病的なベジブル
第10話
「あっ……あれは……」
ベジータ(ブルマ)の目に飛び込んできた人物があまりにも意外でびっくりして叫んでしまった。
「天津飯さんと餃子!?」
ベジータ(ブルマ)の遥か前方に、天津飯と餃子と思われる人物がゆっくりと飛行していたのだ。
「ほんっとよく見えるわね、この目。……いえ、それよりも何で天津飯さんたちが?」
餃子「天さん!あれ!」
天津飯「なっ…!?ベ…ベジータ!?」
天津飯たちもベジータ(ブルマ)が接近してきたことに気づき、慌てだした。
ベジータ(ブルマ)が天津飯たちの前でゆっくりと停止する。
天津飯「……な……何のようだ?ベジータ…」
ベジータ「久しぶりね。…で、いきなりだけど天津飯さん。ドラゴンボール集めてるんでしょ?何で…」
天津飯「……へ……?」
何か妙に言葉づかいが違うベジータに一瞬、戸惑う天津飯。
天津飯「……あ…ああ。……そうだが」
ベジータ「それさ、あたしたちも集めてんのよね。しかも大至急要るのよ。あなたたちが何を願うかわからないけど、譲ってもらえないかしら」
天津飯「……それはできんな。オレたちも急いでいるんだ。……ってかお前、何か言葉つかいがおかしくないか?」
ベジータ「……あっ…。そっか。今、ベジータなのよね……。ん?待てよ」
天津飯「そうか。昨日あたりからボールの反応が動き出したから妙だと思ってたがお前たちか」
ベジータ「ふん。…えっと…ボールをよこせ!よこさないのなら力ずくもうばっていくわよ…いくぞ!!」
話合いは面倒なので、ベジータのふりをして脅してボールを手に入れようとするベジータ(ブルマ)。
…がそれで素直に引き下がる天津飯ではない。
天津飯「……フン。だったらやってみるがいい。オレたちも遊んでいたワケじゃないんだ。人造人間戦のために開発した技も幾つかある……!キサマで試してもいいんだ。借りもあるしな」
ベジータ「……え……?」
てっきり降参するかと思っていたベジータ(ブルマ)だが、天津飯の自身たっぷりな台詞に少々たじろいだ。
ベジータ「……ちょっ……」
天津飯「……そっちも譲らないのならば……」
ベジータ「え……ちょっ…そんな…あたし……」
いかに莫大なパワーを持ったとはいえ、実戦経験はゼロだ。それに相手は百戦錬磨の天津飯。油断はできない。
天津飯「はぁぁぁぁぁっ!」
ベジータ「もうっ!…こうなったらやるっきゃないわ! ……いくわよーーーーっ!」
天津飯「なっ……なにっ……その掛け声…まさか排……」
ベジータ「……えーい!」
天津飯(違うっ! 排球拳じゃない! 驚かせやがって)
まっすぐ突っ込んできたベジータ(ブルマ)を何とか交わす天津飯。スピードは速いが直線的なので動きが読める。
そして天津飯はベジータ(ブルマ)の背後にまわると肘うちを食らわす
ベジータ「きゃっ!」
…が、莫大な気を持つベジータ(ブルマ)、大したダメージにはならない。
天津飯「ちっ!………え……」
見ると向かい合うベジータが肩を震わせている。
ベジータ「ひっく…ひっく…。ひどいじゃない……」
餃子「泣いてる……」
ベジータ「痛かったわよ〜〜〜!!女性に何てことすんの〜〜〜!!」
天津飯「はぁッ!?」
ガビーンと擬音語が飛び出しそうな勢いの天津飯。
ズォッっとベジータ(ブルマ)の身体から凄まじい量の気が噴出する。
天津飯「ちぃっ!気の総量では差がありすぎるかっ!ならば……」
ベジータに両手をむけ照準をあわせる。
餃子「出るっ!天さんの新必殺技!!」
天津飯「新・気功砲!!」
ザンッ!!
ベジータ「!?」
激しい光と衝撃がベジータ(ブルマ)が襲った。
何が起こったかわからないまま、ベジータ(ブルマ)はふっ飛ばされた。
そのまま下に広がる荒野へと叩きつけられる。
ベジータ「うっ……」
かなりのダメージを受けた様子のベジータ(ブルマ)。すぐには起き上がれない。
天津飯「まだ不完全だな。消し去ることはできないか。しかし…や…やったぞ!」
それを見ておおはしゃぎの天津飯、すぐに追い討ちをかけようとベジータのもとへと急降下する。
よろよろと起き上がるベジータ(ブルマ)。
ベジータ「キャーッ」
天津飯「!?」
天津飯の動きが止まる。
ベジータ(ブルマ)の服が新・気功砲で完全に消滅してしまったのだ。
股間となぜか胸を隠しているベジータ(ブルマ)。
ベジータ「エッチー!!見ないでよ!!」
天津飯「なにぃっ!…見るかっ! …見ろというならじっくり見てやるがな……」
ベジータ「もう信じらんない!…あたし帰るっ!」
天津飯「え……」
ベジータ「覚えてらっしゃい!ドラゴンボールは必ずもらうから!」
捨て台詞をはいてベジータ(ブルマ)はすっ飛んでいった。
天津飯「な……何なんだ?あいつ……まぁいいぜ。オレの勝ちには変わりない!」
餃子「やったね!天さん!」
天津飯「ィヤッホーーー!!ぃやったぁ!ベジータに勝ったぞぉぉぉぉ!!」
荒野にはいつまでも天津飯のおたけびが響いていた。
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