病的な




第六話



ヤムチャ「今すぐドラゴンボールを集めてくれだってぇ〜〜!?」
カプセルコーポレーションに早朝からヤムチャの絶叫が響き渡った。
叩き起こされ、ドラゴンボールを集めるようベジータ(ブルマ)から頼まれたのだ。

ベジータ「えぇ。お願いよ!ヤムチャ!材料がなくって元に戻れないのよ〜〜」

ヤムチャ「……わかったよ。まぁ…オレも早く戻ってほしいと思ってたんだけどさ。……で、お前も空を飛べるんだし、手伝ってくれないか?」

ベジータ「え?じゃあ誰がベジータのヤツを見張るのよ!あたしのカラダで変なことするかもしれないし……」

ヤムチャ「変なことって………ひっきりなしに監視するのか?」

ベジータ「もう!こっちはこっちでやるから、あんたはさっさと探しに行って!ほら!準備!準備!」

ヤムチャ「まったく……相変わらず人使い荒いぜ……」

ヤムチャはドラゴンボール探しの用意を整え、部屋から出てきた。本当ならプーアルも一緒に連れて行きたいところだが、舞空術で世界を飛び回るため、足手まといになりかねない。寂しいが一人だけだ。

玄関へと歩いていくとベジータの部屋からブルマが出てくる。
ヤムチャ「……あれ……?」

ブルマはいつもベジータが着ているような戦闘ジャケットのアンダースーツを着ている。
ヤムチャ「何でそんな服……ってベジータだったんだよな…。ブルマが着ると身体のラインがくっきり出てエロいな…」

ブルマ「何をじろじろ見てやがる」
ブルマ(ベジータ)がヤムチャのエロい視線に気づき、睨みつける。

ヤムチャ「あっ…いや…」

ブルマ「ドラゴンボールを探しに行くのはキサマだったな。早くしろよ」
ブルマ(ベジータ)は不機嫌そうにプイっとそっぽを向くと食堂の方へつかつか歩いていった。

ヤムチャ(くそ〜〜。偉そうに…!何様だ!…怖いから何も言わないけどさ!)



ヤムチャが朝飯も食わずカプセルコーポレーションを出発して数分後……。
食堂ではベジータとブルマの言い争いの声が響きわたっていた。
ベジータ「ちょっ…ちょっと…何て服着ているのよっ!」

ブルマ「いつも着ているのはこの服だ」

ベジータ「乳首がまる見えじゃない!やめてよ!!あたしの服貸してあげるから脱いでよ!」

ブルマ「ばっ…バカ言うな!!オレがあんな服を着れるかぁぁ!!」

ベジータ「……あら、そんなこと言うの?……じゃあ、あたし、自分の服着て、孫くんちに行ってみようかなぁ〜?」

勝手にしろ…と言おうと思ったブルマ(ベジータ)だったが、その言葉の意味がわかるにつれ次第に顔が真っ青になるベジータ。

ブルマ「なっ…なんだとぉ!?」

ベジータ「だってあんたがそんなこと言うから」

ブルマ「くっ……。…わかった。着ればいいんだろ。フン。ドラゴンボールが集まるまでの辛抱だ」

ベジータ「あっそう。…じゃあ、あとであんたの部屋に行ってレクチャーしてあげるから。服の着方」

ブルマ「余計なお世話だ!」

ベジータ「また……。そんなこと言うと……」

食事の際中だと言うのにずっとこんな調子で口論が続いていた。それをいつもの調子でのほほんと見物しているブリーフ夫妻。
ブリーフ「いやぁ〜〜にぎやかでいいなぁ」



数時間後、ブルマの携帯にヤムチャから通信が入る。
やっと一個見つけたという報せだ。
ベジータ「まだ一個ぉ!?…もうちょっと早くできないの?」

ヤムチャ「無茶言うなよ…。界王様のもとで修行をつんだとはいえ、世界中に散らばっているんだぜ…。この一個でも近い場所だったからよかったものの…」
てっきり「早いわね」と誉められるかと思って電話したのに、怒られて涙目になっているヤムチャ。
もっとも、ヤムチャが全力で飛べばもっと早くは集まるのだが、合間、合間に町に降りてはめぼしい娘をナンパしたりして怠けていたので時間が妙にかかったのであるが。

ベジータ「この調子じゃ何日もかかっちゃうわね…。仕方ない。あたしも手伝うか…」

ヤムチャ「そうしてくれ……」



ベジータ「ちょっとあたしもドラゴンボール探しに行ってくるから」
ベジータ(ブルマ)は庭にいるブルマ(ベジータ)に声をかける。

ベジータ「ちょっ……ちょっと何やってんの!」

ブルマ「退屈なだけだ…ふっ…ふっ…」
ブルマ(ベジータ)は庭で汗だくになりながら腕立てふせをしていた。

ベジータ「あほーーっ!他にすることないの!?筋肉痛になっちゃうでしょ!」

ブルマ「はぁはぁはぁ……くそっ!なんて体力がないんだ!…このカラダ……」
ごろんと庭で寝そべり肩で息をしているブルマ(ベジータ)。
美しい額に汗が光る。
ベジータ「当たり前でしょ!バカな真似はやめて!」

ベジータ(ブルマ)は、悩ましげなボディを大の字に寝転ばせているのを見て、
(うーん、まだまだスタイルもいいし、若々しいわ)と感心していた。

(ったく、こんなナイスなバディをこんなむさい男に貸すことになるなんて…。
勝手にあんなことやこんなことされたらたまったもんじゃないわ…!)
自分のせいなのに、なぜかむかっぱらが立ってくるベジータ(ブルマ)。

ベジータ「部屋でおとなしくテレビでも見ててよ!」

ブルマ「くだらん!…それよりさっさとドラゴンボールを探しに行ったらどうだ?」

ベジータ「わかったわよ。ただし変なことしないでよ!」

ブルマ「フンッ!するか!」

ベジータ「だったらいいけど……」
ベジータ(ブルマ)はしぶしぶドラゴンレーダーを見ながら空へと飛び立った。その様子をブルマ(ベジータ)は寝転びながら無言で見つめていた。

ブルマ「くそっ…。こうしている間にもカカロットは……
……ん……そういえば……」
何かを思いついたのか、ブルマ(ベジータ)は身体を起こし、あぐらをかく。頬に手をやり何かを考えている。

ブルマ「………くっくっく………」
そして怪しげに笑う。

ブルマ「……今でしかできんことだな……。何も悪いことばかりじゃなさそうだぜ……」
そういうとゆっくりと立ち上がり、ブルマ(ベジータ)は歩き出した。


さて…ブルマ(ベジータ)の魂胆とは……。




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