スタンド使いだヤムチャ!
353 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:04/02/13 22:41 ID:uDcy.69I
―スタンド使いだヤムチャ!―
人気のない静かな森。
その森で一人の人物が重い服を着ながら空気を殴る。
サイヤ人が地球を訪れるまであとわずか。
砂漠の狼、Z戦士の一人であるヤムチャはサイヤ人襲来に備え、一人修行に励んでいた。
ヤムチャ「ふうっ ちょっと休憩するかな」
ヤムチャが地面にへたり込んだ。
ふと自分の手元を見ると奇妙な『物体』を発見する。
ヤムチャ「ん…?なんだこれ?何か刃みたいだな……」
ヤムチャはそれを興味深々に見つめる。
ヤムチャ「なんたってこんな森に刃が落ちてるんだ?この辺には人が住んでないはずだ……」
その奇妙な物体は矢の先についている刃のようなものであった。
ヤムチャ「これは…… 矢の先端についていた刃かな」
普段ならどうでもいいと捨ててしまうが、ヤムチャはなぜかその刃に惹かれていた。
ヤムチャ「ま…… なんだか気になるし、持っておくか」
ヤムチャは刃を胴着の懐にしまうと再び立ち上がった。
ヤムチャ「痛っ…… 刃で指を切ってしまったか……」
ヤムチャは特に気にもとめず修行に戻った。
354 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:04/02/13 22:42 ID:uDcy.69I
静寂な森の夜。
ヤムチャは焚き火をしながら晩飯を食べていた。
ヤムチャ「こんなんで本当にサイヤ人に勝てるのか……?」
ヤムチャに不安が過ぎる。
あの悟空でさえやられてしまったサイヤ人だ。
それもそのサイヤ人より数段強い奴がやってくるという。
勝てるハズが無い。ヤムチャの頭にそんな思いが出てくる。
ヤムチャ「やってみるしか…… ないよな」
ふうっ とため息をつくヤムチャ。
漆黒の世界からふと目を醒ますと地球では既に朝を迎えていた。
ヤムチャ「朝か…… 俺はいつの間にか眠っていたのか……」
頭を書きながら立ち上がるヤムチャ。
ヤムチャ「……?」
ヤムチャが地面にある何かの跡を見つける。
ヤムチャ「なんだ…… これは?」
まるで地面が焼け焦げたように煙を出している。
その跡は人間の手の平のような形であった。
ヤムチャ「どうやったらこんな跡がつくんだ? 一体何が……」
奇妙な跡に困惑するヤムチャ。
「ソレハ…… オマエ ジシン ダ」
どこからか声がする。
ヤムチャ「!? だ…… 誰だ!? 誰かいるのか!?」
「オマエ ハ オレ オレ ハ オマエだ」
声はするが姿が見えない。
ヤムチャ「誰だ!?どこにいる!」
「ヤムチャ オマエ ハ 手ニ入レタ ノダ 『力』ヲ」
355 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:04/02/13 22:43 ID:uDcy.69I
バッ!
ヤムチャが後ろを振り向く。
ヤムチャ「な…… なんなんだ、お前は! お前は…… 一体……」
ヤムチャの後ろには人の形をした奇妙な生物…… いや、生物と言い難いものが立っていた。
「モットモ重要ナノハッ! 敵タオシ! 味方ヲマモロウト スル 強固ナ『決意』!」
ヤムチャ「強固な…… 決意…… お前は……!?」
「オレ ハ オマエ自信ノ 能力。 オマエ ハ オレヲ 操ル 主人!」
ヤムチャ「俺自信…… これは…… 俺が出したのか!? 俺の能力なのか!?」
「ソウ ヤムチャ オマエハ 手ニ入レタ ノダ 新タナ 能力ヲ……!」
静かな森が奇妙な雰囲気に包まれていく。
ヤムチャ「これが俺の新しい能力…… お前は…… なんというんだ?」
「ケイウ・ローガ!」
ヤムチャ「ケイウ・ローガ…… 狼牙風風拳と似てる気がするな」
こうしてヤムチャに『スタンド』能力が覚醒した。
※スタンドとは人には見えない守護霊みたいなもの
356 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:04/02/13 22:46 ID:uDcy.69I
ドンッ!
突然、目の前の木が地面にめり込む。
ヤムチャ「な……なんだあの木は…… 急に地面にめり込んだぞ」
ヤムチャが木を見つめながら驚いている。
ケイウ・ローガ(略称ケイウ)「コレガ オレノ『能力』」
ヤムチャ「お前の能力……?」
ケイウ「ソウ、ワタシ ハ 好キナ空間ニ 好キナ重力ヲ設定デキル……!」
ヤムチャ「重力を設定…… 操れるのか?」
ケイウ「ソウ ワタシノ能力ハ 重力ヲ好スキに操ル……!」
ケイウは拳を天に掲げる
ケイウ「イマイマ シイ サイヤ人ナド ブッツブシテ ヤルノダ!」
ケイウはそう言いながら拳で空を殴る。
どうやら軽い性格なのだろう。さすがはヤムチャのスタンドと言ったところか。
ヤムチャ「そ、そうか…… 『重力』これが俺の新技か!」
ヤムチャはぴょんぴょん飛び跳ねると自分のスタンドと一緒に
踊っている始末。さすがはお調子者である。
ヤムチャ「凄い! 凄いぞ! 今だかつて誰も手に入れたことのない能力がこの俺に!」
勝てる。サイヤ人に。
ヤムチャの脳裏にそんな予感が過ぎ去った。
<つづく>
※最後に能力説明
スタンド名―ケイウ・ローガ
本体名―ヤムチャ
破壊力―C スピード―A 射程距離―C(10メートルくらい)
持続力―C 機密動作性―C 成長性―A
ある指定した一箇所(半径10m程)だけを好きな重力にできるスタンド。
重力設定の幅は0Gから300Gまで。
スタンドが成長すればもっと多くのGと場所を設定できるようになる。
自分自身にも重力は有効で、0Gにすれば宇宙のような動きができるし
10Gにすれば自分の体が物凄く重くなる。
381 名前:スタンド使いだヤムチャ[sage] 投稿日:04/02/15 01:15 ID:h1OMxOb.
ヤムチャがスタンド能力を身につけて1日が過ぎた。
ヤムチャは夢の世界から目を醒ますと小川に向い顔を洗った。
綺麗な小川は魚も住んでいる。
バシャバシャとヤムチャが顔を洗うとやっとスッキリする。
ヤムチャ「ふーっ……」
ヤムチャは魚を捕まえて焚き火用の木に火をつけると魚を焼き始めた。
ヤムチャ「よし、そろそろいいな。 ところでお前は何も食べなくていいのか?」
ヤムチャはスタンドに語りかける。
ケイウ「オレハスタンドナノデ 食料ハ イラナイノダ」
ヤムチャ「スタンド?」
ケイウ「ソウダ オレノヨウナモノハ スタンドト イウ」
焼けた魚をもぐもぐと食べるヤムチャ。
ヤムチャ「ふーん…… ところで俺達の他に似たような能力を持つ奴はいるのか?」
ケイウ「ワカラナイ ガ イツカ カナラズ デアウダロウ」
ヤムチャは魚を食べ終わると気合を入れた。
ヤムチャ「よし!今日はお前の能力を使って修行してみよう!」
軽く腕を振ると一つの石を掴む。
ヤムチャ「ところでお前の能力でどのくらいの重力をかけられるんだ?」
ケイウ「ソウダナ 0Gカラ300Gクライノ重力ヲ 操レルダロウ」
382 名前:スタンド使いだヤムチャ[sage] 投稿日:04/02/15 01:16 ID:h1OMxOb.
ぽんぽんと石を手の上で転がす。
ヤムチャ「300Gか…… よし、ちょいとこの石に重力をかけてくれ!」
ケイウは手の平を上に向けて顔を振った。
ケイウ「直接物質ヲ 重クスルコトハ デキネーヨ」
ヤムチャは驚いて突っ込みを入れる。
ヤムチャ「な、なんだって!? 物体は重くできないのか!?」
ケイウ「重クデキルノハ 『指定』シタ『場所』ノミダ ハッハッ」
そう、物質でなく、場所に重力を掛けることができるのだ。
使いようによっては強力になったり、効果が無かったりする。
それがスタンド能力の恐ろしさでもある。
ケイウ「例エル ナラ オマエノ 立ッテイル 場所ヤ木ガ生エテイル場所ナドダ!ハッハ!」
笑いを飛ばしておどけるスタンド。
ヤムチャ「なるほどな…… つまり地面や空中だったら重力を設定できるのか」
ケイウ「ソウダ 物質ヲ オモクデキナイノハ 仕方ノナイ コトダ ウン キットソウダ」
得意な一面もあれば不得意な一面もある。
それがスタンドであるがそれを必死にアピールしているようにも感じる。
さすがはヤムチャのスタンドといったところか。
ヤムチャ「とういうことは…」
ヤムチャは何かを思いついたようだ。
自分が今着ている胴着の重さをもっと重くできればさらによい修行になるのでは?
383 名前:スタンド使いだヤムチャ[sage] 投稿日:04/02/15 01:16 ID:h1OMxOb.
ヤムチャ「俺の周り、半径10mを重くすることはできるんだな?」
ケイウ「ソウダ タダシ オマエモ オモクナルゼ!」
ヤムチャ「それが狙いなんだよ、早速重力10Gでやってくれ!」
ケイウ「イイノカ? シヌゾ」
ヤムチャ「やってみなくちゃわから…… ごばっ!」
ズドンッ!と思いっきり鈍い音を出してぶっ倒れるヤムチャ。
ヤムチャ「た……たんま……解除……」
ケイウ「解除スルゼ」
ゲホゲホとむせながら立ち上がるヤムチャ。
どうやら10Gの重力はヘタレにはそうとうキツイようだった。
ヤムチャ「くそ! 5Gだ! 5Gくらいなら平気なはずだ!」
ケイウ「5Gダナ! 俺モ ソノクライガ イイトオモウゼ!」
ドン!っと5Gの重力がヤムチャに襲いかかる。
ヤムチャ「グッ……! だ、だがこの程度なら…… なんとか立てるぞ……」
強気になりながらも今にもぶっ倒れそうなヤムチャ。
やはりヤムチャには5Gでもかなりキツイようだ。
ドスッ ドスッ と音を立てながら歩くヤムチャ。
ヤムチャ「く、くそ…… だけどこれはいい修行になりそうだぜ……」
ケイウ「無理シナイ ホウガ イインジャナイノカ……?」
スタンド自身にもGが掛っているので辛そうだ。
しかしヤムチャはひいひい言いながら体を動かす。
ヤムチャ「な、なんの…… 悟空だって辛い修行をしてるんだ…… 俺だって!」
事実、悟空は界王星で10Gの重量の元で修行をしている。
ヤムチャは過去のように無残な結果に終わらせたくないと思っているようだ。
ヤムチャ「今度こそ…… 活躍してみせるぜ……!」
汗を垂らしながら5倍の重力に苦しむヤムチャ。
5倍といえど一般人なら立つことも不可能なレベルだ。
ヤムチャ「この重力を克服してみせるぜ…… そうすればサイヤ人を倒せるかもしれん」
ケイウ「ハヤク 克服シテクレ 重クテ シカタネーゼ」
384 名前:スタンド使いだヤムチャ[sage] 投稿日:04/02/15 01:17 ID:h1OMxOb.
時は過ぎ、夕方になる。
上空ではカラスの群れが飛び交っている。
疲れきったヤムチャはその場にヘタリ込む。
ヤムチャ「ハァ…ハァ… き、きついぜ……」
5倍の重力はかなり辛いようだ。
ヤムチャ「今日はここまでだな…… 解除してくれ」
ケイウ「ワカッタ」
ヤムチャがそういうと5倍の重力空間が解除された。
スウッと体が軽くなるヤムチャ。
ヤムチャ「ふう、しかし5倍の重力がここまで辛いものとはな……」
ヤムチャの頭の中にふと考えが浮かぶ。
ヤムチャ「まてよ、これを利用すればサイヤ人も簡単に倒せるんじゃないか…?」
5倍の重力でさえこの辛さ。
300倍の重力なら体が潰れるくらいの重圧がかかるはず。
常人なら簡単にペシャンコだろう。
ヤムチャ「そうか、使い方に気を付ければ敵を圧倒できる……!」
ヤムチャの頭の中に希望の文字が浮かぶ。
勝てる。 この重力を操るスタンドさえあれば。
ケイウ「ソウダロウナ ダケド ユダンスルト シヌゼ」
スタンドに痛いところをつかれる。
ヤムチャ「わ、わかってるさ…… 修行は怠らないぜ!」
今度の戦いは本当に辛いものとなる。
ヘタをすれば簡単に命を落とす可能性だってある。
ヤムチャ「今度こそ活躍してみせるさ…… 死にたくはないからな……」
サイヤ人が攻めてくるまであとわずか。
果たしてヤムチャは5倍の重力を克服できるであろうか。
<つづく>