全宇宙最後の希望 〜ギャグバージョン〜
《はじめに》
『全宇宙最後の希望』とは,『たまにはヤムチャ〜』スレで突如,開始されたリレー小説である。本編がシリアスであり,展開が広がりすぎたため,新しくスレに来た人たちは書きにくいのではないか,と思い,ギャグバージョンのリレー小説を作ろうと試みたのが本作品である。しかし,誰1人として続けてくれる人はおらず,自分の播いた種を自分で刈り取ったというわけでありました。
本編を読みたい方はこちらへどうぞ。私も投稿しております。
《第一話》
ゴクウの紹介で新たに地球の神となったデンデは邪悪な気をもった輩がドラゴンボールを集めていることを察知し、ゴクウたちを天界に集めていた。
デンデ「・・・これで皆さん揃ったようですね。」
神妙な面持ちで話し始めるデンデ。 ゴクウたちも静かに耳を傾けた。
デンデの説明は大雑把な概要だけのものであったが、戦士たちは皆、事の重大さを察知し、それぞれの調査に乗り出そうとした。
そのときである!!
突然空が漆黒の闇に包まれた!
神龍を『邪悪な気をもった輩』が呼び出したのである!!
ピッコロ「遅かったか!!」
クリリン「いったい何を神龍に願おうっていうんだ!?」
ゴクウ「・・・・・!? 急に邪悪な気が増えやがった・・・!! フリーザ、セルの気まで感じるぞ!!」
トランクス「これが1つ目の願いか!! 2つ目の願いは一体・・・!?」
次の瞬間、さっきまでそこにいたはずの戦士たちの姿が忽然と消失した!!
デンデ「・・・・・!? まさか!! これが2つ目の願いか!!」
デンデ「ゴクウさんたちのような『強大な力をもった戦士』を消すように願ったんだ!!」
デンデの周りには誰一人としていなかった・・・。 ただ一人をのぞいて・・・・・。
ヤムチャ「そうするとデンデ・・・。 なぜ俺は消えないんだ?」
デンデ「・・・・・おそらく神龍がヤムチャさんを『強大な力をもった戦士』と認知しなかったから消えなくて済んだんでしょう。 しかしこうなってはヤムチャさん、あなたが地球、いや全宇宙の最後の希望です!!」
ヤムチャ「よ〜〜し。 まずは手軽な初代ピッコロ大魔王から狙ってみるかな。」
宇宙最後の希望の戦士ヤムチャの戦いは始まった・・・・・。
《第二話》
ヤムチャ「よ〜〜し。 まずは手軽な初代ピッコロ大魔王から狙ってみるかな。」
なぜかヤムチャは自信満々だ。
ヤムチャ「…ん?あれ?
そういえば…デンデ。…オレの聞き間違いか?『強大な力をもった戦士』だけを消したって…?じゃあ,なぜオレは消えなかったんだ?」
デンデ「え…いや…普通に考えれば………」
ヤムチャ「ま…まさか………戦士…オレは戦士ではないのか?」
デンデ(そっちじゃねーよ……)
ヤムチャ「うむ。まぁオレは戦士ではなく奴らとは違ってオールマイティに何でもこなせるしなぁ。盗賊・野球選手・交通整備員・コンビニのバイトに,えーと…居候だろ。あと野球選手…あ,言ったか。
芸は身を助けるとはよく言ったものだ。不器用な連中ばかりだったし」
そう勝手に納得して天界から飛び立とうとするヤムチャ。
デンデ「ま,待って下さい!いくら何でも今のままで…!精神と時の部屋を使って修…」
ヤムチャ「バカ言うな。悟空に倒された過去の敵などすぐに蹴散らしてやるぜ。オレだって人間の限界をとっくに超えてるんだぜ!」
デンデのアドバイスに耳をかさずヤムチャは下界へと降りていった。
5時間後……。ふらふらと天界へ戻ってくるヤムチャの姿があった。
ヤムチャ「ひぃ〜。いてぇ〜。いてぇよ。デンデ回復してくれ〜〜」
デンデ「大丈夫ですか!だから言ったのに!」
ヤムチャ「いや。連中とはまだ戦っていない。腹が減っては何とやらで,ちょっと拾い食いしたらさぁ…腹こわしてゲリピーよ」
(もうダメかもしれない)デンデは思いっきりそう思った。
デンデ「あの…残念ながらボクはゲリは回復できないんです…」
ヤムチャ「えぇ?マジかよー,役に立たねー,あーいててて」
殴りたいところだが地球最後の希望になりうる人物である。デンデはぐっとこらえた。でもその可能性は何かとても低そうだ。
ヤムチャ「あーもう我慢できん。ドラゴンボール使うわ」
デンデ「はぁッ!? 何言ってんですか!たかがゲリのために!! いい加減にして下さい!それにドラゴンボールはさっき言ったように何者かが……!」
ヤムチャ「いや本場ナメックの」
デンデ「なおさらダメ………そうか!待てよ!どうにかなるかもしれない!」
ヤムチャ「オレのゲリがか?」
デンデ「……。よーし界王神さまにお願いして…」
ヤムチャにわざと背を向けて,あの世に行こうとするデンデの頭の中に声が響いた。ヤムチャにもそれは聞こえた。
老界王神「その必要はない!ちゃんと聞いておったわい。ほれ。キビト界王神」
次の瞬間,キビト界王神が天界に出現した。ビックリしてちょっとチビったヤムチャ。
キビト界王神「大変なことになりましたね。私たちを含めたあの世の者たちではこの事態を解決する手段はありません。復活した悪人たちを再び倒さぬ限り…」
ヤムチャ「心配するな!オレがサクサクっとまた地獄に送り返してくれるぜ」
デンデと界王神は,聞こえないふりをして二人で話をしていた。瞬間移動でナメックに向かう二人,そしてあわててデンデにしがみつくヤムチャ。
ヤムチャ「お…おい!オレをおいてくなって!」
かくして,ナメック星のドラゴンボールを利用しようと考えたデンデたち。どんな願いを叶えるつもりなのだろうか?デンデの考えとは全く関係なく,邪な願いを叶えようとしていた輩が1人いたのであるが…
ヤムチャ(くっくっく。まず……あーして…いやこうするのもいいな……)
《最終話》
キビト界王神の瞬間移動で,新ナメック星へとついたデンデとヘタレ。
着くやいなやムーリ最長老たちが界王神を出迎えた。
最長老「事情はわかっておるぞ。デンデ。ドラゴンボールを使うがいい」
ヤムチャ「話が早い。では早速オレを…」
デンデ「ヤムチャさん,あなたは黙って下さい。余計な願いは叶えたくないんです」
デンデに釘をさされるヤムチャ。一瞬ムっとしたが何も言い返さなかった。代わりにニヤリと怪しい笑みが顔に浮かぶ。
すぐにポルンガが呼び出された。
ヤムチャ「オレを1000人にしろォォォォォ!!!!」
デンデ「!!」
キビト界王神「!?」
最長老「!?」
ポルンガが言葉を発するよりも早くヤムチャは叫んだ。唖然とする一同。
静寂はほんの2〜3秒だったのだろうが,ずいぶん長い時間静まり返った気がすると1人のナメック星人は後にそう語った。
ちなみに「っつーかそのネタ,パクリじゃん」とぼそっと呟いたのも彼である。
デンデはハッと思い立ち,バカを無視してポルンガに願いを言った。もちろんナメック語で。
デンデ『えーと,地球のドラゴンボールの願いを打ち消してほしいんですが,できますか?』
ポルンガ「できるが,一つの願いで打ち消せるのは一つの願いでだ。つまり二つの願いを打ち消したかったら,二つ分の願いが消費されることになるがいいのか?」
デンデ『はい,オッケーです。』
ヤムチャ「おいおい。何言ってるんだ?オレの願いは?まさかここって言わなかったら,この星のどこかに?あぁじゃあ二つめの願いは,そいつらをここに…」
ポルンガ「よし!願いは叶えられた。では3つ目の願いを言え。」
ヤムチャ「ハァ!? いつから3つ目になったよ!? ちょろまかしてじゃねぇぞ」
困惑して苛立っているヤムチャをよそに最長老はデンデに感心していた。
最長老「むぅ。考えおったな。デンデよ。確かに出現した邪悪な者たちは巨大な力を持つゆえポルンガでは消し去ることはできん。だが,神龍の願いを無効にすることはできる」
デンデ「はい。うまくいかない場合は私の意識をそのままにして時間を戻すということも考えたんですが。しかしこれでもう大丈夫です」
キビト界王神「地球にはフリーザたちの気は消えました。悟空さんたちも戻ったみたいですよ!」
最長老「では残った願いは,愚かなことを企てた悪人を……」
デンデ「いえ……。それはボクの力で何とかできます…。それよりも…」
デンデはそう言って,子供のナメック星人の襟首をつかんで脅しているヤムチャを見た。
ヤムチャ「ナメック語しか通じねぇんならさっさと言えよ!クスクス笑いやがって!ほら!殺されたくなかったら,オレを1000人にしろって言え!あ,それよりも願いを1000個に増やしてくれのがいいかな?」
デンデ『ヤムチャをこの世から消し去って下さい!!!!』
ポルンガ「うーむ。普通ならその者の力は巨大すぎるとか言うところだが,サービスだ。オッケー」
ヤムチャ「あ・・・あれれ!? どうなってるの〜?オレの体がァァ… あぷ…」
スーッと消えていくヤムチャを見ながらデンデはつぶやいた。
デンデ「サービスで何とかなるんだ……」
完