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哀・戦士

 第四部

 

418 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/22 21:41 ID:???
<23話>
けもの一匹行く手を通さないほど険しい山岳地帯。その奥地のそれまた奥地・・・
世界最悪の軍隊、レッドリボン軍の総本山が構えている。まるで城のような広大な
敷地の中に、高層ビルや飛行場、牢獄など、さまざまな施設が存在する。
ヤムチャ達はレッドリボン本部上空へと来ていた。巨大な軍隊なら、偵察機の一つや二つ、
上空を飛んでいてもいいものだが、そんなものは存在しない。
よほど、自軍の戦力に自身があるのだろう。ヤムチャ達は急降下し、地上へと降り立つ。
基地までは、あと1キロほどの距離。作戦も糞もない。狙うはDBと桃兄弟。突撃あるのみ。
神様の宮殿での話し合いでそう決まった。
ブルマはヤムチャが置いてきた。さすがに戦闘に連れて行くわけにはいかない。
ヤムチャが怒鳴りつけるとちょっとすねた感じでしかたなく言うことを聞いた。
突撃あるのみとは言ってもできれば事前に気づかれずに基地内に侵入したいもの。
ヤムチャ達は気配を消し、基地に向かって山岳地帯を飛び跳ねていく。基地内にはあっさりと侵入
できた。無理もない。常人には見えないほどの、そして正門にあったセンサーも反応できない
ほどのスピードで基地内に侵入したのだから。当然、基地内ではばったりと兵士に出会うこともある。

 

419 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/22 21:41 ID:???
戦闘開始。銃声が響く。ヤムチャ達、四方に散る。銃声を聞きつけた他の兵士達も続々と登場。
数え切れないほどの兵士達が集まった。四方に分かれたヤムチャ達、それを個々に撃破していく。
兵士達は混乱する。侵入者の姿が見えない。しかし仲間は次々とやられていく。混乱は銃の乱射へと
つながり、あちこちで同士討ちが多発する。数分後、基地侵入の際に現れた兵士達はほぼ全滅。
ヤムチャ達はひとまず集まり、クリリンが持ち歩くドラゴンレーダーでDBの正確な位置を確認する。
基地奥にある巨大なタワー。反応はそのタワーから出ている。「マッスルタワー」・・・
天津飯がそうつぶやく。過去に来たことのある天津飯にはわかっていた。マッスルタワーとは
軍隊の中枢。レッド総帥が常に常駐する場所だ。よってそれ相応の警備がなされている。
中には当時の天津飯では歯がたたないほどの使い手もいた。そしておそらく今は桃兄弟もそこに・・
考える意味もない。ヤムチャ達は数秒間話をした後、タワーの入り口に向かって突撃する。
途中、ムラサキ曹長なる人物が行く手を阻もうとしたが、走りながら天津飯が手刀で蹴散らした。

 

420 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/22 21:42 ID:???
タワー侵入に成功したヤムチャ達。敷地内に入った瞬間、刺客たちが一気に襲い掛かってくる。
ホワイト大佐、シルバー大佐と色に関係する名前を持つ男達。だがヤムチャ達は問題なく撃破。
タワー上へと上っていく。DBの正確な位置はタワーの上の方だとわかった。
階段を上がるのが面倒になってきた一行は天井をぶち破り、上へと突き進む。
怪獣ブヨンを倒し、メタリック軍曹をバラバラに破壊したヤムチャ達。反応はまだ上・・・
さらに天井をぶち破る。続けること数分後、最上階へと到達。レーダーの反応もDBの最上階での
存在をしめす。と、同時にヤムチャ達はこのフロアを包む、恐ろしいほどの殺気を感じる。
奴らがいる・・・間違いなく。殺気の位置は目の前の部屋。鋼鉄で出来ていた部屋のドアを
ぶち破り、ヤムチャ達は内部へと侵入する。
中にはさまざまな装飾品や高級な家具が並んでいる。檻があり、その中には大きな虎が。
ペットとして飼われているようだ。正に世界最悪の軍隊の長の部屋。ヤムチャ達は窓際で
怯えているレッド総帥を見ながらそう思った。
「生きていたとはな、天津飯、餃子。で、何しに来たのだ?まさかまた私の元で学びたいと
いうのではあるまいな?」
ソファーに座っている男。桃白白。自軍の基地をここまで突破されたのにまったく同じない
世界一の殺し屋。横からは鶴仙人。天津飯と餃子にとって、2人共親同然の存在だ。
「レッド総帥、下がっててください。あんたがいると邪魔だ」
「わ・・・わかった・・・・!!その代わり、必ずこいつらを始末しろ!!かっ・金はいくらでも
払う!!いいな!!絶対だぞ!!」
そう言うとレッドは部屋の中にあるシェルターに入っていった。
両雄が対峙する。桃白白は鶴仙人にサポートを頼み、前で乗り出してくる。構えをとるヤムチャ達。
クリリンが両手を前に突き出し、気功波を発射する。と、同時に散るヤムチャ達。
気功波のスピードは劣悪で桃は軽々回避する。と、クリリン。「ばっ」と叫び、両手を下へ
振り下ろす。気功波は2つに拡散し、鶴、桃、それぞれの元へ。ふいをつかれた2人。
鶴仙人はその直撃を受けて倒れ、桃白白はなんとか回避するも体制をくずす。

 

421 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/22 21:42 ID:???

そこへいっせいに襲い掛かるヤムチャ達3人。体制の立て直しの遅れた桃に攻撃がヒットする。
衝撃で吹き飛ばされるもくるっと一回転。壁を蹴った反動を利用して向かってくるヤムチャ達を
迎撃する。餃子、手刀によって一撃で離脱。ヤムチャ、餃子を助けに入った天津飯の代わりに
桃と一人で戦う。一進一退の攻防。どちらも引かない。クリリンも援護に入るタイミングを
つかめない。
桃はヤムチャの実力を高くかったのか、とっさに上着を脱ぎ、今まで異常のスムーズな
動きを見せる。
「狼牙風風拳!!」
ヤムチャの狼の牙、発動。20倍重力での修行によりスピードの増した牙が桃に噛み付く。
桃はそれをさばき続ける。一瞬のスキをついて、桃の反撃開始。ヤムチャの身体の急所に的確に
打撃を与えていく。足、腕の関節、みぞおち、肝臓。ヤムチャは一撃一撃浴びる度に
内部から身体をえぐられているような痛みを感じる。これが、殺し屋の拳。パワーはそれほどでは
ない。しかし、人体の急所を知り尽くし、それに対しての的確でキレのある打撃技。
まさに、人を殺すためだけの殺人兵器。ヤムチャはいったん引き、その場をクリリンに預ける。
「餃子は大丈夫か?天津飯」
「ああ、問題ない。気を失っているがな・・・・・」
「奴は強い。サイヤ人達のような、威圧感はないが、身体を貫かれるような鋭い攻撃をしてくる」
クリリンもヤムチャ同様、いい勝負をしているが、押され気味だ。あの3日間の修行で、少しは
強くなったはず。だから桃白白ともほぼ互角の勝負が出来ている。だが経験や反応速度、判断力
等で、まだ一歩自分達より上。だったら自分達も奴より勝っている、または互角の点でのみ勝負を
すればいい。ヤムチャは腰にこさえた鞘から青龍刀を抜刀し、両手持ちする。
「クリリン、離れろ!」
クリリンに代わり、ふたたびヤムチャが桃の相手を。両手持ちの青龍刀を振り下ろし、
桃白白の腕に傷を与える。もう一撃。桃は手刀によって青龍刀を破壊しようとするも逆に手を
傷つける。ヤムチャの気によって強化された青龍刀。そう簡単に敗れる代物ではなかった。

 

422 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/22 21:44 ID:???
ヤムチャは青龍刀を振り回す。剣術の経験はゼロ。よって踏み込みも斬撃もデタラメ。
青龍刀をただ振り舞わすのみ。剣術とは言えない。だがそれを受ける桃白白にとっては
かなりの重みのようだ。白羽どりをする桃の力を上回り、青龍刀が桃の腹部に傷をつける。
ヤムチャ、この刀、意外といけるじゃん と予想外の戦果に驚く。この戦いが終ったら、
青龍刀を使って、新しい必殺技を・・・と約3秒ほど戦いを忘れる。気がつけば桃は後ろ。
必殺技、どどん波を放ってくる。ヤムチャ、かろうじて回避。だがどどん波は今度は右から
襲ってくる。避けたはずなのに・・・第2撃も回避。すると第3、第4撃。次々と様々な方向から
どどん波が飛んでくる。何かおかしい・・・と思った矢先、ヤムチャはどどん波の直撃を腹部に
受けてしまう。うずくまるヤムチャに追いかかるように東西南北、全方向からどどん波が。
「ヤムチャ、上だー!!!」
天津飯が叫ぶ。とっさに反応し、上へと逃れるヤムチャ。下でどどん波同士がぶつかりあい爆発が
起こる。下を見るヤムチャ。桃白白が自分のほうを見ている。狙われている。
離脱しなければ・・・いや、それよりも・・・桃白白が・・・4人!?4人いる・・・・・

「そういえば、あなたの技でしたね・・・四身の拳は・・・」
「ふふふ、やっとお前の登場か・・・それにしてもこいつの健闘はすばらしかったぞ。
いつの間にこんなに力をつけたのだ?」
「俺も・・半年前とは違いますよ・・・あなたを倒すために・・修行しましたから・・」
「ほう・・・それは楽しみだ」
桃白白と天津飯が対峙する。その脇には焼け焦げて倒れているヤムチャ。上空へ逃れたヤムチャ
だったが逆にそれを狙い撃ちされた。4人分の怪光線を受け、もはや身動きできない。
残るは天津飯とクリリンのみ。だが天津飯はクリリンに手を出すな、と小声で伝える。
天津飯も四身の拳を発動。四身の拳は1人の気を4等分する技。よって前にいる桃白白一人一人の
力はたいしたことない。だが相手は桃白白。そう簡単に勝たせてはもらえない。4対1よりも
4対4。どちらがいいかはわからない。だが同じ四身の拳同士。天津飯は師匠の技に挑戦して
みたくなった。天津飯はあえて、4対4を選ぶ。<つづく>

 

678 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/24 20:12 ID:???
<24話>
天津飯は思う。まさか、師匠とこんな形で戦うことになろうとは。
かつてはその生き方に憧れ、師事していた男。この人のようになりたい。そう思っていた。
だが今の自分は違う。仲間達と、互いを高めあい地球を脅かす者達と戦う。
立ちはだかる壁はすべてぶち壊す。かつての師とて例外ではない。むしろ、師との決別を
望んでいる。向こうも同じ・・・敵としていや、商売敵と言ったほうがいいだろうか。
4人になった桃白白が天津飯の身体をじいっと観察する。まるで、どこを叩けば人体が壊れるか
を選別しているかのように。
「さあ来い 天津飯」
戦闘開始。4人の天津飯はまっすぐに突撃。桃の目前で四方に分散する。4人の桃もまずは
小手調べと言った表情。桃を中心に分散している天津飯達に対して、軽くどどん波を放つ。
ヤムチャの時と同様、関節、みぞおち、リバーと人体急所への的確な攻撃。威力こそないものの
天達の体力をじわじわとうばっていく。殺し屋桃白白の戦法とは違う・・・そしてヤムチャに
対しての攻撃とも違う・・・遊んでいる。わざと威力を抑えて。自分との差はまだこれほどある。
それをこの攻撃で示しているとでもいうのか・・・。まだ、師匠面をしているつもりなのか・・!
どどん波の攻撃はやまない。天達は一歩引いて標準を狂わせようとする。待ってましたと
桃達が構えをとる。戦いにおいての引き際の誤り。桃は見逃さない。だが天津飯達も
その動きを見逃さなかった。4人は両手を三角の形にし、気を放出する。四身の拳・気功砲。
一瞬の間にまばゆい光が放たれ爆音がこだまする。衝撃波で、マッスルタワー最上階の外壁は
すべて吹き飛んだ。クリリンは倒れているヤムチャを座らせその身をかばう。
天津飯達はまっしろな煙にまかれていて姿は見えない。だがその煙の中ですでに2人の勝負は
決していた。
「まさか気功砲とはな・・・・・」
と驚く桃。気功砲発動の瞬間、桃はとっさに4人の身体を1人に戻し、スピードのアップをはかる。
それまで4人に狙いを定めていた気功砲の標準もずれるし一人がやられてしまうと桃本体にとって
大きな痛手となってしまうからだ。

 

679 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/24 20:12 ID:???
だがその決断が彼の誤算だった。「お前ごときが気功砲など・・・」と上の立場から傲慢な発言
をしている隙。2人の天津飯が桃の身体を押さえつける。一瞬の油断。殺し屋として、一生の不覚。
天津飯の実力を甘く見ていた証拠だ。だが桃は余裕の表情。気功砲という技は諸刃の剣。
放った本人の命も脅かすほどの技。連射など出来ないはず。それは教えた自分自身がよく知っている。
それが2個目の誤算。天津飯の気功砲は、従来の、桃の教えた気功砲ではない。彼独自に
編み出した気功砲。連射しても身体に負担がかからず、かつ威力をアップさせる。
天津飯のオリジナル気功砲。10メートルほど前で再び気功砲の構えを取っている天津飯を見て
桃は焦りだす。発射まで約5秒か・・・十分な時間。焦っているとはいえ、世界一の殺し屋。
状況判断力はすさまじい。とっさに腕等の関節をはずし、2人の天津飯の呪縛から逃れる。
あと3秒。かわせる。と思った桃に第3の誤算。いや、予想外の出来事が襲い掛かる。
突然、背中に衝撃が走る。何か、当たった?体制を崩す桃。とっさに後ろを振り返り、背中への
攻撃の主を探してしまう。目線の先にはパンツァーファストを構えたヤムチャが。
彼はパンツァーファストをホイホイカプセルにしのばせ、いざという際に使用可能にしていた。
(馬鹿な・・・あいつはもはや手も足も動かせない状態だったはず・・・)
桃は思う。
「ふっ・・・手や足が出なくとも、パンツァーファストは(ry 」
「新・気功砲!!」

マッスルタワーの最上階。高層建築物の上あって、風はすさまじく、爆煙はすぐに晴れた。
中には4人から1人に戻った天津飯と黒こげになった桃白白。勝者は誰が見ても明白。天津飯
は闇の師匠に打ち勝った。クリリンが天津飯の下へと寄り添う。新気功砲を使った際、2人の
分身も同時に巻き込んでしまった。桃白白を押さえていた2人だ。そのため、天の生命力は
通常状態の半分しか残ってなかった。気功砲を使った分消耗はもっと激しいだろう。
天津飯はヤムチャに礼を言う。最後のあの一撃、あれがなければ勝てなかった・・と。

 

680 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/24 20:13 ID:???
ダメージの大きいヤムチャ、餃子の2人。だがなんとか立ち上がり歩くことは出来た。
そういえば鶴仙人がいない。クリリンの拡散エネルギー波の直撃を受け、倒れていたはずだが。
ふと見ると桃白白も消えている。おそらく鶴仙人が抱えて行ったのだろう。生死は確認できなかった。
だがおそらく生きている。いや、生きていたとしてももうまともな人間としての生活はできない
だろう。天津飯の完全勝利。仲間達はとりあえず、全員の無事を喜ぶ。そしてもう一つの目的。
DBレーダーを取り出し、DBの位置を確認する。反応が2つある。さっきまでタワー最上階に
あった反応がずいぶん離れた場所に。レッド総帥が飛行機か何かで脱出し、その際に持ち出したの
だろうか。どちらにしろたいしたことのない距離。一行はマッスルタワーを後にし、レッド総帥を
追う。飛行を開始してから数分後、前方にレッドリボンの航空機を発見。内部に侵入しようと
接近する。だが、発見と同時に、こちらに近づいてくる複数の巨大な気の存在に気づく。
すさまじいスピード。そして間違いなくこちらに狙いを定めている。これは・・・この気は・・
サイヤ人。間違いなく。スカウターを使って、ヤムチャ達をわざわざ倒しにやってきたのか。
突然、航空機が爆発する。複数の気功波。ヤムチャ達を狙ってくる。落下していく航空機に
2つの影が侵入する。直後、コクピットからレッド総帥と思われる人物が投げ出された。
「とりあえず、逃げよう!この状況はあまりにも不利だ」
クリリンがそう叫ぶ。地上に向かって、退避を始めるヤムチャ達。航空機からは、さっきの影が
脱出してきた。手に何かを持っている。あれは・・・まさか。クリリンはドラゴンレーダーを
取り出す。反応が二つ、さっきの人影。いや、おそらくサイヤ人。奴らの元から発せられている。
「ま・・・まさか、サイヤ人の奴ら、ドラゴンボールを探す方法を見つけたのか・・・!?」

 

701 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/24 23:34 ID:???
<25話>
ヤムチャ達は、地上に降り立つ。と、同時に近くにあった岩陰に隠れる。
クリリンは検証してみる。現在の自分達の戦力・・・・俺だけ・・・!?
ヤムチャ、満身相違。武器、パンツァーファストだけ。天津飯、桃白白との決戦において
新気功砲連射という荒業を使ったため、残エネルギーはほぼゼロ。さらに自分の分身を気功砲に
巻き込んでしまったため、その分身分の生命エネルギーを消失。現在、起きているのがやっと。
餃子、桃白白の手刀により、ダメージを受ける。だが数分間、気絶しただけで実質たいして
身体にダメージは残っていない。戦士は2人・・・あれこれ考える必要もない・・・
勝てない・・・絶対に。クリリンはDB探しの際、町で出会った女の子の事を思い出した。
俺も・・・あんな子と結婚したかったなぁ・・・。クリリンの目に、熱い物が少し・・・
よしっ!と歯を食いしばり気合を入れるクリリン。うじうじした気持を捨て、サイヤ人へと
特攻するつもりだ。だが当然、「待て」と止めが入る。
「オレ達は今気を消している・・・奴らには気を感じ取る能力がないはずだから、このまま
じっとしていれば見つかることはない・・・」
そうだ。そうだった。天津飯の言葉にクリリンはほっと肩を撫で下ろす。上空にはいつのまにか
6日前に一戦交えた4人のサイヤ人が。上空をうろうろしている。だがクリリンは落ちつきを
取り戻す。見つかるはずはない・・・スカウターは気がゼロの状態の人間を発見することは
できない・・・。だがクリリンは、自分自身がついさっき、もしやと思った事柄について忘れて
いた。ドラゴンボールのことを・・・
「お・・・降りてくるぞ・・・・!!こっちに来る・・・」
ヤムチャがそう叫ぶ。上空の4人はまっすぐに自分達に向かって降りてきた。
クリリンはふと、自分の腰につけてあったウエストポーチを見た。中にはドラゴンボールが5つ。
一気に吹き出る脂汗。クリリンはウエストポーチを股の中に隠し、叫ぶ。
「みんな、逃げろ!!!ドラゴンボールだ!!」

 

702 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/24 23:35 ID:???

だが、もう遅い。逃げ道にはすでに巨体、ナッパの壁が。他のサイヤ人の次々と降りてくる。
「なんだ、お前達だったのか。DBを持っているのはお前達だな?さあ、よこすんだ」
バーダックがそう言う。悟空がいないことには気にもとめずに。そんなことはどうでもいい。
この状況をなんとかしないと・・・クリリンは策を考える。だが、案の定思いつかない。
せめて、自分達の命だけでも・・・そう思ったクリリンは、一つの賭けに出る。
「ドラゴンボールは確かにオレ達が持っている。これを渡せば・・・オレ達を見逃して
くれるか?」
バーダックは少し考える。そしてにやっと笑い、首を立てに振った。
それを見たクリリンはDBの入ったポーチをバーダックへ投げる。中身を確認するバーダック。
心臓の鼓動が恐ろしいほど早い・・・顔からしたたり落ちる汗をクリリンは右手でぬぐう。
バーダックはそんなクリリンを見ながら笑い始めた。
「はっはっは、よくやってくれたよ。お前達。探す手間が省けた。いや、本当に。
オレ達からせめてものお礼だ。お前達仲良く天国を旅行させてやろう・・・」
悪人の典型的なパターン。クリリンは思う。俺の考えは甘かったー!!!と。
気がつけば、餃子はすでにナッパに首の付け根をつかまれて気絶していた。残るは俺だけ・・・
ヤムチャは気を疲れきったのか、ピクリとも動かない。餃子の様を見た天津飯も、今度は怒りを
発揮する力も残っていない。どうする・・・?どうするって、特攻しかないじゃないか・・・
クリリン、特攻。相手はバーダック。攻撃は通らない。バーダック、くるっと一回転し、
遠心力たっぷりの尻尾の一撃をクリリンにおみまいする。残るはヤムチャと天津飯・・・
ベジータが、俺にもやらせてくれとバーダックにかわってヤムチャの元へ。手刀を構え、
ヤムチャの首筋に当てる。つーっと首筋から垂れる血。クリリンは声にならない言葉を叫ぶ。
やめてくれ・・・・・頼む・・・・・。ベジータの手が振り下ろされる。
「天国へ旅行だと・・・・・?」
ヤムチャの声。ベジータは一瞬ひるむ。するとヤムチャはすっと立ち上がり、サイヤ人達を
にらみ付ける。さっきまで、ダメージによってほとんど身動きできない状態だったのに・・・


703 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/24 23:35 ID:???
ヤムチャはベジータの右手を掴み、にらみ付ける。ものすごい力。右手が、ピクリとも動かせない。
次の瞬間。突然ヤムチャの身体からすさまじい気が発せられた。ものすごいパワー。
バーダック達はスカウターのスイッチを入れ、数値を図ろうとするも、一瞬のうちに
オーバーヒートしてしまう。クリリン達は、何が起こっているのが理解できなかった。
確かにものすごい気・・・しかし、いつものヤムチャの感じとは何かが違う。異常な興奮状態。
そんな感じの気だ。それに20倍の重力室で修行したからといって、こんなに短期間に強くなれない。
ヤムチャさんは、俺にこの力を隠していたのだろうか。クリリンはそう思う。

「テ・・・天国へ旅行させてやるだと・・・・?・・・・・・・・・・・それは・・・・・
俺の・・・・・・・決めゼリフだあああああああああああっ!!!!!」
ヤムチャが絶叫する。え・・・そのことにキレてんの!?クリリンは思う。いや、違う。
そのことはただのきっかけ。ヤムチャさんに、何か、得体のしれないパワーが・・・・・
背後からラディッツ、ナッパが攻撃をしかける。が、一撃。ヤムチャの手刀と蹴りを受け、岩に
叩きつけられる。ベジータ、突撃。これで二度目の対戦。前回は、お互いいい勝負をするも
ベジータが戦いの経験と戦闘力でが上回り、ヤムチャを撃退している。あれから数日しか
経っていない。普通に考えたら結果は同じ。が、ベジータは驚愕する。自分の攻撃がまったく
通用しない。数日前までは圧倒していた男に。逆に押されている。防戦一方になるベジータ。
「ロウガフウフウケン!!!!!」
ベジータ、撃退。狼牙風風拳は少し前とは比べものにならないスピードで、ベジータを打ち抜いた。
形勢、一気に逆転。残るはバーダックのみ。一撃必殺。バーダックはヤムチャに向けて
エネルギー波を放った。すさまじい衝撃。だがヤムチャは同じない。服も、燃えていない。
仁王立ちしたまま、エネルギー波に耐え切った。ダメージはゼロ。バーダックは考える。
こいつは異常だ・・・まともに戦ったら、俺でさえ勝てるかわからない。今はサイヤ人復興のこと
を考えねば・・・。
「ラディッツ、ナッパ、掴め!!!」バーダックは2人に対してそう叫んだ。


704 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/24 23:48 ID:???
するとヤムチャによって倒されていた2人が息を吹き返し、ヤムチャの両足を押さえ込んでくる。
死に底ないの力など・・・そう思ったヤムチャだったが、突然脱力感に襲われ、体制をくずす。
バーダックはチャンスと思ったのかベジータを連れて全速力でその場を離脱した。
ぺたん、と腰をつくヤムチャ。直後、熟睡。クリリンと天津飯は、ひとまず動けない仲間を
かつぎ、神の宮殿へと退却することにした。ラディッツ達も一緒に・・・
ドラゴンボールは奪われた・・・

バーダック達も、宇宙船へと帰還した。出迎えのスラッグが出てくる。
「おお、見つかりましたか!!ドラゴンボール。私の作ったレーダーはうまくいったようですな」
「ああ、礼を言うよ。ところであの妙なアンテナはなんだ?」
バーダックが宇宙船上部にいつの間にか設置されていた奇妙なアンテナを指差して言った。
「え・・・?あ、あああれは前話したナメックの通信システムですよ。今度使い方教えますわ・・」

相変わらずおかしな奴だ。それよりも、ラディッツとナッパがおそらく奴らに捕らえられた。
俺の責任だ。あの地球人ども、絶対に倒す・・・・・しかしヤムチャとかいう男・・・
いつのまにあんな力を・・・以前はたいしたことなかったはずなのに・・・
「バーダックさん、あの地球人、俺に殺らせてくれ。サイヤ人の王子があんなにコケにされたんだ
黙ってられん」
「ああ、まずはあの地球人どもを倒し、ラディッツ達を取り戻す。DBの使い方はスラッグが
調べてくれる。オレ達は、気にしなくていい」

バーダック達は気づいていなかった。そしてヤムチャ達は知らなかった。もう一つ、サイヤ人の
ものとは別の巨大な宇宙船が地球のすぐそばまで来ているということを・・・<つづく>

 

269 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:31 ID:???
<26話>
神の宮殿へと戻ったクリリン達。残り少ない仙豆を全員に食べさせ、ひとまずは落ち着く。
得体のしれない力を突然発揮したヤムチャだったが、そんなことはいざ知らず、普段の口調で
話をする。どうやら自分の身体が急に変化したことに気づいていないようだ。確かに外見上、
そして体をまとう気にも変化はない。レッドリボンに突撃して時のままだ。クリリンはあえて
何も言わなかった。言ってもおそらくわかってもらえないだろう。それよりも奪われたDBを
取り戻さなければ。ラディッツとナッパ。2人は天津飯の超能力によって体の自由を奪ってある。
「おい、お前達の宇宙船、どこにあるんだ?」
クリリンは2人に尋ねる。が、反応はない。さすがに一流の戦士。仲間の情報を漏らすようなことは
出来ないのだろう。よく教育されている。
「別にさ、奴らの気を探ればいいだけじゃん。あいつら、気をゼロにはコントロールできない
ようだし。今もずっと遠くの方にでかい気が感じられるぜ」
ヤムチャがそう言う。確かに感じる。だがクリリンや天津飯には、かすかにしか感じられない。
ヤムチャの言うように、でかい気は感じられない。ヤムチャの感覚が急に優れるようになったのか。
とにもかくにも、DBを奪還しなくては。ヤムチャ達は作戦を考える。相手は2人。ベジータの
方はヤムチャがなんとかすると自分で名乗りだした。一度戦った相手だし、20倍の重力を克服
して、俺も少しは強くなったからな、とヤムチャ。本当はさっきまで二度目の戦闘をしていた
のだが・・・やはり、あのときのことは覚えていないようだ。もう一人のサイヤ人。バーダックに
対しては対抗策がない。あの強さ、圧倒的。先ほどはヤムチャの力によって難を逃れたものの
まともに戦っていたら確実に全員殺されていただろう。自分達の力では・・・
かくなるうえは、とクリリンが皆にある作戦の提案をする。それはラディッツとナッパの身柄が
こちらの手の内にあるからこそできる作戦。が、その作戦の内容を聞いた皆は素直に首を
縦に振らない。いや、振りたくないと思った。すべては悟空を生き返らせ、地球を救うため。
クリリンは不本意ながらも最も確実と思われる作戦を提案し、皆もしぶしぶ同意する。

 

270 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:32 ID:???
その後、休息を取ることにした一行。仙豆を食べたからといってまる一日戦いっぱなしだ。
精神的な疲れもたまっている。ラディッツとナッパも丁重に扱うことにした。
食事も同じように与える。ラディッツがヤムチャに問う。カカロットはどうなった・・?と。
「ああ、お前の親父の攻撃で死んじゃったよ。だからDBで生き返らせようとしてんだ」
「し・・・死んだか・・・そ、そうか]
とたんに神妙な表情に変わるラディッツ。ヤムチャは特に気にする事もなく、その場を後にする。
奪還作戦は明日。身体を休めねば・・・
翌日・・・
サイヤ人の宇宙船・・・スラッグがDBを並べ、バーダック、ベジータはそれを見つめる。
DBを使用するときが来た。願い事はサイヤ一族の復活。全サイヤ人が復活した後は地球を
第2の惑星ベジータとし、フリーザ一味打倒のため戦力を整える。これで、全てがうまくいく。
バーダックはそう思う。長く、つらい日々。それも今日で終る。ラディッツとナッパにも
この瞬間を見せたかったが・・・仕方ない。
「スラッグよ、さあやってくれ」
スラッグが並べたDBに向かって両手を掲げる。
「タッカラプト・・・ポッポルンガ・・・プピリット・・・パロ!!!」
願いをかなえてくれる神龍を呼び出すための合言葉。・・・が、何も反応なし。DBはただ美しく
光っているだけ。バーダックはスラッグを睨みつけて問いかける。
「ど・・・どういうことだ?スラッグよ」
「あ、あれ?お、お、おかしいな・・・いや、私の星のDBはこれでいいはずなんですけどね」
慌てふためくスラッグ。顔には汗がびっしょりだ。バーダックの長年の悲願達成ならず。イライラ
しているバーダックとは対照的にベジータは冷静だった。そして気づいていた。スラッグの行動。
何か、隠している・・元々地球のDBの合言葉など知らなかったのではないか・・ということを。
バーダックはスラッグに対して再びDBの合言葉をさぐるように命じる。「へい」と
ぶっきらぼうに答えるスラッグ。と、同時にスカウターに反応が。ヤムチャ達だ。

 


271 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:33 ID:???
上空から颯爽と現れるヤムチャ達。メンバーはヤムチャ、クリリン、餃子の3人。
天津飯はラディッツとナッパに超能力をかけたまま、約一キロ程後方で待機していた。
ヤムチャ達は目の前できれいに光る7個のDBを見つける。あれさえ戻れば地球の運命は
変わる。奪還作戦発動。クリリンがバーダックに対して叫ぶ。が、その前にヤムチャが
ベジータに対して挑発的な気を発する。元々ヤムチャとの再戦を望んでいたベジータ。案の定
誘いに乗る。2人の戦闘開始。ヤムチャはDBのある場所からベジータを引き離す。
「おい、お前の息子と仲間、オレ達が預かってる。今、俺の仲間と一緒にいる。
DBを素直にオレ達に渡してくれれば2人は返す。だがここでオレ達に対して攻撃を
仕掛ければ、オレの仲間が2人を殺す。ここの状況は仲間につながっているからな・・」
クリリンはバーダックに対して脅迫をかける。クリリンの作戦。ラディッツとナッパを人質と
して利用する。一人はバーダックの息子。「殺す」と脅しをかければ少しは動揺するはず。
もちろん、クリリン達はラディッツたちを殺さない。地球の敵とはいえ、無抵抗の人間を平然
と殺せる程、冷酷にはなれない。バーダックがこの脅しに乗らなければ作戦はすべて失敗。
バーダックは自分の子の犠牲も目的のためなら問わない真の戦士ということになるが
クリリン達は恐らく全滅。DBも手にはいらず地球は壊滅・・・この作戦はクリリンの賭け。
イマイチ皆の役に立っていないと自覚していたクリリンの一世一代の大博打。
皆が同意したのも、方法が浮かばなかったため。後はバーダックに親としての感情があると
信じるのみ・・・クリリンの陽に当たってまぶしく光る坊主頭に脂汗がにじみ出る。
バーダックはしばらく黙って考え込む。ヤムチャとベジータは戦いに熱中しすぎてしまったのか
遥か遠くまで行ってしまい姿が見えない。約10分後・・・バーダックは黙ってそばにあった
DBをクリリンに投げる。バーダックはクリリンの脅しがハッタリであることを見抜けなかった。
地球人の事は知り尽くしたつもりだった。こんな奴がいるとは・・バーダックは「くそおおお」
と絶叫し気を開放する。

 

272 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:34 ID:???
すさまじい戦闘力。クリリン達は、その姿に恐怖感を覚えその場を
急ぎ脱出する。数分後、バーダックはスカウターを使ってラディッツ達の居場所を突き止めた。
天津飯はすでにいなかった。超能力はバーダックがその場に到着してまもなく解けた
無事な姿の2人を見るバーダック。何も言わない。ラディッツ、状況を確認する。
「親父・・いや、隊長。DBはどうなりましたか?」
「・・・・・DBは奴らに奪われた。これから、すぐにでも奪い返しに行くぞ」
「なぜ・・・隊長程の男が、地球人などに・・・・」
「ふ・・・オレも、どうやら人の親だったようだ・・・」
クリリンの作戦、成功。DBは再びヤムチャ達の元へ。天津飯と合流してサイヤ人達から
なるべく距離をあけるべく移動中のクリリン達の元へヤムチャも合流する。途中、追ってきた
ベジータだったがヤムチャが放出した複数の操気弾によって迎撃され、地上へと落下する。
後は、急いでDBを使用するのみ。適当な場所を選んで着地する。DBは地面へ並べられ、
美しい光を放つ。サイヤ人との距離は十分。問題ない。
「いでよ神龍。そして願いをかなえたまえ!!」
ブルマから聞いたDBの合言葉をヤムチャが叫ぶ。あたりは暗闇に包まれまばゆい光とともに
巨大な龍が現れる。これが神龍。神龍は言う。一つだけ願いをかなえてやろう・・・と。
願いの内容は一つ。孫悟空を生き返らせてくれ!ヤムチャは神龍に言う。たやすい御用だ・・・
神龍の目が光る。これでかなったのか?とあっけにとられるヤムチャ達。が神龍は願いは
かなえた・・・と言い消滅する。ともあれ悟空が生き返ったなら自分達の元へ合流するはず。
一行はとりあえずは安堵の表情を浮かべる。

あの世・・・
界王様の元で修行をしていた孫悟空。一週間という短期間だったが極意、界王拳の2倍までを
習得。ほぼ同時に悟空の頭の上にあるワッカが消滅する。これは、生き返った証。界王様は
急いで仲間の下へと行けと告げる。ボロボロになった服を界王様に新調してもらい、悟空は
地上へと帰還を始める。今まで以上の戦乱が待ち受けているとはしらずに・・・


273 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:34 ID:???
界王は惜しい奴を返しちまったな〜と愚痴る。一週間で界王拳を2倍まで極めるほどの
達人、孫悟空。あと3ヶ月あれば、元気玉の習得を可能だったのに・・・そしてギャグの修行も
出来たのに・・・「ちぇ」と舌打ちを続ける界王の元へ突然、2人組みの使者が現れる。

「彼が、地球からここに来たサイヤ人。わずか一週間で北の銀河1の使い手となるほどの
実力を持った男、孫悟空ですか?北の界王よ」
「へ・・・?あ・・あ・・・・あなた様は・・・・・・!!」
「なるほど、いい魂を持っているようですね・・・」
「な、な、なぜあなたがこのような所へ・・・・!?」
「それだけに残念です・・彼、孫悟空が地球に帰ったとしても待っているのはこれまで以上に
つらい現実・・・できればここで修行を続けているほうが良かったのかもしれません・・・」
「・・・・・」
「キビト、私達もそろそろ地球行きの準備をいたしましょうか?事は予想よりも速く
動いているようです・・・」<つづく

 

269 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:31 ID:???
<26話>
神の宮殿へと戻ったクリリン達。残り少ない仙豆を全員に食べさせ、ひとまずは落ち着く。
得体のしれない力を突然発揮したヤムチャだったが、そんなことはいざ知らず、普段の口調で
話をする。どうやら自分の身体が急に変化したことに気づいていないようだ。確かに外見上、
そして体をまとう気にも変化はない。レッドリボンに突撃して時のままだ。クリリンはあえて
何も言わなかった。言ってもおそらくわかってもらえないだろう。それよりも奪われたDBを
取り戻さなければ。ラディッツとナッパ。2人は天津飯の超能力によって体の自由を奪ってある。
「おい、お前達の宇宙船、どこにあるんだ?」
クリリンは2人に尋ねる。が、反応はない。さすがに一流の戦士。仲間の情報を漏らすようなことは
出来ないのだろう。よく教育されている。
「別にさ、奴らの気を探ればいいだけじゃん。あいつら、気をゼロにはコントロールできない
ようだし。今もずっと遠くの方にでかい気が感じられるぜ」
ヤムチャがそう言う。確かに感じる。だがクリリンや天津飯には、かすかにしか感じられない。
ヤムチャの言うように、でかい気は感じられない。ヤムチャの感覚が急に優れるようになったのか。
とにもかくにも、DBを奪還しなくては。ヤムチャ達は作戦を考える。相手は2人。ベジータの
方はヤムチャがなんとかすると自分で名乗りだした。一度戦った相手だし、20倍の重力を克服
して、俺も少しは強くなったからな、とヤムチャ。本当はさっきまで二度目の戦闘をしていた
のだが・・・やはり、あのときのことは覚えていないようだ。もう一人のサイヤ人。バーダックに
対しては対抗策がない。あの強さ、圧倒的。先ほどはヤムチャの力によって難を逃れたものの
まともに戦っていたら確実に全員殺されていただろう。自分達の力では・・・
かくなるうえは、とクリリンが皆にある作戦の提案をする。それはラディッツとナッパの身柄が
こちらの手の内にあるからこそできる作戦。が、その作戦の内容を聞いた皆は素直に首を
縦に振らない。いや、振りたくないと思った。すべては悟空を生き返らせ、地球を救うため。
クリリンは不本意ながらも最も確実と思われる作戦を提案し、皆もしぶしぶ同意する。

 

270 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:32 ID:???
その後、休息を取ることにした一行。仙豆を食べたからといってまる一日戦いっぱなしだ。
精神的な疲れもたまっている。ラディッツとナッパも丁重に扱うことにした。
食事も同じように与える。ラディッツがヤムチャに問う。カカロットはどうなった・・?と。
「ああ、お前の親父の攻撃で死んじゃったよ。だからDBで生き返らせようとしてんだ」
「し・・・死んだか・・・そ、そうか]
とたんに神妙な表情に変わるラディッツ。ヤムチャは特に気にする事もなく、その場を後にする。
奪還作戦は明日。身体を休めねば・・・
翌日・・・
サイヤ人の宇宙船・・・スラッグがDBを並べ、バーダック、ベジータはそれを見つめる。
DBを使用するときが来た。願い事はサイヤ一族の復活。全サイヤ人が復活した後は地球を
第2の惑星ベジータとし、フリーザ一味打倒のため戦力を整える。これで、全てがうまくいく。
バーダックはそう思う。長く、つらい日々。それも今日で終る。ラディッツとナッパにも
この瞬間を見せたかったが・・・仕方ない。
「スラッグよ、さあやってくれ」
スラッグが並べたDBに向かって両手を掲げる。
「タッカラプト・・・ポッポルンガ・・・プピリット・・・パロ!!!」
願いをかなえてくれる神龍を呼び出すための合言葉。・・・が、何も反応なし。DBはただ美しく
光っているだけ。バーダックはスラッグを睨みつけて問いかける。
「ど・・・どういうことだ?スラッグよ」
「あ、あれ?お、お、おかしいな・・・いや、私の星のDBはこれでいいはずなんですけどね」
慌てふためくスラッグ。顔には汗がびっしょりだ。バーダックの長年の悲願達成ならず。イライラ
しているバーダックとは対照的にベジータは冷静だった。そして気づいていた。スラッグの行動。
何か、隠している・・元々地球のDBの合言葉など知らなかったのではないか・・ということを。
バーダックはスラッグに対して再びDBの合言葉をさぐるように命じる。「へい」と
ぶっきらぼうに答えるスラッグ。と、同時にスカウターに反応が。ヤムチャ達だ。

 


271 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:33 ID:???
上空から颯爽と現れるヤムチャ達。メンバーはヤムチャ、クリリン、餃子の3人。
天津飯はラディッツとナッパに超能力をかけたまま、約一キロ程後方で待機していた。
ヤムチャ達は目の前できれいに光る7個のDBを見つける。あれさえ戻れば地球の運命は
変わる。奪還作戦発動。クリリンがバーダックに対して叫ぶ。が、その前にヤムチャが
ベジータに対して挑発的な気を発する。元々ヤムチャとの再戦を望んでいたベジータ。案の定
誘いに乗る。2人の戦闘開始。ヤムチャはDBのある場所からベジータを引き離す。
「おい、お前の息子と仲間、オレ達が預かってる。今、俺の仲間と一緒にいる。
DBを素直にオレ達に渡してくれれば2人は返す。だがここでオレ達に対して攻撃を
仕掛ければ、オレの仲間が2人を殺す。ここの状況は仲間につながっているからな・・」
クリリンはバーダックに対して脅迫をかける。クリリンの作戦。ラディッツとナッパを人質と
して利用する。一人はバーダックの息子。「殺す」と脅しをかければ少しは動揺するはず。
もちろん、クリリン達はラディッツたちを殺さない。地球の敵とはいえ、無抵抗の人間を平然
と殺せる程、冷酷にはなれない。バーダックがこの脅しに乗らなければ作戦はすべて失敗。
バーダックは自分の子の犠牲も目的のためなら問わない真の戦士ということになるが
クリリン達は恐らく全滅。DBも手にはいらず地球は壊滅・・・この作戦はクリリンの賭け。
イマイチ皆の役に立っていないと自覚していたクリリンの一世一代の大博打。
皆が同意したのも、方法が浮かばなかったため。後はバーダックに親としての感情があると
信じるのみ・・・クリリンの陽に当たってまぶしく光る坊主頭に脂汗がにじみ出る。
バーダックはしばらく黙って考え込む。ヤムチャとベジータは戦いに熱中しすぎてしまったのか
遥か遠くまで行ってしまい姿が見えない。約10分後・・・バーダックは黙ってそばにあった
DBをクリリンに投げる。バーダックはクリリンの脅しがハッタリであることを見抜けなかった。
地球人の事は知り尽くしたつもりだった。こんな奴がいるとは・・バーダックは「くそおおお」
と絶叫し気を開放する。

 

272 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:34 ID:???
すさまじい戦闘力。クリリン達は、その姿に恐怖感を覚えその場を
急ぎ脱出する。数分後、バーダックはスカウターを使ってラディッツ達の居場所を突き止めた。
天津飯はすでにいなかった。超能力はバーダックがその場に到着してまもなく解けた
無事な姿の2人を見るバーダック。何も言わない。ラディッツ、状況を確認する。
「親父・・いや、隊長。DBはどうなりましたか?」
「・・・・・DBは奴らに奪われた。これから、すぐにでも奪い返しに行くぞ」
「なぜ・・・隊長程の男が、地球人などに・・・・」
「ふ・・・オレも、どうやら人の親だったようだ・・・」
クリリンの作戦、成功。DBは再びヤムチャ達の元へ。天津飯と合流してサイヤ人達から
なるべく距離をあけるべく移動中のクリリン達の元へヤムチャも合流する。途中、追ってきた
ベジータだったがヤムチャが放出した複数の操気弾によって迎撃され、地上へと落下する。
後は、急いでDBを使用するのみ。適当な場所を選んで着地する。DBは地面へ並べられ、
美しい光を放つ。サイヤ人との距離は十分。問題ない。
「いでよ神龍。そして願いをかなえたまえ!!」
ブルマから聞いたDBの合言葉をヤムチャが叫ぶ。あたりは暗闇に包まれまばゆい光とともに
巨大な龍が現れる。これが神龍。神龍は言う。一つだけ願いをかなえてやろう・・・と。
願いの内容は一つ。孫悟空を生き返らせてくれ!ヤムチャは神龍に言う。たやすい御用だ・・・
神龍の目が光る。これでかなったのか?とあっけにとられるヤムチャ達。が神龍は願いは
かなえた・・・と言い消滅する。ともあれ悟空が生き返ったなら自分達の元へ合流するはず。
一行はとりあえずは安堵の表情を浮かべる。

あの世・・・
界王様の元で修行をしていた孫悟空。一週間という短期間だったが極意、界王拳の2倍までを
習得。ほぼ同時に悟空の頭の上にあるワッカが消滅する。これは、生き返った証。界王様は
急いで仲間の下へと行けと告げる。ボロボロになった服を界王様に新調してもらい、悟空は
地上へと帰還を始める。今まで以上の戦乱が待ち受けているとはしらずに・・・

 

273 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/28 21:34 ID:???
界王は惜しい奴を返しちまったな〜と愚痴る。一週間で界王拳を2倍まで極めるほどの
達人、孫悟空。あと3ヶ月あれば、元気玉の習得を可能だったのに・・・そしてギャグの修行も
出来たのに・・・「ちぇ」と舌打ちを続ける界王の元へ突然、2人組みの使者が現れる。

「彼が、地球からここに来たサイヤ人。わずか一週間で北の銀河1の使い手となるほどの
実力を持った男、孫悟空ですか?北の界王よ」
「へ・・・?あ・・あ・・・・あなた様は・・・・・・!!」
「なるほど、いい魂を持っているようですね・・・」
「な、な、なぜあなたがこのような所へ・・・・!?」
「それだけに残念です・・彼、孫悟空が地球に帰ったとしても待っているのはこれまで以上に
つらい現実・・・できればここで修行を続けているほうが良かったのかもしれません・・・」
「・・・・・」
「キビト、私達もそろそろ地球行きの準備をいたしましょうか?事は予想よりも速く
動いているようです・・・」<つづく

 

537 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/30 23:35 ID:???
<27話>
孫悟空は蘇った。そして、皆の待つ、地上へと急ぐ。
神様は悟空復活の知らせを、界王様から聞き、あの世の門番、閻魔大王の下へと向かう。
すでに悟空は到着ずみ。再開した悟空の身体から神様は、死の前とは比べ物にならない
程の力を感じる。強くなった・・・きっと、悟空は今まで以上に地球の力となる。
地球へと帰還した2人。さっそく飛び立とうとする悟空を、神様は見送る。
ヤムチャ達の気に、4つの大きなパワーが向かっている。急がなければ・・・

孫悟空を蘇らせることに成功したヤムチャ達。ほっとしたのもつかの間。
DBを奪われたバーダック達が、スカウターでヤムチャ達の居場所を突き止め、向かってくる。
ものすごいスピード。逃げても追いつかれる。
「ここでやっちまおう。悟空も生き返った。きっと援護に来てくれるはずだ」
そう言い、気合を入れるヤムチャに続き、クリリン達も戦闘態勢に入る。
それに呼応するように、現れるバーダック達。これまでに無いほどの殺気を感じる。
無理もない。ヤムチャ達は、彼らに対して最も逆鱗に触れることをしたのだから。
「DBはどうした?」
バーダックが問う。言い訳をしても仕方ない。クリリン、正直にもう使ったと言う。
「・・・・・そうか。使ってしまったか・・・。それは残念だ。くくく・・・」
バーダックは、感情を押し殺したような声を出す。とてつもない、怒りの感情を・・・
両者はその後、特に会話を交わすこともなく、戦闘開始。
ヤムチャ達を迎えるは、バーダックただ一人のみ。数分後、クリリン、天津飯、餃子の3人は
善戦を見せるも、敗退。残ったヤムチャは、桃白白戦で有効だった、青龍刀を使っての攻撃を
しかける。が、片手1本で防御。刀身を捕まれた青龍刀は、ヤムチャの力ではびくともしない。
ガラアキの腹部に、バーダックの気功波がヒット。ヤムチャ、敗れる。
高笑いをするバーダックの元へ、息子、孫悟空登場。親子対決は第2ラウンドへ・・・

 

538 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/30 23:36 ID:???
バーダックに敗れ、倒れこむヤムチャ達だったが、救世主の登場には気づいていた。
DBは本物だった。悟空は蘇り、オレ達を援護しに来てくれた・・・。
そして悟空から感じられる底しれぬ力。ヤムチャ達は、それを感じ取り、その場を
悟空にまかせ、安心して身体を休める。
「カカロット・・死んだのではなかったのか?」
父、バーダックは息子に問いかける。
「DBでいきけえったんだ。おめえ達をぶったおすためにな!!」
気合の入った声で答える悟空。もはや、親子などではない。完全な仇同士。
バーダックが悟空を地球に置き去りにしていった時から、この戦いは約束されていたのかも
しれない。バーダックはベジータ達に手を出すな、と言い、悟空との戦いを始める。
今の地球上で、最も強い2人の戦い。2人の気によって、周りには風のフィールドが出来る。
まるで竜巻の中にいるような。戦闘開始から数分間、2人はとめどなく殴りあいを続ける。
息子との殴り合いの中、バーダックは気づく。一週間前とは違う、重い拳を受けながら
息子が、自分を超える程の力を身につけたかもしれないということを。
そして、かすかに、その息子の成長を喜んでいる自分の感情の変化を・・・。
お互い、互角。一歩も引かない。だが、息切れを起こしているバーダックに比べ
悟空には余裕があった。バーダックは、一気に勝負をつけるため、全パワーを開放する。
地球に降り立ってから、初めて見せる本気の力。さすがの悟空も攻撃を防御するので精一杯。
だが、時間が経つにつれて、悟空の体を取り巻く気に、変化が見られる。赤く変色していく気。
その色が深く、より深くなるにつれて、戦局も逆転。
真っ赤に輝く気をまとった悟空は、父の全力の力を押し返し、戦闘不能へと追い込む。
「界王拳・・・・・・」
そうつぶやく悟空。スカウターの数値にベジータは驚く。
「戦闘力・・・5500・・・バカな・・・バーダックさんを、軽く上回るとは・・!?」
横たわる父、バーダックに対して、悟空は言う。地球から出て行け・・・と。

 

539 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/30 23:37 ID:???
「おめえ達は、オラには勝てねえ。悪いことは言わねえ。今すぐ地球から出てけ!」
そのセリフは、悟空の登場によって、両者の立場が完全に逆転したことを意味する。
サイヤ人の中で最も高い戦闘力を誇るバーダック。彼が敗れたとなると、悟空に対抗できる
戦士はいない。だが、サイヤ人の王子、ベジータのプライドはその現状を認めようとしない。
ナッパの制止も聞かず、仁王立ちする悟空に向かって、突撃。だが、あっけなく返り討ち。
ナッパ、ラディッツはただただ呆然とするだけ。それは、ヤムチャ達も同じだった。
底知れぬ悟空の強さ。成すすべもないバーダック達。情けをかけるわけではない。
が、悟空は彼らを殺そうとはしなかった。悟空にとって、一度敗れた相手に、勝利できた
ことで、気が晴れたのかもしれない。とどめを刺そう、と言い張るクリリンだったが
戦意を喪失しているバーダック達を見て、主張を取り下げる。何も言わず、神の宮殿へと
帰還するヤムチャ達。DBも奪われ、裏切り者のカカロットに完全なる敗北・・・
彼らサイヤ人にとって、このうえない屈辱。
だが、彼らに直後降りかかる、災厄に比べたら、とるに足らない出来事だった。
バーダックのスカウターに、宇宙船にいるスラッグから連絡が入る。
その内容とは、彼らが最も恐れていたこと。しかし、確実にありえないと思っていたことだった。
フリーザ一味の宇宙船が、まもなく地球に降下してくる。
こちらのスカウターと、フリーザ一味のコンピュータとのリンクは切断しておいたはず。
それが・・なぜ?だが、それよりも、フリーザ一味は、確実に自分達を狙ってくる。
単独行動をし、あちらとのリンクを切った時点で、反逆罪は必死。殺される。
サイヤ人存続の手段は一つ。自分達の宇宙船に帰り、フリーザ一味とは別軌道にて地球を脱出。
確立は低いが方法はそれしかない。4人は、急ぎ、宇宙船へと戻る。
途中、スカウターにとてつもない戦闘力の反応が・・。フリーザだ。間違いなく。
体からこみ上げる恐怖心を押さえながら、4人は必死に飛ぶ。宇宙船へは数分でつくはず。
が、あるはずの宇宙船はなく、待っていたのは彼らの首を刈るため待機していた死神だった。
「おやおや、みなさん。お揃いで。待っていましたよ・・・」

 


540 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/30 23:38 ID:???
彼らを待っていた死神、フリーザ。その姿を見た途端、4人は硬直し、声も出ない。
確実に殺されるという恐怖心。頭の中はもはやそれしかない。悟空に敗れた記憶など
一気に吹き飛ぶ。
「・・なぜわたしがここにいるんだ?って顔をしてますね。いいでしょう」
そう言うフリーザの横からスラッグがひょこっと現れた。そうか・・・そういうことか・・。
バーダックは一瞬にして、その状況を把握する。
「ナメック星攻略を命じた際、あなた達はDBという物の存在を知った。ここにいる
スラッグさんのおかげでね。そこから、あなた達の単独行動は始まった。
ですが、宇宙の帝王であるわたしを甘く見すぎですよ。あなた達のスカウターとのリンクが
切られたことに気づいた私は、特殊な電波を使ってあなた達の宇宙船へと通信を送った。
それに応答したのが、スラッグさんです。私は彼から、DBというものの存在、地球という
星にもDBがあるかもしれないということ、そしてそれをあなた達が探しに向かっていると
いうことを聞きました」

ベジータは思った。やはり・・・スラッグが黒幕だった。はやめに始末しておくべきだった。
フリーザはうすら笑いを浮かべながら話を続ける。
「そこで私は、あなた方と同じような考えを思いついたのです。DBとやらでわたしに
永遠の命を・・・と。あなた達には、そのために働いてもらおうと思いましてね。
DBを探しだすまで、泳がせておいたというわけですよ・・・。スラッグさんとは、定期的
に連絡を取り合っていましたし・・・」

はめられていた・・・。フリーザに。スラッグに。スラッグが宇宙船内に設置していた
妙な通信装置。あれはすべてフリーザとの連絡用に設置したものだとすれば合点がいく。
スラッグの・・・奴の気さくな性格・・・それに見事にはめられた・・・。
あまりにもお粗末・・・こんなことで、サイヤ人復興の夢が、完全に絶たれるとは・・・!!

 


541 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/30 23:39 ID:???
「へっ・・・長いものには巻かれろってな。まあ、お前らが予想より速くDBを見つけちまう
から、ごまかすのに苦労したぜ・・・」
スラッグがバーダックを見ながらそう言った。
「ですが、あなた達はせっかく集めたDBを何者かに奪われてしまったようですね。
せっかくの、サイヤ人復活への悲願。残念です・・・私にはもっとですが・・・・
まあこの星に来た理由はDBだけではないわけですが・・・・・・」
おだやかな口調の中にだんだんと棘が混ざってくる。フリーザはいつもこうだ。
ヘマをやった部下を処刑する時も、いつもどおりの口調で、話を進める。

「しかし・・・私を裏切り、私の求めていたDBを奪われてしまったまぬけなあなた達・・・
やはり・・・許せませんねぇ・・・・・・」

フリーザの戦闘力がどんどん上がっていく。
それに比例するように、バーダック達の胸の鼓動は高まる。

「絶対に許さんぞ虫ケラども!!!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!!!!」

フリーザの宇宙船の中から、戦士達がぞくぞくと出てくる。見覚えのある戦士もいる。
フリーザ一味の突兵、キュイ。怪力のドドリア。フリーザの側近、ザーボン。
そして、恐怖のギニュー特戦隊・・・。フリーザは200名はくだらないほどの戦士達に
全員でバーダック達を攻撃しろと命ずる。じわじわと、命を削り、とどめは自分が指す。
フリーザは、そう望んでいた。
「ベジータ、ラディッツ、ナッパ。お前達は逃げろ。ここはオレがなんとか食い止める」
迫り来るフリーザ戦士達。バーダックの死は近い・・・<つづく


 

724 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/31 23:38 ID:???
<27話>
20年ぶりに地球へと降り立ったサイヤ人。かつての地球侵攻部隊隊長、バーダック。
サイヤ人の復興という野望を背負い、地球へと再びやって来た彼だったが、息子、孫悟空と
その仲間達の妨害にあい、サイヤ人復興の野望ははたせず。
そして、因縁の地、地球で因縁の相手、フリーザによってその命を絶たれようとしていた。
一斉に迫り来るフリーザ軍団。その数、約200。
バーダックは、ベジータ達3人に、この場を自分にまかせ、お前達は逃げろと告げる。
3人もサイヤ人の誇り高き戦士。当然納得は出来ない。
自分達も、残って戦う・・ということを聞かない。4人となったサイヤ人。
それを今まで支えてきた恩師、バーダック。他の3人は彼に対して、そんな感情を抱いていた。
恩師を見捨てるわけにはいかない・・・・。だがバーダックは言う。
サイヤ人の血が途絶えることと、オレの命。どっちが大事だ・・?と。
ベジータとナッパは黙り込む。自分達の目標・・それはサイヤ人の復興だったはず・・・。
2人は迷う。そんな2人を見て、バーダックが追い討ちをかけるようにこう言った。
ベジータ、お前はサイヤ人の王子。お前が生きなければ、サイヤの王室の血は途絶える。
それを許せるのか・・?お前にはサイヤの誇りがないのか・?と。
迫り来る下級戦士の群れに対して、バーダックは強力なエネルギー波を放つ。
150名程の下級突撃部隊は、一瞬にして蒸発。あたりには砂ぼこりが立ち込める。
「今のうちだ・・・はやく行け!!」
埃によって、視界ゼロ。逃げ出すには絶好のチャンス。ベジータとナッパは全速力でその場を
後にする。「くそー」と悲痛な叫びをあげながら・・。視界はゼロでも、スカウターは当然
作動する。ベジータ達の脱走を察知したフリーザは、キュイに追撃を命ずる。
が、バーダックの指先から放たれた爆発波によって、キュイ、消滅。
ザーボン、ドドリアと、戦士達が一斉にベジータを追うも、バーダック、そして父の元へ
残ったラディッツによって行く手を阻まれる。フリーザが動く・・・。

 

725 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/31 23:39 ID:???
「おやおや、情けない。では、私自らベジータさんを追うとしますか・・・」
そう言って追撃体制をとったフリーザを両腕を、バーダックが掴んだ。
フリーザには動きが見えなかった。腕も、ものすごい力で固定され、まったく動かせない。
追撃を待機中のギニュー特戦隊に命じようとするも、ラディッツの死に物狂いの抵抗により
こちらも身動きが取れない。
「サイヤ人をなめるなよ、フリーザ」
そう言うとバーダックは戦闘力を高め始める。悟空との戦いで一時、深手を負ったものの
蓄積されたダメージは、たいしたことない。ほぼ、全力の力。
フリーザの動きを完全に封じる。バーダックの執念。フリーザも、バーダックの戦闘力
の値に驚きの表情を見せる。
「や・・・やりますね・・・」
このままの状況が続けば、ベジータ達は確実に逃げられる。
バーダックは腕にさらに力を入れる。が、次第にフリーザの、封じていた腕の力に押し返される。
フリーザの顔は余裕の表情。にやっと笑い、今度はバーダックの腕を逆に掴み返す。
「ま・・・オレの変身後に比べたら、アリ程の力だがな・・・」
フリーザの体が、巨大になってゆく。力も・・今までとは倍以上・・。バーダックの腕は
軽く握りつぶされる。フリーザの頭の角は、バーダックのどてっ腹を貫き、串刺し状態に。
気づけば、ラディッツもギニュー特戦隊のもはやおもちゃを化していた。
サッカーボールのように蹴られ、ボロボロになった体。フリーザは倒れているラディッツの
所へ、串刺しになっているバーダックを、振り飛ばす。「親子隣同士で死なせてあげましょう」
2人の元へ、極大のパワーボールが放たれようとしていた。
薄れいく意識の中・・・2人は、最後の、親子としての会話をする。
「父・・・さん・・・。まさか、地球でこんなことになるとはね・・・。
でも、オレは、カカロットの成長した姿が見られて、良かったかも・・・」

 

726 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/31 23:40 ID:???
「ラディッツ・・・お前もか。ふふっ・・サイヤ人とは言っても、人の親、人の兄のようだな。
自分より、強くなった息子・・・カカロットに会えただけでも良かったかもしれん・・・」
ラディッツにそう語るバーダック。だが、返答はない。ラディッツはすでに息絶えていた。
その顔は、まるで現世に悔いなし、といったような、やわらかい表情をしていた。
バーダックは立ち上がる。腹の傷からは血が吹き出す。激痛で顔が歪む。
だが、バーダックはフリーザの最後の一撃をこの手で受ける。誰も見ていなくとも、サイヤ人の生き残り
として、はいつくばったまま死ぬことは許されない。最後の時も、サイヤ人らしく
誇りをかけて・・・そして、父のその誇りを、息子がわずかでも受け継いでくれたら・・。
「フリーザを・・・たお・・せ・・・カカロットォォォォォー!!!」
バーダックの雄たけびがこだまし、フリーザの手から、極大のパワーボールが放たれた。

バーダックのおかげで、フリーザから逃れることが出来たベジータとナッパ。
さっきまでいたところで起きた、大爆発。胸騒ぎのした2人は、スカウターのスイッチを入れる。
バーダック達の反応はない・・・。長の死。それは、サイヤ人の運命は、王子である
ベジータに託されたことを意味する。ベジータはさっそく動く。バーダックの最後の命令。
それを実行するために。向かう先は、神の宮殿。ヤムチャ達のところだ。
帰還したヤムチャ達を、スカウターは追尾していた。そのデータを元に、発見することが
出来たのだ。神の宮殿へと到着したベジータ達を待っていたのは、臨戦態勢のヤムチャ達。
ベジータは悟空を名指しして、オレと戦えと言う。ワケもわからず、キョトンとする悟空に
ベジータは襲い掛かる。それから数分間の戦い。ベジータはあっけなく敗れる。
「ふ・・悔しいが、この力なら、任せられる・・・。カ、カカロットよ・・・
フ、フリーザを・・フリーザを倒してくれ・・・たのむ・・・」
涙を流しながら悟空に懇願するベジータ。彼はその後、気を失う。
ベジータは、バーダックからこう指令を受けていた。カカロットを頼れ。あいつはきっと
力になってくれる。そして、必ず、サイヤ人の手で、フリーザを倒せ・・・と。


727 名前:哀・戦士[sage] 投稿日:03/08/31 23:40 ID:???
バーダック達の始末を完了したフリーザ。
その体は元の小さな状態に戻り、口調も落ち着きを取り戻していた。
バーダックを倒すため、犠牲になった大量の兵士達の死体が、転がっている。
フリーザはそんな物には目もくれず、体についた埃を払いながら、宇宙船内部へと戻る。
ギニュー特戦隊の隊長、ギニューはフリーザにこう言う。
「フリーザ様、DBとやらもなくなってしまったようです。邪魔者のサイヤ人も、もはや
虫の息。もうこんな星など、消してしまったらいかがでしょう?」
フリーザは返答する。
「いえ、ギニューさん。私がこの星に来たのは、DBだけが目的ではないのですよ。
 あなたも名前ぐらいはご存知でしょう?例の、「魔の卵」のことを・・・」
「魔の卵・・・? う、宇宙に無差別にばら撒かれているという、あの・・・・」
「そうです。私の調べでは、この地球は、「魔の卵」が落着した星のはず・・・・
 ですが、この星は壊滅せずにまだ残っている。と、すると、この星には、「魔の卵」から
 生まれた不完全な「成体」が存在しているはず・・。私達の「卵」に関する調査も、未完成
 ですし、私達には、その「成体」の力が必要なのです・・・。宇宙で、この先も我々が天下を
 取り続けるためにはね・・・」

フリーザはその後、配下の下級戦士達を、地球中にばら撒いた。
戦士達は、その先々で、破壊、虐殺行動を繰り返す。
地球は、魔族、レッドリボン、サイヤ人に続く、第4の危機にさらされることとなる・・
<つづく>
 


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