ドラゴンボール最後の願い

 

第17話 師弟対決!孫悟飯vsピッコロ

 



 
運命とは何て残酷なんだろう…と悟飯は思っていた。

悟飯が向かい合っている相手は師匠であるピッコロその人であったから…。
このドラゴンボール争奪戦が始まる前から懸念していたことではある。
だが,どうにかしてピッコロとは遭遇しないように…

ブウか悟空かベジータにでもとっととやられていてくれればこんな最悪なことにはならなかったのに…と思っていたのに。
この偶然はひどい。神を恨んでやりたい。悟飯は心の中で叫んでいた。まぁ神といってもデンデであるが…。

 

もちろんピッコロにとっても最悪だった。

弟子である悟飯となど戦いたくもない。
その上,現在の地球上では最強の戦士である。パワーでは悟空をも上回る。当然,自分なんかがやりすごせる相手ではない。
さらに自分の願いに直結している人物である。願いを知られようものなら何と罵られるかわからない。
サイヤ人戦前に危惧していたことが今になって現実となるとは…。そうつまり自分にとってもっとも厄介な敵になること…。

 

双方,微動だにせず,互いに見つめ合っている。

悟飯「あ…あの…」

ピッコロ「あ…おい…」

同時に声を発した二人。気まずい雰囲気がさらに気まずくなる。

悟飯「あっ…えっ…あの…何か?」

ピッコロ「あっ…いや…その…ん?何だ?」

再び,最悪のタイミングで尋ねあう二人。

悟飯「いや…あの…ピッコロさんボール持っているようですね…」

ピッコロ「ああ…まぁな…お前も…な!」

悟飯「え…えぇ……はい。見つけましたから…」

また沈黙が流れる。

ピッコロ「ま…まだ聞いてなかったな……お前の願いは何なんだ?」

悟飯「……は…はい。家内…が…」

ピッコロ「け…けんかしたのか!? けんかしたら天界に…」

悟飯「ぃ…ぃぇ…仲はいいですよ…」

ピッコロ「ちっ……。そうか…。で…?」

悟飯「はい……。家内が…どうやら子供を作れない病気に罹ってしまいまして…どこの医者に診てもらってもダメで……」

ピッコロ「まだ子供作るのかっ!?」

悟飯「いけませんかっっ!!」

ピッコロ「いや……いい……けど…さ……」

悟飯「やっぱり子供はかわいいですよ…。それにパンも兄弟がほしいだろうし…」

ピッコロ「何でそういう悩み事をオレに言わんのだ…」

悟飯「えっ!?ピッコロさん治せるんですか!?魔法とかで!?」

ピッコロ「治せんが……卵産んでやるから!!」

悟飯「……いや……いりません………」

ピッコロ「そうか……。じゃあ…ミスターポポの針治療を受けに来い!毎日天界に!夫婦そろって…な!…毎日6時間」

悟飯「6時間!?…無理ですよ…それは…。それにポポさんの針治療って効くんですか…」

ピッコロ「いや…しらん…。できるかどうかも……」

悟飯「は……!?

……というか…ピッコロさんはどんな願いを叶えるんですか?まさかピッコロさんが参加するとは思いませんでしたよ。」


どうにかして悟飯の願いをやめさせようと必死だったピッコロ。いきなり話を返られタジタジになる。話をそらそうとするが,悟飯にしつこく聞かれ……


ピッコロ「オ…オレは…オレは悟飯ともっと一緒にいたいんだぁぁぁぁ!!
お前が子供だったあのときのように…。お前と一日中べったりとくっつきまくって語り合ったあの日のように…!
気…気にくわなかった…。はっきり言って…。ビーデルもパンも…。オレの大事な悟飯を……独り占めしやがって。オレの悟飯をだ!!
おかげで……今は孤独だぜ。」

緑色の顔を真っ赤にしてありったけの声で叫ぶピッコロ。

悟飯「本当にそうなんですか……デンデもポポもいるじゃないですか」

ピッコロ「あいつら二人でラブラブなんだよ。天界の秘密の部屋で…毎日…愛を語り合っている。所詮,代々の神など絶対神ポポの性のはけ口なんだよ」

悟飯「ホントですかっっ!!??」

ピッコロ「そんなことはどうでもいいのだが……。
     まぁ恨んじゃいないさ。悟飯。オレが孤独でも。
     お前の選んだ伴侶とお前の子だ。憎いわけがないだろ。最初だけだ。殺したかったのは」

悟飯「はは……。………え!?」

ピッコロ「冗談だと言っておろうが。」

悟飯「ははは(ホントかな…)」

ピッコロ「……でだ。お前には戦っても勝ち目はないし。
     ましてやお前の妻がそんな状況ならな……。譲るしかあるまい…。
     弟子を裏切るなんて元神失格だしな」

悟飯「そんな…ボク…ピッコロさんを攻撃なんてできませんよ……」

そういいつつもピッコロのボールを受け取る気まんまんの悟飯。

ピッコロは懐からドラゴンボールを取り出す。

まさかこんなに早く,見つけたボールを失うことになるとは思っていなかったが,悟空やベジータに奪われるよりずっといいだろう。

すっと悟飯にボールを差し出すピッコロ。悟飯の手も伸びる。悟飯がボールを掴もうとしたとき…バッ……と腕とともにボールを悟飯の頭上へと移動させた。

スカっと悟飯の手が空を切る。

悟飯「……。」

ピッコロ「やーい。やーい。ひっかかった!とってみな!」

悟飯「ピ……ピッコロさん………」

せっかくだから悟飯と戯れようじゃないか…そう思ったピッコロの精一杯のお茶目。

ピッコロ「ほーら…ほーら…。腕も伸ばしちゃうぞ……」

悟飯「ふざけ…ない…でくだ…さいよ…。ぶ…ぶっとばしますよ

シュルシュルシュル・・・…。無言で腕を縮めるピッコロ。

ピッコロ「よし!じゃあ頑張れよ!」

悟飯「はい!!ありがとうございます!」

ピッコロからボールを受け取り,満足そうな表情の悟飯。

ピッコロもにぃっとほほえむ。どこかひきつった微妙な笑みを浮かべて。

 

 

現在の状況

悟天(3),悟飯(2),ベジータ(1),ブウ(1)

 

 

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