伝説の盗賊
295 名前:短期集中連載・伝説の盗賊 [sage] 投稿日:03/08/20 19:06
ID:???
「オーケーだ。仕込みはもう終わった…アレも設置したしな」
イタリアのヴェネティア。大盗賊ヤムチャはここを盗みにかかる。
ここは、イタリアの某ホテル。そこのある一室。
大盗賊ヤムチャと、相棒のプーアルは、そこにいた。
「今回は順調ですね、ヤムチャ様!」
「何言ってる、いつだって順調だろ?まあ、明日だ。」
ヤムチャは、不敵な笑みを浮かべた。
「この街を盗む」
次の日。
一人と一匹は、某ホテルをチェックアウト。
これから、四箇所に向かう。
「まずは、あそこだな…」
「サン・マルコ広場ですね!」
296 名前:短期集中連載・伝説の盗賊 [sage] 投稿日:03/08/20 19:06
ID:???
ヴェネティアの中心に位置する市民の憩いの場、サン・マルコ広場。
第一の仕掛けはそこにあった。
「まあ、装置といっても、簡単なモンさ。ここに貼っておいた…あった。これのスイッチを入れるだけ」
第一の装置は、ペンチの裏側に貼ってあった。
「この装置、四つ起動させると、どうなるんですか?」
「ああ、そういえばプーアルには言ってなかったな…まあ、楽しみに、な」
ドデカい仕掛けなのは、確かなようだ。
「それよりさ、プーアル。ここは、いいな。時間がゆっくりしてる…」
「ああ、ホントですねー。」
周りの人たちを見渡しても、何かこう、日常の幸せみたいなものを感じる。
広場は美しいし、賑やかだし、でも、その中に落ち着いた空気もあって…
よなー
「いい 」
ですよねー
何も急ぐことは無かった。作戦に時間制限は無いのだから―(続く)
371 名前:マロン名無しさん :03/08/22 11:30 ID:???
>>295-296
しばらく広場でまったりしていたヤムチャとプーアル。
その後、広場から出ている水上バスに乗り込む。行き先は…
「第二の仕掛けは、リド島にある」
ヴェネティアに面するアドリア海は、多島海である。
120以上の小島が浮かぶ美しく光る海。さすがヨーロッパ屈指のリゾート地と言われるだけはある。
リド島も、その一つである。
「ヤムチャ様、第二の仕掛けはどこに?」
「まあ、行けば分かるさ」
372 名前:短期集中連載・伝説の盗賊 :03/08/22 11:31 ID:???
リド島―サン・マルコ広場から水上バスで15分のところにあるリゾート地。
市営のカジノ有り。
「カジノに行くぞ」
カジノ。さすがにチェックが厳しそうだ。だが、ヤムチャはきちんと正装していたので問題は無かった。
プーアルはハンカチに化けてチェックをすり抜けた。
「確か、この台の椅子の裏側に貼っておいたんだ…オッケー!」
「なんか、あっさりしてますね」
「ここが見せ場じゃないからな」
「ヤムチャ様、最後の大仕掛け、どうなるのか教えてくださいよ」
「まあ、あんまり言ってしまうと面白くないけど、少しな。」
太陽に近付くぜ―
97 名前:伝説の盗賊[sage] 投稿日:03/09/29 01:46 ID:uP4m.Nao
3つ目の仕掛けはマルコ=ポーロ国際空港の検問所の上に貼り付けてあった。
「ヤムチャ様… ムチャし過ぎですよ… 」
プーアルは小声で囁く。
「よりによってあんな所に置かなくても… バレたら事ですよ? 」
「いや、イマイチスリルが足りないじゃん? スリル分が足りないよ」
そう言うとヤムチャはコソコソと近付く。てかバレた。
「もー!! ヤムチャ様やっぱりバレたじゃないですか!? この無能!! 」
空港を飛び出した二人。何とかスイッチは押したものの、警察に通報されてしまった。
「よっしゃ、ゴンドラ乗り場行くぞ」
「ゴンドラじゃあ逃げられませんよ!! 」
ヤムチャは首を横に振り
「どうでもいいんだよ、ケーサツなんて、どうでも――」
98 名前:伝説の盗賊[sage] 投稿日:03/09/29 01:54 ID:uP4m.Nao
「あの右側三番目の乗り場だ。昨日チャーターしといた」
ゴンドラ乗り場に到着した二人。
「おっちゃん、出して!! 」
警察官が入ってくる。ゴンドラ漕ぎが
「あんたら――」
「ほら、出発!! 」
「分かったよー!!」
「ヤムチャ様。こんなとこに逃げたってすぐ捕まりますよ……」
「……………………」
プーアルの言葉にも答えようとしないヤムチャ。何かを深く考え込んでいる様子だ。
「ヤムチャ様? 」
「……某漫画だと、ゴンドラ漕ぎは女性の仕事なんだけどなァ……」
「おい色ボケ!! 」
「冗談だ。さて…この中に、と」
ヤムチャはゴンドラ内の小窓を開ける。中には、最後の四つ目。
「ここにあったんですか!? 」
「そうじゃなかったら乗らないよ。さあ、面白いことが起こるぜ……」
スイッチを押す。
99 名前:伝説の盗賊[sage] 投稿日:03/09/29 02:14 ID:uP4m.Nao
変化は徐徐に起こる。
「水面が…ヤムチャ様……」
「面白いぜ…? 」
地震?それとも噴火でも?
「違う。もっと力技」
「あっ!? 」
プーアルは仰天する。せり上がる……?ヴェネティアが!!
「持ち上げているのさ……俺が大量に培養した100人の孫悟空でな……」
「ええっ!? 」
「海底から持ち上げてる。なあに、悟空の力なら、容易いことさ…なあ、警察なんてカンケーないだろ?」
「……凄いじゃないですか!! ヴェネティアを盗みましたよ!! 」
ヤムチャは首を横に振りながら
「盗まない」
「えっ…いや、だって、自由に出来るじゃないですか? 」
「俺は自己満足の為にやったの。ただ、この街を空中に浮かべてみたかった。それだけ」
「自己満足だ? 」
「大聖堂の展望台からさ、観ただろ、この街を。余りに美しくってさ、思ったんだよ。『ああ、この街を浮かしたい』って」
大盗賊ヤムチャの動機は、ただそれだけだった……。
「 納 得 で き ね え ! ! ! ! 」
伝説の盗賊 おしまい