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トグサ


トグサ Darkサイド 投稿日:04/08/23 23:28 ID:Xw4Rbn.I
 生意気にも犬が歩いていたのでとりあえず尾を踏んだ。
 足をぶん回して空中に浮かぶコンニャクの塊にそいつをぶつけてやると
性欲に塗れた腐敗役人どもがいっぱい落ちてきた。地面とそいつらのカツラの
コントラストが堪えようもないくらいキモかったので嬲り殺した。
 「もうどうしようもない」と言いながら首をくくろうとしていた親父がいたので助けてやった。
親父は近くにいたカバに喰われた。諸行無常を痛感した。人間「一寸先は闇」である。
 カバの口元から滴り落ちる血の色が絶妙に周りの風景とマッチしていた。
 感心しながら歩いていると、「誰でもいいから私を犯して」とポルトガル語で書かれた
看板を見つけた。中に入ってぐっすりと眠らせてもらった。心の闇の中。
 そこはただただ「暗い」と言うしかないくらいに暗くて。
 ただただそこにあった真っ赤な三角コーンが何よりムカついた。
 お前はバランスを崩している。

 道端で偶然出会ったノミの幼虫がダイアモンドをくれた。
こんな高価なものをと思ったがノミは「いくら出してもまた出てくるから邪魔なのよ」
どうやらこれを受け取ることは彼女を救済することに繋がるらしい。
喜んで頂いた。ここでニュース。「ダイヤモンドの価値が突然暴落しました」
ノミの幼虫にダイヤモンドを投げた。固さは暴落してないんだな。当然か。



140 名前:トグサ Fineサイド  投稿日:04/08/23 23:29 ID:Xw4Rbn.I
 これが、僕だ。認めたくはないが、これは、恐らく僕なのだ。
支離滅裂で、暴力に溢れたサディスティックな文章。寝て起きたら、
紙に書きなぐってあった。僕はこんな文章を書くタイプの人間ではない、はず。
 ただ、思い当たる部分は多いのだ。
 僕はポルトガル語をほぼマスターしているし、何故かダイヤモンドも所有している。
数ヶ月前、誤って犬の尾を踏んでしまったこともあるし、飼っている犬(尾を踏んだ犬とは別だ)
のノミ掃除もしてやった。
 あと幾つか、一読して気付くことがある。
 この文章内での僕と思われる男は、一人称も二人称も三人称も用いていない。
「自分」を表す言葉を使っていないのだ。
 これは、彼が――以後、「文章内の僕と思われる男」を「彼」と呼ぶ――この世界において、
とても実体のない、空ろ気な存在だということではないのか。
 また、彼はとても「色合い」にこだわっているように見受けられる。僕は絵描きではないし、
絵画鑑賞にも興味はない。おかしい、矛盾が生じる。
 それとも、これは、芸術的観点からおよそかけ離れた要素に因るのだろうか。
 何れにせよ、現時点ではまだ分からないことが多すぎる。今日だけの、突発的な出来事で
終る可能性もあるだろうし、いきなり精神病院に駆け込んだりする話じゃないだろう。
 とりあえず、暫らく様子を見てみることにする。



148 名前:トグサ Darkサイド 投稿日:04/08/24 10:15 ID:Z6zjncZg
空飛ぶファラオが世界を覆って日照不足にした。
 焼きビーフンを吐き出しながら「ソナチネソナチネ」と虚ろな眼で空を見渡しながら
呟いていた。
 日が遮られ作物が育たなくなった。村人はみんな腹がペコペコだった。ファラオが吐いた
焼きビーフンを貪り食う。それはとてもおいしいらしく皆弾ける様な笑顔を見せた。
 ファラオは少しずつ降下して村に着陸した。村はあっけなく潰されたが村人はそれでも
焼きビーフンに夢中だった。
 ファラオが「野球しねぇ?」と言ってきたのでみんなで道具を携えて焼きビーフンの食い残しの
上に集まった。野球は楽しかったそうだ。ただ、みんな焼きビーフンの後遺症で血を吐きながら
プレーしていた。最後には皆死んだ。
 やがて焼きビーフンは生命を持って動き出した。ファラオなんとかしろ。
 ファラオはもう地下に潜ってしまっていたのでとりあえず犯した。焼きビーフンは
黙りこくってしまった。乙女の恥じらいだろう。 



149 名前:トグサ Fineサイド  投稿日:04/08/24 10:16 ID:Z6zjncZg
 また、こんな内容だった。
 さすがに二度も続くと、自分自身が恐ろしくなってくる。
 しかし、冷静に読み解いてみると、一度目よりは筋というものが出来ていることに気付く。
少なくとも、文章全体において「(空飛ぶ)ファラオ」が軸になっているのが分かる。相変わらず
支離滅裂ではあるが、展開もファラオが動かしている。
 だが、そんなことより何より気になる、というか、あり得ない所がある。
 最後の二行、「犯した」「乙女の恥じらい」の辺りだ。
 僕は、処女でなくては勃たない特殊性癖を持っている。今までの性交も全て処女が相手だ。
だが、そんな極限に恥ずかしい事実をわざわざ、たとえ異常文章の中でとはいえ、表に出すだろうか?
 自分では書かないはず。だが、誰にも知られていないはず。女達とは深い付き合いはない。彼女等が
僕の住所を知っているわけもないし、こんなことをするなどまずあるまい。
 なら……これを書いているのは誰だ? 僕か? 僕を陥れようとする誰かか?

 明日、筆跡鑑定をしてもらうことにする。



183 名前:トグサ Darkサイド  投稿日:04/08/25 08:51 ID:Xvp64m/6
 お前は鈍い。
 俺がこれだけシグナルを放っているのに、一向に気付こうともしないんだな。
 まあ、いいさ。
 お前が俺を見つけるまで、俺はずっと見ているぞ。
 俺は永遠ともいえる長い時間を有しているからな。
 お前が見つけてくれないのなら、別の奴に憑くだけさ。
 お前らの度肝を抜くだろう俺の力を早く見せてやりたいもんだぜ。



184 名前:トグサ Fineサイド  投稿日:04/08/25 08:51 ID:Xvp64m/6
 近所の探偵事務所。
「結論から言うと、筆跡はあなたのものです」
 ヒゲの中年が、大学生くらいの若い男にそう告げた。
「そうですか……僕が、自分で、こんなことを……?」
 信じられない、と言いたいばかりに呟く若い男。
「いや、厳密にあなたが書いたといえるのかどうか……」
「どういう意味です?」
 馬鹿な話と笑わないで下さい、と前置きした後、
「これを書いたのは、『中に潜む他人』なのかもしれない」
 『中に潜む他人』――それは。
「……悪霊?」
「まさか」
 依頼主の突拍子もない言葉に、探偵は鼻で笑った。
「恐らく、精神的疾患の一つでしょう。私も専門ではないので……ただ、
 十数年この仕事をしていますが、今回のような依頼内容の方は大抵
 精神にちょっとした異常を抱えている事が多かったので、ね」
 若い依頼主は、少しこの男に嫌悪感を抱いた。この男は、既に自分の
事を精神異常者だと決め付けているように感じられたからだ。
 頭が少しおかしくなったって、自分の恥など書き散らすものか。僕は
プライバシー管理はきっちりするほうだ。男がそう思っていると、
「ここに行ってみて下さい。信用の置ける医者です」
 紙を渡された。『〜〜精神病院 ルイ・アントニオ』と書かれている。
「ルイ精神科医は非常に優れた医者です。過去何人もの患者さんを悪魔
 から救いだしています。あなたもきっと、大丈夫」
 ああ、そうか。この探偵はルイという男に仕事を斡旋しているのか。依頼主を
精神異常者に仕立て上げて……なるほど、どちらも幸せになれる手だな。
 僕は、そこまで病んではいない――若い男は、心底この探偵を軽蔑した。
 ただ、それでも、残された3枚の怪文は、厳然と存在している。これが生じた
はっきりとした原因の根元の部分を突き止めなければならないことは事実だ。
 事務所を出た若い男、トグサ コウジは、ポルトガルの雑踏に足を踏み出していった。



235 名前:トグサ Darkサイド  投稿日:04/08/26 12:55 ID:2ViRY7yo
 「退屈、だな」
 底知れぬ闇に支配された世界。
 汚い身なりで、朧気に見える頬に十字傷。
 その男が、呟いた。
「早く気付け……もう、ずっと我慢してきたんだ。早く……」
 ここまで言ったところで、男の様子が変わる。
「…いや、そうか、別にここで待つ必要はないじゃないか」
 今なら――
「…今なら、乗っ取れる!」



236 名前:トグサ Fineサイド 投稿日:04/08/26 12:56 ID:2ViRY7yo
 昼下がり、トグサは町を往く。
 あの怪しい探偵と何か繋がりのあるであろう精神科医の所へ
向かっているのだ。
(しかし……)
 気になっていた。あの、今日の怪文のことだ。
(あれは、今までとは違う。書いた者が己の存在を主張していた。
 ここにきてなぜ……ああ、わからない)
 トグサは頭をごりごり掻いた。
 
 そんなことをしてる間に、紹介された病院に辿り着いた。
「フェルナンドんトコのお客か。来な」
 俺がルイだ、と粗野な男は言った。あの探偵はフェルナンドと言うらしい。
そんなことは、トグサにとってはどうでもよかったが。
 精神科。
「さて……っと。心を病んでいるそうだな」
「そんなこと……」
 ち、ち、ち、とルイは舌を打った。
「病人は、はじめは皆そう言うのさ」
 トグサがカチンときたのは言うまでもない。この、患者への気配りが微塵も
感じられない男に勤まるほど、精神科医とは甘い仕事なのか、トグサは心中で
そう毒づいた。
「お前は今、俺に腹を立てているだろう」
 ルイは、急に真顔になり、
「それでいいのさ。まずは、感情の発露、つまり、怒りだとか、悲しみ、喜びなんか
 を表に呼び出すこと」
「……だけど、」
 トグサは怪訝な顔をして、
「それを今言ってしまったら意味がないのでは……?」
 ルイは、手をポンとやって、
「ああ、そうだな!」 
「はあ!?」
 トグサは心底呆れた。



266 名前:トグサ  投稿日:04/08/27 11:04 ID:yPRcumoU
 「冗談は置いといて」
 ルイはまた真顔に戻り、
「お前にはそんな小細工打つ必要もないな。お前の心は俺がどうにかするまでもなく
 揺らいでいる。自分で気付いてるかは知らんが、かなり不安定な状態だ」
 当然といえば当然である。毎日朝起きると、自分で書いた覚えもない訳の分からない
文章がテーブルに残されているのだ。これで平静を保てる方が不思議だ。
「コーヒー飲むかい? あんたもどうだ?」
 トグサはキョトンとした。あんた、ってこの部屋にはルイと自分しかいない。
「あんた、って誰?」
「お前の中にいる奴さ」
 トグサはガタンと音をたてて椅子から立ち上がった。ルイは口笛を吹きながら奥でコーヒーを
淹れていた。
「それ、どういう――」
「ほれ、飲みな。ブラックだ」
 トグサは言いたいことが山ほどあったが、それを封じられ憮然としていた。
「さて、これから幾つか問いかけをする。お前は答える必要はない。俺がただ問うだけ……
 それを聞いていればいい」
 それが何になるんだ? とトグサは思ったが、とりあえずここは従うしかない。
 一つ。
「お前は何者だ?」
 


472 名前:トグサ Darkサイド 投稿日:04/08/30 12:43 ID:9DVFQPPU
 「俺は虚像から捻り出された者であり、悲しみと切なさの権化であり、
その世界における『平民』の象徴であり、エントロピーとしての『弱さ』の象徴だった」
 闇の限りない静寂の中、彼の声が響く。
 「だが、それは以前までの俺。俺はこの無限ともいえる時間、ただひたすらに狼の牙を
研いでいたのだ。『何者だ?』と問われれば『有史以来最高最強至高の狼』としか
言い様がない。他に?」



473 名前:トグサ  投稿日:04/08/30 12:44 ID:9DVFQPPU
 ルイは、温くなったブラックコーヒーをくい、と喉に押し入れた。
(つうか、エントロピー≠ニか言われてもな……読者様もピンとこない人いるだろうし、
作者もよく理解できてねえし。まあ、どうせ誰も読んじゃいないだろうが)
 誰かがそう思ったが、それが具体的に誰なのかは定かではない。
 「さて……じゃあ、次の質問だ」
 気を取り直し、ルイはトグサの中に語りかけた。
 正直な話、ルイは彼の人生の中で経験したことも無いほどの焦りと歓喜の入り混じった
感情に支配されつつあった。勤めて冷静を装ってはいるものの、内心は『鬼の首を取った』
心持ちであった。彼は、自分の人生における『勝利』を掴み取った気でいたのである。
 「二つ目……お前は、どこから現れた?」



474 名前:トグサ Darkサイド 投稿日:04/08/30 12:43 ID:9DVFQPPU
 「さっきも言ったとおり、俺は虚像の世界……紙や映像の世界からこの中に入った。
作品が完結しても、俺自身は完結していない。俺は俺に相応しい幕引きを与えられていない。
だから、この中にいるのさ」
 「その作品は、島国から発祥して、世界中に広がっていったらしい。だから、俺がどこに
現れようと不思議ではない。不思議では、ないのさ」
 「その作品にいい思い出はない。個人的には嫌いだし、こうして存在しているのも、作品に
対する反逆といっていい。俺は、拭い難き屈辱を、ほんの僅かでも晴らすためのみにこうして
在るのだ」


475 名前:トグサ 投稿日:04/08/30 12:43 ID:9DVFQPPU
 その作品……それが何なのか、はっきりと知りたかった。
 しかし、推測は出来る。彼は、虚像、つまりこの世界で息をし、物を食べ、風呂に入り、働き――
そういうことを出来ない、生きていないモノであるということ。
 そして、恐ろしいほどの精神的肉体的コンプレックスからくる、ストレス、憤り、屈辱、哀しさ。
そうしたあらゆる負の感情からこの世界に湧いて出たターミネーターなのだ、と。
 ルイは、漫画やアニメ、或いは映画などに詳しくない。それでも、分かる。
 「彼は、虐げられてきたのだ。恐らく、何度も、何度も――」
 これから、『中の人』にとても酷いことをしようというのに、ルイは泣いていた。涙は止め処ない。
人間とは、なんと二律背反なものか――
 「三つ目の質問……というか、お願いだ。外に、出てくれないか?」



580 名前:トグサ   投稿日:04/08/31 10:01 ID:wndmt1e.
 「……わかった」
 ルイは、喉元から声を搾り出すようにして言い、棚を開けた。
 『中の人』からの要求――それは。
 「……本当に、大丈夫なんだろうなぁ?」
 ルイの手は震えていた。両手でしっかと握っているものは、ピストル。
トグサのコメカミ付近に、銃口を押し当てる。トグサは人形のように無反応だ。
 震える手で安全装置を外し、トリガーに指を掛ける。
 入れ物を壊せ≠アれが、『中の人』の要求だった。
 篭った様な音が狭い室内に響くと、先程までヒトだったモノが、音も無く
糸切れ人形のように倒れた。
 「おい……で、出てこいよ、出てきてくれよ!」
 ピクリとも、動かない。即死のようだった。
 「おい……!!」
 唐突に。
 「心配性だな」
 それはおよそ人とは思えぬ立ち方だった。例えるなら、糸繰りマリオネットの
ような――精気は、微かに感じられる程度だった。
 「これが、世界か。鼻がツンとするな」
 コメカミからは鮮血が吹き出て止まらない。しかし、そんなものお構いなしと
いったところ。さっきまでのトグサとはまるで違う、これが『中の人』――
 「……探したぜェ!」
 白衣の胸ポケットを弄りながら、ルイは大声で言った。同時に、窓から2人組みの
男が侵入してきて、トグサ(だったモノ)の両脇を押さえた。
 「これで俺は永劫勝ち組だッ!!」
 胸ポケから取ったスタンガンを携えて、ルイは一直線にトグサの腹に向かっていく。しかし。
 「!!」
 トグサの姿が、消えていた。診療室に残ったのは、ルイと、多量の血と、2人の気絶した男。
 「……これだから、下っ端は使えねぇ」
 舌打ちしたルイは、使えない男を思い切り足蹴にした後、トランシーバーを手に取った。
 「おい! 『念願の存在』が街に逃亡した! あれを手にすれば俺らは一生安泰だぞ、探せ!
たとえ、親の死に目に会えなかろうがなんだろうが、組織全人力動員してでも探して捕らえろ!
夢の世界に連れてってやるからよおッ!!」



91 名前:トグサ  投稿日:04/09/06 20:24 ID:5FcddtZI
 俺は街のとても固い地面の上を走っている。
 これが、体が感じる物の感触なのか。
 これが、風を切る、ということか。
 これが、体の各部位を機能させて動かすということなのか。
 全てが新鮮で、全てが受け容れ易いモノ。
 そうだ、これがリアル≠セ。俺が漆黒の闇の中、永く永く求め続けていたものだ。
 脳が指令を送る――全身がそれに応える――行動として具現化される。
 たったこれだけのこと、紙や画面の中では感じることが出来なかった。
 解き放て。全てを受け容れ、世界と溶け合い、自分とそれとを順応させろ。
 それだけで、俺は全てを捻じ伏せる最強の狼となる。
 この世界には、俺以外バケモノはいないハズなんだ。
 傷だらけの狼は、もういない。昔の名は忘れてしまっていた。



92 名前:トグサ 投稿日:04/09/06 20:25 ID:5FcddtZI
 「!」
 上空から放たれた歪な気配を、トグサ≠フ鋭敏となった感覚は逃さなかった。
上を見上げる。抜ける青空と、オレンジ色のガレキで形作られた屋根。いる。
 「降りて来いよ。いるだろ、2人」
 トグサ≠フ芯の通った声が辺りに響いた。暫し残響が残りし後、音も無く落ちて来た
2人の男。
 格好は同じだった。全身と顔を覆う、まるで隠遁者のような姿。布の隙間から僅かに覗く
鋭い眼光が、トグサ≠スだ一点に向けられる。
 「お前が稀少品だな」
 「これがァ? なんかヒョロイなおい。こんな華奢な学生みてーなヤツがそんな必死に
なるモン?」
 「いいから黙ってあれを捕らえ、あの方々の所に突き出せばよいのだ。それだけで、
家が建つ」
 「ええー、イヤだよぉー。オレはあいつを原型を留めないくらいにボッコボコにして、それから
リスボンの港にコンクリ漬けにして――」
 「お前は……本当、救えないバカ者だ。バカ世界一決定トーナメントにでも出て大金稼ぐがよい」
 「はあ!? この利発でセンシティブなオレ様がなんでー!」
 格好は同じなのに、性格はまるで違う。対照的だ。



93 名前:トグサ  投稿日:04/09/06 20:26 ID:5FcddtZI
 トグサ≠ヘ、全てを受け容れつつも冷静沈着だった。敵の力量も読み取れず(読み取ろうと
もせず)、自分達が無様に敗北するイメージを描けない雑魚ども。早々に見切りをつけ、深く、深く
呼吸をする。世界と溶け合う、そして、放つ。攻撃の際は常に力を抜いて、インパクトの瞬間、一気
に力を外に放つ。イメージだ。そう、あの2人を一撃で地面に寝転ばすイメージ――
 「いいか!? オレは世界中のどの男よりもモテ――」
 アホトークを続けたバカ男と、それをダルそうに聞いてた男。
 その、2人の世界は同時に一回転した。トグサ≠フ超高速水面蹴り。
 2人は、頭からコンクリの地面に激しく激突し、静かになった。
 「うああ……」
 トグサ≠ヘ、あまりの気持ちよさに震えが止まらなかった。体がビリビリして動けない、それほどの
快感――思わず、情けない喘ぎ声も漏れる。
 (技をキレイに繰り出すって……相手を倒すって、リアルだとこんなにも気持ちいいモンなのか……!)
 気持ちよさに抗おうと、思い切り息を吸い込み、叫んだ。
 「お前らァッ!! 足元がお留守だぞおおおおおおおおおおおッッ!!!」
 叫びながら、走り去っていった――気持ち、よすぎ……。
 


220 名前:トグサ  投稿日:04/09/10 22:35 ID:ZIC1e.Wc
 ポルトガル富裕層の住宅が結集する地区。その真中にそびえ立つ超高層ビルに、彼らは居た。
 「さて……あの件だが、どうだね。首尾よく事は進んだかね?」
 ビル内の一室――その気になれば、セガサターンを何万台も詰め込めるだろう程の広大な部屋
――に、これまた巨大で豪壮な丸テーブル――それでいて何万人乗っても大丈夫に違いない造り
――が自らの存在をしっかと誇示していた。
 丸テーブルを囲むのは、あんまりにもいかにも過ぎて、読む人にも作者の狭く浅い知識を思いっ
きり露呈しまくっているんだろうがどうせ読まれてないしどうでもいいや、な黒服のマフィア達。
 テーブルを囲む、と一口に言ったが、実際とても巨大な部屋にあるとても巨大なテーブル(部屋の
半分を占める。テーブルクロスは小さいので代わりにじゅうたんを敷いている)である。
 つまり、今部屋には数百人の『いかにもな人達』が詰っている。そして、皆一様に青い顔をして震え
ながら俯いているのだ。
 なぜか。
 それは、ある人物がこれから怒り狂うであろうことを皆知っているからだ。そして、それを今、現時点
で止める術が無いだろう事も――



221 名前:トグサ 投稿日:04/09/10 22:36 ID:ZIC1e.Wc
 「ボ……ボス、そ、それが、そそそそのですね……」
 『ボス』は、部屋の一番奥の方にどっかと鎮座していた。笑顔である。それも満面の。それでいて、狭
くなった眼の奥から鋭い光を発し、全体を見るともなく見回していた。
 マフィアの世界では恐らく、「眼の力」こそ、対人戦においてはもっとも力を発揮するものなのではなか
ろうか。知らないけど。とにかく、皆を恐れに追い込むほどにボスの「眼の力」は凄まじかった。
 「……まさか、まだ捕獲していないのかね。例の『トグサ』とやらを」
「はっ……!! 私ども直臣から末端まで一体となってそれこそ必死の捕獲活動を……」
「そのわりには、それほど力を入れてるようには見えないが? マヌケな工作員ばかり使っているとの報
告が届いているぞ」
「いっいえ! 決してそのようなことは……」
「ルイス」
 ルイスとは、このテンパってる男の名前である。本来は割と偉い方の立場に当たる人物であり、このように
人にへつらう必要はないはずの人だが、相手はボスなのでどうしようもない。
 「黙れ。これ以上俺を怒らせると……一族郎党皆アドリア海に沈めてやっても構わんぞ? 本望だろう? 
イタリアの美しき風光に囲まれて逝けるんだ。羨ましいなあ、ルイス。なあみんな? そう思わんか」
 いきなり話を振られた「その他の黒服」は、最初あんまりにもあんまりな内容に怯えを来したが、とりあえず
自分や家族、部下の命を守るため、首が折れんばかりの勢いで首っつーか体全体を揺らした。明日は皆首と
背中が痛くて仕事にならないだろうことが容易に想像できる。
 ルイスはボスのボディーガードに両脇を抱えられて、連れ出されようとしていた。行き先は美しきイタリア。の
海の底。家族や部下も引き連れての命を運賃にした一大旅行だ。
 「うんうん、いい声で鳴いてるねぇルイス。いい旅を……」
 『これ以上怒らせたら〜』ってあの時点でオレ死亡確定っつーか挽回チャンス皆無かよ!! と声にならない
声に瀕死の思いを乗せ嬌声を上げ続けるルイスなのだった。今回は本当に全くドラゴンボール関係なかったが
別にいいや。
 


255 名前:トグサ 投稿日:04/09/12 09:45 ID:Aiue0SY.
 ああ、久々だ。
 久々にまともな夢だ。
 ここんトコ、ヘンな怪文やらなんたらでロクにこっちに来れなかったものなあ……。
 まあ、今はそんなことどーでもいい。みんな、久しぶりだね。
 アサミ。カスミ。サヨコ。ローレン。サラ。ラヴィーン。……僕の理想郷。
 
 トグサ番外編(夢)『世界がもし100人の幼女だったら』

 98人がバスト70以下。
 2人がバスト90以上。

 95人が黄色人種で5人が白人。

 100人が初潮に達して

 
 『ダメじゃねえか』
 


256 名前:トグサ 投稿日:04/09/12 09:45 ID:Aiue0SY.
 脳に直接響く音波。頭が揺らされる感覚がして、トグサは気持ち悪くなり飛び起きた。
「なッ……! だ、誰だッ!!」
『この犯罪者め。オレだよオレ』
「わっ……ワケわからん……つか思ってるだけで犯罪になるか! いいじゃないか! 
個人の嗜好を尊重してやってくれよ! 実際に手はださねえよ!」
『声が頭に直接届いてるカンジしないか? つまり、そういうことだ』
「んなことはどうでも……ああ!」
 突然、トグサは頭を押さえ倒れ込む。とてつもない痛みの波が彼に届き、引いては繰
り返してゆく。脳の中に、何か残っている気がする。なんだろう、この、妙な異物感は。
 トグサの中で目くるめく痛みと思考。中からまた声が響く。
『お前は頭に銃弾を叩き込まれたんだ。覚えてないだろうがな。あの時は、もうほとんど
オレが表に出ていたから』
「……ッ、なら、なぜ、僕は、生きて、る?」
『知らねぇ。まだ決めてない』
「は、はやく決め、とけよ、手抜きヤロー……――」
 限界を超えたトグサは、痛みの波に意識を流された。
『オレはお前の思考・発想・行動など、全て把握できる。お前はオレが表に出てるときの行動
を一切知り得ないし、また関わることも出来ない。どちらがこの体における優位性を持ってい
るか、馬鹿でも分かるよな? って聞こえてねえか……オレのことは『ロボ』と呼べ』
 『ロボ』とは、ポルトガル語で『狼』を意味する。



573 名前:トグサ  投稿日:04/09/18 20:15 ID:ULqw9eUU
 チャカチャンチャンチャ〜ン♪
 何が楽しいのか分からないが、漫才が始まる。
『どうも〜』
『お前ら死ね!』
『出ていきなりなんや!! お前が死ね!!』
 ポルトガルで今一番勢いのある若手漫才コンビ『B組』。常に社会にケンカを売るその
スタイルを支持する人は多い。
 そもそも、ポルトガルに漫才が伝わったのは1938年。大阪の大御所漫才師であった
『片栗オミルコミル』の片玉オミルがポルトガルはリスボンに偶然漂着したことから始まる。
 オミルの日本語は勿論理解されなかったが、関西弁のイントネーションの面白みと、関
西人特有のパワーは、言葉の壁を越え、ポルトガル人の魂を揺さぶった。それ以降、オミ
ルの喋りを形から真似ることから始まり、研鑽を重ねる中、徐々に彼ら独特の『マンザイ』
は完成していくのである。
 『まーしかしね、忙しい』
『ありがたいことやないの。これも応援してくれる皆様のおかげです』
『オレは応援してなんてゆうてないけど』
『いや、自分こういう場ではとりあえずゆうとけや!』
『こう忙しいとパソコンやる時間もないねえ』
『なんか煩わしいしな』
『SS書く時間なんてないわ。勉強もせなあかんねん』
『SSってなんやねん』


574 名前:トグサ 投稿日:04/09/18 20:16 ID:ULqw9eUU
『エ……』
『いや、なんやねんて?』
『待って、今考える』
『今考えるんかい! ネタ出しん時にいうとけや!!』
『……セクシー・センテンス?』
『エロ文かい! お前は官能小説でも書いとんのか』
『……セレブリティ・ショッピング』
『一生無理やな』
『まあ、嘘なんですけど』
『分かっとるわ』
『なんか、ダレてきましたね。今日はダメや。見に来たお客さんは運が悪かったね』
『それでええんかい! ところで、自分何勉強してん?』
『四十八手』
『どうでもええわ。ありがとうございました』
『お前ら死ね!』
『だから、それやめろっちゅうねん!』
『ああ!? 命令すんなダボが!! なんならここでやったるぞこのインポ野郎が!』
『やめろや! テレビで流れとるんやぞ!』
『関係あるか! オレがやるっつったらやるんじゃオイこいや!』
『知らんぞ! 全部ぶっ壊したるからな!! 知らんぞ!!』
             〜〜CM〜〜



575 名前:トグサ  投稿日:04/09/18 20:18 ID:ULqw9eUU

 「相変わらず、マジギレ部分だけは面白いなこいつら」
 トグサは、激痛に苛まれながらもこのマンザイだけは楽しみにしていたようだ。客観的に見て
糞な内容だが、後半のマジギレ部分だけが見所らしい。前半から中盤にかけてどんどんグダグダ
になっていくところが好きだという人も……3人くらいはいる。
 『おい、いい加減外に出ようぜ』
 ロボは闘う為だけに現世に現れた。自分の強さを自分で確信したいがために。それだけのために。
しかし、ほんのただそれだけのことを為さねば彼のトラウマは消えないのだ。
 主人公の最初のライバルなのに、酷い扱い。
 必殺技がただのコンビネーション。
 勝てない。勝てても味方のフォローのおかげ。
 傷を忘れられる。
 最終回でセリフなし。
 その他数々の屈辱を乗り越えるためには、彼の目的を達成するだけでは駄目だ。それでは彼は一
時的に満ちるのみで、結局また過去の記憶に苦しめられることになる。
 乗り越えるには――復讐。
 しかし、彼の頭の中にそれはない。誰に復讐すればよいのかさえ、分からないのだから。
 闘い続ければ、自ずと見えてくるだろう。そうなるはずだ。それは、彼の生まれた国にあるのだから。
 「じゃあ、買い物に行こうか。頭の中の銃弾が死にたいほど痛むけど」
 トグサは環境音楽とCM明け後の『しばらくお待ち下さい』の画面が出続けているテレビを消し、ドア
を開けた。んで閉めた。



699 名前:トグサ 投稿日:04/09/21 17:59 ID:pPUJiWe.
 ポルトガルはリスボン、町外れの放置された場所で、今、シリアスな
空気が流れていた。
 「あなたとも今日で最後ね」
 目元が鋭く、背の高い、赤いドレスの毅然とした女が突き放すような
口調で言葉を吐いた。
 「…なあ、本当にいいのか? 俺はいいさ。だが、あの子が、メリアが
可哀想だとは――」
 「思わないわ」
 2人は夫婦だった。夫はリスボン署の新進気鋭の刑事。妻は結婚する
前は弁護士だったが、夫の強い望みで家庭に入った。ヨーロッパでは
(多分)珍しい。
 「思わないわ……だって、一番可哀想なのは私! 刑事のあなたと結
婚して、仕事も奪われて……ここまでどれ程乾いた日々を過ごしてきた
か……あなたにはわからないんでしょうね」
 「俺のどこが駄目なんだ? 恥ずかしい話、未だに、この離婚の判を押
そうという日になっても、わからない……わからないんだよ、アニー」
 夫は、目を潤ませながら言葉を搾り出した。妻は、唇をキュッと締め、
 「そんなこと、もうどうでもいいの! とにかく、今の私にはあなたに対す
る愛はおろか、娘の……可愛いメリアにすら愛を向けることも出来ないの
よ!」
 「そう……か。もう、駄目なんだね、アニー」
「ええ……ええ、そうよ。もう、どうしようも、ないの」
 アニーは、いつの間にか目を腫らし、嗚咽を漏らしていた。


701 名前:トグサ 投稿日:04/09/21 18:00 ID:pPUJiWe.
 
 舞台は変わって、リスボン市内。
 「いてええええええ!! 頭チョーいてぇぇぇ!! だれか、だれか今すぐ
僕をっ……ころ……」
 トグサは、日ごとに生きようとする気持ちが減退してきていた。常にこの地
獄の痛みを伴う生など享受したくねえよ! という感じだった。
 『お前……町の往来で……』
 中のロボはただ呆れていた。自分をこんなヘタレの体の中に押し入れた神
を密かに呪ったりしていたがそれはまあいい。どうでも。
 「はっ!」
 絶望の淵にいたトグサを救おうとする神聖なる光があった。トグサが好きで
好きでしょうがなく、だがしかし、色んな事情(社会通念とか、法律とか、葛藤
とか)で今まで手を出せなかったもの――
 「そ、そうだ……僕は死のう。だが……ど、どうせ死ぬのなら……最期は幼
女の胸の中でェェェェ――――!!!!」
 死を覚悟した人間を止める術はない。ロボも必死に犯罪行為を止めようとし
たが(刑務所に入ると色々やり難いからだろう)、トグサの純真で研ぎ澄まさ
れた体の全神経がそれを堪えた。今のトグサはさながら、セリヌンティウスを
救うためだけにただ走り続けたメロスのようである。地を覆う大火でも、橋を押
し流す川の氾濫でも、今のトグサを止めることは出来ないであろう。
 


702 名前:トグサ 投稿日:04/09/21 18:01 ID:pPUJiWe.
 「たすけておとーさんおかーさーん」
 「げっへへへぇぇぇ!! 今のキミを真の意味で助けることができるのは僕だ
けだぜええええ」
 見るに、3、4歳といったところの幼女を大人気なくも全力で追いかける獣。
それも、町の中心部。しかも日曜日。街行く一般民は見て見ぬふりしたり、通報
していたり、あまりの事にただ見てるしかなかったり、色々だ。今のトグサにとっ
てはどうでもいいことだろうが。勿論、彼の脳にめっこり埋め込まれている銃弾が
揺れ、脳内出血しまくってそれは致死量に達しようともしているが、それでも、事を
達するまで彼は止まらないだろう。
 「いやあっ!」
 道の隙間に足を掛け、こてんとすっ転んだ幼女。トグサの面が醜く歪んだ。
 「僕は……抑圧されてきた。ずっと、ずっとだ。僕はキミみたいな小さくて可愛い
女の子が好きだ。我慢できない。大好きだ。でも、世の中が僕の性癖を拒んだ…
…」
 『化けの皮が剥がれた』とは、このことをいうのだろう。ここまで常識人面で歩んで
きた人生が、今まさに崩壊した。しかし、本人は、『性』を意識してから十年来溜め込
んできた鬱積を晴らせた喜びと、これから待っているだろう悦びが同時に攻めて来て、
なんだか気持ちがよくて堪らなかった。
 「だれか……たすけてよう」
 「大好きだ――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!」
 何者かが空気を鋭く切った。それは人と云う大きな塊だった。塊はトグサの頬をとて
も力強く蹴り上げ、とても遠くに飛ばした。
 今にも抱き締めようと、両腕を広げ突進していったトグサに、それはカウンターの大ダ
メージだった。一瞬意識が途切れ、鋭敏だった神経もまた途切れた。その隙にロボが体
を乗っ取った。塊は幼女の頭を撫で、避難させた後、トグサ≠一瞥する。
 また、闘いが始まる――



148 名前:トグサ 投稿日:04/09/27 18:16 ID:kFrOFaIs
 ポルトガルはリスボン。ポルトガルはリスボンったらポルトガルはリスボン。
 「メリア! メリアーッ!!」
 2人の男女が昼下がりの街中にいた。
 夫の方(どうでもいいが、名はマルコ)は、さすが刑事だけあって、娘の近く
にいたと思われる――娘は街中央のカフェに置いてきていた――カフェの店員
などに聞き込みをしていた。
 妻のアニーの方はというと、闇雲に街を走り回りながら、大声で娘の名を叫ぶ
だけだ。いかにも素人っぽい探し方で好感が持てる。
 (何故……私はあの子の為にこんなにも必死になれるの……? 私は、もう、
あの子を愛してはいないはずなのに。どうして、どうして――)



149 名前:トグサ 投稿日:04/09/27 18:16 ID:kFrOFaIs
 「おにいちゃんありがとう! あっちのこわいおにいちゃんがわたしのことを〜」
 前回の1レス目と今回の冒頭に、愚にもつかない下衆似非メロドラマを書いた
のはなんでかっていうと、言うまでもなくこの子がメリアだからなのだが。可哀想な
ことに、今回の出来事のおかげでこの子は一生男を愛することが出来なくなるの
だが、そんなモンは今後詳しく書いたりもしないし、本当にスレ違いになってしまう
しなによりつまらん。ただ、トグサのおかげで未来を潰された子が一人できたって
だけのこと。所詮創作物のキャラがどうなろうがどうでもいいね。
 「……さっきから、何を呟いている?」
 メリアを助けた男――多分、あのマフィアからの刺客――が、何だか呆れた様子
でトグサ≠ノ言った。
 「んああ、すっきりしたァ〜。いやさ、この変態の残留思念が凄まじいことになって
たんで、それを脳から追い出す為にこっちも滅茶苦茶思ってみたのさ」
 「口に出してたが……さっきはロリだのぷにだの……」
 「それは昨日書いたような気がするけど、馬鹿が間違ってコピーしてない文章データ
消しちゃったから、一生表には出ないな」
 「貴様は、何者だ?」
 「俺は……ロボだ」
 「トグサ コウジ、ではなく……」
 「そう、ロボ。お前らは俺の方に用があるんだろう? 俺はないが。大体、100%勝ち
負けのわかってる勝負なんて、俺が読者でも見たくないね。俺が現世の人間に負けるか」
 トグサ≠ヘ、相手を舐めた面で哂った。つうかマジでつまらんから書く気しない。

 

150 名前:トグサ 投稿日:04/09/27 18:17 ID:kFrOFaIs
 「ん……んん」
 朝――トグサはベットの中で目覚めた。
 「……夢オチかあ……初めて使ったけど、なんかいいな」
 『夢じゃねえよ』
 トグサの内からロボの声がした。ちょっと前のトグサなら驚いてベットの下に落下し、その
衝撃で脳の中の銃弾が揺れ、死んだ方がマシな激痛に襲われるところだったろうが、さすが
にそれなりに年食ってるだけあってか、もうすっかり対応した。
 「夢じゃないのか? なんか夢精してるが」
 『それは本当に夢だったんだろ。大方幼女と仲良くやってる夢でもみたんだろうがな……まあ、
どうでもいい。昨日はなかなか有意義だったぜ。この体では力が使いきれないこともわかったし』
 「ふんふん」
 『それでも、現世の人間には労せず勝利することが出来るってこともわかった』
 「なるほど」
 『でも、あの組織にはまだまだ上の、下手したら人間の限界を遥かに超えたような奴がいるって
ことも聞き出せた』
 「どの組織?」
 『ああ、そういや昨日お前が精神的に犯したメリアって幼女は、無事両親と会えたようだな。トラウマ
にならないといいな。どうでもいいが』
 「メリア!! そうだ、確か、夢に出てきたあの子がメリア……うわああああああああああ!!!!!!」
 人間ってここまで狂えるのか、とロボは思った。そのゴミの体の中で。



151 名前:トグサ  投稿日:04/09/27 18:18 ID:kFrOFaIs
 鬱蒼とした部屋から離れ、舞台はリスボン郊外の丘に移る。
 「メリア……いいのね? ママと一緒に住むことになっても……」
 「うん……おとこのひと、こわいの。パパでもだめ」
 メリアは、自分の体の半分ほどの大きさのウサギの縫いぐるみをぎゅっと抱き締めていた。
 妻、いや、今はもうただの1人の女となったアニーは、娘への愛を思い出していた。無くしたのではない、
ただ、引きずられていただけなのだ。自分以外の女と子供を作り、それをひた隠しにしていた最愛の夫への
煮えくり返るような怒りに。勿論、正直に言われてもどうも変わらないが、自分はそれほどまでに夫に思われ
ていないのかと思うと、悲しいのと同時に、火が吹き出そうだった。だから、夫の収入がなくなってもそれなり
の生活が送れるよう準備を整えた後、離婚を切り出したのだ。親権は夫に譲る予定だったが、前述したように
娘への愛を思い出したのと、メリアが極端に夫に拒否反応を示すのを見て居た堪れなくなったために、自分が
持つことになった。また、夫もそれを強く望んでいた。図らずも、すっかり愛の冷めた男の最後の望みを聞くこと
になって、アニーは自嘲気味に笑った。
 「いいのよ。焦らず、ゆっくりと治していきましょう。私達には、長い時間が残っているんだからね」 



186 名前:トグサ 投稿日:04/09/29 18:44 ID:4qMqwi1o
 「ふっ……あああ……っと」
 午前九時。世間の皆々様が必死に各々の責務を果たさんとしているというのに、
こんな時間に起きる奴は死んで詫びるべきだ。とはいえ、一概にそうは言えない。
仕事にもよる。漫画家とか。それは許す。
 「また夢精してるよ……メリア……もう、僕は……」
 テーブルに付いていたボタンを押す。すると、やたらでかいカーテンがゆっくりと
開きだす。窓の先には、高層ビルと、その中でも一際目立つ東京都庁が顔を出し
ていた。ここは―― 
 「久しぶりに日本に来ているというのに……」



187 名前:トグサ 投稿日:04/09/29 18:45 ID:4qMqwi1o
日本編突入の前になんとなく粗筋。とキャラ紹介。

〜トグサ〜

 潜在的ロリコンであったトグサコウジが表立って犯罪行為を犯せるようになるまでの
一大青春ロードムービー。ひょんなことから脳に銃弾が入ってしまったが生きている。
 或いは、闇の中に延々と浸からされたロボ=ポルトガル語で「狼」 が、自らの抑圧さ
れた漫画キャラ人生を空しく終らせぬために現実世界でなんかする話。



188 名前:トグサ 投稿日:04/09/29 18:45 ID:4qMqwi1o

【トグサ コウジ(戸草工事)】

 変態。日本に来たのは頭の銃弾を親父に抜いてもらう為。何気に医大卒。その裏設定を
(バトル方面で)いつか生かそう、いつか生かそうと思ってたうちにひどいことに。まあ、頷
ける設定ではある。性犯罪者に高学歴が多いのは、長い学的拘束時間で抑圧された性
欲がスパークしてしまうことが要因の一つだろうし。

【ロボ】

 第一話辺りの意味不明駄文を書いたのはこいつらしいが、今やそのサイケっぷりは見
る影もなく。なんかリアクションも普通。『かってに改蔵』の読者なら分かるだろうが、改蔵
と羽美の関係性に酷似してるなあと思う。どちらかが尖がると片方が引っ込む。バトル苦手
なんで、あの打撃のコンビネーションの技とかいつ見られますかね。

【謎の組織】

 きっと謎のまま。人間を超えた人間は出てこない。ありがちでつまんねえ。

【ボス】

 今後は出てこないかも。

【B組】

 インパルスといわれて驚いた。この話を考えてた時、別に特定の芸人を宛がおうとしていたわ
けではないので。テキトーに「まあ、ダルダルでも後半ブチ切れときゃ形にはなるよね」と思って
キャラ作っただけで。不思議だなあ、と。

【メリア】

 トグサのキャラをキッチリ作るためだけのキャラ。



189 名前:トグサ 投稿日:04/09/29 18:46 ID:4qMqwi1o
 時をまき戻す。15時間と34分28秒前から。
 ポルトガルのトグサん家。
 「いい出来だなあ、さすが日本の有名造型師謹製の人形……ふっくらとした質感が射精感を促す」
 トグサはロリ人形を股間のいきり立ったモノに宛がい、いわゆるアレをしていた。ロボはなんか落ち
込んでいた。正直、当初の目的がどうでもよくなるくらいに、こいつは酷い。あまりにも酷すぎる。こん
な、現代社会の病窟の中にわざわざ閉じ込めなくてもいいじゃねえか神様な気分だった。
 『……あー、外出ないか?』
 あの出来事以降、トグサの意志が以前とは比にならない程(間違った方向に)頑強になったこともあ
り、自由に宿主の体を動かすことも出来なくなったロボだ。彼に唯一出来ることといったら、こうして引
き篭もりがちなトグサに外に出ることを促すことくらいだ。とにかく、隙を作らねば自分が表に出ることは
叶わない。表に出れねば目的も糞もない。この変態の中で燻り続けるのみだ。嫌だ。すっげえ嫌だ。
 「も、もうちょい……うっ」
 以下略。

 『オレは思うんだ。こうして外に出て幼女に欲情しながら刺客と闘うって展開を繰り返すのもいい。だが、
それだと書いてて飽きてくると思うんだ。飽きたらあっさり連載ブン投げると思うんだ。つか、ロリネタはもう
嫌なんだ。そこでだ……』
 「そこでぇ?」
 トグサは鼻くそを穿りながらダルそうにほざいた。
 『日本に行かないか?』

 

190 名前:トグサ  投稿日:04/09/29 18:47 ID:4qMqwi1o
 現在。
 「――確かに、ロボが言うとおりこのままでは展開が先細りするばかりだし、作者の執筆欲も減退していく
ばかりだ。頭はクソ痛いし、日本はかわいい幼女が多いしロリ漫画も多いし、言うことないな……」
 トグサは、色んな感情が入り混じった笑みを浮かべた。
 「でも……腕のいい脳外科医っつったら、僕はあいつしか知らない……」
 何故、トグサは日本に来ることを了承したのか。
 勿論、上で彼が述べた理由もある。また、これはロボの推測に過ぎないが、件の『謎のマフィア』はヨーロッパ
全土にネットを張っている可能性があり、組織の息のかかっていない医者は指で数えられるほどだとも言われ
ている。場末の精神科医ですらそうなのだ。大病院の医師などほとんどが組織の色に染め上げられているに
違いない。即、捕らえられ、なんかされるだろう。
 「……嫌だな。僕は、親父の世話にはなりたくないのにな」
 そう言いつつ、ポルトガルでの生活資金は全額親に出してもらってる辺りに、トグサのジレンマはある。



257 名前:トグサ 投稿日:04/10/02 13:52 ID:/3pUmLQU

闇の中で思ったこと

作詞:ロボ 作曲:誰か 編曲:誰か

光は闇に晒されて 闇は光に犯されて
悲しみの果てには 絶望しかないのか
憤りの果てには 破滅しかないのか
それを見つめて 何を得る 何を得る
牙は欠け 肉体は衰え どこへ行く
ただ あるのは破滅 どうすればいい

憤りも悲しみも ほんの少しの勇気さえ
大部分を占めるエゴでさえ 全てを力に…
還られると思っていた オレは徹頭徹尾甘ちゃんだった
ほんの少しの勇気さえ 肉体の死に繋がるか
怯える魂は 生の道標へとなり得るか
なんで生まれる? どうして生きる?
泥土を掻いて行くような生を なぜ続ける
エゴは全て 惨い精液の残骸

肉体が朽ち 魂は世界に溶ける
誰か そんな完全なる死を どうか完全なる死を
狼の牙は折れてしまった 牙は空しく折れてしまった
進んでも 進むことをやめても あるのはただ破滅
ただあるのは破滅 あるのはただ破滅
誰か完全なる死を どうか完全なる死を
肉体の破砕を 精神の粉砕を どうか オレに



258 名前:トグサ 投稿日:04/10/02 13:53 ID:/3pUmLQU

「そんなに死にたいのか」
 誰だ。
「お前を生み、育てた者たちは、誰もそんなことを望んではいない」
 誰だよ。
「暗闇から、明るい世界を望むのは楽しかったかい」
 聞けよ。
「死ぬ前に、達成したいことがあるんだろう」
 応えろ。
「だが、それが何なのか分からない。余りにも抽象的で、カタチがない」
 誰だ。
「この国で、君を待つ。はやく来ないとどうなるか分からんぞ」
 応えろ。
「人間、『一寸先は闇』だからな……」
 誰だよ。
「思い出せ。君が何のために生まれたかを。改めて……な」
 おい。
「そうすれば、生きる希望なんて幾らでも湧いてくるんじゃないのかね?」
 おい。
「君は、それを成就する為のみに、現世にやって来たのだから」
 おい。
「怯えを捨てるな。アイデンティティを失った時、君は崩壊する。それは、
最後のお楽しみとしておきたいからね」
 影は薄くなり、ロボの目の前から消えた。何者なのか、影のせいで分か
らなかった。
 「……日本……オレが生まれた国……そうか……そうか…………!」
 ロボは、狼の牙を剥き出しにして笑った。狼の牙は折れてはいなかった。

 とまあ、ロボがそんな展開してる時に、変態は『若妻萌え』という新たなジ
ャンルを熱心に開拓していたのだった。人間の性欲には頭が下がる。



368 名前:トグサ 投稿日:04/10/05 21:01 ID:VhjkZE.Q
 トグサが、人生最良の友と出会った。益田という。
 彼とあったのは、アキバの同人誌書店で無修正ロリ漫画を物色してい
た時だ。背はトグサよか大分低く、中年オイリー親父の如き腹をしていた。
いわゆる『キモヲタ』である。牛乳瓶メガネと美少女プリントシャツも完備し
てるのは言うまでもない。
 彼とトグサは実に話が合った。その詳細はキモイので書かないが、トグサ
が「ぼくは12歳以上は受け付けない」というと、「俺は8歳以上はしんどいねえ」
と返してくる。まあ、全編そんな感じで。トグサはある意味自分を凌駕する漢と
出会い、自分は井の中の蛙であった。世界は広く、ただ、恐ろしい、と思ったりして。
 トグサには、「ふつうの友達」と呼べる人がいなかった。
 男女問わず理解できる人もいるかと思うが、友達とは所謂「猥談」をする。する
ものだ。多分、普通は。自分は誰々が好きだとか、タレントでいうと何が好みとか、
乳は小さい方がいいとか、大きい方がいいとか……そんな話。
 そんな、少年少女の他愛もない性の発露も、トグサにかかれば一発で色んな意味
で驚異的なものとなる。性の嗜好とか、友人間で無言のうちに形成されている様々な
線引き(ライン)とか、一瞬で突き破ってしまう。
 そんな彼にとって、「性」を分かり合える人の登場は一生モンであったのだ。これから
忙しいので今日はここまで。



507 名前:トグサ  投稿日:04/10/18 20:42 ID:N7.v6XQU
 トグサの唯一無二の親友である益田から手紙が届きました。



 君に、贈る。

          

 封筒の中は赤で染まっていた。中から――



508 名前:トグサ 投稿日:04/10/18 20:43 ID:N7.v6XQU



 母さん、元気でいますか? 僕はこれから警察に出頭します。せっかくお腹を痛めて
生んでくれたのに、ごめんなさい。
 光が射した、とでもいえばいいのでしょうか(もっとも、それは一般的な見地からしてと
ても暗い、暗い光でしょうが、それはこの際置いておきます)。僕は一人の少女の人生を
台無しにしてしまいました。彼女にはとてもわるいことをしたと、本当に思っているのです
が、なんといっていいのか……それを行っているとき、僕は、愉悦を覚えていたし、体のあ
る部分が急激に膨張していたりもしたのです。これは本当です。間違いありません。信じ
たくはないが、事実そうなのです。僕は善良な異常者だと自分を信頼しきっていました。お
母さん、あなたのせいではありません。僕がただその瞬間のみ醜悪に狂い狂い狂ったのです。
狂ってしまったのです。あの日、あの子の前に立った時、何か世界が捻じ曲がったような感覚
を覚えました。空が地面に感じられ、地面がただ透明に透けて見えました。ちょうど、母さんと行
った北海道の空のように。それからは、思いが体という領域から解き放たれ、ただそれを全開に
放出し、対象物に危害を加えようと試みていました。そして、それは成功してしまったのです。残
念ながら、ね。
 キリがないのでこのくらいに致しましょう。恐らく僕は、法の裁きにより十数年は表に出て来れ
なくなるでしょうが、弱めに祟り目というか、それとも棚からぼた餅といえばいいのか、内臓に悪
性の腫瘍が見つかりました。多分、一審の判決を僕が聞くことはないと思います。母さんは、た
だ頭を下げてうなだれていて下さい。衆目の同情を多少なりとも引くことが出来るでしょう。

 最後に――母さんは孫の顔を見たがっていましたね。血の繋がっていない赤ん坊の顔でしたら
見せることも出来たかもしれません。今はただ、それだけが僕の心残りです。

                                                
(以上は、益田が実の母に逮捕前に書いた手紙である。彼はそれと他に親しい友人などに合わせて
五通の手紙を出したらしいが、その内容は何故か知れぬ)



509 名前:トグサ 投稿日:04/10/18 20:45 ID:N7.v6XQU
 トグサに届いた封筒の中には、益田からの短い言葉と、人間の手、足、陰部、乳房など数点のパー
ツが、まるで牛肉か豚肉でも扱うかのように、雑然と詰め込まれていた。中には、そのパーツの生前の
姿と思われる、凛とした少女の写真も同封されていた。トグサはそれを視認し、何かを頭が確認できた
瞬間、糸が切れた人形のようにことりと倒れた。そして動きそのものを永遠に止めたのだ。
 中のロボもそれを感じた。そして動いた。考えてした行動ではなく(考える暇などどこにもなかった。な
にせ、外への扉が閉まってしまったのは、ちょうど野球でピッチャーの投げた球がキャッチャーミットに
届くまでの時間程度しかなかったのだ。ここ2、3週間のプロ野球はとても凄まじい)、まさに『本能』としか
言い表せないような行動であった。トグサが永遠に停止した瞬間に、ロボは無意識のうちに脳を乗っ取り、
体を掌握した。そう、もうトグサという枷はなく、全て、自分の思い通りに事を運べるようになったと、ロボは
内心ほくそえんだ。そして、右拳を家の壁に打ち込み、その壁が広く破壊された様を確認すると、外に飛
び出た。行く場所はもう決まっている。全て、見えている。最後の時だ。ただあれを成し遂げ、消えるのみ。
その眼には、火が点いていた。


 夫は、闇の中で目を見開き、ただひたすらに何か呟いていました。それが、私には
とても恐ろしくて堪らなく、そして、惹かれてもいた所だったのです。
 私の夫は漫画家『でした』。今は違います。彼はとても頑張り、もう仕事をしなくても
一生食べていけるだけのお金を稼ぎました。
 私を含めた家族にもとても優しく、いい夫であり、父親でした。ただ、ひとつ気になる
兆候が顕れ出したのは、そう、もう二ヶ月ほど前になるのでしょうか――
 ある日を境に、夫は何も喋らなくなりました。声が出せないとか、そういうことではな
いのです。喋らないのです。何を聞いても。何があっても。私達――いえ、誰とも――
目すら合わせなくなりました。何故なら、彼はいつも上を向いていたからです。
 そして、何かうわ言を呟いているのです。あまりに小さい声で、その内容は聞き取る
ことが出来ませんでした。
 そんな日が続き、つい昨夜のことです。
 私は深夜たまたま起き、喉の渇きを感じて立ち上がりました。そして台所に行き、コップ
一杯の水を飲み干して、また床に着こうとしました。その時、声が聞こえたのです。それは
夫のうわ言でした。何故か、その夜はよく聞き取ることが出来たのです。彼はこう呟いてい
ました。
 
 
   怯えを捨てるな。アイデンティティを失った時、君は崩壊する。それは、最後のお楽し
   みとしてとっておきたいからね
                      

 その夜、私はなかなか寝付けませんでした。何か、心に出所の分からないざわざわした
感じがしつこく残っていたのです。それがようやく薄まって眠りに付き、次に起きた時、既に
夫の姿はありませんでした。
 夫は、きっと私にお別れを言っていたのです。内容は関係ありません。きっと、そうです。
そうじゃないと、悲しすぎます。

 次回最終回。



 「僕はとてもとてもとても楽しみにしてたんだ。君に出会うことを。僕によって形作られた
架空の存在である君と出会うことを。全く、作家冥利に尽きるというものじゃないか!」
 富士樹海――2人の男が互いの存在を対峙させていた。
 1人は、日本有数の元創作家。
 もう1人は、彼によって生み出された、この世に存在しないはずのキャラクター。
 ありえない話だ。しかし、そんなことは今さら関係ない。ただ、お互いの溜まり溜まった
気持ちを思い切りぶつけるだけだ。
 「俺はなんでこの世に存在しえたんだろうって、ずっとずうっと考え続けていたんだ。正直、
幾ら考えても確固とした答えは浮かんでこなかった。でも、あんたのお陰で分かったんだよ。
皮肉なことだがな――俺がこの世界にやってきた理由は、あんたを一発思い切りぶん殴る
ことだったんだよォ!!」
 トグサ≠ヘ、飛び出した。命――いや、己の存在全てを懸けて。きっと、もう肉体を持ち、
意志を持ち、重力を感じて、風を感じて――そんな、人間みたいなことは出来なくなるのだろう。
だからこそ、後悔しないよう、この体に眠る全てのパワーを絞りつくしてやる。
 創作家は微塵も動こうとはしなかった。それはまるでトグサ≠、トグサ≠フ存在自体を
嘲笑うかのように見えた。トグサ≠ヘしかし、それについては何の感情も抱こうとはしなかった。
彼は極限の集中を保ち続けようとだけし、また視野も広く持とうとしていた。もう冥府に片足突っ込
んでいる状態だ。
 存在の篭った拳が、創作家の顔面を貫いた。

「ふっ……いいぜ、本気を出してやる」
「俺だって一応優勝を狙ってるんだぜ」
「ぐあああ〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
 彼はまた、娯楽の中の存在に戻った。彼は皆から嘲られ、罵られ、比較の対象にもよくされる。
もう、永遠に感じることの出来ないあの――――

                                    トグサ 終