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柱の男達 〜ヤムチャの遺産番外編〜





【カカロット、爆誕】

今から数十年前、ある国の研究施設でその事故は起こった。
人に近い形をした生物、『サイヤ人』が化石として発掘されたのだ。
化石とはまさに文字通りであった。
彼らは骨として発掘されたのではなく『石』そのものとして発掘されたのだから。
石に刻まれた古代エジプト文字からするとこのサンプルの名前はカカロット。
カカロットは驚くことに生きていた。
心臓音が石から聴こえてくるのだ。
そのカカロットに月の光を浴びせると彼は蘇った。
石から開放されたのだ。
その後、研究施設にて彼の実験は急速に進められていくことになる。

これは『サイヤ人』と戦った勇敢な男の物語である。



5人の男が研究施設を訪問していた。
彼等はギニュー特戦隊。
全世界から集められたエリート戦闘集団である。
精神を開放することにより、相手の肉体と自分の肉体を交換することができる隊長のギニュー。
特戦隊一のパワー馬鹿、リクーム。
超能力を使うサイキッカー、グルド。
馬と互角のスピードを誇る脚力の持ち主、バータ。
そして数合わせのジースである。

カカロットは巨大な透明の部屋の中にいた。
ギニュー「フリーザ大佐。こいつがカカロットですか」
フリーザ「そうです。こいつが究極の生物、カカロットです」
グルド「カカロットの餌は何を使用しているのですか?」
フリーザ「人肉です」
ジース「じ・・・んに・・・!?」
フリーザ「相手国の捕虜を食べさせているのです。その方が安上がりですからね」
ギニュー「カカロットの身体能力は・・・」
フリーザ「凄いですよ。少し掴んだだけで握力計が壊れてしまいました。ご覧ください」
フリーザが天井を指差す。
フリーザ「高いでしょ。カカロットはこの数十メートルを飛び上がるのですよ」
全員が唾を飲み込んだ。



ギニュー「つまりこいつが暴れたら並みの人間じゃ敵わないと」
フリーザ「そうです」
ギニュー「我々が呼ばれたわけがようやく分かりましたよ」
グルド「大佐、見たところボールに噛り付いたりするだけですが・・・学習能力などは・・・」
フリーザ「多少はあるようですが・・・このカカロットの知能は幼児と同じようなものです。うまく利用すればこれ程、役に立つ兵器はないでしょうね」
ギニュー「この厚さ10cmの防弾ガラスを割って来る可能性も考えられるのでは?」
フリーザ「ホーホッホッホッ!!心配には及びませんよ!殴っても無駄なのは実証済みです!例え戦車が来ても容易には割れませんよ!!」

5人はカカロットの見張りを任された。
ギニュー「ジース、お茶を入れて来い」
ジース「またですか!?何で俺ばっかり・・・」
リクーム「ヘタレにはお似合いよ♪」
バータ「さっさと行って来い!!」
グルド「僕、コーヒー!!」
ジース「・・・」

ジースは何の役にも立たない男として馬鹿にされていた。
ジースの存在価値はこの隊にはなかった。
恐らく隊長をはじめ、残りの3人も自分のことを合コンとかで役に立つイケメンぐらいにしか思っていないだろう。
そんなジースは皆、死んでしまえばいいと思っていた。
ジース「俺の事を大事にしない奴は死ねばいいんだ!!」
ジースが外でそう言った時であった。
中で大爆発が起こった。
ジース「!?」
中から飛び出してくる研究員達。
ジース「何があった!?」
研究員「カカロットが暴走した!!」
ジース「何だとッ!?」

カカロットは防弾ガラスを何と素手で叩き割り、研究員達を血祭りにし出した。
まずはグルドが一歩前に出る。
グルド「喰らえ!!金縛り!!」
しかし、カカロットはどんどん近付いてくる。
グルド「バータさん、駄目だ!!僕の超能力が効かない!!」
カカロットがグルドのドテっ腹を右手で突き刺す。
グルド「あ・・・あ・・・」
カカロットが笑みを浮かべる。
バータ「や・・・野郎、ギリギリで死なない程度にして楽しんでやがる!!」
その時、後ろからギニューが飛び掛る。
ギニュー「ボディーチェーンジ!!」
リクーム「やった!!成功だ!」
床に叩きつけられるグルド。
バータ「え?」
グルド「・・・ぐほっ!!」
ギニュー「はぁ・・・はぁ・・・隊長・・・失敗で・・・す」
ギニューの脇腹に血がにじみ出ている。
こうすることによってチェンジされた相手が弱体化するのを狙っているのだ・・・しかし・・・
リクーム「まさか・・・チェンジしたのは隊長とグルド!?」
カカロット「トンダシッパイダッタミタイダナ」
全員が驚く。
バータ「こいつ、言葉を・・・!!」
カカロット「ヤットキオクトチカラガモドッテキタヨ。キットキミラノヨウナタカイセントウリョクヲモツモノタチノソンザイヲカンチデキタカラダロウナ。感謝シテイル」
リクーム「バータ!!気をつけろよ!!こいつ、恐ろしく手強いわよ!!」
カカロット「少シ・・・遊んでもらおうかな!!」
ドンッ
カカロットがリクームの体に強烈なボディータックルを炸裂させる。
白目をむいて吹っ飛ばされるリクーム。
バータ「あ・・・悪夢だ」



【カカロット、その戦闘力】

グルド・・・いやギニューが叫んだ。
ギニュー「バータ!!貴様だけでも逃げろ!!こいつには敵わない!!」
バータ「た・・・隊長」
ギニュー「グハッ!!はやぐじろーー!!!」
バータ「す・・・すいません!!隊長!!!」
驚異的なスピードで走り去るバータ。
カカロットはニヤリと笑う。
それを見たギニューも精一杯の笑みを浮かべる。
ギニュー「あいにく・・・あのバータのスピードは宇宙一なのでな・・・」
カカロット「・・・・・・」
次の瞬間、ギニューの思考回路は中断した。
バータが扉をぶち破って出てきた。
ジース「バータ!!他の皆は・・・!!」
バータ「ハァハァ・・・皆、カカロットが・・・」
バータがそう言った瞬間であった。
カカロットがぶち破られた扉から、ぬっと出てきた。
バータ「まさか・・・こんな短時間で追いつかれるとは・・・!!」
カカロット「確かに君の走り方なら馬でも追いつくことはできないだろう。だが、あのフォームなら納得できる」
ジース「言葉を喋れ・・・るのか!?」
カカロット「君は走る時に『かかと』が地面に一瞬しか触れない。かかとが触れたとしても決して踏み込んではいない。
すぐに『着地の衝撃』はつま先に移動する。そしてその瞬間、その移動の衝撃を利用して地面を蹴って前に進む」
ジース「こいつ、何を言っているんだ!?」
カカロット「着地の『衝撃のエネルギー』をヒザ方向ではなく前方へ逃している。つまり君の脚には疲労はほとんどない。
むしろエネルギーを再利用して加速の時使える。しかもその走り方に必要なのは君のように体格の割には長い脚と一瞬で体重が移動できるスピードだ。
従ってそう簡単に習得できる走り方ではないということだ」
唖然としてカカロットを見る2人。
カカロット「おっと、お喋りが過ぎたようだな。長年、黙り続けていたせいか、喋りたくて仕方ないんだ」
バータ「俺の走り方の原理を理解したところで俺に追いつけるわけがない!!あばよ!!」
走り出すバータ。
一気に距離を広げる。
ジース「バ・・・バータ!!」
しかし、バータの目の前にはカカロットが。
バータ「あ・・・」
カカロット「我々には君の走り方を超える身体能力があるのを忘れたのかな?」
カカロットのハイキックがバータの頭をカボチャのように吹っ飛ばした。
ジース「バータ・・・」
カカロット「次は君の番だ。死を選ぶか?」
ジース「いや、俺関係ないんで帰ります」
その場から去ろうとするジース。
カカロット「逃がすと思うか!!阿呆がッ!!」
ジース「ひぃいぃぃぃ!!やっぱりー!!」
その時、カカロットの体に何かが当たる。
バババババババババと音を立ててカカロットを襲っていく。
地面に弾が落ちている。
「やはりマシンガン如きでは歯が立ちませんか」
ジース「フリーザ大佐!!」
カカロット「君は私を調教していた人間の1人だな。そんな玩具で私を倒せるとでも?」
フリーザ「まさか・・・思っていませんよ。これが私の本当の切り札ですよ。おいっ!!」
2人の男が巨大な重火器を持って来た。
フリーザ「ガトリングガンです。あなたの体が幾ら丈夫でもこれには歯が立ちませんよ。さぁ、喰らいなさい!!」
物凄い音をたてて飛び交う銃弾はカカロットの体を次々に貫通していく。
フリーザ「これがツフルの科学力ゥゥゥゥゥウウゥゥゥウウゥゥゥゥ!!!!!」



【カカロット、下級戦士】

カカロット「・・・問題ない」
体が瞬く間に修復されていく。
カカロット「私を倒す時は・・・」
自分の頭を指先でトンと叩くカカロット。
カカロット「ここを狙わないとね」
フリーザ「この私をここまでコケにしたのはあなたが初めてですよ・・・許さんぞ・・・ぜったいにゆるさんぞ虫ケラ!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!」
カカロット「本性を見せたね。だが、君がこの私に勝てるのかな」
フリーザ「くっくっく・・・なにをいいだすかとおもえば・・・。どうやらわたしのおそろしさをわすれてしまったようだな。おもいださせてやるぞ!!!」
フリーザがバズーカ砲を構える。
フリーザ「キェーィッ!!」
奇声とともに放たれる砲弾。
カカロット(いくら私でも砲弾をまともに受ければ回復するのに時間がかかってしまう!!その時間内にさらに粉々にされたら元に戻るのは不可能に近くなるッ!!)
余裕のカカロットも冷や汗を浮かべる。
カカロット(!?砲弾がスローに見える。これなら避けるのも容易い!!」
簡単に砲弾を避けるカカロット。
カカロットは何かに気付き自分の背面を見る。
そこから尻尾らしき物が見え隠れしていた。
カカロット「尻尾だ!!ハハハハッハ!!今のはさすがに危なかったよ!だが、この尻尾は私の身体能力をさらに飛躍してくれるのだよ!!」
尻尾をぶんぶんと振り回すカカロット。
カカロット「ついている・・・今日の私は本当に運がいい!!」
フリーザ「・・・・・・うおおおおおお!!!」
手榴弾を体中に巻きつけカカロットの肉体にへばりつくフリーザ。
フリーザ「どうせなら道連れだ!!」
ジース「大佐、やめろォォォォォォ!!」
カカロット「貴様・・・」
フリーザが手榴弾のピンを抜こうとする。
それをカカロットがエルボーで阻止する。
気を失うフリーザ。
カカロット「ふん、所詮食物連鎖の頂点に立てない男だ。お次は君の番だな」
ジース「とっておきを見せてやるぜ!!クラッシャー・・・」
強力なエネルギー弾を作り出すジース。
しかし、技を決める前にカカロットにビンタされ、吹っ飛ぶ。
ジース「・・・しぬ・・・」



【カカロットとジース】

カカロット「弱いな、君は」
ジース「ひぃっひっっひっ!!」
ジースは涙を流しながら後ろに下がる。
カカロット「情けない。君は人類の雄じゃないのか?」
ジース「あ・・・ひっ!!」
カカロット「女々しい声をあげるな!!!!」
カカロットの怒声が響き渡る。
カカロット「今から君を調教してあげよう。ただし、私の調教は・・・死ぬよ?」
カカロットがその辺にあった小石を軽く投げた。
軽くとはいえ、彼が投げるのだからとんでもない破壊力を持つ。
ジースが頭を抱えてしゃがみこんだ。
小石は後ろにあった岩に深くめり込んだ。
ジース(何てパワー・・・ひぃっ!!)
カカロット「お、避けたな。それじゃ、次は連続で行くぞ♪」
カカロットがいつの間にか山ほど、小石を抱えていた。
ジース「あひっ!!」
カカロット「逃げたらあっという間に殺すよ♪もっと楽しもうじゃないか」
カカロットが石を次々に投げる。
ジースは先程、小石がめり込んだ岩の陰に隠れる。
カカロット「ハハッ♪いつまでもつかなぁ?」

やがて岩に亀裂が入り、岩はガラガラと崩れ去った。
カカロット「ほらね。さ、どうする?石投げも飽きちゃったし・・・次はかくれんぼなんてどうかな?」
ジースはもう従うしか道は残されていない。
当然、頷いた。
カカロット「それじゃ・・・100数えるからその間に好きな所に隠れているといい。見つけ次第、君を殺す。いいね?」
カカロットが目を閉じる。
カカロット「いーち、にーっ」
ジースは超スピードでその場から逃げ出す。
研究所の周りには隠れるのに最適な森林がある。
そこを利用してやり過ごすしかない。
ジースは森林地帯へと走る。


【カカロットVSジース】

カカロット「どこだ?どこに行った?」
ジースを探し回るカカロット。
カカロット「奴の脚から考えてもそう遠くに行けるはずもない・・・だからこの隠れやすい森林地帯に入ったと見て間違いないだろう」
カカロットが木を殴った。
音をたてて倒れる木。
カカロット「時間はかかってしまうが地道にやっていくか」
カカロットによって破壊されていく木々。
ジースは木の上の部分にいた。
カカロットを上から見下ろしていたのだ。
少しでも近付けばカカロットが木を殴った瞬間に別の木に移動する。
こうすることによって移動した音を聞かれないようにしていた。
ジース(いくら奴でも木を全て倒すなんて考えは起こさんだろう・・・これで諦めてくれればいいけどな)