ドラゴンボール最後の願い

 

第26話 ベジータの読み

 

 

ベジータとブルマが地下の研究室で話し合っている。

いきなりレーダーの調子がいきなりおかしくなった。
レーダー上には無数の反応が散らばっており,思い思いに動いている。
修理しても作り直しても直らない。

ブルマ「わからないわ……。レーダーのせいじゃない。もしかしたら…だけど…
宇宙から隕石に乗っておかしな物質が入り込んできて,地球中に拡散した……。それが偶然にもドラゴンボールと同じ様な電波を発している
…こんなとこね。あたしの推論は…」

ベジータ「偶然か……。よくできた偶然だな」
ベジータは誰かの企みだと思ったが,そんなことができる人物がブルマ以外に思い当たらず,言葉を濁した。

ベジータ「まぁいい。それより残る敵は…誰か…だな。オレの予想だがチームを作っているヤツがいる…!」

ブルマ「えっ。誰?」

ベジータ「それについてだが…気の動きからわかったことがある…!ヤムチャは,トランクス…それにパンと組んでいるようだ。何のつながりがあったのかわからんが。
オレが最後に確認したとき,ボールは2つと1つに分かれていた。1つの方はトランクスが持っていた。」

ブルマ「3対1か…。大丈夫よね。」

ベジータ「当たり前だ。ずる賢いのが3人集まったようだが,パワーも頭脳もこちらが上…。負けるはずはないが……別行動をとったときは気をつけねばな…」

まともに戦えばベジータが圧勝である。
しかし,これはドラゴンボールの争奪戦。戦いで勝ってもボールを奪われたらマケなのだ。
事実,ヤムチャは実戦では白星をまったくあげていないにも関わらず,現在3つのボールを保持しているのだ。
ベジータにもそれはわかっていた。だからこそたとえヤムチャといえど警戒していたのである。

ベジータ「あとの2つはもともと悟飯が持っていたはずだ。
どこか遠くでぷっつり気が途絶えていたがボールはそこにあった。
おそらくそこで待機していたのだろう。今も気は感じないが…,ボールの反応は調べられないから何とも言えんな。
相手は最低でもヤムチャのグループと悟飯だということだ」

ブルマ「二人が組んでいることも考えられるわね」

ベジータ「まぁ待て。続きがある。トランクス,ヤムチャ,パンが組みになって動いた後のことだ。トランクスがボールを持って動き出し……パンが悟飯の元へ移動したんだ」

ブルマ「ほら。パンちゃんが悟飯くんに助っ人を依頼したのよ」

パンが悟飯宅へ移動したときヤムチャは悟飯にばれないようにと気を消し,パンに連れていってもらったのだ。

天才戦士ベジータは暇を見つけながらカプセルコーポレーションのてっぺんに座り,都会の喧噪にまったく捕らわれず,精神を研ぎ澄まし世界中の大きい気の動きを観察していたのだった。

ベジータ「いや…違うな。
そのしばらくあとのことなのだがな……ヤムチャの気がパンの傍らに急に現れ,二人そろって,トランクスがいた方向へと進み出した。
オレが思うに,ヤムチャの何らかの策略で悟飯からボールを奪い去り,トランクスと合流したのだ」

ブルマ「うーん。気の動きだけではわからないしね。でも悟飯くんも油断しないほうがいいわよ。」

ベジータ「ああ。気は抜かない方がいい。……だが,おそらく敵はヤムチャたちに間違いないだろう……。
確認できれば少しは気が楽になるのだがな…」

恐るべしベジータ。ヤムチャの思っていたとおり,完全に3人がつるんでいたことを見抜いていたのだ。

ベジータは最終決戦に備え,小一時間ばかり仮眠を取るといって寝室にむかった。
このあと,ベジータたちにとって嬉しい情報が舞い込んでくることになる。

 


……カメハウス……

ヤムチャ「そう。わざとだ。」

パン「わざと!?」

ヤムチャ「3人が組んでいるってばらせば,他の助っ人がいるって思わないだろ?」

クリリン「なるほど〜〜陽動作戦ってわけですね。」

ヤムチャ「そういうことだ。わざと3人で気を発して飛んで敵の目をこっちにひきつける」

ブラ「そうか!それでいったんアジトに戻るときは飛んだのに,ここに来るときは飛行船に乗ったのか…,
あたしてっきり,ヤムチャさん,あたしを抱きたいからだと思ったわ」

クリリン「うん,ヤムチャさんなら…それも十分に…いてっ!!」
スパーンとクリリンの頭をヤムチャがたたく。

ヤムチャ「アホかっ!オレも分別あるわい!!(つーか10歳だろ……)」

 


ヤムチャたちが飛行船で,助っ人の元へと移動し,作戦を確認しあっている頃――。

ブルマの元に無線で連絡が入った。

ブラ「ママ,ビッグニュース!ビッグニュース!ヤムチャさんたちのことよ!!」
はしゃぐような娘の声がスピーカーから流れてくる。こっちにとってはいいことなのか悪いことなのかわからない。

ブルマ「ブラ!?」

ブラ「さっき伝えたわよね。ヤムチャさん,お兄ちゃんやパンちゃんたちと組んでいるって。」

ブルマ「ええ。それはこっちもわかっていたわ。それでニュースって何なの?」

ブラ「なんとブウさんも仲間になったの!ブウさんドラゴンボールを呑み込んじゃったのよ!」

ブルマ「え〜ッッ!? そっか。パンちゃんはサタンさんの孫…。ブウさんとも仲がいいもんね。困ったわね」

傍らで聞くベジータ。うめくように呟く。

ベジータ「ふん。次から次へと仲間を増やしやがって。ヤムチャの野郎。」

 

あなどれんヤツだ……

ベジータから予想外の台詞が自然と飛び出していた。

 

 

 

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