ヤムチャSPIRITS - たまにはヤムチャが活躍する物語を考えようぜ




ヤムチャSPIRITS

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102 :ヤムチャSPIRITS :02/10/01 20:21 ID:v1pY+FYW

ヤムチャ様は今もどこかで戦っている

「晩餐の前に無粋な方だ・・・どなたです?」
「僕はヤムチャだ!」
「ヤムチャ・・・嫌な名前だ。私の愛しい兄弟が殺した男の名もそうでした」
「お前はサイヤ人の・・・は、早い!うわあー!」
激しい衝撃にプーアルは変身が解けてしまった。
「ヤムチャ・・・だって?どこが?ククク・・・あんな小さき者どもも救えずに・・・」
「クッ…」
「お前がヤムチャ?この・・・大嘘つきの偽者めが・・・ヒ・・・ヒヒ」
「ク・・・ソオ・・・」
「・・・は!お前は!バカなこんなところまで」
「あ・・・ヤム・・・」
こみ上げてくる涙に声が出ないプーアル。
「ワリいな・・・プーアル、遅くなった」
「ヤ・・・ヤムチャ様!」
「サイバイマンか・・・敵は多いな、プーアル。いやたいしたことはないな。今夜はお前と俺でダブルヤムチャだからな」
「ヤムチャ・・・今度も自爆してやる!」
「いくぜ、プーアル!」
「はい!」

235 :ヤムチャSPIRITS :02/10/02 20:12 ID:MO5mWqiW

第2話「たった一匹の戦場」

セルとの戦いで死んだ孫悟空が天下一武道会の行われる日に1日だけ甦る。
息子の悟飯たちはそれを喜んだ。だが何より喜んでたのは悟空の無二の親友であるクリリンであった。
みんなに早く連絡しないと、いてもたってもいられずそう思い立ったクリリンは居場所の分からない仲間達にもそれを伝えるべく、クリリンは彼らを探していた。
居場所の分からないのはヤムチャ、プーアル、天津飯、チャオズの4人。
天津飯とチャオズの居場所は分からなかったが、ヤムチャの居場所は意外と簡単に判明した。
プーアルから久しぶりに連絡があったのだ。
プーアルに事情を話すと、プーアルは快くヤムチャの居場所を教えてくれた。
ヤムチャがいるのはべジナッパ村という小さな村だった。
「ホントにこんなとこにヤムチャさんがいるのかなあ
クリリンがそう思うのも無理なかった。
彼の知るヤムチャがいるようなとこにはとても見えなかった。
とりあえず誰かに話を聞こう。
そう考えたとこへ好都合に2人の村人がクリリンに声をかけてきた。
「おめえ、この村じゃ見ねえ顔だが、こんなとこで何してるだ?」
「用がねえならなるべく出歩かねえ方がいいぞ」
「そだそだ、夜になったらローガフウフウ犬が出るぞ」
「狼牙風風拳!?」
クリリンは驚いた。
狼牙風風拳といえばヤムチャの得意技である。
しかし村人の言うのは違っているようだ。
「ローガフウフウ犬っていうのはなぁ、最近ここの村人を襲っている化けもんだ」
「でもその化けもんって犬じゃないんですか?」
「その化けもんの飼い主みたいなのがローガフウフウ犬って呼んでただ。村人の1人もそれを見たヤツがいるんだが、早くて見えなかったらしいけど確かに狼か犬に見えたそうだ」
間違いない、ヤムチャさんだ!
クリリンは思った。
でもどうしてヤムチャさんがこんな小さな村に?
「そんでおめえは何しに来ただ?」
「え?いやオレは人を探しに来たんですよ。ヤムチャさんって言うんですけどね」
「なんだ、ヤムチャさんの知り合いかい?」

236 :ヤムチャSPIRITS :02/10/02 20:14 ID:MO5mWqiW

「知ってるんですか?」
「いい人だよ、ヤムチャさんは」
「最近この村には若い衆がほとんどいなくなっちまったから村は大助かりだ」
村人はクリリンをヤムチャのいるとこに案内してくれた。
そしてクリリンはヤムチャと数年ぶりの再会を果たした。
「ヤムチャさん?」
「ん?クリリン・・・お前クリリンか!?久しぶりだな!元気だったか?」
「それはこっちのセリフですよ!」
クリリンはヤムチャに事情を話した。
だがヤムチャの反応は思ったより小さかった。
「そうか・・・悟空がね」
「そうなんですよ!ヤムチャさんも出てみませんか?優勝すれば賞金も出るし」
「あそ、なら悟空たちによろしく伝えておいてくれよ。多分いけないし」
「何でですか?どうしちゃったんですか、ヤムチャさん!?悟空が生き返るって言った時も素っ気無いし、それに村の人が言ってましたよ。最近この村にローガフウフウ犬っていう化けもんが出るって」
「・・・」
「いったい何があったんですか?」
「まあ狼は丸くなったってことだ。じゃあな、お前もがんばれよ」
「ヤムチャさん!」
「あなた、ヤムチャの知り合いなの?」
突然声をかけられクリリンが振り返ると1人のキレイな女性が立っていた。
いかにもヤムチャさんが好きなタイプだ。
クリリンはなぜヤムチャがこの村にいるのかがわかった。
「あなたは?」
「私はマミー。この村の村長の娘よ。あなたは?」
「オレはクリリンっていいます。ヤムチャさんとは昔からの知り合いで。でも驚いたな。こんな美人がいたなんて、ヤムチャさんがこの村にいるわけだ」

237 :ヤムチャSPIRITS :02/10/02 20:16 ID:MO5mWqiW

「ヤムチャがこの村にいるのはそんな理由じゃないわ」
「え?」
「ヤムチャはこの村を守ってくれているのよ」
「ヤムチャさんが・・・」
「ええ、あなた、ローガフウフウ犬って知ってる?」
「は、はい・・・一応・・・」
「ヤムチャはローガフウフウ犬と戦っているのよ。それにしても、ローガフウフウ犬っていったい何者かしら。村人を平気で殺して。本物の悪魔よ」
クリリンは何も言えなかった。
それと同時に心の中でヤムチャに詫びた。
しかしローガフウフウ犬とはヤムチャのことなのだろうか?

240 :ヤムチャSPIRITS :02/10/02 21:51 ID:Ckp1SgFV

その夜
「ローガフウフウ犬だ!」
マミーの好意で村長の家に泊まったクリリンはその叫び声で目を覚ました。
外に出たクリリン。
同じように目を覚ましたマミーと村長も続いて出てくる。
外には無数のサイバイマンとその中央に1人の男が立っていた。
「サイバイマン!お前、どうしてサイバイマンを!?」
「1人残らず死ぬのだ。聞いても意味は無い!やれ!」
男がサッと手を挙げると何匹かのサイバイマンがクリリンたちに襲いかかろうとする。
その時!
「待ちやがれ!」
サイバイマンの前に立ちはだかるヤムチャ。
「ヤムチャ!」
マミーは思わず歓喜の声を上げる。
「キ・・・キー!」
サイバイマンは気を取り直し無謀にもヤムチャに襲い掛かった。
「はぁ・・・は!狼牙風風拳!」
あっという間にサイバイマンたちをなぎ倒すヤムチャ。
「ローガフウフウ犬・・・そんなヤムチャが・・・」
クリリンの脳裏にマミーの言葉が甦った。
「ヤムチャさん・・・」
「ホウ、なかなかの使い手だな。今の技は?貴様の名は?」
「狼牙風風拳。ヤムチャ」
ヤムチャは静かにそう言い放った。
「殺せ!」
全てのサイバイマンがヤムチャに襲い掛かる。
「ヤムチャさん!」
「クリリン下がってろ!」
ヤムチャはサイバイマンの攻撃を器用にかわしながら、1匹1匹としとめていく。

241 :ヤムチャSPIRITS :02/10/02 21:52 ID:Ckp1SgFV

「そんなアレがヤムチャだなんて、ローガフウフウ犬はヤムチャだったの?」
ヤムチャが強いということを知ってたマミーだが、普段力を最低限抜いた状態のヤムチャしか見てなかったため、人間とは思えないヤムチャの戦いぶりに困惑していた。
「ヤムチャさんさ。ヤムチャさんはあんた達を守るために戦っているんだ。狼牙風風拳は人を守るための技だ!」
クリリンがそんなことを言ってるとは知らず、サイバイマンと戦っているヤムチャ。
サイバイマンは全く歯が立たない。
「もういい!おれがやる。ヤムチャとやら、お前とは本気で戦ってやる」
男はそういうと蜘蛛の化け物に変わっていった。
「ば、化けもんだ!!」
「なるほどこいつらの飼い主もやっぱり化けもんだったか。いくぞ、狼牙風風拳!」
だが、ヤムチャの攻撃が化け物に届く前にヤムチャは何かに足をとられ転倒してしまった。
ヤムチャが足を見ると両足を蜘蛛の糸のようなものが絡めとっていた。
「なんだ、これは!」
「ヤムチャとやら!足元がお留守だったようだな!」
「アイツ、強い!ヤムチャさんの弱点をあっという間に見抜くなんて」
「何がローガフウフウ犬だ。こいつはただ俺たちのアジトに近づいた人間どもをサイバイマンから助けてただけではないか」
「そ、そんな!」
「その軟弱さ・・・そして脆弱さ・・・俺が最も嫌うものだ。よって処刑する!」
糸を引っ張り、ヤムチャを空中に放り上げてしまう化け物。
「爆殺!ゆけ!」
ヤムチャに組み付くサイバイマンたち、一斉に爆発する。
「ヤムチャ!」
「お前ら、よくもヤムチャさんを!」
「動くな!貴様もなかなかの使い手のようだな。だが動けばサイバイマンを全員自爆させる。貴様は助かったとしても他の奴らは助かるまい。」
「く、くそ」

242 :ヤムチャSPIRITS :02/10/02 21:52 ID:Ckp1SgFV

クリリンと村人たちは化け物のアジトのある山の奥にある洞窟に連れてこられた。
「わし達をどうするつもりじゃ?」
「お前達は我々の食料になってもらう」
「ひいそんな!」
「嫌じゃあ!」
「黙って弱者は強者の糧になれ!」
「やなこった。この化けもんが」
と何者かが化け物の頭を踏んづけた。
それはヤムチャだった。
「ヤムチャ!」
ヤムチャは化け物の攻撃を軽くかわすと村人の前に降り立った。
着地した反動で傷口から血が出てくる。
「さあてさっきの礼をしなくちゃな」
「ヤムチャさん、オレも手を貸します!」
サイバイマンは全員でもヤムチャとクリリンの敵ではなく、すぐに全滅した。
「さっきはよくも足元がお留守なんて言ってくれたな。くらいな、狼牙風風拳!」
「バカが!またお留守になって・・・何!?」
目の前にヤムチャはいなかった。
「オレの真の強さはスピードだよ。かめはめ波!」
その声に化け物が後ろのヤムチャに気づいた時はもう遅かった。
既に化け物の後ろに回りこんでいたヤムチャのかめはめ波は化け物を木っ端微塵にした。
それを見上げる村人達。
村人達がヤムチャに視線を戻すとヤムチャの姿はなかった。
クリリンもいつの間にか消えていた。

243 :ヤムチャSPIRITS :02/10/02 21:54 ID:Ckp1SgFV

ヤムチャを探す村人達。
ヤムチャはクリリンとともに山の上空からそれを見下ろしていた。
「ヤムチャさん、よかったんですか?」
「ああ、あの平和な村にもう狼はいらない」
「マミーさんだって淋しがりますよ。好きなんでしょ?マミーさんだってヤムチャさんを・・・」
「オレは男だ。男には男の生き方がある。いくぞ」
「ヤムチャさん・・・カッコよすぎですよ」
こうしてヤムチャは村を離れていった。
クリリンは知らなかった。
マミーには将来を誓い合った許婚がいたことを。
ヤムチャは手を出したくても出来なかったのである。
村には遠出してていなかったその許婚は数日後帰ってきた。
マミーは彼にヤムチャの活躍を話した。
「きっとヤムチャは神様が遣わした天使さまだったのよ。ねえ、ラディ」
「そうだべ、マミー」
ヤムチャはこれからもこの村の英雄として語り継がれていくことだろう。

340 :ヤムチャSPIRITS :02/10/04 20:13 ID:Qxzg7rAD

第3話「狼のプライド」

天下一武道会にでることにしたヤムチャはそれまでに備え、修行の旅に出た。
その途中ヤムチャは大砂漠に迷い込んでしまった。
そこでヤムチャは大量のサイバイマンに襲われた。
「ほあ!はあ!とあ!はちゃ!」
次々とサイバイマンを倒していくヤムチャ。
サイバイマンたちの攻撃もヤムチャは全て裁いていく。
しかし1匹のサイバイマンがヤムチャに足払いをして転倒させた。
ヤムチャに自爆しようと迫るサイバイマンたち。
「ひ!ぎゃー!し、死ぬー!うわあー!」
かつてサイバイマンに自爆され、死んだ経験のあるヤムチャはその恐怖が甦ってしまった。
ヤムチャは混乱しながらもかめはめ波でサイバイマンたちを一掃した。
「はぁはぁ・・・は、だれだ!?」
敵を倒し安堵したのもつかの間、何者かの気配に気づき、ヤムチャは声を上げた。
それに応じるように1人の男がヤムチャの前に現れた。
「よう、久しぶりだな、ヤムチャ」
「お前はベーガ!」
ベーガと呼ばれたその男はヤムチャの盗賊時代の知り合った墓荒らしだった。

341 :ヤムチャSPIRITS :02/10/04 20:16 ID:Qxzg7rAD

「またあんな泥棒みたいなことをしてるのか?」
ヤムチャはさっきの情けない姿を見られてないか心配しながらもベーガに尋ねた。
「へ、お互い様だろ。お前だって似たようなもんだったんだから。それにしてもお前とこんなとこで会うとはな。お前も例のアレを狙ってるのか?」
「例のアレ?」
「不老不死」
「不老不死!?」
「この付近に遺跡があってそこの中にその秘密があるってわけよ。どうだ、オレと組むか?さっきのお前、強かったぜ。あれぐらい強けりゃ楽に手に入るぜ」
「貴様・・・見たのか」
恥ずかしさをごまかすため、睨みながら低い声で言うヤムチャ。
「あんだけ大きな声出されちゃな。・・・お?見えてきたぜ」
前方には巨大なピラミッドが出現した。
「なんでこんな砂漠に・・・こんなものが・・・」
「ここに文明があったからだよ。とっくの昔に滅んじまったみたいだがな。さあいこうぜ」
「おい!」
ベーガはそそくさと中に入っていく。
ヤムチャも仕方なく中に入っていく。
暗い中を進んでいく2人。
「なあ、あんた、もう盗賊しねえのか?ヤムチャっていやあ、誰もが恐れをなした盗賊だったのによ。人間変わりゃ変わるもんだ」
「・・・」
ヤムチャはすっと黙ったまんまだった。
彼は自分が不老不死になったら、不老不死で商売をしようと考えていた。
そうだ、プーアルも不老不死にしてやろう。
その時である。
ヤムチャは前方から来る複数の足音に気づいた。
徐々に近づいてきたその足音の主はサイバイマンたちだった。
後ろからも同じぐらいの数のサイバイマンがヤムチャたちの行く手をふさいでいた。

342 :ヤムチャSPIRITS :02/10/04 20:18 ID:Qxzg7rAD

「ちっ、取り囲まれたか。おい!オレが道を作る。 そしたらお前だけで逃げろ!」
「何言ってやがる!さっきより倍はいるじゃねえか!勝てるわけねえよ」
「・・・かもな」
「てめえ、死ぬ気か・・・なんてヤツだ、未練はねえのか!?これっきりになっちまう身内はよ・・・」
ヤムチャの頭にプーアルの笑顔が浮かぶ。
「ああ、いるさ。かけがえない相棒がな。だがオレにはプライドもある」
「なっ!」
ヤムチャはサイバイマンの群れに突進していく。
「はあ・・・狼牙風・・・ぐわ!」
サイバイマンはヤムチャを取り囲みリンチする。
先ほどの戦いで力をほとんど使い果たしていたヤムチャは抵抗すら出来なかった。
「もう・・・ダメか・・・ワリいな、プーアル」
「ヤメナサイ」
ヤムチャが死を覚悟した時、突然女の声が辺りに響くと、サイバイマンは攻撃をやめた。
いったい何が起こったのか、ヤムチャはそれを確かめる前に気を失ってしまった。
それから何時間立ったか、ヤムチャが目を覚ますと、ヤムチャの前に女が立っていた。
「かわいい・・・いやお前はいったい何もんだ!?」
「王妃ノ顔ヲ忘レタノデスカ?ファラ王、オ待チ申シテオリマシタ」
そう言うと女はヤムチャに口付けをした。
いきなり大胆な女だ・・・
そう思い、抱きしめようとしたヤムチャだが、あることに気づいた。
女の唇は冷たく硬かった。
この女は人間ではない。
ヤムチャは思った。
「ソナタノソノ強靭ナ肉体。ソナタコソファラ王ニフサワシイ」
「お断りだな。サイバイマンに人を襲わせたりしてるのはそのファラ王になるヤツを探すためか?そんなものために人を殺してんのか!」
「ファラ王、ドウシタノデス?」
「オレはファラ王なんてもんじゃない。ヤムチャだ!」

343 :ヤムチャSPIRITS :02/10/04 20:23 ID:Qxzg7rAD

「・・・キエエエ!」
女は奇声を発するとともに右腕を伸ばし、ヤムチャの頭をつかんだ。
「な、何を・・・」
「王トシテノ記憶ヲ受ケ入レヨ・・・ソシテヤムチャノ魂ヲ冥界ヘト行ケ」
女の手が光り、ヤムチャは再び意識を失った。
そして誰かの呼ぶ声で目を覚ました。
「ヤムチャ様!ヤムチャ様!」
「んー?は、ここは!?」
なんとヤムチャの目を覚ました場所は盗賊時代に使っていたアジトだった。
ヤムチャの姿もその時のものになっていた。
「どうなってやがる・・・」
「何をブツブツ言ってるんですか?それより早く仕事やっちゃいましょうよ」
「仕事?ああ、そうだな」
今までのは夢だったのか?
このときが一番毎日が楽しかったかもな。
誰もがオレの名を聞いたら恐れをなした。
そうだ、このヤムチャ様が世界で一番強いに決まってる。
悟空?べジータ?悟飯?
そんな奴らは所詮夢だ。
・・・に夢なのか?
ヤムチャがそんなことを考えてると、プーアルはせかすように声をかけてくる。
「ホラ、行きましょうよ、ヤムチャ様!嫌なことなんてぜーんぶ忘れちゃいましょう!」
「・・・夢じゃない。アレがオレの人生・・・オレの大事な仲間達だ・・・」
「ヤムチャ様?」
「すまん、プーアル。ここはオレのいるべき場所じゃない。オレがいるべき場所は過去じゃない!今なんだ!」
そう叫んだヤムチャは次の瞬間、元の世界に戻った。
「ソンナ・・・」
「うおお−!!」
気を開放し、女の手を弾き飛ばす。
「チッ、上手く洗脳できりゃ相棒になるかと思ったのによ」

344 :ヤムチャSPIRITS :02/10/04 20:37 ID:Qxzg7rAD

と上空から姿を現したのはベーガ。その背中には羽が生えていた。
「ベーガ!」
「王妃さんよ、ファラ王が来なくて残念だったな。もうあんたは用済みだ」
ベーガは手に作った気光弾を王妃に投げつけた。
爆発する王妃。
機械の破片のようなものが辺りに飛び散った。
「これは・・・機械?」
「そうだよ、そいつは番人でね。ここはサイバイマンのプラントさ」
ベーガは鷹の怪物に変わった。
「何!?」
「オレと来いよ、ヤムチャ。お前もオレ同様愛されし民になれるぜ」
「確かに王妃は機械だったのかもしれない。だがお前らは死んだ者と残された者の気持ちを利用した。そんな貴様らの愛などオレはいらん!例え1人で戦うことになってもな」
「かープライドの高いヤローだ」
ヤムチャはベーガにかめはめ波を放つ。
これを軽くかわしてしまうベーガ。
「まっすぐ来たらよけるもんだろ!」
「くそ!」
しかしヤムチャのかめはめ波に一部を吹き飛ばされたピラミッドは今にも崩壊しようとしていた。
「チッ、これが狙いだったのか!くそ、考えやがる」
逃げ出すベーガ。
ベーガがピラミッドから出てきた後、ピラミッドは崩壊した。
「まさかこんな痛手を受けちまうとはな。ん?・・・まだ生きてやがったのか」
上空から地上を見下ろすベーガの視線の先にはヤムチャが立っていた。
「決着・・・つけようぜ」
ヤムチャは操気弾をつくり、ベーガに向けって勢いよく飛ばした。
「また単純な」
かめはめ波と同じように軽くかわしたベーガ。
しかしヤムチャに操られた操気弾はその後ろからベーガに突進する。
「何!?」
逃げるベーガ。
操気弾はそれを猛スピードで追ってくる。

345 :ヤムチャSPIRITS :02/10/04 20:37 ID:Qxzg7rAD

「クッソー!!」
ベーガに追いついた操気弾はベーガの下半身にヒットし大爆発を起こした。
上半身だけの姿で上空から落下して来たベーガは地面に叩きつけられた。
「ガハッ!ま、まさかこれほどとはな。ザコだと思って甘く見てたようだ」
ベーガに歩み寄ってくるヤムチャ。
「くそ、負けたぜ、ヤムチャ・・・やっぱあんたすげえな」
「あんなものは曲がりものの強さだ。あんなので倒れるほど落ちぶれちゃいねえよ」
「狼は丸くなったかと思ったら、やっぱ狼は狼だな」
そう言うとベーガは死んだ。
「ベーガ・・・」

「昔か・・・確かにあの頃もよかったな。べジータには悪いが、久しぶりにブルマとデートしてみるか」
そう思い立ったヤムチャは早速ブルマに電話した。
『ハイ』
「あ、ブルマか?オレだ、ヤムチャだ」
『ヤムチャ?何の用よ?今忙しいんだけど』
「久しぶりにお前とデートしてみたくなったんだ。もうオレ達は恋人じゃないけどよ。これから時々一緒にデートしようぜ。・・・おい、聞いてるのか?」
『ツーツー』
電話は既に切られていた。
「・・・やっぱ昔のほうがよかったかな・・・アンリー、ヒナワ、オレはやっぱダメかも」

432 :ヤムチャSPIRITS :02/10/06 01:01 ID:ARMNrIXc

第4話「足元の記憶」
これはヤムチャSPIRITSより前の話。
そう地球にべジータとナッパの2人のサイヤ人が来たころの話である。

「お前は地獄、お前は天国っと・・・次!早く来んか!」
閻魔大王にどやされやってきたのはヤムチャ。
だがいつものヤムチャとは違っているようだ。
「お前は・・・え〜とヤムチャか。そうか、お前が神の言っていた孫悟空の仲間か」
「孫悟空?それが僕の名前なんですか?」
「はあ?何を言っとる、お前はヤムチャだ。寝ぼけるな」
「ヤムチャ・・・それが僕の名前なんですね?」
「お前・・・まさか記憶を失っているのか?仕方ない、まあ天国にでも行って知り合いにでも会ってくれば、何か思い出すだろう。おい、お前は天国へ行け」
「は、はい」
行こうとするヤムチャ。
それを横目で見ていた閻魔は何を思ったのか、指でヤムチャの足をすくい上げた。
ヤムチャはそのまま転倒し、あごを打った。
「な、何をするんですか?」
「ガッハッハッハッハ、すまん、すまん。確かに神の言っていたとおり足元がお留守なヤツだな」
ヤムチャは閻魔が怖かったので何も言わず天国へ行った。
彼は天国へ着くと、天国をさ迷い歩いた。
そこで彼はある親子に出会った。

433 :ヤムチャSPIRITS :02/10/06 01:03 ID:ARMNrIXc

母の名はアンリー、娘の名はヒナワ。
アンリーは非常に美人であった。
ヒナワも母に似て美少女であった。
もしヤムチャが記憶を失ってなかったら必ずナンパしていたであろう。
この母子は生前はある村に住んでいたのだが、流行り病で死んでしまったのだ。
ヤムチャはこの母子とすぐに仲良くなった。
ヒナワは彼を実の父親のように思ってよくなつき、パパと呼んでいた。
アンリーもヤムチャといつしかお互いを意識しあうようになっていた。
念のために言っておこう。
これはヤムチャが記憶を失って誠実な青年になってたからこういう関係になったのである。
普段のヤムチャだったらそのナンパ癖と女好きゆえ母子は近づかなかっただろう。
ヤムチャがつきまとう可能性は十分にあるが・・・

一方閻魔の元には珍客が訪れていた。
「キー」
ヤムチャの尊い命を奪ったサイバイマンである。
「なんだ、この気持ち悪いヤツは」
閻魔はサイバイマンを見て言った。
それが癇に障ったのか、サイバイマンが閻魔に飛び掛った。
逆に指で弾き飛ばす閻魔。
「キーキー」
サイバイマンの声が聞こえ、クリリンとピッコロに瞬殺された5匹のサイバイマンも来た。

434 :ヤムチャSPIRITS :02/10/06 01:06 ID:ARMNrIXc

「お前ら、六つ子か?」
6匹揃い、強気になったサイバイマン今度は一斉に襲い掛かった。
10秒後、閻魔の前には座ったままの閻魔にボコボコにされ、正座させられたサイバイマン達がいた。
「確かヤムチャはこいつらの1匹に殺されたんだったな。もしかしたらそいつを利用すれば・・・おい、ヤムチャとか言うヤツと自爆したヤツはどいつだ?」
閻魔に恐れをなし、躊躇することなくそのサイバイマンに視線を移す他5匹。
「お前か。よし、お前には特別に少しの間だけ天国に行かせてやる。お前が道連れにしたヤツとだけは戦っていい。だが他の住人に迷惑かけたら・・・わかってるな?」
そのサイバイマンは黙ってうなずいた。

今日も花畑で遊ぶヤムチャとヒナワ。
手をつなぎ走り回っていると、ヤムチャはつまずき転んでしまった。
「大丈夫、パパ?」
「大丈夫だよ、これくらい」
「パパってよく転ぶね」
「そうだね、きっと足元がお留守なんだ」
笑う2人。
だがヤムチャは笑いながらも、無意識に出た「足元がお留守」という言葉になぜか嫌悪感を抱いていた。
そんなとこへアンリーが2人を呼びに来た。
「2人ともそろそろ帰ってきなさい」
その後彼らは帰路に着く。
ヒナワを真ん中に手をつなぎながら帰ってくる。
「パパ、今日は楽しかったね!」
「そうだね」
「ヤムチャ、ヤムチャさえよければずっと私達のとこにいて。これからもずっと3人で暮らしましょう」
「そうだよ、パパ!約束だよ!」
「アンリー・・・ヒナワ・・・」
3人が家に着くと、サイバイマンが待ち構えていた。

435 :ヤムチャSPIRITS :02/10/06 01:09 ID:ARMNrIXc

「ヤ、ヤムチャ・・・」
「パパ怖い・・・」
アンリーとヒナワは怯えている。
サイバイマンを見たヤムチャも死んだ時の記憶がかすかに甦り、体が震えていた。
「ぼ、僕はあいつを知っている」
サイバイマンはヤムチャに襲い掛かった。
ヤムチャは記憶を失っていながらも体が覚えているのか、サイバイマンの攻撃をかわしていく。
サイバイマンは痺れを切らしながらも足元がお留守なことに気づき、そこを狙おうとする。
「パパ、足元!」
「え?は!」
飛び上がりサイバイマンの足払いをかわしたヤムチャはサイバイマンを殴り飛ばした。
「やった!」
喜ぶヤムチャ。
しかし油断したために敵の反撃をよけきれず、地面に叩きつけられた。
「パパ!」
「ひ、ひい!た、助けて・・・」
サイバイマンがヤムチャに止めを刺そうとしたその時、アンリーが身を挺してヤムチャをかばった。
アンリーの腹にはサイバイマンの手刀が刺さっていた。
「アンリー!」
「ママ!」
慌ててアンリーの手を引っこ抜くサイバイマン。
地面に崩れ落ちるアンリー。
彼女を抱き起こそうとするヤムチャ。
そのヤムチャに襲い掛かるサイバイマン。
しかしヤムチャはサイバイマンの攻撃をひらりとかわすと蹴り飛ばした。
「みっともないところを見せちまったな。アンリー、すまん、オレのために・・・」

436 :ヤムチャSPIRITS :02/10/06 01:11 ID:ARMNrIXc

ヤムチャは遂に記憶を取り戻した。
「ママ!」
倒れているアンリーに抱きつくヒナワ。
「パパ、やっつけちゃえ!」
うなずいたヤムチャは怒りのままにサイバイマンを瞬殺した。
「彼女は既に死人だから大丈夫だ」
ヤムチャの言う通りサイバイマンから受けたアンリーの傷はもう治っていた。
「パパ、ホントに行っちゃうの?」
「ああ、すまない、ヒナワ。パパには守らなくちゃいけない人たちがいるんだ」
「そうだね、パパはみんなのヒーローだもんね」

現在
「へ〜、ヤムチャ様が死んだ時そんなことがあったんですかぁ」
「ああ」
感慨にふけながらヤムチャは答えた。
「じゃあ僕は余計なこと知っちゃったかもしれませんね。せっかくヤムチャ様が幸せになれたのに・・・」
「オレは今でも幸せだよ。だってプーアルがいるもん!」
そう言ってヤムチャはプーアルに抱きついた。
「ヤムチャ様・・・」
「(でもやっぱりアンリーを抱きたいなあ)」
口では今の方が言いと言っておきながらも、あの世に残らなかったことをちょっぴり・・・かなり後悔してるヤムチャであった。