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ウルフ・ヤムチャ

孫悟飯がセルを倒してから五年が経った。
今日は待ちに待った天下一武道会の日。
この日のためにヤムチャは地獄のような特訓を繰り返してきた。
ヤムチャ「アクションスターの仕事を貰うためにもこの大会で優勝してアピールしないとな!」
予選を難なく通過し、いよいよ本大会に。
と、そこに界王様の声が聞こえてきた。
界王「ヤムチャよ、聞こえておるか。
実はその天下一武道会にあるとんでもない悪者が潜り込んでおる事がわかったのじゃ。
そやつは人々の恐怖心を増幅させ吸収し
そのマイナスエネルギーを使って下界とあの世を繋げてしまおうと企んでおる。」
ヤムチャ「なんですって!?もしそんな事になったらセルやフリーザ達がこっちにやってきて宇宙全体が大変な事になってしまう!」
界王「うむ。現にそやつはこれまで多くの星々を滅ぼしてきた。
よりによってベジータが留守の間に地球に到着してしまった。
よいかヤムチャよ、相手は今は正体を隠して大会に参加して
世界中に中継される決勝戦で見せしめに対戦相手を残酷に痛め付けて人々の恐怖心を煽るつもりじゃろう。
おぬしが勝ち進んで奴を倒せば阻止することができる。やってくれるか?」
ヤムチャ「えぇ、もともとこの大会で優勝するためにきたんですから。
普通の生活に戻った悟飯をまた戦いに引き戻す訳にはいきませんしね!
いいだろう。軟弱な都会に飽き飽きしてたところだ!」
拳を合わせて武舞台へ向かうヤムチャの眼は以前の狼のような鋭さを取り戻していた。


予選を勝ち抜いた8人の選手が武舞台に集まった。
見た所特に怪しい奴は見当たらない。全員気も弱い。
ヤムチャの出番は第2戦。しかしこの中にとんでもない事を企んでいる奴がいる。
そう思い控え室から真剣に観戦していると再び界王の声が聞こえてきた。
界王「ヤムチャよ、今回の敵だが実はあのフリーザ一味の残党らしいのじゃ。
西の界王の管轄にある惑星の者らしいが西の銀河はほぼ壊滅状態らしい。」
ヤムチャ「なるほどなかなかの暴れん坊なようだがどうって事無いでしょう。
フリーザの手の者だというのならフリーザ以下の実力だということ。
今の俺はフリーザに難なく勝てるまでになった、心配しすぎじゃないですか?」
界王「うむ、確かにフリーザが生きていた頃奴は大したことはなかった。
実は今から約30年前までそやつはギニュー特戦隊の一員だったのじゃ。
当時奴の能力は人々の恐怖心を吸収して自らの力にするだけの能力で
入隊当時の戦闘力はベジータ以下だったらしい。
ところがひと月もすると隊長のギニューに迫るまでの力を得たのじゃ。
恐怖を感じたギニューは奴を一人で巨大隕石が衝突する惑星に派遣させた…侵略するためにと騙してな。」


ギニュー「くっくっく、何も知らずに馬鹿な奴だ、まぁこれで俺の地位も安泰だ」
ジース「何をおっしゃる!特戦隊の隊長はギニュー様以外に考えられませんよ」
リクーム「そのとーり!俺ぁ一生隊長に着いていきますぜ」
バータ「隊長、フリーザ様がお呼びです」

ギニュー「失礼します。お待たせいたしました、何か御用でしょうか」
フリーザ「ギニューさん、先月特戦隊に配属させた彼はどうですか」
ギニュー「…ヴァニラ、ですか」
フリーザ「そうです。この私が一目置いてるのですからきっといい仕事をしてくれるでしょう」
ギニュー「現在ヴァニラの奴は遠方の惑星の侵略に派遣しております。
そろそろ一人でできるか力試しにと思いまして」
フリーザ「そうですか。ところでもう一人いい人材がいるのですが見てください」
スクリーンに映像が映し出される。
ギニュー「戦闘力は低いよいですが…ほう、時間を止める能力とは。め、目が四つもありますね
(それにちっちゃい…これじゃファイティングポーズが綺麗に決まらないではないか!)」


巨大隕石が近づいてるとも知らずヴァニラはその惑星の人々を苦しめていた。
ヴァニラ「一瞬で殺してしまえばマイナスエネルギーを吸収できんからな!
さぁもっと俺様を恐れろ!その恐怖心が俺のパワーとなるのだ!」

その様子をギニューはスカウター越しに聞いていた。
ギニュー「くっ、既に私の戦闘力を超えているとは…早めに手を打っておいて正解だったな」

そして遂に巨大隕石が衝突してヴァニラもろともその惑星は消滅した。


界王はヴァニラという名は知らないが話の粗筋をヤムチャに伝えた。
界王「そして奴は死んだものとして葬り去られたわけじゃ。
とにかく今言えることは奴と闘うには恐怖心を抱いてはいかんということじゃ」
ヤムチャ「わかりました。セルとの戦いではいいとこなかったけど今回は違いますから!」

界王「う〜む、心配じゃ…とてもヤムチャ一人の手に負える相手ではなさそうだ」
その隣に話の一部始終を聞いていた悟空がいた。
悟空「心配ないさ!今のヤムチャはかなりの達人になってんだからさ。
それにいざとなったら元気玉があんだろ」
界王「いや、元気玉はお主以外に教えておらんよ」
悟空「そ、そっか…でも狼牙風風拳や操気弾もあるしきっと大丈夫だ…
それでも無理だったらピッコロや悟飯に」
界王「地球のことは地球人に任せようと言い出したのはお主じゃろう」
…やはりヤムチャに任せるのは不安な様だ。

何事もなく一回戦が終了しいよいよヤムチャの出番がきた…しかし、その相手を見てヤムチャは驚愕する。
ヤムチャ「な…き、貴様は!一体どうしてこんな所に?」


ヤムチャの前に立ちはだかるのは以前天下一武道会で
神様が乗り移りシェンという名でヤムチャを翻弄したあのおじさんであった。
「はて、どなたでしたかね?」
その時は神様に乗り移られていたからヤムチャのことを覚えていない。
ヤムチャ「あ、すいません人違いでした。宜しくお願いします」
一礼していざ試合開始。やはり構えは素人だ。
「今度こそ悲願の一回戦突破だ」
一瞬で終わらせようと飛び掛かるヤムチャ。しかし偶然にも避けられた。
「な…ちっ、しょうがないなぁちょっと本気を出してやるか」
ヤムチャの脳裏にあの時の苦い記憶が蘇る。
「ま、まさかな」
猛スピードで蹴りと拳の連打を繰り出すヤムチャ、しかし相手は軽く受けとめた。
「き…貴様何者だ!」
観客は騒然としていた。今大会参加者の中でヤムチャはダントツの優勝候補だったのだ。
「くっくっく、相変わらずだなヤムチャ」
すると司会者の声が聞こえてきた。
「以前こちらの選手はシェン選手という名で活躍されましたが
今回は名前をパナ選手と改めて参加しております」
ヤムチャ「パナ…ナパ…な、ナッパだと!?そんな馬鹿な!」
パナ「ふっふっふ、ようやく気が付いたかマヌケが。俺はあるお方の力により
魂だけだが復活することができた。だが肉体も完全に復活させるには
人々の恐怖心のマイナスエネルギーを大量に吸収しなければならないのだ。」
ヤムチャ「なるほどそういうことか。だが誤算だったな、この俺がいる限りそうはさせんぞ!!!」


ナッパ「確かに貴様も見違える強さになったようだが
俺は地獄でかなりの力を得た。冥土の土産に見せてやる…究極のパワーを!」
気を上昇させるナッパ、すると全身の筋肉が隆起しシャツと眼鏡が弾け飛んだ。
そして全身から金色に輝くオーラが放たれた。
ヤムチャ「なんだと!この気の感じはスーパーサイヤ人?」
ナッパ「なに、知っているのか!やはりベジータやカカロットもなれるか。
今は地球人の肉体だから髪の色は変わらんがパワーは比べものにならんぞ」
ヤムチャ「もともと貴様に髪の毛はないじゃないか」
隙をうかがい睨み合う両者、と先に動いたのはナッパだった。
凄まじい攻撃の嵐、しかしヤムチャは互角に渡り合う。
ヤムチャ「界王拳10倍!」
ナッパ「ぬうぅぅぅぅ」
圧されたナッパは口から怪光線を放つがヤムチャは難なく弾き返す。
ナッパ「なんだとぉ…これでどうだ!クンッ!」
ヤムチャの足元が爆発するが素早く上空に逃れた。
ナッパ「くたばれ!ハァァァッ!!」
ヤムチャに向かって強烈なエネルギー波が放たれた。
ヤムチャ「かめはめ波ー!」
ナッパ「ぐはぁっ!」
「パナ選手ダウン!ワン!ツー!」
ナッパは立ち上がることができずにヤムチャが勝利した。
ナッパ「ぐぅ、やるな…だがあの方に比べればひよこ同然。
覚悟しておくがいい!フハハハハハッ!」


ヤムチャのかめはめ波で乗り移ったナッパの魂だけが消滅し
人間のおじさんは大したダメージは受けてなかったようだ。
と、そこへ界王様から声が聞こえてきた。
「よくやったヤムチャよ。だが乗り移られた人間の事は考えなかったのか」
「なぁに、もし死んでしまったらDBで生き返らせればいいでしょう」
「なるほど、お主にしては考えおったな。どうじゃ、他に怪しい奴は見当たらんか」
「えぇ、やはりナッパと同じように乗り移ってるのでしょう」
「そうか、引き続き油断せずに頑張るのじゃ」
一回戦の残り2試合が何事もなく終わり準決勝に突入した。
ヤムチャの対戦相手は今回も普通の人間だ。だが今のヤムチャは油断してない。
そして試合が開始してすぐ対戦相手は両手を広げてヤムチャに向けた。
「なんだ?一体何をするというのだ」
するとヤムチャの視界がぼやけてきて周囲の景色が変わった。
「ん?なんだここは…見覚えがあるぞ」
そこはナッパとベジータがヤムチャ達と闘った場所だ。
すると目の前に栽培マンが現われた。
「そ、そんなバカな…どういうことだ」
足がすくむヤムチャ。自分が死んだ瞬間を思い出せばそうなるのも仕方ない。
栽培マンは飛び掛かってくる。恐怖のあまり身動き一つ取れない。
その時ヤムチャは自分に問いただした。
「今の俺はあの時とは比べものにならない強さになったんだ…
自分を信じるんだ!はぁっ!」


「ギョエェェェェーッ」
ヤムチャの気に吹き飛ばされる栽培マン。
するとまた景色が変わっていく。
「今度は何処かの街のようだが…」
そこは人造人間19号20号が現われた街だった。
背後を振り向くとそこには19号20号がいた。
「ズンッ」振り向いた瞬間に腹部を貫かれるヤムチャ。
意識が朦朧とするヤムチャから20号は容赦なくエネルギーを吸収する。
と、その時悟空の声が聞こえてきた。
「ヤムチャ!しっかりしろ、これは幻だ!
今のおめぇなら人造人間にも勝てっぞ!」
はっと我に返ると景色が武道会場に戻った。
「ふん、残念だったな。俺はもう恐怖を克服したんだ。
そんな手にはひっかからんぞ!」
「くっそ〜ならばこれでどうだ」
次の瞬間敵の姿が消えたかと思うと背後に気配を感じ
ヤムチャは敵の攻撃を受けて吹き飛ばされた。
「なんだったんだ今のは?超スピードとかトリックなんかじゃなかった…
例えるならケツの穴につららをつっこまれた気分だぜ」
相手の姿がまた消えた。
その瞬間ヤムチャは目を閉じた。
「感じるんだ、奴の気配を!」
すると左後ろに気配を感じた。
「そこか、くらえ狼牙風風拳!」
怒濤のラッシュをくらって相手は場外へ吹き飛んだ。
「場外!勝者ヤムチャ選手!」
「最後の攻撃はなかなかのものだったが
人の精神の弱みにつけこむなんて最低の野郎だぜ」


対戦相手は意識が戻るとそそくさと去っていった。
「見事じゃヤムチャよ。心身共に成長したな」
「いえ、悟空の声のお陰ですよ。サンキュー悟空!」
「そんなことねぇさ、おめぇの実力が上回ったんだ。
いよいよ決勝だ、気を抜くなよ!」
「今の相手はおそらくギニュー特戦隊の
グルドという者が乗り移っておったのじゃろうな。
超能力で幻を見せたり時間を止めることができるのじゃ」
「そうですか。では決勝戦も気合いを入れていきます」
準決勝のもうひと試合が始まった。
ヤムチャは試合の様子を食い入るように観ていた。
「やはりそうだ。今までの試合もだが
俺以外の試合は両者本気で闘ってるが
たかが知れてる。しかし俺と闘うとなると…」
そこに観客席にいた亀仙人がやってきた。
「ヤムチャよ、これはただ事ではないな」
ヤムチャはこれまでのいきさつを亀仙人に話した。
「そ、そんな事が起きていたとは…他のみんなを呼ぼう」
「いえ、ここは俺に任せてください。
今の俺にならできそうな気がするんです」
真剣な眼差しで武天老師に訴えるヤムチャ。
「いつになく強気じゃな、負けたわぃ。わかった、地球の命運は託したぞ」


準決勝戦が終了しヤムチャと対戦相手が控え室に入った。
「名前はダックか、聞き覚えないな。
試合中も今も特に変わりない…今までの相手もそうだった」
そう思いながら様子をうかがっていると
何やら相手の様子がおかしい。頭をかかえて苦しみだした。
「おい大丈夫か?しっかりしろ!」
すると一瞬動きが止まり静かな口調で話しだした。
「ふ、俺の心配をしている場合か。
お前はこれから苦しむ姿を全世界に晒すことになる」
そう言うとヤムチャの手を振り払い先に武舞台へ出ていく。
「どういうことだ?さっきまでとは別人だ。
それにこの気の感じ、どこかで…」
今まさに、壮絶な戦いの幕が開けようとしていた。
「それでは決勝戦を行ないます!
ヤムチャ選手対ダック選手…はじめ!」
開始早々激しく激突する二人。
ヤムチャは注目されると燃えるタイプだ。
いつになく積極的に責め続ける。
「づぁっ!界王拳10倍狼牙風風拳!」
強烈な攻撃にダックは防戦一方だが表情はクールなままだ。
「はぁぁぁっ、だりゃっ!」
空中から激しく蹴り下ろすもダックは軽く着地し腕を組んだ。
「なかなかやるじゃないか、地球人とは思えんぞ。
ではそろそろ地獄の公開処刑の開始といこうか」


「そいつは楽しみだぜ」
構え直して様子をうかがうヤムチャ。
「ふん!はぁぁぁぁっ」
ダックの気がみるみる上昇していき地面が揺れだした。
そして一気に気が膨れ上がり金色のオーラが放たれた。
「お、お前は…悟空!?」
ダックの気はスーパーサイヤ人になった悟空とうりふたつだった。
「似てる、確かに似ておるぞ…だが悟空はここにおる」
悟空の隣にいる界王様ですら錯覚するほどだった。
「ゴクウ?もしかしてカカロットの事か?
教えてやろう…俺はカカロットの実の父、バーダックだ!」
「ご、悟空の親父だと!?」
ヤムチャも話を聞いていた悟空と界王様も驚きを隠せない。
「一つ聞かせて欲しい。どうしてこんな事に手を貸すのですか」
「…俺は地獄で苦痛の日々を送っていた。
ある日、あの御方が地獄から俺を出してくださり
協力するならば肉体も復活させてやると言ってくれた。
肉体が復活すれば今より更にパワーも増して
また好き勝手に暴れることができる」
「気は悟空そっくりだが性格はまるで違うな…
絶対にお前の思い通りにはさせんぞ!
界王拳30倍狼牙風風拳!」
「なんじゃと!無茶だ、体が持たん!」
界王様の忠告を無視して気を高めるヤムチャ。
「貴様、まだそこまでの力を隠していたのか」
「そいつはお互い様だろ、いくぜっ!ハッ!」


ヤムチャの気合いでバーダックは空中に吹き飛んだ。
すぐさまヤムチャは狼の如く追撃する。
ヤムチャの攻撃は何発かヒットしたがバーダックも必死に反撃する。
「大した奴だ、地球人の体を借りてるとはいえ
この俺と互角に渡り合えるとは」
「さすが悟空の親父、攻撃の技一つ一つにうまさがある」
しばらくして打撃戦をやめて両者着地した。
やはり界王拳を30倍に高めたヤムチャは少し息を切らせていた。
バーダックは平然と口から流れる血を拭き取った。
「長引くとこっちが不利だ…一気に決めるか」
そう言うとヤムチャは掌に気を集中させた。
「界王拳30倍操気弾!」
掌の上に顔の大きさ程の気の塊が浮き上がった。
「強いエネルギーだ…一気に勝負をかけるつもりか」
すぐさま構えるバーダック。
「いくぞ!ばっ!」
操気弾が超スピードでバーダックに向かっていく。
バーダックが手刀で振り払おうとすると
急激に軌道が変わり空中を不規則に動き回る。
そして再びバーダックに向かった。
「なんだと!」
次の瞬間操気弾がバーダックの頬を直撃した。
しかしまだ操気弾は宙を旋回している。
「くっ、予測がつかん…だが!」
バーダックはヤムチャに向かって行った。
「操ってる貴様自身は隙だらけだぞ!」
ヤムチャはシェン戦と同じ過ちを繰り返してしまうのか?


ヤムチャに渾身のパンチを繰り出すバーダック。
「終わりだぁ!ずぁりゃっ!!」
しかしバーダックの拳は空を切りヤムチャの姿がふっと消えた。
「なに?残像か!」
すると背後からヤムチャの声が。
「真・狼牙風風拳!!」
今までとは比較にならないスピードとパワーの
怒濤のラッシュがバーダックを襲う。
「お、おのれぇぇぇぇ」不意を突かれたバーダックは反撃を試みるが
狼のごときヤムチャの猛攻に圧倒され
一切反撃できずにサンドバックと化す。
(これで仕留めれなきゃ俺に勝ち目はない!)
そう思いながらヤムチャは全身全霊を込めた攻撃を続ける。
「がはぁっ、こ、こんなはずはぁぁぁ」
もはやバーダックは立っているのがやっとだ。

バーダックを上空に蹴り上げると
再び操気弾の構えをとるヤムチャ。
「とどめだ!だりゃっ!」
空中で止まっていた弾がバーダックに炸裂し爆発した。
ぐったりとして武舞台に落ちてくるバーダック。
「ダック選手ダウン!」
カウントが進むもバーダックはもはや立ち上がれない。
「…8…9…10!それまで!ヤムチャ選手優勝です!」
それまで静まっていた観客はドッと湧いた。
フルパワーで闘って力を使い果たしたヤムチャは
膝をつき息を切らせながら苦笑いをした。
「はぁ、はぁ…ゆ、優勝…だ…やったぞ…」
遂に念願の優勝を飾ったヤムチャ。
だが、この後予想だにしない人物が!


ヤムチャは武舞台に大の字になって倒れた。
そこへ駆け寄ってきたのはなんとヤジロベーだった。
「ほれしっかりしろヤムチャ、仙豆だ」
「や、ヤジロベー…どうしてここに?」
「カリン様が仙豆持って様子見てこいってよ」
ヤジロベーは仙豆をヤムチャの口の中に入れる。
ヤムチャは息を切らせながらも仙豆を飲み込む。
そして数秒経つと目を開き立ち上がった。
「やったぞー!優勝だー!」
右拳を掲げて大きく叫んだ。
その様子を客席から見ていたプーアルは泣いていた。
「ヤムチャ様ーおめでとうございます!」
「けっ、あのヤムチャがここまでやると思わなかったぜ」
貶しながらも誉め讃えるウーロン。
「素晴らしい試合を見せてもらったぞ。
これでわしも安心して成仏できるわぃ」
感慨深げにうなずく亀仙人。
優勝の余韻に浸っているヤムチャに
界王からの声が聞こえてきた。
「ヤムチャよ、喜ぶのはまだ早いぞ。
今まで闘ってきた敵の魂を操った者が
多分近くにおるはずじゃ」
「なぜそんなことが?」
「バーダックと闘う前の事を思い出すのじゃ。
奴はそれまで普通だったが急に人が変わったじゃろ。
おそらく何者かがお主の対戦相手に
毎回魂を乗り移らせておったのじゃよ」
「言われてみれば確かに…わかりました」
ヤムチャは客席を見渡すが特に変わった人はおらず
邪悪な気も感じられない。
そんな中、倒れているバーダックの指がピクリと動いた。


瀕死のバーダックは小さな声で呟いていた。
「ヴァニラ…様…俺に…ち、力を…」
観客の中に白マントを羽織った男がいた。
「ゲームを楽しむのはここまでか…」
そう言うと男はバーダックに人差し指を向けた。
すると空から巨大な稲妻がバーダックを直撃した。
「なにっ!?」
はっとバーダックに目をやるヤムチャ。
バーダックの周りには煙が立ちこめ姿は確認できない。
すると中心部から風が吹いてきた。
「これは一体…復活してやがる」
ヤムチャはあっけにとられるが
すぐさま臨戦態勢に入った。
煙が晴れていくとそこには
戦闘服を身に纏った悟空と瓜二つの男がいた。
「悟空にそっくりだ…
それが貴様の真の姿か」
「そう、俺様は地獄から蘇った
宇宙一の戦闘民族サイヤ人、バーダックだ!」
どよめく観客の中、白マントの男は不適な笑みを浮かべる。
「なるほど…では俺が地獄へ送り返してやるぜ」
「ふふふ、今度はそううまくいくとは思えんがな」
そう言うとバーダックはスーパーサイヤ人に変身した。
「これから貴様にかつてない恐怖を与えてやろう
…それもとびっきりのを二つもな」
「へっ、気は大して変わってないぜ。
それにさっきの闘いでお前の技は把握した」
「忠告しておく、さっきまでと
これから見せる力は次元が違う
…覚悟しておくんだな」


バーダックは気を高め始めた。
「な、まだ上がるのかよ…」
それまで自信に満ちたヤムチャの顔に焦りが見える。
バーダックの体がまばゆい光に包まれる。
輝きが収まるとそこには髪が逆立ったバーダックがいた。
「こ、これは…まさか!」
バーダックはスーパーサイヤ人の壁を超えていた。
「これこそが地獄で手に入れた俺様の真の力だ」

「なんてことだ…負けじゃ」
「こりゃあセルを倒した時の悟飯以上だ…やべぇぞヤムチャ」
絶望する界王と悟空。

「さっきまでの威勢はどうした?笑えよヤムチャ」
あまりの力の差に声が出ないヤムチャ。
「だがな、さっきも言った通りこれだけじゃない」
バーダックは掌に光り輝く弾を作り出した。
「そ、操気弾の真似かよ」
「ふ…そんな陳腐なものじゃないさ。
地獄でこれをやらなかったのは
オレ自身どうなってしまうか恐かったからだ。
だが今は貴様にどうしようもない絶望を
与えてやる事しか考えていない。
俺様を本気で怒らせた事をあの世で後悔するんだな!」
バーダックはその光る弾を空中に放った。
「はじけて混ざれッ!」
遥か上空でその弾は爆発しまばゆい光を放った。
するとそこに太陽のような強い光ができた。
「なんだあれは?何をしたんだ!?」
うろたえるヤムチャをよそにバーダックの気が上昇する。
ドクン…ドクン…ドクン…
「はぁぁぁぁぁ…」
バーダックの体はみるみる大きくなり
高層ビルに匹敵する巨大な金色の大猿の化け物に変身した。
「ぐ…なんて凄まじい気だ」
あまりの迫力にヤムチャは足がすくむ。
「どうした、かかってこないのか?
ならばこれでどうだッ!」
バーダックは口から巨大なエネルギー波を放った。
「やめろォォォッ」
ヤムチャの声も虚しく、その先にあった街が大爆発と共に消え去る。
観客やTV中継を観ていた世界中の人々はパニックに陥っていた。
「大変です!なんという化け物でしょう!
しかしこんな時は我らのミスターサタンが
さっそうと現れやっつけてくれるでしょう!」

サタンはひと月前に格闘技の試合で怪我をして
入院中の病院でテレビを観ていた。
「あわわわ…余計なことを言いおって」
怪我は完治しつつあるのにサタンは仮病を使い寝込んだ。


バーダックが放ったエネルギー波で会場の大部分が破壊された。
「ヤムチャ、貴様がその気になるまで続けるぞ」
しかしヤムチャは膝をついて俯いたまま動こうとしない。
「オレのせいだ・・・オレのせいでこんな事に・・・」
するとその時、誰かがヤムチャの背後に降り立った。
「ヤムチャさん!大丈夫ですか!」
髪を伸ばして以前と雰囲気が変わったクリリンだった。そこへ悟飯もやってきた。
「なんて化け物なんだ・・・」
呆気にとられる悟飯にヤムチャが話し掛ける。
「悟飯、大きくなったな、見違えたぞ。お前は帰ってチチさんを守ってあげてくれ」
「で、でも・・・」
「お前は5年前にとても辛い思いをした。
今度はオレの番だ。これからは幸せな生活を送ってくれ。
クリリン、お前もだ。オレは天涯孤独の身だがお前には大事な家庭があるんだ」
「ヤムチャさんはベジータ達が初めて地球にきた時俺の代わりになってくれた。今度は俺が!」
「こうなったのはオレの責任だ、なんとかしてみせるさ」
そう言うと立ち上がりバーダックを睨み付けた。
「バーダック!!!」
「・・・やっとその気になったか!」
バーダックは暴れるのを止めヤムチャを見下ろした。
果たしてヤムチャに勝機はあるのだろうか?


悟飯とクリリンの元へ亀仙人が歩み寄ってきた。
「二人とも、ここはヤムチャに任せて離れるんじゃ」
「しかし武天老師様、あんな化け物相手にいくらなんでも
強くなったとはいえヤムチャさん一人では太刀打ちできっこないですよ」
「そうです、僕とクリリンさんも加わって闘えばきっと勝てます!」
「確かに勝てるかもしれん・・・じゃがな」
亀仙人はこれまでの経緯を話した。
「あれが僕のおじいさん・・・」
「どうりで気が悟空にそっくりなわけだぜ」
「ここはあやつの想いを汲んでやってくれ」
二人はしばらく黙って考えてからうなずいた。
「わかりました、では我々は観客の避難を!」
クリリンと悟飯は逃げる人々を持ち上げて急いで飛び去った。

「邪魔者がいなくなった所で始めようか!」
バーダックは巨大な足で踏み付けようとするがヤムチャは素早く後方へ身をかわした。
すかさずバーダックは巨大な拳を繰り出すとヤムチャは避け切れずに吹き飛ばされた。
なんとか着地してその刹那ジャンプしバーダックの顔へ突進を試みたが
巨大な手刀で虫のように振り払われ瓦礫の山に突っ込んだ。
「くっそぉ・・・まともに向かっていってたら体がもたん………そうか、これだ!」

瓦礫に突っ込んだヤムチャの周りには煙が立ちこめていた。
(サイヤ人は気を感じることができない、目だけで相手を認識している)
「どうしたヤムチャ?死んでしまったか?」
その時、煙の中からバーダックに飛んでくる影が見えた。
「懲りない奴だな」
バーダックの拳がその影を捉えた。
しかしそれはヤムチャではなく、砕け散るブロックだった。
ヤムチャは背後に回ってバーダックの尻尾を狙っていた。
だがバーダックはその気配を感じ、肘でヤムチャを叩き落とした。
「あいにく俺はスカウターが無くても相手の位置がわかる。
地球人に乗り移った時には慣れない体でわかりにくかったがな。
・・・くくく、貴様がいることもわかっているぞ」
と視線を送った先には、刀を構えたヤジロベーがいた。
「げげ、見つかった!」
慌てて逃げようとするヤジロベーだが、バーダックが放つエネルギー波で吹き飛んだ。
「・・・む?まだ何かいるな?」
振り返るとそこには巨大バサミに変身したプーアルがいた。
「ぁ…ぁ…ぁ…」
バーダックに睨まれたプーアルは恐怖のあまり動けなかった。
「小さな気配で感じにくかったぜ・・・なるほど、そのハサミで
俺の尻尾を切ろうというわけか。残念だったな、死ねぇっ!」
ズンッ!
プーアルは巨大な足に一瞬で踏み潰された。
「あ………」
ヤムチャはあまりのショックに言葉を失い呆然とする。
果たしてヤムチャはこのままやられてしまうのだろうか?



「・・・プーアルーーーーーッ!!!」
ヤムチャの頭の中でプーアルとの思い出が蘇る。
(こんなわがままでどうしようもないオレをいつまでも見捨てないで
一緒にいてくれた・・・オレの一番大切な相棒だったのに・・・)
「フン、クズのくせに俺様の尻尾を切ろうとするからだ」
「………ぬぁぁぁぁぁッ!!!!」
その時、ヤムチャの中で何かが切れた。
激しい轟音と共に真っ赤なオーラが放たれ地球全体が揺れ出した。

その様子をあの世で見ていた界王と悟空は
「なんじゃこのとてつもない気は!?界王拳とも似ておるが桁違いに強い」
「プーアルがやられちまった事で激しい怒りがヤムチャを変えたみてぇだ。
・・・あん時の悟飯以上のすんげぇ気だ」
「だがあれはおそらく命そのものを削って出しておる力じゃぞ。
体力の消耗は界王拳の比ではないはずじゃ」

ヤムチャが歯を食いしばり鬼の形相でバーダックを睨むとバーダックは一歩退いた。
「く・・・き、貴様にそんな力があったなんて」
「オレの力じゃないさ・・・プーアルが身を犠牲にしてオレにくれた力だ」
ヤムチャはプーアルに歩み寄り体を抱きかかえるとプーアルの体が輝き傷が治った。
「そ、そんなバカな!」
「ぁ・・・ヤムチャ様」
「すまなかったプーアル、あとはオレに任せて逃げるんだ」
「は、はいッ!」
「おのれ・・・俺様に勝てると思ったら大間違いだぞ!こっぱみじんに消し去ってやる!」
バーダックは超スピードの蹴りを連発するがヤムチャは全て紙一重でかわして
バーダックの腹部へドロップキックを炸裂させた。
「げふっ・・・ぉ…ぉ…」
苦しむバーダックの頭部に回し蹴りを放つとその巨体が受け身を取れずに倒れた。
ヤムチャはすぐさまエネルギー波を連発した。地球全体が震撼する。

ヤムチャはエネルギー波を撃つのを止め着地した。しばらくして
バーダックが起き上がった。戦闘服はボロボロになり、あちこちから出血している。
「ぐぉぉ・・・許さん、許さんぞ・・・血祭りに上げてくれる!」
ヤムチャに猛突進していくバーダック。その大きさにもかかわらず
超スピードの攻撃だがヤムチャには擦りもしない。
ヤムチャはバーダックのパンチをかわし、顎に強烈なアッパーをくらわせる。
体勢が崩れた所で背後に回り、尻尾の根本に手刀を振り下ろし尻尾を切断してしまった。
「がぁっ・・・おおぉぉぉ・・・」
バーダックはみるみる縮んでいき元の姿に戻った。
「はぁ、はぁ、く、くっそ〜こんなはずは・・・」
「そうだな、こんな事になるとはオレも思ってなかったぜ」
(地球人は感情によって急激に戦闘力が増すと聞いたが、これほどとは・・・)
「さあ、覚悟はいいか?約束通り地獄へ送り返してやるぜ!」
バーダックにとどめを差そうと構えるヤムチャ。バーダックは死を覚悟した。
と、その時上空から白マントを羽織った男がゆっくりと降りてきた。
「ヴァニラ様!」
「なに!?そうか、こいつが・・・」
ヴァニラは着地するとゆっくりとバーダックに歩み寄った。
「お願いしますヴァニラ様!俺にもう一度力を与えてください!」
「無駄だ、貴様には勝てん。消えろ」
ヴァニラはバーダックに凄まじいエネルギー波を放った。
「そ、そんな・・・ぁ・・・」
バーダックは跡形もなく消え去り、ヴァニラはヤムチャに目を向けた。
「今まで見させてもらったけど恐れ入ったよ。君の事を甘く見すぎていた」
「高みの見物とはいいご身分だな。貴様の陰謀は知ってる。思い通りにはさせんぞ!」
「ほぉ、知っているのか。ならば君にも今みたいに消えてもらうよ」
「自分の仲間を何のためらいもなく殺せるなんて腐った野郎だ」
「仲間?笑わせるぜ、あいつはオレの駒の一つにすぎない。
役に立たなければ捨てる、それだけのことよ」
「く、オレは今まで色んな悪党どもと闘ってきたが貴様以上に怒りを感じたことは無い・・・絶対に許さんぞ!」

ヤムチャとヴァニラの闘いが始まった。二人の激突の衝撃で大地が揺れる。
両者譲らないほぼ互角の闘いであった。ヤムチャは限界を
超えた力を得たがヴァニラもそれに劣らず強かった。
しばらく攻防が続いたところで両者着地した。
闘いは互角だが明らかにヤムチャの方が疲れていた。
「強いな、マイナスエネルギーを吸収してないのにたいしたもんだ」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・!!!」
その時、ヤムチャの心臓に激痛が走った。
これまでの闘いの連続でヤムチャの肉体はボロボロだった。
(オレの体よ、あとほんのちょっとだけでいいんだ・・・こらえてくれ!)
なんとか表情には出さなかったものの、ヤムチャに残された時間はあとわずか。
沈黙を破りヤムチャが先手に打って出た。
ヴァニラは殴り掛かってくるヤムチャをかわして上昇した。
「か〜め〜は〜め〜・・・」
ヴァニラの後を追いながらかめはめ波の体勢になるヤムチャ。
「波ーーーーーッ!!」
「ふん、この程度の攻撃!」
ヴァニラは左手だけでかめはめ波を受け止めた。その間にヤムチャはヴァニラの真横に移動していた。
「真・狼牙風風拳!!」
ヤムチャはこの瞬間に全てを賭けた。かめはめ波に気を取られたヴァニラは
一瞬反応が遅れ、ヤムチャの壮絶な連打をまともに受けてしまう。
しかし、この時ヤムチャは圧倒していながら何故か不安でいっぱいだった。


ヤムチャはフルパワーで最後の攻撃を仕掛けた。ヴァニラは一切反撃
できない。だが、何故か表情はクールなままだ。ヤムチャは両手を組んで
振り下ろしヴァニラを地面に叩きつけると、両手を広げて気を集中させた。
すると二つの気のエネルギー弾が浮き出て、ヤムチャはその弾をヴァニラに向けて放った。
「操気連弾!!」
二つの弾はヴァニラの体に直撃すると、ヤムチャの手の動きに合わせ
再び軌道を変えて追撃する。何度も繰り返すうちに次第にヴァニラの
体が上がっていき、空高く舞い上がった所で二つの弾が上下から同時に
ヴァニラを直撃した。大爆発の中からヴァニラがぐったりと落ちていく。
力を使い果たしたヤムチャも前のめりに倒れ込んだ。
(どうだ、これでくたばってなきゃ・・・いや、そんなはずはない)
ヤムチャはまだ全てが終わった気がしなかった。なんとか立ち上がり
ヴァニラの姿を確認しに行くヤムチャ。その時、ヴァニラの落ちた付近に
黒い霧のようなものが発生し、ヴァニラの気がどんどん増していく。
「ど、どういうことだ」
立ち止まりうろたえるヤムチャ。霧が晴れるとそこには無傷のヴァニラが立っていた。
「あ・・・あ・・・」
「驚いているようだな。オレはこれがある限り何度でも蘇るのさ」
ヴァニラは左手首のリングを見せた。ドクロの口に赤い宝石が埋め込まれている。
「この『ヘルズストーン』は恐怖心から生まれるマイナスエネルギーを
蓄積させることができ、一杯まで溜まると地獄への扉が完全に開かれるのだ。
さっき貴様とバーダックが闘ってる間にかなりのエネルギーが溜まった。
今少し使ったとはいえ、小さな穴ぐらいは開けることができるはずだぞ」
「なんだって!?」
「楽しませてもらったお礼にちょっとだけ見せてやろう、地獄というものをな!」

ヴァニラは左手の甲を空に向けた。すると、ヘルズストーンから
赤い光が放たれ、上空に暗雲が立ちこめた。
「さあ、いよいよ地獄への扉が開かれるぞ!」
赤い光の先にブラックホールが発生し、どんどん広がっていく。
「・・・どうやら今はこれが精一杯か。だがこれだけ開けばセルまでは無理でも
他は通れるだろう。さあ、地獄の猛者達よ、思うがままに暴れるがいい!」
ブラックホールの中から見覚えのある者達が出てきた。
フリーザとその父親、ギニュー特戦隊、ラディッツ、そしてあの男もいた。
「ぐへへへ、さっきはやってくれたなヤムチャ!」
ナッパである。ナッパが気合いを込めると、眉毛と髭と尻尾が金色になり、目が青く輝いた。
「俺の魂が消滅したと思ったか?ただ地獄に
戻っただけさ。体さえ蘇ればお前なんぞどうって事ないんだよ」
「ナッパ、ヤムチャはこのオレが始末する。お前達は地球人を恐怖に陥れてこい」
「わ、わかりましたヴァニラ様」
「ギニュー隊長、オレにした事は忘れますよ。今度はアンタがオレの為に働いてください」
「・・・はい。(いずれ隙を見てボディチェンジを仕掛けてやる、それまでの辛抱だ)」
「さあ、行きますよ皆さん!」
フリーザの声で悪人達が飛び立とうとすると、遠くから何者かがやってきた。
「・・・あれは、ベジータ!」
いち早く反応したのはナッパだった。
「へっ、懐かしい顔触れが揃ってやがるぜ」
「おめーにまた会えるとは嬉しいぜベジータ。あの時の事忘れてねぇだろうな!」
「ケッ、超サイヤ人になったぐらいで調子に乗るな」
ベジータも超サイヤ人に変身した。
「全員まとめて相手になってやるぜ!かかってきやがれ!」

ベジータの挑発に乗りフリーザ達が一斉に迫ってくる。ベジータはヤムチャに向けて気を放った。
「オレの気を分けてやった。詳しい事は後で聞く、お前はあの野郎を片付けろ!」
「あぁ、サンキューベジータ!」
ヤムチャは再び全身から真っ赤なオーラを放った。
「今度こそ復活できないようにしてやるぜ!」
「くっくっく、先に貴様がくたばるさ。オレは何度でも復活できる」
再び激突するヤムチャとヴァニラ。ベジータに気をもらって少し回復した
ヤムチャだが、完全に回復したヴァニラに圧され続ける。ヴァニラの
攻撃を受けてヤムチャが吹き飛ばされて倒れると、ヴァニラは
両手を空に向けてとてつもなく巨大なパワーボールを作った。
「一気に決めてやる」
「な、なんてデカさだ・・・今のオレにあんなのをはね返すなんて無理だ」
すると、ヤムチャに界王の声が聞こえてきた。
「ヤムチャよ、今のお主はもはや残された力では長くは持たん。
全ての力を一気にぶつけて勝負に打って出るのじゃ」
「そうだぞヤムチャ!今しかねぇ、ありったけの気でかめはめ波をブチかましてやれ!」
「・・・ははは、やるしかないか!」
ヤムチャはかめはめ波の体勢に入り、全ての気を掌に集中していく。
「か〜…め〜…は〜…め〜…」
「本気でくるか・・・面白い、ならばこちらも手加減せんぞ!」
ヴァニラのパワーボールが大きさを増す。いよいよ最後の激突の瞬間が迫っていた。


ヤムチャとヴァニラが再び激戦を繰り広げている最中
ベジータは無数にかかってくる敵に苦戦を強いられていた。
(くそったれ、どうなってやがる・・・こいつら以前とは比較に
ならない強さだ。地獄ってとこは修業するには最適なようだな)
「うっとおしいぜ・・・くらえ!ファイナルフラーッシュ!」
ベジータは広範囲に向けて気を放った。無数の敵が一気に消滅していく。
しかし、その中で四人の人影が残った。フリーザとその父親、
そして超サイヤ人になったラディッツとナッパだった。
「ほっほっほ、腕を上げたねベジータ。では、準備運動は
このくらいにしてそろそろ本気でやりましょうか」
フリーザがベジータに人差し指を向けたその時、どこからか螺旋状の
エネルギー波がフリーザの目の前を駆け抜けてラディッツの肩を掠めていった。
「なに!?この技は・・・貴様か!」
上空から降りてきたのはピッコロだった。ピッコロは
ターバンと白いマントを脱ぎ捨てラディッツを睨み付けた。
「懲りない野郎だな。いいだろう、また相手になるぜ!」
「ちっ、余計なお世話だピッコロ!こいつら全員俺が片付けてやる!」
「ゴチャゴチャぬかすな。俺はフリーザの父親と
ラディッツを殺る、お前はフリーザとナッパだ!」
「偉そうに・・・俺に指図するなぁーーーッ!」
ベジータはパワー重視の変身をするとフリーザに向かって
猛突進していった。フリーザも100%の最終形態になり迎え撃つ・・・
次の瞬間、ベジータの拳がフリーザの腹部を貫いた。
「ち、ちくしょぉ・・・」
「アンタの時代はとっくに終わったんだ・・・はぁッ!」
ベジータの気でフリーザは一瞬にして消え去った。
「さあナッパ、一騎打ちといこうか!」

残る二人の相手をしているピッコロは、フリーザの
父親を倒してラディッツと向かい合っていた。
「あの時は悟空と二人がかりでやっと倒したが今なら俺一人で十分だ」
「笑わせやがる、今までの動きを見たが相変わらず差は縮まってないぞ」
「今のが本気だと思っているのか?」
「な、なんだと!?」
「あの時俺達が味わった恐怖を今度は貴様にたっぷり味あわせてやるぜ!」

その頃、ヤムチャとヴァニラを取り巻く緊迫感は頂点に達していた。
「まだエネルギーを吸収し足りないが仕方あるまい、また他の星を
あたるか。さあヤムチャ、覚悟はできたか?地球ごと消し去ってくれる!」
「そうはいくか・・・地球はこのオレが守る!」
「無駄だ、これで全てが終わる・・・死ねぇぃッ!!!」
ヴァニラが手を下に向けると上空の巨大な
パワーボールがヤムチャめがけて落ちてきた。
「無駄だなんてやってみなきゃわからないさ!波ーーーッ!!!」
ありったけのパワーで最後のかめはめ波を放つヤムチャ。
二人のエネルギーが激しくぶつかり合い大気が震える。

その直後、近くで闘っていた4人の動きが止まった。
「な・・・ヴァニラ様!地球ごと消してしまうつもりですか!」
「ナッパ!闘ってる最中に脇見をするとはサイヤ人の片隅にもおけんな」
「お、おめーは恐くないのかよベジータ!」
「ふん、誰に向かって言ってるんだ?俺様は戦闘民族サイヤ人の王子ベジータ様だ!
闘える喜びに比べたら死に対する恐怖など取るに足らんな」

「ヴァニラ様!お待ち下さい!我々は宇宙空間で生き延びれません!」
「ビビってるのか?ラディッツ」
「貴様も死ぬんだぞ!」
「弱虫ラディッツめ。死を恐れていては大魔王様の名が廃るぜ」

ヴァニラの放ったパワーボールがヤムチャのかめはめ波を少しずつ
押し込んでいく。苦悶の表情のヤムチャに対してヴァニラの表情にはまだ余裕がある。
「どうしたヤムチャ?オレを圧倒した貴様の力はこんなものか!」
「くっそぉ・・・もぅ限界だ・・・」
押し潰されそうになるのをなんとかこらえるヤムチャ。
すると、遠くからヤジロベーが走ってきた。
「どりゃあーーーッ!ヤムチャー仙豆だー!」
しかし距離が遠く向かい風が強く間に合いそうにない。
もはやこれまでか?誰もが思いかけたその時、ロケットに変身したプーアルが
ヤジロベーの持つ仙豆の袋を口にくわえヤムチャに向かっていった。
「ヤムチャ様!食べてください!」
プーアルは元の姿に戻り仙豆をヤムチャの口に入れると風で飛ばされていった。
「すまないプーアル・・・お前がいてくれて本当に良かった」
仙豆を食べたヤムチャは目を見開き気の勢いを
増した。ヴァニラのパワーボールが一気に押されていく。
「なに?パワーが増した!おのれ、ならばまた恐怖心のエネルギーを
吸収して・・・どういうことだ!エネルギーが集まらない!」


その頃、悟飯とクリリンはテレビ局にいた。亀仙人から
事情を聞いた二人は世界中の人々にうったえかけていた。
「今ある人が地球のために闘ってます!皆さん恐れることはないです!」
『ある人』・・・人々は思い出した。5年前に地球を救った
英雄がいたことを。世界中でサタンコールが沸き起こる。
「サ・タ・ン!サ・タ・ン!」


ヤムチャのかめはめ波がヴァニラを飲み込んだ。
「ぐぁぁぁーッ」(甘かった・・・ヤムチャの力を侮っていた)
ヤムチャのかめはめ波はその圧倒的なパワーで
ヴァニラのみならずブラックホールをも消し去った。
「オレを、地球を甘く見るなよ・・・」

「・・・チャ様!ヤムチャ様!良かった!」
ヤムチャが目を覚ますとそこには喜ぶプーアルがいた。
「プーアル・・・ここは?」
「病院ですよ。あれからヤムチャ様丸一日目が覚めなかったんです」
「そうだったのか。ナッパとラディッツは?」
「ベジータさんとピッコロさんが倒しました。ブラックホールも消えてなくなりました」
「良かった・・・全て終わったんだな」

次の日、悟飯達が集めてきたドラゴンボールで今回死んだ人達を
生き返らせるためカプセルコーポレーションで神龍が呼び出されていた。
「さあ願いをいえ。どんな願いも3つ叶えてやろう」
デンデはドラゴンボールで叶う願いを3つに、さらに
1つの願いで複数の人を生き返らせれるようパワーアップさせていた。
一つ目の願いで殺された人々が生き返り
二つ目で地球の破壊された被害が回復した。
「あとは・・・誰か何かありますか?」
「オレに使わせてもらっていいかな?」
ヤムチャが一歩前に出た。
「なにかあるのか?まあ今回はお主の活躍で地球が救われたのじゃ、誰も文句あるまい」
亀仙人の言葉にうなずく一同。
「では・・・二日前の天下一武道会のヴァニラ一味と
オレに関する記憶を全ての人々から消してほしい」
予想外の願いにそこにいた全員が驚いた。
「今回オレに宿った力は奇跡的に発揮できたようで今はもう出せない。
もしまたヴァニラのように強い敵が現れてもオレには太刀打ちできない、だから・・・」
「そんな・・・でもボクは忘れませんよヤムチャ様!」
「では、願いを叶えてやろう」
その瞬間を境に全ての人々からヴァニラ達とヤムチャの激闘の記憶が無くなった。
だが、人々の脳裏に地球を救った『狼』の存在がかすかに残ったのであった。


ー完ー