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ヤムチャのあがき





924 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:02/11/30 10:28 ID:3awgqC/6
(妄想っぽい話) 
夢を・・・夢を見ていた・・・ 
悟空の兄・・・サイヤ人・・・・修行・・・・・緑色の・・・サイバイマン? 
そして・・・抱きつかれ爆死する自分の姿・・・・ 
「!?」 
ヤムチャは跳ね起きた。息は荒く、流れ落ちる汗は止まる気配も無い。 
天下一武道会が終わり1年余り・・・気が付けば、修行もほとんどせずダラダラとした人生を送っていた。 
只の夢だと思いたかった。が、夢にしては・・リアルすぎた。夢の自分は、今とは比べ物にならない力強さを感じた・・・ 
が、それでもあっけなく、負けたのだ。 
ならば、闘わなければ良い・・・ヤムチャはそう思ったが、同時に嫌な予感もしていた。 
(ここで、闘わないと自分は「何か」から忘れ去られるのでは・・・) 
ヤムチャは久々に荒野の狼の時の、思考能力を取り戻していた。そして、その「何か」とは一体何なのか・・・考え続けた。 
神・・・違う・・・・もっと、地球なんかの狭い範囲などでは無く、もっと広い・・・宇宙の神・・・しっくりこない。 
そう、自分の運命を決定しているような存在・・・・・! 
はっ、とヤムチャは閃いた。そして、凄まじい勢いで電話へと向かう。受話器を掴むと、番号を押しもせず叫んだ。 
「今も居るんだろう! 俺の声は聞こえるか? あんたと話がしたいんだ! 俺をそっちに行かせてくれ・・・」 
(続くかも) 



930 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:02/11/30 11:56 ID:3awgqC/6
(妄想っぽい話2) 
「・・・・ヤムチャか?」 
しばらくして、返って来るはずの無い声がした。その声はどこか疲れていた。しかも不機嫌そうだ。 
「そうだよヤムチャだよ! 頼む、あんたと話がしたいんだ。 俺をそっちへ呼んでくれ。」 
「それは、できない」 
「・・・何でだ?」 
「君をこっちへ呼ぶのは、絶対に超えれない壁を登らせてくれというものだ・・・できない、が。」 
「私がそっちへ行くのは問題無い。」 
ヤムチャはほっと息をついた。 
「で、今すぐここへ来れるのか?」 
「そうしても構わないけど、ちょっとそこだと描く・・げふんげふん・・いや、何でも無い。そうだな、ペンギン村へ来てくれるか?」 
「ペンギン・・・村?」 
「そうだ、かなりのド田舎だが、地図には載ってるはずだ・・・多分。そっちの方が行きやすいんでな」 
「分かった・・・じゃ、ペンギン村で会おう・・・そうだ、あんたをなんて呼べばいいんだ?」 
「そうだな・・・なんて呼んでもらっても構わないが・・・作者ってのが一番しっくりくるな。」 
「そうか・・・じゃ、作者さん、向こうで会おう・・・」 
(続くかも?) 



934 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:02/11/30 12:23 ID:3awgqC/6
(妄想っぽい話3) 
ヤムチャはペンギン村へと辿り着いた。さすがに都会の地図に載ってすらいないというのは驚いたが、 
カリン塔に登って、樽を覗いたりする事でどうにか場所が分かった。 
(それにしても・・・) 
色々な意味で確かに田舎だった・・・ポイポイカプセルが流通していないのも驚いたが、それよりも・・・・ 
(た、太陽に顔がある気がするんだが・・・・俺は疲れているのか?) 
が、同時に納得もしていた。さすがに作者とやらが待ち合わせに指定するような場所だ・・・普通じゃない、と。 
それに世界は広い。現に月を吹き飛ばしたような達人が知り合いにいるではないか! 
そんな事を考えながら、歩いていくと、向こう側に、どうやら子供らしき人影が二つ見えた。 
よく見ると、その内の一人は羽で飛んでいるような気がする。もう一人は眼鏡をかけた普通の女の子に・・・見えた。 
・・・砂煙を上げるようなスピードで疾走さえしてなければ・・・。 
(な、何なんだ・・・あれは) 
ヤムチャはいつのまにやら構えをとらせれていた。本能が感じているのだろうか・・・あれは危険だと。 
「きーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」 
じきに声も聞こえてきた。止まる気配がまるで無い。 
「く、くおっ」 
ヤムチャは寸前で避けた。その横を猛スピードで通り過ぎていった。ぶつかっていたらどうなったのか・・・考えたくなかった。 
「ほよよ・・?」 
が、その高速で移動していた物体は急に止まると、こっちを振り向いた。 
(し、しまった・・) 
迂闊にも目があってしまった。今日は厄日なのか? ヤムチャは思った。 
(続くかも?) 



936 名前:作者の都合により名無しです 投稿日:02/11/30 12:40 ID:3awgqC/6
(妄想っぽい話4) 
「んちゃ!」 
その女の子はそういって元気よく、手を上げてきた。 
「ん、んちゃ・・・」 
ヤムチャも同じようにして、返してみた。自分のギャグでもシリアスでもこなせるキャラクターに、感謝した。 
が、あの天さんですら「排球拳いくわよぉぉぉー」という名言があるぐらいなのだ。以外と皆ギャグセンスはあるのかも知れない。 
「あんた、誰?」 
失礼な聞き方だが、この少女には、こういうのが合っているのだろう。 
「こ、荒野の狼・・・ヤムチャだ。呼ぶ時は、荒野の狼の方を強調するようにな・・」 
(違う、俺はこんな事を言いたいじゃないんだ! 俺はさっさとこの場から逃げた・・・) 
自分の意思に関係無く、しゃべっている・・・この事実に驚きながら、この事態をどう対処しようか考えていると・・・ 
「狼? じゃ、つおい?」 
「も・・・もちろんさ・・・こ、これでも天下一武道会の本戦出場者だぜ・・」 
「ほよよ・・・やっぱり、つおいつおい!」 
少女は凄く喜んでいるように見えた。ヤムチャは全く嬉しくなかった。 
「じゃ、プロレスゴッコして遊ぼ!」 
そう言うと、少女はいきなり突進してきた。心なしかさっきりより速くないか? 
そんなことを考えながら、ヤムチャは頭突きで吹き飛ばされいた。綺麗に空を舞いながらヤムチャは思った。 
(作者、速く来い・・・) 
(続くかも?) 



142 :ヤムチャのあがき :03/01/06 18:57 ID:???
・・・ヤムチャはペンギン村を訪れていた。自分の死ぬ運命に抗う為に。
途中、高速で移動する娘にバトルを挑まれたりしたが、どーにか生き残った。
・・・そして、目当ての人物に出合った。
「あんたが、神・・か?」
「ああ、お前も神様に会ってるんだよな。ややこしいから作者と呼べ」
「・・・単刀直入に聞く。作者、俺の扱いが酷すぎないか?」
「なるほど。だけど、これでも気を使ってやってるんだぞ? ああする事でお前は、
くだらんチキンレースから、早期リタイアができる。すでに退かせた亀仙人を除けば
チャオズについで最速だ。一回死ぬが、安心しろ、必ず生き返る。後はそこらで、他
の一般人と同じく楽しく生きればいい。そうだ、このペンギン村に永住するのはどうだ?
実は地球ごと破壊されても、ここだけは無事にする事も可能だ。何でも、アリだからな。」
そうしていると、いきなり地鳴りがした。ついで、地面が一機に割ける。
「な、なんだ、どうしたんだ?」
「はは、うろたえるな。アラレがちょっと地球を割っただけだ。すぐ元に戻る」
「アラレって何なんだよ?」
「お前もさっき会っただろう。闘った女の子。あれがアラレだよ。」
「はは・・・」
ヤムチャは笑うしかなかった。どうにもここは、自分の常識を遥かに超えているようだ。


143 :ヤムチャのあがき :03/01/06 19:15 ID:???
「そういえば、何でもアリっていったよな。もしかして、俺を世界一の格闘家になんて・・・ははは」
「・・・なりたいか? こんな風に」
直後、作者の回りに凄まじいパワーが発生した。その勢いは凄まじくヤムチャは吹き飛ばされそうになった。
数秒、その状態が続き、元に戻った。
「今のが、宇宙最強の力だ。」
「う、宇宙最強・・・」
「これから数年後に始まる、馬鹿げたインフレレースで最後にだいたいあんな感じになる。」
「・・・それとな。実は地球に宇宙最強が眠った状態でいる。どの道、どうやっても必ず一回は死ぬ。」
「だから、まあ、一度は覚悟を決めて死んでくれ。」
「そんなこと言われて、はい、そうですか(明るく)・・・・なんて死ねるかっ!」
「・・・それが嫌なら、このペンギン村に居れば良い。ここは外部の変化には一切影響されず、逆にペンギン村
で何が起こっても、外には影響ない。ここへ呼んだのはそういう便利さもあるからだ。」
「で、宇宙最強になりたいか?」
「そりゃ、なれるもんなら、なりたいに決まってる!」
その言葉を聞いてサクシャは溜息をついた。


144 :ヤムチャのあがき :03/01/06 19:15 ID:???
実はな、ヤムチャ。数年後現れる、サイヤ人はどうやってもお前よりも強く表現される。」
「だから、今この瞬間にお前を強くしてやっても、サイヤ人はお前よりさらに強くしなければ
ならない、という理由で、絶対にお前より強くなる。結果インフレの度合いが増すだけだ」
「この世界の設定を使う限り、例え、界王拳や、瞬間移動を使っても絶対に勝ち目はない。
唯一の例外は元気玉だが、あれも使い手にある程度の強さが求められる。」
カイオウケン、ゲンキダマ? 訳の分からない言葉ばかりだったが、自分に絶望的な状態である
ということだけは理解した。
「・・・・じゃあ、どうすりゃいいんだよ・・・・」
ヤムチャは疲れた声で聞いた。
「答えはな・・・こうだ!」
そうすると、いきなりサクシャの後に黒い、半径1メートルほどの丸い空間ができた。
「いいか、一度決まってしまった歴史はわしにもどうにもならん!」
「どうにかしたきゃ、自分で探してこい! この先は、わしの世界の「外」だ。」
「こ、こんなことして、地球は大丈夫なのか?」
「ペンギン村の中なら何をやっても大丈夫だ。今のやりとりも外に感づかれる事は絶対にない」
「そ、そうか、じゃ・・・いってくる」
そういうと、ヤムチャは片手を上げた。まだ・・・可能性はある。


145 :ヤムチャのあがき :03/01/06 19:28 ID:???
・・・しばらくして、ヤムチャは戻ってきた。行く前の甘さは消え、精悍な顔つきに変わっていた。
「どれくらい向こうにいた?」
「3年ほどさ。色々勉強になったぜ。・・・ところで、向こうに行ってる間、歳を取らないのか?」
「それは大丈夫だ。向こうでどれほどの年月、過ごそうが、「予定通りに書かなければならない」という都合でな
歳は取らないし、多少外見が変化しても、こっちで元に戻してやれる・・・つーか戻す。」
「そ、それはどうも・・・」
ヤムチャは苦笑した。
「じゃ、もう一度行ってくるぜ、悪いがもう、しばらく待っていてくれ」
「それは構わん。向こうでどれだけ過ごそうが、こっちにとってはせいぜい数秒待つだけだ。」
ヤムチャは頷くと、再び穴の向こうへと旅立った。

163 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/01/07 20:00 ID:???
そして、ヤムチャは戻ってきた。今度は髭をだらしなく生やし、髪はボサボサ。 
顔中傷だらけどころか、右腕が肩から先が無かった。 
「う、腕はどうした?」 
「ん? ああ・・・イチモンジザンガンケンとかいう技を食らったら、肩からバッサリと飛んだ。 
どうも1000年ぐらいまでは数えてたんだけど、その後、どれくらい向こうにいたか判らなく 
なってて・・・時差ボケみたいに体がだるいんだ。なにしろ、色々と回ってきたからな。」 
「そうか・・・で、何か収穫はあったか?」 
サクシャにそう聞かれると、ヤムチャはニヤリ、と笑った。 
「ああ・・どうにかなるかも知れないぜ」 
「そうか・・・じゃ、とりあえずその体を元に戻すか。」 
「頼むぜ。やっぱり腕が一つないと、不便で不便で・・・」 
164 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/01/07 21:01 ID:???
それから、年月が経ち・・・・ついにサイヤ人が地球に来てしまった。 
「ついに来たか・・・サイヤ人!」 
ヤムチャに不安は無かった・・・そう、惨めな自爆に巻き込まれる未来になぞ・・・ 
誰がするものか! 
そして、いよいよ対決の時となる。 
「はぁーーーーーーーっ!!」 
ヤムチャのカメハメ波はサイバイマンを確かに完璧に捉えていた。が、なるほど注意深くみると 
先読みされて、ある程度防禦された感もある。 
(さて・・・ここから本番、か) 
ヤムチャはサクシャと別れる前に聞いた話を思い出していた。 
(いいか、ヤムチャ。とにかく露骨に歴史を変えるのはやめてくれ。今回の場合は、サイヤ人2人を 
お前1人で倒してしまう・・・そういったことになる。・・可能、不可能に関係無く試すのもやめろ) 
(わかった。気をつける。) 
ヤムチャは大きく頷いた。 
(それと・・・これはもう一つ重要な問題だが・・・・) 
サクシャはわざとらしく咳をした。 
(お前がどんな力を得たかは、わしは知らん。が、それを露骨に使うのはやめろ 
特に技名を相手に教えるのは厳禁だ。声に出してもいけない。) 
(使う時は、上手く使え。周囲に何が起こったのか判らなければベストだ。) 
そして・・・ 
「この化け物はお前達が思っていたほど強くは無かったようだな・・・残りも俺一人で片付けてやろうか?」 
そう言った後、ヤムチャは確かに見た。小柄な方のサイヤ人の口が笑みの形を作るのを 
(このタイミングか・・・ニヤリ) 
直後、サイバイマンが起き上がり抱きついてきた。そして、何度も見てきた悪夢の通り、自爆する。 
ヤムチャは爆発の寸前、眼を閉じて、意識を集中した。 
828 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/01/31 17:40 ID:???
ヤムチャは、遠い世界での出来事を思い出していた。 
「わかったかい? ヤムチャ。」 
そこは、奇妙な世界。名を大阪。西、と呼ぶものもいる。そして、その都市の下に広がる地下世界。 
そこで、ヤムチャはある老婆に、教えを受けていた。 
「ダメだ・・・まださっぱり分からない。」 
その言葉を受けて、老婆は溜息をついた。 
「はあ・・・まったく、気なんてものを操れるのに、どうしてこの程度のことができないのかねえ・・・」 
「無茶を言わないでくれ、人には向き、不向きってのがあるだろうに」 
ヤムチャは苦い顔で答えた。 
「いいかい、気ってのは確かに万能の力さね。身体を覆って鎧にもできれば、遠い間合いから、自由に相手を攻撃できる。確かに凄い力さね。 
が、言ってみれば、それだけ、ともいえるねえ・・・」 
「まあ、ほんとにあんたの話の通りなら、住んでる世界が悪すぎるからねえ・・・」 
そういって老婆は息をついた。 
「そうだね、そんな世界なら、もしかするとここに来てる転・・・」 
バシッ!! ━━━━ 記憶がはじけた。 
ソウ、コレハオボエテイテハイケナイキオクダ。 
「━━━━ まあ、あいつと同じ技を使えるから、てっきり私もあの男の仲間 
かと思ってたよ。」 
「最初は、何を言っているのかと思いましたよ。危うく殺されかけて・・・」 
「まあ、そういうんでないよ。つまり、似たような技の使い手が多すぎる世界。確かに、そんな世界で、 
その気の力に頼ってちゃあ、分が悪すぎるねえ・・・。あんたの発想は、分からないでもないんだよ。」 
そういって、老婆は茶をすする。 
「いいかい、私らの使う術は、念じる。これに尽きる。髪の毛で使い魔を創る。相手を縛る糸を手から発する。全ての基本が念ずる事によって生じている。」 
「これは、身体を鍛錬しさえすれば、いいというわけには、いかないんだよ。どうやってもセンスが欲しい。 
・・・まあ、あんたは気を習得できてるから、望みはあるかもしれないねえ。」 
「しかし、それでも頭で理解してもらうには、そうさね、50年は欲しい。そんなに待たせていたら、私にお迎えがきちまうからね。 
・・・私と毎日戦って、覚えてもらうことにしたよ。」 
829 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/01/31 17:43 ID:???
━━━━ 3ヵ月後━━━━ 
「よし、これで伝えられることは、全部伝えといたよ。後、どう使うかは、あんた次第さね、ヤムチャ。」 
「ありがとうよ、婆さん。後はなんとか、自分でやってみる。」 
「まあ、死なない程度にがんばりな。この術、元・・・おっと、術の名前は言わない方が良かったんだっけね?」 
そう言って、老婆はいたずらっぽく笑った。 
「いいかい、何度も言ったと思うけど、この術を使う時は、常識で考えちゃいけないよ。そんなものがあるわけない、と。 
そう、自然には確かに無いかも知れない。 ━━━━ それを創りだすんだ。例えば、その気やらを吸収する物質とか、ね。 
それが、この術の極意さね。」 
「ああ、分かってる。じゃ、そろそろ行くよ。」 
そういったヤムチャは立ち去ろうとした。いや、正確には新たな旅立ちか。それを老婆が呼び止める。 
「そうそう、大切な事を言い忘れていたよ。この術を使う時、身体全部にかけるんじゃないよ。せいぜい、7割ぐらいに留めておきな。 
・・・そうしないと、術で変質したまま、二度と元には戻れないからね。後は、その「地球」とかいう星、かい? 規模の爆発とやらが 
どの程度のものかは知らないけれど、この術にも限界はある。術者の力量次第でね。だから、どうにかしたきゃ腕を磨きな。」 
「・・・分かったよ。日常的に訓練は続ける。じゃ、今度こそ、行くよ。」 
そういって、ヤムチャは、何もない空間に手をかざした。そうすると、空間に穴が空き、何も無い暗闇━━━━ いや 
ここではない、どこか、の風景が移った。 
「元の世界に戻るのかい?」 
老婆は尋ねた。 
「いや、まだまだ戻らない。他の世界に行ってみるよ。まだ、旅立ってから、300年ほどしか経ってないしな。まだまだ、修行が足りない。」 
その話を聞いて、老婆は溜息をついた。 
「はあ・・・まあ、本当によくやるよ、全く。じゃ、元気でね。」 
「婆さんも気をつけてな! また、機会があったらここによるよ!」 
そういって、ヤムチャは空間の向こうへと消えた。 
「・・・そうだね、また会える機会があれば、ね」 
そういうって、老婆は寂しげな笑みを浮かべた。自分に訪れる死の予感を感じとっていたのかも、知れない。 
832 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/01/31 17:49 ID:???
━━━━ そして、現在━━━━ 
「ヤ、ヤムチャさん・・・」 
クリリンがつぶやいた。声も、肩も震えている。クリリンはヤムチャが殺された、と思った。しかし━━━━ 
「・・・やれやれ、服が汚れちまったか・・・」 
そういってヤムチャは起き上がった。 
「ヤムチャさん! 大丈夫なんですか」 
「ああ、心配かけちゃったか。すまないな、クリリン」 
笑いながらヤムチャは片手をあげた。が、内心では、こんな事を考えていた。 
(なんとか、術が間に合ったか・・・ヒヤリとしたぜ。) 
「ほう・・・今ので死んだと思ってたんだが、なかなかシブトイじゃないか。」 
「はは、丈夫さは取り柄でね。」 
ヤムチャは、不敵な笑みを、小柄なサイヤ人に向けた。 
「ほう・・・随分と自信がありそうだな。どうだ、さっき言った通り、残りも全部相手をするのか?」 
ベジータも不敵な笑みを返す。ヤムチャはそれには構わず、きびすを返した。 
「すまないな。クリリン、少し疲れてしまった。変わってもらっていいか?」 
「ははっ、任しといてください、ヤムチャさん。━━━━ いざとなったら、とっておきがあるんです。」 
そういうと、クリリンは1歩前にでた。 
(続くかも) 
432 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/20 18:20 ID:scy2pPs9
クリリンの放った気功波は、スピードこそ大した事はないものの、凄まじい威力が出た。 
敵の目前で、上昇し、高空からいくつかに別れ、ハープーンのようにサイヤ人達に降り注いだ。 
「やったな、クリリン・・・しかし、時間稼ぎをしなくて良かったのか?」 
が、ヤムチャは内心、今ので、サイバイマンというのには、ともかく、サイヤ人にダメージはないだろうと感じていた。 
「いいんですよ、ヤムチャさん・・・これ以上自爆されても困りますし・・・」 
ヤムチャはその言葉を聞きながら、得体の知れぬ違和感を感じていた。 
(もしかすると、俺が生き残って、少しづつ未来が変わってしまっているかも知れない・・・) 
そんな事を考えていると、煙の向こうから、何かが飛び出てきた。 
「サイバイマン!? 一匹生き残ったのか・・・くっ!」 
ヤムチャもクリリンも咄嗟には反応ができない。そして、サイバイマンが向かった先には━━━━悟飯がいる! 
「よけるんだっ!」 
ヤムチャは思わず叫んでいた。しかし、悟飯は驚いて、固まっている。しかし、そのサイバイマンを横から、緑色の手がつかんだ。 
力強い腕だった。 
「くたばれ!」 
その腕の持ち主━━━━ ピッコロは、サイバイマンを上に放り投げると、気功波で━━━━ 文字通り、サイバイマンを消してしまった。 
「あ、ありがとうピッコロさん・・・」 
悟飯が、ほっと息をついた。それを見てヤムチャは、確かに強いが、戦いに向いてないんじゃないかと感じた。 
その言葉にピッコロは苦笑いする。 
「勘違いするな・・・お前を助けたんじゃない━━━━ これから始まる素晴らしい戦いの為のウォーミングアップだ。」 
そしてある方向を、向く。その先━━━━ 煙の晴れたその場所には、サイヤ人がそのままの体制で健在していた。 
433 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/20 18:20 ID:scy2pPs9
「じゃあ、そろそろ、遊びは終わりにして、本気で相手をしてやろうか?」 
「くひひ・・・覚悟しろよお前ら・・・」 
そういって、大男のサイヤ人が1歩前に出る。そして、構えると、気を集中し始めた。 
大地が激しく揺れる。固い地面が抉られ、何かに引っ張られるように、宙に浮かんでいる。 
「こ、これほどとは・・・」 
ピッコロが1歩後ずさった。無理は無い、とヤムチャは感じた。確かに、このパワーはヤバイ。 
ヤムチャは構えながら、味方を庇えるように、前に出る。 
一瞬、大男の気が爆発的に高まった。爆風といってもいいような突風が吹きつけてくる。 
ヤムチャは目を腕で庇いながら、突風に耐えた。そして、突風が収まった先には━━━━ 化け物がいた。 
(さすがに、想像よりも凄い・・・が、凄すぎはしない!) 
ヤムチャはこの中では、冷静な方だっただろう。なにしろ、すでに、宇宙最強の力を一度見ているのだから。 
「く、くるぞ・・・」 
ピッコロの声と同時に、サイヤ人が、大地を蹴って突っ込んできた。獲られるのも苦労しそうなほどのスピード。 
ヤムチャは手のひらを開き、腕を前方に向ける構えに変えた。 
(攻撃を受け止めるのではなく、受け流す━━━━! ) 
ヤムチャは幾人かの師の内の、一人の顔を思い出していた。 
434 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/20 18:21 ID:scy2pPs9
「ヤムチャさん・・・でしたな。」 
小柄な老人だった。その体のどこを見ても、戦闘に向いているとは、とても思えないような外見だった。 
が、その老人に、自分の攻撃は完封されかかったのだ━━━━ その事を思いだし、ヤムチャは苦笑した。 
「攻撃が来る前に、相手の次の攻撃を読む。」 
老人は茶をすする。小さな茶室には、今、この老人と、ヤムチャの二人しかいない。 
「読んだら、後は相手の攻撃の威力を極限まで利用し、護りながら、反撃する━━━━ 
これが護身術。故にいかに相手が速かろうが、関係は無い。」 
「まあ、あんたみたいに空中に浮けるような相手には、もうちょっと技を工夫せにゃいかんかな、カッカッカ」老人は破顔した。そして、真顔に戻る。 
「真正面から馬鹿正直に突っ込んできてくれる、夢のような世界。その話が本当なら護身は有効でしょうな。」「しかし、距離をとられて、飛び道具での攻撃が可能となると・・・さて、こちらはかわす以外には特にやる 
ことは無い訳ですが。」 
「その飛び道具より先手を取れるような方法は、あるのでしょうか?」 
ヤムチャは尋ねた。 
「こちらも飛び道具を持って望む、この老体に思いつけるのはせいぜい、そこまで。後はヤムチャさん、今後のあなたの精進次第。」 
「分かりました・・・どうやら、お客さんも見えているようですし、そろそろお暇させて頂きますよ。」 
ヤムチャはそういうと、立ち上がり、老人に頭を下げた。 
「お世話になりました。」 
「なんのなんの、暇を持て余している老人の話し相手になって下さって、感謝してますよ。」 
老人は再び、破顔した。印象に残る笑顔だ。 
「それでは」 
ヤムチャは最後にもう一度礼をし、茶室を後にした。━━━━ そして、先の見えない旅を続ける。 

435 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/20 18:21 ID:scy2pPs9
「・・・!」 
気がつくと、サイヤ人が、目前に迫っていた。そして、拳を振り上げる。 
(冷静に見れば、モーションは大きいし、攻撃が余りにも読みやすいな。) 
おそらく、あの老人の目には、自分の攻撃は、今の自分のように映ったのだろう。ヤムチャは内心で苦笑した。━━━━ なるほど、確かにこれでは、パワーだけだ。 
相手の拳が飛んでくる軌道に、自分の手を置く。 
そして、一瞬だけ、手のひらで攻撃を受け止め、腕だけでなく身体全体を回転させるように動かして反動を付け━━━━ 下へ受け流す! 
次の瞬間、サイヤ人は、文字通り大地に突き刺さった。大きなクレーターを自分自身の力で作りながら。 
ヤムチャは、成功したのを、一瞬確認すると、後ろへ飛びずさり、距離をとった。パワーの差は明らかだ。 
不意をつかれては、一溜まりも無い━━━━ ヤムチャはそう考えた。 
その直後に、派手なリアクションで、サイヤ人が起き上がった。見て分かるほどに、冷静さを失っている。 
(ありがたい。こちらの思うつぼだな。) 
ヤムチャは笑みを浮かべた。 
「どうした! そのパワーはコケオドシか!」 
「な、何ィィッ! き、貴様・・・調子に乗るんじゃない!」 
さらに、冷静さを失って、サイヤ人は、真正面から突っ込んできた。再び、ヤムチャは気を全て手のひらに集中させ━━━━ 一瞬だけ、そう、1秒にも満たない僅かな間だけ、攻撃を受け止め、そして、相手の力をそのまま利用して、地面に叩きつける! 
サイヤ人は、再び、自分自身の力で、先ほどと同じクレーターを作った。 
(よし、イケる! こいつは俺だけで十分倒せる!) 
ヤムチャは確かな手応えを感じていた。そして、先ほどと同じく距離を取る。これで、このサイヤ人は、俺しか目に映ってないはずだ。クリリン達は、十分な力を持って、本当に厄介な━━━━ あの小柄の方に当たれる。 
ヤムチャはそう考えた。 
436 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/20 18:22 ID:scy2pPs9
(お〜い、ヤムチャ) 
いきなり、何者かの声がヤムチャの意識に割り込んだ。そして、ヤムチャはこの声を知っていた。 
(なんですか、サクシャ! 分かってるとは思いますけど、今、集中してないとヤバイんです。話があるなら後にしてくださいよ。) 
(そういうわけにはいかん。ヤムチャ、今すぐ、負けろ。いや、負けたフリをしろ) 
ヤムチャは愕然とした。 
(な、なぜです━━━━ あ!) 
ヤムチャはその理由に思い当たった。 
(そう、わしはちゃんと言ったはずだ。サイヤ人2人をお前が倒しちゃならん。すでに、かなりの歪みが出ている。) 
(そ、そんな! 俺は、こいつに確実に勝てるんですよ!? なぜ、ダメなんです?) 
(クリリン達には死んでもらわなきゃならん) 
(な、なんだと・・・) 
ヤムチャはサクシャの言葉に、怒りを覚えた。 
(詳しい事は勿論、今はいえんが、お前も生き残れば、その理由が分かる。だから、負けろ) 
ドンッ!! 
大きな、音がした。サイヤ人が起き上がったのだ。そのサイヤ人に、小柄な方から、声がかかる。 
「何をしているナッパ!! 接近戦でダメなら、エネルギー波で吹き飛ばしてしまえ!」 
「わ、分かったぜ、ベジータ・・・」 
(な、なんだ、あの怯えようは・・・そ、それに・・・冷静になった?) 
ヤムチャは、その変わり様に驚いた。 
(つまり、あの小柄は、アイツが怯えるほどの実力・・・) 
ヤムチャは、どうやら、自分の立てた戦略はかなり甘かったようだ、と理解した。 
(チャンスだヤムチャ! 負けたフリをしろ!) 
見ると、ナッパの腕に、凄まじいエネルギーが集まっていた。そして、凄まじいスピードで突っ込んでくる。 
━━━━ 迷っている暇は無い━━━━ 
(く、くそったれ━━━━ !!) 
ヤムチャは、大きく腕をクロスさせ、腕にだけ術をかけ・・・文字通り吹き飛ばされた。 
530 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/22 21:52 ID:N/SRRyQK
ヤムチャはうっすらと目をあけた。頭が痛い。かなり強い衝撃を受けたらしい。 
「!」 
ヤムチャはようやく、今、置かれている状況を思い出した。そして、必死に気配を探る。 
「て、天津飯や餃子の気がない・・・ピ、ピッコロも・・・?」 
落胆する中、一つ新たな気を察知する。 
「こ、この気は悟空か! よかった・・・どうにか壊滅、となる前に来てくれたか!」 
もっとも、自分自身も恐らく、死亡扱いされていただろうから、恐らく、悟空が来る前に 
こちらの戦力はほぼ全滅、といったところか。 
「しかし、ピッコロが死んで、クリリンはともかく、悟飯が生き残っているとは・・・・」 
そして、もう二つ新たな気の存在に気づいた。 
「一つは・・・あの小柄のサイヤ人・・・確かベジータだったか・・・もう一つは・・・」 
「多分ヤジロベーだな・・・よし!」 
ヤムチャは、大地を蹴ると、空へと飛びあがり仲間の元へ急いだ━━━━ 恐らく決戦となる地に。 
(妙だな・・・悟空の気がさっきから小さいままだ・・・) 
ヤムチャは移動する際中に、悟空が瀕死である事に気づいた。 
「それに、ベジータとかいうサイヤ人と、悟飯が戦っているのか・・・」 
(とても、戦闘なんかできなさそうに見えたが・・・さすがは悟空の息子・・・なのか?) 
ヤムチャは、自分が気絶している間に、何が起こったのか後で聞こうと考えた。 
(ナッパとかいうのは、多分悟空が倒してくれたんだろうが━━━━ 見えた!) 
ようやく、ベジータと悟飯の姿を視界に捉えた。 
(もう、悟飯は限界が近いんじゃないか・・・本当に良く戦っている。) 
ヤムチャはその、戦いっぷりに感心しつつ一気に接近する。 
そして、無防備なベジータの背中に渾身の蹴りを入れた。 
岩山を破壊しながらベジータは地面に叩き付けられた・・・いや、ぶつかる前に態勢を立て直している。 
そして、こちらをにらみつけるベジータに向かって、ヤムチャは見下ろす形で不敵にこう言った。 
「待たせたな・・・メンバーチェンジだ」 
531 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/22 21:53 ID:N/SRRyQK
「ほう・・・誰かと思ったらナッパにふっとばされた奴じゃないか・・・生きていたのか?」 
ベジータも不敵な笑みで返した。砂埃で一瞬、姿が見えなくなる。 
「!」 
ヤムチャが気づいた時には、ベジータはもう、自分の目の前に立っていた。 
(凄いな・・・かなりのスピードだ・・・) 
ヤムチャは内心、舌を巻いた。しかし、そんな事は表情に出さずに 
「どうした・・随分疲れてるんじゃないか? もう、大人しく逃げ帰った方がいいんじゃないのか?」 
と、こう返した。 
「ふん・・・随分と接近戦に自信があるようだが・・・試させてもらうぞっ!」 
そう言って、ベジータはヤムチャに向かって攻撃を開始した。 
ヤムチャは、自分に向かって放たれた矢のような拳を受け止めながら、とりあえず、捌くだけにした。 
(こいつ・・・これも、この攻撃もだ。どれもフルパワーで打っていない!) 
「ナッパはおそまつだったかも知れんが、このオレを同じように見ると痛い目にあうぞっ!」 
ベジータはそう叫ぶと、さらに一発一発のスピードを上げた。風を切る音がさらに鋭くなっていく。 
同時に、二人の動きはどんどん加速され、まさに台風と呼べるぐらいの凄まじい余波を周囲に撒き散らす。 
(以前の俺なら、ここでついていけないだろうが、修行の成果は出ているっ!) 
そういって、ヤムチャは自分を鼓舞した。そうしないと耐え切れなかったのだ。それほどの攻撃。 
しばらくすると、ベジータの方が、一旦距離をとった。 
「オレの動きについてこれるんなんて、なかなかやるじゃないか! 地球の奴らは本当に動きだけは 
・・・大したものだ・・・」 
「はあ・・・はあ・・・ふっ、俺もそうだが、お前も息が上がってるぜ・・・」 
(悟空達が、消耗させてくれてなかったら・・・どうなっていたか分からないな・・・) 
ヤムチャは冷や汗をかきながら、悟空達に感謝した。 
少し冷静さを取り戻すと、ヤムチャは、下に妙な気があるのに気づいた。 
(これは・・・悟空がクリリンに何かを託しているのか・・何かしかける気だな・・・) 
532 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/22 21:53 ID:N/SRRyQK
「どうしたっ、怖気づいたか!」 
「貴様っ、調子に乗るな!」 
挑発した瞬間、ベジータが凄まじい勢いで、間近に接近してきた。そのまま蹴りを放つ。 
「ぐっ!」 
ヤムチャはさすがに捌ききれず、吹き飛ばされた。しかし、すぐに空中で態勢を立て直す。 
(柳の枝は・・・流れに逆らわない) 
「くそっ、しつこい奴めっ!」 
ベジータはさらに、二度と耐えさせなどさせぬ、とそれほど気迫を込め追撃を始める。 
(よし・・悟空達から距離をとると同時に、完全に注意をこちらに向けれたはずだ・・・) 
そんな事を考えながら、ヤムチャは昔の事を思い出した。若かりし時の自分。 
(この手が「あの時」に悟空に使えていれば・・・勝てたのかもな。) 
そう、ヤムチャは初めて悟空にあった時の事を考えていた。ヤムチャは極めて冷静だった。 
鋭いく、十分なパワーがあったが、短調になったベジータの攻撃を捌き・・・その力を利用して 
岩山に叩きつけた! クレーターというよりは穴という表現がふさわしい。それほどの威力が出た。 
しかし、すぐに、岩山は砕け、中から、破片を四方に撒き散らせながら、ベジータの姿が見えた。 
そして、ヤムチャの姿を見つけると再び、接近戦を挑んでくる。今度は短調どころか、読むのが 
困難なほどの緩急のついた連撃。ヤムチャは攻撃を捌きながらも、後退を余儀なくされた。 
(もう冷静さを取り戻してやがる・・・しかも大してパワーが落ちてないじゃないか・・・) 
ヤムチャは、ベジータの天才ぶりに驚愕した。 
その時、ヤムチャは視界の隅にクリリンの姿があるのに気づいた。そして、クリリンの手には 
不思議なエネルギーの詰った光の弾が浮かんでいる。 
(あれに巻き込まれるとマズそうだな・・・はは・・・さて、どうしようか) 
ヤムチャはどこまでも冷静だった。 
533 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/22 21:53 ID:N/SRRyQK
どこまでも続く連撃。それを全て捌きながら、ヤムチャはチャンスを待った。 
(なんて攻撃だ・・・反撃の隙がまるで無い・・・) 
もっともヤムチャは、自分のパワーでは、ベジータに決定打を与えられないだろうと、悟っていた。 
そう、どちらにしても「今」はその時ではない。ヤムチャはそれも分かっていた。 
(どうにかして、クリリンに攻撃のチャンスを与えなければ・・・) 
見ると、クリリンは目を閉じ必死にベジータの動きを捉えようとしていた。できれば一箇所に留まって 
隙を作ってやりたい━━━━ そうヤムチャは考えたが、それを許さぬほど、ベジータは強かった。 
(つまり、一発だけ・・・一発だけベジータにダメージを与えなければ・・・) 
しかし、隙の無い攻撃、途切れぬ連撃、読み違えれば、一撃で自分を倒す事が可能なパワー。 
(たった一発・・・一発・・・たった一度だけ━━━━ くそっ!) 
・・・無理だ・・・少なくとも、今すぐには。もっとこちらに準備が要る。ヤムチャはその結論に達した。 
何か・・・何かで、この天才の気を逸らせれば・・・ 
「何してんだ! 速くそれ撃っちまえよ!」 
その時、誰かの声が響いた。ベジータは一瞬だけ、そちらに注意を向けた。ヤジロベーがいた。クリリン 
にも気づいただろう。そして、あのエネルギーの塊にも。こいつは天才なのだから。これはヤバイ。 
が、それはヤムチャが待ち望んだ隙でもあった。 
(複雑な気分だが・・・ありがとよ! ヤジロベー!) 
ヤムチャは一気にベジータとの間合いを詰めた。ベジータは鋭く反応し、それを止めようと拳を繰り出す。 
が、その動きに合わせ、ヤムチャはそれより一瞬速く反応し、拳を受け流す。ベジータの態勢が崩れる。 
━━━━ 読んでいた。 
そして、ヤムチャはさらにベジータの懐に上体をたたみながら突っ込む。小さく、構え拳を腹に当てる。 
その一点に全ての気を込める。そして、ベジータの次の動きに合わせて、カウンター気味に拳を繰り出す! 
ドンッ!! 
次の瞬間、凄まじい音と共に、ベジータは吹き飛んだ。 
534 名前: ヤムチャのあがき [sage] 投稿日: 03/02/22 21:54 ID:N/SRRyQK
「くそっ!」 
ヤムチャは舌打ちした。一瞬だけ、動きがズレた。必殺にはなっていなかった。普通の相手なら、それでも 
十分だが、この天才相手だとどうか・・・ヤムチャはベジータの動きを見逃すまいと注視した。 
クリリンは、このチャンスを見逃さなかった。あの光の弾━━━━ 元気玉をベジータに向けて、放つ。 
それを一瞬だけ見て、すぐにベジータに注意を戻す。すると━━━━ 
(た、立て直しやがった!) 
悪い予感が当たった。ベジータはこのヤムチャの渾身の一撃にも耐え切った。空中で回転し、止まる。 
(だ、ダメだ・・・かなりのスピードだが、それでも少し距離に余裕がある!) 
すでに、元気玉はベジータのすぐ近くまで迫っていたが、あの天才ならかわす。ヤムチャはそう確信した。 
次の瞬間、ヤムチャは飛び出していた。ベジータが元気玉に注意を向けたのを見て、一気に接近する。 
そして、背後から、ベジータにしがみついた。 
「き、貴様っ、なんのマネだ!」 
「かわされると困るんでね・・・付き合ってもらう!」 
ヤムチャはそう言うと同時に、急いで、全身に念を込めた。 
(体のほぼ全体を、気を中和する元素に「変質」! なんとか消えずに持ちこたえろよ、オレの体!) 
それは、長い旅で出会った老婆に禁じられた方法だった。元に戻れなくなるかも知れない、と。 
ベジータはぶつかる直前、急に掴んでいた力が消えたのに、驚いただろうか? 
そんな事を考えながら、ヤムチャはベジータと共に━━━━ 元気玉に巻き込まれた。 

687 :ヤムチャのあがき :03/02/28 16:37 ID:IouWr+z8 
元気玉は、ヤムチャの予想を超える凄まじい威力を発揮した。空中に打ち上げられながら
ヤムチャは必死にその火力に耐える。
(こ、この出力は・・・本当に・・・体がバラバラになりそうだ・・・)
ヤムチャは堪えきれず意識を失った。
ドスッ ドスッ!!
元気玉の火力がようやく収まり、一気に静寂を取り戻した場に、大きな音が二つ響いた。
「サ、サイヤ人・・・それにヤムチャさんも」
「大丈夫・・・多分、両方生きちゃいない・・・」
一時の緊張が切れ、すっかり歳相応の振る舞いを取り戻した御飯に、クリリンは安心させる
ように応えた。
(オ、オレは生きているぞクリリン・・・)
激突の時のショックでヤムチャは意識を取り戻していた。ヤムチャはクリリン達を安心させようとしたが
体を動かすことはおろか、声すら出せない状態だった。
(く、くそっ・・なんて火力だ・・・術で防がなかったらコナゴナだっただろうな・・・)
(そ、それにしても、元気玉の、な、何割かはオレが中和しちまったからな・・・果たしてベジータを
倒すのに充分だったか、どうか・・・)
「そ、そんな・・・ヤムチャさんまで・・・」
「安心しろ御飯・・・多分、なんとかなるはずだ。」
クリリンは自分に言い聞かせるようにいった。そして、サイヤ人の方に目を向ける。
「こんな奴でも一応墓ぐらいは作ってやらないとな・・・」
クリリンはそういって、ベジータの方に近づいていった。
「貴様達の墓をか!」
そう叫ぶと、ベジータはいきなり立ち上がった!


688 :ヤムチャのあがき :03/02/28 16:37 ID:IouWr+z8 
クリリンは驚きのあまり、固まってしまったようだが、それはヤムチャも同じだった。
(な、なんてタフな野郎だ・・・)
「今のはオレも死ぬかと思った・・・」
そして、ベジータの全身に気が張り巡らされてゆく。かなりパワーは弱くなっていたが・・それでも・・・
「いいかげんにして・・・くたばっちまえ・・・」
ザンッ!
鋭い音がすると、ベジータは膝をついた。ヤムチャは必死に目を向けると、その背後にはヤジロベーがいた。
が、そのヤジロベーの渾身の一撃にもベジータは堪えきった。再び、立ち上がる。
ヤジロベーは逃げようとしたが━━━━遅い
「はっ!!」
ベジータの全身から発した爆風に巻き込まれ・・・ヤムチャは為すすべも無く吹き飛ばされた。



689 :ヤムチャのあがき :03/02/28 16:38 ID:IouWr+z8 
「ぐっ・・・」
ヤムチャが次に気がついた時・・・空に向かって、丸い乗り物が凄まじいスピードで上へと昇って
いくのが見えた。
ヤムチャは、急いで周囲の気配を探った。・・・どうやら、皆、生きているらしい。
(終わったか━━━━)
どうやら、こちらに近づいてくるらしいクリリンに、ヤムチャはどうにか動くようになった片手だけを
上げて応えた。
「それにしても、随分腕を上げたなヤムチャ」
「本当に凄い動きでしたよ」
「オレも必死に鍛えたからな・・・皆、生き残る事はできなかったが・・・」
そういってヤムチャは溜息をついた。が、内心でサクシャの言葉を思い出していた。
(さて、これからどうなる・・・?)
「それのことなんですけど・・・」
クリリンが改まった口調でいった。
「もしかすると、天津飯さん達、生き返らせる事ができるかも知れないんですよ!」
「ほら、ヤムチャさんや御飯は聞いたはずですよ。ピッコロがナメック星人だって」
「・・・で、そのナメック星人がどうしたんだ?」
ヤムチャは先を促す。
「サイヤ人達はこういったんです。ナメック星には何でも願いを叶える不思議な玉がある、と」
「もしかすると・・・ドラゴンボールか!?」
ヤムチャは驚いた。
「そうですよ。そのナメック星にいって、ドラゴンボールを集める事ができれば・・・」
「ピッコロさん達は生き返る・・・」
「やったな、すげえじゃねえかクリリン!」
飛行船内は活気づいた。が、しかし
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・・」
不機嫌な声が響いた。声の主はブルマだった。



690 :ヤムチャのあがき :03/02/28 16:38 ID:IouWr+z8 
その後、ナメック星までの距離が余りにも遠い事が分かり、皆、落胆しかけたが、昔神様が乗ってきた
宇宙船の存在が判明し、どうにかナメック星に行ける目処がついた。
そして、ヤムチャは再び、ペンギン村を訪れていた。サクシャに会う為だ。
「・・・おひさしぶりです。」
ヤムチャは形だけの敬意を込めて挨拶した。
「どうした・・・不機嫌そうだな。」
いつも通りサクシャは、なんの感情も込めない淡々とした声で喋る。
「当たり前じゃないですか・・・あの時止めなければ、天津飯達を死なせなくても済んだかも知れない
んですから。」
その言葉を聞いて、サクシャは溜息をついた。
「言ったはずだ・・・歴史を変える事は許さん・・・」
「・・・・」
「で、これからお前どうするんだ? このままナメック星に行かず、地球にいれば、しばらくは
穏やかな日々を過ごす事ができる。・・・これからは、本当に力の暴走が始まる。今が降りる最後
のチャンスだぞ」
「色々考えたんですけどね・・・オレは地球に残ります。というよりは・・・」
そういってヤムチャは後ろに空いた空間を指で差した。
「どうやらまだまだ、修行不足のようですからね・・・オレが活躍するには」
そういってヤムチャはニヤリと笑った。
「そうか・・・」
サクシャはそれだけを応えた。

777 :ヤムチャのあがき :03/03/05 17:27 ID:R/nQ9T+j 
━━━━不思議な老婆だった。言葉使いが荒っぽく、善人かと思えば、性格はまるで正反対。が、どこか
すがすがしい感じの印象を受ける。
「ふん、もう息が上がったのかい?」
老婆がヤムチャに話しかけた。ヤムチャは下を向き、息を切らしながら
「無茶苦茶ですよ。カメハメ波どころか、操気弾も効かないなんて・・・」
ヤムチャは情けない声で応えた。もっとも、効かなかっただけでは無いのだが。
「弱音を吐くのは勝手だけどね。霊・・・じゃなかったな気・・そう、気功波の鍛錬がしたいと
いったのはあんただよ。」
二人がいるのは、少し大きい道場の内部。その中央で、二人は修行を続けていた。
「あんたは、あたしがちょっと前に戦ったピエロの格好した奴に少し似ているね。コントロールは確かに
上手だが━━━━それに実がない。そんな風じゃ、今まで肝心な所で負けてきたんじゃないのかい?」
そういうと、老婆は意地悪げに笑った。
「そんなあんたには、私のとっておきを教えてやるよ。今やってみせた奴をね。が、こいつはあんたの
操気弾とかよりも、さらにコントロールが難しいし、接近戦を挑まれたら役には立たない。そこら辺を
納得して、尚やる気があるんだあったら、挑戦してみな。」
その言葉に、ヤムチャは静かに頷いた。
━━━━数週間後━━━━
「それでは、お世話になりました。」
そういってヤムチャは頭を下げた。
「ふん、最初は見ちゃいられなかったけど、どうにかできるようになったじゃないか。まあ、それを
どう応用するのかは知らないけどねえ。」
老婆は耳をほじりながら応えた。
「あの・・・」
急に聞こえた、その言葉の方にヤムチャは目を向けてみた。見ると、高校生が3人ぐらいいる。見た感じ
こういった場所に来るような人間には見えなかったが、どこか不気味な感じもした。
「ほう・・・どうやらお客さんみたいだね・・・あんた、行くならとっとと行きな。」
「あ、はい・・・」
もう一度、頭を下げるとヤムチャは道場を後にした。
「そろそろ・・・また一度戻ってみるかな・・・」
そうつぶやくと、ヤムチャは元の世界へ帰る扉を開き、入っていった。



778 :ヤムチャのあがき :03/03/05 17:28 ID:R/nQ9T+j 
「・・・なんだって!?」
ヤムチャは、その知らせに驚いた。聞くと、クリリン達はナメック星についたのは良いが、とんでもない
化け物と鉢合わせしたらしい。しかもベジータもナメック星に行っているという。
「それで、その宇宙船はもう出来ているんですか?」
ヤムチャはブルマの父に尋ねた。何度話してもそう思うが、ブルマの両親はどこか話に独特のテンポがある。
「うむ・・・それがね、大体出来ているんだけど、肝心な所がな・・・」
そんな事を話していると、向こうに懐かしい姿が見えた。
「悟空!? もうケガが直ったのか?」
「あれ、ヤムチャじゃねえか! おめえ今までどうしてたんだ?」
いつも通りのケロっとした顔で、悟空は応えてきた。
(どうやら、ちょくちょく戻っていたつもりだったが、少しの間に色々あったようだな・・・)
「ヤジロベーに新しい仙豆をもらったんだよ。ほれ、もうこのとおり」
そういうと、悟空はガッツポーズを決めてみせた。
「・・・そうか、オレも今、その宇宙船を見せてもらおうと思ってたんだよ。」
「てことは、ヤムチャもナメック星に行くのか?」
「ああ、勿論だ。クリリン達の危機に黙ってられないだろ・・・天津飯達のこともあるしな」
そんな事をしゃべりながら歩いていると、じきにその宇宙船が見えてきた。
「へえ・・・随分広いんですね。」
ヤムチャは宇宙船内に入って、かなり内部に広い空きがあるのに驚いた。
「へへー、修行できるようにしてもらったんだ。そういやブルマの父ちゃん、あの頼んだ奴は?」
「ああ、重力装置か・・・それなら、これだ。」
といって、いくつかある中の一つのスイッチを押した。その途端に、船内の空気が重くなった。
「これは?」
「重力発生装置だよ、ヤムチャ君」
「おらが頼んで作ってもらったんだ・・・ところで、後できてねえとこって何なんだ?」
「ああ、それはな・・・」
そういって、ブリーフは船内を見回した。



779 :ヤムチャのあがき :03/03/05 17:28 ID:R/nQ9T+j 
「ラジカセの位置がなかなか決まらなくてな・・・最高の音を出すには、結構置く場所が難しいんだよ。」
「はい?」
「いっ!?」
二人はそれぞれ驚きの反応を示した。
「じゃ、じゃあ、そのラジカセのせいで完成してないのか?」
悟空はブリーフに尋ねた。その問にブリーフは頷いた。
「い、いいってそんなもん、ブルマの父ちゃん、おいら達、急いでるんだよ!」
「な、なにっ、ラジカセも無しでいいのか?」
「うん、いいからいいから」
それで悟空はせわしなく準備を始める。ヤムチャもそれを無言で手伝った。
(やっぱり変わってるな・・・ブリーフさん・・・)
ヤムチャは少し呆れていた。
ほどなく、宇宙船は出発した。
「ほう、急ごしらえで作った割にはちゃんと飛んだな・・・」
この言葉を悟空達が聞いたら、どんな顔をしただろうか。
━━━━宇宙船内━━━━
「ふう、どうにか宇宙に出られたな・・・」
「どうだ、ヤムチャ、おら今から重力装置で修行すっけど、おめえも付きあわねえか?」
「いいぜ、悟空。」
ヤムチャはそういってニヤリと笑った。
「よし、じゃあ、まず20倍からいってみっか・・・」
ブンッ!!
その直後、重力が一気にヤムチャに圧し掛かってきた。
(こ、これはキツイ・・・ち、地球に残れば良かったかな・・・)
ヤムチャは悟空に付き合うのが、いかに無謀か思い出していた。


780 :ヤムチャのあがき :03/03/05 17:28 ID:R/nQ9T+j 
「せやっ!」
「はっ!!」
100倍の重力にも慣れ、悟空達は二人で手合わせするようになっていた。
(ベジータも凄かったが、やはり悟空のセンスも相当なもんだ・・・)
攻撃を受け流しながら、ヤムチャは冷や汗を流していた。
(今の悟空は・・・すでに、あのベジータのパワーを数倍どころか、十倍以上は超えたか?)
凄まじい悟空の成長にヤムチャは驚きながらも、悟空の連撃に1歩も引かない。
しばらく続いて、双方一旦距離をとった。
「や、やるなあヤムチャ。おらの攻撃が全然効かねえなんて・・・・」
悟空は素直に感心したようだ。
「じゃあ、こいつはどうかな。」
悟空はいたずらっぽい笑みを浮かべた。そして、カメハメ波の構えを作る。
「ま、まてっ、悟空っ!」
ヤムチャは焦った。このパワー差でカメハメ波をまともに受けたら・・・自分など灰も残りは
しないだろう。
(や、ヤバイ・・が、あれを試すには絶好の機会か)
ヤムチャは冷静さを取り戻し、カメハメ波に備えた。
「カメハメ波っ!」
短い気の溜めで、悟空はカメハメ波を放った。有り難い事にフルパワーではないようだ。
ヤムチャはそれを両手で受け止め・・・師範の技を使おうとしたが・・・
(だ、ダメだ・・失敗した・・お、押され・・・)
カメハメ波はヤムチャの手元で小さく爆発を起し、ヤムチャを吹き飛ばした。
ヤムチャは受け身も取れず、壁に叩き付けられる。
「す、すまねえ・・・大丈夫か、ヤムチャ・・・」
悟空は多少心配した様子で声をかけてきた。それにヤムチャはどうにか手を上げて応える。
(く、くそ〜、師範の技、やっぱり気への応用は難しいか・・・)
ヤムチャは自分の修行不足を思い知らされた。

342 :ヤムチャのあがき :03/03/19 18:17 ID:+jZMehh7
「よし、そろそろ重力を元に戻してみっか・・・」
ここは、ナメック星に行く、悟空とヤムチャを乗せた宇宙船、その内部。
低い機械音がすると、ヤムチャは体が急に軽くなるのを感じた。
「はっはー、軽い軽い!」
悟空も、その変化を楽しんでいるようだ。
━━━━ナメック星まで後、僅か━━━━
広い荒野・・・いや、ほぼ荒野だけの星。そこに悟飯達はいた。
ナメック星は不思議な星である。そして、そこに済む人々も。太陽が3つもある為、日が暮れる
ということが無く、栽培している作物はアジッサという木の種で食用ではない。
そもそも、一人でも生き残れば再び、種族を増やしていく事が可能なのだ。とてもタフである。
そのタフなこの星の住人に、協力してもらうべきだったか・・・そういった機転を効かせれなかった
自分自身をクリリンは責めていた。━━━━無理もないだろう、こんな状況では。
「はあっ、はあっ・・・」
あの地球で圧倒的な強さを見せたベジータが、たった一人の異星人にいいようにあしらわれたのだ。
まさにクリリンや悟飯にとって悪夢のような光景だった。
そもそも、それ以前にドラゴンボールを全て奪われてしまったのは、致命的だった。しかし、それを
再び取り戻す為に、どうしようか、などという余裕は今の悟飯達にはない。むしろどうやって殺され
ないようにするか、それを考えるべきだった・・・もう手遅れだったが。
そんな絶望感を味わっていたとき・・・高空から何かがこちらに向かってきた。宇宙船のようだ。
それは悟飯達が待ちわびたものだった。
「わりいけど先にいってるぞ、ヤムチャ!」
「心配するな、すぐに追いつく!」
そう言って、悟空は悟飯達を救うべく飛び立った。
それを見送ると、ヤムチャは虚空に手をかざして、漆黒の空間を作り出した。異世界への移動を何度も
繰り返す間に、ヤムチャはこの空間の微妙なコントロールができるようになっていた。そう、自分の行
きたい場所へ、自在に調節できるほどまでに。その中に入っていく。
(こうやって移動した方が疲れなくて済むんだよな・・・)
そんな事を思いながら、悟空の援護として何ができるか、それを考えはじめた。



343 :ヤムチャのあがき :03/03/19 18:18 ID:+jZMehh7
ヤムチャは戦場からは少し離れた位置にでた。
(よし、惚れ惚れとするほどのコントロールだ・・・)
見るとすでに悟空は到着していた。悟飯達の元へと近づき何かをしている。恐らく仙豆を食べさせている
のだろう。ヤムチャは宇宙船内で、悟空が勧めてきた仙豆を全てことわっていた。どうやら、それが役に
たったようだ。しかし、さすがにベジータにまで仙豆を渡してしまったのは驚いた。
(悟空らしい考え方だ・・・)
ヤムチャは思わず苦笑した。そしてゆっくりと戦場へ近づいていった。
「おい、バータ! あいつの戦闘力はいくつだ」
「がっかりするなよ、たったの5000だ!・・・ん?」
ギニュー特戦隊は、ようやくヤムチャの存在に気がついた。
「なんだ・・? あいつも仲間か、どれ・・・」
ジースは慣れた手つきでスカウターを作動させた。スカウター、画期的な機械である。これの登場により
偵察といった行動をしなくていいと共に、彼我の実力差が簡単に数値になって表れる。まさに侵略する側に
とってこれほど有り難い兵器もないのだろう。しかし、今回に限ってそれは全く効果を現さなかった。
「なんだ・・・故障か?」
ジースはありえない結果が出たのに驚き、そう結論づけた。微妙な狂いも許されない精密兵器がそう度々
壊れるようでは、意味が無いのではないか?・・・それを無視した都合のいい言葉だった。


344 :ヤムチャのあがき :03/03/19 18:18 ID:+jZMehh7
「どうしたんだ、ジース? 故障ならオレので計ってやる」
バータも同じようにスカウターを操作した。そして、ジースと同じ結果がでた。
「せ、戦闘力0だと? どうなってやがる?」
そう、それはありえない数値であった。0とはつまり存在しないことと同じようなものだからだ。
しかし、二人は唖然としてしばらくそのままスカウターを見ていると、モニターが0から1に交互に
ぶれているのが分かった。
「なんだ・・・低すぎて拾えなかったのか・・・笑わせやがるぜ!」
二人はようやく「望んだ結果」が出てきて安心した。勿論真実は、二人が思っているようなものでは
無かったのだが。
「へっへっへ、戦闘力5000でリクーム様に挑むとは笑わせてくれるぜ!」
そんな二人の些細な疑問には関係なく、戦場ではすでに、悟空とリクームがにらみ合いを始めていた。
そして、リクームと名乗る異星人がいきなり、無防備なままパワーを溜め始めたのをみて、ヤムチャは
あっけにとられた。自分の敗戦の中でも特に苦い記憶、あの足元がお留守ですよを超える衝撃だった。
このリクームの強さとは、相手に恐怖を与えて始めて真価が発揮されるものだった。それを全く感じて
いない、今のヤムチャのように冷静に観察すると、リクームは格闘家という点ではプロなどではなく、
アマチュア・・・いや素人といっていいレベルだった。当然、ヤムチャでも気づけた弱点を、同じ状況の
悟空が見逃すはずも無く
ドスッ!!
鈍い音がすると、リクームはそのまま崩れ落ち、派手な音をたて倒れた。当然の結果だった。もしパワー
だけで勝てるのならば━━━━誰も苦労しない。
勿論、悟空はパワーでもリクームを遥かに上回っていたのだが。
「な、なにっ!?」
またありえない結果になんらかの答えを見つけるべく、二人はさかんにスカウターを操作し始めた。最も
そんな事をいくら続けても、望む答えは出ないのだが。



345 :ヤムチャのあがき :03/03/19 18:19 ID:+jZMehh7
「多分、リクームは油断してやられたんだ!」
二人は、そういう結論に達した。悪くない推測だった。但し、自分達もすでに油断しているのに気づけれ
ば、だが。
「ギニュー特戦隊っ、バータ! とうっ!!」
「ジース! とうっ!!」
ギニュー特戦隊のシンボル、スペシャルファイティングポーズを決めると、二人は戦場に向けてグングン
加速していった。
さすがに宇宙一のスピードと自負するだけあって、バータの移動速度は凄まじく、クリリン達には全く
見えなかった。ヤムチャも目で見えているわけではなく、気配でなんとなく動きが追えるだけである。
ヤムチャはベジータにちらりと目を向けながら、自分も参加するべきかどうかを考えた。
しばらく様子をみて、ヤムチャは自分が助けにいく必要はない、と判断した。二人は、悟空の相手になって
なく、ほとんど軽くあしらわれている感じである。
ビシュッ!!
空気を切り裂く音と共に、空中で打撃音の応酬が続く。悟空は全く攻めておらず、ほとんど防いでいるだけ
である。リクームよりは余程マシな動きだったが、それでも、例え二人がかりでも悟空には遠く及ばない事
にようやく二人は気づき始めた。
二人は埒があかないと思い、一旦距離をとる。
「く、くそっ、なんであんな野郎に・・・おい、ジース!! クラッシャーボールを使えよ!」
「わかったぜ・・・」
ジースは屈辱に耐えながら、クラッシャーボールの発射態勢に入った。
「似ている・・・」
ヤムチャはその構えがどことなく、操気弾に似ているのに気づいた。
バータは自身の最高速を出した。悟空の目前から霞むように移動し、消え去った。空気を切り裂きながら、
相手の目にも止まらぬスピードで出し抜く。この瞬間がバータは好きだった。そして、そののスピードは
今回も望む結果をバータにもたらした。悟空の背後に回りこみ、そのまま羽交い絞めにする。
それを見ると、ジースは自分の手のひらに球の形をしたエネルギーの塊を生み出した。



346 :ヤムチャのあがき :03/03/19 18:19 ID:+jZMehh7
「ま、まるで操気弾じゃないか!」
ヤムチャは異星人の放とうとしている技が、自分の技そっくりなのに驚いた。
「クラッシャァー!」
エネルギーの塊の出力が一気に上がる。出力が上がりながら、エネルギーは球の形を保つように、収束
していく。
「ボール!!」
ジースの手から、クラッシャーボールが放たれる。技の性能そのものなら、操気弾を超えるまさに必殺
といっていいものだった。しかし、悟空はこんな状況でも冷静さを保っている。
後20メートル。悟空は余裕の表情だ。
後10メートル。「もらった!」バータが勝ち誇った。バータからは悟空の表情は見えなかった。
後5メートル。悟空は表情を引き締めると、瞬間的にパワーを開放した! その勢いで、バータは思わず
悟空を離してしまった。
後3メートル。悟空はバータの目前から文字通り消えた。そしてバータの視界一杯にクラッシャーボール
が映る。
「うおぉ!」
バータは気合を入れると、一瞬で移動し、回避に成功した。彼の自慢のスピードはまたも彼の期待に
応えた。彼は満足した。次の瞬間悟空がバータを上回る速度で、バータの背後に回りこみ、一撃で気絶
させられても━━━━彼は満足したままだった。
狙う目標の無くなったエネルギーの塊は、そのまま地面に落ち、爆炎を上げた。
「こいつもむこうの奴も、まだかろうじて生きてる! こいつらつれてとっととこの星から出てけ!」
とても悟空らしいセリフだった。が、ジースはそれを聞かず一人で逃げ出した。