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プーアルの中身


749 :プーアルの中身 :03/03/04 17:27 ID:EbLvyHfn 
初カキコでつ。普段は楽しくロムさせていただいてますが、この度、私も作品を
投稿してみたいと思います。ご意見、ご批判などを聞かせていただければ幸いです。

ドラゴンボール(以下DB)に関して思うこと
・人造人間編以降つまらなくなった。
 その理由は
 1)゛伝説の”スーパーサイヤ人孫悟空がせっかく倒した悪の帝王フリーザを
   初登場のトランクスが一撃で倒してしまった。
 2)それによって強さのインフレがさらに進み、初期キャラ(ヤムチャなど)の
   活躍の場が奪われた。
 3)フリーザ編まではストーリーの中心にDBがあった。悟空の敵はみなDBを私利私欲の
   為に利用しようとして悟空に阻止された(例外あり)。
   しかし、人造人間編以降神龍の活躍はない。
これらの事情をふまえて、人造人間編以降のストーリーをオリジナルで作ってみたいと思いまつ。
もちろんヤムチャが主役で!
上記の3つの欠点を克服するための基本設定。
 1)悟空vsフリーザはDB史上最強の決戦であった。人造人間(17号、18号)はこのふたりを
   超える力を持たない。
 2)メカフリーザ、コルド大王、未来トランクスは登場しない。
 3)孫悟空がフリーザ編後、数年経って病死するのは原作どおりとする。
 4)ナメック星の神龍も地球の神龍と同じく一度DBで生き返らせた者を再び蘇生させることは
   出来ないこととする。よって、孫悟空、クリリン、チャオズは登場しない。
   天津飯はチャオズと離れることを嫌い、DBでの生き返りを拒否する。
   ちなみに、ヤムチャはブルマとよりを戻して結婚することを目的に蘇生する。
 5)セルはサイヤ人の細胞は持っているがフリーザの細胞は持っていない。
 6)主な登場人物はヤムチャ、孫悟飯、ピッコロ、ベジータ(宇宙の彼方で修行中)。
   敵キャラは原作どおり。
 7)ヤムチャは界王拳を使えることとする。




750 :プーアルの中身 :03/03/04 17:28 ID:EbLvyHfn 
第一話「巨星落つ」
孫悟空が悪の帝王フリーザとの死闘を繰り広げてから数年が経とうとしていた。
孫悟空という強さと優しさを兼ね備えた戦士のおかげで地球や宇宙は平和そのものであった。
しかし、別れは必ず訪れる。
孫悟空の家にはヤムチャ、亀仙人、ブルマなど孫悟空の知人達が集まっていた。
「みんなすまねぇ。もうオラの体もちそうもねぇや」と悟空は言った。
「諦めないで孫君。お父さんの友達の医者からいい薬をもらってきたから飲んで」とブルマは
悟空を励ました。
「そうじゃぞ悟空。弱気になるなんておぬしらしくないぞ」と亀仙人も悟空を励ました。
「みんなサンキューな。オラちょっと疲れたから休ませてくれ」と悟空は眠りについた。
−その日の未明−
悟空の看病していた悟飯が「大変だ!お父さんの脈が急に少なくなった!」と叫んだ。
みんなが悟空の部屋に駆け寄る。
「悟空!しっかりしろ!」ヤジロベーが悟空の肩を揺らす。
悟空はうっすらと目をあけて小さな声で言った「・・・みんな・・・世話になったな。悟飯、チチを、
お母ちゃんを頼んだぞ。・・・あの世でクリリン達と修行ができる。楽しみだな・ ・ ・」。
悟空は息を引き取った。
「悟空ーーーーっ!!」ヤムチャは号泣した。他のみんなも泣き崩れた。
最強の強さを持つ伝説のスーパーサイヤ人はあの世へと旅立っていった。



751 :プーアルの中身 :03/03/04 17:29 ID:EbLvyHfn 
第二話「悪の科学者の復讐」
孫悟空の死去から数ヶ月後、西の都のカプセルコーポレーションに滞在していたヤムチャは嫌な噂を
耳にした。なんと、あのレッドリボン軍の科学者ドクター・ゲロが強靭な強さをもつ人造人間を作り上げることに成功したというのだ。しかも、レッドリボン軍を壊滅させた悟空を倒すことを目的として。
「その話は本当なのか?」とヤムチャは話を持ちこんだ科学者に聞いた。
「ああ。間違いないだろう。奴の才能はブリーフ博士に負けるとも劣らないものを持っている。しかし、
あの性格だ。何をしでかすか分からない。そこでヤムチャさん。あなたの腕を見込んでお願いがある。
ドクター・ゲロの暴走を阻止して下さい。お仲間の悟空というお方はすでにこの世にいないとは
いっても、目標を失った奴らは必ず悪事を働くであろう。亀仙流最後の継承者のあなたなら出来る
はずです。どうかひとつ」と科学者は懇願した。
「引き受けてあげたら、ヤムチャ。あんたどうせ暇人なんだし。プロ野球チームはクビになるし、そのあと
サッカーチームに入ったはいいけどゴールネット突き破って観客に重症を負わすシュート打って謹慎中
なんだから」とブルマ言った。
「しょうがない、引き受けて差し上げましょう。しかし、敵の強さは未知数だ。悪いけどブルマ、一応
悟飯に連絡とって援護にきてくれるよう頼んでくれないか」
「え〜〜〜っ!イヤよ!チチさんになんて言われるかわかったもんじゃないわ」
「そこをなんとか!今度デス・ニー・ワールド連れて行ってやるからさ」
「・・・じゃあ約束よ!」とブルマは言い、部屋を出ていった。
「ところで、ドクター・ゲロの研究室はどこにあるのですか?」とヤムチャは科学者に尋ねた。
「北の都のさらに北に氷河に覆われた山脈がある。そのなかに鳥の頭の形をした山がひとつあり、
その中腹に洞窟があるはず。そこが研究室です。一度行ったことがあるから間違いない」
と研究者は言った。
「久々の戦い、楽しみになってきたぜ」とヤムチャは独りつぶやいた。



752 :プーアルの中身 :03/03/04 18:18 ID:EbLvyHfn 
第三話「ヤムチャの独壇場(1)」
ドクター・ゲロの研究室の入口にたどり着いたヤムチャ。辺りは薄暗く人はおろか動物一匹いる
気配すらない。
(なんだか辛気臭いところだ。今が夏だっていうのがせめてもの救いかな。仙豆は悟空の葬式のときに
ヤジロベーからもらった一粒だけだが、何とかなるだろう。悟飯もこっちに向かってるだろうし)と
ヤムチャは心の中でつぶやいた。
「よしっ!いくぞ」気合を入れて中に入るヤムチャ。狭い通路を通り抜けると天下一武道会の舞台
程度の広い部屋に行き当たった。すると、そこに色白で太った男が一人たたずんでいた。
「おまえは何者だ?・・・・・おまえの名前はヤムチャ。確か何年か前に地球を強襲したサイヤ人達に
殺されたはずだが・・・生き返っていたのか」と男は言った。
「オレはDBで復活したのさ!・・・っていうか、オレを倒したのはサイバイマン・・・いいやそんなことは
どうでもいい!!おまえが人造人間だな!?このオレが倒してやる!さぁ、こい!」
ヤムチャは構えた。
「誰であれ、ゲロ様の研究の邪魔をするやつは許さん」男も構えた。
そして男の目が一瞬光り、
「戦闘力6,000・・・おかしい。私のデータベースではヤムチャの戦闘力は1,400のはず」
と困惑して言った。
「フフフ、オレは以前界王様のところで修行していたのさ。その成果をたっぷり見せてやるぞ」
バッ! ヤムチャは飛びかかった。パンチやキックの嵐を繰り出した。しかし、男は難なくかわすと
ヤムチャの腹にキックを入れた。ドカッ! ヤムチャは数メートル吹き飛ばされたがすぐに態勢を
立て直した。
「やるじゃないか。・・・また見かけだけで相手の実力を推し量ってしまうところだったぜ」
とヤムチャが言うと、
「6,000程度の戦闘力じゃ私を倒すことはできん」と男が言い返した。
「じゃあ、これはどうかな?」



753 :プーアルの中身 :03/03/04 18:19 ID:EbLvyHfn 
第四話「ヤムチャの独壇場(2)」
「じゃあこれはどうかな?いくぞっ!界王拳!!」ヤムチャの身の回りに青白い光が浮き立った。
「なにっ!?戦闘力が一気に12,000まで上がりやがった」男は驚きながら言った。
「いくぞっ!」再びヤムチャは男に向かって飛びかかった。
「クソッ」男は狼狽しながらもヤムチャとの激しいパンチやキックの攻防に応じた。
「なかなかやるじゃないか。くらえ!狼牙風風拳!!」
ヤムチャの拳が無数に繰り広げられた。
(早いっ!)男は防戦一方になった。しかし、男は一瞬冷静になりこの技の弱点を思い出した。
(この技の弱点は・・・足!)男はそう思うが速く足払いを出した。
しかし、ヤムチャはジャンプで素早くかわし飛び蹴りを男のあごにヒットさせた。
バキッ! 男は吹き飛ばされあお向けに倒れた。
「フフフ、狼牙風風拳の弱点は界王拳を使うことにより見事に克服されるのさ。
オレ様のスピード、恐れ入ったか!」ヤムチャは勝ち誇ったように言った。
「確かに凄いスピードだ。しかし、パワーだけなら私の方が勝っている」と男は起き上がりながら言った。
「パワーだけなら俺の方が上だと?フン、その無駄口もう叩けないようにしてやるぜ!
界王拳かめはめ波だっ!か・め・は・め・波〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
ヤムチャの両手から出たかめはめ波が男に向かって飛んでゆく。
「これで終わりだっ!」ヤムチャは叫んだ。

771 :プーアルの中身 :03/03/05 13:04 ID:LeDIcbE1 
第五話「ヤムチャの独壇場(3)」
ヤムチャの放ったかめはめ波が男を捕らえようとしたそのとき、男はかめはめ波を自分の左手で
押さえた。すると、その左手は見る見るかめはめ波を吸収していってしまった。
「そんなバカな!かめはめ波を全部吸い取りやがった!」とヤムチャは叫んだ。
「ありがとうよ、ヤムチャ。私はエネルギーを無限に作り出せるタイプではないので、敵から奪った
エネルギーを使うしかないのだよ」と男は言い、今度は右手をヤムチャの方へ突き出した。
「これで終わりだ」男はエネルギー派を放った。凄まじいスピードでヤムチャを捕らえた。
「クッ!」間一髪ヤムチャは両腕でガードしたが、吹き飛ばされ壁に激突した。
「ぐはっ」ヤムチャは倒れた。
「とどめを刺すか」男は言いながらヤムチャに近づく。
すると、ヤムチャはフラフラになりながらも起き上がり
「どうやら貴様を倒すにはこれしかないようだな、界王拳繰気弾だっ!!はああああ・・・」
ヤムチャは右の手のひらを上に向け左手を右腕に添えると気を集中し始めた。
「戦闘力がどんどん上がっていく・・・16.000、17,000・・・」男はうろたえていた。
「くらえっ!繰気弾!!」ヤムチャは繰気弾を男に向けて放った。
「そんなもん吸収してくれるっ!」男は左手を突き出した。
しかし、繰気弾は男の手前で急に天井のほうへと上がっていった。
巧みに繰気弾を操るヤムチャ。天井ぎりぎりでストップさせると、男めがけて一気に振り下ろした。
その速さに男は避けるだけで精一杯だった。繰気弾は床下を突き抜けた。
「さすがだな、ヤムチャ。しかし、繰気弾がまだ地中に潜んでいることがわからない私ではないぞ」
男はそう言いながら宙に浮いた。




772 :プーアルの中身 :03/03/05 13:05 ID:LeDIcbE1 
第六話「ヤムチャの独壇場(4)」
「さぁ、どこからでも撃って来いヤムチャ!すぐに吸収してやる」男は天井ぎりぎりまで宙に浮いて
構えた。
動じないヤムチャ。逆に薄ら笑いさえ浮かべている。
「避けるだけで精一杯だったのに吸収しようだと?ははは。だが、繰気弾はそんなしょぼい
技じゃないぞ!!」ヤムチャは両手を人差し指と中指を突き出した状態にし、両腕を振り上げた。
すると、床から2つの繰気弾が出てきて男めがけて飛んでいく。
「繰気弾がふたつだとっ!」男は左手を突き出す。(2つに分離したら威力も半減しているはず。
それならば何とか耐えられるかもしれん)男は右手で防御する構えを見せた。
そのとき、ヤムチャは右手を左手に添えた。すると右手の繰気弾が左手の繰気弾に合わさり  
ひとつになって男に直撃した。男の胴体には大きな穴が空いた。
「ぐはっ、そ、そんなばかな・・・」男は呟いた。
繰気弾はさらに男の首を狙い、頭部をもぎ取った。
「ジ・エンドだな」ヤムチャは言った。
男の残骸は床に散らばった。


792 :プーアルの中身 :03/03/05 21:46 ID:YVX3lqkK 
第七話「ドクター・ゲロの誤算」
「何とか人造人間を倒せたぜ」ヤムチャは呟いた。

すると突然、部屋の中央にある大きなドアから何者かが現われた。計3人。
1人は白髪で長髪とヒゲをたくわえた老人、残りの2人は歳や背格好が似た
中高生くらいの少年と少女であった。

「よくぞ私の優秀な助手・人造人間19号を倒したな、ヤムチャよ。頭脳重視で強さを
押さえてあるとはいえたいしたもんだ」老人は言った。
「おまえがドクター・ゲロだな?おまえが作り出した人造人間はこのオレがきっちり
料理してやったぜ」ヤムチャは言った。
「フフフ。おぬしの腕前、きっちり見させてもらってたぞ。しかし、だ。人造人間は
まだいるのだよ、ここにな」ゲロはそう言うと少年と少女をちらりと見やった。
少年と少女は無言でいる。
「強さは19号の比ではないぞ。もともと孫悟空を殺すために開発したのだが
奴はもういない。さりとてヤムチャが相手ではお話にもならんだろう。はっはっはっ」
ゲロは大声で笑った。

すると、少年はニコリとゲロにほほえみ、
「ゲロ様、ヤムチャを倒す前に忠誠のキスをさせて下さい。親愛なるゲロ様。」
そういうとゲロに近づき立膝をついたかと思うと、素早くゲロが両手に持っていたものを奪った。
「なっ、なにをするっ!!17号!」ゲロは大慌てだった。
「このリモコンさえなければ俺たちは自由の身だ。さんざん俺たちの体をいじくり、
もてあそびやがって!死ねっ!」17号はそう言うと、ゲロにエネルギー波を放った。




793 :プーアルの中身 :03/03/05 21:51 ID:YVX3lqkK 
第八話「短期は損気」
17号の放ったエネルギー派がゲロを直撃した。
「・・・くそっ。パワーをさらに落し、感情が爆発しない制御装置を付けたはずなのに・・・」
ゲロは唸りながらそう言うと黒焦げになり絶えた。

「カスがいなくなってせいせいしたな、18号」17号は少女に向かって言った。
「そうね、ところでヤムチャどうする?」18号は17号に言った。
「そうだな、俺が相手してやるか」
「じゃあ、あたしゲロの部屋から金目の物持ってくるわ」18号はそう言うと部屋から出て行った。

「待たせたなヤムチャ。俺達はとりあえず街に出て遊ぶんで早く終わらせるぞ」17号は言った。
「フフフ。悪いご主人様がいなくなってほっとしているところ申し訳ないが、すごいパワーを持って
いるらしいボクたちをそのままおもてへ出すのは危険だ。ここで眠ってもらうぞ」
ヤムチャはそう言うと界王拳を使った。
すると、17号の目が一瞬光り、
「戦闘力10,000か。さっきより落ちてるじゃんか。あの戦いでバテたんじゃねぇの?」
と微笑を浮かべながら言った。
「さっきから気になってるんだが、お前たちはサイヤ人の持っていたスカウターが
内蔵されているのか?」ヤムチャは聞いた。
「ああ。ゲロの奴がカプセルコーポレーションとかいうところに虫型の偵察機を忍び込ませて、
その時そこの娘がいじっていた機械を写真にとって分析して作ったらしい。」
「そうだったのか。じゃあお前たちのスカウターは不良品だな」
「不良品はおまえだよ。ヘタレ」
「ヘタレっていうな〜〜〜っ!!!!!」
ヤムチャはすごい勢いで突進していった。




794 :プーアルの中身 :03/03/05 21:52 ID:YVX3lqkK 
第九話「脅威!人造人間のパワー」
17号に突進していったヤムチャ。応戦する17号。
パンチやキックの攻防。
しかし、17号には全然余裕があった。よく見ると17号はヤムチャの攻撃をすべて右手だけで
かわしていたのだ!そして、17号の右ボディーブローがヤムチャのみぞおちを捉えた。
ドカッ! 
前につんのめるヤムチャ。うずくまるヤムチャを見下げながら17号は言った。
「冥土の土産に教えてやるよ。俺たち人造人間には戦闘力や気の概念は適用されない。
しかし、俺や18号の強さを戦闘力に例えると50万くらいだそうだ。ゲロの奴が俺たちの
パワーを抑えたらその程度になったらしいぜ」
「くっ、・・・は、はったりはその程度にしておくんだな。後で後悔するぜ」
ヤムチャは言うと、うしろに飛びずさり間合いをとった。

「もうお遊びは終わりだ。いくぞっ、3倍界王拳!!」ヤムチャの気がみるみるあがっていく。
「ちっ、戦闘力が16,000まであがりやがった。厄介な技を使いやがる」
17号はそういうものの驚いた表情ひとつ見せない。
「いくぞっ!3倍界王拳・新狼牙風風拳!!」ヤムチャの無数の拳が17号を襲う。
しかし、17号はそれをすべてよけきってしまった。
「なっ、なにっっ!」驚愕するヤムチャ。
「お遊びを終わらせられるのは俺のほうだったな」17号はそう言うと再び右ボディーブローを
ヤムチャにヒットさせた。
ドカッ! 

820 :プーアルの中身 :03/03/06 22:25 ID:EH+tfgVs 
第十話「謎の大男」
ヤムチャは倒れた。意識を失っている。
そのとき、18号が戻ってきた。モヒカン頭の大男と一緒だった。
「誰だよ?そいつ」17号は18号に尋ねた。
「ゲロの部屋に隠し扉があってさ。そこに入ったらこいつが眠らされてたの。
近くにリモコンがあったから起こしてあげたんだ」18号は言った。
「ふ〜ん、そうなんだ。じゃあ俺たちと同じようにゲロに振り回されてたんだな?
じゃあ同じ穴のムジナっていうことで一緒に街に出て遊ばないか?」
「・・・・・」男は無言であったが小さくうなずいた。
「じゃあ、行くか」17号は言った。

そのときであった。1人の少年が部屋に入ってきた。
「あんた誰?」18号は少年に聞いた。
「ボクの名前は孫悟飯。知り合いに言われてここへ来た。」悟飯はそう言って床に目を転じた。
「ヤ、ヤムチャさん!!」倒れているヤムチャに駆け寄る悟飯。
「しっかりして!」悟飯は大声で呼びかけたがヤムチャに返事はない。
「孫悟飯・・・ひょっとしてあんた孫悟空の息子?」18号は悟飯に尋ねた。
「そうだ!お前たちが人造人間だな?ボクのお父さんを倒すために作られた・・・
それに、ヤムチャさんまで・・・許さないぞ・・・・・」
悟飯はそういうと気を開放した。
「戦闘力が14万まであがったよ」18号は驚いて言った。
「ガキのくせになんてやつだ・・・・・おい!ヤムチャを倒したのはこの俺だ!」
17号は悟飯にそう言いはなった。
悟飯は構えをとった。
「たぁーーーーーっっ!!」
悟飯は17号に向かっていった。



821 :プーアルの中身 :03/03/06 22:26 ID:EH+tfgVs 
第十一話「悟飯敗れる」
「なかなかやるじゃないか」17号は悟飯の攻撃をかわしながら言った。
「が、まだまだだな」17号はそう言うと悟飯の顔面に蹴りを入れた。
バキッ!
吹き飛ぶ悟飯。17号はすかさずエネルギー波を放った。
バシッ!!
エネルギー波は悟飯を直撃した。
「ぐあああっっ」悟飯はそう叫びながら床に倒れた。
「くっ・・・・・」瀕死の悟飯。
「おまえはガキのくせに強すぎる。しかも孫悟空の息子だ。生かす理由はない」
17号はそう言うと右手に気を集中し始めた。
「とどめだ」17号がエネルギー波を放とうとした。
そのとき、大男が17号の右腕をつかんで言った。
「相手は子供だ。それに、これだけ実力差をみせつけられたら復讐はしてこないだろう」
「・・・フン。わかったよ」17号はそう言うと右腕を下ろした。
「じゃ、そういうことで行きましょう。東の都に巨大テーマパークがあるんだって」18号は言った。
「・・・・・動物園もあるのか?」大男はボソボソと18号に尋ねた。
「?・・・あるわよ」18号はキョトンとした表情で言った。
「おまえ、そんなナリで動物好き?変わったやつだな」17号は笑いを堪えて言った。
「・・・・・」大男は無言であったが、内心嬉しそうな雰囲気であった。
こうして3人の人造人間は外の世界へと出て行くのであった。

840 :プーアルの中身 :03/03/07 20:08 ID:saU8G7pT 
第十二話「祭りのあと」
人造人間たちがドクター・ゲロの研究室から出ていった数分後、気絶しているヤムチャを揺すり起こす
1人の者がいた。
「おい、しっかりしろヤムチャ」その者はヤムチャのほほを叩いた。
「・・・・・・・ん?」目を覚ますヤムチャ。
「はっ!・・・ピッコロ!お前がなぜここに?・・人造人間たちは?」ヤムチャは不得要領な表情で言った。
「人造人間?さっき上空で変な3人組とすれ違ったが、そいつらのことか?それに、悟飯も重症で
倒れているが奴らの仕業か?」
「悟飯?悟飯が来てくれていたのか!」ヤムチャは倒れている悟飯のところへ駆け寄った。
「すまないことをしたな」ヤムチャはそう言うとポケットから仙豆を取りだし悟飯の口へ入れた。
「んん・・・・・あっ、ヤムチャさん!・・・それにピッコロさんまで!!」悟飯は嬉しそうに言った。
「ヤムチャさん無事だったんですね!・・・それにしても、ピッコロさんはなんでここにいるんですか?」
悟飯はピッコロに聞いた。
「たまたまこの近くを通りかかったら悟飯の気を察知したんで来てみたが、一足遅かったようだな」
ピッコロは悟飯にそう言うと、
「なにかいわくがありそうだな。事情を説明してくれ」とヤムチャに言った。




841 :プーアルの中身 :03/03/07 20:08 ID:saU8G7pT 
第十三話「探せ!」
ヤムチャは事の経緯をピッコロに説明した。
「なるほど。孫は死んだのか・・・・・惜しい男を亡くしたな。で、目標を失った人造人間が暴走する
可能性があるから止めにきた、そういうことだな?」
「ああ、しかも奴らの気は察知することが出来ない、というより気そのものがない」ヤムチャは言った。
「気を察知できないのはやっかいだな」ピッコロはつぶやいた。
「確かに人造人間は強かったです。けど、ピッコロさんの敵ではないと思いました」
悟飯はピッコロにそう言った。
「フン。おべっかはいらん。俺たち魔族は最強だ。それより、奴らの行き先がどこか
手がかりはないのか?」
「確かあいつら、東の都に行くって言ってました」悟飯は2人にそう告げた。
「東の都か・・・世界一の大都市じゃないか。あの人ごみの中を捜すなんて無茶だ」
ヤムチャは面倒くさそうに言った。
「むこうが何かアクションを起こせばすぐ騒ぎになるだろう。そうなったらそこに駆けつければいい
だけの話だ」ピッコロは言った。
「ああ、そうだな。しかし、人造人間と戦う前にどうしてもやらなきゃならないことがある」
ヤムチャは言った。
「それってなんですか?」悟飯は興味深そうに聞いた。
「ああ、ちょっとな」ヤムチャは言葉を濁した。
「何を企んでるかは知らんが、もし戦闘が始まったら駆けつけろよ。お前でも戦力にはなるだろうしな」
ピッコロは言った。

こうしてヤムチャ、ピッコロ、悟飯の3人はそれぞれ去っていった。

−ドクター・ゲロの研究室に潜む邪悪な存在に気付かないまま−

843 :プーアルの中身 :03/03/07 20:38 ID:oJ6kFSBX 
第十四話「ヤムチャの旅」
カプセルコーポレーションに戻ったヤムチャはブルマの部屋にいた。
「ブルマ、ドラゴンレーダーを貸してくれ」ヤムチャは言った。
「いいけど、なんか願い事でもすんの?」ブルマは聞いた。
「ああ、ちょっとな」相変わらず理由を話さないヤムチャ。
「変なこと企んでるんじゃないでしょうね?」ブルマはいぶかしげに聞いた。
「まぁ、いいじゃないか!それよりプーアルは?」
「庭でウーロンと遊んでるわ。・・・それよりヤムチャ。あんたがいないときにベジータから無線で
連絡が入ったわよ」
「ベジータだって?」
「ええ。なんでも『俺はついにスーパーサイヤ人の力を手に入れたぜ!今から地球に行くから
カカロットに今のうちに修行でもしとけと伝えろ』だって」
「悟空はもう死んだじゃないか」
「だって、それ言う前に一方的に無線切っちゃうんだもん。変なヤツよね」
そう言うブルマの微妙な表情に気付かないヤムチャ。
「そうか・・・それより今はドラゴンボール、人造人間だ!」
「人造人間って?倒したんじゃなかったの?」
「いろいろあってな。しばらく留守にするから。またな!」

ヤムチャはそう言うとプーアルを連れてドラゴンボール(以下DB)探しの旅に出た。




844 :プーアルの中身 :03/03/07 20:39 ID:oJ6kFSBX 
第十五話「DBそろう」
ヤムチャたちの人造人間との死闘から3ヶ月ほどが経った。
DB集めの旅に出たヤムチャとプーアルはもうすでに6個のDBを手にしていた。

「ヤムチャ様強引すぎますよ〜。留守宅に忍び込んだり、この前なんかDB持ってた
少年から無理やり奪うんだもん」プーアルはひとしきりぼやいた。
「なぁに、留守宅に入ったといってもDB以外は盗んでないし、少年にだってお小遣い
あげたじゃないか。それに、このオレ様は元々泣く子も黙る世紀の大盗賊だぞ!」
ヤムチャはそう言うと豪快に笑った。
「そろそろ最後のDBのある場所に着きますね」プーアルは言った。
「ああ。結構大きな町だぞ」ヤムチャはそう言うと舞空術を解いて地上に降り立った。

町に入る1人と1匹。町は閑散としていて人の歩く姿はない。
「何か様子が変ですね」プーアルは不安そうに言った。
「ああ。人の気配が全く感じられない」ヤムチャも不思議そうに言った。
「まぁ、何か行事があって町人は町を離れているんだろう。こっちの方がDB集めには
好都合だぜ」ヤムチャはそう言うとDBレーダーを取り出した。
「あっちの方だな」
ヤムチャとプーアルは商店街の方に歩いていった


854 :プーアルの中身 :03/03/07 21:40 ID:mk68rZEi 
第十六話「消えた人々」
質屋のショーウィンドウにDBはあった。
「1万ゼニーか」ヤムチャはそう言うと拳でウィンドウを壊した。
「やっとそろったぜ」ヤムチャがそうつぶやいたとき、
1人の中年男が近くのマンホールの中から出てきた。
「あ、あなた方は?」男は顔面蒼白で、か細い声で聞いた。
「あんたこの店の主人かい?このボールもらっていくぞ」
ヤムチャはそう言うと男に1万ゼニー札を渡した。
「そんな物はいらん。そんなことより、あっ、あの化け物はどこへ行ったんだ?」男は大声を張り上げた。
「何かあったようですね」ヤムチャはそう言うと男を連れて店の中へ入った。

「緑色のまだら模様の生き物が町の人たちを全員吸い取ってしまっただと!?」
ヤムチャは驚きながら言った。
「そうです。尻尾の先で刺して、チューチューと。その時偶然、私は排水口に流してしまった
指輪を取るためマンホールの中に入っていたのですが、出ようとしたら・・・・・」
そう言うと男は身震いをした。
「新たな敵が出てきたようだな」ヤムチャは冷静を装って言った。
「ヤムチャ様、DBを使ってこの町の人たちを生き返らせてあげましょうよ」プーアルは嬉々として言った。
「・・・ダメだっ!それはこの次だ!」ヤムチャはムキになってそう言うと、
「ご主人、町の人たちを生き返らせる方法があります。しかし、1年以上待ってください!
必ず町の人たちを戻してみせますっ!」
ヤムチャは男を励ますと店の外へ出ていった。



855 :プーアルの中身 :03/03/07 21:41 ID:mk68rZEi 
第十七話「ヤムチャのねがい」
町外れの野原にたたずむヤムチャとプーアル。
地面にはDBが7個揃えられている。
「ヤムチャ様〜願いごとって何なんですかぁ?」プーアルは聞いた。
「まぁ、いいから。・・・・・・・出でよシェンロン!!我がねがいを叶えたまえ!!」
ヤムチャがそう言うと、空は急に暗くなりDBが光った。
そうすると、一匹の大きな龍が出てきて空高く舞い上がった。
シェンロンだ。
「願いごとを何でもひとつかなえてやろう。さぁ、願いを言え」シェンロンは言った。
「・・・オレの潜在能力を限界以上まで引き上げてくれ!!」ヤムチャは一呼吸置いて言った。
「・・・・・それは無理だ。お前はもう己の限界以上の力を手にしている」
「なっ!・・・」ヤムチャは一瞬絶句したが、気を取り直して
「・・・・・じゃあ、オレを何十倍何百倍の界王拳に耐えられる体にしてくれ!!!!」と言った。
「・・・・・・・・・・・・・・・タフな肉体が欲しいということか?」シェンロンは聞いた。
「ああ、そうだ!」ヤムチャは答えた。
「お安いご用だ」シェンロンはそう言うと目を光らせた。
そうすると、ヤムチャの体に光が包み込んだ。
「お前の体は強靭になった。願いは叶えてやった。さらばだ」
シェンロンはそう言うと天高く昇り、光を放つと四方八方へ飛び散った。
その時、ヤムチャはジャンプして石となったDBをひとつ掴んだ。



856 :プーアルの中身 :03/03/07 21:41 ID:mk68rZEi 
第十八話「激突再び」
「ヤムチャ様の願いってそういうことだったんですかぁ」プーアルは感嘆して言った。
「まぁな」ヤムチャは安堵しながら言った。
「さて、これで人造人間たちとどこまで渡り合えるか」ヤムチャはつぶやいた。
その時であった。遥か彼方からすごいスピードで飛んで来る者たちがいた。

人造人間たちであった。

「誰かと思えばヤムチャじゃねぇか」17号は言った。
「さっきの龍、何?」18号は興味深そうに聞いた。
「ふっ。お前たちには関係ないことさ」ヤムチャは言った。
「ふ〜ん。さっきこの辺から石ころが飛んできたんだけど、関係あるの?」
18号はそう言うと2つの石DBを見せた。17号も同様に2つ持っている。
「それが何であろうとお前たちには使い方はわからんさ。とりあえずよこしな。
痛い目に合いたくなかったらな」ヤムチャは内心ドキドキしながら言った。
「痛い目だって。この前のことショックで覚えてないんじゃないの」
18号はそう言うと17号とともに笑った。大男は無言であった。
「しょうがない。今度はあたしが相手してあげるよ」
18号はそう言うと1歩前に出た。
「レディを傷つけるのはオレの趣味じゃない。が、少しだけかわいがってあげよう」
ヤムチャはそう言うと構えた。

868 :プーアルの中身 :03/03/08 11:17 ID:0TSIQcJO 
第十九話「ヤムチャのワンマンショー(前編)」
「どこからでもかかってきなよ」18号は余裕たっぷりに言った。
「その前に・・・プーアル、おまえは町に戻って質屋のおじさんにかくまってもらえ」
ヤムチャはそう言うとプーアルにドラゴンレーダーと石DBを渡した。
「はいっ!」飛んでゆくプーアル。

しかし、プーアルは17号に捕まってしまった。
「へへへ。なんか知らないけどよほど重要な物らしいな」17号はプーアルを掴んで言った。
「ヤ、ヤムチャ様〜っ」泣き出しそうなプーアル。
「お前ら・・・このオレを本気にさせてしまったようだな!後悔しても知らないぞ。
・・・とりあえず初めてなんで、50倍からいくぞっ!50倍界王拳!!」
ヤムチャは界王拳を使った。
「な・・・・・戦闘力30万・・・・・・・なんで?」驚きながら18号は言った。
「こいつハンパなく強くなってるよ」18号は臨戦体制に入った。
「てやっ!」18号に飛びかかるヤムチャ。
ヤムチャと18号の熾烈な戦いが始まった。
パンチやキックの攻防。スピードはほぼ同じであった。

徐々に疲労を見せるヤムチャ。それに対して18号は息ひとつ切らしていなかった。
「はぁはぁ・・・お前ぜんぜん疲れてないみたいだな」ヤムチャは息を切らしながら言った。
「当たり前でしょ。あたし人造人間、サイボーグなのよ。エネルギーも無限だし」
18号は間合いをとるとエネルギー波を撃つ構えをした。
「もうこれで終わりよ」18号の手には凄まじい気が集中されている。
「フフフ。そっちがその気ならこっちだって」ヤムチャは操気弾の構えをとった。

気を集中させる2人。

「死ねっ!!」18号はそう言うとエネルギー波を放った。
「操気弾っ!!」ヤムチャは操気弾を放った。



869 :プーアルの中身 :03/03/08 11:17 ID:0TSIQcJO 
第二十話「ヤムチャのワンマンショー(後編)」
18号のエネルギー波と操気弾がぶつかり合った。空気や地面が激しく揺れる。
「その弾をそらすような小細工なんかするんじゃないでしょうね?」18号はエネルギー波を
放ちながら言った。かなりの力を入れているようだった。
「ふっ。レディに対してそんな失礼はしないさ。が、この技の恐ろしさを思い知ることにはなるがな」
ヤムチャはそう言うと突然、操気弾を操る右手を握った。

「操気弾・零式!!!!」

すると、操気弾は大爆発を起こした。凄まじい爆風と飛び散った気をくらった18号は吹き飛んだ。

「くっ!」爆風に耐える17号と大男。

「ははは。操気弾には4種類のバリエーションがあるのさ。通常の壱式、2つに分かれ前後・上下からの
挟み撃ちを可能にする弐式、スピードは落ちるが通常の5〜6倍の威力がある参式。
爆発を起こし気を発散させる零式。零式は奥の手だったんだが、レディに心ばかりのプレゼントさ」
ヤムチャは得意げに言った。

空中に舞う砂ぼこりが消え始めた。そうすると、ほこりで体全体がすす汚れていて、衣服が少々破れた
18号が立っていた。ひたいに血を流している。
「素敵な技をありがとう」18号は不敵な笑みを浮かべた。

874 :プーアルの中身 :03/03/08 17:47 ID:mfoZyQHC 
第二十一話「謎の生物の正体」
ヤムチャが18号と死闘を繰り広げたころ、ピッコロはさいはての荒野にいた。
(んんっ?ヤムチャの気だ。しかもかなりでかいぞ。さっき空が暗くなったが、あいつ、
DBを使ってなんかしやがったな?・・・もしや、人造人間との戦いが始まったのか?)
ピッコロはそう直感すると、ヤムチャのいる方角へと飛んでいった。

かなりのスピードで飛ばした。そして、後少しで着きそうかと思われたその途中、
ピッコロは地上をすごい早さで同じ方向を目指して走っている何者かを見つけた。
ピッコロは地上に降りた。そして、その者の前に立ちはだかり聞いた。
「貴様何者だ?」
その者の体は、色は緑でまだら模様、羽と尻尾を生やしている。
「ぶああ・・・お前はピッコロ・・・」
「なぜ俺の名前を知っている!」
「フフフ。なぜって、お前の兄弟だからだ」
「どういうことだっ!」
「俺はドクター・ゲロが生み出した究極生物・セルだ。俺の細胞にはピッコロ、お前のDNAも
含まれているぞ。孫悟空やベジータとかいうやつのもな」
「なんだとっ!」
「ぶああ・・・俺は真の兄弟たちに会いに行かなければならん。どけ」気を開放するセル。
「真の兄弟だと?」
「お前たちが人造人間を探していることくらい知っている。これでやっと会える」

(人造人間といいこいつといい、とんでもないもんを作りやがったな)
ピッコロはそう心の中でつぶやくと気を開放した。



875 :プーアルの中身 :03/03/08 17:48 ID:mfoZyQHC 
第二十二話「ミスター・パーフェクト」
「貴様は生かしておけん」ピッコロはセルに飛びかかった。
パンチやキックの攻防。パワーやスピード、テクニックすべてにおいて勝るピッコロは
セルを追い詰めた。
バキッ!
ドカッ!
ピッコロのストレートとミドルキックのワン・ツーがきまった。
吹き飛ばされ地面に這いつくばるセル。ふらふらと起き上がったところに、
「これで終わりだ」
ピッコロはそう言うと右手から魔光砲を放った。
ぐしゃぁっ!
セルの胴体左半分がえぐられた。
「ぐああ」セルはうめき声を発した。
「ううう・・・さすがだな、ピッコロ。しかし、俺はお前のDNAも持っているのだよ」
セルはそう言うと気合を入れた。
「はああああっ」
セルの胴体が元に修復された。
「ちっ!本当に厄介な野郎だぜ」ピッコロは舌打ちをして言った。




876 :プーアルの中身 :03/03/08 17:49 ID:mfoZyQHC 
第二十三話「闘気」
ピッコロとセルが戦う少し前、ヤムチャは操気弾・零式で18号を追い詰めていた。
しかし、18号にダメージはない。
「俺たちには痛みや疲れという感覚もないのさ」17号は言った。
「あたしたちを倒したいなら、体を完全に破壊するしかないってワケ」
18号はそう言うと再びエネルギー波を放つ構えをとった。
「フフフ。そういうことか。圧倒的なパワーで押さえ込むしかないって訳だな」
ヤムチャはそう言うと心の中でつぶやいた。
(今の50倍界王拳で体に負担はほとんどかからなかった。こうなったらやるしかない。
100倍界王拳をっ!!)
ヤムチャは構えをとり言った。
「100倍界王拳!!!!」
ヤムチャの気がみるみる上昇する。すさまじい勢いで風が舞った。
「また戦闘力があがってく!」18号は腕で風をさえぎりながら言った。
すると、ヤムチャの体全体からまばゆいばかりの光が放出した。
「まぶしいっ!」18号はじめ全員は目をつむった。

全員が目をあけると、そこには全身に銀色の気をまとっているヤムチャがいた。
「待たせたな。どうやらここまでくると気の性質そのものが変わるらしい。
名づけて、闘気(バトルオーラ)だっ!!!!」



877 :プーアルの中身 :03/03/08 17:50 ID:mfoZyQHC 
第二十四話「力の差」
「何てことだ!戦闘力が50万を超えたところで数値を読み取れなくなっちまった!」17号は叫んだ。
「どうすんだよ17号」18号は狼狽しながら言った。
「ふん。2人がかりなら楽勝だろ!・・・わりぃけどこの生き物預かっててくれ」
17号はプーアルを大男に預けた。
「ヤムチャ様〜っ」叫ぶプーアル。
プーアルを受け取った大男は微笑を浮かべてプーアルの頭をなでた。プーアルは硬直した。
(17号と18号はヤムチャに集中していて気付かなかったが、さっきそう遠くないところで何者かが
凄まじい気を開放した。2人。誰だ?それにしても、片方が持つこの嫌な気はなんだ?)
大男は心でつぶやいた。

「よろしい。2人まとめてこのオレ様が少しだけ稽古をつけて差し上げましょう」
ヤムチャはそう言うと構えをとった。
「ぜってーぶっ殺してやる!」17号はそう言うと、18号とともにヤムチャに飛びかかった。

―時を同じくしてピッコロとセルは―

「貴様を木っ端微塵にしてやるぜ」ピッコロはそう言うと再び魔光砲の構えをとった。
さっきよりも数倍気を溜めている。
そのときであった。ヤムチャたちのいる方角から凄まじい気が開放されたのだ。
それを察知するピッコロとセル。
(ヤムチャのヤツか・・・さっきの倍は気が高くなってるやがる)
ピッコロはそう心でつぶやくと、
「これで俺は貴様に専念できるわけだな」ピッコロは不敵な笑みを浮かべた。
セルは焦っていた。
(ぶああ・・・ヤムチャがあんなにパワーアップするとは・・・誤算だった。早く行かなければ!
それに、17号と18号を押さえ込めるに十分な量の人間を吸収したのに・・・
ピッコロの実力がこんなにあるとは!勝ち目はない。ここはひとつ・・・)
セルは不意に太陽拳の構えをとった。
「太陽拳っ!」

883 :プーアルの中身 :03/03/08 19:01 ID:cEwETBLL 
【ここでブレイク】
主要キャラの戦闘力のまとめ(もちろん漏れの作品の中の話)
戦闘力を表記する際に強さの目安としているのがフリーザでつ(インフレの主犯であるため)。
フリーザの戦闘力には諸説ありますが、初期の53万は確実として、
第1段階=106万→第2段階=159万→最終段階=212万(MAX424万)の
説をとりたいと思います(ちなみに、この説でいけばスーパーサイヤ人孫悟空の戦闘力は
500万はあったのではないかと個人的に思っています)。

それをふまえて
ヤムチャ:6千(界王拳○倍→6千×○)。闘気発揮で60万。闘気をどこまで伸ばすかは未定。
ピッコロ:120万(第1段階フリーザをリードしていたとき110万と仮定。
          その後、若干の上積みがあったこととする)。
悟飯:35万(17号に瀕死の重傷を負わされ、回復した後の時点)。
ベジータ:220万(第2段階フリーザに善戦した時点で140万くらい。
           フリーザの「このままでも十分勝てる」発言から、善戦はするが倒すことは
           できないとみて。
           蘇生後は修行で220万まで上昇)。
人造人間19号:1万1千(バーダックレベル)。
      17号:51万(初期フリーザレベル。イチローの背番号と同じ)。
      18号:47万(17号と同じく。工藤公康の背番号と同じ)。
      16号:165万(第2段階フリーザを若干上回るレベル)。
セル:初期=100万→17号吸収=200万→18号吸収(完全体)→?

887 :プーアルの中身 :03/03/08 19:12 ID:cEwETBLL 
第二十五話「凌ぎ」
セルは太陽拳を放つとすごいスピードで去っていった。
「くあっ、や、やられたっ!」目をおさえるピッコロ。
「野郎、天津飯のDNAも持ってるのかっ!」悔しがるピッコロ。
そして、数秒して目が慣れると、
「やばい!奴は何か企んでる!行かなくては」
ピッコロはもうスピードで飛んでいった。

―一方、ヤムチャたちは―

上空で激しいバトルを展開していた。
「甘いぞ!17号!」
ヤムチャは17号のエネルギー弾をはじき返すと気孔波を放った。
間一髪避ける17号。
すると、今度はヤムチャの後ろから18号がパンチやキックの嵐を繰り出した。
全てかわすヤムチャ。
そして、
「胸元がお留守になってますよ」と言うと18号の胴体に気孔波を放った。
バシッ!
「ぐあっ」
地上へ落下する18号。
ここから遥か上空からすごいスピードで降下してくる17号。
「消え失せろー――っ!!」
右の拳に気を集中させてる。
「返り討ちだっ!か・め・は・め・波ーーーーーっ!!」
ヤムチャはかめはめ波を放った。



888 :プーアルの中身 :03/03/08 19:14 ID:cEwETBLL 
第二十六話「セルの渇き(1)」
17号の拳とヤムチャのかめはめ波が激しくぶつかった。
押しては押されの大接戦だった。
しかし、間もなく17号は耐えきれずかめはめ波をよけた。
「くそっ!!」そうつぶやく17号の頭上にヤムチャはいた。
「どうした?この前よりずいぶんおとなしくなったじゃないか?」
ヤムチャはそう言うと17号にかかと落しを見舞った。
ドカッ!
17号も地上へ落下した。

地上で態勢を整える17号と18号。
「くそ〜っ、あいつなかなか体力が減らないよ」18号は言った。
「あのパワーとスピードはヤバイ。下手するとやられるかも」17号は焦りの表情であった。
「そろそろおしまいにするか。いくぞっ!操気弾・壱式!」
上空でヤムチャは操気弾の構えをとった。

その時であった。ヤムチャはすごいスピードでこちらに向かってくる者を見つけた。
「なんだ?あれは?」
ヤムチャがそうつぶやくと同時にその者は到着した。

セルであった。

900 :プーアルの中身 :03/03/09 11:59 ID:TStqFaOk 
第二十七話「セルの渇き(2)」
セルはヤムチャの手前で停止した。
「誰だお前は?」ヤムチャは聞いた。
セルはニヤリといちべつすると地上へと降りていった。

17号と18号の前に立ちはだかるセル。
「ぶああ・・・兄弟よ」セルは言った。
「なに?このキモいお化けは?」18号は言った。
「知らねぇよ。それに兄弟って何だよ!?」17号は言った。
「お前たちは幸せものだ。これからこの俺に吸収されるのだからな」
セルはそう言うと尻尾の先を広げ、17号の頭上にもっていった。
「なにすんだっ!」17号は後ろに飛びず去った。

その時であった。

「17号、18号逃げろっ!そいつはやばいっ!!」
突然大男が叫んだ。
何が何だかわからない2人。
「ちっ。余計なことを言いやがって」セルは大男を見やった。
「お前は何者だ?俺の遺伝子にお前の情報はない」
「・・・俺は人造人間16号。お前の方こそ何者だ」
「俺か?フフフ。名前だけ教えてやる。セルだ」
「・・・セル・・・」
「俺の邪魔をする奴は消えろ」
セルはそう言うと気円斬の構えをとった。気を集中し、
「気円斬!」
セルは16号に気円斬を放った。



901 :プーアルの中身 :03/03/09 12:00 ID:TStqFaOk 
第二十八話「セルの渇き(3)」
セルの放った気円斬が16号に向かって飛んでいった。
しかし、その途中で上空から気円斬を地面に叩きつけ、破壊したものがいた。

ヤムチャの操気弾だった!

弐式の操気弾はひとつになり気円斬を壊したのだった。
「ぶああ・・・ヤムチャの奴めぇ。俺の細胞に入っていないヘタレの分際でよくも・・・」セルはつぶやいた。
「プーアルに手を出す奴はこの俺が許さないぜ!」地上に降り立ったヤムチャは言った。
16号はプーアルを手放した。
「ヤムチャ様〜っ」プーアルは泣きながらヤムチャに飛びついた。
「この町の人々を吸収した化け物はお前だなっ!」ヤムチャは勢い込んで聞いた。
「ああ」セルは答えた。
「それでもって俺たちも吸収するってか!」17号は怒りをあらわにして言った。
「誰が化け物に吸収されるかっていうんだよ!」18号も同調して言った。
「お前たちを吸収したら、俺は究極の強さを持つ存在となるのだ。うれしくないのか?」
「なわけねぇだろう!!」17号はセルに飛びかかった。
ドカッ!
セルは17号の腹に蹴りを入れて返り討ちにした。
態勢を立て直す17号。
「そいつと張り合ってはいけない!お前たちにかなう相手ではない!」
16号は17号と18号に叫んだ。
「ちっ。久々に口を利いたと思ったら・・・俺をなめるなっ!」17号は怒りをあらわにして言った。
セルは心でつぶやいた。
(ぶああ・・・早くしなければピッコロが来てしまう。このモヒカン男の実力も未知数だ。ここはやはり・・・)。
そうするとセルは超スピードで空に上がった。そして、

「太陽拳っ!」
セルは太陽拳を放った。

9 :プーアルの中身 :03/03/10 22:15 ID:Z+x0C92q
第二十九話「セルの潤い(1)」
セルの放った太陽拳が皆の視覚を一時的に奪った。
「なんで奴がこの技を!?」驚くヤムチャ。

皆の視覚が元に戻った頃には、セルは尻尾の針を広げ17号の上半身をまるごと飲み込んでいた。
「うーっ、うーっ!」もがく17号。
「しまったっ!」
16号はそう叫ぶと、セルめがけて目からレーザービームを発射した。
バリバリッ!
なんとセルは自身の周りに結界を張っていたのだ。
しかし、結界にはヒビがはいっていた。
「ぬおおっ!俺の結界にヒビがっ!・・・相当の腕前のようだな。待ってろ。今相手してやる」
セルはそう言うと17号を飲み込んだ。
すると、すさまじい爆風とともにセルの周りに煙がたちこめた。

「待たせたな」
煙がなくなると、先程より一回り大きくなったセルが仁王立ちしていた。
顔立ちも多少人間に近くなっていた。
「な、なんて気だ・・・」ヤムチャは呆然とした。
「くっ!これほどとは・・・」16号も絶句した。
「な、なによ?あたしのスカウター、自分より上の強さの奴は測定できないんだよ・・・」
18号は不安げにつぶやいた。
「・・・おまえは俺がセルを食い止めている間に逃げろ。・・・18号、俺はおまえたちと少しの間
だけだったが一緒に過ごせて楽しかった。おまえたちは人体をベースに作られているから
人間と変わらない。無から作られた全身機械の俺にはそれが羨ましかった。
・・・ヤムチャ、18号を頼んだ」

そう言うと16号はセルに向かって突進していった。



10 :プーアルの中身 :03/03/10 22:16 ID:Z+x0C92q
第三十話「セルの潤い(2)」
セルと16号が組み手を取った。すごいパワーとパワーのぶつかり合い。
2人の周りには凄まじい気と突風が吹き荒れていた。
「やはりやるな。惚れ惚れするパワーだ。殺してしまうには惜しい」
セルはそう言うと、巴投げで16号を投げた。
「これでもくらえっ!」
セルはエネルギー波を放った。
16号は態勢を立て直し、間一髪エネルギー波をかわした。
ドーーーーーンッ!!!!
セルのエネルギー波は町を直撃した。町は跡形もなく消しとんだ。

そのとき、ピッコロが到達した。
「遅かったかっ!」
「フフフ。どうだピッコロ。さっきの俺とは格段に違うぞ。相手してみるか?」
「ほざけっ!!」
ピッコロは上空から連続魔光砲を放った。おびただしい数の魔光砲がセルを直撃した。
「はぁはぁ・・・・・なっ!」
ピッコロは驚愕した。

セルは全くの無傷であった。

「何だその技は?俺のツボを刺激する技か?」
セルはそう言うと、すごいスピードでピッコロの前に立ちはだかった。



11 :プーアルの中身 :03/03/10 22:17 ID:Z+x0C92q
第三十一話「セルの潤い(3)」
「よし、今度は俺がツボを刺激してやろう」
セルはそう言うと、ピッコロの腹にパンチを見舞った。
ドカッ!
「ぐあああ!」腹をおさえうめくピッコロ。
「なに?もう一発欲しいって?」
セルは今度はピッコロの顔面をパンチした。
バキッ!
ピッコロは地上に落下した。

「大丈夫か?ピッコロ!」ヤムチャはピッコロにかけ寄って言った。
「くっ!なんて強さだ・・・」ピッコロはつぶやいた。
「ここはいったん退くか?18号まで吸収されたらヤバイぞ」
「ヤムチャはそうしてくれ。俺はセルを食い止める」

そのとき、16号と18号がかけ寄ってきた。
「あんた誰だい?」18号が聞いた。
「俺の名はピッコロだ」
「・・・おまえ、相当な達人だな。一緒にセルを倒そう。2人がかりなら何とか・・・」
16号が話しているとセルが上空から下りてきた。

「おそろいで墓場の立地の相談か?フフフ。まぁ、よい。とっとと18号を渡せ」
セルは18号に近づいて行った。

43 :プーアルの中身 :03/03/11 20:09 ID:G8A7UKZ8
第三十二話「ベジータ見参!」
「はぁっ!!」
18号に近づくセルにエネルギー波を放った16号。
ぎゅおーーーーーんっ!
16号の放ったエネルギー波が激しいうねりを上げた。
しかし、セルに外傷はない。

「ちょっとだけ痛かったぞ」セルはそう言うと両手に気を集中した。
「18号以外は消えてもらうぞ」
セルがエネルギー波を放とうとした瞬間、ピッコロの前に何者かが立ちはだかった。

悟飯と、何とベジータであった!

「なにっ!」
驚く一同。
「悟飯!なぜいきなり目の前にっ!・・・・・それにベジータまで!」ピッコロは叫んだ。
「カカロットがナメック星の帰りに立ち寄ったヤードラット星で覚えたらしい瞬間移動を、
密かにこいつに伝授していたらしい。・・・それにしてもカカロットの奴、無様な死に方しやがって!!」
ベジータは何ともいえない表情をして言った。
「さっきヤムチャさんの気を察知したから行こうと思ったら、ベジータさんがうちに来たんです」
悟飯は説明した。
「さぁ、俺はカカロットと勝負できなくてイライラしてるんだ!人造人間だろうがなんだろうが
ぶっ殺してやる!!」
ベジータは気を開放した。



44 :プーアルの中身 :03/03/11 20:10 ID:G8A7UKZ8
第三十三話「誤解」
気をどんどんあげていくベジータ。大地や空気が震えるほどのすさまじさであった。
「驚け悟飯、ピッコロ!俺はついに超サイヤ人になったぞ!どうだこの気、フリーザを超えたぞ!!」
ベジータは勢い込んで言った。
「なんてすごい気だ!これなら勝てるぞ!」ヤムチャは嬉々とした表情で言った。
「・・・・・ちがう。ベジータさんの気、確かにすごいけど・・・あの時(フリーザ戦)ボクが遠目から見たとき、
お父さんの体は黄金に輝いていた・・・」
悟飯は半ば残念そうに、半ば気遣うようにベジータに言った。
「じゃあ、オレの闘気みたいなもんだな!」ヤムチャは興奮気味に言った。
「おまえは死んでしまっていたから誤解するのも無理はなかろう。それに、あれ(フリーザ戦)以来
孫は戦闘をしていない。むろん超サイヤ人の姿なぞ誰にも見せずに逝ったわけだが」
ピッコロも同じようにベジータを慰めた。
「ちくしょう、俺は一生カカロットより下なのか・・・超エリートの俺が・・・・・」
ベジータはぶつぶつとつぶやいた。

すると

「お前がベジータか。フフフ。兄弟よ、その驚くほどのパワー、俺がいただいてやろう」
セルはそう言うと尻尾の針をベジータに刺そうとした。
ベジータは素早くセルの尻尾をつかむと、上空へ投げ飛ばした。
「俺はこんな茶番をしに地球に戻ったわけじゃないっ!」
そう言うと、ベジータはエネルギー波を放った。



45 :プーアルの中身 :03/03/11 20:11 ID:G8A7UKZ8
第三十四話「ベジータの自信」
グシャッ!
ベジータのエネルギー波はセルの左腕を消し飛ばした。
「ぐああっ!」
間一髪、空中で態勢を立て直していたセルは左腕を失っただけであった。
そして、空中で失った左腕を生やした。
「かわすとはやるじゃないか。それに、再生能力まで持っているとは・・・少しは楽しめそうだな」
ベジータは不敵に笑った。

セルはまたもや焦った。
(な、なんてことだ。この俺が押されるとは!このままでは18号を吸収して完全体になる前に
やられてしまう。太陽拳を・・・ダメだ。ピッコロの奴がいる。同じ手を2度はくわんだろう)
セルは心でそうつぶやきながら頭をフル回転させて戦略を練った。

―セルが躊躇しているとき―

「おい、ヤムチャ。あの化け物が人造人間か?」ベジータはセルを指して聞いた。
「いや、あいつはセルといってドクター・ゲロが作り出した生物だ」
ピッコロが代わりに答えた。
「人造人間はここにいる2人だ」ヤムチャは16号と18号を指して言った。
「それに、奴はなんでおまえたちや人造人間を狙ってるんだ?」
「セルはもうすでに吸収された17号と、この18号を吸収することで完全体となるらしい」
ピッコロは苦々しい表情で答えた。
「フフフ。そういうことか」ベジータは何かを思いついたのか、ニヤリと笑った。
「おい!セルとかいうの!ここにいる18号とやらは貴様にくれてやる!
その代わり、完全体となったらこの俺様と勝負しろっ!」
ベジータはそう叫ぶと、
「どのみち、こいつらもおまえらにとっては敵なんだろ?だったら好都合だ」
16号と18号を一瞥するとベジータはヤムチャたちに言った。

66 :プーアルの中身 :03/03/12 19:46 ID:NDzfmF45
第三十五話「それぞれの思い」
「いけないっ!セルを甘く見るなっ!」16号は声を張り上げていった。
「それに、根は悪いやつらじゃないんだ・・・」ヤムチャはかばうように言った。
「フン。相変わらず女に甘いやつだ。そんなら、あとでDBで生き返らせればいいだろう」
「そ、それが・・・さっき使ってしまったんだな、これが・・・・・・・」
「なんだと!」
ベジータは少し呆れた表情をして怒鳴った。
「だったら諦めるんだな」ベジータは突き放すようにして言った。
「待ってください」
そのとき、悟飯は話に割って入った。
「DBだったらすぐ復活すると思います。1ヶ月前にボク、神様に呼ばれたんです。
そのとき、神様が『私には寿命が近づいている。後任はデンデという龍族の少年を指名したい。
すまんが孫の息子よ、ナメック星へ行って連れてきてくれないか』って」
「なるほど。DBは術士が変われば性能も変わるし使った後でもすぐ復活する・・・」
ピッコロがそうつぶやくと、
「じゃあ、この町の人たちも生き返らせられるっ!」
ヤムチャとプーアルは喜びながら言った。
「じゃあ決まりだな」ベジータは意見をまとめるようにして言った。

「ちょっと待ってよ!勝手に決めないでよ!」18号は大慌てで叫んだ。
「・・・ベジータとかいうヤツに逆らっても無駄だろう。それにおまえと17号が持っている石の玉には
不思議なチカラがあるらしい。そのうちの2つはセルに飲み込まれた。セルを倒せるのはヤツだけ」
16号は力なく言った。
「そ、そんな・・・」18号は絶句した。

その時であった。




67 :プーアルの中身 :03/03/12 19:46 ID:NDzfmF45
第三十六話「多芸多才」
「四身の拳っ!!」
セルは天津飯の四身の拳を繰り出すとさらに、
「万国吃驚掌!!」
亀仙人の必殺技まで繰り出した。
「なっ!武天老師様の技までっ!?奴は一体どうなっているんだ?」
ヤムチャは目の玉が飛び出そうなほど驚いた。
「奴は俺をはじめ、ありとあらゆる戦士のDNAを持つのさ。ベジータ、おまえのもな」
ピッコロは平然として言った。
「・・・」ベジータは無表情であった。

セルの四身の拳・万国吃驚掌はベジータ、ピッコロ、16号を捉えた。
「ははは。18号を渡すと言っておきながら不意打ちでもされたらかなわんからな」
「か、体がしびれて思うように動かんっ!」
なんとか体を動かそうと必死にもがくピッコロ。
「・・・モーターの回転速度が落ちている・・・」
16号も同様な症状をきたしていた。
「フフフ」
ベジータは不敵な笑みを浮かべていた。むしろ、自ら技をくらっているようだった。

(確かに四身の拳は気が分散するハイリスクな技。しかし、万国吃驚掌なら気が分散しても
数秒ならお前たちを食い止められる)
セルはそう心でつぶやきながら、万国吃驚掌を出していない残り1人で、猛スピードで
ヤムチャと悟飯をキックで吹き飛ばした。
(スピードがあまり落ちないっていうのがうれしいぜ)
セルは心でほくそ笑んだ。




68 :プーアルの中身 :03/03/12 19:47 ID:NDzfmF45
第三十七話「完全体・セル」
「ぐあっ!」
すごい勢いで吹き飛ばされたヤムチャと悟飯。
「4分の1であのパワーだなんて・・・」悟飯は格の違いに驚愕した。
「恐ろしい化け物だぜっ!」ヤムチャも同意した。
そんなことにお構いなく、セルは尻尾の先の針を広げ18号を丸呑みし始めていた。
「うわーっ!はなせっ!この化け物っ!!」
抜け出そうと足をジタバタさせ、必死にもがく18号。
「やはりあいつを進化させてはならんっ!」
万国吃驚掌を消し飛ばした16号は、再び目からレーザービームをセルに向かって放った。
バシッ!
素早くひとつに戻って張ったセルの結界は強力で、今度は力なく跳ね返された。
「・・・もう駄目か・・・」諦めるようにして16号はつぶやいた。
「悪夢の始まりか。ベジータ、責任はとってもらうぞ」ピッコロはベジータを睨み付けて言った。
「フン。あんな野郎は俺1人で充分だ。どれだけパワーアップするか見てやるぜ」
ベジータは余裕しゃくしゃくで言い放った。

18号を飲み込んだセルの周りには、17号を吸収したときと同じように
すさまじい爆風と煙がたちこめた。

煙がなくなる前から、一同はセルの、その驚異的な気の大きさに言葉を失っていた。
煙がなくなるとセルの姿が見えた。
外見は先程より少し痩せてバランスのとれた体型になっていた。
顔はより人間に近くなっていて、むしろ美形ですらあった。

71 :プーアルの中身 :03/03/12 20:52 ID:yNWxV4lY
第三十八話「セルゲーム」
「お初にお目にかかる。私がセルだ」
セルは一同を見やりながら言った。
言葉が出ないヤムチャたち。
「くっ・・・・・うおおおおおっっ!!」
ベジータは雄たけびをあげると、気を全力に開放してセルに飛びかかった。
コン。
セルの顔面を捉えたベジータのパンチが空しく響いた。
「お前は私の恩人だ。殺しはせん。が、私に触れる者はこうだ」
セルはベジータの腕を掴むと、上空へ放り投げた。
「手加減はしてやる。瀕死の状態から復活するサイヤ人は厄介だからな」
セルはニヤリと笑うと、ベジータにエネルギー弾を放った。
ドカンッ!
エネルギー弾を食らったベジータはフラフラと地上へ落下した。
「ベジータッ!」ヤムチャたちは叫んだ。
「貴様らをすぐに殺したりはせん。しばらく楽しみたいからな、フフフ。そうだな・・・
そうだ、この私が主催する天下一武道会というのはどうだ?名づけてセルゲーム。
この私に勝つことが出来たら地球の支配者はその者だ。私が勝ったら地球は消し飛ばす
こととする。名案だな。・・・半月後に南の大陸の荒野で開催する。せいぜい腕をあげておくんだな。
ハハハハハッ!」
セルは一方的にしゃべりたくると一目散に去っていった。
「ちっ!ざけたことをぬかしやがる!」
ピッコロは悔しさ一杯にそう言い放った。



72 :プーアルの中身 :03/03/12 20:53 ID:yNWxV4lY
第三十九話「余波」
セルが去って数分が経過していた。
ヤムチャたちはセルの恐ろしいほど巨大な気を目の当たりにして呆然と立ちすくんでいた。
「このオレとしたことが、まだ足が震えてやがる・・・」
ヤムチャは青い顔をして力なくつぶやいた。
「それより、ベジータを助けなければ」
ピッコロはそう言うと、倒れているベジータの元へとかけ寄った。
追随するヤムチャ(&プーアル)、悟飯、16号。
「しっかりしろ、ベジータ」ピッコロはベジータを介抱した。
「う・・・ちくしょう、なんでこう次から次とこの俺様を超える奴が現われやがる・・・」
ベジータは悔しさをこらえきれずに愚痴った。
「・・・ともかく、一旦神の宮殿へ行こう。デンデが治療してくれる」
「なら、ボクの瞬間移動で行きましょう」
悟飯は多少元気を取り繕って言った。
「おまえも行くか?」
ピッコロは16号に聞いた。
「・・・いや、俺は一旦ゲロの研究室に戻る。ゲロの資料にセルを殺す方法があるかもしれない
・・・セルゲームには必ずかけ付ける・・・その時また会おう!」
16号は笑顔でそう言うと、飛び立っていった。

「じゃあ、行きますよ!」
悟飯の瞬間移動で一行は神の宮殿へ行った。




73 :プーアルの中身 :03/03/12 20:54 ID:yNWxV4lY
第四十話「ナメック星人の誇り」
神の宮殿に到着したヤムチャたち。そこには、神様、デンデ、ミスター・ポポが待ち構えていた。
「おぬしたちの様子はここから見ていた・・・どうやらとんでもない怪物が誕生してしまったようだな」
神様は一行に苦渋に満ちた表情で言うと、
「デンデ、ベジータを治してあげなさい」
神様はデンデに命令した。
「はいっ!」
デンデは横になっているベジータの前に立膝をついて座ると、両手をベジータの体に当て、
治療し始めた。

その間にピッコロと神がナメック語で会話を始めた。
「ピッコロよ。孫の息子から話は聞いていると思うが・・・」
「フン。寿命がきたというのだろう。せめて半月だけでも何とかならんか?」
「それは無理だ。もってあと7日。もう、神の職務の引継ぎは済ませてある。
デンデは龍族の優秀な子だ。心配は何も無い。そこでだ・・・・・・・・・・・・
そろそろ私とおぬしはひとつに戻るべきときなのではないか?」
「なんだとっっ!!」
「驚かなくてもよい。孫や孫の息子のおかげでおぬしの邪心は凄く弱くなった。
私は同化されることに抵抗は無い。神としてやってきたことに悔いも無い。
ピッコロよ、必ずセルを倒してこの星を守ってくれ!」
「・・・・・わかった。・・・デンデ、そういうことだからこいつらの相手を少ししといてくれ」
ピッコロはそう言うと、神とともに神殿の中へ入っていった。
「はい!ネイルさ・・・じゃなかった、ピッコロさん!」
デンデは照れながら言った。

154 :プーアルの中身 :03/03/14 12:28 ID:oy1qEBkk
第四十一話「精神と時の部屋」
傷が完治したベジータ。
「大丈夫か?ベジータ」
ヤムチャはいくぶん安堵の表情を浮かべて言った。
「フン。俺のことより自分の心配でもしたらどうだ?」
ベジータは八つ当たり気味に言った。
「ああ、それはもちろんそうだが・・・」
ヤムチャはムスッとした表情で言った。
「これからどうしましょう?」
悟飯はそんな2人の空気を和ませるように優しい口調で聞いた。
「・・・そのことなのですが・・・」
デンデは控えめな口調で小さく言った。
「ん?なんだい?」
ヤムチャは笑みをたたえて話の先を促した。
「この宮殿に『精神と時の部屋』というのがあります。その部屋の中で1年過ごしても、外の世界では
1日しか経たないのです。しかし、人が一生のうちに入れる時間は、外の世界の1日の長さだけ
です。それ以上入ると、出入り口が閉ざされ、部屋の中に閉じ込められてしまいます・・・・・。
そこで修行をしたらいいのでは?というのが神様のご意見です」
デンデはひとしきり説明した。

その時であった。



155 :プーアルの中身 :03/03/14 12:28 ID:oy1qEBkk
第四十二話「真・ピッコロ登場!」
「神は今日からおまえだ、デンデ」
神殿から出てきたピッコロは微笑んでそう言うと、デンデの頭をなでた。
「ピッコロさん・・・はい!今日から頑張ります!」
デンデは尊敬を込めたまなざしでピッコロを見つめ、そう決意した。
「ピッコロさん・・・す、すごい!すごい気だ!あのセルとひけをとってない!!!!」
悟飯も尊敬のまなざしを込めてピッコロを見つめ、叫んだ。
「俺は神と融合して元のひとりに戻った。おかげで素晴らしいほどの強さを得ることができた。
しかし、だ。セルの奴はまだ底を見せてはいない。油断はできない。
悟飯!俺と一緒に精神と時の部屋で修行だ。時間はない。いくぞっ!」
ピッコロは気合を入れてそう言うと、悟飯の腕をとった。
「はいっ!頑張ります!!」
悟飯は満面の笑みをたたえて答えた。
「ベジータ、ヤムチャ、すまない。精神と時の部屋は一度に2人までしか入れないんだ。
悪いが先に行かせてもらうぞ」
ピッコロは2人に言った。
「オ、オレは後でかまわんさっ!悟飯、ピッコロにうんと鍛えてもらうんだぞ!」とヤムチャ。
「はいっ!」すでに気合充分の悟飯。
「・・・どいつもこいつもなめやがって!またこの俺様を超えるヤツが現われるとはっ!
・・・フン。ヤムチャごときと一緒に修行したって強くなんかなるかっ!」
ベジータはそう吐き捨てると一目散に宮殿を去った。




156 :プーアルの中身 :03/03/14 12:29 ID:oy1qEBkk
第四十三話「ベジータの苦悩(前編)」
「あ〜あ、ベジータのヤツどっか行っちゃったよ」
ヤムチャは厄介な修行相手がいなくなったことにホッした様子であった。
「あの人、気難しいところがあるから・・・」
プーアルもヤムチャと同じ気持ちであったようだ。
「では、俺たちは精神と時の部屋へ入るからな。明日また会おう!」
ピッコロはそう言って、悟飯とともに神殿の中へ入っていった。

「さて、オレたちもいったん西の都に帰るか!」とヤムチャ。
「はいっ!」プーアルはやっと休息できる、という表情であった。
「デンデ・・・神様といった方がいいのかな?オレは一度西の都に戻る。また明日来るけどさ。
もうプーアルを危険に巻き込みたくないからブルマに預かってもらうことにするよ・・・・・
ミスター・ポポ、新米神様を頼んだぞ!」
「わかったヤムチャ。また明日!」そう言って手を振るミスター・ポポ。
「その間にシェンロンに術をかけておきますね」
デンデはそう言うと、ミスター・ポポを連れて神殿の中へ入っていった。
「じゃあ行くか、プーアル」
こうしてヤムチャとプーアルは神の宮殿を後にした。

―その頃ベジータは―

西の都のカプセルコーポレーションに着いたベジータ。一目散にブルマの部屋へ向かった。
ブルマの部屋にノックもせずに入るベジータ。
ブルマは機械の修理をしているところだった。
人がいきなり部屋に入ってきたことに、これ以上ない驚きの表情を見せて、
「わっ!!ビックリした。おどかさないでよ!」
ブルマは大声を張り上げた。



157 :プーアルの中身 :03/03/14 12:29 ID:oy1qEBkk
第四十四話「ベジータの苦悩(後編)」
「なんなのよ、ベジータ。いきなりここに戻ってきたと思ったら、すぐどっかに行って、そんでまた
いきなり私の部屋に入ってくるんだもん」
ブルマは呆れた表情を見せて言った。
「俺様のことをいちいち詮索するな!地球の女!そんなことより俺が地球を発つ前に頼んでおいた
1,000倍重力装置の付いたトレーニング室は完成したのか?」
「300倍までしかできなかったわ」
「なんだとっ!!」
「今の地球の技術じゃこれが限界よ」
「そんなバカな!!・・・・・あと半月しかないっていうのに・・・・・」
ベジータは愕然として椅子に座り込んだ。
そんなベジータの様子を見てブルマは、
「ねぇ、なにがあったのか知らないけど・・・ベジータ、あんた自分を追い詰め過ぎてんじゃない?」
ブルマは優しさを込めて言った。
「フン。おまえみたいなヤツにまで同情されるようになるとはなっ!俺も堕ちたぜ!」
ベジータが怒りを抑えきれずにブルマに八つ当たりすると、突然、ブルマは席を立ち、
椅子に座っているベジータの背後に回り、腕を回してベジータを軽く抱きしめた。
「おい!なにをするっ!!」
「人間、ときには休息も必要よ。そうすれば新しい発見があるかもしれない・・・・・」
「・・・・・くっ!俺はただカカロットを超えたかっただけなのに・・・超エリートでありつづけたいだけ
なのに・・・なんでこう思うようにいかない!教えてくれ!ブルマ!」
沈痛の面持ちでそう叫ぶと、ベジータは立ち上がり、ブルマを抱きしめた。
「はじめて名前で呼んでくれたわね」
ブルマは嬉しそうな顔をしてそう言うと、ベジータと激しいキスを始めた。

184 :プーアルの中身 :03/03/15 11:12 ID:jnnXyyol
第四十五話「ヤムチャを憐れむ歌」
ベジータに遅れてカプセルコーポレーションに着いたヤムチャとプーアル。
「プーアル、おまえはウーロンのところに行ってこい。ブルマにはオレが説明するから」
「はいっ!」
プーアルは元気よく返事すると、ウーロンのいる部屋へと向かった。
「さてと」
そうつぶやくと、ヤムチャはブルマの部屋へと向かった。
部屋に近づいたとき、部屋の扉が開いていることにヤムチャは気付いた。
(客でも来てるのかな?)
ヤムチャはそう思いながら部屋に入ろうとした。
その手前で、ヤムチャは聞き覚えのある声を耳にした。

(???ベジータ?)

ヤムチャは立ち止まり、壁にそって聞き耳を立てた。
どうやら言い争いをしているらしい。
(???静かになったぞ?)
不審に思い、気付かれないようにそ〜っと中を覗きこむと、
(あああっっっ!!!!!)
ヤムチャは心で絶叫した。なんと、ブルマとベジータがディープキスをしているではないか!
(無理やりか?無理やりなのかっっ!?)
そう直感すると、ヤムチャは部屋に飛びこむ決意をした。
しかし、よく見るとふたりとも腕をお互いの体に巻きつけている。
(ああ・・・諦めるしかないか。相手はベジータだし。もっとブルマを大事にしてやればよかったよ)
心でそうつぶやくと、無気力な表情で引き返した。




185 :プーアルの中身 :03/03/15 11:13 ID:jnnXyyol
第四十六話「孤狼の挽歌」
ブルマの部屋から引き返す途中で、ヤムチャはブリーフ博士と夫人に出会った。
「おう、ヤムチャ君。来てたのかね」と博士。
「さっきベジータさんも来たのよ。お会いになって?」と夫人。
「・・・ええ。娘さんにもようやく春がきましたね」
ヤムチャはボソボソとつぶやくと、フラフラと表へ出ていった。
「???」キョトンとした表情でヤムチャを見送る博士と夫人であった。

外に出ると、プーアルとウーロンが遊んでいた。
「ヤムチャ様!」ヤムチャにかけ寄るプーアルとウーロン。
「久しぶりの再会、どうでした?」ニヤニヤした表情でヤムチャの顔を覗きこむ2匹。
「・・・・・・・」
「ヤムチャ、なんとか言えよっ!」肘でヤムチャの腕をつつくウーロン。
すると、ヤムチャはガバッ!とウーロンの胸倉を掴むと往復ビンタを見舞った。
「なにすんだよぅ!!」
涙をこらえて半べそ状態のウーロンは、頬をさすりながらヤムチャに抗議した。
「おい!てめえら!このオレさまは砂漠の孤狼・ヤムチャ様だぞ?そんな浮ついたことをしている
暇があったら牙を研ぐ!それが狼の証明!セルゲームに参加しねぇチキンどもは
都会で遊んでろ、ってことだ!!」
ヤムチャは2匹に痰かを切って飛び立っていった。
「ヤムチャ様〜っ!」寂しそうな表情をしているプーアル。
「なんなんだよ、あいつはよぅ」ウーロンは恨めしげに空を仰いだ。

201 :プーアルの中身 :03/03/15 17:45 ID:CiZw0jo6
第四十七話「笑う者、ふさぐ者」
ヤムチャが精神と時の部屋で修行しているころ、セルはキングキャッスルのテレビ局を使って
大演説を吹いていた。
「人類諸君!この数ヶ月の間、世界各地の大小の町で住人が跡形もなく消え去る事件が起きて
いたが、犯人はこの私、セルだ!全員この私が吸収してやったぞ。悔しいか?んん?
でも、感謝しろ!私が完全体となるのに一役買ったのだからな。
そこで、だ。来週、南の大陸の荒野で完全体となった私の強さを披露する武道会を開催する。
少しでも腕に覚えのある人間は参加するがいい。私の素晴らしさを直に見られるチャンスだ。
ハハハハハッ!!」
セルはそうしゃべりまくると、スタジオ内のカメラを全て破壊した。
「ひゃああ!やっぱりあいつ、ばっ、化け物だっ!!」
テレビ局のスタッフたちはセルの異様な出で立ちと行動に恐怖していた。
「お前たちもかけ付けるのだぞ。私の勇姿を撮りにな」
セルはそう吐き捨てると去っていった。

その衛星中継を見ていたブルマとベジータ。
「なによあの化け物!地球にはベジータはじめ強者が沢山いるんだからっ!」
ブルマは憎憎しい顔を造って画面上のセルに言い放った。
「・・・・・奴に勝てる者などこの宇宙上にはいない!」
ベジータは不機嫌そうに怒鳴ると部屋を出ていった。
「なに急に怒りだしてんのよ?変なヤツ・・・」
ベジータの後姿を見つめながらつぶやくブルマであった。

ベジータは廊下に立ち止まると、突然、壁を叩いて座り込んだ。
(俺は、俺はこのままでいいのか?くそったれ!)
葛藤するベジータの姿がそこにはあった。

それぞれ思いを秘めながら、セルゲームは開催されるのであった。



202 :プーアルの中身 :03/03/15 17:45 ID:CiZw0jo6
第四十八話「セルゲーム始まる」
セルゲーム当日。
神の宮殿を後にしたヤムチャ、ピッコロ、悟飯の3人は途中で16号と合流した。
「何か発見はあったか?」ピッコロは16号に聞いた。
「・・・ゲロの研究室は破壊されていた。セルの仕業だろう。しかし、19号の残骸から、
19号の頭脳ともいうべきマイクロチップを見つけることができた。詳しくは後で話す」
「ああ、頼んだぞ」

4人はしばらく飛ぶと、セルゲームの会場に着いた。
地上に降り立つと、セルが武舞台の上で待ち構えていた。
「ようこそおそろいで」
4人を等分に見やると、不敵な笑みを浮かべて言った。
武舞台は正方形で、四隅にはてっぺんが尖った柱が立っていた。

会場にはテレビ局の取材クルー以外に、すでに3人の参加者が来ていた。
その中の1人がヤムチャに近寄ってきた。
「よう、ヤムチャ。久しぶりだな」
話しかけてきたのはチャパ王だった。
「チャパ王!元気だったか?」
「ああ、俺は元気でやっている。ところで、孫悟空は?」
「残念なことだが、あいつはこの前死んだよ」
「なっ!どうして!?」
「病気だ。さすがの悟空も病魔には勝てなかったよ。しかし、安心しろチャパ王。今日は悟空の息子、
孫悟飯が参加するからさっ!」
ヤムチャはチャパ王に悟飯を紹介した。



203 :プーアルの中身 :03/03/15 17:46 ID:CiZw0jo6
第四十九話「現在・過去・未来」
「こ、こんにちは」緊張気味にチャパ王に挨拶する悟飯。
「君が悟飯君か。少年時代の君のお父さんは凄く強かったんだぞ」
「はあ・・・」
「悟飯、この人は悟空と数多の名勝負を繰り広げたんだぞ!」説明するヤムチャ。
「すごいですね!」
「まぁな。ハッハッハッ!」

そんな和やかなムードをぶち壊すかのように、ひとりの男がヤムチャたちの会話に入ってきた。
「誰かと思えば、亀仙人の弟子じゃねぇか」
「お、お前は桃白白!!」ヤムチャは驚きの声を上げた。
「久しぶりだなぁ、ああ?・・・ちょっと貴様たちの会話が耳に入ったもんでな。
そうか、孫悟空の奴は死んだか。こりゃぁ傑作だな、ハッハッハッ!
このゲームに勝って最強を証明するのはこの俺様だということを忘れるなよ、ヘタレ!」
桃白白はそう吐き捨てると、ヤムチャたちの前から去っていった。
「???何者だあいつは?」
ピッコロはいぶかしげな表情でヤムチャに聞いた。
「おまえ、会ったことなかったっけ?・・・まぁ、どうってことはない奴だよ」
「そうか・・・ところで、ベジータのヤツを見かけんが・・・」
「ああ、そういわれてみれば・・・ベジータは幸せをつかんじまったからな・・・・・」
「???」
不得要領な表情を浮かべるピッコロであった。
「あそこでカメラに囲まれている人がいますが、誰なんでしょう?」
突然、悟飯が自分たちと武舞台を挟んで反対側にいる人だかりを指して言った。
「ああ、あの人はね、ミスター・サタンという格闘技の世界チャンピオンだよ」
とチャパ王が説明すると、
「いろんなヤツが来たなぁ」
ヤムチャはひとしきり感心して言った。

231 :プーアルの中身 :03/03/16 13:02 ID:cnx1nyLI
第五十話「トーナメント」
「おい!取材クルー!主催はこの私であることを忘れるなっ!」
サタンに群がるクルーに向かってセルは怒鳴った。
「・・・・・」
クルーの面々は恐怖と憎しみの混ざった目をセルにむけた。
すると、
「主催はこの私だと?思いあがるのもいいかげんにしろっ!地球を恐怖に陥れるヤツは
このミスター・サタンが許さん!!!!」
サタンはセルに対してそう叫ぶと、カメラに向かってガッツポーズを取った。
「サーターン!サーターン!」
クルーから拍手喝さいが湧き上がった。
「ミスター・サタンがいればこの星は万全ですっ!!」
ナレーターは大仰にそう言い放った。

(・・・まぁ、いいだろう。参加者は私を含めて8人か・・・よし。)
セルは心でそうつぶやくと、
「これからセルゲームを開始する!ちょうど8人いるから勝ち上がり式のトーナメントで
試合を進める。ルールは素手、凶器何でもありだ。相手を殺すまで戦え!」
「話がわかるじゃねぇか」桃白白はほくそ笑んだ。
「しかし、だ。相手が棄権・降参した場合は殺してはならん。何故かって?そんなヘタレには
この私の恐ろしさを目に焼き付けてから地獄へ逝ってもらいたいからだ」
セルは参加者たちに向かってそう言うと、進化したのか、縮んでなくなった尻尾の、残された
先端の針からセルにうりふたつの小さな生物を生み出した。
「こいつはセルゲームの進行役、セルジュニアだ」




232 :プーアルの中身 :03/03/16 13:02 ID:cnx1nyLI
第五十一話「決定」
「ぐへへへへ・・・」
奇声を上げるセルジュニア。
「おまえも参加したいのか?まぁ、今は我慢しろ」
セルはセルジュニアにそう言うと、指先からホワイトボードと番号の記入してあるボール、
くじ引き用の箱を出した。箱にボールを入れて振ると、
「さぁ、ひとりずつくじを引け!」と言った。

セルに促されてくじを引く面々。
引かれた番号を、指先から発する超能力らしきものでボードに記入していくセルジュニア。

こうして、組み合わせは決定した。

第一試合 孫悟飯 VS ミスター・サタン

第二試合 ヤムチャ VS 桃白白

第三試合 セル VS 人造人間16号
 
第四試合 マジュニア(ピッコロ) VS チャパ王 

「ほぅ。俺の相手は子供か・・・しょうがないなぁ!!」
内心嬉しそうなサタン。
「いいか悟飯、絶対勝てよ。恐らくその次はヤムチャとだろう。ヤツには俺が説得して
おまえを決勝にいかせるようにする。セルを倒すにはおまえの力が絶対必要だ、いいな!」
ピッコロは悟飯にそう耳打ちした。
「はい!」
悟飯は気合を入れて返事した。



233 :プーアルの中身 :03/03/16 13:03 ID:cnx1nyLI
第五十二話「サタンのピンチ」
武舞台に上がる悟飯とサタン。
すると、セルジュニアがエネルギー波を上空へ放った。
「試合開始の合図だ」
セルが2人に説明した。
「ちっ!さっきからおかしなトリックを・・・」
サタンはぼやいたが、すぐに気を取り直して、
「さぁ少年!どこからでもかかってきなさい!」
構えをとった。
「・・・じゃあ、遠慮なくいきますよ!」
悟飯は気を開放した。
すごい爆風と圧力に、サタンは一瞬にして武舞台の外へと放り投げ出された。
ドスン!
「イテテテテ!」
地面にしりもちをついたサタンは、お尻をさすりながら武舞台へ上がった。
「ゴメンよおじさん。ボク、どうしても勝たなきゃならないんだ」
悟飯は気の毒そうにサタンの顔色をうかがった。
「なっ!?このガキャァッ!」
サタンはキレる寸前で冷静さを取り戻し、思案した。
(セルといい、このガキといい、なんなんだ・・・・・イヤな予感がする)
サタンは悟飯を目の前にして、自分が今まで築き上げてきたもの全てが崩壊してしまう
妄想に駆られてしまった。
(な、なんとかしなければ・・・お金・・・ダメだ!子供にお金の価値がわかろうはずもない・・・まてよ!)
サタンはふと思いつき、悟飯に近づき小声で話し始めた。




234 :プーアルの中身 :03/03/16 13:03 ID:cnx1nyLI
第五十三話「サタンの策略」
「な、なぁボク。何か欲しい物はないかなぁ?」
サタンは目一杯演技をして、優しい口調で悟飯に聞いた。
「えっ?」
悟飯はサタンの発言に虚をつかれたのか、しどろもどろの様子だった。
「おっちゃん、君にお願いがあるんだなぁ。この勝負、譲って欲しいんだよ」
「で、でもセルを倒せるのはボクたちしか・・・」
「なぁ〜に、このおっちゃんだって世界チャンピオンなんだぞ!」
「じゃあ、ボクと勝負してよ!」
「ダメダメ!こうやって潰し合うより、体力を温存してセルに挑んだ方が得だろ?」
「・・・おじさんが降りてよ!」
「わかんねぇガキだな。おい!欲しいもん買ってやるから勝負を譲れっていってんのよ?
このミスター・サタン直々の頼みが聞けねぇってーのか?ああん?」
「そんな・・・」

2人の押し問答にイライラするピッコロ。
(何をしている、悟飯!こんな奴の為に地球がどうなってもいいのか!)
そんなピッコロの心の叫びも虚しく、

「・・・じゃあ、最近出たばかりの『昆虫大図鑑 全100巻』を・・・30万ゼニーもするけど、いい?」
「ああ、お安いご用さ!あそこにいるおっちゃんの付き人に君の住所を言いなさい。
1週間以内に必ず届けるからねっ」
「約束だよ!」

「ボク、棄権します!」
悟飯はそう宣言した。

278 :プーアルの中身 :03/03/17 19:09 ID:/r/yg7tM
第五十四話「子ども心」
クルーのサタンコールを背に、武舞台から下りてきた悟飯を迎えるヤムチャたち。
「馬鹿者っ!下手な口車になんぞ乗せられやがって!!」
ピッコロは悟飯を叱った。
「ごめんなさい。なんか、あのおじさんが気の毒で・・・」
「・・・ちっ!そういう甘さが命取りになることをキモに銘じておくんだな。
しょうがない、悟飯、これから俺たちにもしものことがあったら援護しろ。
それと、仙豆はおまえが持っていた方がいいだろう。6粒入っている」
ピッコロはそう言うと、仙豆の入った袋を悟飯に渡した。
「・・・・・」
ピッコロに叱られ、しょぼくれる悟飯だった。

(あの孫悟飯とかいうガキ、なにか腹に一物隠しているな。あとで化けの皮でも剥いでやるか)
セルは悟飯の持つ不思議な雰囲気を感じ取って、心でつぶやいた。

「さて、次はオレか・・・」
ヤムチャはそうつぶやくと、武舞台に上がり出した。
「ヤムチャさん頑張って!」
悟飯は気を取りなおしてエールを送った。
「おまえならまず大丈夫だろうが、油断はするなよ」
ピッコロはヤムチャの調子に乗るクセを見透かして言った。
「・・・ああ!すぐ終わらせるよ」
ヤムチャは笑顔で返した。




279 :プーアルの中身 :03/03/17 19:10 ID:/r/yg7tM
第五十五話「亀仙流VS鶴仙流 最終章(前編)」
武舞台上で桃白白と対峙するヤムチャ。
「ウキャーッ!」
セルジュニアが奇声を発すると、エネルギー波を上空へ放った。

「なぶり殺しにしてやるぞ、ヤムチャ」
桃白白は不気味な笑いを浮かべて、構えをとった。
「そのセリフ、のしを付けて返してやるよっ!」
ヤムチャはそう言い放つと、構えをとった。

そして、2人の戦いは始まった。

パンチやキックの攻防。
数多の修羅場をくぐってきたヤムチャと、弱い者のみを暗殺してきた桃白白とでは
勝負にならず、ヤムチャはあっという間に桃白白を追い詰めた。
バキッ!
ドカッ!
ヤムチャの左フックと右ローキックのコンビネーションに崩れる桃白白。
「くおおっ!そ、そんなバカなっ!・・・」
桃白白は力量の差に愕然として叫んだ。
「もう貴様の出る幕はない。このオレ様を倒すことはできんっ!降参しろ」
ヤムチャは最後通告を出した。
「くっ!・・・フフフ、確かに相当腕を上げたようだなヤムチャよ。しかし、この技を見ずして
そのセリフを吐くのは早いんじゃねぇか?」
桃白白はそう言うと、ダメージを負いながらも素早く間合いをとった。




280 :プーアルの中身 :03/03/17 19:10 ID:/r/yg7tM
第五十六話「亀仙流VS鶴仙流 最終章(後編)」
「覚悟はいいか?」
桃白白はそう言うと、義手となっている右手を外した。
「スーパーどどん波だろ?天津飯に気合で吹き飛ばされた・・・」
ヤムチャはやれやれ、のポーズをつくって笑った。
「フフフ、それはどうかな?進化しているのは貴様だけとは限らんぞ」
桃白白は不敵な笑みを浮かべると、筒となっている右腕に気を集中し始めた。

「くらえっ!ハイパーどどん波っ!!」
桃白白は超巨大などどん波を放った。
「かめはめ波っ!」
ヤムチャは溜めの小さいかめはめ波を素早く放った。
ドォォーーン!
ハイパーどどん波とかめはめ波が激しくぶつかり合った。
「なっ!?この技と互角に渡り合うなんてっ!!」
桃白白は気を振り絞りながら叫んだ。
「驚かれているようですな?桃白白様」
ヤムチャは桃白白の慌て振りを楽しみながら、少しだけ気を開放した。
すると、かめはめ波はあっという間にハイパーどどん波をはじき、桃白白を飲み込んだ。
「ぐああああっ!この俺がこんなヘタレにやられるなんてっ・・・・・あべしっ!!」
桃白白は断末魔の叫びとともに、跡形もなく消し飛んだ。
「お前のような悪党はいなくなった方が世のためだな」
ヤムチャは捨て台詞を吐くと、武舞台を下りた。

440 :プーアルの中身 :03/03/22 12:26 ID:C3G9aj5e
第五十七話「セルの秘密」
「ヤムチャさん、お疲れ様です!」
悟飯は武舞台から戻ったヤムチャをねぎらった。
「ありがとう」
応えるヤムチャ。
「次はいよいよセルか。16号、ピンチになったら助太刀するぞ」
ピッコロは16号を励ますように言った。
「・・・ありがとう。しかし、セルは俺がひとりで始末したい。元ドクター・ゲロの一味の俺が
責任を取りたいのだ・・・」
16号はそう言うと、笑みでピッコロの気遣いに応えた。
「・・・ああ、わかった。無茶はするなよ」
ピッコロは納得して言った。
「ところで、さっき言ってた19号のマイクロチップには何があったんだ?」
ヤムチャは肝心なことを思い出して16号に聞いた。
「・・・セルの頭部に身体や精神をつかさどるごく微小の核がある。それを破壊しない限り
奴の体は何度でも再生する・・・核を消せ!」
16号はセルに聞き取られないように小さな声で言った。
「やはりナメック星人の体の構造と一緒か」
ピッコロは観念したようにつぶやいた。
「・・・では、いってくる!」
16号は静かに気合を入れると武舞台へ上がっていった


441 :プーアルの中身 :03/03/22 12:26 ID:C3G9aj5e
第五十八話「激突」
(16号が相手か・・・肩ならしには丁度いいかな)
武舞台で待ち構えていたセルは心でつぶやいた。

対峙するセルと16号。

セルジュニアの試合開始の合図とともに、16号は凄い勢いでセルに向かって行った。
ドンッ!
16号はセルにタックルを見舞った。
しかし、セルは吹き飛ぶどころか微動だにしなかった。
「もっと気合を入れてもらわんと困るな」
セルはニヤリと笑ってそう言うと、16号の腹部にひざ蹴りを入れた。
ドカッ!
吹き飛ばされた16号は、腹部を押さえながらもなんとか態勢を立て直した。
16号の腹部は凹んでいた。
「・・・なんてパワーだっ!!」
セルの圧倒的なパワーに驚愕する16号。
「おいおい、私はまだ本気を出していないのだが?」
余裕の表情で16号を見つめるセル。
すると、16号は再び猛スピードでセルに向かって行った。
余裕のセルを尻目に、16号は素早くセルの両腕をつかんだ。
「スタンガンッ!!」
16号の両手から膨大な量の電流が放出された。
「何っ!」
セルの動きが一瞬止まった。
16号はすかさずセルを持ち上げると、おもいっきり武舞台に叩きつけた。




442 :プーアルの中身 :03/03/22 12:26 ID:C3G9aj5e
第五十九話「圧倒」
セルを武舞台に叩きつけた16号は、すぐさま自分の両手を脇に挟み、取り外した。
筒状になっている両腕をセルの頭部に向けると、
「消え去れっ!ヘルズ・フラッシュ!!!!」
ズドドドーーーーーンッ!!!!
凄まじい閃光が放たれ、セルの頭部を直撃した。
「うああ〜〜〜〜〜っ」
すごい爆風と砂埃が巻き起こり、サタン、取材クルー、それとチャパ王は吹き飛ばされた。
一方、爆風に耐えるヤムチャたち。
砂埃が消え始め、武舞台の様子が見え出した。

武舞台には深く大きな穴が空いていた。底も見えないほどだ。
立ちすくむ16号。セルの姿はない。
「やったかっ!?」
ヤムチャはそう確信して叫んだ。
「・・・・・だめだっ!!」
16号はセルの気配を感じたのか、絶望的な叫びを発した。
すると、穴の中から無傷のセルが浮かび上がってきた。
「フッフッフッ、スタンガンなんて技を持っているとはな。ゲロのロボにしてはやるではないか」
セルは不敵な笑みを浮かべて言った。
「降参するなら今のうちだぞ?」
セルは満足そうに言い放った。

465 :プーアルの中身 :03/03/23 18:32 ID:FJqJrDGX
第六十話「爆破装置」
「あの攻撃を食らって無傷とは・・・」
セルのタフネスぶりに絶句するヤムチャ。
「万事休すか」
ピッコロも16号の手詰まりを悟り、つぶやいた。

「フフフ。さぁ、どうする!!」
セルは16号に一歩近づき言った。
すると、16号はヤムチャのいる方に振り向き、
「ヤムチャ、俺や17号と18号には体の中に爆破装置が付いている。以前におまえが
持っていた石の玉であいつらを蘇らせることができるなら、一緒に爆破装置も取り除いて
やってくれ!頼んだ!」
矢継ぎ早に叫ぶと、素早くセルに抱きついた。
「何をするんだ16号!?」
ヤムチャは嫌な予感がして叫んだ。
16号に応答はない。
「貴様・・・まさか、自爆する気じゃ!?」
セルは16号を振りほどこうと必死にもがく。
しかし、その間も与えず16号の体は爆発した。
ドーーーーーーーン!!!!!
凄まじい爆風と砂埃が吹き荒れた。




466 :プーアルの中身 :03/03/23 18:35 ID:FJqJrDGX
第六十一話「16号の最後」
砂埃が消え始めると、武舞台が姿を現した。そこには仁王立ちするセルがいるだけだった。
「自爆するとはな・・・一瞬気を開放したから助かったぜ」
セルは安堵の表情を浮かべていた。
「16号ーーーっ!」ヤムチャは感情を押さえきれずに叫んだ。
「ああ・・・・・」悟飯も涙を堪えるのがやっとだ。
「ちっ!何も自ら死を選ぶことはなかろう・・・」ピッコロは無念の表情でつぶやいた。

「さぁ、セルゲームはまだまだ続くぞ!」
セルは不敵な笑みを浮かべて武舞台を下りた。
壊れた武舞台を修復するセルジュニア。
セルを睨み付けるヤムチャたち。

その時、爆風に吹き飛ばされたチャパ王がヤムチャたちの元に戻ってきた。
「ヤムチャ、俺は棄権した方がいいのか?」
チャパ王は恐る恐る聞いた。
「ああ、気の毒だがそうした方がいいだろう」
ヤムチャはチャパ王を気遣って言った。
「悔しいが次元が違いすぎる。俺は棄権するよ」
チャパ王はヤムチャにそう言うと、セルの方に振り返り、
「俺は棄権するっ!」
険しい表情を作って大声で叫んだ。
「かまわん。といっても死期が少し延びるだけだがな」
セルはそう言うと、大声で笑い出した。
「しかし、この戦いを最後まで見届けるぞ。後世に語り継ぐためにっ!」
チャパ王は弱気になっている自身の心を奮い立たせるようにしてヤムチャたちに宣言した。




467 :プーアルの中身 :03/03/23 18:36 ID:FJqJrDGX
第六十二話「騒然」
「今のは何なんだ?一体どうなっているんだ?」
武舞台近くに戻ってきた取材クルーは騒然となった。
「あんなもの、トリックに決まっとろうがっ!!」
サタンは騒ぎを収めるべく大声で叫んだ。
「チーフ、カメラが全部イカレてしまいましたっ!!」
クルーの1人が責任者らしい男に向かって絶叫した。
「ラジオ用の機材しか使えませんっ!!」
他のスタッフも大慌てで叫んだ。
そんなクルーのざわめきぶりを尻目に、
「セルゲームに休憩時間はない。死へのサバイバルゲームだからな」
セルは全員にそう言い放つと、サタンとヤムチャを武舞台に上がるように促した。
「世界中の皆さん。いよいよ我らがミスター・サタンの登場ですっ!」
ナレーターが絶叫すると、クルーとラジオ中継を聞いている世界中の人間から
サタンコールが湧き起こった。
「サーターン!サーターン!」
声援に後押しされる形で武舞台に上がるサタン。
一方、
「ヤムチャ、早く終わらせろよ」
ピッコロにせかされ、ヤムチャは武舞台に上がった。

対峙し、セルジュニアの合図とともに構えをとるヤムチャとサタン。

「さぁ、若者よ。どこからでもかかってきなさい!」
サタンは気合充分でそう言ったものの、どこか表情に不自然な向きがあった。
「・・・あんた、内心はビクビクしてんだろ?オレにはわかるぜ」
ヤムチャは憐れむようにサタンを見て言った。




468 :プーアルの中身 :03/03/23 18:36 ID:FJqJrDGX
第六十三話「ヤムチャの思いやり」
「なっ!?若造、いきがるのも程々にしろよ?」
図星を指されたサタンは、目一杯怖い顔を作って言った。
「あんた、無事でここから帰れると思っているんじゃないだろうな?」
反対に穏やかな表情でサタンを見つめるヤムチャ。
「あんた、自分に勝ち目がないことを悟っているんだろ?けれど立場上降参するなんて
ことはできない・・・・・あんた、何かしら理由を付けて棄権しろよ」
ヤムチャは最後通告を出した。
「しかし・・・なんとか勝ちを譲ってくれませんかねぇ!?そうだ、お金なんていかがでしょう?」
「フッ、砂漠の狼に大金なんて不用さ。それに、失ってしまった一番大切なものは
お金では買えんしな」
「そんな・・・・・」
「勝つことよりもいかに棄権するかに知恵を絞った方がいいんじゃないか?」
「・・・・・・・わかった。今日はちょうど娘の学校で父親参観日だ。それに出席するのを理由に・・・」
「授業参観か・・・決まりだな!」
ヤムチャはそう言うと、サタンを武舞台から下りるように促した。

武舞台から下りたサタンは取材クルーのもとへと向かった。
「???いかがされました?」
ナレータは不安げな表情でサタンに聞いた。
「実は今日・・・・・娘の父親参観日なのだよ」
「へっ???」
クルー一同は拍子抜けした表情でサタンを見つめた。




469 :プーアルの中身 :03/03/23 18:39 ID:FJqJrDGX
第六十四話「世界チャンピオン」
「諸君の言いたいことはわかっておる。地球の危機だというのに何をいっているのか、と。
しかしだな、地球の危機が気がかりだが娘のことも気がかりだ、という心情は世の父親なら
全員納得するものだと思うのだが、いかがかな?」
サタンは落ち着いた口調でかつ威厳をもって言った。
「しかし・・・セルは誰が倒すのですか?」
ナレーターは恐る恐る聞いた。
「あそこにいるヤムチャという若者は、幼少の頃私のジムで格闘技を習っていたことがある。
いうなれば私の弟子みたいなものだ。大丈夫、彼の腕前は私が保障する」
「本当にあの若者で大丈夫なのでしょうか?」
「彼は才能は申し分ないがメンタル面に多少難があるのだ。セルゲームは私が与えた
試練だと思っておもいっきり挑みなさい、と檄を飛ばしておいた」
「なるほど・・・勝ちを譲ってまで弟子の成長を・・・地球に、娘に、そして弟子にまで
気配りするなんて・・・・・あなた、真の世界チャンピオンだよ、最高だ!!!!」
ナレーターが嬉々として叫ぶと、クルーと世界中からサタンコールが沸き起こった。
「サーターン!サーターン!」

サタンはそっとヤムチャの方に振り向き、合意を得る目配せをした。
満足そうにうなずくヤムチャ。

サタンコールが沸き起こる中、サタンは荷物をまとめて帰宅していった。

499 :プーアルの中身 :03/03/24 21:19 ID:9Ww4tzPh
【ここでブレイク】
セルゲーム参加者の戦闘力表(基本設定などは前スレや小説倉庫を参照して下さい)

ヤムチャ:精神と時の部屋で修行後10,177。闘気発揮で101万7千7百。

ピッコロ:神様と融合後320万。精神と時の部屋で修行後380万。

孫悟飯:117万。

人造人間16号:165万。

完全体・セル:MIN300万。MAX?

ミスター・サタン:55

桃白白:158(ハイパーどどん波使用時324)

チャパ王:123

補足)ベジータ:250万(重力装置付トレーニング室で猛修行後半月で30万UP)
    セルジュニア:100万



500 :プーアルの中身 :03/03/24 21:19 ID:9Ww4tzPh
第六十五話「頂上決戦」
サタンが去ったあと、取材クルーの間からにわかにヤムチャコールが起き始めた。
「ヤームーチャ!ヤームーチャ!」
ナレーターもヤムチャを後押しする構えだ。事の次第を細かく実況した。
世界中の人々もサタンの直弟子(?)に期待する向きとなった。
照れながらも声援に応えるヤムチャ。

そんな光景を尻目に、ピッコロはターバンとマントを脱ぎ、武舞台に上がり始めた。
「頑張って、ピッコロさん!!」
悟飯はピッコロを励ますようにして言った。
「ああ、いってくる・・・ヤムチャ、決勝でな!」
ピッコロはふたりに笑顔を送ると、セルのいる方へ向かった。

「フフフ、ようやく実のある戦闘ができそうだな」
セルはピッコロにそう言い放つと、構えをとって気を開放した。
「その減らず口もこれでおしまいだな」
ピッコロもそう吐き捨てると、構えをとって気を開放した。
凄まじい気と気のぶつかり合い。その威力にヤムチャと悟飯の皮膚はヒリヒリと痛むのであった。
それは歴戦のつわものでなければ感じ取ることのできない性質のものだった。
「ふたりともなんてパワーなんだっ!」
ヤムチャは皮膚の痛みをこらえながらつぶやいた。

501 :プーアルの中身 :03/03/24 21:20 ID:9Ww4tzPh
第六十六話「実質上の決勝戦(1)」
セルジュニアの試合開始の合図が出ると、
「覚悟はいいな?」
ピッコロはそう言って、自身の両腕で空気を切り始めた。ヨガのような身振りで空を切ると、
右手を左腕に添え、左手を人差し指と中指が突き出た状態にし、上に向けた。
左人差し指と中指を曲げると、
クンッ!
武舞台の中だけに突風が巻き上がった。
「ぬおおっ!」
突風に耐えようと踏ん張っていたセルだったが、やむなく上空へ飛ばされた。
「これでも食らえっ!!」
ピッコロは口から怪光線を放った。
怪光線は上空で身動きできないでいるセルの頭部に直撃した。
グシャッ!!
すると、セルはすぐさま気合を入れて消し飛んだ頭部を修復した。
「なにっ!?」
ピッコロは一瞬ひるんだが、すぐに上空に飛び、セルの背後に回ると背中に
ひざ蹴りを見舞った。
ドカッ!
すごい勢いで落下していくセル。
すると、ピッコロは先回りして落ちてくるセルにめがけて連続魔光砲を放った。
ようやく身動きが取れる状態になっていたセルは、連続エネルギー弾で応戦した。
どどどどどーーーーーーーんっ!!!!!!
空中でぶつかり合う強力なエネルギーのかたまりが無数。
激しいうねりをあげてまばゆい光を放っている。空気はこれ以上ないくらいに歪んだ。
「すごいっ!!」
両者の凄まじい対戦にただそうつぶやくしかないだけの悟飯であった。




502 :プーアルの中身 :03/03/24 21:20 ID:9Ww4tzPh
第六十七話「実質上の決勝戦(2)」
エネルギー対決が互角と見ると、ピッコロとセルは上空でパンチやキックの攻防を繰り広げた。
目も止まらぬ早さで打ち合う2人。そのスピードについていけているのは悟飯だけであった。
「闘気(バトルオーラ)を出さないとついていけない早さだぜっ!」
両者のレベルの高さに脱帽してヤムチャはつぶやいた。

打ち合いが一段落ついたのか、ピッコロとセルは地上に降り立って間合いをとった。
「たった半月でこれだけ強くなるとはな。どんな小細工をしたのやら」
セルは対戦相手のレベルに満足したのか、不敵な笑みを浮かべて言った。
「はぁはぁ・・・」
一方、ピッコロは息を切らせていた。
「貴様、頭部に核があるのでは・・・」
ピッコロはセルを問い正した。
「フフフ、私は進化しているのだよ。核は体のどこへでも移動させることができるのだ。
しかし、数分の間だけだがな」
セルは自慢げに言った。
(ちっ!全身を消し飛ばすしかなさそうだな)
ピッコロは心でそうつぶやくと、中腰になり両腕をクロスさせるポーズを取った。
「フフフ、爆力魔波か。ならば私も・・・」
セルはそう言うと、ピッコロと同じ構えをとった。

気を集中させるふたり。
大地は震え、地割れができた。

540 :プーアルの中身 :03/03/25 19:09 ID:MoUQ3ctP
第六十八話「実質上の決勝戦(3)」
「ヤバイッ!クルーの皆さん早くこっちにきて!」
ヤムチャは取材クルーに向かって叫ぶと宙に浮き、気孔波で地面に大きな穴をあけた。
「この中に隠れるんだっ!」
穴に入るヤムチャたち。ナレーターたちは駆け足で穴に入ったが、カメラマン6人はカメラも
一緒に持ってこようとしたため走るのが遅かった。
「そんな物は捨てて早くっ!」
ヤムチャは必死になって叫んだが、セルは逃げる猶予も与えぬまま爆力魔波を放った。
「おのれっ!!」
ピッコロはカメラマンたちを気遣ってか、爆力魔波を放つタイミングを一瞬遅らせてしまった。
ゴオオオオオーーーーーーーッ!
無情にも2つの爆力魔波はカメラマンたちが穴に入る前に激突してしまった。
「うあああ〜〜〜っ!」
気の波動で一瞬にして吹き飛ばされるカメラマンたち。
6人のカメラマンは全員付近の岩肌に全身を強打してしまった。
「大丈夫かっ!?」
ヤムチャは心配して大声で叫んだ。
「フン。クルーを気遣って全力を出していないな?」
セルはピッコロの心を見透かすようにして言い放った。



541 :プーアルの中身 :03/03/25 19:09 ID:MoUQ3ctP
第六十九話「実質上の決勝戦(4)」
爆力魔波はセルの方が圧していた。
必死に圧し返そうとするピッコロ。
そして、ピッコロはなんとか五分の状態にまで戻した。
「元々この技は俺様のものだ。貴様のようなレプリカに使いこなせるかっ!」
ピッコロはそう叫ぶと、一段と気を開放した。
すると、みるみるセルの爆力魔波は圧されていった。
「フッ、なかなかやるでは・・・・・」
セルがそう言いかけたとき、戦況を見つめていたセルジュニアが突然、ピッコロに向けて
エネルギー波を放った。
ドカンッ!
「くあっ!」
エネルギー波はピッコロの右肩を直撃した。
「馬鹿者!余計な手出しをするなっ!!」
セルはセルジュニアに向かって怒鳴った。
ピッコロはダメージは少なかったものの、一瞬気を取られて爆力魔波を返されてしまった。
ドーーーーーーーン!!!!
ピッコロはセルの爆力魔波に飲み込まれてしまった。
まばゆい光が辺りを照らす。
「ピッコローーーーーッ!!」
穴の中から戦況を見つめていたヤムチャは、腕で目を押さえながら叫んだ。




542 :プーアルの中身 :03/03/25 19:10 ID:MoUQ3ctP
第七十話「激闘の果て」
「ピッコロさーーーーーんっ!!」
悟飯はたまらず武舞台に上がっていった。
悟飯の後を追うヤムチャ。
光が消え始めると、倒れているピッコロとセルジュニアを粛清しているセルの姿が浮かび上がった。
「出来の悪い息子はいらん」
セルはそう言いながらセルジュニアの首を絞めていた。
「ウギギ・・・」
ぐったりとしているセルジュニア。

ピッコロを介抱する悟飯。
「今、仙豆を出しますから」
悟飯がそう言って袋を取り出すと、
「・・・・・それは、あそこで倒れているカメラマンたちに食べさせろ・・・俺はおまえの瞬間移動で
デンデのところへいく・・・ヤムチャ、その間セルを頼んだ・・・」
出血し全身ボロボロのピッコロは搾り出すようにして小さな声で言った。
了解して倒れているカメラマンたちのもとへ飛んでいった悟飯。
「ああ、セルの奴はこのオレが始末してやるぜ」
ヤムチャは気合を込めて言った。

―すると―

セルはセルジュニアを上空へ放り投げると、右手人差し指と中指で衝撃波を放った。
ピッ!
ボンッ!
セルジュニアは跡形もなく消し飛んだ。

583 :プーアルの中身 :03/03/26 20:48 ID:O2kwfgup
第七十一話「本当の決勝戦」
「とんだ邪魔が入ってしまったがもう始末した。さぁ、続きをやるぞ」
セルは真顔で言った。
「・・・俺はもう戦えん、降参だ・・・決勝ではヤムチャがお前と戦う・・・」
ピッコロは虫の息で言った。
「フン、最後はヘタレと勝負か。つまらんことになったな」
セルは不機嫌そうに言い放った。
「おい、化け物。このオレがヘタレかどうか試してみたくないか?」
ヤムチャは不敵な笑みを浮かべると、セルを挑発した。
その時、悟飯が戻ってきた。
「カメラマンの皆さんは全員無事です」
悟飯は安堵と不安の混ざった表情で報告した。
「・・・そうか・・・では神の宮殿に行くとするか・・・」
ピッコロは悟飯に瞬間移動を使うように促した。
「・・・ヤムチャ、頼んだぞ」
「お気を付けて」
ふたりはそう言い残すと、消えていった。

「さて、いよいよ決勝だな」
セルは最後の一仕事を片付けるようなダルい態度で言った。
「その前に・・・・・クルーの皆さん、あなた方をこれ以上危険な目に合わせたくない。
オレの勇姿を見せられないのは残念だが、ここを去った方がいい!勝って後で報告するっ!」
ヤムチャは凛々しい表情で取材クルーに向かって叫んだ。
「・・・か、必ずセルを倒してくださいねっ!」
ナレーターはそう叫ぶと、他のスタッフに去る同意を求めた。
一同は黙ってうなずいた。




584 :プーアルの中身 :03/03/26 20:48 ID:O2kwfgup
第七十二話「ヤムチャのベストワーク(1)」
会場から去っていく取材クルーのヤムチャコールが小さくなっていった。
世界中では割れんばかりのヤムチャコールが鳴り響いていた。
武舞台にはヤムチャとセルが対峙している。
近くの岩陰にはチャパ王が戦況を見つめるかまえだ。

構えをとるふたり。

セルは気を開放するそぶりを見せない。
そんなセルを見てヤムチャは、
「フフフ、貴様のその傲慢な態度は命取りになるぞ」
ニヤリと笑って言い放つと、
「いくぞっ!闘気(バトルオーラ)!!!!」
100倍界王拳でもある闘気を繰り出したヤムチャ。全身には銀色の気のオーラが覆っている。
「ほう?前よりさらにパワーアップしているとはな・・・やはり貴様ら何か小細工したな?」
セルは余裕の表情を見せながら、
「その程度の力では私を倒すことは到底できんがな」
と言った。
「フフフ、まぁ見てろ」
ヤムチャは自信たっぷりにそう言うと、操気弾の構えをとった。
手のひらに気を集中させるヤムチャ。
通常の操気弾よりも溜めが長い。これでもかとばかりに気を練って凝縮させている。
「なにっ?なんだこのバカでかい気は?」
セルは警戒の目をヤムチャに向けた。




585 :プーアルの中身 :03/03/26 20:49 ID:O2kwfgup
第七十三話「ヤムチャのベストワーク(2)」
ヤムチャの手のひらから操気弾が出てきた。
それは通常よりも倍ほどの大きさで、弾の周りには気のすじ(限界を超えた超サイヤ人の
体から発しているもの)のようなものがある。
そして、ヤムチャは操気弾を操る手をクルクル回し始めた。
すると、それに合わせて操気弾もヤムチャの体の回りを回転しながら上下に動きだした。
「参式は、破壊力は抜群だがスピードが遅い。そこでオレは精神と時の部屋でじっくり考えた。
参式の応用法を・・・結論がこれだ!オレに近づこうものなら全身吹っ飛ぶぞ!
名付けて、操気弾・参式―護(まもり)だっ!!!!」
例によってヤムチャは技の自慢をした。
「くっ!ナメた真似をっ!」
セルはそう叫ぶと、気を全力で開放した。
空気は歪み、地球全体が震動を起こし出した。
「さすがだな。とてつもなくでかい気だ!!ピッコロと戦ったときよりさらに強くなっている・・・
しかし、残念なことに操気弾の気の方が若干大きいな」
ヤムチャはニヤリと笑って言った。
「ほざけっ!!」
セルは怒りを込めて連続エネルギー波を放った。
ちゅどどどどどーーーーーん!!!!
凄まじい爆風と砂埃が大地を舞った。
地面には超巨大なクレーターができた。
「さすがの奴もこれを食らっては・・・」
セルはそうつぶやきながら、ふと空を見上げると、
「なにっ!!」
上空には連続エネルギー波を危機一髪でかわしていたヤムチャの姿があった。

51 :プーアルの中身 :03/03/30 11:25 ID:cCamr8CZ
第七十四話「ヤムチャのベストワーク(3)」
「さすがに今のを食らってたらひとたまりもなかったな」
ヤムチャは心底安堵した表情で言ったが、自信は揺らいでいない様子だ。
「今度はこっちがいくぞっ!」
ヤムチャはそう言うと、勢いよく地上のセルに向かって行った。
(接近戦に持ち込まれたらヤバイッ!)
セルは心で叫ぶと、ヤムチャと適当な距離をとりながら攻撃のチャンスを狙った。
「どうしたセル!究極生物ともあろうお方が逃げの一手かっ!!」
追うヤムチャ。一体誰がこの展開を予測できたであろうか。
「なめるなっ!」
セルはそう叫ぶと、目から怪光線を放ちヤムチャの足元を狙った。
バシッ!!
怪光線はヤムチャをガードしている操気弾によってやむなく消された。
「無駄なあがきだなっ!」
ヤムチャはニヤリと笑って言うと、徐々にセルとの間合いを詰めていった。
(よし!このくらい近づけば射程距離内だっ!)
ヤムチャは心でそう確信すると、セルめがけて操気弾を放った。
「食らえっ!操気弾・参式!!!!」
(このときを待っていたっ!)
セルは心でほくそ笑むと、自らヤムチャに近づいた。
グシャッ!
セルは操気弾をかわそうと身をひるがえしたが、左肩をえぐられた。
「くそっ!!」
ヤムチャが悔しがって叫ぶ間に、セルはヤムチャの目の前に迫った。
「これで終わりだっ!」



52 :プーアルの中身 :03/03/30 11:26 ID:cCamr8CZ
第七十五話「フォロー」
セルはヤムチャにボディブローを見舞った。
ドカッ!
「ぐあああっ!!」
腹を抱え悶絶するヤムチャ。大ダメージを受けて闘気は消えた。
「これが肉を切らせて骨を断つ、だな」
セルはしてやったりの表情で言った。
力なく崩れてゆくヤムチャ。
「ヘタレと呼んで悪かったな。凄い技だったぞ。さらばだ、狼よ!」
セルは手向けの言葉を言うと、人差し指からエネルギー弾を放った。
すると、

―――さっ―――

猛スピードで何者かがヤムチャの体を抱き、セルの攻撃を回避した。
「なにっ!?」
驚きを隠せないセル。エネルギー弾は地面に当って大爆発を起こした。
どーーーーーーーん!!
爆風と砂埃が舞い、大地には巨大な穴が空いた。
「奴はどこだっ!?」
辺りを見まわすセル。穴の向こう側にはヤムチャの肩を抱くベジータの姿があった。




53 :プーアルの中身 :03/03/30 11:26 ID:cCamr8CZ
第七十六話「リベンジ(前編)」
「ちっ、いつも余計な手間をかけさせやがって!」
ベジータはヤムチャに向かってそう言ったが、ヤムチャの健闘を称えるような凛々しい目つきだ。
「・・・すまない、ベジータ・・・おまえも助太刀に来てくれたのか」
ヤムチャは力を振り絞るように言った。
「フン、元々あの化け物を誕生させたのは俺の責任だ。俺が始末してやる」
「しかし、奴はハンパじゃない強さだぞ?現にピッコロも重症を・・・」
「誰がどうなろうと知ったことか!俺が最強だということをセルにわからせてやる、それだけだ!」
ベジータは興奮気味に言い放つと、
「貴様はここで寝ていろ」
ヤムチャを乱暴に横にさせると、セルの方へ歩いていった。
(相変わらず不器用なヤツだな)
ヤムチャはお言葉に甘えて休息することにしたが、
(早くピッコロと悟飯来ないかな?)
多少の心もとなさもあった。

ヤムチャは岩陰に行き、チャパ王に介抱してもらった。その間に、
「誰かと思えばベジータか。気を消して来たのか?存在に気付かなかったぞ。
とにかく試合の邪魔だ、どけ!それともまた恥のうわぬりに来たのか?」
負傷した左肩を修復し全開の気を抑えていたセルは、そう言うと大笑いした。
「貴様はこの俺の手で殺す。それだけだ!」
ベジータはセルを睨み付けて言い放つと気を開放した。




54 :プーアルの中身 :03/03/30 11:26 ID:cCamr8CZ
第七十七話「リベンジ(後編)」
「ハハハ、ヤムチャやピッコロのレベルアップに比べるとだいぶお粗末だな」
セルは大笑いでベジータを見やった。
「死ねっ!!」
ベジータはセルに飛びかかっていった。

(なにっ!?動きが速いぞっ!)
向かってくるベジータを見てセルは驚きの表情を見せた。
「こしゃくなっ!」
セルはそう叫んで応戦した。
パンチやキックの攻防が始まった。
戦闘力では劣っているはずのベジータがスピードでは互角の戦いをしている。
「パワーでは貴様に勝てんが、スピードではどうだっ!!」
ベジータはセルの困惑ぶりを見てそう言い放った。
「調子に乗るなよ、ベジータの分際でっ!」
セルは間合いを少しとると、気を開放した。
「ちっ!!」
セルのパワーアップに舌打ちするベジータ。
「私のスピードについてこれるかな?」
セルは不敵な笑みを浮かべて言うと、ベジータにパンチの連打を浴びせた。
必死にガードするベジータだったが、顔面や胴体に数発決まってしまった。
バキッ!ドカッ!ボコッ!・・・
「くあああっ!!」
大ダメージを受け、腹を押さえ地面にひざまずくベジータ。
「フフフ、まぁ、こんなものだろう」
セルはベジータを蔑んだ目で見下ろして言った

57 :プーアルの中身 :03/03/30 19:24 ID:Zf47MtfN
第七十八話「敗北」
ひざまずきながらベジータはワナワナと震え、自身の決定的な敗北を暗黙のうちに悟った。
「ダメな奴は何をやっても無駄だということだな」
セルはガチガチと歯を鳴らして震えているベジータを見て楽しんでいた。
「・・・・・さて、決勝戦の続きをするか」
セルは一通りベジータを観察すると、満足げな表情でヤムチャを探し始めた。

―すると―

ピッコロと悟飯が瞬間移動で神の宮殿からヤムチャの元へ戻ってきた。
「待たせたな」
回復したピッコロはヤムチャにねぎらいの言葉をかけた。
「ベジータさんも来たんですね!」
悟飯はベジータを見つけると嬉しそうに言った。
「ああ、今ヤバイんだ。助太刀してやってくれ!」
ヤムチャはうずくまるベジータを見て早口で言った。
すると、
「おい、セル!貴様の相手はこの孫悟飯がやるっ!!」
ピッコロは悟飯を指差しながら、セルに向かってそう叫んだ。
「フフフ、よかろう。ヤムチャは降参ということにしてやる。それでもってセルゲームに優勝した
この私が地球一、いや宇宙一の存在と証明されたわけだ。ハッハッハッハッハッ!!」
ピッコロの発言を聞き、セルはそう言い放つと、高らかに笑いガッツポーズをとった。




58 :プーアルの中身 :03/03/30 19:24 ID:Zf47MtfN
第七十九話「伝説、再び(1)」
ベジータにかけよる悟飯。
「ベジータさん、早くピッコロさんたちのもとへ!」
悟飯はベジータに退くよう促した。
「・・・おまえのようなチビにセルを倒せるわけないだろう!」
やっと我に返ったベジータは八つ当たりして怒鳴った。
「やれるだけやってみます。その間にベジータさんは休んでいて!」
悟飯にそう言われると、ベジータは渋々ピッコロたちのもとへと行った。
「私はさっきからお前の存在が気になっていたのだよ」
悟飯を見てそう言うセル。
「お前だけは許さないぞ!ボクの大切な人たちを沢山傷つけて!!」
悟飯は怒りと憎しみの混ざった目をセルに向けると、気を開放した。
「なるほど。ガキにしてはよくやるほ・・・」
セルがそう言いかけたとき、

「だあああああっ!!!!」
悟飯がキレそうなほど絶叫すると、突然、髪の毛が金色になって逆立ち、眉毛も金色に
変化した。目つきも鋭い、いや、悪くなったという表現の方が適切だ。
全身には金色の気のオーラが覆っている。それはおぞましいほど巨大な気であった。
「覚悟はいいな?」
悟飯はセルを睨みつけて言い放った。




59 :プーアルの中身 :03/03/30 19:25 ID:Zf47MtfN
第八十話「伝説、再び(2)」
「なっ!そんなバカな・・・この私と同じ強さを持つものがこの世にいるなんて!!」
悟飯の変貌ぶりを見てセルは呆然とした。
「お父さんの強さはこんなもんじゃなかったぞ!」
悟飯は驚くセルを冷ややかな目で見て言った。
「ほざけっ!!」
セルは絶叫すると、気を全力に開放した。
再び空気が歪み、地球が震えた。
「死ねぇっっっ!!」
飛びかかるセル。迎え撃つ悟飯。パンチやキックの攻防が始まった。
その攻防は人知を遥かに超える壮絶なものとなった。
「どうしたセル!お前は究極の存在じゃなかったのかっ!!」
悟飯はセルを攻めながら吼えた。

「す、すごい・・・まさか悟飯にこんな力が眠っていたとは・・・」
ヤムチャは悟飯の驚異的な潜在能力に絶句した。
「どうやらあれが超サイヤ人の姿らしい・・・けっ、末恐ろしいヤツだぜ!」
ピッコロは愛弟子の成長ぶりに心底驚嘆している。
「・・・・・」
悟飯とセルの攻防をただ呆然として見つめるベジータ。
「でも、どのようにしてあのようなすごい力を?」
疑問に思ったチャパ王は恐る恐る聞いた。
「俺と精神と時の部屋で修行中、ふと、俺がセルに殺されるシーンを想像してしまったらしい。
すると、胸の内の怒りが膨らみ、限界点を越えて爆発したらあの力が開眼した、と」
ピッコロは皆の疑問を晴らすように解説した。



60 :プーアルの中身 :03/03/30 19:25 ID:Zf47MtfN
第八十一話「伝説、再び(3)」
「ちくしょう!私を超えるもの、肩を並べる者がこの世にあっていいわけがない!!」
セルは悟飯との攻防で押され始めると、たまらず叫んだ。
「さすがに連戦続きだから体力が減ってきているな」
悟飯はかすかに見え始めたセルの疲労を察知するとニヤリと笑った。
そして、
バキッ!
ドカッ!
悟飯の右ストレートがセルの顎を、左ひざ蹴りがわき腹をそれぞれ捉えた。
「ぐおおおっ!」
よろけるセル。
「・・・もう少し楽しませろよ」
悟飯は余裕の表情で言い放った。
「くっ!この私をなめるなっ!!」
セルは鬼の形相で絶叫すると、上空へ上がっていった。
「・・・まさか!?あの野郎地球を消し飛ばす気じゃぁっ!?」
戦況を見つめていたピッコロはセルの思惑を見抜いて叫んだ。
「悟飯!ヤバイ!早く決着を付けろっ!!」
ヤムチャは必死になって叫んだ。
「フフフ、そういうことか・・・ならば」
悟飯はそうつぶやくと、かめはめ波の構えをとった。
「貴様が地球を消し飛ばす前に、ボクが貴様を消し飛ばしてやるっ!!」
悟飯はセルに向かってそう叫んだ。

97 :プーアルの中身 :03/03/31 21:24 ID:gK2PXD6e
第八十二話「かめはめ波」
「宇宙の塵となれっ!!」
セルは上空でかめはめ波の構えをとった。
「バカ野郎!そんなことをしたら貴様も生きてはいけんぞ!」
ピッコロはセルの無謀を止めるべく叫んだ。
「はっはっはっ、私のDNAは宇宙空間でも生きていけるように改良されているのだ!」
セルは勝ち誇ったように言い放った。
「くそっ!頑張ってくれ悟飯・・・」
ヤムチャは胸の内の不安を抑え、期待の目を悟飯に向けて言った。

―気を集中させる悟飯とセル―

「地球ごと消えてなくなれっ!か・め・は・め・波ーーーーーーーっ!!!!」
「消え去れ、化け物っ!か・め・は・め・波ーーーーーーーっ!!!!」
ふたりはかめはめ波を放った。
上空でぶつかり合う2つの超巨大かめはめ波。
その2つの気のパワーと圧力は全宇宙最強であると断言できるものだった。
しかし、徐々に圧されていくセルのかめはめ波。
「お、おのれーーーっ!」
全力で気を振り絞り圧し返そうとするセルであったが、飲み込まれる寸前まできてしまった。
「これで終わりだっ!!」
悟飯はさらに気を振り絞ると、自身のかめはめ波がセルを捉えた。



98 :プーアルの中身 :03/03/31 21:24 ID:gK2PXD6e
第八十三話「絶望」
ぎゅおーーーーーーーん!!!!
悟飯のかめはめ波は激しいうねりをあげてセルを飲み込んでいる。

「や、やったか?」
チャパ王は呆然としながら生唾をゴクリと飲んで言った。
かめはめ波が消えると、上空には頭部の一部と手足の一部を消し飛ばされたセルがいた。
「ぐぎぎ・・・くそがぁっ・・・」
セルはショックとダメージを隠し切れずにうめいた。
「ちっ、完全に消し去らなきゃ意味がないや」
悟飯はいたずらな笑みを浮かべて言った。
「ちくしょう・・・許さん、許さんぞーーーーーっ!!」
セルは悔しさと怒りを込めて叫ぶと、ちぎれた体を修復した。
「絶対ぶっ殺してやるぅーーー!」
セルはそう叫びながら地上に降り立つと、急に体を膨らませ始めた。まるで巨大風船のようだ。
「私は3分後に自爆する。そして地球は跡形もなく消え去る。・・・なまじ刺激を与えると爆発するぞ!
といってもお互い死期が早まるだけだがな。とにかく、この勝負はドローだな。ヒッヒッヒッ」
セルは不気味な笑い声を発するとカウントダウンを始めた。
「ちくしょーーーーーーーっ!!!!」
うつ伏して地面を叩く悔しさ一杯の悟飯。
その間に悟飯のもとへかけ寄ってきたヤムチャ,ピッコロ,チャパ王。ベジータは後からついて来る。
「どうやら最悪の状況に追い込まれたらしいな」
ピッコロは無念の表情でつぶやいた。
「・・・いや、待ってくれ。こいつはオレが片付けられるかもしれない」
ダメージの残っているヤムチャは、辛そうな表情ながらも決心したように言った。




99 :プーアルの中身 :03/03/31 21:25 ID:gK2PXD6e
第八十四話「秘策」
「何か秘策があるのか?さっきは惜しくも敗れたが・・・」
チャパ王はヤムチャに真意を探るような目つきで聞いた。
「ああ、今の身動き取れない奴なら大丈夫だ」
ヤムチャにはどうやら自信があるらしい。
「しかし、下手に刺激を与えん方が・・・」
ピッコロもヤムチャの取ろうとしている行動を想像できない様子だ。
「ゴメンなさい。ボクが未熟者なばかりに・・・」
泣き崩れている悟飯。
「なぁに悟飯、おまえはよくやったよ。天国の悟空も喜んでいるはずだ。
それに、もしオレの技が成功すればみんなも地球も助かる!!」
ヤムチャは悟飯をなぐさめると、セルに近づいた。
「ぐふふ、さっき敗れた分際で・・・何をほざくかっ!!」
ブヨブヨに太った風船状態のセルは、ヤムチャを軽蔑の眼差しで見た。
「自爆してオレらも地球も消し去ろうとしたその試み、敗れたりっ!!」
ヤムチャはそう言うと最後の力を振り絞って闘気を繰り出し、狼牙風風拳の構えをとった。
「ドクター・ゲロの唯一のミスはオレのDNAを貴様に組み込まなかったことだ!
この技の性質を知らず、使えないできた貴様の負けだっ!新狼牙風風拳!!!!」
ヤムチャの無数に放たれた掌底がセルの胴体を直撃した。
しかし、自爆の誘発を恐れてか通常より勢いを抑えていてむしろ掌底を当てているという感じだ。
「なにを始めるかと思ったら・・・」
セルが呆れた表情でそう言いかけたとき、
「ぐおっ!?体が・・・・・!?」
セルの胴体の皮膚がボコボコ沸騰し始めた。




100 :プーアルの中身 :03/03/31 21:26 ID:gK2PXD6e
第八十五話「熱い最後」
「か、体が燃えるように熱いっ!!」
自爆目前のセルは、自身のそのおこないに相反するようなセリフを吐いた。
「本来の新狼牙風風拳は敵の心臓にオレの気を注入し、血液を通して全身に気を送り
爆発させる技。しかし、闘気に進化した気は、気を超高温に上昇させることが可能になった。
そして超高速で全身に送り込んで敵を溶かし、蒸発させるのさ。いくら究極生物であろうが
生き物であるならばこの技から逃れることはできない!」
ヤムチャは勝利を確信して言った。

(ぐおおーーーーーーーっ!!ま、まさかこんな結末になろうとは!核を移動させ・・・・・
ダメだ!ヤムチャの気はもう全身にまわってしまった・・・無念!!!!)
セルは心でそう絶叫すると、間もなく全身は沸騰し、蒸発して跡形もなく消えた。

「終わった・・・・・」
セルのあっけない最後に呆然とするピッコロたち。
反対に、決着を付けたのが自分であることに満足そうな表情をしているヤムチャ。
セルのいた場所には4つのDBが落ちていた。
「そうだそうだ、DBのことを忘れていた。溶けなくて良かったよ」
ヤムチャはそう言うと、DBを拾った。
「とりあえずみんなで神の宮殿へ行こう」
ピッコロはシメの言葉を言うと、悟飯に瞬間移動を使うよう促した。
悟飯の体にタッチするヤムチャとピッコロ。
「俺は無傷だからひとりで帰ることにするよ」
チャパ王はヤムチャたちに言った。
「そうか・・・また会えるといいな!元気でな、チャパ王!!」とヤムチャ。
「ああ!素晴らしい戦いを見ることができて良かった。武道家冥利に尽きるよ!!」
チャパ王は涼しげな表情でそう言うと、ポイポイカプセルからハーレーを出して帰っていった。

104 :プーアルの中身 :03/03/31 21:59 ID:bJhVoblo
第八十六話「後日談(1)」
「俺は貴様らとは一緒に行動せん!」
ベジータは不機嫌そうに言い放った。
「・・・そうか。では、またな!」
ピッコロは苦笑して言った。
「さよなら、ベジータさん」
悟飯は寂しそうに言うと、瞬間移動を使った。

荒野に残されたベジータ。
(まさか悟飯が超サイヤ人になるとは・・・カカロット親子に完全にしてやられた!
・・・サイヤ人の王子の俺を追い越しやがって!・・・俺はもう戦わん・・・)
ベジータは心でそうつぶやくと、荒野から去っていた。

―神の宮殿では―

デンデに治療してもらったヤムチャ。
「DBはここで預かってもらっていいかな?」ヤムチャはデンデに聞いた。
「はい!いいですよ」デンデは笑顔で応えた。
「・・・ボクはこれで帰ります。お母さんが心配してるだろうし・・・」
悟飯はみんなに向かって言った。
「そうか、いつでも遊びにこいよ!」ピッコロは悟飯に微笑んで言った。
「ピッコロはここで暮らすのか?」ヤムチャは聞いた。
「ああ」応えるピッコロ。
「では、また!!」
悟飯は瞬間移動で去っていった。




105 :プーアルの中身 :03/03/31 21:59 ID:bJhVoblo
第八十七話「後日談(2)」
「では、オレもおいとまするか。残りのDBも探さなくてはならんしな!」
ヤムチャは気合を入れて言った。
「俺も手伝おうか?」ピッコロは聞いた。
「いや、プーアルとふたりで旅がてら探すことにするよ。残りは2つだけだしな」
ヤムチャはピッコロの気遣いに感謝して言った。
「ではまた!」
ヤムチャは挙手すると、西の都へと帰っていった。

カプセルコーポレーションに着いたヤムチャ。
門にはプーアルとウーロンが出迎えていた。
「おかえりなさいヤムチャ様!!ご無事で何よりです!!」
プーアルは涙ぐみながら言った。
「さっきベジータが帰ってきたからな・・・どうやらその表情だといいことあったな?」
ウーロンはヤムチャの凛々しい表情を見て言った。
「フフフ、わかる?なんたってセルにとどめを刺したのはこのオレ様だからなっ!」
ヤムチャはどうだ、といわんばかりの態度をとって言った。
「す、すげぇな。一体どんな手を使ったんだよ?」
ウーロンは怪しげな目をヤムチャに向けて言った。
「フッ、もちろん正攻法さ。さて、プーアル。テレビ局に戦果を報告したらDB探しの旅に出るぞ!」
ヤムチャはそう言うと、プーアルとともに自宅へ帰った。
「ああ、俺も旅に行きてぇよ・・・」
ひとりと一匹の後姿を見ながらぼやくウーロンであった。




106 :プーアルの中身 :03/03/31 22:00 ID:bJhVoblo
第八十八話「後日談(3)」
世界中はヤムチャの大活躍で話題騒然となった。
多くのメディアへの出演の話が入ったが、DB探しの予定があったので全部断った。
代わりにミスター・サタンが出演し、最初は愛弟子(?)を褒めちぎるトークを展開していたが、
途中から何故か自身がセルを倒したかのような話にすり替えて話題をさらった。

―ちょうどその頃、神の宮殿では―

ヤムチャ、プーアル、悟飯、ピッコロ、デンデ、ミスター・ポポがDBを囲んでいた。
シェンロンを呼び出し、1つ目のねがい「セルに殺されたものたちを生き返らせる」をかなえた。
「デンデのDBは2つねがいがかなえられるのか・・・あとひとつはどうするんですか?」
悟飯は興味津々の顔でみんなに聞いた。
「そのことなんだが・・・17号と18号が生き返っていたら体内の爆破装置を
取り除いてやりたいんだ・・・」
ヤムチャは申し訳なさげにみんなに伺った。
「ヤムチャさん、18号のこと好きなの?」
悟飯は無遠慮に聞いた。
「まさか!このオレ様はモテモテなんだぞ・・・っていっても今フリーだからなぁ・・・」
ヤムチャは微妙な表情をしながら小声で言った。
「恋愛というやつか・・・よくわからん。まぁ、俺たちは相当なレベルアップをしたわけだし、
もしあいつらが騒ぎを起こしたらその時までということだな」
ピッコロは皆の意見を総括するようにして言った。
「では、お言葉に甘えて・・・シェンロン、17号と18号の体内に埋め込まれている
爆破装置を取り除いてくれ!!」
ヤムチャは叫んだ。




107 :プーアルの中身 :03/03/31 22:00 ID:bJhVoblo
最終話「有終の美」
「たやすいご用だ。ついでにそこにいる猫の耳の中にある超小型スパイロボも取り除いてやった
・・・・・では、さらばだ」
シェンロンはそう言うと、消えていった。石になったDBは四方八方に飛び散っていった。
「プーアルの耳の内にスパイロボって・・・どうなっているんだ?」
ヤムチャは思い巡らすように、目を宙にさまよわせて言った。

―すると、柱の影から―

「それは俺がこっそり忍び込ませたのさ」
突然、17号が飛び出てきて言った。
「そのお陰であんたたちの居場所がわかったってこと」
18号も出てきて微笑を浮かべて言った。
「話を聞いていたのならわかるだろう。悪さをするなよ。それとヤムチャに感謝するんだな」
ピッコロは17号と18号を等分に見やって言った。
「フン、俺には破壊の趣味はねぇよ。まぁ、狩りでもしながら楽しく暮らすさ」
17号はそう言い放つと去っていった。
「・・・彼氏が行っちまったぞ。追わなくていいのか?」
ヤムチャは18号に試しに聞いた。
「あいつとは双子の姉弟だよ。だからってその気になるなよな!いくら顔が二枚目だからって
いってもあたしは別に面食いじゃないんだ。それに爆弾のことだって感謝してないからな!」
18号は一方的にまくし立てて、去ろうとしていた。
そして、ふとヤムチャに振りかえり、
「またな」
と言い残して去っていった。
「ははは!モテる男はつらいってことかな!!」
ヤムチャは苦笑を浮かべてひとりごとを言った。

―こうして再び地球に平和が訪れるのであった。Z戦士、なかんずくヤムチャのおかげで―

<おわり>