新スレ記念読み切り ヤムチャの秘策
地球はついにサイヤ人来襲の時を迎え、迎え撃つ戦士たちは決戦の地に降り立った
ピッコロ大魔王、天津飯、クリリン、餃子、そして孫悟空の息子・孫悟飯の五人である。
だが、もう一人来るべきはずの男が来ない。狼牙風風拳の使い手・ヤムチャだ。
「あのバカ、逃げ出したんじゃ?」
天津飯が腹立たしそうに言葉を吐いた。場が暗く沈む、誰もが勝ち目のない戦いだと
分かってここにやってきているのだ。
「ふん、逃げたところで同じだ、ここで食い止めなければ死ぬことに変わりはない。
それにすら気付かんようなバカなら来ない方がましというものだ。」
ピッコロが口を開いた。確かにピッコロの言う通りである。せめて数で対抗しなければ・・・
その思いからこうしてピッコロ大魔王とも手を組んでいるのだが、ヤムチャだけが一向に現れない。
一体、どうしたものかと思う間にとうとうサイヤ人が地上に降り立った。
「おやおやザコどもがそろいも揃ってお出ましか、わざわざ、殺されに出てくるとはな。」
小さいほうのサイヤ人が口を開いた。その時クリリンは大きな気がこちらに向かってくるのを感じた
「この気はヤムチャさんだ、ヤムチャさんも来た。」
「遅くなったな、修行の最終段階に手間取ってしまって。」
そう、悟空が死んだあの日、神様の申し入れを断り一人下界に残り修行することをヤムチャは選んだのだ。
「どうしても会得したい技があるんだ。」
という言葉を残して。
「1、2・・・6人かナッパ、サイバイマンはいくつある?」
口を開いたのはまたも小さいほうの男だ。
「ちょうど6つだ、ベジータ。」
ナッパと呼ばれた男が答える。するとベジータと呼ばれた小柄なほうのサイヤ人は満足そうに言った。
「カカロットが来るまでゲームでもするか。」
(ゲームだと?)
その場にいた誰もが憤りを覚えた。だが、相手の気の大きさは自分たちの比でないことも同時に感じていた。
せめて悟空が帰ってくるまで時間稼ぎをしなくては、そう思っていた地球側にとっては好都合だった。
そしてナッパと呼ばれたほうのサイヤ人が何かを地上に埋めた。
一体何が起こるのかと思いながらも、状況をうかがう六人。
すると、先ほどサイヤ人が何かを埋めたあたりから緑色をした生物が現れた。サイバイマンだ。
「お前らにはそいつらと戦ってもらおう。」
(なめやがって!)
クリリンの怒りは頂点に達していた、もはや我慢できないと思いサイヤ人に攻撃を仕掛けようとした瞬間、
何者かの手が肩に置かれた。ヤムチャだ。
「お前と餃子は一度、ドラゴンボールで生き返っている。死なせるわけには行かない。
だから、俺がやる。修行の成果を見せてやるぜ。」
そういうとヤムチャは単身、敵陣に乗り込んだ。サイバイマン側からも一体が躍り出た。
次の瞬間、ヤムチャが何かの技の構えを取った。その場ではクリリンだけが知るあの恐るべき技の構えを。
「い、いけるぞ、そうかあの技を会得するために地上に残ったのか。」
「食らいやがれ、この技を会得するまでに半年を要したんだお前らなんか相手じゃない、消えな。」
「何だ、ヤムチャの奴、一体どんな技を会得したというんだ?」
好奇心に耐え切れずに天津飯がクリリンにその技が何なのかを訪ねた。
「あれは、何年前になるかな。俺たちがドラゴンボールを探している時に戦った相手の技なんだ、
その名もアクマイト光線。心の中にちょっとでも悪い心があればそれを膨張させ死に至らしめることが出来る。
確かにあの技ならいくらサイヤ人といえども倒せるかも知れない。考えたな、ヤムチャの奴。」
しかし、ここでクリリンは重大な事実を聞き逃していた。「半年で要した」という言葉だ。
確か、ヤムチャはここに来た際に修行に手間取ってと言ったのではなかったか。
そしてヤムチャはとうとうアクマイト光線を発しようとしていた。
「消えろ、アクマイト光線に俺独自の改良を加えた必殺ヤムチャイト光線。」
(ヤムチャイト光線?独自の改良ってまさか悪の心がなくても倒せるとか?だとすればすごいぞ。)
クリリンの思いとは裏腹にヤムチャイト光線を受けてもサイバイマンに変化は見られなかった。
(し、失敗したのか?それとも効果が現れるのに時間がかかるのか?)
「ははは、その技を食らうと足元がお留守になるんだ。食らえ必殺足払い」
そういうとヤムチャはサイバイマンの足をなぎ払った。だが次の瞬間サイバイマンがニヤっと笑うと
ヤムチャの視界は真っ白な光に包まれた。自爆したのである。とっさのことに防御の体制を取れずにヤムチャは即死した。
「バ、バカヤローーーーーーーーーーーーーっ、なんで、なんでアクマイト光線を改良なんてしたんだ。
そのままなら勝てたかもしれないってのに、ブルマさんになんていえばいいんだよーーーーーーっ。」
クリリンの叫び声はむなしく空に消えていった。
新スレ記念読み切り ヤムチャの秘策 完