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魔人ブウは魔族なの?

 

 


806 名前:魔人ブウは魔族なの?[sage] 投稿日:03/06/22 21:30 ID:???
〜エピローグ〜
むかしむかしあるところに、魔導師ビビディというおじいさんがいたそうな。

ある日、おじいさんが部屋で魔法の特訓をしていると、突然、机に置いてあった人形が

おじいさんの唱えた呪文に反応しました。おじいさんは特訓の中で、バリヤー、催眠、混乱の

魔法しか唱えていなく、物体にいのちを吹き込む魔法は唱えていません。

不思議に思ったおじいさんは人形を持ち上げて見ました。

すると、見る見るうちに人形は大きくなって動き出しました。

そして、人形は奇声を発すると、一目散に部屋から飛び出していってしまいました。

呆然とするおじいさん。

約1時間後、その人形はおじいさんの元に戻ってきました。

―服に真っ赤な血を染めて―

 


807 名前:魔人ブウは魔族なの?第1話[sage] 投稿日:03/06/22 21:31 ID:???


孫悟空とマジュニア(ピッコロ大魔王)の死闘が繰り広げられた天下一武道会が終了して
一年が経過した。悟空はマジュニアにとどめを刺さずに逃がしたことから、後にマジュニアが
報復など良からぬ事をしでかすのではないか、と危惧されたが今のところ世の中は平穏だ。
武道会後、悟空はチチと挙式をあげた。そして、近々子どもが誕生するとのことだ。
天津飯と餃子は放浪の旅に出て、クリリンはカメハウスで亀仙人と悠悠自適の生活を送っている。

―そして、我らがヤムチャ様は―

天下一武道会での活躍を聞きつけた大手タレント事務所が、ヤムチャを是非、歌手デビュー
させたいとのラブコールを本人に送った。甘いマスクに爽やかな性格、それに強さも兼ね備えて
いるヤムチャは芸能界にうってつけのキャラクターだった。
ヤムチャは最初困惑した。(仮にもオレは武道家の端くれ。そんな浮ついた世界でやっていくなど
もってのほかだ!)。しかし、プロダクションの「スターになれば毎日ギロッポンで美女とパフパフ
できますよ」の一言に玉砕された。
かくして、ヤムチャはデビューシングル『ロンリー・ウルフ』で芸能界デビューを果たした。
チャート初登場35位からじわじわとランクを上げて、発売2ヶ月後ついに1位を獲得した。
それと同時進行で人気もグングン上がり、西の都では空前のヤムチャブームが巻き起こった。
次々に入るテレビ出演、雑誌のグラビアの仕事。ファーストアルバムのレコーディング、毎夜の
ギロッポン進出・ ・ ・。
ヤムチャは人生の絶頂期を謳歌していた。

 


808 名前:魔人ブウは魔族なの?第2話[sage] 投稿日:03/06/22 21:31 ID:???
今や西の都一の有名人となったヤムチャ。贅沢三昧の生活を送る一方で、追っかけ、ストーカー、
パパラッチの迷惑行為にイライラしていた。プライベートまで覗かれることに対する不快感よりも、
居候しているカプセルコーポレーションの皆に迷惑をかけてしまっていることを申し訳なく思う
ヤムチャ。そんなこともあるものだから恋人(?)のブルマにシカトなどの冷たい仕打ちを受けて
いた。
それもこれもヤムチャがいけないのだ。「しばらく修行のことを忘れて遊びたい。マスコミには
おまえ(ブルマ)のことは従兄弟だと言ってある」とブルマに言ってしまったものだからさぁ大変。
ブルマにボコボコにされるだけならまだしも、絶交を言い渡されてしまったのだ。
さすがにヤムチャは(まずいことをしたな)と反省したが、“ギロッポンでパフパフ”のフレーズに
よって反省の心もすぐにかき消されてしまった。
毎夜毎夜の豪遊。

しかし、そんなヤムチャの絶頂も長くは続かなかった。

<つづく>

 


911 名前:魔人ブウは魔族なの?第3話[sage] 投稿日:03/06/28 14:08 ID:???
ヤムチャは芸能事務所からふたりのマネージャーを付けられていた。
ひとりはヤムーという中肉中背の男、もうひとりはスポポビッチという大柄の男であった。
ふたりは格闘技の心得があり、アマチュアの大会では常に上位の成績を収めているらしい。
もちろん、ヤムチャが“伝説の”亀仙流の継承者であることも知っていた。
ヤムチャが仕事に出かける時、いつもスポポビッチが事務所のベンツで約束の時間通りに
迎えに来るのだが、今日は何故か時間通りに来ない。ヤムチャは(あいつも寝坊することが
あるんだな)と心で微笑んでいたが、2時間過ぎてもやってこない。
(おかしいなぁ)と思ったヤムチャは、スケジュール管理を担当しているヤムーと連絡をとろうと
事務所に電話したが、ヤムーはまだ出勤していないと言われた。
(これはただ事ではない!)と思ったヤムチャは、事務所のスタッフとともにふたりを探し出す
ことにした。
ヤムチャはプーアルを引きつれてまず、スポポビッチのアパートに行った。ヤムチャはアパートの
管理人に事情を話し、部屋の中に入れてもらえることになった(ヤムチャが有名人であることが
幸いした)。
カーテンの閉めきった薄暗い部屋の中に恐る恐る入る2人と1匹。リビングに目を移すと、
その中央にはぼんやりとした人影があった。
「で、でたーっ!」
絶叫する面々。
ヤムチャはすぐに冷静になり、素早く電気のスイッチをオンにして部屋を明るくした。
そうすると、人影の主がはっきりと見えた。それは思いもよらない人物であった。

クリリンであった。

<つづく>

 

288 名前:魔人ブウは魔族なの?[sage] 投稿日:03/07/17 14:55 ID:???
〜魔人ブウは魔族なの?前回までのあらすじ〜

第23回天下一武道会が終了してから1年後。世界には平和が訪れていた。
我らがヒーロー、ヤムチャ様は歌手デビューして大スターになった。
ある日、芸能事務所のマネージャー、ヤムーとスポポビッチのふたりが行方不明になった。
心配したヤムチャはふたりを探し出すことに―
そして、スポポビッチのアパートに向かうと、部屋には何故かクリリンの姿が―

 

289 名前:魔人ブウは魔族なの?第4話[sage] 投稿日:03/07/17 14:55 ID:???
「クリリン・・・なんでお前がここに・・・」
驚きを隠せないヤムチャ。
「ああ・・・ヤムチャさんのお知り合いだったんですね。幽霊じゃなくてよかったぁ!では、私はここで」
アパートの管理人は安堵の表情を浮かべると去っていった。
「・・・久しぶりだな、“ヤムチャ”」
普段はヤムチャのことをさん付けで呼ぶのに、今日は何故か呼び捨てだ。
それに、クリリンの顔色は青ざめていて、額の点々の上には“M”の文字が刻まれていた。
クリリンの呼び捨て発言とその異様な出で立ちに圧倒され生唾をゴクリと飲むヤムチャ。
それでも精一杯気丈に振舞って、
「クリリン、元気だったか?」
そういいながらクリリンに近づき、肩をポンと叩こうとしたした瞬間、クリリンはヤムチャの腕を
素早く掴み、ひねり倒した。
「ヤムチャ様!」
悲鳴を上げるプーアルであった。

 


290 名前:魔人ブウは魔族なの?第5話[sage] 投稿日:03/07/17 14:56 ID:???
「なっ!?何をするクリリン!」
ヤムチャは苦悶の表情を浮かべて叫んだ。
「あんたがあのでくのぼうの知り合いだったとはな。しかし、もうあいつらは魔導師様の配下になり
ドラゴンボール(以下DB)集めに行ってしまったぜ」
クリリンは不敵な笑みを浮かべて言った。
「DBだとっ!?魔導師だか何だか知らんが変な真似はよせ!」
床上で抑えつけられている状態から抜け出そうと必死にもがくヤムチャ。
「この部屋にあったDBはいただいた。もうここに用はない。あんたにもな」
クリリンは無表情でそう言うと、ヤムチャのみぞおちに蹴りを入れた。
「グハッ!」
悶絶するヤムチャ。
(なんてパワーだ!こいつ、本当にクリリンなのか―)
ヤムチャは薄れゆく意識の中で絶叫した。

 

291 名前:魔人ブウは魔族なの?第6話[sage] 投稿日:03/07/17 14:56 ID:???
クリリンの蹴りを食らい、意識を失っていたヤムチャは、しばらくすると目を覚ました。
「ヤ、ヤムチャ様〜っ!」
プーアルは目を覚ましたヤムチャを見て叫ぶと、ヤムチャに抱きついた。
「プーアル・・・はっ!そうだ、クリリンはどこだ!」
ヤムチャは部屋中を見まわしたがクリリンの姿はなかった。
「クリリンの奴、あの後得意げな顔をしてすぐに部屋から出ていきましたよ」
プーアルは悔しそうな表情をして言った。
「・・・細かい事情はよくわからんが、何か不穏な動きがあったようだな。クリリンの奴、DBを集めて
いるらしいし・・・とりあえず、カプセルコーポレーションに戻ろう」
ヤムチャとプーアルはひとまず退散することにした。

ヤムチャが家路に着くと、意外な客がヤムチャを待っていた。

ヤジロベーであった。

「おおっ!お前は悟空の友達の・・・」
「ヤジロベーだ。今日はおみゃーさんに伝えることがあって来たんだ。しかも、神様からの
伝言だべよ」
「神様のっ!?」
思わぬ人物からの依頼と聞いてビックリするヤムチャであった。

 

296 名前:魔人ブウは魔族なの?第7話[sage] 投稿日:03/07/17 18:32 ID:???
「か、神様からの伝言だって?」
ヤムチャは期待半分不安半分の表情で言った。
「んだ。カリン経由で孫や孫の仲間に伝えろ、ってことなんだけどよ」
ヤジロベーは神様からの伝言を伝えた。

先々代の神の時代、地球には魔導師ビビディという極悪の人物がいた。
彼は名うての魔法使いで、物体に命を吹き込む、という難解かつ高度な術も使えた。
彼はある日偶然、人形からとんでもない怪物を作り出してしまった。
その名は魔人ブウ。ブウは理性を持たず、ただ破壊を繰り返すだけの存在であった。
ブウの想像を絶する力は世界中を破壊し、世界征服を達成した。世界征服が長年の夢であった
ビビディは狂喜乱舞した。
しかし、ブウはご主人のビビディの言うことを全く聞かず好き勝手していた。
ブウの圧倒的な力に手を焼き、また、ブウの危険な性格からいずれは自分も殺されてしまうのでは
ないかと恐れたビビディはブウを封印してしまったのだ。

 

297 名前:魔人ブウは魔族なの?第8話[sage] 投稿日:03/07/17 18:32 ID:???
「へぇ・・・でも、封印したのなら問題ないんじゃ・・・」
ヤジロベーの話を聞いていたヤムチャは疑問に思って口を挟んだ。
「続きがあるから聞いてちょうよ。そのブウって奴の強さは半端ねかったんだと。先々代の神には
勇者、戦士、僧侶、魔法使いの4人の勇敢な部下がいて、四天王と呼ばれていたらしいんだ
けんど、その四天王のうち3人がそのブウに殺されちまったんだとよ」
「いーーーっ!?とんでもない化け物だな」
「んだ。問題はよ、ビビディって奴は四天王の生き残りの僧侶―これが先代の神らしいんだけんど、
そいつに殺された。けんど、ビビディにはガキがいたことが最近わかって、そいつも半端じゃねぇ
悪者なんだってよ。で、そいつがDBってのを使ってブウを復活させようと―」
「ああっ!!ま、まさかクリリンの奴・・・」
ヤジロベーが話している途中でヤムチャは大声を上げてしまった。
「いきなりなんだべよ?」
ヤジロベーは呆れた顔をして言った。
「おい、そのビビディとかいう奴のガキも魔導師なのか?」
「んだ。バビディっていうらしいけんど、ジジイだとよ」
「そのこと、悟空に話したのか?」
「孫のヤツ家族旅行に行っちまったでよ。ドアに張り紙が張ってあったけんど、世界旅行だから
戻るのは3ヶ月後だと。カメハウスってところにも行ってみたんだけんど、亀しかおらんかった。
じいさんとハゲはどこ行っちまったんだ?」
「これは大変だっ!ヤジロベー、お願いがある。至急悟空と天津飯を探して今の話を伝えてくれ!
あと、ドラゴンレーダーをブルマから受け取ってくれ!それはDBを探し出す機械なんだ!」
ヤムチャは一方的にまくし立てると一目散に部屋から出ていった。

<つづく>

 

55 名前:魔人ブウは魔族なの?第9話[sage] 投稿日:03/07/26 14:38 ID:???
大急ぎで部屋を出たヤムチャを追いかけるヤジロベー。
「おみゃ―さんひとりでバビディっつーヤツに立ち向かう気か?やめとけやめとけ。
神様は“孫と仲間達全員でバビディの野望を阻止しろ”って言ってるんだぞ!
きっと強えー化け物もたくさんいるに違いねぇ」
ヤムチャに追いついたヤジロベーは早歩きしながら言った。
「フフフ、このオレがそんな無謀なことをするヤツに見えるか?オレはただ、連中がまだ回収して
いないであろうDBを先回りしてゲットしようとしているだけだぜ」
うしろにいるヤジロベーの方に振り返りニヤリと笑った。
「けどよ、それマズイんでないの?敵と鉢合わせにでもなったら・・・」
「その時は・・・戦うまでだ!」
自信満々に答えるヤムチャ。それを疑わしい目で見るヤジロベー。
そんなやり取りをしている内にふたりはブルマの研究室の前に着いた。
部屋のドアをノックするヤムチャ。どうぞ、返事を受けるとそそくさと部屋に入っていった。
ブルマはデスクで機械のメンテナンスをしていた。
「ブルマ、ドラゴンレーダーを貸してくれ!」
ブルマの前に立ち、勢い込んで言うヤムチャ。
「そこの棚の引き出しにあるわよ」
ブルマは棚を指差していった。ブルマはヤムチャと目線を合わせようとしない。
それが、最近遊びほうけているヤムチャへの抗議からなのか、はたまた単に機械のメンテナンスに
夢中なだけなのか―
ヤムチャはそんなことはお構いなしとばかりに棚に向かい、引き出しを開けてドラゴンレーダーを
手にした。

<つづく>

 

60 名前:魔人ブウは魔族なの?第10話[sage] 投稿日:03/07/26 15:10 ID:???
ドラゴンレーダーのスイッチを押すヤムチャ。すると、画面はこの地点から南東に約8,000`
離れた地点に5つのDB反応を示した。移動している気配はない。恐らくここがバビディのアジト
なのだろう。あとは、キングキャッスル近辺に1つと北の都近辺に移動しているのが1つ。
「くそっ!連中は思った以上の早さでDBを手に入れている・・・」
ヤムチャは悔しそうな表情を浮かべた。
「それにしても・・・ブルマ!この新型のドラゴンレーダーともうひとつ、旧型のドラゴンレーダーが
あったはずだが、どこだ?」
「ああ、あれなら半月前にクリリンが持って行ったわよ」
ブルマはそれが何か?というような目をヤムチャに向けた。目線を合わせたということは、
どうやらヤムチャに対して怒っているわけではなさそうだ。それとも、怒りを通り越して諦めの境地に
達したのだろうか―
「(だからこんなに早く5つも集められたのか・・・)その時のクリリン、変わったところはなかったか?」
「そうねぇ・・・そう言われれば顔色が悪かったような・・・」
ブルマは視線を宙にさ迷わせてつぶやいた。
「その時、新型を渡さなかったのはなんでだ?」
「修正したい個所があったから分解してて使えなかったのよ。そのことを言ったら黙って旧式を
持って行ったわ」
ブルマはひとしきり説明すると、再び機会のメンテナンスを始めた。
「となると・・・ヤジロベー、お前には悟空達を探し出してもらって、ドラゴンレーダーを使って連中の
いる地点に悟空達を案内する。そして、そこでオレと合流、としたかったんだが・・・」
「・・・だったら、DB探し付き合ってやるから俺の孫探しも手伝ってくれ」
ヤジロベーはしようがないな、という顔をして言った。
「ヤジロベー・・・お前ってヤツは・・・良いヤツだったんだなぁ」
ヤムチャはそう言うと、キラリと白い歯を見せた。

こうして黄金のYYコンビが誕生したのであった。

<つづく>

 


 73 名前:魔人ブウは魔族なの?第11話[sage] 投稿日:03/07/26 16:56 ID:???
ヤムチャたちがカプセルコーポレーションを発って丸2日が経過した。
ヤムチャとヤジロベーはキングキャッスル近辺に反応のあったDBを探していた。
そこは緑豊かな避暑地であった。空気も新鮮で透き通っている。瀟洒な別荘がいくつも
点在していた。恐らくキングキャッスルに勤めるお偉方のものだろう。
そんな光景を目にしてヤムチャは(オレも印税が入ったらここに別荘を建てるか)
と心でウハウハしてしまった。いけない、と顔を引き締めるヤムチャであった。

DBは土産物店で19,800ゼニーで売っていた。もちろん、そのお金は大スターとなって
金持ちになったヤムチャが出した。
「けんど、こんな目立つところにあるのに敵は手をつけてねぇんだな」
ヤジロベーは呆れた表情を浮かべた。
「クリリンの持って行ったドラゴンレーダーは旧式だからな。故障でもしたのだろう」
ヤムチャは敵の手に落ちていないDBを手に入れてとりあえずホッとした様子だ。

ふたりはポイポイカプセルから小型ジェット機を取り出して乗り込んだ。
「さぁ、次は悟空と天津飯探しだ!」
操縦桿を手にしたヤムチャは意気揚々だ。
「カリンの話だと三つ目のヤツはヨセミの滝で修行しているようだな」
ヤジロベーはやっと自分の任務に戻れる、とホッした表情を見せた。
「ヨセミの滝か。ここからそう遠くはないな。ついてるな、オレたち」
ヤムチャはスムーズに事が運んでいるのが嬉しいのか、上機嫌だ。
ヤジロベーの肩をポンと叩いて笑った。

 


74 名前:魔人ブウは魔族なの?第12話[sage] 投稿日:03/07/26 16:56 ID:???
小型ジェット機を駆って1,000`ほど飛んだであろうか。ヨセミの滝まであと少しだ。
眼下には新緑を湛えた山々が延々と続く。

その時であった。

人程の大きさの黒い物体が、雲間から猛スピードでジェット機目掛けて飛んできた。
「うわああ!危ないっ!」
叫ぶヤムチャとヤジロベー。
どおーーーーーん!
物体を避けようと機体を傾けたが、右の翼に直撃してしまった。
「ヤバイ!とりあえず地上に降りるぞ!」
ヤジロベーは緊迫した面持ちでそう言うと、素早く備えてあったパラシュートを背負った。
「オレは舞空術が使えるからいらん!」
ヤムチャは凛々しい顔を作ると、DBとドラゴンレーダーの入ったリュックサックを手に取り
機体から飛び降りた。それに続くヤジロベー。
ジェット機は空中で大爆発を起こした。
それを尻目に空中を落下するふたり。丁度谷間の川原があったのでそこへ着陸した。
「なんだ?何が起こっただよ?」
ただならぬ事態に動揺するヤジロベー。
「・・・どうやらオレたちにお客さんのようだぜ」
ヤムチャは上空から何者かが舞い降りてくるのを発見すると、不敵な笑みを浮かべた。

<つづく>

 

85 名前:魔人ブウは魔族なの?第13話[sage] 投稿日:03/07/26 20:03 ID:???
上空からは一人の人間、というよりは妖怪のような者が降りてきた。
「貴様ら、オレンジ色で星印のついた球を持っているだろう?それをよこせ」
着地した妖怪はじわりと歩み寄ってくる。
「不意打ちとはフェアじゃないぜ。それに、お前は魔導師バビディの手下だろ?」
ヤムチャは怒りを抑えて冷静に言い放つと、構えをとった。
「んん?よこす気なし、か・・・いいだろう」
妖怪は薄ら笑いを浮かべると、素早くヤムチャの目前に迫った。
(早い!)
ヤムチャが心で叫ぶ間もなく、妖怪はヤムチャの顔面にパンチを放った。
凄い勢いで吹き飛ばされるヤムチャ。しかし、何とか踏ん張って態勢を立て直して着地した。
「でーじょうぶか!?」
吹き飛ばされたヤムチャに向かって叫ぶヤジロベー。
「く・・・なんてスピードだ・・・」
敵の素早さに絶句するヤムチャ。
「ちっ!これだから厄介に巻き込まれるんは嫌なんだよ」
ヤジロベーは顔をしかめて小言を言うと、背負っていたパラシュートをおろし、
右手で日本刀の柄を握った。
「今度はデブが相手か、よかろう」
妖怪は構えをとってヤジロベーに迫った。

―次の瞬間―

妖怪の体は上下真っ二つになった。

 

89 名前:魔人ブウは魔族なの?第14話[sage] 投稿日:03/07/26 20:17 ID:???
「くあああっ!」
断末魔の叫びをあげる妖怪。
「おみゃーの動きより俺の抜刀術の方が幾分早かったみてぇだにゃ」
ヤジロベーはしてやったり、の表情で妖怪の真っ二つになった体が地面に落ちた音を
背中で聞いて勝利宣言をした。

ヤジロベーに歩み寄るヤムチャ。
「お前・・・良いヤツだけでなく腕も立つんだなぁ」
ヤジロベーの実力を目の当たりにして、ヤムチャは素直に賞賛した。
「当たり前だでよ。俺は孫よりも強ぇんだからよ」
ヤジロベーは得意な顔になって言った。しかし、それはさすがに言い過ぎだろう、
と思うヤムチャであった。

―一方、北の都付近で反応したDBの持ち主はというと―

その持ち主とは孫悟空であった。悟空は旅行に出かけていたはずだが、どうやら一人のようだ。
ひとりのところを見ると、妻のチチは実家にでも帰っているのだろうか―
それにしても、悟空は終止つまらなさそうな表情だ。チチと喧嘩でもしたのだろうか―

<つづく>

 

178 名前:魔人ブウは魔族なの?第15話[sage] 投稿日:03/07/27 17:55 ID:???
それはヤムチャたちがDB探しに出かけた日のことであった。
悟空はチチと生後1ヶ月半の息子悟飯と3人で世界旅行に出かけていた。
その日は北の都で開催されている冬季オリンピックを観戦していた。
100bスケートの決勝戦を見終わって昼食の為に会場を出たら、顔が青白く、額に“M”の文字を
刻んだ、不気味な雰囲気を湛えた大男と中肉中背の男が悟空一家を尾行してきたのだ。
その不気味な気をいち早く察知した悟空は、 チチとベビーカーに乗った悟飯を庇いながら
人通りの少ない路地裏へと入っていった。
「おめえたち!つけて来てるのはわかってんだぞ!用があるなら出て来い!」
悟空は立ち止まると、鋭い目つきをして大きな声を出した。
「・・・フフフ、俺たちの気配を感じ取るとは・・・貴様、只者ではないな」
建物の角から尾行してきた2人の男が現われた。
「そんなことはどうでもいい!オラ達に何の用だ!」
悟空は男達の持つ邪悪な気を警戒している。
「悟空さ、悟飯ちゃんがいるだ、無茶しねぇでけろ」
チチは中腰になり全身でベビーカーを覆っている。顔が引きつっている。不安を隠せない様だ。
「何、そのベビーカーに飾ってあるオレンジ色の球を俺達によこせば手荒な真似はせん」
中肉中背の男が無表情を装って言った。
「DBをだとっ!おめえたち、これが何か分かって言ってるのか?」
悟空はさらに険しい表情になった。どうやらこの男達は只者ではなさそうだと直感したのだ。
「ほほう?DBのことを知っているとは・・・悪いが貴様らには消えてもらうぞ。殺れ、スポポビッチ」
中肉中背は不敵な笑みを浮かべると、相棒の大男に首をしゃくった。

 


179 名前:魔人ブウは魔族なの?第16話[sage] 投稿日:03/07/27 17:56 ID:???
「グヘヘ、おとなしくよこせばよいものを!」
憎憎しい顔つきで悟空に向かってくる大男改めスポポビッチ。
ラガー以上の凄い勢いで悟空にタックルを仕掛けようとした。

しかし

悟空は右手でスポポビッチの頭部を何事もなかったかのごとく抑えつけた。
「おめえ素人にしてはすげえパワー持ってんなぁ!」
悟空はスポポビッチのタックルが予想以上のパワーだったので驚いている。しかし余裕の表情だ。
「くそぉっ!」
悔しがるスポポビッチ。怒りにかまけて大ぶりのパンチを繰り出した。さらりとかわす悟空。
「ダメだなぁ。そんなんじゃいくらやってもオラには勝てねぇぞ」
悟空はスポポビッチが力任せなだけのファイターだと悟り、がっかりした様子だ。
「ちっ!お前は引っ込んでろ!俺が殺る!」
中肉中背は舌打ちして叫ぶと、猛然と悟空に襲いかかった。
ジャブ、フック、ボディーブロー、ストレートとボクシングのコンビネーションを見せつけた。
しかし、一発も悟空に当たらない。全て紙一重の差でかわされた。
「でけえヤツよりはやるみてえだな。けど、やめとけ。足元がお留守じゃオラには勝てねぇぞ」
悟空はふとヤムチャを思い出し口元が緩んだ。そして、その刹那に中肉中背に足払いを放った。

<つづく>

 

252 名前:魔人ブウは魔族なの?第17話[sage] 投稿日:03/07/29 19:23 ID:???
「ああっ!ヤムー!こ、こいつ・・・去年の天下一武道会で決勝進出した野郎だ・・・」
スポポビッチは悟空の顔を指差して叫んだ。
「なにーっ!?・・・そ、そう言われてみれば・・・」
悟空の足払いを食らい、地面に尻餅をついた格好の中肉中背男―ヤムーは恐怖の混ざった
目で悟空の顔を下から眺めた。
「ん?なんだ?おめえ達オラのこと知ってるのか?オラは見覚えねえけど、会った事あるか?」
悟空はふたりの男と面識があったかどうか記憶の糸を辿った。
「冗談じゃねえよ・・・ピッコロ大魔王とやりあった奴と戦えるかってんだよ!」
スポポビッチは引きつった顔で2歩、3歩と後ずさりをした。
それに会わせてヤムーも素早く立ち上がってスポポビッチに寄り添った。
「ヘヘヘ、今日のところは許してやる・・・しかし、DBは俺達の仲間が必ず頂戴しにやってくる。
貴様やピッコロなんぞよりずっと強烈な奴がな。せいぜい精進しておけ」
ヤムーは悔しそうな表情で捨て台詞を吐くと、相棒と共に一目散に飛び去っていた。
「あっ!待て!・・・・・何だったんだ、あいつら?舞空術まで使えるなんて・・・」
悟空は男達の去っていった方角を見つめながら呆気にとられた。
「悟空さっ!」
男達が視界から消え去ったのを確認すると悟空に駆け寄り抱き付くチチ。目にはうっすらと涙を
浮かべていた。
「オラは平気さ。チチと悟飯が無事でなによりだ」
悟空はチチの頭をなでて、チチの心の不安を取り除いてやった。

<つづく>

 

666 名前:魔人ブウは魔族なの?第18話[sage] 投稿日:03/08/09 12:54 ID:???
前回>>252

悟空はチチと悟飯を先に家に帰して、自身はDB集めをしている連中の動向を探ることにした。
ヤムーとスポポビッチの持つ邪な気を感じて、連中はDBを悪用すると直感したのだ。
悟空は金斗雲を駆ってドラゴンレーダーを持つブルマの元へ向かう。
道中、悟空は旅行を中断してしまったことを申し訳なく思うのだった。少年期の悟空であれば、
新たな強敵が現われればそれだけで他のことには目もくれなかったのに―
家庭を持ち、精神的にひとまわりもふたまわりも成長した悟空。
果たして、どのような活躍を見せてくれるのだろうか―

一方、ヤムチャとヤジロベーはヨセミの滝で天津飯、餃子と再会した。
ヤジロベーは事の次第を二人に説明し、ヤムチャに手を貸すよう促した。
快諾する天津飯。餃子も気合がみなぎっている。
しかし、ヤムチャがクリリンが敵の手に落ちたらしいことを告げると、場に重い空気が流れた。
「クリリンがバビディの手下に・・・それが無抵抗状態で洗脳されただけであることを祈るばかりだな」
天津飯は神妙な面持ちで言うと、全員コクリとうなずいた。
「しかし、バビディはどのようにしてDBの存在を知ったのだ?」
天津飯はヤジロベーの説明で出てこなかった個所にふと疑問を抱き、つぶやいた。
「ああ、そのことか。何でも桃白白とかいう奴が病床のバビディを快復させ、DBの話を
持ち込んだだとよ」
ヤジロベーは鼻くそをほじりながら淡々と話した。
そんなヤジロベーとは反対に、大声を上げて驚くヤムチャと天津飯たちであった。

<つづく>

 

『魔人ブウは魔族なの?』第19話 ワルサー - 2003/08/23 18:16 -
「ま、まさかあの人が火種となっていたとは・・・」
ヤジロベーの口から"因縁の"桃白白の名が出たことにショックを受けた天津飯。顔色が一気に
青ざめた。
餃子も去年の天下一武道会で桃白白に半殺しの目にあわされたことを思い出したのであろう、
ガクガクと全身を震わせている。言葉も出ない様子だ。
ヤジロベーはそんな二人の様子を等分に見やると、
「なーんだ。桃白白っつーヤツはおみゃーさんたちの知り合いだったんだか。なら話は早ぇ。
おみゃーさんたちだけで神様から与えられた使命を果たすんだな。身内の不始末は身内で
片す。常識だぁな・・・んじゃ俺の使命は終わったも同然だから帰らせてもらうだよ」
ヤジロベーはほっと一息ついて言うと、ポイポイカプセルから小型車を取り出した。
「待ってくれ!バビディを倒すにはお前の力が絶対必要だ!」
車に乗り込もうとするヤジロベーを慌てて呼び止めるヤムチャ。
「なぁに。おみゃーさんたちがことを起こす前に孫の居場所がわかったら伝えに来てやるだよ」
ヤジロベーは自身を高く評価してくれているヤムチャを照れくさそうに一瞥してそう言うと、
エンジンをかけ、急発進で去っていった。

 

『魔人ブウは魔族なの?』第20話 ワルサー - 2003/08/23 18:18 -


ヤムチャと天津飯、餃子の3人は今後の作戦について話し合っていた。
最初に挙がった案は、悟空の帰宅を待ち4人揃ったところで魔導師バビディのアジトへ攻め込む、
というものだった。
しかし、この案だと悟空を待つ間に敵の方からヤムチャの持つDBを狙って攻め寄せてくる
可能性が高い。敵は想像を超える機動力を持っている。
では、悟空を待つことがあまり意味をなさないのなら、思い切って3人でバビディのアジトへ
攻め込むしかない、と天津飯は意を決したようにうなずいて言った。
今回のことの発端が自身の身内から起きたことに対する負い目が彼の心の中に去来している
のであろう。悟空の力だけは絶対に借りないぞ、という決意の表われがにじみ出ていた。

ヤムチャは先程自身を襲ってきた妖怪が相当の腕前だったことから、バビディのアジトには
強敵がひしめいているに違いない。3人だけで攻め込んで大丈夫なのか?と心に一抹の不安を
抱えていた。しかし、他に妙案が浮かばなかったことと、実力者の天津飯がいることから、
こちら側は大きな痛手はこうむることはないだろう、と読んだ。
ヤムチャは決戦に向けて覚悟を決めたのである。

こうして勇者3人はバビディのアジトへ決戦に挑みに向かうのであった。

−7個目のDBの存在をすっかり忘れてしまったままで−

 

魔人ブウは魔族なの?第21話 ワルサー - 2003/08/26 20:05 -


「バビディ様。もうひとつ気になることが・・・プイプイのことなのですが・・・」
ダーブラは取り繕ったように神妙な面持ちで言った。
「ん?ボクのかわいいプイプイが何か?」
バビディはプイプイという名を聞いて目を輝かせた。
「実は・・・一昨日から彼の気を全く感じません。遺憾ですが、何者かに消されたのかと?」
ダーブラが意を決してはっきりとした口調で言うと、
「んなバカなっ!ボクの最高傑作のプイプイがどこの馬の骨とも分からない奴に
殺されてたまるかっていうの!」
バビディは血相を変えてそう叫ぶと、床をのた打ち回った。バビディのこの狂乱ぶりを見ると、
プイプイはバビディに相当気に入られている者らしい。ヤムー達が帰らないことにはあれだけ
腹を立てていたのに、3日留守にしていたプイプイにはお咎めなしというのも呆れた話である。
わめくバビディを冷めた目で見つめていたダーブラが、
「5つのDBはすぐに回収できたのに、残りの2つはいまだ回収できません。しかも、持ち主は
我々の放った刺客をことごとく返り討ちにしています。なので、相応の強さを身につけていると
思ったほうが良いでしょう。ここは私が?」
状況を分析して結論を述べようとしたとき、一人の小男が大広間に入ってきた。
「フフフ、あなた方はドラゴンレーダーをなめているのですか?残りの2つの内ひとつが
この宮殿に近づいていますよ」
「誰かと思えばクリリンか。フン。そのレーダー、貴様が使えるからといって持ってきて、
バビディ様が魔術で複製されたのはいいが、すぐに故障するではないか」
「それでもDBを5つも集めることができたのは、このわたくしの功績であると思いますが?」
クリリンとダーブラがバビディの寵愛をめぐって激しい火花を散らす。
「まぁ、どっちにしてもプイプイを殺した奴は絶対許さないよ!」
ふたりのやる気を削ぐ発言を平然と言ってのけるバビディであった。

<つづく>

 

魔人ブウは魔族なの?第22話 ワルサー - 2003/08/26 20:05 -


南の大陸に広大な砂漠地帯がある。ここは「死の砂漠」と呼ばれていて、一度足を踏み入れた者は
二度と出ることができない。年中高温に晒され激しい黄砂が吹き荒れている為だ。
この地にまだ水が流れていた頃、独自の文化を持つ民族が生活を営んでいた。
その民族は不思議な魔術を操ることができたという。
かつて、この地に作物が育たない凶作の時期が何年も続いたことがあった。
それにより、かの民族は故郷であるこの地を捨てざるを得ない状況に追い込まれた。
そして、民族大移動。その後、時間をかけてこの地は砂漠と化した−

魔導師バビディのアジトはこの砂漠地帯の真中にある魔術の民が残した遺跡にあった。
もちろん、バビディ以外にここに住んでいる者は存在しない。
遺跡の中央に小高い丘がある。丘といっても土くれがうず高く積もっただけのようなものだ。
丘の頂きに人が一人入れるほどの大きさの穴があり、その穴をもぐっていくとバビディの住処の
地下宮殿がある。

宮殿の最深部にある大広間で、小柄なしょぼくれた老人が不機嫌な態度で側近らしい男と
なにやら話を交わしている。
「ヤムーとスポポビッチのヤツはまだ戻らないの?あいつらが発ってもう5日経つよ?
ちょっと腕が立ちそうだから手下にしてやったのに。使えないんだから!」
老人は赤い顔をして甲高い声をいっそう高くして叫んだ。
「はっ!しかし、バビディ様・・・恐らくあいつらはDB回収という使命を果たせなかったのでしょう。
制裁を恐れて逃げ出したのかと?」
側近の男は老人?バビディをなだめるように静かな口調で言った。
「んんっ!もう!こうなるんだったら最初からダーブラ、おまえに行ってもらえばよかったよ」
バビディはヤムー達の失態がよほど腹に据えかねているらしい。側近の男?ダーブラというものの
顔を一目見やると床に寝転がってじたんだを踏んだ。
「何、私が出向くまでもない。こんなこともあろうかと昨日、亀仙人のヤツを北の都に向かわせました。
私の情報ではヤツはこの星で一番腕の立つ者。ヤムー達のような失敗はしないでしょう」
ダーブラは自身の仕事の早さを誇るように得意満面の顔をして言った。
ひざまずき、最敬礼のポーズをとって主人であるバビディからのお褒めの言葉を待っている。
そんなダーブラをちらりと見て、親指をグッ、とつきたて「よくやった」と応えるバビディであった。

 

魔人ブウは魔族なの?第23話 ワルサー - 2003/08/27 21:57 -


セミの滝を発ったヤムチャ達は、ようやく5つのDB反応のある地域に到着した。
そこには地平線の向こう側まで砂漠が続いていて、おまけに竜巻、強風が吹き荒れている。
「おいおい。こんなところに人の住める場所があるっていうのか?」
天津飯は呆然と砂漠を眺めてつぶやいた。
「さすがにそれはないだろう。しかし、バビディは魔法使いだ。このような過酷な環境でも
うまく生活できる術を持っているのかもしれない」
ヤムチャはそう発言している間に、今にも砂漠に飲み込まれるかのような錯覚を覚えた。
「・・・でも、行くしかないよ・・・」
餃子のか細い声に促され、3人は歩みを進めた。

7〜8時間ほど徒歩と舞空術を併用して砂漠の中を突き進んでいくと、前方に一変して
地面が赤土に覆われた箇所があるを発見した。
そこに近づいてみると、そこにはかつて人が住んでいたであろうことが推測される
風化した土で作られた建物が点在していた。
その一群の中へ躊躇せず入っていくヤムチャ達。
「ほほう?こんなところに住居跡が・・・」
長い旅路から、一息つきたいと思っていた天津飯は近くにある階段のような段に腰を下した。
それに追随する餃子。
ヤムチャは2人の労をねぎらおうと、ポイポイカプセルからクーラーボックスを取り出し、
冷えたスポーツドリンクを差し出した。
礼を言いそれを受け取る天津飯と餃子。3人は一気にスポーツドリンクを飲み干した。

−するとその時、後方から何者かが近づいてくる気配をヤムチャと天津飯は感じ取った−

 

魔人ブウは魔族なの?第24話 ワルサー - 2003/08/27 21:57 -


感じ取った気配は邪悪なものを含んでいる、とヤムチャと天津飯のふたりは直感した。
立ち上がり、注意深く周囲を見まわす。ふたりの険しい表情を見て、餃子もようやく
ただならぬ事態が起きていることを悟り、ふたりのまねを始めた。

「DBの持ち主は貴様らだったか!」
どこからともなく聞こえる声。
その声の主を最初に発見したのは餃子であった。自身の真上を見上げ、
「あーっ!クリリン!!」
指を差し、素っ頓狂な声を上げた。
それにつられて餃子の指差す方を見上げるヤムチャと天津飯。
クリリンはそれにあわせて地上への着地を始めた。

クリリンと対面する3人。

クリリンがバビディに操られている、ということはヤムチャから話を聞いていた。
しかし、天津飯はクリリンの青ざめた顔と不気味な雰囲気を目の当たりにして、
その変貌ぶりが自身の予想以上であることに肝を潰した。
餃子も同じように感じたのであろう、口をぽかん、とあけてクリリンをただぼーっと
見つめるだけであった。
「クリリン・・・悪いことは言わん。今すぐ悪事から足を洗って改心しろ!」
ヤムチャはクリリンを睨み付け、一喝した。
「へっ!西の都でこの俺様にのされた分際で何をっ!」
地面に唾を吐き、鼻で笑うクリリン。そのふてぶてしさからは本来の人の良さは微塵も感じられな
い。
「・・・ヤムチャ、ここは俺に任せてくれないか?弟分が相手ではお前もやりづらいだろう。
俺はかねがね、クリリンと手合わせを願いたいと思っていたんだ」
天津飯はヤムチャの肩をポン、と叩くとクリリンに歩み寄っていった。
「天が相手か・・・おもしろい。レベルアップした俺の強さをたっぷりと味あわせてやる!」
クリリンはニヤリと笑ってそう言い放つと、構えをとった。

<つづく>


【16】第25話 投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/8/28<THU> 12:2
 「いくぞっ!クリリン!」
天津飯は目をかっ、と見開いて叫ぶと、クリリンの懐へ飛び込んでいった。
みぞおちを狙って正拳突きを放つ。
「!!見切った!」
クリリンは形相を変えて吼えると、天津飯の放った正拳突きを両手で押さえた。
そして、間髪入れず天津飯の腕を掴むと勢いよく上空へ放り投げた。
「天さん!」
上空へ投げ飛ばされた天津飯に向かって心配そうに叫ぶ餃子。
「大柄の天津飯をいとも簡単に投げ飛ばすとは・・・」
クリリンのパワーを改めて目の当たりにして、生唾をゴクリと飲むヤムチャ。

天津飯は舞空術で何とか体制を立て直すと、
「確かに、以前のお前とは別人のような強さだ!しかしな。そんな借り物の強さを
身に付けたような奴にやられる俺ではない!」
地上のクリリンに向かってそう言い放ち、太陽拳の構えをとった。
天津飯が上空で態勢を立て直している間に、クリリンは両手でエネルギー波を撃つ準備をしてい
た。
「太陽拳!」
「これでもくらえっ!」
ふたりは同時に技を放った。


 
第26話 投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/8/28<THU> 12:4
 天津飯の放った太陽拳が辺りを眩しく照らす。
「くあっ!」
天津飯の動きを追っていたヤムチャと餃子は光を直に見てしまった。視覚を奪われ、たまらず腕で
目を押さえる。
太陽拳を一番まともにくらってしまったクリリン。
「野郎!ナメた真似をっ!」
両手で目を覆いながら悔しそうに叫んだ。

一方、上空の天津飯はクリリンの放った、手を離したことによりエネルギー弾に変わった
エネルギー波をかわして地上に戻るところであった。
地上に降り立つ天津飯。
ようやく目がなれてきたヤムチャと餃子は天津飯の無事な姿を見つけ、安堵した。
「天津飯!今がチャンスだ!」
まだ視覚を奪われている状態のクリリンを指差し、ヤムチャは叫んだ。
コクリ、とうなずき、構えをとってクリリンに向かっていく天津飯。

その時であった。

クリリンに接近する天津飯の後方の上空からふたつのエネルギー弾が猛スピードで
天津飯めがけて飛んできた。
「危ない!天さん!!」
必死の形相で叫ぶ餃子。
それに気付き、後ろを振り返る天津飯。エネルギー弾は天津飯の目前に迫っていた。

<つづく>


 
第27話 投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/8/29<FRI> 11:59
 「てやっ!」
天津飯は素早く構えをとって、気合を入れて手刀でエネルギー弾をはじいた。
ひとつは上空の彼方へ飛んでいき空中爆破、もうひとつはヤムチャと餃子の間をすり抜けて
遠方で爆発した。
「はぁはぁ・・・間一髪だったぜ・・・」
ピンチをしのぎ、安堵する天津飯。
しかし、その間に視覚を取り戻したクリリンは、猛スピードで天津飯の後頭部に飛び蹴りを放った。
「ぐあっ!」
天津飯は飛び蹴りうをくらった勢いで前につんのめった。
すかさず追撃に打って出るクリリン。天津飯も負けてなるものか、と言わんばかりに素早く振り返り、
迎撃する。

パンチやキックの雨あられ。

実力が拮抗している為、両者決定打を放てない。お互い相手の攻撃をうまくガードしながら
付け入る隙ををうかがっていた。
そんな攻防が数分続いたであろうか。天津飯は先程くらった蹴りのダメージが残っているらしく、
動きが徐々に鈍くなってきた。
そんな天津飯の状態をめざとく見抜いたクリリンは、ここぞとばかりに攻撃のラッシュを仕掛けてきた。
これにより防戦一方となってしまった天津飯。次第に防御しきれずパンチ、キック、ひざ蹴り・・・と
連打を全身に受けてしまった。
勢いよく10メートル程後方に吹き飛ばされる天津飯。近くにある民家跡に突っ込んだ。
民家跡はバラバラと音を立てて崩れていく。
「勝負あったな!」
不敵な笑みを浮かべ、瓦礫に埋もれている天津飯に勝利宣言するクリリンであった。


 
 第28話 投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/8/29<FRI> 12:0
 「天さん!!」
餃子はたまらず崩れ去った民家跡まで飛んでいき、瓦礫を除去し始めた。
(うおおっ!なんてこった!クリリンが"あの"天津飯と互角以上に渡り合うとはっ!ヤバイ、
オレの計算が狂い始めている。頼みの綱の天津飯が早々に潰されるとは・・・ああ、どうしよう)
急に雲行きが怪しくなり、半ばパニック状態のヤムチャ。顔を青くしながら心で一気にまくしたてると、
事態をうまく乗り切る作戦を考え始めた。

「うう・・・くそっ!」
天津飯は餃子に介抱してもらい、上体を起こして悔しさ一杯の顔で舌打ちした。
「天さん・・・」
天津飯の苦戦を目の当たりにして今にも泣き出しそうな餃子。
そんなふたりのやり取りを見ていたクリリンは、
「これでわかっただろう!この俺やバビディ様に盾突くとどうなるかを!さぁ、命だけは助けてやる。
DBを置いてとっとと失せろ!そして、魔人様の誕生に備えて首を洗って待ってるんだな」
最後通告を出すと、声高に笑い始めた。
クリリンの今の発言を聞き、ヤムチャはピン、とくる物を感じ取った。クリリンは西の都で対面した時、
自身にとどめを刺すことをしなかった。そして今回も?
その行いを見てヤムチャは、クリリンの心はまだ完全に洗脳されてはいないと確信した。
そして、ヤムチャは意を決してクリリンに近づいていくのであった。


 
第29話 投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/8/30<SAT> 9:59
 近づいてくるヤムチャに気付き、向きを変えるクリリン。
「おい、貴様!俺様の情けがわからないっていうのか?」
ヤムチャは自身に立ち向かってはこない、と高をくくっていたのだろうか。構えをとり応待するクリリンで
あったが、ヤムチャの思いがけない振る舞いに少したじろいでいる様子だ。
「や、やめろヤムチャ・・・まだ勝負はついていない」
天津飯はやわら起き上がり、フラフラしながらもクリリンの2〜3メートル手前まで餃子と共にやってきた。
「天津飯・・・戦いはまだ続くんだぜ。ここで体力を全部使う必要はない。クリリンは俺に任せてくれ」
ヤムチャは精一杯凛々しい表情を作り、そう言った。まるで心の緊張を覆い隠すかのように?
「ほう?そんなに死に急ぎたいのな殺ってやろう?」
クリリンが憎憎しい表情でそう言い放っている途中で、ヤムチャは、
「クリリン!お前は俺と同じで強さよりナオン(注:「女」の業界用語(らしい)。皆さん知っているよね?)を
追い求めるタイプだろうが!こんなところで馬鹿やってないで、西の都でナオンとバカやろうぜ!」
キラリと白い歯を輝かせ、スターのスマイルを見せるヤムチャ。緊張の為かいつもより表情が固い。
「・・・ギャルとバカ・・・」
ヤムチャの予想外の発言に唖然として呟くクリリン。
すると突然、クリリンはひざまずき頭を抱えて唸り始めた。
「うううっ・・・くおーっ!!・・・・・ヤ、ヤムチャさん・・・俺・・・」
クリリンは苦悶の表情を浮かべながらヤムチャを見上げた。クリリンの目に本来の輝きが少し取り戻されて
いるのをヤムチャは見逃さなかった。
「大丈夫か?クリリン!」
正気を取り戻したと確信したヤムチャは、かがんでクリリンの肩に手をやり、心で励ましながら応えた。
「・・・突然、あいつらがカメハウスにやってきて・・・武天老師様の持つ一星球をよこせと・・・
断ったら俺と武天老師様に襲いかかってきやがった・・・ダーブラの攻撃を食らって・・・目が覚めると・・・
うわーっ!!」
クリリンはかすれた声で、搾り出すように途切れ途切れに事の顛末を話していると、突然、絶叫して
両手でヤムチャの首を掴んだ。
「き、貴様の首なんぞひとひねりだ」
再び殺気を帯びた目を取り戻したクリリン。目を充血させながらヤムチャを睨み付けた。


 

第30話 投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/8/30<SAT> 10:0
 「う・・・クリリン・・・」
首を絞められ、顔が真っ赤になるヤムチャ。すぐさまクリリンの手を解こうとしたが、クリリンの怪力の前に
なす術なし。首の骨がキシキシときしむ。
「ヤムチャ!」
クリリンの突然の行動に面食らった天津飯と餃子は、慌ててクリリンに近づき、ヤムチャの首を絞めている
手をほどく作業を手伝った。
すると、クリリンは再び絶叫し、地面にのた打ち回った。
「う・・・お、俺は・・・もう、悪の心に・・・支配なんか・・・されないぞ・・・ヤムチャさん・・・あそこに少し小高い
丘が・・・ありますよね・・・あの丘の・・・頂上にある穴を入れば・・・バビディの宮殿があります・・・」
最後の力を振り絞ってバビディの居場所を伝えるクリリン。そして、再び頭を抱えながら地面をのた打ち回る。
クリリンの心の中で、バビディの魔術によって暗黒に覆われた良心と最大限に膨張した悪意が戦いを
繰り広げているのであろうか?
「くっ!・・・俺は負けねぇっ!」
クリリンは鬼の形相でそう叫ぶと、ぱたっと意識を失った。
「大丈夫かっ!?」
仰向けに倒れたクリリンを揺り動かすヤムチャ。反応はない。しかし、クリリンの額にあった"M"の文字は
すっかり消え去っていた。
「ま、まさか・・・死んじゃったの?」
心配そうにクリリンの顔を見つめる餃子。
「いや、大丈夫だ。脈はある。クリリンの奴・・・心の中でバビディのマインドコントロールと必死になって
戦ったに違いない。大した奴だよ、本当に」
クリリンの心の死闘を見届けたヤムチャは、その勇姿に心打たれ涙ぐんだ。

<つづく>
 
 

第31話 投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/9/2<TUE> 19:37
 ポイポイカプセルから取り出したテントの中にクリリンを寝かせ、ヤムチャ達は遺跡の中央にある
小高い丘を目指した。
そして、丘の頂上に着くと、中央に直径1,5メートルほどの大きさの穴があるのを発見した。
穴は底が見えないほど深い。中を覗いても薄気味悪い暗闇があるだけだった。
「これか・・・クリリンが言っていた、バビディのいる宮殿に通じる穴は・・・」
天津飯は穴を覗いてつぶやくと、餃子とヤムチャをちらりと見やり、目で穴に入る了解をとった。
それにコクリとうなずいて応えるヤムチャ、餃子。
3人は舞空術を使って穴の中に入っていった。

何10メートル潜ったか把握できないほど穴は深かった。途中でらせん状に形成されている
個所がいくつかあった為だ。しかし、側面に仕掛けは無く、奇襲攻撃も受けずに何とか穴の最深部まで
辿り付くことができた。
そこは6畳ほどの広さで、薄暗くほのかに寒い。日光が当たらない為だろう。体感温度の急激な変化に
思わず身震いする3人。
この身震いは、これから決戦に挑む武者震いでもあるのか---
眼前には大きな門がある。両脇に灯篭があるため、辺りを見回すことが可能だ。
「恐らくこれがバビディの宮殿の入り口だろう」
天津飯は緊張した面持ちでつぶやいた。
「よーし、ここはオレがひとつ・・・」
ヤムチャはニヤリと笑って門の前に立ち、両手を門にあてた。そして、全身の力を駆使して門を押し始めた。
しかし、門は思いのほか軽く、すっと開いてしまった。勢い余って前方に倒れるヤムチャ。
「あ、ありがとうな。ヤムチャ」
うつぶせに倒れているヤムチャに向かって戸惑い気味に礼を述べる天津飯。餃子は笑いを堪えるのに必死だ
「・・・」
恥ずかしさで顔を赤らめながら起き上がり、無言で手を上げて応えるヤムチャであった。

 


 
第32話 投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/9/2<TUE> 19:37
 門の中に一歩入るヤムチャ達。すると、再び視界は暗闇に包まれた。
「なんてこった。こんなに真っ暗では先に進めん・・・」
歩みを進めることができず、躊躇する3人。
「これで大丈夫!」
餃子は突然、甲高い声で言うと、人差し指から光を出した。どどん波を撃つ前の態勢だ。
「なるほど!その手があったか!」
餃子の気転に素直に感嘆するヤムチャ。薄暗い空間の中から得意満面の餃子の顔が浮かび上がった。
「・・・誰かいるぞ!」
視力が良い為、ふたりより早く暗闇に慣れていた天津飯は、自分達の前方に何者かがいるのを発見した。
餃子は天津飯の指差す方向に人差し指を向けた。
すると、そこには異形の生物、というより怪物が不敵な笑みを浮かべて待ち構えていた。
「おい!お前はバビディの手下だな!オレ達は神様の命を受け、魔人ブウ復活を阻止しに来た。
オレ達の行く手を阻む者は成敗する!」
声を張り上げ、バリトンの効いた口調で怪物に宣告するヤムチャ。
「ぐへへ・・・魔人様の復活、絶対やる。邪魔する奴、許さない」
怪物はよだれを垂らしながらだみ声でそう言い放つと、猛然とヤムチャに襲いかかってきた。
ヤムチャは素早く構えをとり、怪物の放ったパンチを紙一重の差でガードした。
「悪い子にはちょっぴり痛いお仕置きが必要だな」
ヤムチャはニヤリと笑うと、狼牙風風拳の構えを取った。

<つづく>

 


残り投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/9/3<WED> 20:54
 暗闇の部屋にいたのは魔獣ヤコン。ヤムチャの狼牙風風拳をまともにくらってもびくともしない。
逆にヤコンの反撃をくらい、悶絶するヤムチャ。するとその時、部屋の中にある音響装置から声が
聞こえる。声の主はバビディで、おもむろにヤムチャ達に語り始めた。
ヤコンは暗黒魔界という、この世とあの世の境目にある異次元世界からやってきたこと。
魔物(魔族)に殺された者の魂は呪いによってあの世に逝けず、この世をさ迷う。どうしても
あの世に逝きたい報われぬ魂が、この世とあの世の境目に集まり、結果できた世界が暗黒魔界
なのだ、と。
そして、その世界を支配する「暗黒魔界の王」ダーブラもこの地球に召還し、手下にしたこと。
自身を救った桃白白は、洗脳しても効果が低く命令を聞かなかった為、即死魔法(死神が
やってきて生気を吸う)をかけて抹殺したこと、を語った。
そして、自身の寵愛していたプイプイを殺したのはオレの仲間だ、とヤムチャから聞いたバビディは
大激怒。
ヤコンにヤムチャ惨殺を命ずる。再び攻防を繰り返すヤムチャとヤコン。ヤコンの超頑丈な肉体に
攻撃が通じず苦戦するも、戦闘中にヤコンの弱点は内臓である、とヤムチャは見抜いた。
ヤムチャは餃子に腹痛を起こす超能力を使うよう依頼。ヤムチャの予想は見事的中。餃子の
超能力が決定打となり、ヤコンは朽ち果てるのであった。


 
 
残り投稿者:魔人ブウは魔族なの?    DATE:2003/9/3<WED> 20:55
 一方、ドラゴンレーダーを借りるべくブルマの元へやってきた悟空。悟空はそのことをブルマに
告げるも、ドラゴンレーダーはヤムチャが持っていってしまってないと言われ落胆する。
その時、いきなりブルマの部屋に闖入してくる者がいた。亀仙人である。
亀仙人の額にも“M”の文字が刻まれている。それを見た悟空は、亀仙人も何者かに操られていて
また、再び何者かによって世界の平和が崩されかけていると悟る。DBをよこせ、とブルマを人質に
取り悟空を脅迫する亀仙人。しかたなくDBを渡す悟空。それを受け取ると亀仙人は一目散に
去っていった。
悔しがる悟空。しかし、ブルマは、丁度悟空が尋ねてきた時いじっていた人工衛星を駆使した
小型在籍装置を手に持っていて、それを亀仙人から開放された時に亀仙人のズボンのポケットに
こっそり忍ばたと言う。
ノートPCの画面を移すと、亀仙人が移動している点がはっきりと映し出された。
悟空は礼を述べると、ノートPCを持って急ぎ早にブルマの部屋を出ていった。

<つづく> 

 

残り投稿者:魔人ブウは魔族なの?   DATE:2003/9/6<SAT> 17:30

 
 悟空がカプセルコーポレーションを発った頃、ついにヤムチャ達はバビディと対面した。
バビディはプイプイの敵討ちをダーブラに命ずる。プイプイに対する未練が断ち切れていない
バビディを苦々しく思うダーブラ。ダーブラはやる気を見せずに手加減して戦うも、ヤムチャ達の
実力の遥か上をいっていた。ヤムチャ達、ダーブラの圧倒的な力を前にしてなす術無し。
そしてついに、ダーブラは必殺技「石化」を出す(ダーブラの吐いた唾に触れると石化してしまう)。
天津飯、餃子が石化され、大ピンチのヤムチャ。
そこへ亀仙人登場。DBを持ち帰り意気揚揚としている。バビディに褒められ大満足の亀仙人。
勢いづいた亀仙人は、ヤムチャ退治も自分にまかせてくれと言い出す。
了解するバビディ。内心面白くないダーブラはバビディに抗議するも、バビディは先程の戦いで
ダーブラが全力を出さなかったことを非難する。両者の関係がギクシャクし始める。
ヤムチャと亀仙人の死闘が始まる。実力伯仲であったが、ヤムチャは必殺技「操気弾」を繰り出し、
勝利。見事師匠越えを果たす。
ここでヤムチャは、改心し命乞いする芝居を打った亀仙人に騙され、DBを奪われてしまう。
そして、間髪入れずダーブラはヤムチャに石化技を放つ・・・
バビディ、ダーブラ、亀仙人の3人は、魔人ブウの封印された殻を持って宮殿を出てゆくのだった。

いよいよ神龍登場。
バビディは何をお願いするのかと思ったら、なんと「魔人ブウの封印を解く呪文を思い出させてくれ」
であった。幼少の頃、父親のビビディにこっそり教えられた呪文を書き留めておいたメモを間違えて
捨ててしまったらしいのだ(100年前紛失)。
呆れるダーブラと亀仙人だったが、見事魔人ブウは復活を遂げる。
消え去る神龍。蘇る魔人ブウ。
その時、一足遅れでやってくるものがいた。悟空であった。

<つづく>
 

2 名前: 名乗るほどの読者じゃないぜ 投稿日: 2003/09/21(日) 22:01

魔導師バビディは狂喜乱舞した。ついに、魔人ブウとの初顔合わせを果たしたからだ。
バビディの嬉しそうな横顔を見つめ、満足そうな2人の部下(洗脳されている)、
暗黒魔界の王ダーブラと亀仙人。
封印を解かれ、閉じ込められていた殻から出てきたばかりの魔人ブウ。
呆然と立ちすくし、自身の両手を広げ見つめている。
すると突然、頭部に数個ある穴から煙を噴出したかと思うと、
「ブウゥゥゥーーーーーッ!」
雄たけびをあげて踊り始めた。
その行動を見て呆気にとられる3人。
「ははは・・・魔人様も復活されてお喜びのようで・・・」
ダーブラは引きつった笑いをしながらバビディにお世辞を言った。
亀仙人もどのようなリアクションをとったら良いのかわからない様子だ。
というのも、魔人ブウの姿は表皮はピンク色で体格はでっぷりと太っている。
おまけに雄たけびもどこか間が抜けていて、踊りも滑稽だ。まるでリズム感が無い。
果たして魔人ブウは本当に世界を震撼させた伝説の存在なのか?
その疑惑が胸の中にじわじわと増幅していくダーブラと亀仙人だった。

<つづく>