新・ヤムチャ最強への道
260 :新・ヤムチャ最強への道 :02/10/30 23:33 ID:c812JlaI
第一話「ヤツらはときどきかえってくる」
人造人間があらわれるまであと三年。悟空たちは日々、きびしい修行を続けていた。
そしてそれはヤムチャも同様であった。様々な誘惑を断つために山にこもり、
ひとり黙々と修行をこなしていた。ヤムチャには夢があった。3年たって人造人間たちを
倒したらブルマにプロポーズをしよう、いつからかヤムチャはそう心に決めていた。
いつまでもだらだらと恋人のままではいられない、そろそろキッチリとした関係にならねば!
修行のかたわらヤムチャはブルマとの将来に思いをはせることもあった。
ある日、ヤムチャはふと人が恋しくなり、久しぶりにブルマに電話をかけることにした。
「久しぶりだな」「誰?」
ブルマの何気ない一言がヤムチャの繊細な心に突き刺さる。
「オレだよ、オレ。ヤムチャだよ」「ヤムチャ?・・・あんたまだ生きてたの?」
ヤムチャは昔とちっとも変わらないブルマの声が聞けて嬉しくなった。
「当たり前だろ、ちょっと愛しき人の声が聞きたくなってさ」「ごめん、よく聞こえない」
2人はしばらくあたりさわりのない話をした。そしてそのあと、何ごとか意を決したように
ブルマが話しはじめた。
「あのヤムチャ、あたしできちゃったんだ」「へっ?できた?」「赤ちゃんがさ」
そうかそうなのか、よしプロポーズの機会は今しかない、ヤムチャは決めた。
「ハッハッハッそうかそうか、よしこれを機に一緒になろうぜ、ブルマ・・・」
決まった・・・今のオレは人生のクライマックスにいる、ヤムチャは自らの幸せに酔いしれた。
「・・・よく聞いて、ヤムチャ。あんたの子じゃないのよ」
天国から地獄へ・・・目の前が真っ暗になった。そのあと、自分が何を話したのかは覚えていない
261 :新・ヤムチャ最強への道 :02/10/30 23:33 ID:c812JlaI
おめでとうぐらいは言ったと思う。そしてヤムチャは走り出した。走って走って走った。
草に足をとられ転んだ。膝がしらに血がにじんだ。やっと涙が出てきた、止まらなかった。
ヤムチャはしばらく泣きつづけていた。泣いたらなんだか少し気分が楽になったような気がした。
「・・に・・・」
そのときヤムチャの耳になにか声が聞こえたような気がした。このへんは誰もいないし、空耳だな
ヤムチャはそう思って立ち上がった。そのとき、今度ははっきりと聞こえた、悪魔のささやきが。
「せ・ん・に・ん」
駄目だ・・それだけは、ヤムチャは甘い誘惑に必死に抗おうとした。が、ささやきは止まらなかった。
「せんにん、せんにん、せんにん、せんにん、せんにん、せんにん、せんに〜ん・・・」
「うるさーい!!黙れ、黙れ、だまれーっ!!」
ヤムチャは叫んだ。しかし、悪魔と戦うには今のヤムチャの心はあまりにも弱すぎた。
「なあ、昔みたいにまたみんなで楽しくやろうぜ。せ・ん・に・ん」
「さあ、神龍を呼び出してオレたちを生き返らせてくれよ。せ・ん・に・ん」
「今のオマエは一人ぼっち・・・寂しいだろ。さあオレたちを呼んでくれよ。せ・ん・に・ん」
「せ・ん・に・ん・せ・ん・に・ん・せ・ん・に・ん・せ・ん・に・ん・せ・ん・に・ん・・・」
夢の中で999人のヤムチャがたった1人のヤムチャを取り囲み、言葉を浴びせ続けた。
もはや抵抗する気力はなかった。狂気がしだいにヤムチャの精神を蝕ばんでいった。(つづく)
294 :新・ヤムチャ最強への道 :02/11/02 01:08 ID:p2Hm42qU
第二話「動きはじめた作戦」
「はやくしてよ、ベジータ」
修行の合間、ブルマの買い物につき合わされ、ベジータは山のような荷物を持たされていた。
なんでサイヤ人の王子であるオレがこんなことを・・・、そう悪態をつくベジータであったが
いっぽうで、いまのこの状況に奇妙な居心地のよさを感じているのもまた事実であった。
家まで帰ると、またそっけなくベジータはトレーニングルームに戻っていった。まさかあの
ベジータとこんな関係になるとは・・・、ブルマは苦笑した。ヤムチャはいいヤツには違い
ないのだけれど、恋人にするにはやはり何か物足りなかったのだ。いっぽう。ベジータには
どことなく孤独な感じがあって、それがブルマの母性愛を刺激するのだ。そしてそれと同時に
ベジータには何か頼もしい抱擁感が同居している。与える喜びと与えられる喜び、ベジータといると
そのふたつを味わう。だから自分はベジータに魅かれたのだと思う。それはヤムチャといたときには
絶対に味わえない気持ちだった。恋人より友達、ヤムチャとはそういう関係がいちばんいいのだろう。
ブルマはそんなことを考えながら部屋のドアを開けた。
「キャー!!」
295 :新・ヤムチャ最強への道 :02/11/02 01:08 ID:p2Hm42qU
ブルマは自分の目にした光景に驚いて叫んだ。それを耳にしたベジータがすぐにブルマのところに
やって来た。ベジータはブルマが指をさしている部屋の中を見た。部屋が荒らされていた。
恐らく泥棒か何かが侵入したのだろう。何か捜していたのであろうか、部屋中あたり一体がひどく
引っかきまわされていた。賊がもう近くにいないことを悟るとベジータはまたすぐに戻っていった。
ブルマは何かなくなったものはないかと部屋を整理しはじめた。なくなったものはすぐに分かった。
ドラゴンレーダーがなくなっていた。そして部屋には泥棒のものと思われる指輪が残されていた。
「愛をこめて From B To Y」裏側にはそう書かれていた。この指輪どこかで見たような・・・、
しかしいくら考えてもブルマは思い出すことができなかった。
ヤムチャは興奮していた。ついにドラゴンレーダーを手に入れることができたのだ。まずは
第一関門を突破したというところか、ヤムチャはそう思った。しかしそれと同時にヤムチャの
心は激しく傷ついていた。まさかあのベジータとだなんて・・・、下調べをしていたときに
ブルマとベジータが一緒にいるところを見てしまったのだ。だがもう後ろばかりを振り返っては
いられない。7つのドラゴンボールを手に入れる、いまヤムチャがやらなければならないことは
それしかないのだ。レーダーをつけ、位置を確認する。これなら1週間もあれば集まられそうだ。
ヤムチャは希望いっぱいに空へ飛び出していった。(つづく)
823 :新ヤムチャ最強への道 :02/12/27 20:40 ID:???
トランクスが未来からやってきてから三年、ついに人造人間の現れる日がやってきた。
都から少し離れた丘へと集まるZ戦士たちとブルマ。
クリリン、天津飯、ピッコロ、悟空、ベジータ………
「あれ? 悟空、悟飯はどうしたんだ? チチさんに叱られて来れなかったのか?
そういえば、餃子のやつもいないな」
「悟飯の奴は、一年前に自分で修行するっつってでてちめったよ
チチのやつが卒倒しちまってさぁ」
「餃子は置いてきた。 今回の戦いにはついてこれないだろう」
もう一方では、ピッコロとベジータが皮肉を交えながら会話している。
「ベジータ、まさかお前が来るとはな」
「ふん、きさまらは、見ているだけだ。 カカロットを超えた俺の力を見せてやろう」
「口だけは、達者だな」
「人造人間の次は、お前とカカロットだということを忘れるなよ」
「殺されないといいがな」
…………………誰もヤムチャがいない事は、気にもしなかった。
そうこうして延々と話が続く中(ヤムチャの話題は以前として出てなかった)
ヤジロベーが仙豆を届けるとすぐさまに戻っていこうと………
その瞬間、爆音と共にヤジロベーの乗った飛行機が爆破される。
空中に現れた煙の中から、二つの影が都へと降り立っていく。
「じ、人造人間だから気がないんだ!?」
気を感じ相手を把握する事になれているZ戦士たちに
気が感じられない人造人間の存在は、少なからずも畏怖の感情を与えた。
だが、次の瞬間。
悟空たちは、更なる未知の恐怖を感じる事になる。
そう、二つの影を追うようにして降り立った蝗の集団のような影が見えたのだ。
次回「まずは、人造人間たちに挨拶をしないとな」新生1000人のヤムチャ。