病的な




第三話



ベジータ「言ったでしょ?お互いのカラダを交換したんだって」

ブルマ「き…きさま……!何でそんなことしやがったんだ…!」

ブルマはジリジリとベジータに歩み寄る。
しかしベジータはフフンと鼻で笑うと平然と言い放った。

ベジータ「それも言ったじゃない。復讐だって。あんなこと言われて黙っているあたしじゃないわ」

ブルマ「元に戻せっ!さもないとぶっ殺すぞ!!」
恐ろしい顔のブルマ。

ヤムチャ「あんな恐ろしい顔のブルマを見たのは………さほど前でもないか…」

ベジータ「あ〜ら。あんたにできるかしら。あんたは今,か弱い女性なのよ♪」
腰に手をあてて、フフンと鼻で笑うベジータ。人差し指を立てて、ウィンクしながらブルマに誇らしげに言い放つ。

ブルマ「だッ黙れ!オレのカラダで変なしゃべりかたするな〜〜!!」
ベジータに殴りかかろうとするブルマ。――だがベジータに軽く胸元のところを指でポンっと突かれ,ととと…と後ろによろよろ後ずさってしまう。

ベジータ「あはは。こんなに力あるんだ。」

ベジータのカラダを得たブルマは自分のものとなった力こぶをさすって言う。嬉しそうだ。
一方ブルマとなったベジータはあまりのことにぺしゃんっとその場に座り込んでしまっている。

ブルマ「く…くっそぉぉぉ〜〜!!元に戻せ!!」

ベジータ「あんた…まだ今の立場わかってないの?あんたは今,力のない女なのよ。頭もないし。
例えば…あんたこのまま,ここに置いてけぼりくったらどうなると思うの?荒野どころか,この高台から降りることもできないわ。」
あたりを見回すブルマ。さきほど全く変わっていない風景――。だが,自分に対する周囲の状況は完全に一変した。

ベジータ「あんたがあたしに謝れば元に戻してやってもいいわよ」

ブルマ「誰がキサマなんかに…」

ベジータ「あら〜残念ねぇ。……あ,そうそう。言っておくけどその銃は一回しか使えないから,同じのをもう一度作り直すしかないわ。作れるのはあたしだけだけどね」

ブルマ「くそっ!」

ずっとこの状況を固唾を飲んで見ていたヤムチャ。悟空やクリリンがこの場にいたら絶対に笑っていただろうシーンが繰り広げられている。
オカマっぽいベジータと乱暴なブルマ…。
だが,ヤムチャは笑っていられなかった。自分のカラダをはってまでベジータに復讐するとは…。完全に楽しんでいる。少しブルマに驚愕を覚えた。



ベジータ「あはは…すご〜い!浮くってこんな感じなのね〜〜!見て見てヤムチャ!」
当のベジータになったブルマはのんきに舞空術をしていた。

もともと気のコントロールの素質があったのか,莫大なベジータのエネルギーを制御できている。
そのうち奇声を発しながら空をものすごいスピードで周り出すベジータ姿のブルマ。
それをただ呆然と見ているブルマのベジータ。さすがのベジータもまだ頭が混乱しているのだろう。
今まで培ってきた屈強なパワーをすべて他人に奪われてしまったという恐怖――彼の中にそれがじわじわとわき起こってきていた。
奇妙な二人をいつまでも見ているのは不気味だ…ヤムチャはそう感じベジータのブルマに声をかける。

ヤムチャ「お〜い!そろそろ帰らないか!?ブルマ!」

ベジータ「もう帰るの!?あんた1人で帰っていいわよ!」

ブルマ「ま…待て!オレはどうなる!ヤムチャ!オレを連れて行け!!」

ベジータ「ふふ…焦ってるわね…少しずつ立場がわかってきたようね。でもまだ懲らしめないと…うふふふ…
じゃあヤムチャ!先にベジータを連れてって。か弱い女の子なんだから丁重にね!」

ヤムチャ「お…おぉ。気をつけて帰ってこいよ…」

ベジータ「今のあたしに何をこわがれっての!天下無敵のサイヤ人なのよ!」

ヤムチャ「そ…そうだな……」
それを聞いてブルマの身体のベジータはチッと小さく舌打ちした。



ここから表記は以下に統一します。
ブルマの姿になったベジータ→ブルマ(ベジータ)
ベジータの姿になったブルマ→ベジータ(ブルマ)
台詞の名前は外見を現します。


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