ドラゴンボール最後の願い
第18話 ドラ息子vs宇宙の帝王
カプセルコーポレーションに着いたベジータ。あたりをぐるっと見回す。
ベジータ「どうやら家は破壊されていないようだな…むっ。」
ベジータが見たのは庭で爆発したような機械の残骸。ただごとではない。
普段ならまたブリーフかブルマのくだらん発明品だろと思うのだがこのときはかなり焦っていたようだ。
やはり嫌な予感は当たった…と，血相を変えて，部屋を探しまくるベジータ。
ブルマ「あれ？ベジータ。おかえり。ボール見つかった？」
研究室からのほほんとしたブルマの声。あっけにとられたようにブルマを見つめるベジータ。
ベジータ「……。」
ブルマ「どうしたのよ…。今日のあたし，そんなに美人？」
ベジータ「それほどでも…。いや…そんなことよりフリーザが来なかったか！？」
ブルマ「はぁ？フリーザ？何で？ 生き返ったの？」
ベジータ「わからん……が…間違いない。今もヤツの気を感じる」
ブルマ「ど…どういうこと？」
ベジータ「ふん。まぁどうせ残党どもがバイオテクノロジーでやつを復活させたとかそんなところだろうぜ。心配するな。今のオレのほうが遙かに強い。」
ブルマ「で…でも油断しないほうが…」
ベジータ「まぁな。地球を崩壊させることもありうるしな。まぁいい。これから消しに行ってくる…。…そうだ。一つ気になることがある。
ヤツもドラゴンボールを探しているようなんだ。ドラゴンレーダーを持っていた」
ブルマ「…えっ！？」
ベジータ「まぁヤツもドラゴンボールが地球にあることを知っているからな。集め始めたとしても不思議ではない。
おおかた，通りすがったヤムチャあたりをミンチにして奪ったのだろうがな」
ブルマ「まぁ。そんなところね。
…あっ。そうそう。ドラゴンボールといえば…今，誰かがもう３つ集めているのよ」
ベジータ「カカロットか！？ ……ん？いやカカロットじゃない。やつはまだブウと戦っているようだし……。場所を教えてくれるか？」
研究室に入っていく二人。レーダーで方向を確認する。そしてベジータはその方向へ神経を研ぎ澄ませる。
ベジータ「この気は…悟天」
ブルマ「へぇ。やるわね。悟天君」
ベジータ「よし。奪いに行ってくる。フリーザの野郎も近いところに気を感じるし。一石二鳥だ。」
ブルマ「ちょっと待ってよ。行動にはまだ早いわ。
あたしたちのボール以外，全部集めさせるまで待つのよ。
そういう作戦でしょ。動きを知られたら厄介よ。孫くんや悟飯くんに」
ベジータ「悪いが待つのが苦手な性分でな……。案ずるな。敵じゃない」
ブルマ「ちょっ……ベジータ……もう！」
ベジータは脇見もふらずにかけだした。作戦がパアになってしまわないか不安な様子で見送るブルマ。
ベジータが残していった銀色のボックスを見ながらため息をつく。ドラゴンボールをこの中にさえいれていれば決して誰にも位置を知られることはない。たとえベジータがやられたとしても。
だが，それだけでは意味がないのだ。他の６つのボールも揃えぬ限り。
そのためには相手を出し抜かなければならない。おそらくボールを集めるであろう悟空か悟飯はベジータより力が上。彼らに今，行動を知られるのは決して有益とは言えない。
ブルマ「はぁ……バレなきゃいいけど……」
ブルマが再びため息をついた。
フリーザ「ふふふふ…今にみていろよ。ベジータ…そして猿ども。
ドラゴンボールで今にキサマらにめにもの見せてくれる！」
ドラゴンレーダーを見ながら爆走するフリーザ。海上を低空飛行しているので，今にも海がわれんばかりの勢いでしぶきがあがっている。
フリーザ「おっと…このボディは海水につけるとさびるんだったね。いけない，いけない」
空高くへ舞い上がるフリーザ。
フリーザ「ふふふふ。まさか一気に３つも手に入れられるとはね。案外早く集まりそうだよ」
彼は今，レーダー上に映っている３つのボールの場所に向かっている。そう。悟天の場所だ。宇宙の帝王とバカ息子の激突は避けられそうにもない。
悟天のほうも自分に近づく邪悪な気に感づいていた。
悟天「何だ！？バカでっかい気が近づいて来るぞ！？ボクの知らない気だ！誰だ！？」
やがて悟天の目がその気を発する邪悪でまがまがしい存在をとらえた。
フリーザの方はじょじょにスピードを落としてきているものの，落ち着かない様子でレーダーと目の前の青年を交互に見比べている。
フリーザが完全に停止した。悟天の１０ｍほど先で。
フリーザ「ドラゴンボールの反応はキミからしているようだ…。そうか。キミも集めているようだね。持っているだろ？ドラゴンボール」
悟天「……なんだ？このヘンテコなロボットは……」
フリーザ「…しかしあんなにでかいドラゴンボールをどこに３つも隠し持っているんだい？ははあ。地球の技術か。捨てたものじゃないね」
悟天「あはははは。何か変なことしゃべってる！へぇ。すごいなぁ」
フリーザの言うことを無視して，全く関係ないことをほざいている悟天。フリーザのダミ声が空に響く。
フリーザ「話をきけっ！…ボールをよこしてもらおう。まさか地球人が空を飛べるほどの力があるとは思わなかったけどね。当然，ボクにはかなわない」
悟天「ははぁ……ブルマさんの作ったロボットか…。ドラゴンボール収集ロボットか。作戦ってそれだったとはね…。」
フリーザ「キサマ……。いい加減にしろよ…」
キレる寸前のフリーザ。今日の彼はいつもより気が立っている。日に二度もおちょくられたのだ。こんなことは今まで一度もない。まぁその記録は今日さらに更新されるのだが…。
悟天「しっかし…。センス悪いなぁブルマさんも。もっとカッコイイマシンにすればいいのに！」
フリーザの怒りが臨界点を超えた。
フリーザ「小僧！！」
フリーザが悟天に飛びかかる。フリーザのアイアンナックルが悟天に突き刺さる……はずもなく，かるがると避けられてしまった。
既に悟天は超サイヤ人になっていた。
フリーザ「はぁっ！？ …お前も超サイヤ人なのか！？…しかもこれで…何人目だよ！！」
悟天「はぁ……？ 何かさっきからうるさいぞ！このＡＩＢＯ！」
フリーザ「誰がＡＩＢＯじゃァ―――！！！！」
またしつこく指からのレーザー攻撃。やはり悟天には当たらない。当たったとしても大したダメージにはならないだろうけれど。
フリーザ「ふーっふーっ……」
悟天「お前なんか……どっかに行っちまえ〜〜〜！！か…め…は…め…」
フリーザ「サイヤ人のバカァ――――！！」
悟天「波ァァァ！！」
悟天のかめはめ波がフリーザの悲痛な叫びをかき消した。
かめはめ波に呑まれ，どこかにすっ飛んで行ったフリーザ。
果たして彼の未来に希望はあるのだろうか。いや，あるまい。
現在の状況
悟天（３），悟飯（２），ベジータ（１），ブウ（１）