病的なベジブル
第12話
その日の夜――。
上半身裸になってバスルームの鏡の前にたつベジータ(ブルマ)。
ベジータ(やっぱりすごい筋肉ね…)
自らのカラダを愛らしく抱きしめるベジータ(ブルマ)。端から見たらナルシストだ。もともとそうかもしれないが。
ベジータ「こうしてみると…なかなかハンサムじゃない…」
顔をぺたぺたさわりまくる。鏡のベジータも自分の顔を触っている。
ベジータ(はぁ…これで根が素直だったらね……。でも…まぁあの頑固さがコイツのいいところでもあるワケか…な〜んてただ憎らしいだけなんだけどね)
そうは思うがなんとなく,ちょっとこの肉体を手放すは惜しい気もしたのである。
何というかこのカラダの中にいることで屈強な精神の中に浸っていられる…そんな不思議な気分になっていたのだ。
それに比べれば男の性の快感など遊びにすぎなかった。
さて…次の日の早朝からも特訓が始まる…と思いきや…
ヤムチャ「今日は休ませてくれよ〜〜。このところずっと飛び回ってばかりなんだぜ。さすがに疲れちゃったよ」
実はドラゴンボール探しの合間にナンパした女の子とのデートがあったヤムチャ。露骨にイヤな顔をする。
ベジータ「えーっ。どうしてもダメ?……だって天津飯さんたちを倒さないと戻れないわけだしさ」
ヤムチャ「まぁ急ぐことでもないんじゃないの…はは…」
ベジータ「なによ。前はあんなに早く戻れって言ってたくせに。それにベジータも早く戻って修行したいだろうし」
ヤムチャ「あいつのことなんかほっとけよ。」
ベジータ「じゃあ、明日でもいいからあんた天津飯さんたちと戦ってボール奪ってきてくれる?」
ヤムチャ「無理!」
ベジータ「はぁ……これだから…いいわ。一人でやる」
ピンポーン。
そのとき玄関のチャイムがなった。
ベジータ(ブルマ)が出てみると……。
天津飯「よう!ベジータたちはいるかな!?」
ベジータ「天津飯さん……!」
天津飯「くっくっく……よう負け犬。」
ベジータ「何よー!」」
天津飯「用件はわかっているな。ボールをよこせ!さもないとこないだのように泣かしちゃうぞ!」
ベジータ「そ……そういうわけにはいかないわ…ぜ!」
天津飯「またしても痛い目を見たいようだな!いいだろう。今度は殺す!いいな!」
一度、べジータに勝利した(と思っている)天津飯は妙に態度がでかい。
ベジータ「……っ……!…望むところよ!」
誰もいない荒野へと移動する天津飯&餃子、それにベジータ(ブルマ)。
ただ空を見上げるヤムチャ。
ヤムチャ「よーし。このスキに……」
ブルマ「おいっ!ヤムチャ!」
ヤムチャ「ひぃっ!ブルマ!……じゃなかった……何だよ。脅かすなよ……」
ブルマ「お前も行け。加勢できるかもしれん」
ヤムチャ「バカなこと言うな。オレが行ってもどうにもならん。それにこれから用事があんだよ」
ブルマ「きさま……!」
ブルマは襟をつかもうとしたがさっとヤムチャに避けられてしまった。陽気に口笛を吹きながらヤムチャはデートへと向かった……。
天津飯「さ〜て。今度、オレが勝ったらボールはもらうぞ。」
よくある荒野で天津飯ベジータ(ブルマ)は向かい合っている。いつものように自信満々に天津飯は口を開いた。
ベジータ「ええ。その代わりあたしが勝ったら、あなたのボールもらうわよ」
天津飯「いいだろう…………。ってまた言葉が……まぁいい。行くぞっ!」
気を放出する天津飯。そのままベジータ(ブルマ)に突進してくる。
ベジータ(遅いっ!……交わせるわ!)
さっと身を翻し、天津飯の顔面を殴りつける。
他人を攻撃するのは気が引けたが、そんなことは気にはしていられない。
『むかつく奴を想像すれば殴れるだろ?」とヤムチャからアドバイスをしてもらっていた。
『たとえばさ、亀仙人さまにエッチなことをされたりしたことを思い出せば……』
そんなアドバイスももらった。しかし殴りたい奴を連想したときに真っ先に顔が浮かんできたのは亀仙人でもべジータでもなく……なぜかヤムチャだった……。
(何で…何でヤムチャなのかしら……何かの間違いよっ!)
…と必死で頭に浮かぶ人物を亀仙人に置き換え、天津飯に再び殴りかかる!
…が、天津飯は体勢を早くも立て直し、蹴りをはなつ!しかし、ベジータ(ブルマ)は軽々ガードする。
天津飯「くそっ!」
ベジータ(このカラダからすれば、ヤムチャも天津飯さんもかわんないわ。よーし。昨日の要領で……)
ベジータ(ブルマ)は、さらに気を高めだす。昨日の組み手でさらに気のコントロール技術が向上したのだ。
天津飯「ひぃっ!こ…これじゃああまりにも差がありすぎる……なーんつって新…」
びびるフリをして天津飯は新・気功砲のかまえをとり…一気にとき放つ!
ベジータ「今よっ!」
技が放たれる前に瞬時に身をかわし、天津飯の背後に回りこんだ。
天津飯「よけたぁっ!?おぅぐへっ」
天津飯のケツを思いっきり蹴り上げるベジータ(ブルマ)。
ひぃひぃっと喘いでいる天津飯にベジータ(ブルマ)は言った。
ベジータ「照準を合わせるということはそこから立ち退いてしまえば技は食らわないということ!おまけに技を放ったあとはスキだらけだわ!」
天津飯「くっそぉぉ…。早くも攻略されるとはな……。今度は連射できるように工夫するぜ!
……だが、新・気功砲などは適当に考えた技だ。気功砲に新をつけただけだしな。
本当の必殺技はまだまだある!」
餃子「えーっ、あれやるの!?」
天津飯「ああ!見せてやるぜ!雲光砲と沈攻砲をな!」
そう言い放つと、天津飯は力みだした。じわじわと気が充実していく。
体色が汚らしいグレーへと変わっていき、背中からは手が左右3本ずつ生えてきた。額には5つの目が浮き出て、計八つの目となる。
ベジータ「キャーッ!!」
餃子「ぅぇぇぇ……」
餃子はそのおぞましき姿を見てたまらず吐き出した。
天津飯「準備は整った。この沈攻砲を使えば、お前など簡単に消し去れる!」
…と言ってズボンを脱ぎだした。その股間は(略
ベジータ「イヤァーーーッ!なにそれーーー!!ぅえっ………」
天津飯「だが、今日はこれは使わん!」
と言って再びズボンを履いた。
餃子「そこまで見せたいのかよ……」
天津飯「雲光砲!!はぁぁぁぁぁ……」
天津飯はケツをベジータ(ブルマ)にむけて気を溜めだした。
天津飯「はっはっはぁ!威力は新・気功砲の10倍!キサマなどあっという間に消し去れるぞ!この姿でしか使えんがなぁっ!ただし時間がかかるのが玉にキズだ!!はぁぁぁぁ」
ゴスッ!
天津飯の頭にベジータ(ブルマ)の肘が炸裂した。
ベジータ「じゃあ、もらっていくわよ」
激しい戦いを終え、ベジータ(ブルマ)は3つのボールを手にすることができた。
最初でおそらく…最後となるであろうべジータ(ブルマ)の実戦での輝かしい勝利……。
格闘好きではないとはいえ、やはり何かしら達成感がわいてくる。
餃子「うん。いいよ。」
ベジータ「ところであんたたち、何で集めてたのよ」
餃子「天さんがマイケル・〇ャクソンみたくネバーランドつくるとか言いだして」
ベジータ「あ……そう。…じゃね」
カプセルコーポレーションの広い庭。
ベジータ(ブルマ)の足元にボールが7つ転がっている。
ブルマ「これでやっと戻れるぜ」
ベジータ「大変だったわ。でもいい経験だったわね」
ブルマ「ちっ……。よく言うぜ」
ベジータ「あら…まんざらでもなかったんじゃないの?」
ブルマ「な、何のことだっ!……そ、それよりさっさと龍を呼び出せっ!」
ベジータ「はいはい。」
ベジータ(ブルマ)によって神龍が呼び出される。
神龍「どんな願いも一つだけ叶えてやろう」
いつもの決まり文句を言う神龍。
ベジータ「あたしとこのベジータの心が入れ替わっているの!元に戻して!」
神龍「……無理だ!」
ベジータ「は!?」
ブルマ「なにっ!?」
神龍「そのベジータという者は私の力を超えている。その者の魂や肉体をどうこうすることはできんのだ」
ベジータ「ちょっ……はぁっ!? じゃあ、あれなわけ?ベジータが病気になっても治せないわけ?」
神龍「そうだ」
ベジータ「何よ。それぇ!!何がどんな願いもよ!」
ブルマ「も……戻れないのか……」
愕然としている二人。
ヤムチャ「ったくぅ〜〜。何だよ!あの女。ドタキャンとはゆるせねぇ!っつーか何でこんな暗いんだ?」
ヤムチャがぶつぶつ言いながら、カプセルコーポレーションに空を飛んで戻ってきた。
ヤムチャ「あ……あれは……ドラゴンボール!?」
はてさて一体どうなってしまうのか?
その頃……。
天津飯「うぐぐ……くそっ…やっぱり沈攻砲にすべきだったか……」
餃子「っていうか、その姿になるのももう二度とやめて」
天津飯「えぇっ!?」
餃子「死んでもならないでね。なったら絶交だから」
天津飯「……はい」
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