ヤムチャの贈り物
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X’mas特別読みきり 『ヤムチャの贈り物』
『デイリー・サタン XX年12月25日』
「昨日、X’masを記念してサタンスタジアムにおいて
野球界のスーパースター、ヤムチャ選手が
我らがスーパーヒーロー、スーパー世界チャンピオンMr.サタン氏に挑んだ。
スタンドはサタン氏により招待された子供たちで埋め尽くされていた。
試合形式は野球のホームラン競争、Mr.サタン氏が5球投げ、
ヤムチャ選手が3本以上ホームランを打てばヤムチャ選手の勝ち
2本以下であればMr.サタン氏の勝ちというものだった。
両者が入場すると会場からは割れんばかりのサタンコール、
それに負けじとヤムチャコールも巻き起こった。
両者はがっちりと握手をしてそれぞれのポジションへと向かった。
X'masを記念してヤムチャ選手が提案したホームラン競争、
このイベントの最後にあんな奇跡が起ころうとは誰が予想したであろうか。」
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それはX’masの三日前にかかってきたヤムチャからの電話で始まった。
「サタン、今度のX’masちょっと協力してほしいことがあるんだ。」
「ヤ、ヤムチャさんですか、何でしょう、私にできることならなんでも
お金ですか、それとも女?」
「ばか、俺だってたまには子供たちのヒーローになりたいときがあるんだよ。」
「と言いますと?」
「俺とお前でホームラン競争をするんだ。新しく建ったお前のスタジアムがあるだろあれのこけら落としには格好のイベントだ。どうだ、協力してくれるか?」
「私にできることなら、しかし、相談なんですがいつもどおり負けていただくことは・・・」
「心配するな、ブウの超能力でお前は魔球を投げられるだろ。俺は2球だけホームランを打たせてもらえばいい、本当のイベントはその後だ、少しブウの力も借りたい。
後はお前の力で大々的に宣伝して子供たちを集めておいてくれ。」
そして、X’masイブ当日、完成したばかりのサタンスタジアムで
二人のホームラン競争が始まった。
「まずは小手調べだ。」
そういうとサタンは第1球を投げた。
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〜悟飯家の場合
「ねぇ、あなたパンのプレゼント買ってきてくれた?」
「あぁ、いろいろ考えたんだけど、父さんの道着にしたんだ。」
「なんですって、パンは女の子なのよ、普通はかわいい洋服とか買うでしょ。」
「自分だって武道やってたじゃないか、わかってくれると思ったのにな。」
「私だっておしゃれとかしたかったんだから、まぁいいわ、
今年はこれでいっか、パンもお父さんのこと好きだしね。」
パンがこのプレゼントをどんなものよりも気に入るとはこの時の二人には想像もできなかった。
「ヤムチャ選手、打ったーっ、大きい、大きい・・・入ったーーーっ」
第1球目:ヤムチャの勝ち
「なかなかやるな、では少し本気を出すとしようか。」
そういうとサタンの第2球が投じられた。
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〜ベジータ家の場合
「さぁ、ベジータ、今年もお願いね。」
そういうとブルマはベジータにサンタの服を差し出した。
「ふざけるなっ、今年こそはやらんぞ、絶対にやらん。」
「へー、じゃぁ、出て行っていいわよ、家にいてもご飯抜きだから。
働かない分、たまにはこうして協力してもらわないと。」
「くっ・・・」
「ほーほっほ、わかったならさっさといく、これがトランクスの分
それとこっちがブラの分、じゃぁ頼んだわよ。
しぶしぶ引き受けたように見えるベジータではあったが
毎年子供たちの寝顔を見ると不思議と怒りは静まるのだった。
「おーっと、サタン氏の投じたボールは信じられない変化をして
Mr.ブウ氏のミットにボールは納まっています。」
「はっはは、見たか魔球サタンボール。」
第2球目:サタンの勝ち
(ブウのやつやりすぎだろ・・・)
ヤムチャは一人ごちた。
「さぁ、もう1球行くぞ。」
そしてサタンの3球目が投じられた。
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742 :572 :02/12/25 01:20 ID:???
〜クリリン家の場合
「なぁ、18号、マーロンのプレゼント買ってきてくれたか?」
「いや、買ってないが?」
「うそだろ、クリスマスなんだぜ。仕方ないな、俺が買ってくる。」
「買ってくるって、どこも閉まってるよ。」
「地球の裏側はまだ昼だ、ちょっと飛んでいってくる。」
髪をかき上げながらそんなクリリンの後姿を見た18号はこんな男だから、
こんな優しい男だからこそ、自分はこの男を好きになったんだと認識した。
「おーっと、サタン氏の投げたボールは再び、信じられない軌跡を描いて
ブウ氏のミットに納まった、これにはヤムチャ選手たまらず空振りだーっ。」
ブウの超能力にさすがのヤムチャもついていけなかった。
第3球目:サタンの勝ち
「ブウ、やりすぎだ。次は打たせろ、じゃないと盛り上がらない。」
「・・・サタンに聞いてくる。」
そういうとブウはサタンの元に駆け寄った。
「サタン、いい言った。次はまっすぐなボール。」
「サービスボールだ、さぁ、打ちごろだぞ。」
そういうと第4球目がサタンの手を離れた。
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〜天津飯、餃子の場合
「天さん、これ僕からのプレゼント」
そういうと餃子は天津飯に真新しい道着を差し出した。
「餃子、俺からもお前にプレゼントがあるんだ、ほら新しい帽子だ。」
「ありがとう天さん、僕、大事にする。」
そこにランチがやってきた。
「オラオラ、天津飯、餃子。しけた面すんな、今日はクリスマスだぜ。
ぱーっとにぎやかにいこうぜ。」
たまらず舞空術で二人がランチから逃げたのはいうまでもなかった。
「打ったーっ、大きい、大きいボールは場外へと消えさったーーー」
(これで2対2か、後はサタンに勝たせてやればいい)
第4球目:ヤムチャの勝ち
そして最後のボールが宙を舞った。
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〜悟空家の場合
「悟空さ、悟天のプレゼント買ってきてくれただか?」
「いや、オラの昔、着てた道着をやろうと思ってんだけど・・・」
「また、そんなことを言って、まったくしかたねぇべな、悟空さは。」
「チチ、おめぇ変わったな悟飯のときはこんなもんプレゼントしようとしたら
百科事典、買って来いーーーってすごい剣幕だったのに」
「オラ、わかったんだ。勉強よりも大事なもんもあるんだって。
それにしても悟飯ちゃんはちゃんとパンちゃんにかわいいお洋服べさ買ってるだかな?」
「しんぺえねーって、ビーデルが何とかしてくれる。」
「だといいんだけんどな、オラ心配だ。」
「最後のボールが今、ブウ氏のミットに納まった、この瞬間サタン氏の勝利が決定しました。」
第5球目:サタンの勝ち
実況の声に合わせるかのようにサタンが両手を天に突き出した。
そして再び握手を交わし二人はベンチに下がって行った。
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そのときスタンドにいた少年の一人があるものに気づいた。
「ママ、蛍。」
少年の指差すほうには確かに蛍がいた。
そしてスタンドのあちこちから歓声が上がる。
そこには無数の蛍が浮かんでいた
「ちょっと疲れるが、大サービスだ。景気よく行こうぜ、拡散操気弾!」
そう言うと無数の蛍はいっせいに天へと向かっていった。
そして蛍たちは何かを描いた。
『Merry X’mas』
蛍の群れは確かにそう描いているように思えた。
そして再び蛍はばらばらになり空から降り注いだ。
「さぁ、ブウ最後の仕上げだ。あれを全部お菓子に変えてやってくれ。」
「わかった、お菓子になーーーれ。」
そういうと蛍はすべてお菓子に変わった。
この奇跡に子供は満面の笑みを浮かべ、ヤムチャの起こした奇跡に酔いしれた。
このとき確かにスタンドは幸せにあふれていた。
『デイリーサタン XX年12月25日』
「会場を埋め尽くした蛍、あれはサタン氏の勝利を神様もまた祝福していたのかもしれない。」
完