ドラゴンボール最後の願い

 

第23話 ヤムチャvs最強の戦士

 



パン「はい。パパ。お疲れさまぁ」

サタンの別荘の庭で真っ白な椅子に腰掛け新聞を読む悟飯。
円形のテーブルは参考書らしき分厚い本が何冊か乗っている。
別荘の裏手にあたるここはグラウンドほどの芝生が広がっておりその周囲には鬱蒼と森が茂っているのだ。
見晴らしがいい場所なのでどこから敵が襲ってきても悟飯なら対処できるだろう。
そう。最強戦士悟飯はエモノが自分の方から寄ってくるのを待っていたのだ。
一番油断にならなかったのは父である悟空だった。
たとえパワーが勝っていても自分の癖を完全に知られているし,何より多彩な技で逆転される可能性もあったのだ。それほど悟飯は悟空を警戒していた。尊敬もしていた。
だが,その父はブウに吸収されリタイヤした。
今や悟飯が恐れる相手はいなかったのだ。

パン「はい。パパ。コーヒーできたよ」

悟飯「ありがとうパン。」

パン「パパぁ,どれくらいボールたまった?」

ズズ…っとパンの入れたコーヒーに口をつける。

悟飯「はは…。ごめんごめん。まだ一個なんだ…」

パン「なぁんだ。もっと集まってるかと思ったのに…」
つんと唇を尖らせるパン。

悟飯「できるだけみんなを傷つけたくないからね。」

パン「さすがパパ!コーヒーおいしい?まだまだあるよ」

悟飯「ああ。パンの入れてくれたコーヒーは…格別だな」

パン「えへへへ」

悟飯「でも…必ず全部集めて見せるからね…パン……弟ほしがってただろ?
もうすぐ…できるからね……」

まぶたが重そうになっている悟飯。

パン「え…?」

悟飯「ん…何だか眠くなっちゃったな……。無理もないな…。気をはり…すぎ……」

パサっと悟飯の手元から新聞がずり落ちる。

パン「パパァ!!」
悟飯を必死にゆするパン。しかし悟飯は起きそうもない。

パン「どうしよ…どうしよ…。パパ…あたしの弟を……」
パンの目には涙があふれている。

そう。パンはヤムチャの提案でコーヒーに睡眠薬をもったのだ。いかに強いサイヤ人であっても薬物とそしてそれがもたらす生理的欲求にはかなわないのだ。

悟空がウィルスにかなわなかったように…。

ヤムチャ「うまくいったようだな……。」

気配を消して森の中に隠れていたヤムチャが現れた。

ヤムチャ「悟天とベジータが戦っていてくれたお蔭でそっちばかりに気を取られていたようだな…。オレとパンちゃんが一緒に行動しているのがバレずにすんだ。」
なぜか説明口調で呟くヤムチャ。

ふと見るとパンはぐっすり眠っている悟飯を起こそうとしている。泣きながら。

ヤムチャ「ど…どうしたの?パンちゃん。大丈夫だって。毒じゃないんだから」

パン「パパは…パパは…あたしの弟をつくるために……ドラゴンボールを…」

ひっくひっくと嗚咽しながら。

ヤムチャ「え……。あ……。そうか…聞いたことがあった」

パン「え?」

ヤムチャ「ビーデルさんが原因不明の不妊症なんだ。つまり子供を作れないんだよ。何年か前に相談されたことがあったなぁ。
そのときお勧めの医者を紹介したんだが…ダメだったのか…」

ちょっと暗くなるヤムチャの表情。何か悪いことしたな…とぐっすり眠っている悟飯の寝顔を見ながら思った。

パン「……パパ……ごめんね……」

ぽつりと呟くパンにヤムチャの心はズキリと痛んだ。
そこへ……
「お〜い」
空から声がする。

この声はピッコロだ。

ヤムチャ「ピッコロ!?」

ピッコロが広い庭に着地する。何か凄く嬉しそうな顔で。

ピッコロ「む…ヤムチャ?なぜキサマがここに?…悟飯は?」

露骨にいやな顔をするピッコロ。

ヤムチャ「い…いいじゃないか…」

パン「それより何のようなの?ピッコロさん」

ピッコロ「喜べ。パン!お前の弟ができるぞ!」

パンの方をみてヤムチャに向けた表情とは正反対の表情を浮かべるピッコロ。

パン「ホントッ!?」

ヤムチャ「なにっ!嘘じゃないだろうな!」

ピッコロ「キサマにはいってないだろ…」
いきなり下がるピッコロのテンション。

ヤムチャ「そこまで嫌うなよ……」

ピッコロ「どうやらビーデルの不妊症の原因は悟飯がナメック星にいったときに持ち帰ったウィルスらしいのだ。どうやら悟飯…カエルでしたらしくてな…」

パン「したって…何を?」

ヤムチャ「そりゃぁマス…」

ゴンッッ…とピッコロの拳がヤムチャの脳天めがけて振り下ろされた。

ヤムチャ「いてぇぇぇっっっ。だったらいうな!」

ピッコロ「そのことを界王神さまに聞きに行ってな。それでだ。界王神さまがじきじきにビーデルの不妊症を治療してくれるそうだぞ。まぁ悟飯たちがブウ退治してくれた御礼だそうだ。」

赤い目をしたパンの顔がほころぶ。涙もあっという間に乾いたようだ。

ヤムチャ「よかったな!パンちゃん!」

ピッコロ「……でキサマはなぜこんなところにいる?」

ヤムチャ「い…いいだろ!」

ピッコロ「それよりドラゴンボールはどうした?」

ヤムチャ「し…知るかよ!ベジータが奪っていったんだろ!」

ぎくっとしたヤムチャ,ちょっとハッタリをかます。

ピッコロはため息をつきながらどかっと空いている椅子に座った。

テーブルに飾ってあった花瓶から花をとりだし,ズズっとその水を飲んだ。

ヤムチャ「それ…飲むものでは…」

ピッコロ「まぁいいさ。オレはリタイヤだ。…悟飯の人生だ…。オレはこいつをただ見守ってやることしか出きんが…」
花瓶に花を戻しながら,ピッコロは悟飯の寝顔をじっとのぞき込んだ。

パン「あのピッコロさん…何か飲む?」

ピッコロ「いや…いい」

そう言ってテーブルに両手で頬杖をつきながら悟飯の顔をじぃっと見ているピッコロ。

ヤムチャ(こ……こいつ…やばくない?)

ピッコロ「ウフ…」

ヤムチャ「げっ!」

ピッコロはすっと立ち上がると再び悟飯の方をチラっと見て天界へと帰っていった。

パン「ピッコロさん…可愛そう…。ピッコロさんもパパと一緒にいたいんだね」

ヤムチャ「お…おう。そうだろうね…」

パン「今度,あたしもパパを誘ってピッコロさんのウチに遊びにいくよ」

ヤムチャ「う…うん,それがいいんじゃないか?」

ヤムチャはピッコロのやばい一面を見た気がしたが,それはパンには黙っておくことにした。

パン「……で,さっきのカエルがどーのって何のことなの?」

ヤムチャ「えーと…。まぁ今度正しいやり方も教えてやるよ。丁寧にね」

パン「わーい,やった。約束だらからね!」

ヤムチャ「いひひ…パンちゃんがいいならね…」

やばいのはピッコロだけなく,ヤムチャ自身のほうでもあった。

 

悟飯を寝室に運び,悟飯が懐に隠してあったドラゴンボール2個を手に入れたヤムチャとパン。
いったん,未来トランクスの待機しているアジトへトランシーバーで連絡を入れる。
サタンから譲り受けた1個のボールは,未来トランクスが持っている。

ヤムチャ「無事,2個のドラゴンボールを手に入れた。
だが,他の誰かに動きを知られてはまずい。
3個のボールがそろったら直ちに行動に移すだろうからな…。ここで作戦を練りながら
指示する…」

パン「ねぇヤムチャさん。…残りのボールの反応がないんだけど…」

パンがレーダーを見ながらヤムチャに言う。

ヤムチャ「やっぱりな…。ここの2個とトランクスの持っている1個の反応だけ…」

パン「どういうこと?」

ヤムチャ「敵はベジータとブルマペアってことさ。汚いマネしやがって。怪しいと思ってたがこれではっきりした。
ここへ来る途中,ベジータと悟天の気を感じたろ。どうやらベジータが悟天を倒してボールを奪ったようだ。
悟天が持っているときには反応していたのに,ベジータが奪ったとたんいきなり消えるのもおかしい」

眉をひそめるパン。

パン「それでどうしてボールが消えちゃったのよ〜」

ヤムチャ「このレーダーはドラゴンボールから発する微弱な特殊な電波を捕らえているって知ってるよな。ブルマが言うところによると動物が飲みこんだりするとその電波が遮られるらしいんだ。
おそらくブルマは同じようにボールの電波を遮るものを発明したのんじゃないか?
あるいは,本当にでかい動物に呑み込ませているとか……。それはないかな」

ヤムチャとパンは森の中のほったて小屋にボールを持って移動し,未来トランクスと連絡をとりあいながら作戦を練ることにした。


 

さて……いよいよベジータと全面戦争に移るのか…と緊張に包まれるヤムチャだったが……。ここで思わぬ強敵が立ちはだかることになる。

 

 

 


現在のドラゴンボールの状況

ベジータ&ブルマ(4),ヤムチャ&パン&未来トランクス(3)


 

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