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僕と一緒に飲茶でも



575 名前:僕と一緒に飲茶でも 投稿日:04/05/16 12:11 ID:znZUU5Ro
〜一話 病み(闇)の中で〜
母様いかがお過ごしでしょうか。ヤムチャです。私は今くまのぬいぐるみ生産工場で働いております。
そろそろそちらは北風が強くなり寒くなってくる候。母様の御様態が心配であります。
いつでも母様の顔を見に帰りたい所存でございますが仕事が忙しくなかなか帰れない状態にあります。
仕事は今まで以上に順調です。なにとぞ心配なさらぬよう。それと・・・

ヤムチャは書きかけた手紙をくしゃくしゃに丸め窓の外へ投げ捨てた。そして深呼吸を一つ、
ベッドにもたれかかるように倒れた。
「チクショウ、チクショウ、チクショー」
鉄製ベッドの格子をこれまでかというほど殴りつけながら叫んぶ。
ベッドのの傍らにはヤムチャの母と思われる写真が飾られている。
ヤムチャはその写真を眺め、死人のような目から大粒の涙を流した。そしてポツリとつぶやく。
「母様、ごめんなさい」
すぐさま果物ナイフを取り出し手首までそれを持っていく。
ヤムチャは恐怖に駆られるわけでもなく当たり前のように血色の線を1本つけた。
そして手首から肘をつたり流れ、床に1つ2つと丸い血痕を作っていった・・・。
「おいっ!おいっ!ヤムチャ!ヤムチャいるか!おい!仕事だぞ!また休む気か!」
ドアの向こうから声が聞こえる。中年の男の声だ。
その声は放心状態のヤムチャの耳に聞こえていたのだろうか。
ヤムチャはうなだれながら崩れるようにその場に倒れ込んだ・・・・。



580 名前:僕と一緒に飲茶でも 投稿日:04/05/16 12:31 ID:znZUU5Ro
〜思春期の揺れる人格〜
真っ白い蛍光灯の光が差し込む。
「くそっ。また病院か」
ヤムチャは悔しそうな顔をしながらつぶやいた。
「ふむ〜。たく。おい。ヤムチャ起きたか。何なんだ貴様は。様子が変だと思って
ドアを叩き壊して入ったんだよ。そうすれば貴様は手首を切って倒れてやがった。
おいっ。聞いているのか。貴様何度目だ?もうかれこれ5度目じゃねーか?
何度心配かければ気が済むんだ?」
よく見るとヤムチャの左手首には1本どころか数本ナイフで切った傷跡が残っていた。
そう。ヤムチャはいわゆるリスカ症候群であった。ヤムチャは押し殺したような声で呟く。
「ふん。ほっときゃそのまま死ねたんだ。誰が助けてくれといった。
心配だと?笑わせるな。俺はおまえらの言いなりで一生過ごすのはごめんだ。
おまえらは働き者の俺に死なれちゃ困るからな。意地でも生かしておくつもりなんだろう」
一瞬、中年の男のこぶしがギュッと握られるように見えたがすぐ力をゆるめこう言った。
「ああそうだ。おまえは働き者だからな。しかし間違ってはいけないぞ。おまえには才能がある。
社長もきっとおまえの才能を見抜きいずれはこの会社を継がせるつもりだろう。
何にしてもおまえは疲れたんだ。少し休め」
また始まったとでも思ったのか、中年の男はヤムチャを触発しないようにとなだめるように言った。
「・・・・。当たり前だバーカ」
「おお。そうだ。とにかく今は休めよ。じゃあな」
中年の男はそう言って病室のドアを開けた。そしてヤムチャに聞こえないようにこう言った。
「んなわけねーだろうが。クソガキが。死ぬ気もないくせに。」



601 名前:僕と一緒に飲茶でも 投稿日:04/05/17 16:44 ID:V8aLQsh2
〜三話 光と闇の狭間〜
「312号室のヤムチャさーん。検診の時間でーす。精神科までお願いしまーす」
看護婦の元気な声がヤムチャの耳に届く。
「あっ。は、はい。け、検診の時間ですね。わ、わかりました」
看護婦の笑顔にふらつきながら精神科まで足を運んだ。

「うーん。よし。もう大丈夫だろう。今日から退院だ。おめでとう。今日から仕事もできるよ」
ヤムチャは見違えるほどよくなっていた。勘違いにも程がある発言もなくなり
まともに生活できるであろう状態まで回復していた。
「そうですか。お世話になりました」

ヤムチャを祝福しているのであろうか。外に出れば春の日差しがまぶしく、
鳥たちの声がさえずり、何故だか町行く人もみんな笑顔に見える。
「さて。仕事に戻るか。みんな待っててくれている。みんなには迷惑かけたな」
クスリと笑いながら独り言をし、大急ぎでぬいぐるみ生産工場へ向かった。

602 名前:僕と一緒に飲茶でも[sage] 投稿日:04/05/17 16:43 ID:V8aLQsh2
「ヤムチャです。ただいま帰りましたー。迷惑かけたことを申し訳なく思っております。
心配おかけしました」
「はて?ヤムチャさん?どちら様のヤムチャさんですか?」
「へ?ヤムチャですよ。少し問題がありまして仕事を休んでいましたが今日から復帰します」
「ヤムチャさん、ヤムチャさんと・・・。う〜ん?」
受付の人は器用にパソコンのキーボードを打ちヤムチャの情報を調べていた。
「ふーむ。あれあれ。君、除名されてますよ。要するにクビってことですね。はいはい」
「そんなはずはないですよ。私は次期社長なんです。もう少しよく調べてみてください」
「そんな事言われてもねー。ヤムチャ君でしたっけ?
ヤムチャという人はうちの会社には1人しかいませんでした。ほら。ここを見てください」
受付はパソコンのディスプレイを指差しもう一度「ヤムチャ」と検索した。
ピーピーピー・・・検索中・・・「ヤムチャ」1件 ヤムチャ:退職
ヤムチャは目を疑った。そんなはずはない。俺は仕事こそ休みがちだったが仕事は出来た。
それはみんなも認めていること。俺は次期社長のイスまで用意されていたのに・・・。
しかしヤムチャの目の前には彼にだけは理解する事ができない現実を突きつけられてしまった。
「ちくしょーーーーーーーー」

どこまで走ったであろうか。見知らぬ風景が精神病上がりのヤムチャを襲う。
また一つ左手首の傷を増やすことになった・・・。