか、
次第にサイヤ人に対しての敵意が薄くなり
今では、地球の戦士達とサイヤ人との楽しいパーティーへと変わっていた。

しかし、そんな中で、暗そうな顔をして隅っこの席に座っている輩が3人ほど居る。
ブリーフ・ラディッツ・ヤムチャの三人である。
「皆さん楽しそうだねえ、ヤムチャ君」
ブリーフが話しかけるも、涙を流しながら、下を向いて何も喋らないヤムチャ。
「皆さん楽しそうだね、えーっとラディッツ君だっけ」
こちらもブリーフが話しかけても、何も答えずに
寂しく酒を片手に持ち、ちびちびと飲んでいるラディッツ。
ヤムチャの泣き声と、ラディッツのちびちびと酒を飲む音が
合体して周りに寂しさを作り上げると、雰囲気に負けた
ブリーフが、孤独な目をして、懐からオカリナを取り出して吹き始めた。

少しの間、不思議な空間を作り出していた三人だったが、
ヤムチャが泣くのを止めてブリーフに語り始めた。
「ブリーフ博士、聞いてくださいよ、実は今日ね」
ヤムチャの話しは、今日の夜中まで遡る。

27 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/26 06:22 ID:vuySFTiY
時刻は午前3時。
ヤムチャは自宅にて、今日開かれるパーティーのことを考えていた。
正確に言うと、元恋人のブルマの事である。

神様の話では、ブルマも当日来る事に成っている。
別にヤムチャの心にブルマへの未練は一切ないのだが
実は、ちゃんと別れ話しもせずに、勝手に男を作って
結婚した元恋人に対して腹を立てていたのだ。
でもブルマも、ただ黙っているのは気が引けたのか、
ブリーフ博士を通じて、
サイヤ人と結婚しました、赤ちゃんも出来ました、別れて下さい。
この三つの言葉を、ヤムチャに伝えたのだが、
たったこれだけの言葉だったので、
火に油を注いだ結果となり、余計にヤムチャを怒らせてしまった。
この時、ヤムチャはブルマに対して復讐を決意していた。

つづく

25 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/26 06:18 ID:vuySFTiY
>>前回669

神様から、サイヤ人の脅威がなくなり、
地球に平和が戻った事を知る、Z戦士達。
しかし、サイヤ人との戦いは終わったが、サイヤ人とZ戦士との間には
大きな溝が出来ており、その溝は全く埋まる気配が無かった。
なぜそこまで大きな溝が出来たのか。その理由は1年前まで遡る事となる。
1年前、サイヤ人達はZ戦士を不意打ち。
その結果、Z戦士達の心にサイヤ人に対して、大きな敵対心が出来てしまったのだ。

まとめてみると、Z戦士達はちょっと大人気無い。
まあ、1年も経てば心の中で、いろいろな妄念がうずくまり
相手の事を実際より悪く思っても、しょうがないと言えばしょうがない。
だがしかし、こんな状況に心を痛めていた神様が
Z戦士達とサイヤ人達のパーティーを天界で開く事を決定。
実は、単に面白そうだったからパーティーを開く事を決めたのだが
一応、表向きの理由として妥当なところを主張しておく神様。
Z戦士以外に、親友のブリーフにも招待状を出して、早速準備に取りかかる。
サイヤ人側には、サイヤ人の妻であるブルマを通して
神様の旨を伝えた結果、地球に残ったサイヤ人達は全員出席OKの返事を貰えた。

そしてついに、パーティーは開かれる事となった。


26 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/26 06:19 ID:vuySFTiY
サイヤ人側は地球に残った全員と言っても、
ベジータ・ナッパ・ラディッツ・バーダックの四人だけが出席。
他のサイヤ人達は、ナメック星へと旅立ってしまった。
地球側は、テンシンハンを除く全員が出席。
最初のうちは、Z戦士達はサイヤ人に対して、ギスギスした態度をとっていたが
話してみると、思ったより悪い人達じゃなかったのか、
次第にサイヤ人に対しての敵意が薄くなり
今では、地球の戦士達とサイヤ人との楽しいパーティーへと変わっていた。

しかし、そんな中で、暗そうな顔をして隅っこの席に座っている輩が3人ほど居る。
ブリーフ・ラディッツ・ヤムチャの三人である。
「皆さん楽しそうだねえ、ヤムチャ君」
ブリーフが話しかけるも、涙を流しながら、下を向いて何も喋らないヤムチャ。
「皆さん楽しそうだね、えーっとラディッツ君だっけ」
こちらもブリーフが話しかけても、何も答えずに
寂しく酒を片手に持ち、ちびちびと飲んでいるラディッツ。
ヤムチャの泣き声と、ラディッツのちびちびと酒を飲む音が
合体して周りに寂しさを作り上げると、雰囲気に負けた
ブリーフが、孤独な目をして、懐からオカリナを取り出して吹き始めた。

少しの間、不思議な空間を作り出していた三人だったが、
ヤムチャが泣くのを止めてブリーフに語り始めた。
「ブリーフ博士、聞いてくださいよ、実は今日ね」
ヤムチャの話しは、今日の夜中まで遡る。

27 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/09/26 06:22 ID:vuySFTiY
時刻は午前3時。
ヤムチャは自宅にて、今日開かれるパーティーのことを考えていた。
正確に言うと、元恋人のブルマの事である。

神様の話では、ブルマも当日来る事に成っている。
別にヤムチャの心にブルマへの未練は一切ないのだが
実は、ちゃんと別れ話しもせずに、勝手に男を作って
結婚した元恋人に対して腹を立てていたのだ。
でもブルマも、ただ黙っているのは気が引けたのか、
ブリーフ博士を通じて、
サイヤ人と結婚しました、赤ちゃんも出来ました、別れて下さい。
この三つの言葉を、ヤムチャに伝えたのだが、
たったこれだけの言葉だったので、
火に油を注いだ結果となり、余計にヤムチャを怒らせてしまった。
この時、ヤムチャはブルマに対して復讐を決意していた。

つづく

182 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/08 07:31 ID:NgCkrBGY
>>前回25

夜も明け、遂に決戦の火蓋は切られた。
プーアルに出かけの挨拶をすませ、切り札を手持ちの袋に入れ、
意気揚揚とパーティー会場に飛んで行くヤムチャ。

家を出発してから3時間後、ヤムチャは
今日のパーティー会場である、神様の神殿へ到着した。
どうやら少し遅れたらしく、ヤムチャ以外の全員が揃っていた。
辺りを見渡すと、皆さん程よく楽しんでいて、
クリリンあたりは、気円斬で地球を真っ二つにしてやる等と
わけの解らない事を言っていた。しばらくクリリン達と騒いでいたヤムチャだったが
復讐の為に、ここに来た事を思い出すと、皆の輪から抜けて戦いの準備に入る。
まず最初に、手持ちの袋から鏡を取りだし、容姿を整える
ちょっとだけ、鼻毛とヒゲがあったらしく、すぐに抜き去った。
顔を両手でぺしぺしと叩くと
次ぎに秘密兵器、通販で買った異性にもてるフェロモンを取り出した。
これをまんべんなく体にかければ、戦いの準備がほぼ完了する。
後は、口に花でも咥えれば完璧。
薔薇を咥える程度では、少しオリジナリティーが無いので
家にあったアサガオを咥える。
戦いの準備は完了した、これで今日の戦はばっちりだ。


183 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/08 07:32 ID:NgCkrBGY
そもそも、ヤムチャは拳の戦いをするつもりは無い。
ブルマが自分に対して「ああ、こんなに魅力のある男だったなんて
振った自分が馬鹿だったわ、ごめんなさい」と言えば復讐できたと思っている。
それが復讐であるかはともかく、ヤムチャの戦の準備は完了した。
ヤムチャが流し目しながら、対戦相手であるブルマを捜す。
その時、不意に左肩を叩かれたヤムチャ。
そこには元恋人であるブルマが立っていた。

「久しぶりねヤムチャ」
「そうだなブルマ、かれこれ1年近くは会っていなかったな」
ブルマは妊娠しているので、お腹が大きくなっていた。
顔も少しふっくらとしている。
ヤムチャは久しぶりに会った、元恋人の姿に少々驚いていた。
「お父さんに貴方に伝えておいてと言っておいた言葉、
あれは、何ていったら良いか解らなかったから
たったあれだけの文章になっちゃったの、嫌な思いをしたでしょ、ごめんなさい」
ブリーフを経由して、伝えられた奴だなと気付いたヤムチャ。
「はは、そんなの気にしちゃいないよ、それよりもそろそろ出産かい?
元気な子供を産めよブルマ」
ヤムチャは、復讐の事なんぞすっかり忘れて、元恋人と話しを続ける。
ヤムチャも、ブルマが謝ってくれて満足したのか、復讐は止めてしまった。
過去の事を全て水に流して、二人の間にあった溝も無くなり
全てが上手く行った。最後には、ベジータとも仲良くなっていた。


184 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/08 07:34 ID:NgCkrBGY
ヤムチャの話しを聞いていたブリーフ。
今のところ、ヤムチャがこんなに泣いている理由は一つも無い。
「それでヤムチャ君、何でそんなに泣いているのかね」
「いえね、実は俺ドラゴンボール持ってきてたんですよ
復讐に失敗した場合の切り札だと思って。
でも復讐する気も失せたので、じゃあ何か他の事でも願うかと思って
シェンロン呼び出して、願い事言ったら
シェンロンに尻尾でぶたれたんですよ、
ウーロンにパンティー上げたくせに
俺の願い事は、叶えてくれないって言うんですよ、差別されたんですよ俺は」
ヤムチャの話しを聞いていたブリーフは、少しヤムチャに突っ込みをいれた。
「つまり今までの話しは前振りだったのか、
ヤムチャ君、話をする時はもう少し小さくまとめてくれると嬉しいのじゃが」
「次ぎからはそうします。それにしてもシェンロンめ
何でも願い事を叶えてくれると言っているくせに」

いつの間にか、横で話しを聞いていたラディッツは、ヤムチャとブリーフに少し質問をする。
「そのドラゴンボールと言うのは、願い事を叶えてくれるのですか?」
急に質問されて少しビックリするヤムチャとブリーフ、
「そうだよ、まあ普通は願い事は叶えてくれる、ブリーフ博士もそれで王様になったしな」
「そのドラゴンボールを僕に下さい!」
ラディッツがヤムチャの手を握り締めて叫んだ。

続く

 213 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/11 06:35 ID:enPXjlDM
前回>>182

ラディッツは、ガッシリとヤムチャの手を握り、
ドラゴンボールを譲ってくれと強く訴える。
握られた手が、徐々に痛くなってきたので、
離してくれと手を振りほどくヤムチャ。
「じゃあせめて、どんな願い事をするか話してくれ」
ヤムチャが手を摩りながらそう言うと、ラディッツは事情を話し始めた。
「俺には弟がいるんです、名前はカカロット。
あそこにいる、ゴクウと言う人がそうです」
ヤムチャとブリーフが一緒に驚いた。
いきなり仲間の兄貴だと言われたのだから、普通の反応だろう。
「あんたゴクウの兄貴だったのか!!」

「そうです。カカロットは赤ん坊の頃に、
地球を制圧するために送り込まれた、サイヤ人なんです。
まあ、色々あってカカロットは、地球制圧しなかったみたいですけど」
ラディッツから明かされる、ゴクウの過去。
ヤムチャとブリーフは、腕を組んで話しを黙って聞いている。
「それで、私が地球に着いた時に、
一緒に地球に来た、親父からの命令で、地球を征服しなかった
カカロットにヤキ入れて来いと言われましてね」


214 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/11 06:38 ID:enPXjlDM
そこから、ラディッツは苦虫を噛むような顔で話し始めた。
自分が嫌だと言っても、弟をぶん殴って来いと命令する父親。
いやいやながら弟を襲撃する自分。
そしてその事で、いまだに弟夫婦との確執がある事。
全ての責任を自分になすり付けて、弟夫婦と仲良くなるバーダック。
その結果、何時の間にか、自分が勝手に暴走した事に
なっていると言う摩訶不思議な展開。
「私は、自分が悪くなかったと言いたいんじゃない。
俺の言っている事を、ほんの少しだけ弟に信じてもらいたいんだ
もう俺一人の力じゃ無理だ。弟は俺の言う事なんてまるで信じてくれない。
そのドラゴンボールの力を使わせてくれ」

話しを全て聞いたヤムチャは、黙って手持ちの袋からドラゴンボールを取り出した。
「解ったよ、ラディッツさん。シェンロンも、俺の願い事を足蹴にした後、
玉の中に戻っていったから、まだ願い事は叶えれると思う。
俺もよく知らないから、絶対とは言わないが。
ドラゴンボールが石になっていないところを見ると、多分平気だろう。
ですよねブリーフ博士。ラディッツさんの願い事、
シェンロンは叶えてくれますよね」
ヤムチャからの問に、首を横に振るブリーフ。
「それは無いな、何故ならドラゴンボールはわしが貰うからだ」
不気味な静寂が辺りを支配した。

つづく


245 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/16 23:28 ID:WjZiydNE
>>前回213

ヤムチャは、ラディッツ、ベジータと出会い、学んだ事があった。
サイヤ人達とも、話せばわかり合えるのだと。
生まれた星が違っても、心は通じ合うのだと。
だが、目の前にいる地球人とはいつも心が通じ合わない。

数回ほど、大きく息を吸って、心を落ち通けるヤムチャ。
「どんな願い事をシェンロンに頼むのか、聞かせてくださいな」
言葉に優しさを含みながら、美しい声でブリーフに質問するヤムチャ。
大人の条件の一つ目は、まず相手の話しを良く聞く事。
感情的になって、相手の話しを聞かないのは子供。
ヤムチャは立派な大人。盗賊稼業で生計を立てている立派な大人。
ブリーフだって立派な大人。近くにあった椅子に座ると、紅茶を片手に持ち、
足を組んで、優雅で美しい雰囲気を漂わせ、
ハスキーボイスでヤムチャの質問に答える。
「なーに、サイヤ人に代わる世界の危機を呼び寄せ様と思ってな」
顔をニカっと笑わせて、白い歯を見せるブリーフ。
太陽の光が白い歯に反射して、歯が光る。

そんな綺麗な白い歯が反射した光を浴びながら、
ヤムチャは、先ほどからブリーフが作り出している、
良い笑顔と自分の質問の答えがちょっとだけ憎たらしくて、
全力かめはめ波を発射した。


246 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/16 23:28 ID:WjZiydNE
ヤムチャが放った、かめはめ波は
あと30cmでブリーフに直撃と言う所で、急に曲がった。
本来の軌道から逸れたかめはめ波は、あらぬ方向に飛んで行ってしまった。
チッと舌打ちするヤムチャ。
ブリーフはにやりと笑い、指を左右に振る。
「ヤムチャ君、わしにその程度のエネルギー波は効かないよ」
白い歯を見せて、またもや良い笑顔を作るブリーフ。
「さっきからブリーフさん、変な事を言ってますけど
どうしたんでしょうか。何か深い考えでもあるのでしょうか」
突然の事で、状況をあまり理解できていない
ラディッツが、ヤムチャに話しかけてきた。
「ええ、きっとあるでしょう深い考えが。奈落の底みたいな深い考えが」
この後ヤムチャは、本気を出したブリーフの戦闘能力に驚愕する事になる。

ヤムチャはヤムチャで大変な頃、クリリンは最強の一発芸
気円斬を使って地球真っ二つを本気でやろうとしていた。
右手を上に上げ、気円斬が出来あがると、トウっと叫んでジャンプ。
気円斬を持っている右手を力強く振りかぶる。
「私はクリリン、地球斬りのクリリン。いくぞ必殺きえ・エエエエエエエ」
気円斬と言いかけている途中で、つい先ほどあらぬ方向へと飛んでいった、
ヤムチャの全力かめはめ波が、クリリンの背中を直撃。
そのままキエエエエエエエと叫びながら、
かめはめ波と一緒に、空の彼方へと消えていった。

つづく


312 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/25 19:53 ID:F4A0w5YM
>>前回245

戦う気満々のヤムチャとは対照的に、実はヤムチャと戦う気が無いブリーフ。
ブリーフにとってヤムチャとは、息子であり親友であり実験台である。
そんな貴重な実験台を、むざむざ壊すのもどうかと思ったブリーフ。
本気で戦えば、体術だけでもヤムチャを倒すのも可能だが。
ここは一つ、ヤムチャを説得することにした。
「待ってくれヤムチャ君。話だけでも聞いてくれ」
「どうせ、ろくな話しじゃないでしょうから、断ります」
ブリーフが、腕を組んで、まあ話しを聞きなさいと諭す。
「慌てるなヤムチャ君、わしと取引しようじゃないか」
そう言うと、ブリーフはヤムチャに、何かを投げつけた。
それをヤムチャは手でキャッチすると、手を開いて受け取った物を確かめた。
するとそこには、小さな飴玉みたいな物が一つあった。
「これは一体何ですか」
「それはわしが作ったホレ薬だ。その薬を相手に飲ませると飲ませた相手は意識を失い倒れる。
その後、5分ほどして意識を取り戻すのじゃが、意識を取り戻した後に
初めて見た人間を好きになってしまうのじゃ。
もしわしに協力してくれれば、それをいくつか上げようじゃないか」

ホレ薬。人類の夢の一つであり、手に入れれば確実に悪用されるであろう悪魔の薬。
例えば、恋はゲームと同じ、最初は好きな人は自分に振り向いてくれない、
でも段々と相手を自分に振り向かせていく恋こそ、本当の恋なのよ。
と言っている人間でも、ホレ薬を手に入れれば、
恋はゲームと同じ、だから裏技があっても良いじゃんと
言いながら、笑顔でホレ薬を思う存分、好きな人に使うであろう。
そんな人間のハートをガッシリ掴んで、ホレ薬。
ヤムチャの手には、その素晴らしきホレ薬が渡された。


313 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/25 19:55 ID:F4A0w5YM
マジマジとホレ薬を見るヤムチャ。
「ブリーフ博士、これ本当に本物なんですか?飴玉にしか見えません」
「そんなに疑うなら、誰かに使ってみたらどうじゃ?」
ヤムチャは最初にラディッツをチラリと見た。
ラディッツは、先ほどからの話しの流れで、
自分を実験台にしようとしてるなと気付き、首を横に振って駄目ですと言った。
次ぎにヤムチャは、ブリーフを見たが、ホレ薬が偽者だったとしても
演技をして、本物だと思わせるだろうと思い、止めた。
そんなヤムチャの視界に、チチが見えた。
だが、流石に女性を実験台には出来ないと思ったので止めた。

結局、ヤムチャは実験台としてチャオズを選んだ。
チャオズにホレ薬を飴玉だと偽って渡す。
幸い、チャオズは飴玉だと信じてくれたみたいで、笑顔でありがとうと言って来た。
ヤムチャも笑顔で、じゃあなと言って別れると
少し離れて、チャオズの様子を腕を組んで、観察するヤムチャ。
「ヤムチャさん、実験なんて止めませんか。もしあれが本物のホレ薬で、
あのマッチョのハゲ親父のナッパさんを好きになったらどうするんですか?」
ラディッツが指差した方向には、ナッパさんがいた。
「その時は、責任を持って、全力でチャオズを祝福するつもりだ」
ブリーフもヤムチャの意見に、その通りだと言って首を縦に振る。
もはや誰も止められないと悟り、ラディッツは天に祈った。
そうこうしている内に、チャオズがついにヤムチャに貰った、ホレ薬を口に向って投げ入れた。


314 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/25 19:56 ID:F4A0w5YM
しかし、ホレ薬にはちょっとした問題があった、それは味だ。
ホレ薬はとても辛いのであった。
飴玉だと思って口に入れたチャオズは、
自らが予想していた甘味とは違う、辛味が舌に襲いかかってきた。
溜まらず、飴玉を強く吐き出すチャオズ。
吐き出された飴玉は、かろやかに空を舞うと、
チチの持っていたコップに、ポチャンと音を立てて入っていった。。
その様子を、一部始終見ていた、ヤムチャ達。
ちなみに、チャオズはホレ薬を吐き出した後、倒れてしまった。
言うまでもなく、薬のせいだ。

その様子を見ていたヤムチャが、ブリーフに質問する。
「ブリーフ博士、チャオズは一瞬しか口に入れてなかったのに、何故意識を失うのですか」
「ちょっとばかし、効力が強すぎたかのう」
どれぐらい強いんだよおい、とヤムチャが語気を強めて言おうとしたが、
ラディッツもヤムチャと同じ事を考えてらしく、
ラディッツは額に汗をたらしながら、聞いてみた。
「ちなみに、あの薬はどれくらい強いんですか?ブリーフさん」
「うむ。この前試しに、モルモットに使ってみたのじゃが」
そこで右手を口に添えて、言葉を止めるブリーフ。数秒ほど間を作る。
「まあ色々あったんだよ、ラディッツ君」


315 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/25 19:57 ID:F4A0w5YM
何だ、何があったんだと、詰め寄るヤムチャとラディッツ。
その二人をまあ良いじゃないかと言って、答えをはぐらかすブリーフ。
そんなやりとりをしていると、ラディッツがある事を思い出した。
そのホレ薬が、チチの持っているコップに入った事を。
「行けない、ホレ薬がチチさんのコップに入ってたんだ」
そう叫ぶラディッツ、ヤムチャとブリーフもラディッツの言葉を聞いてその事を思い出す。
三人が声を揃えてヤバイと叫ぶ。
「ブリーフ博士、惚れ薬は水に溶けますか?」
「あの程度の大きさなら、2分で全部溶けるよ」
チャオズが吐き出してからそろそろ2分が経とうとしていた。

「どうするんです、ヤムチャさんブリーフさん」
ラディッツはかなり慌てている。弟の嫁なのだからそれもしょうがない。
赤の他人とは違うのだからしょうがない。だがラディッツに少し苦言するヤムチャ。
こういう時こそ、落ち着くべきなのだと、ヤムチャは思っているからだ。
「落ち着いて下さい、ラディッツさん。何もホレ薬だと決まっちゃいない。
いや、俺もチャオズの様子から見て、どっちにしても何か妖しげな薬だとは思うが、
もしかしたら、ただ気絶させるだけなのかも知れないじゃないですか」
これはヤムチャの本心から出た言葉ではない。本物のホレ薬だとはなんとなく解っている。
だがしかし、ヤムチャはホレ薬だとは認めたくない。
ただ気絶する薬だと思いたい。何故なら、ヤムチャの視線の先で
チチがコップに口をつけて、中の水を飲んでいるからだ。


316 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/10/25 19:58 ID:F4A0w5YM
「間に合わなかったか」
ブリーフが呟いた。
チチは、ホレ薬が入った水を飲んでしまった。
ヤムチャの視線の先で、ゆっくりと倒れていくチチ。
まだだ、もしかしたらホレ薬じゃないかも知れないじゃないか。
藁にもすがる思いで、自分に言い聞かせるヤムチャとラディッツ。
数回深呼吸した後、チチの周りに集まるヤムチャ達。
腕を組んでどうするかと悩むヤムチャ達。
ここでヤムチャが閃いた。
「そうだ、起きてすぐにゴクウを見せれば良いんだ。
ゴクウはチチさんの夫だし、もし惚れ薬で好きになったとしても問題は無い」
ヤムチャの意見に、同意するラディッツとブリーフ。

すぐさまゴクウを捜す3人。しかし、幾ら捜してもゴクウは見つからない。
もう時間が無い。ヤムチャとラディッツが慌てふためいていると、ブリーフが閃いた。
「そうだ、目隠しすれば良いんじゃよ。そうすれば、チチさんに事情を説明して
ゴクウ君が来るまで、待っていてもらえば良い」
その意見に同意するヤムチャとラディッツ。すぐに目隠ししようとするが、
目隠しをする為の道具が無い。鉢巻や手ぬぐいを捜すが全く無い。
そこでブリーフが閃いた。そうだ目玉無くせば良いんだ。
そういって、チチに飛びかかるブリーフを二人掛りで組み伏せるヤムチャとラディッツ。
「冗談じゃよ、そんなに怒らないでくれ二人とも」
時間が無いのになにやってんだこの爺、と怒りまくるヤムチャとラディッツ。
だがその時、ついにチチが目を覚ました。
はたして、ブリーフの渡した薬は本物のホレ薬だったのであろうか。

続く


419 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/11/12 23:25 ID:hRgPaNtE
>>前回245

目覚めた後のチチは、目がとろんとして、口は半開き、手を頬にあて
顔色はうっすらと桃色に変わり、ヤムチャ達を見詰めていた。

ラディッツが隣で慌てている中、
ヤムチャは、この事態を冷静に分析していた。
まず、チチは美人だ。結婚したとは言え、まだ20代。
ヤムチャのストライクゾーンには余裕で入る。
と言う事は、もし自分の事を好きになればパラダイスではないのか。

普段の邪悪さを取り戻し始めたヤムチャ。
先ほどまで自分が慌てていた事が馬鹿らしいと言った様子でチチに向って歩き出した。
両手を大きく広げて、さあ来なさいとヤムチャがチチに優しく微笑むと、
チチはゆっくりと立ちあがり、超人的な身体能力で一筋の風と化して
ラディッツを連れ去っていった。そうラディッツを。
ヤムチャが後ろを振り返ると、
チチに首根っこを掴まれて引き摺られているラディッツが見える。

まあ、あの薬が本物だとは判った。
ラディッツの事はまあ置いておこうと、気持ちを切り替えるヤムチャ。
「ブリーフ博士、あの薬くれ」

424 名前:ハンター ◆sXwp.hkc [sage] 投稿日:03/11/12 23:41 ID:hRgPaNtE
ブリーフはすぐにホレ薬を取り出して、ヤムチャの目の前に差し出す。
二人ともラディッツの事は、完璧に忘れ去っていた。
ヤムチャは目を輝かせそれに手を伸ばすと、ブリーフがとっさに手を引いた。
「駄目だよヤムチャ君。これがほしいのならわしの仲間になりなさい」
そもそもブリーフは、ヤムチャを仲間に引き入れる事が目的なのだ。
しかし、ヤムチャはわざわざブリーフに協力するのは面倒くさいと言った様子だ。

と言う事で、ブリーフからホレ薬を強奪する事にしたヤムチャ。
「さあ、ありたっけのホレ薬を出しな」
ドスの効いた声をだして、地に倒れているブリーフからホレ薬を奪うヤムチャ。
戦いはヤムチャの拳一発で決まった。
「ば・・ばかな、わしの戦闘力は4800だぞ」
ブリーフの言葉を聞いたヤムチャは鼻でフンっと軽く笑った。
「俺の戦闘力は48000です」
「ヤムチャ君の戦闘力は1800のはず、何故そんなに」
そこでブリーフは気付いた、ヤムチャの周りからとてつもない量の黒い気が出ていることに。
(黒い…ヤムチャ君)
ヤムチャは少しだけ笑みを浮かべると、そのままどこかへ飛んでいった。
そして、ヤムチャが立ち去った後、
ブリーフも何かに気付いた様子で邪悪な笑みを浮かべていた。

続く



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