ドラゴンボール最後の願い

 

第十話 ピッコロの章 〜再会〜

 


――とあるさびれた街。古めかしい石造りの家が立ち並んでいる。

その中の一件にピッコロは目星をつけた。
ドラゴンレーダーがそこにドラゴンボールをあることを告げているのだ。

ピッコロ「既に人の手に渡っているようだな。交渉するしかあるまい。」

ボロボロになった木の扉を軽くノックするピッコロ。
中からイラだったような老人の声が聞こえる。

「はいはい。何だい?」

ピッコロ「すまんが,開けてくれ。譲ってほしいものがある」

「あいにくウチにはあんたに譲るようなもんなんかないね。帰ってくれ」

あくまで扉を開けようとしない家の主人。が,ピッコロは落ち着いたもの。

ピッコロ「……そういうな。お前の望むモノを何でもあげよう……と言ったらどうする?」

ギィ…と扉がわずかに開かれ,中から子供の背丈ほどの老人が現れた。

「本当か……?」

奇妙な老人。額や目尻に刻まれた深いしわが彼の苦労を物語っているようだ。
何より彼の肌は不気味なほど青かった。

妙に似合っているチャイニーズハットをかぶり…そして服にはでかでかと『炒飯』…と。

ピッコロ「キサマ……ピラフ!!」

ピラフ「え…!?ぎえぇぇぇぇぇッッッ。ピッコロ大魔王……さま…」

腰をぬかしてその場にペタンと座り込んでしまった。奥から老いた声がピッコロの耳に届く。

「ど…どうしました!ピラフさま!」
「どこのヤロウですか!」
ドタドタと二人が走り寄ってくる。そしてピッコロを見て同時に声をあげた。

ピッコロ「なるほどな…。連れも一緒だったか」
ピラフの部下…シュウとマイもピッコロが受け継いだ記憶にある姿からずいぶんふけこんでいる。無理もない。あれから36年も経っているのだ。

ピラフ「……ピ……ピッコロ大魔王さま…相変わらずお元気そうなんですね…。てっきり死んだと……あ。いえいえ。…そ…それで何しに…」
ピッコロ「…ここにドラゴンボールがあるはずだ。それを頂きたい。」
ピラフ「え!?ぎぇぇぇ〜〜」

座ったまま後ざすりするピラフ。同じく腰を抜かしているマイがピラフに耳打ちする。

マイ「ピラフさま!まさか世界征服のことがバレたのでは…」
ピラフ「バカな!? これほど綿密に計画しているのに…」
ピッコロ「ほぉ。また世界征服など企んでいるのか…。こりんヤツめ。」
ピッコロの地獄耳がピラフたちの会話を拾った。
ピラフ「げっ!やっぱりバレてる!」
ピッコロ「どうやら……キサマらずっと世界征服を企んできたようだな。」
シュウ「ど…どうしましょう…。きっとピッコロのやつ…自分の世界征服を邪魔されたくないから…」
ピラフ「ばかっ! 『やつ』なんて言うな!!」
ピッコロ「愚か者めっ!」

ピラフたちのやりとりをピッコロの怒鳴り声が遮る。

ピラフ「ひぃっ!」
ピッコロ「なぜそうまで世界征服にこだわる!? 光に満ちた表の世界を歩こうと思わんのかっ!?」
ピラフ「ピッコロが変なことゆってるぅ!?」
ピッコロ「キサマ……昔は結構な金持ちだったそうじゃないか…。一生,遊んで暮らせるほどの財を蓄えていたんだろう?
しかも落ちぶれてもなおキサマを慕っている部下まで持ちながら…。
なぜ気づかない…。邪悪な企みを持っていた故にここまで落ちぶれたということを…!」

ピラフ「うう…。
私は……私は……気づいていたんだァァァァーーー!!!
世界征服を企むほど落ちぶれていく自分に……!
悪い気分だった…。だが…それでも私に従ってくれるこの二人のために…
進むしかなかった。……間違っているのはわかっていた…しかし……
もう一度…人生に華をさかせたかったんだぁぁぁ!」

ピラフの大きな目から滝のように涙があふれ出した。
ピラフの演説を聞いてマイとシュウも涙を流し,ピラフに抱きついた。

ピッコロ「ピラフよ……。たとえ,キサマが邪悪な意志で世界征服を達成させたとしてもそれは一時の栄華にすぎないだろう。
オレのオヤジがそうだったように…。
せめて…人生の最後くらい……野望を忘れ心にゆとりを持って生きてみたらどうだ?」

そう言ってピッコロはピラフに何かを差し出した。
ピッコロ「これで……表の世界の素晴らしさを…見てくるがいい」
それは魔法で出された世界一周旅行のチケット3枚であった(もちろん偽造)。
3枚のチケットと代わりにピッコロはドラゴンボールを得た。

これですべてのドラゴンボールが争奪戦に参加している者の手に渡った。さて…ここからは熾烈な奪い合いが始まるのであろう。

 


今のドラゴンボールの獲得状況

ミスター・ブウ(1)…ただし今はドラゴンボールを巡って悟空と交戦中
ベジータ(1),天津飯(1),悟天(1),現代トランクス(1),ピッコロ(1),悟飯(1)



 

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