ドラゴンボール最後の願い

 

第三話 ヤムチャVSウーロン・亀仙人

 


ヴンッッッ――。

 

亜空間を抜け,タイムマシーンが現世に現れた。

ヤムチャ「あ…ありゃ…砂漠?」
マシーンが出現した場所はヤムチャのアジトのある砂漠。

ヤムチャ「いっけね。場所間違えたか?カプセルコーポレーションに行きたかったのに」
トランクス「いえ。このマシーンの性能でしょう。指定した時代もずれている可能性があります」
ヤムチャ「え!?マジ!?……げっ。ホントだ。みんなの気が天界に集まっている…」

気をさぐるヤムチャ。トランクスも動転している。

トランクス「…父さんの気も感じる。やっぱりヤムチャさんの言ったことはホントウだったんですね!」
ヤムチャ「ぁ…ああ!だろ!?なーんて言っている場合じゃないな。実は一日前に着いてボールを先取りするつもりだったんだが…。
いや…オレはバカだ。一年前に行ってれば……。いや…それだとパラドックスが生じて…パラレルワールドになっちゃうから…それは1日前に着いても同じか…?
あー!もうワケわからん!ま,いいや!もうしょうがねぇ!
えーとトランクス。お前はタイムマシーンをカプセルに戻して,ここから南へ5kmほど行ったところにあるオレのアジトで待機していてくれ。えーと,千錘百煉と書かれた岩山だ。ヘタに出歩くなよ。
あ…あとプーアルの看病も頼む。あ…みんな出発しそうだ。まずい。じゃあ頼んだぜ。あとで来るから。じゃ!」

トランクス「あ…あの…」
一方的にトランクスをまくしたて飛び去ってゆくヤムチャ。トランクスはただ呆然と見送るしかなかった……。

 


カメハウスへと必死に飛んでいるヤムチャ。
早くも広い海原へと出た。カメハウスはもうすぐそこだ。
ヤムチャ(とりあえず,ドラゴンレーダーを頂くとするか。武天老師さまは集めないだろうし……)

ザッ!カメハウスの前に降り立ったヤムチャ。あまりにも急いで来たので肩が上下している。だがゆっくりはしていられない。もう既に皆,天界を出発していた。

ヤムチャ「ごめんください。武天老師さま…おじゃまします」
ドアをノックして扉を開ける。

亀仙人「げっ!ヤムチャ」
ウーロン「やばっ…見つかった!」
ヤムチャ「え……?何やってんですか…武天老師さま…それにウーロン…」
亀仙人はウミガメに無理やりクチを開かせ,ウーロンがウミガメのクチの中に何かを入れようとしていた。
ウミガメは苦しそうで涙を流していた。
ウーロン「……いや。オレら。ウミガメにドラゴンボール飲ませてレーダーに関知させなようにしようなんてしてないぞ!」
亀仙人「こらっ!ウーロン!」

お約束のように,ウーロンはネタをばらしてしまった。よくみればウーロンが持っているのはドラゴンボールだった。

ヤムチャ「そ…それ!ドラゴンボール!…一個はここにあったのか!待てよ。クリリンたちが向かっていたのはここだったのか!どうやら先回りできたようだ。

……それにしても……そうだったなぁ。ドラゴンボールは動物が食べたりして生体に入ってしまうとレーダーで関知できなくなるって昔,聞いたことがあるな」

ウミガメ「もうヤメましょうよ。そんなの飲み込めませんよ…。あー。苦しかったぁ。泣いたのなんて卵を生んだとき以来ですよ…」

ウーロン「メスだったのか!?」

ヤムチャ「それはそうと…ボールをもらうぜ!あとレーダーもいただきますよ。武天老師さま」

ずかずかと家にあがりこんで,タンスをあさりはじめるヤムチャ。だが…。

亀仙人「これ!ヤムチャ!わしはお前にレーダーをあげるなどとこれっぽちも言っておらんぞ!」
ウーロン「オレもやらんもんね!これはクリリンたちのボールなんだけどさ!早い者勝ちだい!」
意地を張る二人。ヤムチャはタンスをあさる手を止め,二人の前に座り込んだ。
ヤムチャ「お願いします!プーアルが死にそうなんです!オレはドラゴンボールが必要なんです!」

亀仙人「なんと。プーアルが!?」
ウーロン「マジかよ!」

驚きの声をあげる二人だが,ヤムチャはずる賢いことは二人もよくわかっている。嘘かもしれないと慎重になる。レーダーとボールをヤムチャに渡すのをしぶりだした。

ウーロン「ホントかどうか怪しいぜ。2週間前のパーティでは元気だったのにさぁ…証拠は…」

ヤムチャ「わかった!!武天老師さま!ウーロン!オレがドラゴンボールを全部集められたら…オレの知り合いの女の子を集めて合コンに招待する!!」

亀仙人「なんと!! 合コンに!!??」
ウーロン「マジかよ!!」

プーアルが病気と知ったときよりも大きな声を張り上げて驚くスケベ二人。

二人は前々からヤムチャに合コンを頼んでいたのだが,ジジイにブタ,しかもどちらも極上のスケベであるから,ずっとヤムチャに断られていたのだった。

亀仙人「ならば……わしらがドラゴンボールを集める必要もないな。イヒヒヒ」

ウーロン「うん。よし!ヤムチャ。渡すから頑張れよ。応援するぜ。イヒヒヒ」

ヤムチャ(おたくらの願い……そんなもんだったのかよ………)

よだれを垂らしている二人を見て脱力しながらもヤムチャはドラゴンボールとドラゴンレーダーを手にした。

ヤムチャ「さて……。どうするかな…。残り6つのボールは誰かから奪わなければならなくなるだろう…。このボール…。絶対に守り抜いてやる!」

ヤムチャは大切そうにボールをカバンの中に入れた。クリリンの気が近づいてくる。おそらく18号も一緒だろう。とても適わない。
ヤムチャはカメハウスから飛びでるとすぐさまそこから離れることにした。

一方カメハウスでは―――。
亀仙人「ほぉ〜。お前メスだったとはなぁ〜…」
ウーロン「知らなかったぜ〜」
ウミガメ「はっっっ!!狙われている!!」

 

 

数分後――。

クリリン「ただいま〜」
意気揚々とクリリンがカメハウスに入ってきた。18号におぶさってきたので疲れはまったくない。
クリリン「いひひひ。一個はもともとここにあったんだ。」

他の皆を出し抜いたことで気分がいいらしい。ボールを隠して置いた2階の寝室へとあがっていった。だがすぐにクリリンの悲鳴が聞こえてきた。置いておいたはずのボールがない。
既にボールはヤムチャが持っていたことをウーロンに聞かされる。もっともボールを持ち出してきたのはウーロンなのであるが……。
怒りの形相の18号。

18号「許さない……!ヤムなんとかのやつ!! クリリン!追いかけるよ!」
クリリン「お…おい!こ…殺すなよ」

飛びあがろうとする18号の背にガバッと抱きつきながら注意するクリリン。何とも情けない姿である。
爆風を起こしながら夫婦はヤムチャを目指して飛び立っていった。


 

 

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