ドラゴンボール最後の願い

 

第29話 決闘

 

 


そしていよいよ決戦の時を迎えた。ベジータは約束の場所へゆっくりと飛んでいる……。

片手には空っぽの銀色のボックス。もう片方の手には通信機が握られている。


ブルマ『やっぱりブウもいる?大丈夫なの…?』

ベジータ「ふん。大丈夫だ。カカロットとブウの戦いでわかっている。
今のオレはブウ以上だ。おかしな能力に気をつけさえいればな。
あとはトランクスにパン,ヤムなんとかだけ…。相手にならん。
こいつらはすぐに倒す。おかしなことをさせんようにな。
ドラゴンボールはやはりブウが呑み込んでいるなら
吐き出させてやるまでだ。
むっ…いたぞ。確かにブウとトランクス,パン…そして…ヤムチャだ。
トランクスとパンをまず気絶させてしまえば,もし仮にヤムチャがオレとブウとの戦いの隙にお前のところへ行っても大丈夫ってわけだ。」

ブルマ『でもさ……ヤムチャがあたしの位置を知ってるかもしれないって言うけどさ…だとしたら……どうやってるのかしら……。』

ベジータ「それについては幾らでも憶測が立てられる…。
だが重要なのは,ホントウにヤムチャがお前の元へ行くかどうかだ。
そしてそれに対しての対策は立てられている。それで十分だ」

ブルマ『そ…そうね。じゃあ,頑張ってね』

ベジータ「次の通信はおそらくオレがボール3つを手にしたときだ。じゃあな。」

ブルマ『わかったわ』

小型の通信機を切るベジータ。見下ろす荒野には4人の戦士がこちらを見上げている。

ベジータ「くっくっく。久々にカラダがうずくぜ。
本命はカカロットだったんだがな…。だが…十分楽しめそうだ。」
ベジータは威嚇するためか超サイヤ人に変身した。気を爆発させ,あたりの空気を震わせる。その衝撃だけで脆い岩山は頭から崩れ落ち,荒野に爆音が鳴り響き,土埃が舞った。

 


一方,岩場に囲まれたごつごつした盆地でその様子を見ているヤムチャ,ブウ,パン,未来トランクス。
ヤムチャは早くも足にふるえがきている。彼だけレベルが極端に違うのだから無理もないといえば無理もない。

(超サイヤ人にならなくてもオレを瞬殺できるんだからさぁ〜)

涙目のヤムチャ。本当に殺されないだろーなと言う心配が頭を駆けめぐる。


未来トランクス「こっ…これが父さんの気!?
す…凄い気だ……。
この時代では父さん…あんなに力をつけていたのか。今のオレとじゃ全く比較にならない…」

ヤムチャ「気をつけろ。あれはまだただの超サイヤ人だ。まだ変身する…」

未来トランクス「まだ!?…いったい」

ブウ「うーん。オレ勝てるかな…?」

ヤムチャ「頼むぜ……ブウ,ここはお前だけが頼りだ……」

その会話の間にベジータは地上へ降りてきた。手にボックスを携えて。

ベジータ「約束通り全員いるようだな。オレも約束通り…ボールを持ってきてやったぜ。
気づいていたと思うが,この箱にボールを入れればドラゴンレーダーでは探知されないのだ。」
銀色の箱をヤムチャたちの方へと向けるベジータ。

ヤムチャ(このやろ…平気で嘘こきやがって…)

ヤムチャ「…そんなこったろうと思ったぜ。
こちらはブウが呑み込んでいる。『持ってきた』わけだからルール違反じゃないよな…?」

ベジータ「ああ。吐き出させるまでだ。」

ベジータは更に気を高めはじめ,やがてスパークのほとばしる超サイヤ人2になった。

ベジータ「…安心しろ。手加減はしてやる…ブウ以外はな……」

パン「かないっこないよ…」

未来トランクスはその凄まじい気に声も出ない。無理もない。ここは彼のいた世界とはまったく歴史が違い,インフレがとめどなく起こった世界なのだ。
次々現れる新手の強敵が味方の戦闘力を止めどなく引き上げてきた反則的な世界なのだ!

 

ドンッッッッ!!

 

ベジータが突撃する。ベジータのいた場所には既にクレーターができあがっている。
この突進の姿をはっきり捉えていたのはブウのみ。

未来トランクスも既に超サイヤ人になっていたが,ベジータの動きを認識できなかった。

ガキッ!!

鈍い音が岩場に鳴り響く。あっという間にトランクスとパンが討ち取られた。

ちょっと首を傾げるベジータ。
トランクスがいつもと雰囲気が違う。
だが,今はそんなことなど気にしてはいられない。

ヤムチャ(やはりこいつらを真っ先に倒しやがった!!)

ベジータ「こいつらさえ倒しておけば安心だな……。…次は残しておくと厄介になりそうなヤムチャ!キサマだ!!」

ヤムチャ「げっ!オレもやっぱ警戒してんのかっ!?」

ベジータ「キサマが一番,ずる賢いからなッ!」

余裕を持って,タンっと軽く地を蹴るベジータ。
死なせないようにとまるっきり力を抜いてゆっくりとかかとをあげ…

ヤムチャ「太陽拳!!」

ベジータ「なにっ!?」

まさか反撃などするとは思わなかったベジータ。咄嗟に目を瞑る。この技にはこれしか対処法がない。

 

…が…。

ベジータ「光らねぇじゃねぇか!!」

目を開けたときにはヤムチャの姿はなかった。…そのとき爆風がベジータを襲った。
ブウの荒々しい息吹だ。

ベジータ「ぐぉっ!?」
受け身もまともにとれず岩場に激突するベジータ。

空に浮いていたヤムチャはブウに声をかける。

ヤムチャ「ナイスだ。ブウ!オレは逃げさせてもらうぜ」

ベジータ「し…しまった!!」

ベジータはヤムチャを追いかけようとするもブウに行く手を阻まれた。

ベジータ「ちっ。なかなかやるな!だがあのときのオレとはひと味違うぞ。
すぐにボールを吐き出させてやる…!」

ブウ「オレ,パンのためにお前のボール集める!パン悲しむとサタンも悲しむ」

ヤムチャを取り逃がしてしまったベジータ。だが余裕の表情。

ベジータ(ヤツがブルマの居場所は知るはずもないし…。もし知っていたとしても…)

 


ベジータVSミスター・ブウ 決戦開始。


 

 

 

 

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