ドラゴンボール最後の願い
第25話 集う戦士たち
アジトで待機する未来トランクスの前に3つの影が現れた。
プーアルの看病をしていた未来トランクスは立ち上がって迎えた。
トランクス「お帰りなさい。……あれ?その子は……?」
にやにやしているヤムチャとパン。驚いた顔をしているブラ。事情が飲み込めない未来トランクス。
パン「あ〜〜。ホントにちょっとちが〜う。こっちのが大人ぽ〜い」
パンはトランクスに近づくと馴れ馴れしくカラダをぺたぺた触りまくった。
トランクス「ちょっ…。なっ!何するんだ!?キミは!!」
パン「なーに言ってるのよ。あんたの娘じゃない」
トランクス「娘っ!?この世界のオレに娘が!?」
目が飛び出そうなほど驚くトランクス。
ヤムチャ「やめてやれよ。パンちゃん。お前の妹だよ。妹のブラ。」
トランクス「妹!?オレに妹がいるんですかっ!?今度は本当ですよねっ!」
どっちにしても驚くトランクス。当たり前だ。いかに別次元の世界と割り切っていても元の世界にいもしない自分の妹が突然現れたのだ。
ヤムチャもびっくりさせようとしていたらしくブラのことは何も伝えてなかったようだ。
ブラ「へ〜ぇ。やっぱり本当なんだ。実はたびたびママから聞いていたのよね。
別世界のお兄ちゃん。むかーし,未来から来てフリーザや人造人間とかと戦ってくれたって。でも,この世界のお兄ちゃんとは違うんだってね。
パパったらそのへんよく理解してないらしく,ずっと前に,ママにさ
『そろそろトランクスを過去に送らなくていいのか?』なんて言ってたし。
一度は会いたいって思ってたけど……本当に会えるなんて信じらんなーい。
でもさこっちのお兄ちゃんの世界にはあたしはいないのよね…。何か複雑だなぁ」
ベラベラしゃべりまくるブラにトランクスはタジタジだ。どうやら母親に似たらしい。
トランクス「はは……とりあえずこっちの世界は羨ましいよ」
ヤムチャ「うーん,お前から見たらそうかもしれんが一概にそうとは言えない部分もあるぞ。」
ヤムチャはちらりと悟天のことを思い出した。
パン「ねぇ。それでどうやってベジータさんからボールを奪うの?」
ヤムチャ「うーん。さっきブラから教えてもらった装置があればオレが考えていた計画が使えるようだ。」
そう。ヤムチャはここに来る途中にブラから発明した機械のことを教えられていた。ブルマのかくしているボールの在処もわかるレーダーのこと。
それに,現在,普通のドラゴンレーダーにダミーの反応を示させる装置のこと。
ヤムチャはどちらも非常に便利と考え,ゆえにダミーの反応はオフにしないようブラに言った。ダミーもランダムな動きをしているし,止まったり動いたり,集まったりといった操作もある程度は可能だ。
堂々と,このアジトに帰ってくることができたのもその装置のおかげだ。
ブラ「ふーん。じゃあ作戦を教えてちょうだい。」
ヤムチャ「よし。最後の決戦に備えるか。契約している仲間たちを呼ぼうか。いや……こっちから行ったほうが早いか」
ブラ「呆れた…。まだ仲間がいるの…!?」
ヤムチャ「頭脳も実力のうちさ!!」
ヤムチャはぐいっと親指を立て,白い歯をブラに見せた。さっき食べた焼きそばの青ノリがくっついていた。
さて…ブラのカプセルから大型の飛行船を出してもらい,向かった先はカメハウス。
ヤムチャ「娘にこんなものを買い与えるとは……すげぇ一家だよな」
飛行船のコクピットに座り愚痴るヤムチャ。
運転するのはヤムチャ。ブラとパンはひっきりなしにトランクスにくっついていた。
ヤムチャ「おーい。お前ら。はしゃぐのもいいけどプーアルよく看ていてくれよな」
傍らには布団に寝かされたプーアルがいる。
相変わらず顔色が悪く,一度は下がった熱も再びあがりはじめた。
最終決戦の間は武天老師に看病してもらおうと思っていたのである。
また,飛行船で移動するのはベジータたちに気配を探られないようにと思っての行動である。
1時間半後,無事にカメハウスに到着した一行。ここは早朝だ。亀仙人が浜辺に出て体操をしていた。
亀仙人「おっ。ヤムチャか!ドラゴンボールは集まったようじゃな?」
ヤムチャ「えぇ。おかげさまで」
亀仙人「18号があさっぱらから起こされて偉く機嫌が悪かったぞ」
ヤムチャ「げっ……本当ですか…」
パンとトランクスが布団に寝かされたままのプーアルを運んでくる。
それを見て亀仙人はぎょっとする。ヤムチャの言っていたことは本当だった…と今更ながらに思い,そして後悔した。
ヤムチャ「もうしわけありませんが,しばらくの間,プーアルの看病をしてほしいんです」
亀仙人「うむ。おやすいご用じゃ。願い,叶えられるといいな」
プーアルを二階の寝室へと運び,一同はリビングへと集まった。
ヤムチャ,パン,ブラ,未来トランクス,亀仙人,ウーロン,ウミガメ,クリリン,そして18号である。
皆,ヤムチャと取引したときに,ヤムチャに「後で力を借りるかもしれない。そのときは連絡する」といわれていたのである。
未来トランクスは,18号を見ていきなり剣を抜き取ろうとした。無理もない。目の前の人物は自分たちの世界では紛れもない宿敵だ。
ヤムチャはそのことを忘れ,説得していなかったのだ。
慌ててヤムチャとパンが抑えにかかる。説明をし,トランクスも納得したようであった。
18号の表情は驚くほど穏やかで,目には光が宿っていたことも納得した要因だった。
自分の世界の人造人間の表情はまるで悪魔そのもので,まなこにはいつも殺意や復讐心といった負のエネルギーが満ちていた。奴らとは明らかに違う。
何度も対戦していたトランクスだから,そのことはすぐにわかった。
当の18号は化粧もせずに眠そうな顔である。髪もあわてて梳かしたようである。
トランクス(こんな人造人間の表情は初めてみた……)
ヤムチャ(さては昨晩やりやがったな)
トランクスが素直に驚いている一方でヤムチャは下らない詮索をしていた。
ふと外でジェットフライヤーの降り立つ音がした。
ヤムチャ「さーて。来たな。」
パン「まだいるの!?」
ヤムチャ「ああ。驚くなよ!トランクス」
こんこんとノックする音。「おう入れ」とヤムチャが応える。ガチャリとドアを開けて入ってきた男は……。
トランクス「おはようございまーす」
ヤムチャ「よう。ご苦労さん!」
そう。その男はこの世界のトランクス。
未来トランクス「えーっ!まさか……この世界のオレ!?」
クリリン「いーーっ!?トランクスが二人!?」
亀仙人「どういうことじゃ!?」
ヤムチャとパン,ブラを除く一同が驚きの声をあげる。…18号は眠そうにふぁとあくびをしていたが…。
ヤムチャは現代トランクスに気を消して連絡があるまでどこかに隠れているように指示していた。もちろん移動に使うのは乗り物であるようにと。
現代トランクス「ど…どういうことですかっ!ヤムチャさん」
ヤムチャ「まぁ座れ。説明するから」
それからヤムチャは,過去に行き,未来トランクスを連れてきたことを皆に詳しく説明した。並んで座るトランクス二人。やはり雰囲気は若干違うが双子のようにそっくりだ。
現代トランクス「そ…そうなんですか。話には聞いていましたよ。よく母にも父にも『未来から来たお前はそんなんじゃなかった』なんて叱られましたから」
未来トランクス「ぇ…そんな…。見習うところなんてオレにも…」
現代トランクス「いや…ん…まぁあの…とりあえず…よろしく」
未来トランクス「こ…こちらこそ。よろしく…。」
照れながらも互いに握手する二人。それを面白げに見ているヤムチャたち。
ヤムチャ「あはは。鏡で見ているようだな。」
クリリン「しかも声も似てるから笑えるなぁ〜。うっひゃっひゃっひゃ」
18号「……で,さっさと本題に入ろうぜ。」
うんざりするように18号はぼそっと言う。寝起きでまだ機嫌が悪いらしい。
ヤムチャ「そ…そうだな。皆にも覚えてもらわないと…」
ウーロン「ホントにオレも参加しなくちゃいけないのかよ〜〜」
ヤムチャ「ああ。頼むぜ。ウーロン。
………おそらくこちらの気の動きは完全に察知されている。一緒に行動していたトランクス…それにパンちゃん…。ベジータはオレの仲間だということに気づいている。
そう思っていいだろう。」
未来トランクス「…じゃあ別行動なんかしたら怪しまれてしまいますね…。」
パン「じゃあ…どうすんのよ〜。このメンバーじゃまともに戦ってもベジータおじさんにはかなわないわよ!」
18号「当然…いい案があるんだろうね?」
ヤムチャ「ひっ!に…睨むなよぉ…。あるさ…。勿論ね。」
ブラ「うまくパパたちを出し抜けるの!?」
現代トランクス「もったいつけないで教えて下さいよ」
ヤムチャ「ああ。だがあと一人ほど助っ人がいる…。それは…」
そしてヤムチャは語りだした。
ベジータとブルマを出し抜く計画の一部始終を!
果たしてヤムチャの作戦はうまくいくのだろうか…。
そして……
ブラは…本当に味方なのだろうか!?
ウーロンは…前みたいに先に願いを叶えてしまおうと思っていないのだろうか!?
18号は…そもそも手伝ってくれるのだろうか!?
ウミガメは…何か役に立つのだろうか!?
多くの疑問を含みながら,いよいよベジータ&ブルマとの最終決戦へと舞台は移っていく。
次回予告
おっす!オレ,ヤムチャ。
ついに最終決戦だぜ。いやいや長かったなぁ。えっ。肝心のオレが結局負けてばっかりだと!?
冗談だろー。まっ。いっか。
次回。『ドラゴンボール最後の願い』第26話
お楽しみになっ!
全然予告になってねー。