ドラゴンボール最後の願い

 

 

悟空「何だって!?ドラゴンボールがもう使えない〜〜!?」


ウーブと共に修行に励んでいた悟空に突然もたらされた凶報。


デンデ「ええ…」


悟空「大事件じゃねぇか!みんなにしらせねぇと!」


今までドラゴボールを私有してきたも同然の悟空一味にとってこれほど大変なことはない。

すぐに悟空に連れられ関係者一同は天界へと集合した。


ブルマ「どういうことよ!ドラゴンボールが使えなくなるなんて!ちょうど必要になってきたのに!」

デンデ「すいません……。ドラゴンボールには知られざる性質があったのです。

        ドラゴンボールは願いを叶えると,そのたびに負のエネルギーが蓄積していくのです…」


どこかで聞いたような設定を口にするデンデ。


悟空「その負のエネルギーがたまっていくとどうなっちまうんだ?」

デンデ「たまったエネルギーがいずれ噴出し,地球を覆い尽くしあらゆる災いを起こすでしょう。」

悟空「だったらドラゴンボールを使えばいいじゃねーか」


デンデ「な〜〜るほど!さっすが悟空さん!

     なーんてワケあるか!ヴォケッ!そんなことだからこんなことになっちゃったんですよ!」


悟空「はっはっは!ちげぇねぇ!」


ブルマ「ちょっと!ホントに使えなくなっちゃうの!あと一回ダメ?」


デンデ「……うーーーーーーーーん………。

        あと…1回だけなら…なんとか……。でも…それ以上は絶対にダメですよ!

        いいですか!既に何度も世界を救ったみなさんですからわがままを許すんです!」


クリリン「無力な神のくせに偉そうだな…」


ウーロン「神といってもデンデだもんな…」


怒りをこらえながらデンデは続ける。


デンデ「い…いいですね。ブルマさん。一個だけですよ!願いは」


クリリン「ちょっと待てよ!オレも必要なんだ。最後と聞けば尚更だ」


ブルマ「え…?聞いてないわよ!クリリンくん!何の願いよ!」


クリリン「いや…それは…言えないですけど…」


ブルマ「何よ!それ!遠慮しなさいよ!」


18号「そうする義理はないな。誰にでも使う権利はある」


チチ「なら,オラもあるだ!」


悟空「チチ? なんかあるか?」


チチ「悟空さはだまっててけれッ!!!」


悟天「じゃ…じゃあボクも…」


トランクス「悟天までも…ならオレも…」


サタン「なら…私も…」


ブルマ「ちょっとちょっと!何言ってんのよ!みんな!あたしのマネして!」


かなり険悪なムードになりつつある一同を悟空がまとめようとする。


悟空「じゃ,じゃあさ,みんなでヨーイドンでドラゴンボール探して一番早く集めた奴が願いを叶えるってどうだ?」


ベジータ「フン…面白い」


クリリン「ちょっ…」


ブルマ「いいわね!それ!それに決まり!ねっ神様!」


デンデ「え…は……はい」

 

天界の宮殿の陰に怪しい人影が二つ。


天津飯「天界にでかい気が集まりだしたかと思ったらそういうことか…。」


餃子「天さん…!」


天津飯「うむ…。奴らを出し抜くしかないようだな。」


――――そのころ。


ヤムチャ「おーい。プーアル。ラーメンできたか?」


プーアル「もうちょっとです。ってかカップラーメンくらい自分で作って下さいよ。今日はちょっと気分が悪いんですから」


ヤムチャ「プーアルが作ったの食べたいんだも〜ん! そういやちょっと前から天界に気が集まってるな。まぁいいや。どうでも。」


完全に忘れられていたヤムチャ。

 

 

***


6日後…

ヤムチャがカプセルコーポレーションに飛び込んできた。


ヤムチャ「ブルマ!ドラゴンレーダーを貸してくれ!」


ブルマ「はぁ?」


ヤムチャ「プーアルが…プーアルが…謎の病気にかかっちまったんだ!

     医者も手の施しようがねぇって見放しちまうし…。

     もうこうなりゃドラゴンボールしかねぇって思ってさ」


ブルマ「ちょっ…あんたなに勝手なこと言ってんの?…あれ…そういえばあんたいなかったっけ?」


ヤムチャ「へ…?何のことだよ…」


ブルマはヤムチャにドラゴンボールがあと一度しか使えなくなったこと,皆で集めるのを競争するのことを教えた。


ブルマ「で,公平を期すために,あたしが皆に明日,ドラゴンレーダーを配ってヨードンで競争するのよ」


ヤムチャ「そんな…。マジかよ……。待ってくれよ!こっちはプーアルの命がかかってるんだぞ…」


ブルマ「まだわからないんでしょ。大きな病院行ってごらんなさいよ。よくある病気かもしれないでしょ。」


ヤムチャ「ほ……本気で言ってるのかよ。見損なったぜブルマ。

     いや,みんなもみんなだ。私利私欲でドラゴンボールを使うなんてよ!」


ブルマ「あら…。あんただってそうじゃない。

    いい?どれだけの人が病気や事故で最愛の人を失っていると思うの?

    あんただけが特別な存在じゃないのよ」


ヤムチャ「うぐ…っ。じゃ…じゃあオレもドラゴンボール集め競争に参加すればいいんだろ?」


ブルマ「まぁね。でもベジータにかなうかしらね?」


ヤムチャ「……くそっ!負けねぇぞ」

 

次の日―――。

天界に皆が集まった。今は敵同士となった地球の戦士たち。誰1人として話すものはいない。


ブルマ「じゃあ。これ。神様。確認してみて。」


そう言ってデンデに何個かのドラゴンレーダーを渡すブルマ。


デンデ「はい。ありがとうございます。…………。はい。大丈夫ですね。私が保証しますよ」


デンデはすべてのドラゴンレーダーのスイッチを押し,その性能を確かめた。


デンデ「では,参加する皆さん,一個ずつ持って行って下さい。あ。1グループ1個ですよ」


デンデは皆に無作為にドラゴンレーダーを配る。


ヤムチャ「細工してねぇだろうなぁ…」


ブルマ「ちょっと何へんなこと言ってるの!?

       そんなワケないでしょ!神様だって確かめたんだし!

       だいたいね!ずるいことしなくてもあたしたちが一番よ!」


ベジータ「そういうことだ…。……ってなぜお前がいる!カカロット!」


悟空「え?いやぁ…チチが集めろって言うんで仕方なくな。

      集めなきゃメシが半分になっちまうからさ」


ヤムチャ「ご…悟空まで出るのかよ!瞬間移動使ったらあっと言う間じゃねぇか」


悟飯「いえ…父さんの瞬間移動は誰かそこにいなければいけないのですぐには集められませんよ」


ヤムチャ「アホいえ!そういう問題じゃないぞ!」


ベジータ「うるさいぞ!ヤムチャ!文句があるなら参加するな!

          もっともお前が参加しても何かの支障になるとは到底思えんがな…くっく」


ヤムチャ「まぁな!…ってよけいなお世話だ!ちくしょう!こうしている間にもプーアルが…くそ!どうにかして…」


もめている一同をまとめてデンデは言った。


デンデ「では皆さん約束通り,誰も殺したりしないようにお願いしますよ。

    もしこの中の誰かが誰かを殺した場合は,私は責任をとって自爆します。

    ドラゴンボールは永遠に失われるでしょう」


クリリン「ところでデンデいや神様。この一週間,ズルした人は…」


デンデ「…いえ。誰もいませんでしたよ。誰もドラゴンボールを抜け駆けして集めたり,調べたりしませんでした。

    では始めましょうか。

    私の……このエネルギー弾が空で爆発したのがスタート合図です」


デンデは片手にエネルギー球を生みだし,ゆっくりと浮かせだした。フワフワ浮上する球。


皆がその球を凝視している。誰かが生唾を呑み込む音が聞こえる。


ドンッ!!


宮殿より100mほど上空で球が爆発し,皆がはじかれたように宮殿から飛び出した。


四方八方に飛び散る戦士たち。


ヤムチャ「びっくりした〜……」


1人宮殿に取り残されたヤムチャ。爆発にちょっとビックリしてスタートが遅れただけのこと。なぁに。まだチャンスはあるさ。

がんばれヤムチャ。

 

 

ベジータは考える。

カカロットとはまともに戦っても勝てはしない。だが,これはドラゴンボール争奪戦だ。

フリーザのときのように出し抜けば何とかなる。

ブルマの言う計画通り,まず一つのボールを手に入れる。

それを特殊な箱に入れておけば,レーダーで感知されなくてすむ。カカロットのやつは探すすべを失うというワケだ。

そしてスキを見ておそらく奴が集めるであろう6つのボールを手に入れればよい。

細かいことはそのときに考えるとしよう。


ヤムチャは考える。

悟空やベジータ,ブウは当然のこと,ピッコロにだって手も足もでない。

クリリンならスキをつけば何とかなるかもしれないが,18号がついている。

悟天やトランクスなんてオレを尊敬すらしてないから,年上の威厳を見せつけても意味がない。

じゃあダメか?諦めるしかないか?

いや,そんなワケにはいかない。プーアルの命がかかっているんだ。特殊能力でもあればいいのだが…

奴らに勝てるといったら女の口説き方くらいなもんだ。

いや,待てよ。

そうか。何も戦う必要はないんだ。ボールさえ手には入ればいいんだ。

これは案外うまく………いきそうにないな。あはは…

くそー…


 

 

第一話へ

戻る