ヤムチャ編 最終章 アナザーワールド2
ヤムチャ VS 麦わら海賊団
最後に生き残るのは誰だ!?
3.ルフィ
薄暗い森――。
不気味な雰囲気が漂っているが,それを払拭させるように陽気な男の声が響く。
ルフィ「いやぁ大量!大量!ししししし!サンジびっくりすんだろな〜」
言わずと知れた麦わら海賊団の船長,モンキー・D・ルフィである。
食えるのかどうかわからないが,巨大なトリケラトプスをずるずるひきずっている。が,その軽やかな足取りがふと止まる。
ルフィ「何だ?」
不穏な気配を察知するルフィ。
瞬間。
ドズッ−!!
空から何かが降ってきて,ルフィを叩きつぶした!
その威力で,トリケラトプスの死体も吹っ飛び粉々になった。
降ってきたのヤムチャ自身。木の上から不意打ちをかましたのだ。
ヤムチャ「これで二人。案外ちょろいな」
しかし,殺気を感じすぐに離れるヤムチャ。目の前にはさきほどの激突で生じた直径3mくらいの穴があいている。その下から麦藁帽子をかぶった青年が姿を現す。ノーダメージで。
ルフィ「あ〜びっくりしたぁ〜。何だお前」
ヤムチャ「ダメージなしだと?…バカな?高さは不十分だが,まともにヒットしたはず」
自信が打ち砕かれるとすぐに弱気になるのがヤムチャの悪い癖。
ルフィ「何言ってんだ?お前。ぶっとばすぞ?」
青年の態度にちょっとむかつくヤムチャ。当のルフィは,ぐちゃぐちゃになっているトリケラトプスを見て騒いでいた。
ルフィ「ああーーー!!おれのエモノがぁぁぁ!!丸焼きにしたかったのに〜!お前!ゆるさねぇぇぇ!!!」
ブチ切れるルフィ。猛烈な勢いでヤムチャに向かってくる。
(なかなか速いがオレの敵じゃないぜ!)
ヤムチャは再び自信を回復。一瞬で葬れると確信する…が…。
ルフィ「ゴムゴムの銃(ピストル)!!!!!」
ルフィの腕が伸び,ヤムチャの顔面に強烈に突き刺さる!
ヤムチャ「ふぶッ!?」
完全に油断していたヤムチャ。鼻血がふきでる。よろけるが倒れない。
ヤムチャ(何だ?今のは!ピッコロか!?やるぜ,コイツ)
ルフィはヤムチャの様子を見て,攻撃を続ける。
ルフィ「ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)!!」
さきほどの攻撃が数を増して再びヤムチャに襲いかかる!
ドガガガガガ!!
ヤムチャの身体が無数の拳にめったうちにされる!…………が,倒れない!
ヤムチャはニヤリとルフィを見やる。
ヤムチャ「まだやるかい?」
ルフィ「こんにゃろ〜。頑丈だなぁ!ゴムゴムの〜……」
ルフィの足が天高く伸び……速度を増しながら急激に落ちてくる!!
ルフィ「戦斧(オノ)!!」
ズゴッ!!
鈍い音を立てそのままヤムチャのアタマにヒット!しかし…
ヤムチャはゆっくりと顔をあげニヤリ…。と同時にルフィの顔面に拳をたたき込む。
木々を2,3本折りながらふっとぶルフィ。またもやノーダメージで起きあがるルフィ。少し驚くヤムチャだが余裕に笑いながら
ヤムチャ「まだやるかい?」
ルフィ「くっ!こいつ!ゴ…ゴムゴムの鞭!」
ルフィの強烈な蹴りがヤムチャのカラダを撃つ!攻撃の手を休めず,ルフィは軽くジャンプすると…足の裏をあわせ…
ルフィ「ゴムゴムの槍!!」
ヤムチャのみぞおちにつま先を突き刺す!ズゴォォンと激しい音をたて地面に突っ伏すヤムチャ。だが,すぐにむくりと起きあがる。
ルフィ「まだまだ!!」
ルフィは両腕をはるか後方に伸ばすと…
ルフィ「ゴムゴムのバズーカ!!」
一気に戻し,起きあがったばかりのヤムチャに掌ていを繰り出した!!
ズドォォォン!!
勢いよく吹っ飛ぶのを頭に描いていたルフィ…だが,信じられないことに男は…
地面に足をめり込ませたまま数メートル後ろに下がっただけだった。
驚くルフィ。たいていの敵はこれではるか彼方までふっ飛んだのだ。
だが,愚痴をこぼすヒマもなく次の瞬間にはヤムチャの蹴りで吹っ飛ばされていた。
ヤムチャ「まだやるかい?」
ルフィ「ぐぐ…。お…お前……誰だ?」
岩に激突し,よろけながら立ち上がるルフィ。だが,ダメージは相変わらずなさそうだ。
ヤムチャ「遅くないか?その質問……。
まぁいい。オレはヤムチャ,お前ら一味を捕らえるよう海軍に雇われた者だ。
それにしても。信じられんな。オレの攻撃をまともにくらってダメージなしとは…。
どんな肉体してやがるんだ?」
ルフィ「うるせぇ!」
ルフィの勝手な態度にカチンとなるヤムチャ。
高速でルフィの目の前までダッシュすると、顔面におもいっきりパンチを炸裂させた。
ふっとぶルフィ。だが、ルフィはふっとびながらも、大きな岩を両手でつかむ。
両手を岩にしがみつかせたまま、ルフィの体だけは遥か後方へ。
いっぱいに伸びきるルフィの腕。
ヤムチャ「やっぱりきかないのか…!」
ルフィ「ゴムゴムの……」
吹っ飛んでいたルフィの体が止まる。
ヤムチャ「どうやらお前には打撃は効かないらしいな。なら…!」
ルフィ「ロケット!!!!」
伸びきった腕が縮む。体はまっすぐヤムチャめがけて飛んでくる。まさにロケット。
ズドォォォン!!
激しい音を立てて、吹っ飛んだのは……ルフィの方だった。
ヤムチャのかめはめ波がルフィの顔面にぶちあたったのだ。
光の反射のように、そのまま跳ね返されるルフィ。
木々をブチ折りながら、吹っとんでいく。
ヤムチャ「おお〜やっと見つけた。」
数分後,ヤムチャは顔面黒こげになっているルフィを発見した。
ルフィの首ねっこをつかみながら,ヤムチャはつぶやく。
ヤムチャ「あと…4人と1匹……。さて…こいつを海軍の船にでもおいてくるか…」
そう言って飛ぼうと思った矢先。
パキ…
誰かの気配。
ヤムチャがふと振り向くと鼻の長い男…ウソップが唖然として眺めている。
ヤムチャ「あ…いやがった」
ヤムチャがゆらっと動こうという素振りをした瞬間…
ウソップは「ぎぃやああああああ」と叫び声をあげて森の中に消えていった。
ヤムチャ「は…速いな……まぁいい…コイツをとりあえず船に引き渡しに行くか」
ヤムチャが船に向かっているころ,ウソップは仲間のゾロとチョッパーに会い,先ほどの出来事を知らせていた。
ウソップ「ウソじゃねぇんだ。ルフィがまるで歯がたたずやられちまったんだよ」
ゾロ「何者だ?そいつぁ?」
ウソップ「よくわからねぇが,おれらを捕らえるよう海軍に雇われてたとか言ってた。何か変な術でよ,ルフィが吹っ飛ばされて,助けに行こうと思ったが向こうのが早くてつかまっちまった…」
チョッパー「た…助けにいかないと!」
ゾロ「いや…そいつの目的がオレらなら,むこうからやってくるだろ…返り討ちにすりゃいい…」
ゾロは不敵に笑う。が,チョッパーとウソップは泣きわめいた。
ゾロ「うるせぇぞ。とにかく,ナミとロビン…それにクソコックに教えないとな。別れて探すぞ!」
3人はバラバラになる。ゾロは武者修行になると意気揚々と。ウソップとチョッパーはガクガク震えながら…。
次の話へ
インデックスへ戻る
長編インデックスへ戻る
トップへ戻る