ドラゴンボール最後の願い

 

第四話 ヤムチャVSクリリン&18号

 


そのころ――。

 

ヤムチャ「さ〜て。飛び出してきたはいいが…これをどうやって守ったらいいだろう。」

海上を飛びながらヤムチャは悩んでいた。
悟飯やベジータなどは遥か遠い所にいるので今のところ安心であるが,いつ目につけられ襲ってくるかわからない。
瞬間移動できる悟空は地球の裏側でブウと戦っているようで,彼らにもまだ奪われる心配はなさそうである。
ヤムチャ「とりあえず作戦を考えるか…! ん?何だ?…げっ!」
遥か水平線の彼方から恐ろしいスピードで何かがやってきた。みるみる大きくなってくるそれはまぎれもなく18号…と彼女に背負われたクリリンだった。
18号は小物に出し抜かれた怒りからかあの日なのか異常に恐ろしい表情だ。
ヤムチャはそれを察し逃げもせず彼らが追いつくのを待っていた。逃げても同じだろうし…。
二人がヤムチャの前に立ちふさがった。

ヤムチャ「くそっ…クリリンは気を消して18号に背負われているとは接近に気がつかなかったぜ…。や…やるじゃないか……」
いちいち言わなくてもいいのだが,何とか時間をかせいでいい案がないか思考をめぐらしている。
クリリン「ヤムチャさん。悪いけどボールをもらいますよ。戦っても無駄ってのはわかるはずだ」
ヤムチャ(くっ。くそっ!クリリンだけならたぶん何とかなっただろうに…!あいつもオレみたく修行してないだろうから…)
18号「おい!クリリン。さっさと奪っちゃおうよ。」
クリリン「そ…そうだな。ヤムチャさん。恨みはないけど覚悟して下さい!恨み……たぶんないよな」
さっと構えをとるクリリン。白髪の目立つおっさんだが,年齢は自分より若い。さらに――身体からあふれる気は自分よりも……上……。

――やばい!界王拳つかってもまずいかも…。いやもともと18号がいるんだからまずいんだけど――混乱してわけのわからないことがヤムチャの頭をかけめぐる。

ヤムチャ「ま…待てよ!お前らの狙いはなんなんだ」
クリリン「え…ドラゴンボールですけど……」
ヤムチャ「そりゃまぁそうだな…!頼む!見逃してくれ!プーアルがしんじまうんだよ!重い病気なんだ!」
クリリン「プーアルが!? またどうせ嘘でしょ。それにオレらも切実な問題が――」
ヤムチャ「な…なんだ?切実な問題って…?」
18号「もうやっちゃいなよ!」
ヤムチャ「え…?何なんだよ!」
クリリン「ヤムチャさんには関係ないでしょ!」
ヤムチャ「か……関係なくはないぞ…!オレらは仲間だろ!いつも苦難をのりこえてきた――。
それに,お前らはプーアルの命を犠牲にしてまでも自分たちの願いを叶えようとしているんだ!
何の願いかぐらいオレも知る権利はあるだろう?」
ひたすら時間を稼ごうと意味不明な理論を口走っているヤムチャ。

18号「うるさいなぁ。もうあたしがやっちゃうよ!」
ヤムチャ「げっ!ま…待ってくれよ!何の願いかだけでも…オレに助けになれることがあれば…」
クリリン「何度も言いますがヤムチャさんには関係ないでしょ!オレら夫婦の問題…」
ヤムチャはクリリンの言葉を聞き逃さなかった。『夫婦の問題』。そう確かにクリリンはそう言った。
ヤムチャの頭脳が目まぐるしく動く!

夫婦の問題――…つまり彼らの悩みはオレの専門である性の問題に直結しているはず!
ヤムチャはあえて冷静ぶって言い放つ。

ヤムチャ「夫婦の問題とな!?ふっふっふ。」
18号「何がおかしい!!」
ヤムチャ「なるほど…お前たちが叶えようとしているのは性の問題ということか…」
ボッ…っと赤くなるクリリンと18号。当たったとほくそ笑むヤムチャ。だが,クリリンはわなわなと震えて大声を張り上げた。
クリリン「あんたにはわかんないだろうよォォ!!オレの悩みなんかをぉ!
もういい!気円斬であんたのあそこもぶっちぎってやるぅ!!!」

ヴヴヴ―――ンッ。クリリンの手に円盤状の気の塊を生み出す。

ヤムチャ「ま…まずい!!」

気円斬が発射された。恐るべきスピードで正確にある部分へと向かってきた。が…ヤムチャはズボンの股間部分をちぎっただけで何とか交わすことに成功した。

気円斬はどこかに飛んでいってしまった。クリリンの技術では操作はできないのが幸いしたようだ。
ヤムチャ「ふぃ〜。おまえ…と…とんでもないことするなぁ。当たっていたら……想像もしたくねぇぜ……」
クリリンも18号もヤムチャのさらけ出された股間をじぃっとみている。
クリリン「ま……参りました!!」
ヤムチャ「はぁッ!? …いや…だから何なんだ?悩みは?シモのことならオレに任せろ」
クリリンはどもりながらもインポであることを明かした。
ヤムチャ「インポ!? …そんなことを神龍に頼む気だったのか!?」
クリリン「そんなことって…」
18号「それで…治せるのか!?」
ヤムチャ「あったりまえだろ〜〜。オレなんか………」 

自分の武勇伝を語り出すヤムチャ。クリリンも18号も顔を赤くしながら興味津々に聞き入っている。

ヤムチャ「……で,治療法なんかオレがばっちりしっているぜ。よく効く漢方もよく知っているしな!オレが神龍より優しくわかりやすく教えてやるぜ!」
クリリン「わ……わかりました…。ヤムチャさんにすべて任せます。お願いします」
18号「嘘だったら殺すからな!」
ヤムチャ「は……はい。……でもオレがちゃんと願いを叶えてからだぜ」
クリリン「わかりました。」

去っていくクリリン夫妻を見送りながらヤムチャは胸をなで下ろした。
そしてリュックの中のカバンを見て無事に1個のドラゴンボールを守り抜けたことを確信した。

ヤムチャ「どうなることかと思ったが……ひやっとしたぜ。芸は身を助けるとはまさにこのことだな。よーし!この調子で…残り6個もいただくぜ」

しかしヤムチャは浮かれていて2つの影が自分に迫っていることにまったく気づいていなかった。

?「どうやったのかしらんがボールを手に入れたようだな…まぁいいまたレーダー同様奪ってやるか。行くぞ!餃子!」
?「うん!天さん!」

はてさて…ヤムチャを狙う怪しい影の正体は一体……?

 

 

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