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ヤムチャ伝説

 

 

304 名前:ヤムチャ伝説[] 投稿日:03/07/30 03:24 ID:4f3fWA5q
孫悟空は落ちていた。
文字通り、落ちていた。
空高く、雲よりも高いところから。
微動だにせず、真っ直ぐ地面に向かって・・。

ヤードラットから帰った後、人造人間戦に向けゴクウはピッコロ達と一緒に天界で修行していた。
その日は一通りのトレーニングを終え、気晴らしに舞空術で辺りを飛びに天界から離れた。
そして暫く飛んだ後身体が動かなくなり、意識が消えたのだ。
どうしてそうなったのかは分からない。予知していた心臓病に理由があったのかもしれないし、
何か他の病気だったのかもしれない。もしくは只単に疲れによるかもしれなかった。

周りに民家の見えない秘境。ゴクウは猛スピードで頭から地表に叩きつけられた。
そのダメージは凄まじく、しかもゴクウには意識が全くない。正に生死の境を漂っていた。
奇しくも、そのゴクウが墜落した場所は、少年時代彼が孫悟飯と暮らした家のすぐそば。
ゴクウが以前にも死にかけた場所だった。

 

305 名前:ヤムチャ伝説[] 投稿日:03/07/30 03:25 ID:4f3fWA5q
ゴクウの危険を天界にいた者達はすぐに気づいた。すぐさま御飯とピッコロ、そしてヤジロベーが
気が消えかかっているゴクウを救出に向かった。
ピッコロ達が見つけたとき、すでにゴクウの気は感じられる限界まで小さくなっていた。
「おとうさーーん」悟飯がゴクウを抱き起こした。
「孫、仙豆だ。食え」ヤジロベーがゴクウの口に仙豆を押し込んだ。
一瞬間を置き、ゴクウの頭をはじめとする体中の傷が癒え、巨大な気がもどってきた。
「うっうう」ゴクウの意識が戻ったのに気づき、ピッコロがすこし語彙を荒げながら言った。
「孫、どうした。何があった?」
ゴクウは、何か妙にすっきりした様な顔をして答えた。
「あ、いや、ちょっと気を失っちまって・・。」
ピッコロは返事の意味がいまいち掴めなかったが、まぁ、相手は言葉足らずのゴクウ、とりあえず頷き、気を緩めた。
次の瞬間、
ピッコロの顔面で拳がはじけ、ピッコロの身体は後方に霞んでいた山まで、吹き飛んだ。
「なっ!」
突然の出来事に攻撃を喰らったピッコロはおろか、悟飯まで何が起きたか分からなかった。
しかし、悟飯はゴクウの顔を見た瞬間理解した。
ゴクウからいつものたよりがいのある、明るい気が消えうせ、邪悪な、締め付けてくるような気が発せられていたのだ。
ゴクウはピッコロを遠くに見据え、笑っていた。
「あ、ああ・・、お父さん、一体・・?」悟飯はうまく声が出せなかった。
「んー、どうかしたのか、悟飯?」ゴクウが悟飯に向き合った時、悟飯はハッとした。
「お父さんじゃ・、ない。」悟飯はギニューと戦ったときの事を思い出していた。
「うーん、おとうさんだよ〜。」宥めるような声。
「ち、違・・」
突然、ゴクウの体がブレ、そこを螺旋状の気の塊が通っていった。魔貫光殺砲だ。
「悟飯、離れていろ。」ピッコロが近づいてきた。「今の孫に何を言っても無駄だ。」
宙に避けていたゴクウが叫んだ。「来な、ナメック人。稽古つけてやらぁ!」


306 名前:ヤムチャ伝説[] 投稿日:03/07/30 03:26 ID:4f3fWA5q
ピッコロが飛び上がり、ゴクウに襲い掛かった。体からは赤い気が出ている。
ゴクウからも赤い気が出てそれを迎え撃つ。
暫く攻防が続いた後、ピッコロの蹴りがゴクウを地面に叩きつけた。
「どーした孫、本気を出せ。」
砂煙の中、ゴクウは立ちあがった。
「はっ!」ゴクウの体から金色の気が立ち昇る。「殺すぞ、緑ぃ。」
ゴクウはいきなりピッコロの真後ろに移動し、背中を思い切り殴った。
「ぐはっ」嗚咽をもらしながらも体勢を整え、ピッコロは気を放った。
ゴクウはそれを弾きながら、ピッコロに突っ込んだ。
ピッコロも応戦するがが、それ以上にゴクウの突き、蹴りが当たる。
ゴクウの蹴りがピッコロの顔面を捉え、ピッコロは地面に叩きつけられた。
「どーしたピッコロ。本気を出せよ。」
ピッコロは辛そうに起き上がり、ゴクウに向かっていった。
ゴクウはそれを軽くいなし、間をとる。
「どうやらそれが限界か。」ゴクウはフッと軽く息を吐き言った。
「幸運だなピッコロ。おまえにはフルパワーのオラを見せてやろう。」
「何故か力が溢れて、仕方ないんでな。」言うと同時、ゴクウから信じられない量の気が立ち昇る。
心なしか気がスパークしているようにさえ見える。
「なっ!ば、馬鹿な。」ピッコロは驚愕し、目を見開く。
「それじゃあ、行くぞ。」
ゴクウは正面からピッコロに近ずき、そのまま顎に右拳を当てた。
あまりの速さに、ピッコロの意識はゴクウの攻撃を認知することすらなく消えた。


307 名前:ヤムチャ伝説[] 投稿日:03/07/30 03:27 ID:4f3fWA5q
地面に落ちていくピッコロにゴクウは軽く気を放った。当然のように。
だが、ピッコロに当たる寸前、なんとか悟飯がピッコロを助ける事に成功した。
「ピッコロさん、大丈夫ですか。」悟飯は泣きそうな顔だ。
「は、早く、仙豆を。」
ヤジロベーがピッコロに駆け寄ろうとすると、ゴクウがヤジロベーの前に立ち塞がった。
「ヤジロベー、あれに仙豆は必要ない。オラによこしな」顎でピッコロを指し、ゴクウが冷たい声で言った。
「孫、お前、本当にどうしちまったんだ。」ヤジロベーは、ゴクウに対してビクツいていた。
「さっさと渡せデブ。」ゴクウはそう言い、ヤジロベーを軽く叩き仙豆を奪った。
「お父さん。」悟飯は怒りで震えている。「仙豆を、仙豆を渡してください。」
「いやだよ。」ゴクウが答えるやいなや、悟飯は突っかけた。
ゴクウはすぐさま悟飯の後ろに回り、首を叩いた。
「が、がぁ・・」悟飯は倒れ、動かなくなった。
「安心しろ悟飯、殺したりしないよ。神様に死なれると困るからな。」倒れた悟飯に吐き捨てるように言った。
「さて」ゴクウはヤジロベーの方を向いた。
「どうする、ヤジロベー?」
「いや、はは。」固まっていたヤジロベーは、取り敢えず両手を挙げて降参した。
気を収めると、ゴクウは「こいつら、天界にでも連れてっといてくれ。」
と言い、シュンッという音と共に消えた。

 

754 名前:ヤムチャ伝説[] 投稿日:03/08/13 03:06 ID:XzpvDSFu
荒野の上を、ベジータは猛スピードで飛んでいた。
巨大な邪悪な気と、ピッコロとの戦いに気づき、急いで西の都を出たのだ。
「くそぉ、頭に来るぜ。」ベジータは呟く。
今感じている気は明らかに自分よりも上。元来プライドの高いベジータはその事が許せなかった。
「やっと、やっと超サイヤ人になったってのに・・。」
突然、シュンッという音がして、邪悪な気がベジータのすぐ傍に現れた。
ベジータは驚き、空中で急停止して気の発する方を見る。
「カ、カカロット・・。」ベジータは驚きを隠す事ができない。
「よう、ベジータ。久しぶり。」悟空が陽気に言う。
「何のようだ。」ベジータは気を緩めていない。
「いやよ、別に用ってもんじゃないんだけどな・・。お前さぁ、地球での生活には慣れたか?」
「ま、まぁな、二年もいればな。」ベジータは何でそんな事を聞くのか理解できない顔だ。
「変わるもんだよなー、前は地球を滅ぼすなんて言ってたのによー。」かぶりを振りながら悟空が言う。
「はっ、サイヤ人として恥ずかしくないのかい。ベジータ王子。」
睨みつけるベジータを、悟空は真っ直ぐ見て言う。
「サイヤ人は戦闘民族だ。他所の星を壊し、それを異星人に売る。そのサイヤ人が壊すはずの星でのんびり暮らしてて恥ずかしくねえの
かい。」
「貴様。」ベジータがうめく。「貴様が俺の邪魔をしたんじゃないか。」
「ふー。」悟空は軽く間を置いてから答えた。「やっぱり、子供が出来ると違うもんだな。」
「な、何。」ベジータの目が見開く。
「あれ、知らないのか。ブルマ、妊娠してんだぜ。おめぇの子だ。」悟空があまり感情をこめずに言う。
「ブルマが・・」ベジータは呆然としている。
「生まれてくる子供のためにも、サイヤ人として恥ずかしくないようにしなきゃな。」
「おまえ・・・」
「サイヤ人として育てんのか。それとも地球人としてか。」問いただすような声。
ベジータは俯いて黙り込み、暫くして小さく言った。
「サイヤ人だ。」
「おめでとう。」悟空は満面の笑みを浮かべた。

 

755 名前:ヤムチャ伝説[] 投稿日:03/08/13 03:07 ID:XzpvDSFu
「で、どうするんだ。壊すのか、この星を。」ベジータが悟空に尋ねた。
「そこはだな、えーと・・。取り敢えず、ヤムチャ、いるんだろ。出て来いよ。」
悟空が辺りに大声で呼びかける。「オラだよ、悟空だ。」
悟空達の近くの岩影からヤムチャが青い顔をしながら出てきた。
「よ、よう、悟空。それにベジータも。」
悟空がヤムチャに語りかける。「さっき気付いたんだけどさ、ここってオラとおめぇが初めて会った所の近くなんだよな。」
「あ、ああ。そうだな。」ヤムチャの頭から悟空の言葉が遠のいていく。

ドラゴンボールで生き返り、カプセルコーポに帰った後、ヤムチャには平穏な日々などなかった。
ブルマには毎回ベジータと比べられ、栽培マンにやられた自分を小馬鹿にされる始末。当然ブルマとの仲も冷めていった。盛り場で他の
女に手を出したのもそのためだ。ブルマは弱い自分を認めようとはしてくれない。なら、いっその事・・。
ある日、ブルマの中で、自分よりもベジータが大きくなっているのに気付いた。
初めは只ショックだった。そしてそれを認める、しょうがないと思う自分もいた。それが嫌だった。そしてヤムチャは都を出た。強くな
るために、ベジータに負けるのを認めない。誰に負けるのも認めない、自信に溢れた、あの頃の、ブルマと出会った頃の自分になるため
に。そんなヤムチャにとって、ブルマの妊娠はとても辛い事だった。悟空の言葉が聞こえた瞬間、時が止まったようだった。もう、ブル
マを取り戻す事はできないのか・・。

「おい、おい、ヤムチャ。聞いてるのか、ヤムチャ。」
「あ、ああ。」悟空の呼びかけにヤムチャは我に返った。
「これからキングキャッスルに行くんだ。ヤムチャ、お前も付いて来てくれ。」
「ああ、別にいいけど。何しにいくんだ。」ヤムチャは不思議そうに聞いた。
「さっき話したじゃねぇか。何聞いてたんだ。」悟空が答えた。
「もういい、カカロット、そんな奴はほうっておけ。」ベジータがイラついた声で言う。
「そうはいかねぇよ。ま、じゃあ飛びながら話すか。」悟空がそう言うと、ベジータが飛び立ち。続いて悟空。そしてヤムチャがあらぬ
方向を見ながら飛び立った。

 

909 名前:ヤムチャ伝説 :03/08/16 01:06 ID:qSAU/Iyf

天界では、沈黙が流れ続けていた。
テレビでは、録画であろう料理番組は打ち切られ、臨時の特番が流れ始めている。
「こ、これから、どーする。」天津飯が沈黙を破った。
「ど、どーするって、ハハ。」クリリンが答える。
「戦うしかないだろう。」低い声。
「ピッコロさん。」悟飯が明るい声を出す。ピッコロが辛そうに起き上がって言う。
「奴はもう以前の孫じゃない。俺にこんな・・。許してたまるか。」
皆が下を向き、また沈黙が流れようとしたその時、シュンッという音と共に悟空が現れた。
「よー、皆。集まってんな。話しがあるんだ。」
「ちょっと孫君、どういう事なのよ。」ブルマが少し強い口調で悟空に詰め寄る。
「あー、ブルマだけはベジータから話しを聞いてくれ。」悟空が少し照れくさそうに言う。ブルマは不思議そうな顔だ。
「ベジータがブルマと二人っきりで話したいってよ。カプセルコーポで待ってるって。」悟空がブルマに耳打ちした。
「子供の事じゃねぇのか。」
「なんで、あんたがそんな事。」ブルマは真っ赤な顔をしている。
「あー、まぁ、いいじゃねーか。」悟空がとぼける。「早く行ってやれよ。」
「まぁ、いいわ。それよりあんた達、喧嘩するんじゃないわよ。」ブルマはそう言い、少し嬉しそうに飛行機でカプセルコーポに向かった。

「悟空、話してくれよ。これは一体どういうつもりなんだ。」クリリンが悟空に言う。
「まぁ、待てよ。今話す。でも、その前に・・・。」ボンッという音と共に悟空の体から金色の気が流れる。
「緑をぶちのめさなきゃな。」
一瞬、一瞬の内に悟空の近くにいたクリリン、天津飯、神の三人が意識を失った。そして、次の瞬間に餃子も。
「う、うおーー。」「よ、よせ!」ピッコロの静止も聞かず、悟飯は叫びながら悟空に飛び掛った。
しかし、悟空の姿が消えると同時に、悟飯も一瞬で伸され、意識を失ってしまう。そしてポポ、ヤジロベーも・・。


910 名前:ヤムチャ伝説 :03/08/16 01:06 ID:qSAU/Iyf

「さぁ、後はお前だけだぜ、ピッコロ。」
「き、貴様。」ピッコロが立ち上がる。
その、立ち上がったピッコロの足を悟空が払う。「ぐ、ぐぅ。」ピッコロがうめく。
「どうした、意地ってもんを見せてくれよ。」
その時、倒れたピッコロの目にある物が止まった。文字の書かれた子瓶。明らかに不自然だが、そこにある。
「こんなもんか、所詮ナメック星人なんて。ま、そこで今からオラのやるショーでも見ててくれよ。」
そう言い、悟空は悟飯の首を掴み、持ち上げた。そして、殴る、殴る。
「やめろ、やめろー。」ピッコロが叫び、悟空に飛び掛かるも、軽く蹴り飛ばされてしまう。
「おとなしくしていろ、雑魚が。」悟空は悟飯を殴り続けた。何度も、何度も。
こうなったらやるしかない。例え罠だとしても。悟飯を助けなくては・・。ピッコロの心は決まった。
「お別れだ、悟飯。」悟空は悟飯を空に放り投げた。
「待て!」ピッコロが立ち上がる。
「消えるのははてめぇだ。魔封波!」ピッコロの周りから異様な気が悟空に向かって渦巻状に伸びる。
悟空はうっすり笑みを浮かべて言った。
「バイバイ、ピッコロ。魔封波返し!」
ピッコロの体が異様な気につられて子瓶に吸い込まれていく。
分かっていた事だ。こうなるのは。
だが、悟飯が殺されるわけにはいかない。ピッコロは悟飯の方を見つめ、笑みと涙を浮かべながら、瓶の中へと消えた。
悟空は瓶を拾い、蓋を閉めると、「悟飯を殺すわけねぇだろ。チチに怒られちまう。」と笑った。

90 名前:ヤムチャ伝説作者[] 投稿日:03/08/18 02:29 ID:3T7S+X1d
飲茶が副国王に就くという新体制のもとで、国王による政治は開始された。
地球の惑星ベジータbQへの変更による不安からだろう。犯罪や事故が増えたり、市場が混乱したりと不安定な状態が続いたが、暫く経つ
と治安も回復し、混乱も収まり始めた。
サイヤ人は地球人の生活を保障すると言っていた。他の星の宇宙人がどうなろうと知った事じゃない。自分達には関係ないじゃないか。そ
んな空気が皆の間で流れ始めたのだ。もちろん、サイヤ人の支配に対する不満を持つ者も大勢いた。だが、表だって反旗を翻せる者など居
るわけがなかった。皆、サイヤ人が、悟空が怖かったのだ。
そして、サイヤ人の星となり、一ヶ月程経った頃。最初の宇宙船が地球を飛び立つ事となった。


91 名前:ヤムチャ伝説[] 投稿日:03/08/18 02:30 ID:3T7S+X1d
最初の船の乗員はクリリン、天津飯、餃子の三人だ。
船の製造には、カプセルコーポの技術が多いに役立った。
ブルマは初め、ベジータの行動を強く非難していた。だが、ベジータの説得により、ブルマはベジータの行動を非難しなくなった。もちろ
ん賛成ではないだろうが、サイヤ人とはそういうモノと理解したようではあった。それも、天界での事を知れば揺らいだかもしれないが・・・。
クリリン、天津飯、餃子の三人は、意識を取り戻すと、すぐさま悟空から話しを持ち掛けられた。もちろん三人は拒否したが、悟空は地球
人を楯に三人を脅した。そして、ピッコロを殺したとも言われた。地上に連れられていたため、神もピッコロの姿も見えない三人は、両者
の気を探した。だが、気絶による気の乱れと、封印による気の消滅によって、両者の気は察知できなかったため、その言葉を信じるより他
なかった。ドラゴンボールに望みが掛けられない
以上、人の命を危険に晒す事は
できない。三人は戦闘員となる事を承諾したのだ。
発射現場には、悟空とベジータに、国王、飲茶をはじめとする国の官僚達、そしてブリーフ、ブルマ等の科学者。マスコミが集まった。


92 名前:ヤムチャ伝説[] 投稿日:03/08/18 02:30 ID:3T7S+X1d
国王が長々とした挨拶を終え、発射の時間となり、悟空が三人に別れの言葉を掛けた。
「おめぇ達、分かってると思うが言っておくぞ。半年以内に星を破壊できなかった場合、一ヶ月毎に街を一つ破壊する。」
「ああ、分かってる。」クリリンが答える。
「よし、それじゃあ、次会う時はおめぇ達がもっと強くなってっ事を願ってっぞ。」悟空はそう言い、三人の宇宙船それぞれのハッチを閉
めた。
カウントダウンと共にベジータが発射のリモコンを押し、宇宙船は飛び立った。
向かう先は、それぞれ違う星だ。三人の力なら、一人でも十分星を破壊できる。なにより、一人だと妙な考えを起こしにくい。
飛び立っていく三人の宇宙船を見ながら、飲茶はかつての仲間が他星に飛ばされたという事実に、ショックを隠す事ができなかった。
「どうした、飲茶。」それを悟空に覚られた。
「ご、悟空。どうして皆を他の星に・・。」
「決まってんだろ。あいつら戦士だ。戦わせる以外にできる事ねぇだろ。」悟空は当然の事のように答えた。
「じゃ、じゃあ悟空、俺を、俺をどうして副国王なんかにしたんだ。」飲茶は聞かずにはいられなかった。
「お前はあいつらとは違う。強い上に頭もそこそこきれる。その上、社交的だ。そしてなにより、順応能力が高い。今の立場に戸惑ってっ
かもしれねぇが、飲茶、おめぇならすぐに慣れる。俺とベジータだけでこの元地球を支配するのは無理だ。二人ともサイヤ人だからな。飲
茶、おめぇには期待してっぞ。」悟空は飲茶の肩に手を置きながら、諭すように言った。「頑張れよ。」
「し、しかし悟空・・。」それでも飲茶は悟空になんとか反論しようとした。だが、悟空の言葉で遮られた。
「飲茶、これだけは憶えておけ。オレの名前はもう悟空じゃない。カカロットだ!」
そう言い、悟空、いやカカロットは飲茶の前から去っていった。
何も言い返す事ができず、飲茶は只呆然としているしかなかった。

 

176 名前:ヤムチャ伝説作者[sage] 投稿日:03/08/19 02:54 ID:???
最初の打ち上げも終わり、惑星ベジータbQは本格的にスタートした。
もう、この星は侵略者の星なのだ。
そしてその後も、侵略は続いた。

第二陣には桃白白、亀、鶴両仙人。ヤジロベーが選ばれた。宇宙船は二つ。
桃白白、鶴仙人は孫悟空やヤムチャの指示で動くのを不快に思っていたようだが、国からの多額の報酬に目が眩んだようだった。
亀仙人は悟空を都まで、よく訪ねてきていた。ヤムチャの所にも来ていたが、亀仙人は悟空に考えを改めるよう説得を続けていた
様だ。おそらく、邪魔になったんだろう。ちなみにヤムチャは、悟空から亀仙人はクリリンに会いたがって、宇宙行きを志願した
のだと聞かされた。亀仙人は一人、クリリンの援軍に行く。クリリンの星は戦闘力1,2000級もいるはずだ。下手すれば亀仙
人は死ぬ。ヤジロベーは戦力合わせに選ばれた。もちろん嫌がったが、悟空の命令に逆らえるような奴ではない。
発射式には、ベジータは来なかった。二回目ともなると、めんどうだったらしい。
代わりに悟空が発射のスイッチを押した。
ヤムチャはその直前まで、悟空はスイッチを押せないんじゃないか、武天老子様を宇宙に飛ばせるはずがない。という期待を持っていた。
だが、悟空は何の変化も見せず、平然とスイッチを押した。
ヤムチャはその夜泣いた。本当に悟空は変わってしまったのだと。自分達の師匠にはもう二度と会えないかもしれないのだと。


177 名前:ヤムチャ伝説[sage] 投稿日:03/08/19 02:55 ID:???
第三陣は規模もでかくなった。単体で星を破壊できるような戦士がいなくなったため、兵を増やす必要が出来たのだ。パンプット、
チャパ王、ナム。それにミスターサタン。四人とも(鶴仙人、桃白白もそうだったが)、国家指導の(つまりヤムチャ達指導の)
修行によって飛躍的に戦闘力を伸ばしていた。特にサタンの成長は著しく、カカロットはサタンを第三次軍の隊長にした。だが、
それでも、四人で星を攻めるには力不足だった。だから完全武装の兵100を連れて行く事になった。フリーザ軍のそれまではい
かないが、ビーム砲も完成していたため、それで事足りる筈だ。

第四陣は悟飯が出張った。カカロットは悟飯を早く出撃させたかったようだ。まぁ、サイヤ人が侵略の指揮を執っているくせに、
サイヤ人が出ないのも変な話しだ。悟飯が星を離れるのには、チチの猛反対が邪魔だった。
結局、カカロットはチチを無視し、ピッコロを人質に悟飯を他星に送り込んだのだ。今回はさすがにベジータも発射式に来た。惑
星ベジータbQのサイヤ人が初めて、他の星を侵略しに飛び立ったのだ。
そして、カカロット達に対抗する戦士は、この星にいなくなった・・。

悟飯が去って1ヵ月後、早くも鶴仙人、桃白白、の二人が帰ってきた。
彼らの攻めた星は比較的地球に近く、人口も多くなかった。その上、その星の宇宙船は地球のそれより素晴らしかった。そのため、
彼らも早く帰って来られたというわけだ。しかも、二人はその星の科学者五人(戦闘力は10程度だった。)を連れて来ていた。
言葉が通じる者もいるようで、早くも侵略の目的の一つ、科学技術の強奪が出来たわけだ。カカロットはこれをとても喜び、すぐ
さまその星の科学技術についての研究が、国立宇宙科学研究所で開始されると共に、新たな兵がその星に送りこまれた。
だが、ヤムチャはそんな事よりもヤジロベーの事が気になった。星に残って制圧を続けているとの事だが、カカロットの事だ。死
んだのを隠しているのかもしれない。

 

178 名前:ヤムチャ伝説[sage] 投稿日:03/08/19 02:55 ID:???
こうして惑星ベジータbQ政権が軌道に乗り始めると、ヤムチャはドラゴンボール探しに行くよう命じられた。
ドラゴンレーダーをブルマからもらい、久々に都を離れて旅(期限付きだが)に出た。
旅の途中、自分の顔が予想以上に知られているのにヤムチャは驚いた。さすが、副国王といったところだろうか・・。
そのかいあってか、ボール集めはとても簡単だった。皆、ヤムチャが副国王だと分かると、とても協力的になるのだ。そして、ヤ
ムチャがさらに驚いた事には、会う人皆がヤムチャを励まし、応援するのだ。
それは、「ボール集め頑張ってくださいね。」と、ヤムチャの旅についてのものだったり、「副国王も大変ですね。」とか、「新
政権、応援してます。」だの、副国王としての政務に関するものだったりした。
中でもヤムチャが驚いたことには、「早く征伐隊が帰ってくるといいですね。」等、サイヤ人達の征服活動にまで賛成の者がいた
事だ。実際、政権内でも批判の声は少ない。いや、全くない。むしろ、賛成の声ばかりだ。けど、ヤムチャは口で言ってるだけで、
内心は分かったものじゃないと考えていた。なんせ、彼らは政治家なのだから・・。
しかし、どうだろう。政治の世界とは何も関係のない人達までヤムチャ達を支持している。
カカロットは、ドラゴンボール探しの旅を通じてヤムチャにこう伝えたかったのかもしれない。
自分達の政策はそんなに悪い物じゃないんだと。むしろ、よいのだと。
ヤムチャも、段々とそう感じ始めていた。

 

259 名前:ヤムチャ伝説[sage] 投稿日:03/08/19 21:27 ID:???
ドラゴンボールも6つ集まり、最後の一つとなった。
その最後のボールも難なく見つかり、ヤムチャはボールのあった村の村長の家で厄介になっていた。
その夜は、これまでの旅を振り返り、その余韻に浸りながら眠った。
ヤムチャが安堵のうちに眠りに付いたのは、悟空が変わって以来初めてだったかもしれない。
だが、その眠りは途中で妨げられた。

ヤムチャが薄っすらと、体を動かさずに目だけを開けると、人の動く様子が見てとれた。
なんだろう、と思いながらも、そこは武術の達人でもあるヤムチャ。すぐに声を出したりせず、様子を見ていた。すると、何やら
ヤムチャの荷物に手を入れているのが分かった。泥棒か、と思い、ヤムチャが捕まえようとしたその時、ヤムチャは気付いた。
家の主だ。
村長がヤムチャの鞄を漁っていたのだ。ヤムチャを招いておきながら・・。
そしてあろう事か、村長はヤムチャの鞄からドラゴンボールを取り出したのだ。
自分で渡したドラゴンボールを・・だ。他の六個といっしょに。
そして、村長は部屋を出て行った。
ヤムチャは自分の見たものが信じられなかった。すぐにヤムチャは起き上がり、部屋を出た村長のあとを尾行した。
村長は家の外へ出て行き、村外れで誰かと話していた。
その人物は、ヤムチャの知っている人物だった。
ピラフだ。お供のソバ、マイも連れている。
村長がピラフに話す声が聞き取れた。
「これで、世界は助かるんですよね。」
ピラフが答える。「ああ、まかせておけ。」
「よかった。それじゃあ、早く。奴が気付かないうちに・・。」村長は辺りを見回している。自分がいないかたしかめているのだ
ろうとヤムチャは思った。
「では、いくぞ。いでよシェ・・。」ピラフが声に力を込める。
「待て!!」ヤムチャは叫んだ。ここでドラゴンボールを使われるわけにはいかない。
「だ、誰だ。」
「ひさしぶりだな、ピラフ大王。」ヤムチャがピラフの前に出た。

 

260 名前:ヤムチャ伝説[sage] 投稿日:03/08/19 21:28 ID:???
「ヤ、ヤムチャ・・。」ピラフは青ざめた顔をしている。村長はもっと酷い。
「ピ、ピラフ様、早く!」マイが叫んだ。
「お、おう。いでよ、シェンロン!」ピラフが叫んだ。
だが、龍は出てこない。
「あ、あれ・・。」ピラフは訳がわからない。
「ピラフ、これはどういう事なんだ。」ヤムチャが手に持ったドラゴンボールを見せて言った。さっき素早く拾ったのだ。
「くそっ。サイヤ人の犬め。」村長が呟いた。
「もうちょっとで、お前達の天下も終わりだったのに。」
「な、何・・。」ヤムチャは状況が呑み込めない。「あんた、さっきはあんな親切にしてくれたじゃないか。」
「誰が好き好んでお前達の世話などするものか。他の星で、ピッコロの真似事をやってる奴らに」村長が叫ぶ。
「サイヤ人の、あのカカロットとかいう奴の目を逃れるために決まっているだろう!」
ピラフがゆっくり喋る。「孫悟空は、村の者にお前が来る事を知らせていたんだよ。手厚く接待しろって・・。もちろんお前が今
まで立ち寄った村も同じだ。好きでお前を歓迎する奴なんて一人もいないよ。」
「そ、そんな馬鹿な・・。」ヤムチャは呆然としている。
「おかしいと思わなかったかのか、みんなお前の顔を知っていて・・。」ピラフが言う。
「たった一回、テレビに顔をだしたのは就任の時の一回だろう。」
ヤムチャは震え出した。
俺は、俺は悟空に騙されていたのか。皆、本当は俺達の事を憎んでいるのか・・。
「ところで、ヤムチャ、そのドラゴンボールは頂くぞ。我輩はお前達の世を潰し、世界征服を成し遂げなくてはならんのでな。」
ピラフがシュウ、マイに目配せをし、三人それぞれはカプセルを取り出し、放り投げた。
ボンッという音とともに大きなロボットのようなものが現れた。


261 名前:ヤムチャ伝説[sage] 投稿日:03/08/19 21:29 ID:???
「ヤムチャ、孫悟空ならともかく、これにはお前は適わんぞ!スーパーピラフマシーンだ。」
叫びながら、ピラフはそのマシーンに乗り込んだ。他の二人もだ。
「くらえ!」ピラフのマシーンからパンチが飛んでくる。
ヤムチャは咄嗟にその拳を受け止め、投げた。
「うぎゃぁ!」ピラフのマシーンが地面に叩きつけられた。
「ピ、ピラフ様っ!大丈夫ですか。」ソバとマイが駆け寄ってくる。
「うぐぅ。強い・・。ソバ、マイ。同時に行け!」
シュウとマイが突っ込んで来る。
だが、ソバは右側から、マイは左側から突っ込んで来たため、ヤムチャが避けると、ソバとマイのマシーンは正面からぶつかった。
「ピラフ様、足が動きません!」ソバが叫ぶ。「絡まってしまいました!」マイも叫ぶ。
「ぬぬ、おのれぇ。撤退だ!」そう言うと、ソバ、マイがピラフのマシーンに乗り込み、マシーンはダッシュで逃げて行った。
ヤムチャは、置いてかれたマシーンから残りのドラゴンボールを取り出すと、一人寂しくその村を後去った。

都に帰ると、ヤムチャはすぐにカカロットに会いに、キングキャッスルに行った。
ドラゴンボールを渡すと、カカロットはとても嬉しそうにヤムチャを労ってくれた。
ヤムチャはピラフとの事を伝えなかった。
今の悟空は、亀仙人でも容赦しないのだ。ましてやピラフなど・・。
それに、ヤムチャはカカロットのした事を尋ねる事になるのを避けたかったのだ。
間違いなくピラフの言った事は本当だろう。
それを自分がカカロットに尋ねてどうなるというのだろう。無視されるか。もしくは自分も・・。
とにかく自分に対するカカロットの態度が悪くなるのは確実だろう。
ヤムチャはたいした事も喋らず、悟空の部屋を後にした。


263 名前:ヤムチャ伝説[sage] 投稿日:03/08/19 21:30 ID:???
その夜、ヤムチャは一人キングキャッスル近くの自宅で、夜空を見つめていた。
自分がこれからどうしたらいいのか。何を目的に生きていけばいいのか分からなかったのだ。
このまま、副国王として生きていけばいいのか。それともカカロットに逆らうべきなのか。
「ヤムチャ様!」甲高い声だ。
「プーアル。」プーアルとは、ヤムチャが副国王になった時から、また一緒に暮らしている。
「元気がないですね。どうしたんですか。」プーアルが心配そうに尋ねてくる。
「いや、実はな・・・」ヤムチャはプーアルにピラフ達の事を話して聞かせた。
「そう、そうだったんですか・・。」
「なぁ、プーアル。俺はどうしたらいい。」ヤムチャは思いのままにプーアルに喋った。
「カカロットと戦うべきなのか。戦士として、堂々と・・。そうするべきなのかもしれない。だが、だが、俺は怖い。悟空が。いや、
あいつはもう悟空じゃないんだ。俺が本気で逆らったら・・、奴は俺を殺す。間違いなく。そんなのは嫌だ。かといって、俺には他
星を侵略なんてできない。連れて来られた奴らを見たか。死んだような目の奴。ゴミを見るような目で見てくる奴。怯えるやつ。気
が狂ってるようなのもいた。あんなのを増やすのに協力しろと。嫌だ。奴らだって、生きてるんだぞ・・。教えてくれ、プーアル。
俺は、俺はどうしたらいいんだ・・・。」
ヤムチャは泣きだした。
そのヤムチャをプーアルは子供のように抱いて言った。
「すいません、ヤムチャ様。私には、どうすればいいのか・・。でも、でもこれだけは憶えておいて下さい。私は、プーアルはどん
な時も、ヤムチャ様がどっちを選んでも、ヤムチャ様の味方でいます。」プーアルも泣いていた。
「プーアル!」ヤムチャは嬉しかった。自分はこんなにも素晴らしい奴と一緒にいられたのか、と。自分はこんな素晴らしい奴
とこれからも一緒にいられるのか、と。
そんな時、二人の上空を、黄色い尾を引いた宇宙船が、轟音と共に通って行った。