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ヤムチャ摩訶不思議紀行



1 名前:ダブン駄文 :2003/01/01 01:28 ID:KWbP8QuU   
『ヤムチャ摩訶不思議紀行』 其の壱
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全世界が恐怖したピッコロ大魔王が孫悟空の活躍により打破されてから半年。
亀仙流の門下を出た若き戦士達(といっても内2人は門下外だが)は四年後に開催される天下一武闘会での再会を誓ってそれぞれ修行の旅に出ていた。
 そして、とある荒野に、かつてそこで『荒野のハイエナ』と恐れられた一人の男が再び足をつけた・・・・・。
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 みんなと別れてはや、半年。
悟空と圧倒的に開いてしまった力の差をどうやって埋めればいいのか、はたして自分はどこまでやれるのか、悩んで旅するうちに結局オレはこの荒野に舞い戻っていた。
体が壊れる限界まで自分を追い込み、たまに現れる盗賊を相手にして・・・そんな修行の日々を送る毎日だった。
(まだだ・・・。 オレはまだまだ強くなるはずだ・・・。)
彼方に離れた岩山を狙って気功波を放ってみた。 が、オレの気功波は岩山をかすめて、その側面を若干削り取っただけで、砂塵でかすむ地平線へと消えていった。
「クソ、こんなんではまだまだだ・・・。」
言いようのない悔しさがこみ上げてきたその時、オレのこの荒野で鍛えられた強靭な視力は一機の墜落したフライヤー(小型飛行機)を確認した。
(まさか今の気功波の直撃をくらって堕ちたわけじゃないよな・・・)




2 名前:ダブン駄文 :2003/01/01 01:29 ID:KWbP8QuU   
『ヤムチャ摩訶不思議紀行』 其の弐  
 墜落したフライヤーの下にいたのは一人の初老の男だった。
背丈は低く、やせ細った体、ほとんどが白髪になった頭髪、それでもどこか高貴な印象を受けるその老人は盗賊ひしめくこの荒野にはひどく不似合いだった。
話を聞いてみると彼の名はホスピさん、東の町の医者らしい。
オレは彼を荒野の真ん中においていくわけにもいかないので、彼の目的地の荒野を抜けたところにある村までジープ(オレがカプセルで携帯していたものだ)で送ってやることにした。

「それじゃ、ホスピさんは村までそのワクチンを届ける予定だったんですね。」
ホスピさんは幼い子供のような愛嬌のある目をオレの方に向けた。
「あぁ、10年周期で流行る流行病の予防薬でな。 今日中に届ける予定だったんじゃがここの砂塵でフライヤーの機器が狂っちまってのう。」
「こいつ(ジープ)なら眠らずに走らせれば明日の朝までにはつきますよ。」
オレとホスピさんとジープを走らせながら淡々とした話を続けた。
バババババババババ・・・・・
突然、前振りも無く小型機銃の掃射がオレ達を襲った!!
「ホスピさん、衝撃に備えて!!」
オレはジープのハンドルをジグザグにきって荒野を疾走させた。
幸いジープにもオレ達にも一発も当たらなかったが(威嚇射撃だったのだろう)、どうも盗賊どもに目をつけられた様だ。 後ろから3台のジープがつけて来ている。
「まったく、なんだってこんなときに・・・」




3 名前:ダブン駄文 :2003/01/01 01:30 ID:KWbP8QuU   
『ヤムチャ摩訶不思議紀行』 其の参  
「ホスピさん、ハンドル握っててください」
「へ? な、なな、なんじゃと!?」
オレはジープの運転席から身を乗り出し、後部座席を蹴って後方の盗賊のジープの一台に飛び移る。
急な出来事に慌てふためく盗賊がさっきの機銃をオレに向けたが、機銃ごとそいつを蹴り落とす。
そのまま隣を並走していた別の一台の運転手に飛び掛り、そいつの頭を足場にもう一台のジープに飛び移る。
オレに足場にされたヤツのジープはパニックを起こしたのか、近くの岩山に激突した。
最後の一台のヤツは車をあえて横転させて(オレは当然、跳躍して軽くよけたが)、車を捨てて逃げ出した。
「まちな」
「ひいいイイィィィィ。」
そいつの肩をグイと掴んでやると、そいつは情けない泣き声をあげた。
所詮、集団で襲ってくる盗賊なんてこんなものだ。 オレはそいつを一撃でかるくのしてやった。
「ホスピさん、終わりまし・・・・・!!!!!?」
しまった!! 振り向くとホスピさんの運転するジープは遥か彼方へ・・・・・。
「オレのジープーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
かつてない全力疾走でオレは自分のジープを追いかけた。

そのときはその様子を岩山の影から2人の男が見ているとは気づきもしなかった・・・。



4 名前:ダブン駄文 :2003/01/01 01:31 ID:KWbP8QuU   
『ヤムチャ摩訶不思議紀行』 其の四 
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〜前回までの話〜
悟空がピッコロ大魔王を打破した後、亀仙流門下の戦士達はさらなる飛躍のため、それぞれ修行の旅に出た。
その中の一人、ヤムチャは以前自分が盗賊業を行っていた荒野で、とある村まで流行病の予防薬を届けに行くというホスピ医師と出会い、彼をジープで目的地まで送り届けることとなった・・・。
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 日が暮れた頃になると徐々に風が強くなり、巻き起こる砂塵で視界も悪くなってきた。
このまま風が強まればジープでの走行も不可能になる、と助手席のホスピさんに説明すると彼は静かにうなずいた。
不安からか彼の口数も減り、会話も途切れ途切れになる。
夜の闇の中、聞こえるのは強まる一方の風の音。
どうもこのままでは本当にジープでの走行が不可能になってしまいそうだ。
夜の闇の中、聞こえるジープの走行音も風の中へと飲み込まれた・・・。




5 名前:ダブン駄文 :2003/01/01 01:32 ID:KWbP8QuU   
『ヤムチャ摩訶不思議紀行』 其の五 
結局その日はカプセルハウス(半球体の小型の家、ホスピさんがカプセルとして携帯していたもの)で一泊することになった。
「明日の朝にはこの風も止むんですかの」
ホスピさんの質問にオレは「荒野の風は気まぐれですから」とだけ答えておいたが、正直、これほどの砂風が夜のうちに止むとは思えなかった。
窓の外はもう完全に闇につつまれ、ハウスの中まで聞こえる風の音が不気味に響く。

・・・・・・・ドドドドド・・・・・・・・

!!?
オレの耳は風の中に聞きなれない音をとらえた。
車の走行音だろうか、ホスピさんはまだ気づいていないようだが、音の発信源はそう遠くない。
オレ達と同じ境遇の旅人か、もしくは新手の盗賊どもか。
オレは適当に理由をホスピさんに告げると、様子を見にハウスの外に出た・・・。



6 名前:ダブン駄文 :2003/01/01 01:33 ID:KWbP8QuU   
『ヤムチャ摩訶不思議紀行』 其の六 
オレは驚愕した。 目が点になる、とはよくいうが、自分の目はおそらく今“点”になっているだろう。
巻き起こる砂塵と闇の中から現れたのは1台の巨大な車だった。
いや、タイヤや装甲をカスタマイズされたそれはもはや車とは呼べない。 “戦車”のほうが適切だろうか。
とにかく、そんなものが嵐の荒野のど真ん中に現れたのだ。 驚くしかない。
立ちすくむオレの前に“戦車”の中から二人の男が降りてきた。
一人はウェスタンハットを深々とかぶり、その帽子のツバの下からは鋭い眼光がうかがえる。 それなりの実力者であることを連想させる巨漢だ。
もう一人は、どうやらウェスタンハットの男の子分のようだ。 赤いバンダナを巻き、ヘラヘラと後ろで笑っている。
状況を上手く整理できないオレにウェスタンハットが先に口を開いた。
「貴様が“荒野のハイエナ”のヤムチャだな。 今日、貴様の戦いぶりを見させていただいた。
相手にとって不足なし。 さぁ、正々堂々勝負なされぃ。」
・・・・・あまりの唐突な相手の発言にオレはしばらく頭を整理できず、ポカンと間抜けに口を開けていた。
が!!、状況を理解するとすぐにオレは戦闘体勢をつくる!

どうやらオレは決闘を申し込まれた・・・らしい。