795 名前:ヤムチャ 〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 投稿日:02/11/23 13:55 ID:Irw7Eryt 其之零「急に打ち切っちゃってごめんなさい。新たなネタを思いついたので」 天下一武道会の決勝戦は、瀕死の重傷を負いながらもヤムチャの勝利。 試合終了後、ピッコロ大魔王は神様の魔封波により小瓶の中に永遠に封印されることになった。 一件落着かと思われたが、仙豆切れによりヤムチャは大怪我を回復することが出来ず死んでしまう。 生き残った孫悟空達はドラゴンボールが探して神龍を飛び出し、天下一武道会で死亡した面々、 天津飯、桃白白、チャパ王、ヤムチャを生き返らそうとするが4人はそれを拒否。 界王星で修行するとのことだった。 それから5年後のこと、新しい地球の神(神様は「自分は神にふさわしくない」と言い、神の地位を 天下一武道会の司会者へ譲った)は新たな敵、サイヤ人の到来を予感する。 地球の戦士達によりようやくヤムチャたちは生き返り、サイヤ人襲来にそなえた。 ついにサイヤ人が地球に襲来する。ラディッツ、ナッパ、べジータの3人だ。 まともに戦っては地球に多大な被害が出る、そう判断した神はサイヤ人にあるゲームを提案する。 796 名前:ヤムチャ 〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 投稿日:02/11/23 13:56 ID:Irw7Eryt その内容を簡単に説明する。 まず3人に1個ずつドラゴンレーダーを渡し、地球各地に散らばったドラゴンボールを探してもらう。 7個全てそろえることが出来たら願い事を自由にかなえてよい。 ただ、地球戦士達はそれを指をくわえてみているばかりではない。 世界各地に散らばった戦士達はサイヤ人の位置を気を探って見つけ出し、戦いをいどむ。 つまり、サイヤ人たちは地球戦士達を倒しながらドラゴンボールを探すことになるというものだ。 サイヤ人たちはこの提案を喜んで(べジータ「面白そうじゃないか」)受け入れる。 レーダーを受け取ると、サイヤ人たちは早速世界各地へ散らばった。 このゲームは、サイヤ人たちの戦力を分散させて各個撃破をねらう作戦であった。 サイヤ人の性格を一目で見抜いた神の巧妙な作戦。 だが、天下一武道会の司会を長年やってきた神の本心は、地上で繰り広げられる戦闘を まさに「神の視点」でのぞくことにあった。 「わたしを楽しませてくださいよ・・・。みなさん」 800 名前:ヤムチャ 〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 投稿日:02/11/23 16:50 ID:Irw7Eryt 其之一「こんなもんかよ」 ラディッツが降り立ったのは広い牧草地であった。 ふところからレーダーを取り出し、ドラゴンボールの位置を探る。近い。 「わ・・わわ・・!!なにもんだ、おめえ!!」 この土地の所有者であろうか、1人の農夫がライフルを構えて近寄ってきた。 ラディッツはスカウターをつける。 「戦闘力たったの5・・・、ザコめ」 殺気を開放して農夫に近寄るラディッツ。 「ッッ!!死にたいのか、おめえッッ!!」 たえきれず、農夫は発砲した。 が、ラディッツは弾丸を受け止め、それを農夫に見せた。 「ヒッ・・・、ヒィィィィッッッ!!!」 農夫が腰を抜かす。ラディッツはその額に向けて弾丸をはじいた。 ライフル以上の速度と正確さをもって弾丸は農夫の額に向かっていく。 が、弾丸は農夫の額に達する前に何者かによりつかまれてしまった。 ラディッツはその者の方に向き直り、スカウターで戦闘力を測る。 「戦闘力108・・・。こんな奴もいたのか」 801 名前:ヤムチャ 〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 投稿日:02/11/23 16:50 ID:Irw7Eryt 「やあ、僕の名はパンプット。君達の敵ってことになるかな」 ラディッツの放った凶弾をつかんだのはパンプットだった。そして農夫に言う。 「さあ、今のうちに逃げてください。激しい戦いになります」 「ふっふっふっ。その程度の戦闘力で俺にかなうとでも思っているのかッ!」 ラディッツは巨大な気弾を放った。激しい土煙を上げ、あたりを包み込む。 「つまらん時を過ごした・・・。さっさとドラゴンボールを・・・」 言いかけてラディッツは言葉を失う。パンプットは全くの無傷でそこに立っていたのだ。 「こんなもんかよ・・・」 パンプットの表情がゆがんでいく。 「うわさの最凶異星人ってのはッ!こんなもんかよッッ!!」 パンプットの拳がラディッツの顔面にめり込んだ。 たったの一撃。にも関わらずラディッツの膝はガクガクふるえている。 (な・・・、なんて重くはやいパンチだ) 顔をあげたところで、再びパンプットの拳がラディッツを襲う。 802 名前:ヤムチャ 〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 投稿日:02/11/23 16:51 ID:Irw7Eryt みぞおち。たまらずラディッツは膝をついてしまう。 「バ・・・、バカな。戦闘力1330・・・」 腹を押さえながら立ち上がるが、さらにパンプットの一撃をくらってしまう。 (こいつッッ!戦闘力を自由にコントロール出来るのかッッ!!) 153 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/06 19:05 ID:??? 其之二「まだやるかい」 その闘いを近くで見ていた農夫(47)はこう語る。 「ええ、顔面に拳が完全にめり込んでましたわ。こう・・・、5cm位。 脳まで達していたかもしれませんねえ。それでもラディッツは倒れませんでした。 でもやっぱりきつかったんでようねぇ・・・、足ががくがく震えてました。 え?それでパンプットが手加減すると思ったか、ですって? ・・・はは。やはりあなたがたは分かっていない。パンプットという漢を・・・。 足に完全にキてるラディッツのみぞおちにおもいきり肘撃ちを当てたんです。 パンプットの肘って石の壁を粉々に砕くんですって?はは。豆腐じゃあるまいし・・・。 そんな肘を喰らったんですからサイヤ人だってただじゃすみませんよ。 自分の吐いた血を見てあぜんとしてました。 で、さらにたたみかけるように肘の連打を放ったんです・・・。 一介の農夫に過ぎない私が言うのもなんですけど・・・ あこがれちゃいますよね。漢として・・・」 154 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/06 19:05 ID:??? 「まだやるかい?」 倒れたラディッツの髪をつかんで無理やり立たせるとパンプットが言った。 「げ・・・元気イッパイだぜ・・・」 再びパンプットの肘がラディッツを襲う。 「まだやるかい?」 ラディッツの髪をつかんで自分の目の前に持ち上げる。 「へ・・・へへ・・・」 一撃。そして引き上げる。 「まだやるかい?」 「も・・・もうやめ・・・」 言いかけると、ラディッツは懐から小さな瓶を取り出しパンプットの口に放り込んだ。 さらにパンプットのあごを殴りあげる。 次の瞬間パンプットの口内を食い破ってサイバイマンが次々と発芽した。 「は・・・はっはっは!地球人ごときが調子に乗るからこう・・・」 「・・・まだ・・・やるか・・・」 パンプットはまだ立っていた。 155 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/06 19:06 ID:??? 「ひ・・・ひィィィィィィィ」 恐ろしさのあまりラディッツは頭を抱えてしゃがんでしまう。 だがパンプットの追撃は無かった。 「・・・こいつ・・・立ったまま死んでるのか」 うつろな目で立ち尽くすパンプットを見てラディッツはつぶやいた。 「恐ろしい相手だったが所詮俺の相手ではなかったな・・・」 付近にあるドラゴンボールを拾い、ラディッツは飛び立とうとした。 「さて。べジータ達の所へ帰・・・」 「帰れると思っているのか」 ラディッツが振り返るとそこには怒りに顔をゆがめたチャパ王が立っていた。 294 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/11 19:33 ID:??? 其之三「怒りの八手拳」 「パンプットに対してサイバイマンを使ったらしいな・・・」 「パンプット・・・そういう名だったのか。卑怯だとでも言うつもりか?」 「私は一向に構わんッッ!!」 チャパ王の言葉を合図に6体のサイバイマンが飛びかかる。 八手拳。まばたきよりも速くサイバイマン達は血肉の花火と化す。 だがそれでもラディッツがチャパ王の背をとるには十分な時間であった。 ラディッツの手刀がチャパ王の背を貫く。 ・・・はずの軌道であったがチャパ王は軽々とそれを避け、振り返る。 「ち・・・はずれちまった・・・」 掌に真空をふくんだ八手拳、真・八手拳がラディッツを襲う。 全身の骨を砕かれ、ラディッツは膝をついた。 295 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/11 19:33 ID:??? 「バカな・・・たかが地球人にこの俺が・・・」 全身から血を吹き出し、ラディッツはうつむいた。 (・・・だが最後に勝つのは俺だ。俺は勝つために手段を選んだりはしない。 勝って支配する。それがサイヤ人の真髄よ・・・!過程や方法など・・・) 「どうでもよいのだァァァァァァァッッ!!」 ラディッツは己の傷口に圧力をかけて血を吹き出させ、目潰しに使った。 「血の目潰しだッ!勝ったッッ!!」 だが、血が目に入ったにもかかわらず、チャパ王はまばたき一つさえしなかった。 「え・・・うそ・・・効いてない・・・」 さすがのラディッツもうろたえはじめる。 (しかもこの男の戦闘力・・・5300ッッ!? む・・・無理だッッ!!こんな化け物・・・ま・・・敗けたくない・・・) ラディッツは尻を突いたままあとずさりをはじめた。 「貴様は地球を嘗(な)めたッッ!!」 ラディッツを見下ろしてチャパ王は叫んだ。 323 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/12 22:10 ID:??? 其之四「とどめ」 「貴様は地球を嘗めたッッ!!」 そう叫ぶと、チャパ王はゆっくりとラディッツとの距離をつめていった。 (敗けた・・・誰が?・・・俺が?・・・) サイヤ人である己がたかが地球人に敗北を喫した・・・ その事実に、ラディッツは世界が終わったかのような絶望感を味わった。 だが、ラディッツの心情を察したのか、チャパ王はとどめの一撃をくわえようとはしなかった。 「・・・どうした?息の根を止めて決着、ていうのが武道家同士の決着じゃないのか」 「すでに貴様は死んだも同然だ・・・。ズタズタにプライドを引き裂かれ、おびえ始めた今の貴様を 倒しても何の意味も無い。ショックを引きずったままひっそりと生きながらえるがいい・・・」 チャパ王はそう言うと背を向け、立ち去ろうとした。 が、次の瞬間空から何者かがラディッツのかたわらに降り立った。 「べ・・・べジータ・・・」 ラディッツはつぶやいた。 324 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/12 22:10 ID:??? 「打撲傷28、擦過傷16、亀裂骨折4、完全骨折35・・・てとこか」 (この男・・・一目でラディッツのダメージを見切ったのかッッ!!) 突然現れたべジータに、チャパ王は驚きを隠せなかった。 「す・・・すまないべジータ・・・、どうやら・・・この男は・・2人がかりでなければ・・・倒せ・・・」 「この軟弱者めがッッ!!」 べジータの手刀がラディッツの肩に深々とめりこむ。心臓にまで達していた。 「動けないサイヤ人など必要ないッッ!!」 さらにべジータはラディッツを軽々と上空へ放り投げ、巨大な気弾を放った。 (な・・・なんと凄まじい気だッッ!!) 断末魔の悲鳴を上げる間すらなく、ラディッツは消滅した。 「さて・・・遊ぼうか・・・」 べジータはチャパ王の方を向いて言った。 325 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/12 22:11 ID:??? 「・・・と言いたい所だが、今はドラゴンボール集めが先だ」 そう言うとべジータはラディッツが落としたドラゴンボールを拾った。 「また今度会ったら遊ぼうぜ・・・。その時は素手だ」 呆然とするチャパ王を残してべジータは飛び立った。 しばらくして、ようやくチャパ王は思考力を取り戻した。 「パンプットッ!生きているかッッ!!」 チャパ王は立ち尽くしているパンプットにかけより、その手をとった。 「・・・脈がある・・・生きているッッ!!サイバイマンの不意打ちにも屈しなかったかッッ!!」 だが、それでもパンプットは瀕死の重傷を負っていることに変わりはなかった。 緊急の治療が必要だ。 「街の病院で手当てできる傷ではない・・・とすると目指すは・・・」 カリン塔。 チャパ王はパンプットを背負い、地平線にぼんやり見えるカリン塔を見据えた・・・ 352 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/13 16:37 ID:??? 其之五「奔走」 チャパ王はパンプットを背負い、帯でしっかり体にくくりつけた。 「死なせはせん。・・・最速で・・・最短距離を・・・」 (走るッッ!!) チャパ王は特別不器用なタイプでもなかった・・・。 しかし 確信とも言える肉体信仰が――― チャパ王に舞空術を習得する道を選ばせなかったのだ。 急ぐのだからこそ走るッッ!! チャパ王はパンプットを背負ったまま、カリン塔までの直線距離を走り出した。 断崖絶壁を飛び越え・・・野をかけ・・・山をかけ・・・川をこえ・・・ しばらくすると風景にコンクリートの建造物がちらほらと混じり始めてきた。 チャパ王は西の都に入った。 353 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/13 16:37 ID:??? 「どうだ、プーアル。この『ジェットモモンガver.2セカンドエイジ第2弾』の乗り心地は・・・」 「(なんで2ばっか・・・)さ・・・最高です!ヤムチャさま」 ヤムチャとプーアルは西の都を爆走していた。 「そうだろう。34年ローンで買った新車だからな」 「・・・よく信用してもらえましたね」 「ふふ。こいつならカメハウスまで3時間とかからないだろう・・・」 「悟空さんの子供が来るんでしたよね」 「楽しみだなぁ。よし、とばすぞプーアルッッ!!つかまれッッ!!」 「バカッ・・・危ないですッッ!!ヤムチャさま〜〜〜ッッ!!」 次の交差点で、突然ヤムチャ達の前に影が飛び込んできた。 「〜〜〜〜ッッ!!避け・・・間に合わんッッ!!」 とっさの事にヤムチャは反応できず、ジェットモモンガと影は衝突をした。 354 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/13 16:38 ID:??? チャパ王と衝突し、ジェットモモンガは大破してしまった。 ヤムチャとプーアルが衝撃で路上に投げ出される。 が、プーアルをかかえてヤムチャはすぐさま起き上がった。 「チャ・・・チャパ王ッッ!!てめぇ危なぇじゃねえかッッ!!」 ヤムチャの目線が無残に破壊されたジェットモモンガにそそがれる。 「くそ〜〜〜、ローンがあと34年も残ってるんだぞッ!どうしてくれるッッ!!」 「すまぬ、ヤムチャ。急ぎの用なのだ・・・。修理費の請求は後にしておいてくれ」 それだけ言うと、チャパ王は再び走り出した。 「・・・おれの新車・・・おれの新車・・・おれの・・・」 チャパ王が去った後に残ったのは、ジェットモモンガの残骸と呆然自失としたヤムチャ達だけであった。 355 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/13 16:39 ID:??? 西の都をこえてしばらく走ると、チャパ王の目の前に・・・ 「海、か・・・」 迂回することはできない。飛行機を借りるのも時間的に不可能だろう。 「やむを得まい」 チャパ王は対岸まで目を凝らした。 「・・・距離にして約1000kmといったところか・・・。問題ないッッ!!」 チャパ王は海面を・・・走った。 1mにつき70歩。1000kmでは7千万歩! 八手拳を繰り出すほどのスピードを持つ彼であるからこそ可能な技であった。 しかも、舞空術で海を越える速度となんら遜色がみられない。 チャパ王は海を『走破』した。 それ程の脚力を持つチャパ王にとっては、カリン塔など階段のようにのぼれるものに過ぎない。 「カリン様ッッ!!この男に仙豆をッッ!!仙豆をお与え下さいッッ!!」 チャパ王がカリン塔を上るのに要した時間は5分に満たなかった・・・。 432 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/15 20:07 ID:??? 其之六「兄弟」 「・・・そいつが悟空の息子か」 ヤムチャ達がレンタルしたスカイカーでカメハウスへ着いた時、既に悟空は来ていた。 「ああ。悟飯ってんだ。そら、あいさつしろ」 悟空にうながされて悟飯はヤムチャにあいさつをした。 「じいさんの名前をつけたらしいぞい」 亀仙人が言った。 「お前に似てそいつも強いん・・・」 言いかけてヤムチャは急に黙った。 「どうしたのよ・・・2人とも・・・」 ブルマが言う。悟空も何かに気付いたようだった。 「何か・・・とんでもなく強ぇ奴がもの凄い速度でこっちに向かってきてる・・・」 悟空の言葉にうなずくヤムチャ。 次の瞬間、そいつはカメハウスに降り立った。 「ぎっひっひ・・・久しぶりだな、ヤムチャ」 現れたのはナッパだった。 「こやつッ!うわさのサイヤ人とやらじゃな?なぜヤムチャの名を・・・」 「ヤムチャ、こいつと知り合いなのか?」 ヤムチャは首を横に振った。 「・・・いや、知らない」 「・・・知らないのも無理は無ぇだろう。そいつは惑星べジータを離れる時記憶をなくしたからな」 「惑星・・・?俺は・・・宇宙人だってのか?昔の俺を知っているのかッッ!!」 ヤムチャが凄む。 「教えてやろう。貴様とその後ろにいる奴はこの星の人間ではない・・・。 生まれは惑星べジータッッ!!狂戦士族サイヤ人の末裔だッッ!!」 「何!オラもかッッ!!」 「そして・・・ぎっひっひ。ヤムチャ、貴様は俺の弟だ」 433 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/15 20:08 ID:??? 「でたらめ言うな!」 悟空が叫ぶ。が、ヤムチャは黙ってナッパの顔を眺めていた。 「でたらめじゃあない。そういえばカカロット、貴様の兄もここへ来ているぞ。 ・・・もっとも、既に殺されたようだがな・・・」 ナッパが含み笑いをもらす。 「オラの名前はその・・・カカなんとかなんて名前じゃねえぞッッ!!」 叫ぶ悟空をしりぞけ、ヤムチャはナッパの前に歩み寄る。 「・・・そんな気がしてたんだ・・・、兄さん」 ヤムチャが両手を広げてナッパに近寄る。 が次の瞬間、ヤムチャは殴り飛ばされてカメハウスに突っ込んだ。 「へっへっへ・・・すまんな、ヤムチャよ。当分のところは兄弟愛なんかにゃ興味は無い・・・ 興味があるのはむしろ・・・そのガキの頭に付いてるドラゴンボールだッッ!!」 突然ナッパは悟飯につっこんで行き、連れ去ってしまった。 「しまったァァァァァッッ!!」 「悟飯ッッ!!」 悟空が舞空術でナッパの後を追おうとする。 が、何者かが背後から現れて悟空の肩をつかんだ。 「孫、お前では無理だ。俺が行こう」 「おめぇは・・・天津飯ッッ!!」 434 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/15 20:08 ID:??? そこには天下一武道会以来消息を絶ったはずの天津飯が立っていた。 「お前には無理って・・・どういうことだッ!天津飯ッッ!!」 叫ぶ悟空を尻目に天津飯はヤムチャに声をかける。 「大丈夫か?ヤムチャ」 「ああ・・・なんとかな・・・」 ヤムチャは立ち上がった。ダメージはさほど受けていないようだ。 「あのハゲは俺が追う。ヤムチャ、お前は西の都に行け」 「(ハゲってお前・・・)あ、ああ。もう一つのでかい気が西の都に向かってるからだろ?わかってるさ」 悟空を無視して2人は会話を繰り広げていた。 そしてヤムチャは西の都へ向かう。 ついで天津飯も飛び立とうとした時、悟空は天津飯につっかかった。 「聞いてるだろ!?オラには無理ってどういうことだッッ!!」 「・・・もはやお前の出る幕ではないということだ。この戦いは・・・」 悟空の不意打ちの拳が天津飯の顔面に叩き込まれた。が・・・ 「・・・そんなパンチじゃあいつらを眠りから覚ます事だって出来やしない。 孫、この5年で俺達の差はどうしようもないほど広がったんだ・・・」 愕然とする悟空をしばらくみつめ、それから天津飯は飛び立った。 「ちくしょう・・・天下無敵の孫悟空って言われたころがなつかしいぞ・・・」 悟空の頬を涙が伝った・・・。 438 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/15 21:13 ID:??? 其之七「排球拳」 天津飯、ナッパの2人は荒野で向き合っていた。 ナッパの背後には小型宇宙船に閉じ込められた悟飯がいる。 「ぎっひっひ、うれしいねぇ。アンタ、あの中でもヤムチャに次ぐ戦士じゃねえか?」 「次ぐってのは気に食わんが・・・ヤムチャを除いて貴様と闘えるのは俺ぐらいのものだからな・・・」 そこへ天津飯の後を追ってきたクリリンが降り立った。 「力になれないかもいれないけど加勢するぜ、天津飯さん」 「いや、こいつは俺一人でやる。お前は・・・」 (俺達が闘ってる隙に悟飯を助け出してくれ) 天津飯がクリリンにテレパシーを送った。 「天津飯さん!アンタ今・・・」 戦いは突然始まった。 「気功砲ッッ!!」 一撃必滅の技をかろうじてナッパは避ける。そして天津飯に突進する。 「今の技はあぶなかったぜッッ!!」 ナッパの拳が放たれる。天津飯はそれを右腕で防いだ。が・・・ 「天津飯さんッッ!!」 「・・・あ?」 天津飯の右腕がきれいな断面を残して吹き飛ばされた。 439 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/15 21:13 ID:??? 「うげぇぇぇぇぇ!!」 (・・・あ、あわてるなクリリンッッ!!さっさと・・・悟飯を) 脂汗をかきながら天津飯は左手を右脇に入れて止血をした。 「ぎっひっひ、見事だ。動脈を圧迫してほぼ完璧な止血をしている」 しだいに大きくなってくる痛みに耐えかね、天津飯は苦悶をもらす。 「戦闘力4630とはいえ、体はもろいもんだぜッッ!!地球人はよッッ!!」 ナッパの2撃目が天津飯を襲うが、天津飯はかろうじてそれを避け、間合いを取る。 そしてようやく天津飯は口を開いた。 「・・・昔・・・排球拳の修行がつらくてなあ・・・」 「何言ってるんだ、天津・・」 (時間稼ぎだ!さっさとしろ!) クリリンは気を消してナッパの背後にいる悟飯の元へ向かった。 「・・・バレーボールなんかよりもずっと硬い人間をぶっ叩くもんだから突き指と骨折を繰り返してな・・・。 いっそ手なんか無くなっちまえばいい。そうすれば思いっきりぶっ叩ける。何度そう思ったか・・・。 行くわよ〜〜〜ッッ!!排球拳ッッ!!」 突然天津飯はナッパとの距離をいっきにつめ、左手で上空へ叩きあげた。さらに・・・ 「アタ〜〜〜〜ックッッ!!」 天津飯はナッパを追って飛び上がり、手の無くなった方の腕でナッパを地面に叩きつける。 「げッ!無い方の腕で殴りやがったッッ!!」 悟飯を救出したクリリンが叫ぶ。 「・・・夢がかなったぜ」 ナッパが起き上がったころ、天津飯、クリリン、そして悟飯は姿を消していた。 「ぎっひっひ・・・なんてファンタスティックな・・・」 ナッパは笑みを浮かべながらつぶやいた。 442 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/15 22:10 ID:??? 其之八「最強タッグ」 西の都に現れた巨大な気はべジータのものだった。 べジータの放つ邪悪な気は一般人にも感じ取れるものなのか、人々はべジータを避けていた。 「なかなか良い星ではないか。どれ、ちょっとばかし挨拶でもしてみるか・・・」 べジータは西の都を吹き飛ばすため指をあげようとした。その時、 「そんなことしたらこの辺にあるドラゴンボールまで吹っ飛ぶぜ」 ヤムチャが現れた。 「ほう、ナッパの弟が来たか。こんな奴を残しておくとはナッパの奴も気がきくぜ」 べジータはスカウターに指をあてた。 「戦闘力5000か・・・。しかも力を押さえているらしい。いいぜ?俺には実力を隠さなくたって・・・」 「そうかい。じゃあ・・・見せてやるぜ・・・界王拳ッッ!!」 ヤムチャは気を開放しようとした。が、 「いかんだろ、ヤムチャさん。街中で界王拳なんか使っちゃあ・・・」 べジータの背後に現れた何者かがヤムチャに言った。 背後への接近を許してしまいあわてたべジータは、振り返ってその男に殴りかかった。 が、べジータの拳ははずれ、かわりに鋭い刃がべジータの頬を切り裂く。 「あんたは・・・桃白白さんじゃないかッッ!!」 443 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/15 22:11 ID:??? 「街中で界王拳なんか使ったら死人が出るだろうが。考えろ」 桃白白はべジータを前にしてなお余裕の笑みを浮かべていた。 「俺の顔に傷をつけやがるとは、なかなかの強者だな。・・・どれ・・・」 戦闘力測定、完了。 「戦闘力4970か・・・。だがその程度の戦闘力では俺にはとてもかなわな・・・」 「態度でかいのぉ、お前。こっちは・・・2人がかりなんだぜ?」 桃白白の発言にべジータとヤムチャは目を丸くする。 やがて・・・ヤムチャも余裕の笑みを浮かべて言った。 「卑怯とは言うまいね」 べジータは2人の顔を交互に見比べ、そして笑った。 「はっはっは。面白い。受けてや・・・」 言い終える前に桃白白は不意打ちを仕掛け、べジータは冷や汗をかいた。 「合わせいッッ!!ヤムチャさんッッ!!」 「応ッッ!!」 桃白白がスーパーどどん波を放つ。 べジータは両手でそれを受け止めるが、吹き飛ばせれた先にはヤムチャが構えていた。 「狼牙風風拳ッッ!!」 べジータはスーパーどどん波と狼牙風風拳のはさみ打ちをまともに喰らい、倒れた。 「最強タッグ結成だ」 桃白白がうれしそうにつぶやいた。 510 :愛蔵版名無しさん :02/12/18 06:38 ID:??? 其之九「お留守」 桃白白は仰向けに倒れ、お産の様な姿勢をとって肛門をべジータに向けた。 「まさに前門の虎・・・、肛門と狼ってとこだな。ヒッヒッ」 「・・・強いな」 不意打ちを喰らった事に対する怒りを抑えながらべジータは立ち上がった。 「弱冠6歳にしてフリーザと立ち会っただけの事はある。俺には荷の重い相手かもしれんな・・・」 「フリ・・・? お前も俺の過去を知っているのかッッ!!」 「フン、そうか。そういえば貴様は記憶を失ったのだったな。ならば・・・恐るるに足りんッッ!!」 べジータがヤムチャに仕掛けた。 「気をつけいッッ!!ヤムチャさんッッ!!」 ヤムチャの狼牙風風拳が迎え撃つ。が、 「足元がお留守だぞッッ!!」 べジータの強烈な足払いがヤムチャを襲う。 まともにそれを受けたヤムチャは転倒、頭を地面にぶつけて気を失ってしまう。 「・・・油断しおって」 桃白白が舌打ちをする。そしてべジータが振り返った。 「お前の相手もしたいところだが、あいにく俺達には時間が無い・・・。また今度あそぼうぜ」 そう言ってべジータは地面に埋まっていたドラゴンボールを掘り起こし、飛び立った。 「急いでいる?どういうことだ・・・」 数時間後、ヤムチャは神の宮殿で目を覚ました。 「ヤムチャさん・・・、あんた負けたぞい」 桃白白の言葉にヤムチャは呆然とした。 511 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/18 06:39 ID:??? 其之十「試合と喧嘩」 「要するに2人がかりで負けたということですか。ふ〜〜〜ん・・・」 宮殿に集まった地上戦士達を前に元天下一武道会司会者であった新しい神が言った。 「他の大会のチャンピオンが街頭の喧嘩で負けるというのはよくある話でありますが・・・ よもや天下一武道会の優勝者が一般のおぼっちゃま格闘家と似たりよったりとは・・・。ははっ」 神の言葉に一同は返す言葉も無かった。 「いかなる評価、いかなる賞賛を得ようが、喧嘩で勝てない武道家など・・・無価値であると言えます」 「ワカリきったことをクドクドと・・・」 顔面に包帯を巻いたパンプットが神につかみかかった。 正当な言い分であるが故に我慢がならなかったのだ。 「は・・・離せぇぇぇぇぇ、貴様ぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」 突然怒りだした神がパンプットの顔面を弱弱しく叩く。 「私が一番悲しんでるんですッッ!!あなたより・・・あなた方より・・・誰よりもッッ!! 天下一武道会選手を誰よりも信じていたのはこの私ですッッ!! パンプットを・・・悟空を・・・天津飯を・・・桃白白を・・・チャパ王を・・・ヤムチャをッッ!! 誰よりも信じていたのがこの私ですッッ!!あなた方に・・・私の無念さがわかりますかッッ!!」 神は涙を流し、パンプットは手を離した。 512 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/18 06:40 ID:??? 「い・・・いいじゃないのよ、みんな!もう1人倒したんでしょ?そんなに深刻になること無いわよ!」 場の思い雰囲気を変えようとして、その場に同席していたブルマは言った。 「それにチャパ王さんが拾ってきてくれたこのスカウターとかいうのも手に入ったんだし。 これがあれば何かサイヤ人対策に役立つかもよ?はかってみよっか。みんな」 そう言ってスカウターを装着し、スイッチをつける。一同はその様子を眺めている。 「おお。見える見える。そこの亀じい・・・139だって。クリリン君は、なんと981!」 「ははっ。ボクは武天老子さまを超えていたんだッ!」 「むう・・・立場がないわい」 場の空気が少しだけ変わったことに気をよくしたブルマが戦闘力を次々に測定する。 「孫君が1050、パンプットさんが・・・すごい!1330だって!他の人たちは・・・ ・・・うそ。天津飯さん4630、桃白白さん4970、ヤムチャ5000、チャパ王さん5300・・・ すごいわよみんなッッ!!孫君より強い人達がこんなにいれば絶対負けないわ・・・って・・・」 突然ブルマの表情が変わる。 「何これ、戦闘力7800とかいうのが・・・すごい速度でここに向かってる」 他のメンバーは既にその気に気付いていたようだ。緊張が走る。 次の瞬間、ついにその男は神の宮殿に足を踏み入れた。 「ぎっひっひ。グ〜ッドイ〜ブニ〜〜ング。紳士淑女諸君」 「アンタは・・・ナッパ兄さんッッ!!」 529 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/18 19:20 ID:??? 其之十一「勉強になりました」 突然神の宮殿に現れたナッパ。 その手には、ガソリンの入ったバケツを持っている。 「ひっひ、一人一人倒してくってのも面白そうなんだがな・・・。まとめて片付けることにするぜ」 ナッパのもう一方の手にはライターがあった。 「〜〜ッ!おい、ブルマ!!お前だけでも逃げるんだッッ!!」 叫ぶヤムチャ。だがブルマは動かない。 「何をしてるん・・・」 「・・・もう一人来る」 ブルマがつぶやいた。 「もう一人すごいのがこっちに向かってきてるのよ・・・」 口にしたと同時に、その小さな男は宮殿に降り立った。 「遅くなってすいません!」 「おめぇ、悟飯ッッ!!」 530 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/18 19:21 ID:??? 「カカロットんとこのガキか・・・。今さらのこのこと何しに・・・」 突然放たれた悟飯の足払いがナッパを転倒させた。 その拍子にナッパは自分の用意したガソリンをまともにかぶってしまう。 そして宙を舞ったライターは、悟飯の手元におさまった。 さらに悟飯はナッパに馬乗りになり、ライターに火をつける。 「・・・ガソリンが好きなんですね」 悟飯の口元がゆがむ。 (こいつ・・・おれが誘拐したときとはまるで別人ッッ) 周りの戦士達も突然のことに呆然とするほか無い。 そして悟空はあることに気が付いた。 悟飯の着ている山吹色の胴着、そのマークが・・・『魔』の1文字であることに。 「勉強になりました。わかってなかった・・・。ボクはサイヤ人ではあってもまだ戦士ではなかった。 そのことを教えてくれたあなたに・・・お礼が言いたいです」 そう言うと悟飯はライターをしまい、ナッパから離れた。 そして明るい表情を作る。 「ここであなたに火をつけたら立派な学者さんなんかにはなれませんね」 少しだけ場の緊張がやわらいだ。 皆が不安になっていたのだ。あの悟飯が変貌してしまったのではないかと。 だが、次の瞬間悟飯の表情が急変する。 強い憎悪のまじった醜い表情。それはまさに、魔族のものであった。 「そして俺は・・・学者なんざになるつもりは無ぇ」 悟飯はライターに火をつけ、ナッパに投げた。着火。 「俺は間違ってるかい?親父・・・」 のたうちまわるナッパを眺めながら悟飯は言った。 621 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/21 12:33 ID:??? 其之十二「師匠」 「・・・悟飯が不良になっちまった。チチのやつになんて言やぁいいんだ・・・」 のたうちまわるナッパをよそに、悟空はつぶやいた。 「心配しなくていいですよ、お父さん。ボクはもう家に帰るつもりはありませんから」 そう言って、悟飯はナッパを見下ろす。 「そんなことより・・・、どうします?このバーベキュー」 「ひでぇ、自分でやっておきながら・・・」 クリリンが言いかけた瞬間、チャパ王がナッパに蹴りを加えた。 ナッパはその蹴りをよけ、はね起きる。 そして気を開放させ、その勢いで火をかき消した。 「ぎっひっひ。てめえら、さらに寿命を縮めたな」 「こ・・・こやつ不死身か?」 驚く亀仙人を無視して準備運動を始めるナッパ。 「さて、俺様の相手をしてくれるのはヤムチャかな?チャパ王かな?」 「勝手に話し進めてるんじゃねえよ、このハゲがッ!」 悟飯が怒鳴った。 全員が驚きの表情で悟飯をみつめる。 こいつ完全な不良だよ・・・と誰もが思った。 「実は・・・ボクの新しい師匠がこの件に絡みたがってましてね」 「新しい・・・師匠?」 悟飯が指を鳴らすと、その男が宮殿に姿をあらわした。 「よう、久しぶりだな」 「ピッコロ大魔王ッッ!?」 622 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/21 12:33 ID:??? 「そいつがおめぇの新しい師匠か」 「あんたがこの人のことをどう思ってるかは知らんが・・・少なくともこの人の実力は・・・ 親父、あんたよりもはるかに上だ」 悟飯の言葉に悟空は絶望し、膝をついた。 「ピッコロ大魔王は前の神様が魔封波で封印したんじゃ・・・」 「前の神様?・・・あの役立たずのことか?」 悟飯が指差した先、人目につかない木陰に・・・ 生物体がぎりぎり生存しうる最大の破壊行為を受けた、前の神の姿があった。 ピッコロ大魔王を封印から解き放ったのは悟飯であった。 ブルマはその光景に耐え切れず、吐いた。 「ひでぇ・・・」 つぶやくクリリン。が、ナッパは悟飯を気に入ったようだった。 「さすがだ、それでこそサイヤ人・・・。お前なら・・・すばらしい仲間になるだろうぜ」 ナッパが悟飯に腕を伸ばす。 が、ピッコロ大魔王がその腕をつかんだ。 「悟飯は俺の・・・魔族の仲間だ。手を出すんじゃねぇぜ、でくのぼう」 ピッコロの前蹴りがナッパの股間を直撃する。 うめき声を上げてその場に崩れ落ちるナッパ。 「よく見ておけ、悟飯。・・・これが魔族の真髄だッッ!!」 ピッコロは倒れたナッパを思いきり蹴りつけた。 623 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/21 12:34 ID:??? 蹴りつけ、踏みつけ、蹴りつけ、踏みつけ・・・ ピッコロは倒れた相手を容赦なく攻撃し続ける。 「おいおい、完全に尻尾巻いてる奴にそこまでするかよ・・・」 クリリンが驚くが、悟飯は恍惚とした表情で見入っている。 「これが実戦というものですよ・・・お父さん」 やがてナッパの動きが止まり、ピッコロも攻撃をやめた。 ナッパはピクリとも動かない。ピッコロの勝利。だが・・・ 「貴様の行いは武道とは呼べぬ」 チャパ王が怒りに顔をゆがめてピッコロの方へ歩み寄った。 「ほう・・・ではお前がホンモノの武道とやらを教えてくれるのか?」 ピッコロがチャパ王に面と向かって言い返す。 「私は一向に構わんッッ!!」 「気をつけて、チャパ王さん!そいつの戦闘力はあなた以上なのよッ!」 スカウターをのぞいてブルマが言う。 「私には界王拳があるッッ!!」 「それだけじゃない!そっちのサイヤ人、まだ生きてるわッッ!!」 ブルマが叫ぶと同時かそれより早く、ナッパは起き上がった。 さらに指2本を軽く持ち上げると、宮殿は大爆発に包まれた。 750 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/25 12:49 ID:??? 其之十三「タヌキ」 3つ目のドラゴンボールを求め、べジータはヤジロベーのもとを訪れた。 「おいデブ、殺されたくなかったら首に下げてるその五星球をよこせ」 べジータがヤジロベーにゆっくりと迫る。 「へッ!態度でかいぜ、このチビ猿が。てめぇの立場わかってんのかよ」 ヤジロベーの言葉を合図に、その背後から二つの影が現れた。 「この男が噂のサイヤ人ですか・・・」 「がっはっは。こんなチビ野郎相手に三人がかりとは・・・あんたもえげつねぇぜ、ヤジロベーさんよ」 現れたのはナムとギランであった。 「・・・どうやら待ち伏せされていたようだな」 べジータの額を汗が一筋流れる。 「神様から事情は聞いてあるからよ」 そう言ってヤジロベーが指をパチンと鳴らすと、ギランがグルグルガムを吐き出した。 「なんだこれは!」 グルグルガムにきつく拘束されたべジータが驚く。 「げっへっへ、それなりに鍛えてあるんだな。常人ならそれだけで骨折ものなんだがよ」 そしてさらに、ナムの掌打がべジータの顎をとらえた。 べジータは膝から崩れ落ちた。 「不老不死が夢だったらしいが・・・あっさり終わっちまったな。ヤジロベーさん、こいつどうします?」 返事をする代わりに、ヤジロベーは腰の刀を抜いた。 751 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/25 12:49 ID:??? 「おいおい・・・そいつ真剣(ホンモノ)ですかい?」 刀を大上段にかまえたヤジロベーを見てギランが驚く。 「異星人ってのはこういう時都合がいいですよね。最悪殺しても法に触れることは無い・・・」 ナムがつぶやいた。 そしてヤジロベーの刃がべジータの左肩めがけておもいきり振り下ろされた。が・・・ キンッ、という金属音を立てて刀は真ん中から折れてしまった。 「おい、タヌキ寝入りしてんじゃねぇぞ、この野郎」 何もかも見通していたヤジロベーの言葉を聞いてべジータがはね起きた。 そして気を集中させると、グルグルガムをぶち切る。 「こいつッッ演技を・・・」 皆まで言い終えるより先にべジータの拳がギランの頭部を吹き飛ばす。 同時に、もう片方の拳はナムを葬っていた。 「地球人にしてはなかなかやるじゃないか」 拳に付着した血をなめながらべジータはヤジロベーに接近する。すると・・・ 「ボクの負けです」 ヤジロベーは折れた刀を投げ捨て、土下座をした。 752 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/25 12:50 ID:??? 「キミのパワー、スピード、テクニック、スタミナ・・・どれをとってもボクに勝ち目は無い」 ヤジロベーは涙を流しながらべジータに訴えかけた。 「虫のいい話だとは思いますが、どうかボクだけは見逃してください!お願いします! これもさしあげますから・・・」 と言ってヤジロベーは首にかけていた五星球を手に取り、差し出す。 「貴様・・・仲間が殺されたっていうのに仇をとろうという気も無いのか・・・」 ヤジロベーの卑屈な態度にべジータが怒りをあらわにする。 「お・・・お願いしますッッ!!」 ヤジロベーの股間に黄色いシミが広がる。 「・・・くそっ、貴様のようなクズなど殺す価値も無いわッ」 苦々しげに言うと、べジータはその場を発つためにヤジロベーに背を向けた。 ・・・この瞬間、ヤジロベーが演技をしてまで待っていた完全な隙が生まれた。 (バカがッッ) ヤジロベーは泣き声を出したまま素早く背中に差していた予備の刀を引き抜き、斬りかかった。 狙うは防具に守られていないむき出しの首。 が、完全に闘気を消したはずの斬撃は難なくかわされてしまった。振り返るべジータ。 「やはりな・・・。そんなことだろうと思ったぜ」 「ご・・・ごめんッ!冗談のつもりだったんだけど怖かったッ?そ、そうだボク、キミを尊け・・・」 べジータのギャリック砲がヤジロベーの胸部に大きな風穴を開けた。 「さて、ナッパの奴が手に入れたのを入れて・・・ようやく4つそろったってとこか」 べジータは残る3つのドラゴンボールを求めて飛び立った。 753 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :02/12/25 12:51 ID:??? ☆進行状況 ○現在のドラゴンボール所持者 ・べジータ・・・三つ(一星球、二星球、五星球) ・ナッパ・・・一つ(四星球) ・孫悟空宅・・・二つ(三星球、六星球) ・行方不明・・・七星球 ○被害状況 ・重傷・・・パンプット、天津飯、前の神様 ・死亡・・・ラディッツ、ギラン、ナム、ヤジロベー 130 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :03/01/05 14:20 ID:??? 其之十四「友達思い」 神の宮殿を爆破した後、ナッパは火傷の治療のために小型宇宙船へ戻った。 宇宙船には簡単な治療具が積まれている。完全な治療は望めなくとも、応急手当は十分出来る。 (少しでも体力を回復しないことには地球の手練達と戦うのは難しいだろう。) 思いながらナッパは宇宙船の扉を開け・・・ ようとしたところで、何者かがナッパの目の前に降り立った。 「ふぅ、見つけたぜ」 クリリンだった。 が、ナッパは驚いたような様子も見せず、あからさまな落胆の表情を見せ、ため息をつく。 「てめぇか」 「なんか・・・追われてるのを知ってたって面だな」 ナッパは扉から手を離し、クリリンに向かい合った。 「貴様では無理だ。この俺様と戦おうなどと・・・」 「んなこと言うなよ。こう見えても俺、悟空やヤムチャさんと同じ・・・」 クリリンがナッパに飛びかかる。 「亀仙流だぜッッ!!」 クリリンの飛び膝がナッパの顎を直撃する。さらに頭をつかみ、思い切り頭突きを放つ。 しかしナッパは微動だにしなかった。鼻を強打したにもかかわらず、血すら流れていない。 「〜〜ッと・・・まじかよ」 一撃。ナッパの巨大な拳がクリリンの肝臓をとらえ、吹き飛ばされたクリリンは岩に叩きつけられた。 131 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :03/01/05 14:23 ID:??? 呼吸が出来ない。骨が折れている。内臓が破けている。血があふれ出る。 (たった一撃で・・・なんてザマだ・・・) 横腹を押さえ、ふらつきながらクリリンは立ち上がった。 「ぎっひっひ、弱えぇ奴だ・・・。こんなザコが友達じゃあ、カカロットの奴も苦労するわけだぜ・・・」 とどめを刺すため、ナッパはゆっくりとクリリンに近づく。逃れようにも背後は岩だ。 どちらかの死以外に決着は無い。クリリンは覚悟を決めた。 「オウよ。昔・・・悟空を一番嫌ってて・・・一番迷惑をかけてたのは・・・この俺だ・・・」 額に汗をかきながらクリリンは腹から手を離し、構える。 「だからこそ・・・俺が一番・・・友達思いだッ」 太陽拳。クリリンの額から強烈光がほとばしり、ナッパは視力を奪われた。 「め・・・目がッッ俺様の目が〜〜〜ッッ」 さらに次の瞬間、クリリンの手に気円斬があらわれる。 5年間もの修行により編み出されたこの技は、鉄塊であろうが岩山であろうがサイヤ人であろうが、 きれいなまでの断面を残し切断する。 「ナッパッッ!!」 隙だらけのナッパに必殺の技が放たれた。気円斬はまっすぐナッパに向かっていき・・・ 直撃。ナッパは左右真っ二つで断ち切られた。 「や・・・やったぞッ!」 ・・・残像であった。視力を失ったはずのナッパは残像を残してクリリンの背後へまわっていた。 ナッパは気で相手の動きを感知する技術を早くも身につけていたのである。 笑みを浮かべ、ナッパは手刀を大きく振りかぶる。・・・決着。 クリリンの口から最期の言葉が漏れる。 「・・・悟空・・・、ごめん」 クリリンの首が飛んだ。 912 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :03/02/03 23:50 ID:??? 其之十五「弄(もてあそ)ぶ者」 天津飯に戦力外通告を受けて以来、悟空は実家に帰ってチチと二人で平和な日を過ごしていた。 始めは悔しかった。格下とばかり思っていた男がよもや自分をいつのまにかに追い抜いていたとは。 だが、日が経つにつれ、そんな悔しさも徐々に消えていった。 戦士は自分だけではなかった。これからの地球の未来は彼らに託してしまっていいだろう。 悟空はそう考えるようになっていた。 これからは、チチと二人で・・・いつか悟飯も帰ってきたら三人で・・・平和に山で暮らそう。 悟空の牙は完全に抜き去られてしまっていた。 913 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :03/02/03 23:50 ID:??? 家から3kmほど歩いたところで悟空は、薪に最適な、大きな木を見つけた。 「こいつを・・・家に・・・持ってくかぁ・・・」 そうつぶやくと、悟空は腰を低く落とし、拳をひいた。もはや拳は、薪割りにしか用を成さない。 掛け声と共に拳を放つ。直径5mの幹に大きくひびが入り、大木は地響きと共に倒れた。 その時ようやく悟空は大木の反対側にいる男の存在に気が付いた。 「ずいぶんと古臭ぇ生活をしてるじゃねぇか」 「・・・ナッパか」 悟空は無感動につぶやいた。男はナッパだった。 懐に、包帯でぐるぐる巻きになった球体のものを抱えている。 「ドラゴンレーダーを探してたらこの辺りで二つ反応があってな・・・。カカロットよ、お前が持って・・・」 「ああ。ドラゴンボールならくれてやるさ。だからオラにかまわずさっさと消えてくれ」 その言葉を聞いてナッパは一瞬目を見開き、そしてため息をついた。 「おいおい、せっかく遊びに来てやったんだ。ちょこっとくらい抵抗してもらわにゃつまんねぇだろ? ・・・そうだ、お前に土産があるんだ・・・」 そう言って、ナッパは抱えている土産に巻かれた包帯の端を指で探り当てる。 「つまんねぇものなんだが・・・」 そして包帯を一気に引っ張った。球体のそれは空中で高速回転し、ナッパの手の上に落ちると 回転を停止した。ナッパはそれを、自分の頭の高さに掲げた。 悟空は自分の見ているものが理解できなかった。 クリリンの頭部だった。 914 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :03/02/03 23:51 ID:??? 「『コ・ン・ニ・チ・ハ! ゴ・ク・ウ』・・・」 ナッパはクリリンの顎をカクカク動かし、グロテスクで下手な腹話術を始めた。 悟空の神経は、まだ凍りついたままだ。 「『オ・ヒ・サ』・・・、この舌が邪魔だな・・・」 ナッパはクリリンの舌を引きちぎり、捨てた。 「『オ・ヒ・サ・シ・ブ・リ・デ・ス・ネ!』っと。ぎっひっひッッ!」 ナッパは自分のドッキリが成功したことに気を良くし、大笑いした。 悟空の脳神経が少しずつ現実を許容し始め、一言、出かかった 「クリ・・・」 ナッパの前蹴りが悟空のみぞおちを強烈にヒットする。 「なにボンヤリしてんだ、このヤロウッッ!!」 悟空は顔から地面に倒れこみ、ナッパはそのすぐそばにクリリンの頭部を放った。 そして共々に、踏む。 「大親友の頭だろうがッッ!!頬ずりするんだろッッ!?ぎっひっひッッ!!」 悟空の凍りついた心に一気に怒りがこみ上げた。 「ナッパ〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」 915 :ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 :03/02/03 23:53 ID:??? 悟空はナッパの足を払って立ち上がり、交代で倒れたナッパの顔面に、殺す気で蹴りを加える。 ナッパは既に背後にまわっていた。 「そうだぜッッ!!ただで済ませちゃだめだッッ!!こんなひどいことする奴ぁよッッ!!」 悟空が振り返ると、ナッパはクリリンを拾い上げ、悟空の目の前でつぶした。 残留していた体液が飛び散り悟空の目に入り、視力を一時的に奪われる。 怒りで気を探ることを忘れ暴れる悟空の足元を、ナッパは軽く払った。悟空、転倒。 「今夜・・・立ち会ってやろう・・・」 ナッパの顔から笑みが消えた。 「三星球と六星球を持ってユンザビット高地へ来い・・・。仲間のかたきも取れないような腑抜けた サイヤ人など・・・オレ様の手で・・・消してやる」 悟空が目を開けた時、既にナッパの姿は無かった。 「今夜・・・ユンザビット高地・・・立会い・・・」 ぼんやりとつぶやく悟空。目の前には無残に砕けたクリリンがいる。 その死臭を嗅ぎつけて森の動物達が集まってきた。肉片にはすぐに群がりができた。 悟空は大声で叫んで動物達を追い払った。 「くるなッッッ!!!」 動物達はあわてて散っていった。悟空は再び一人になった。 そして飛び散ったクリリンの残骸を集め、抱き締め、泣いた。 314 名前: ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 [sage] 投稿日: 03/02/16 20:16 ID:vWid7bBX 其之十六「達人」 ユンザビット高地。暗雲が空を覆い草木も生えない辺境の地。地上の最果て。 ナメック星より神が降り立った、ドラゴンボール伝説誕生の地。 この地にて今、地球の守護者孫悟空と最凶異星人ナッパがぶつかる・・・。 315 名前: ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 [sage] 投稿日: 03/02/16 20:17 ID:vWid7bBX ナッパはユンザビットで最も高い岩山の上で悟空の到来を待っていた。 岩山の上面はクリリンの気円斬を模倣したナッパの気功波により平にならされ、直径十メートル程の 特設リングになっている。 ナッパはその中心で瞑想するかのように目を閉じ、孫悟空を待っていた。 五感を研ぎ澄まし気を昂らせる。 すると遠方から高速で接近してくる巨大な気の動きを感じることが出来た。 「・・・ついに来たか」 男はナッパの対面、リングの端に降り立った。 舞空術で飛来してきたのではないらしく、足元では四方から火を噴く珍しい亀が回転している。 孫悟空ではない。 「貴様、何者だ」 「わしは・・・亀仙人と申す者じゃ」 突然の来訪者にナッパは動じることなく、笑みを浮かべる。 「ほう、亀仙流の総元締めか。その男が一体・・・」 背後にまわした手の平の上で気功弾をつくり、 「何の用だッッ!!」 亀仙人に向かって投げた。 着弾する瞬間亀仙人が何やら取り出すかのような仕草をするが、直後には大爆発に巻き込まれた。 煙がリングの上を覆い隠すが、吹き荒れる風によりすぐに視界ははれた。 煙の下から現れたのは、如意棒を手にし、気を発散させている亀仙人の姿であった。 「悪いの。ちょっと・・・遊んでもらうぞい」 316 名前: ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 [sage] 投稿日: 03/02/16 20:17 ID:vWid7bBX 「ぎっひっひ・・・なるほど。如意棒か」 地球に来て以来、ナッパはただ闘い、暴れているだけではなかった。 地球の戦士たちについての情報・・・技術、戦術、戦歴、を研究し、それを元に仮想戦闘を繰り返す。 その過程では当然如意棒に関する知識を得る機会もあった。 「確か・・・元はカカロットの義祖父、孫悟飯の得意とする武器であったはず。ならばその師匠が如意棒 の扱いに精通するのも当然、というところか・・・」 「半分正解ってところかの」 亀仙人が如意棒を振り回す。攻撃の機会を待ち・・・、如意棒が伸びた。 (速ッ) 目をつぶしに伸びてきた棒を寸前のところでナッパは避けようとするが・・・ 避けきれない。如意棒は数本の歯と共にナッパの頬を削ぎ落とした。 (こいつ、実力を隠していたのかッッ) 「如意棒は元々わしがカリン様から預かっていた物。孫悟飯には一時的にそれを貸していただけじゃ。 わしが使えば如意棒は元来の能力を百パーセント発揮することとなる・・・」 亀仙人の追撃。ナッパはなんとか見切ろうとする。が (〜〜〜ちゃんと避けただろうがッ) 棒が巨大化したために見極めをあやまり、みぞおちに直撃を喰らう。 血を吐き散らし、ナッパはその場に崩れ落ちた。 「クリリンの無念、悟空の無念・・・。弟子の仇はわしが討つッッ!!」 74 名前: ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 [sage] 投稿日: 03/02/21 20:47 ID:6erkmIo7 其之十七「緊張」 ナッパはみぞおちを押さえたまま立ち上がろうとするが、如意棒がナッパの両膝を無慈悲に貫く。 地球に到来して以来、初めてナッパは苦痛にうめき声をあげ、目を見開き、多量の冷や汗をかいた。 「武器を手にしているとはいえ・・・戦闘能力ではおぬしの方がまだ上であろう。そのおぬしが何故こう も不覚をとるか・・・」 亀仙人はナッパの眼前に如意棒を突きつけ、語る。 「武とは本来弱者が強者へ対抗するための手段であったもの。明らかに弱者とわかる者に勝負を挑む その腐った心構えが・・・おぬしの技を曇らせておるのじゃ」 「ぎっひっひ・・・強いな・・・亀仙人。感動的なほどに・・・」 ナッパは絶体絶命に追い詰められてなお、笑った。 「だからこそ俺様には・・・勝てない」 如意棒の連撃がナッパの全肋骨を砕く。それに続く、連撃、連撃。 (地球に武術の神(ファイティングゴッド)がいると聞いた・・・。その気功波は月を吹き飛ばし大猿をも 屠ると。亀仙人、お前ならあるいはこの俺様を打ちのめし、死の淵に追い込む事が出来るのでは・・・) 如意棒の連撃の中でナッパはそんなことを考えていた。 そしてついにとどめの一撃がナッパの眼球をとらえる。 絶対急所、脳へ直結する眼腔から如意棒が進入し、ナッパの脳をかき回す・・・ 直前にナッパは懐からなにやら取りだし、口に放り込んだ。 次の瞬間、如意棒ごと宙空へ吹き飛ばされたのは亀仙人だった。 475 名前: ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 [sage] 投稿日: 03/02/21 20:47 ID:6erkmIo7 眼球に如意棒が接触した瞬間に棒をつかみ、亀仙人を力任せに放り投げる。 一瞬のうちにナッパはそれだけの動作を行っていた。 (何が起こった?) 無事着地した亀仙人であるが、今何が起きたのか理解できていない様子である。 (確かに・・・今とどめをさしたはずじゃッ) 「へっ、地球には便利なモンがあるんだな」 ナッパは立ち上がった。破壊されたはずの膝は完治している。 そして懐から出したのは・・・仙豆の入った袋。 「何故おぬしが仙豆を持っているッッ」 「・・・べジータが地球の剣士と闘った後、そいつから奪ったんだとよ」 (ヤジロベーがやられおったかッ) 地球の戦士が着実に減っている。その事実を再認識し、亀仙人の額に汗が浮かぶ。 そしてもう一つ、起きてはならない事が起きてしまったことを認識する。 「亀仙人よ、今までのカカロットの闘いを見てお前もすでに気付いているはずだ。サイヤ人の特性に」 ナッパは腕をおもいきり振り上げた。が、亀仙人との距離はかなり空いている。 (遠い。そこから来るつもりかッッ) 棒を構えて迎撃体勢をとる。ナッパがどのように動こうとも迎い討てるはずだった。 つい先ほどまでのナッパならば。 気が付いた時、既に亀仙人は顔面を破壊され空中を大回転しながら舞っていた。 「死の淵から蘇るたびにサイヤ人は強くなる。くしくも貴様は俺様のパワーアップに手を貸してしまった わけだ」 ぐしゃぐしゃにつぶれた亀仙人の骸を見下ろしナッパは笑った。 その時、孫悟空が空から舞い降りナッパの目の前に立つ。顔に浮かぶ表情は憎悪一色。 悟空はナッパを正面からにらみ、怒りを込めて叫んだ。 「おめぇは・・・踏みこんなじゃならねぇ領域に踏み込んだッッ!!」 476 名前: ヤムチャ〜NEW GRAPPLER YAMUCHA〜 [sage] 投稿日: 03/02/21 20:48 ID:6erkmIo7 時を同じくして、ヤムチャはカプセルコーポレーションを訪ねていた。 ヤムチャの目的はただ一つ。 (今日俺は・・・) 胸の高鳴りがおさまらない。こんなに緊張したことが、いまだかつてあっただろうか? 正面玄関からは入らず、明かりのついた部屋を遠目にのぞき、ブルマの姿を探す。 カプセルコーポレーションの部屋数は膨大なものではあったが、夜ともなれば使われる部屋は限られ ているし、その中からブルマを探し出すのは大した手間では無いだろうと踏んでいたのだ。 実際、ブルマはすぐに見つかった。音を立てずにその部屋のベランダまで飛ぶ。 ヤムチャの姿をみとめたブルマは当然驚く。 対してヤムチャは、ブルマの顔を見て、自分を抑えることが出来なかった。 なるべく緊張をさとられまいと笑顔を造り、窓を軽くノックする。 (今夜俺は・・・ブルマと一線を越えるッッ!!) 827 :グラップラー飲茶〜SAGA[性]〜 :03/03/07 13:31 ID:rfRX0v6V volume.ONE「先へ…ッッ」 西の都に来て以来、俺は遊び尽くし、女を知り尽くしたつもりでいた。 だが・・・俺の女嫌いは根本的な部分では解決していた訳ではなく、この年になってもまだセックス を経験したことが無かった。 ・・・喜劇だった。女嫌いを克服し、遊び尽くしたはずの俺が未だ童貞であるなどとは。 俺は今日、ブルマとセックスをする。 女を知るためにも。最強を目指すためにも。 828 :グラップラー飲茶〜SAGA[性]〜 :03/03/07 13:32 ID:rfRX0v6V 「何でこんな時間に来たのか知らないけど、ちょうどよかった。実は最後のドラゴンボールのありかが わかりそうなのよ」 ヤムチャの中に渦巻く興奮も知らず、ブルマは話し続ける。 「ずっと前、ピラフとかいう奴がドラゴンレーダーにも探知されないように特殊な箱にボールを隠してて 困ったことがあったじゃない。多分、今回もあいつが最後のドラゴンボールを持って・・・」 「ブルマ、俺は君とセックスがしたい」 「は?」 ヤムチャの唐突な言葉にブルマの思考が一瞬停止した。 「俺は今日、君とセックスをする」 二度繰り返したところでようやくブルマの思考が回転し始めた。驚きは無かった。 ようやく来るべきときが来た。そんな気がしただけだった。 「別にいいけど・・・最後のドラゴンボール探しを先に・・・」 「いらない」 「わかった。シャワーでも浴びて・・・」 「いらないッッ!!」 ヤムチャはブルマを抱き寄せ、その唇に自分の唇を押し付けた。 420 :グラップラー飲茶〜SAGA[性]〜 :03/03/21 20:12 ID:JvrFazFP volume.TWO「絶頂」 (これがッッこれがブルマの唇かッッ!!) 数年間付き合いながらも、ヤムチャがブルマの唇の感触を知ったのはこの時が始めてであった。 甘く、柔らかなその感触に感じたことの無い感動を覚えつつ、ヤムチャはブルマを抱き寄せ・・・ ようとしたその時、下腹部の奥の奥から熱いものが噴き出そうとするのを感じ、ヤムチャはとっさに ブルマを突き放した。 (危ッッ!!) 接吻だけで絶頂してしまうところであった。が、絶頂へ辿り着きそこねたせいで、ヤムチャの性欲に 火に油を注ぐが如く拍車がかかる。 ヤムチャは道着をすばやく脱ぎ捨てると、パンツを破り捨てた。 「ブルマッッ!!」 そしてブルマを強引に引き寄せ、衣服を破る。 「オレにッッ、つかまれッッ!!」 「は?いきなりか!」 ブルマは抵抗をするが、男であり戦士であるヤムチャの力にかなうわけも無く、侵入を許してしまった。 (始めちまったぜ性行為!) 421 :グラップラー飲茶〜SAGA[性]〜 :03/03/21 20:12 ID:JvrFazFP 「痛!」 ブルマの苦痛の叫びを無視しながらヤムチャは激しく動き始めた。 人体を合理的に破壊することだけに集中した十と幾年。一切の性情報を持たぬ荒野のハイエナ。 情報を持たぬが故に、本能的であった。本能的な故、純粋。純粋故に、己の欲望に忠実過ぎた。 今のヤムチャの頭の中に、相手を思いやるほどの気持ちも余裕も存在しなかった。 (こんなに気持ちいいこと・・・他に無いッッ!!) ブルマを側臥位に倒し、ひたすら動く。 (似ているッッ!!セックスと狼牙風風拳は・・・そっくりだッッ!!セックスでひたすら責める事・・・ 狼牙風風拳でひたすら攻める事・・・ダメージを与えることと快感を得ることは・・・表裏一体!!) 一方、夢中になっているヤムチャをブルマは呆れたような表情で見ている。 (初めてだからしょうがないかもしれないけど・・・今度からは私が優位で教えてあげなきゃ) 二人の思考は交わることもなく、やがて、ヤムチャはあっさりと果ててしまった・・・ その後、幾度も幾度も幾度も交わり、やがて、幾度目か、幾晩目なのかも見失う頃・・・ ヤムチャの欲望の濁りも、ブルマの相手を品定めするような優越感情も跡形も無く消え去り・・・ ただただ透明な、与え合うものだけが、残った・・・。