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ドクターヤムチャ

Reprint


41 :ドクターヤムチャ誕生 :02/08/29 01:39 ID:E/HZa73y

サイバイマンの自爆にあっさりと散ったヤムチャ。 そう、奴等人造生命は自分が血の滲む修行で得たものをたやすく踏みにじったのだ。 これは彼ににとって、あまりにも衝撃的な敗北であった。 無論、今までにも無様に敗北したことは何度かある。 しかしそれらは全て「修行」して得た力同士のぶつかり合いの結果でしかなかった。 つまり、「より修行したものが勝つ」 これが今まで彼が信じてきた全てであり強さの本質であった。 だからいくら敗れたとしても、決して闘志を失うような事は無かったのだ。 しかし、そんな信念、そんな希望、それがこの日無残にも砕け散った。 サイバイマンと呼ばる気味の悪い即席生物に殺さる事で。 そんな彼が人造の力に魅せられたのは当然の帰結だったのかもしれない。 ヤムチャはこの時、決意を固めていた。 修行など無意味だ、 己の肉体を痛めつけたところで、得られるものなどたかが知れている。 もう、これからは人が戦う時代ではない… そう、今までにない全く新しい力、人の創りし力  「人造人間…」 ヤムチャは、界王星を目指す途上誰にともなく呟いた。 そう、これが後にレッドリボンの亡霊達に立ち向かう正義の科学者の誕生の瞬間であった。

46 :ドクターヤムチャ誕生2 :02/08/29 03:33 ID:E/HZa73y

界王星に来た当初、ヤムチャはそこで修行をすることに乗り気ではなかった。 いや、まったくやる気が無かったと言っても良い。 なにしろ彼は自分が強くなる事よりも、より強い人造人間を生み出す事に情熱を傾けていたのだから当然だろう。 結局他にやることがないから、それだけの理由でバブルスを追い掛け回す日々が続いた。 しかし、当然ながらやる気の無い者に結果が付いてくるはずも無い。 仲間達が次から次へと試練をクリアしていく中、彼だけが取り残された。 「くそっ!俺はこんな事をしている場合じゃないんだ!」 早く蘇り人造人間の研究がしたい… 焦りばかりが募っていった。 そんな日々が続く中、徐々にではあるが逃げ回るバブルスの動きに無駄が目立つようになってきた。 やる気が無いといっても、十倍の重力下でこれほどの運動を続けていれば多少は馴れる。 ヤムチャ目がバブルスの動きを捉えられるようになってきたのだ。 (なんて無駄だらけの動きだ…おれの人造人間ならもっと的確で正確な…はっ!) そうだ、そうなのだ。人造人間とは人の創りしもの。 その動き、技、全てを人造人間に与えるのはそれを創る人間なのだ。 そして今それを成すべきは自分。 ヤムチャの中に大きな輝きが宿った。 界王拳と呼ばれる気の増幅術。 やつらサイバイマンはおろか、サイヤ人すら身につけていない能力だ。 これを彼の人造人間が自由に操れればそのアドバンテージは計り知れない。 そして技だ。 技術が未熟ではその力を有効に使うことなど出来ない。 実際、サイバイマンは自らの能力を100%生かしているとは言いがたかった。 技、そして経験がそのパワーにともなっていなかったのだ。 「でなきゃ、俺は奴と相打ちに持ち込むことすら出来なかったろうな…」 ヤムチャはいささか自嘲気味に呟く。 もっとも、その瞳はかつてない輝きに満ちていた。 「俺が実験体だ!この体で人造人間に学習させる格闘データを、ありったけ集めてやるぜ!」 この瞬間、修行とはヤムチャにとって己の肉体を用いた人体実験へと変わったのだった。

66 :ドクターヤムチャ誕生3(前半) :02/08/30 02:45 ID:2aDyNT5t

ヤムチャが界王星にたどり着いて早半年が過ぎようとしていた。 もはや修行をデータ収集と割り切ったヤムチャは、生きていた頃以上真剣に技の習得に励み、 様々な技…コンビネーション、気の扱いなどを真綿のごとく吸収していった。 元々、ヤムチャの戦闘スタイルは我流であり、型を持たないが故先入観なく新しい技を身に付ける事が出来たのだ。 それになにより、筋トレから組み手まで、その全てをデータとしてみることで冷静に自分や仲間達の動きを分析出来たのが大きかった。 「皮肉なもんだ、強くなろうとやっきになっていた頃より今の方がよっぽど修行の効率が良いなんてな。」 修行中ふと苦笑いが漏れる。 「地球で修行していた頃は相手を倒す事ばかり考えて、足元なんか考えもしなかった…」 悟空や神様に指摘された弱点を思い出す。 「ははは。今ならあいつ等の言っていた事が良く解る。確かに俺の足元はお留守だったよ。だが今は違う…」 そう、すでにこの界王星でその欠点は克服した、少なくともヤムチャそう考えていた。 「今の俺の戦闘パターンを入力した人造人間にはもう死角はない!」 「ほう、人造人間とな?」 「界王様!?」 振り向くとそこにはイマイチ顔色の悪い爺、もとい界王が立っていた。

67 :ドクターヤムチャ誕生3(後半) :02/08/30 02:51 ID:2aDyNT5t

「界王様!?」 振り向くとそこにはイマイチ顔色の悪い爺、もとい界王が立っていた。 「界王様…ええ、俺は人造人間を創りたいんです。地球の平和を守る為に!」 「ほう?しかし…」 界王の表情に翳りが浮かんだ。 (なっ!?) 人造人間を創ることを決意したヤムチャであったが、これには顔を青くせずにはいられなかった。 なにしろ神の頂点に立つのが界王だ。その界王に反対されたらどうなるんだ… 別にどうもならないのだがとにかく不安を隠せずに問い返す。 「し、しかし?」 「人造人間を作るなんて可能なの可能(かのう)?…プププ」 閑話休題 「してヤムチャよ、それならそれで何故すぐに取り掛からないんじゃ?」 「それはその…ここには資料も設備もありません。まずは生き返ってからでないと。」 そうなのだ。なにより今の自分には人造人間どころか飛行機ひとつ造る技術もない。 (ブリーフ博士が天国に居れば、すぐにでも飛んで言って勉強を習うのに…) そんな不謹慎な事が脳裏に浮かぶヤムチャ。 「なんじゃ、それだったら地球の科学者と念波で会話すればどう会話(かいな)?プププププ」 「で、出来るんですか!?」 仕様もない駄洒落に腰砕けになりながらも、ヤムチャは目を輝かせた。 「もちろんじゃ。週に一度程度なら暇つぶしに手伝ってやるぞ。」 こうしてブリーフ博士との週に一度の個人授業が始まったのであった。 「どうせならブルマとが良かったな…」

112 :ドクターヤムチャ誕生4 :02/09/01 22:33 ID:iemu8kL5

週に一度、ブリーフ博士の講義を受けるようになったヤムチャ。 彼は訝しがる仲間達を尻目に、修行そっちのけで机に向かい続けた。 ブリーフ博士から習った事を頭に叩き込み、来週の講義に望む。 一週間に一度の講義だったが付いていくのがやっとであった。 最初ブリーフ博士はもっとゆっくりと進めようと考えていたが、ヤムチャは頑として聞き入れなかったのだ。 一刻もはやく人造人間の製作に取り掛かりたい… ヤムチャの情熱に押された形で講義は恐ろしくハイペースで行われた。 実のところヤムチャは、工学系において全くの素人という訳では無い。 それどころか一流と呼べる大学を優秀な成績で卒業している。 無論、人造人間を創るレベルには程遠かったが、ごく初歩的な科学は理解していた。 そうでなければいくらサイバイマンに敗れてショックを受けても、人造人間を創ろうなどとは思いもしなかっただろう。 「ヤムチャ君に学問の話をしていると、君が学生だった頃を思い出すよ…」 「ははは…その話は勘弁して下さい。」 学生時代を思い出し、冷や汗が流れるヤムチャ。 「あの時の事はブルマには絶対に言えないな…」 なにせ入学の動機が不純すぎた。手段はもっと不純だったが。 そう、あれは最初の天下一武道会を終えた頃の事だった…

114 :ドクターヤムチャ誕生4(ブリーフ版1) :02/09/01 22:37 ID:iemu8kL5

突然、ブリーフ博士の頭の中に死んだはずの息子の声が響いたのは、重力発生装置の設計図と向き合っていた時であった。 いくら蘇る予定だとしても息子…ヤムチャは死人なのだ。 流石の天才科学者もこれには度肝を抜かれた。 もっとも詳しい事情を聞くとその驚きは感嘆へと変化を遂げた。 そして内心ではあったがブリーフ博士は驚喜した。 喜びの理由はいくつかある。 その一つは久しぶりに息子(になる予定)の声が聞けた事。 なんだかんだ言って、ブリーフ博士はヤムチャの事を実の子のように可愛がっていたのだ。 その彼が死んだと聞いたときは、たとえ生き返れると解っていても酷く落胆したものだ。 二つ目はその息子が自分と同じ科学者としての道を歩み始めた事。 これは、前々からヤムチャに会社を継がせる事を望んでいたブリーフとしては、願ってもない話だった。 なにより自分と同じ道を息子が歩む。これを喜ばない親があろうか。 そして最後に…これが最大でもあったが…人造人間という発想を得た事である。 宇宙からの侵略者の話を聞いた時、何も出来ない自分の無力さに憤りを感じていたのだ。 確かに侵略者の宇宙船を改良したり、重力発生装置を作ったりは出来る。 だが実際に戦うのは彼ではない、彼の息子でありその友人達なのだ。 自分はサポートする事しか出来ない。 なにが天才科学者だ、大切な息子を死地に追いやって自分はのうのうと暮らしているただの卑怯者だ… 決して表には出さなかったものの、そんな思いが博士の胸に宿り続けていた。 だから、 「人造人間を創る、それもサイヤ人にも負けないような最強の」 そのヤムチャの言葉に心が、踊った… 実際は侵略者のテクノロジーを解析する事で夜も眠れない生活であったが、それでも快くヤムチャの申し出を受けた。

115 :ドクターヤムチャ誕生4(ブリーフ版2) :02/09/01 22:37 ID:iemu8kL5

そしてヤムチャに個人教授をするようになっていくらかの時が過ぎた。 最初、ブリーフ博士はヤムチャのレベルに合わせてゆっくりと講義を進めていく予定だった。 しかし、ヤムチャの才能と情熱は博士の予想を遥かに超えた。 ヤムチャは当初の予定では3ヶ月はかかるはずだった内容を、なんと最初の一周目で理解してしまったのだ。 それどころか一ヶ月を過ぎる頃には次々と斬新なアイディアを提案し、ブリーフ博士を驚かせた。 重力場発生装置を応用した倍力システム… サイヤ人達の戦闘服の伸縮性を利用した人口骨格… スカウターに気を放射する機能を持たせたアクティブスカウター… さらにブリーフ博士を驚かせたのは、 「気」を機械的にコントロールするシステムを作れないか。 という提案であった。 確かに「スカウター」が「気」を機械的に検出している以上、機械で「気」に干渉する事は十分に可能だ。 しかし「気」などというオカルティックな分野を、科学で扱おうなどとは。 純粋な科学者であるブリーフ博士にとって、これは思いもよらない発想であったのだ。 (どうやらワシの時代はもうとうに過ぎておるのじゃな…) 新しい風が科学の分野でも吹こうとしている。 (ヤムチャがまだ学生だった時分にはとても考えられんかったわい) かつてヤムチャが学生だった頃、勉強を見てやった事を思い出し感慨深げに呟いた。 「ヤムチャ君に学問の話をしていると、君が学生だった頃を思い出すよ…」 「ははは…その話は勘弁して下さい。」 ヤムチャがどこか焦ったような声で応えた。

290 :ドクターヤムチャ誕生5(回想編1) :02/09/10 02:12 ID:29/FiyvV

「ヤムチャ君に学問の話をしていると、君が学生だった頃を思い出すよ…」 ブリーフ博士が感慨深げに呟くのが、界王を通して伝わってくる。 「ははは…その話は勘弁して下さい。」 思わず冷や汗が流れるヤムチャ。 たしかにヤムチャはかつて学生だった、それも超一流と呼ばれる大学の。 しかしそこに至る過程は決して褒められたものではなく、むしろ封印したい過去である。 「大学に行く」 ヤムチャが突然そんな事を言い出したのは、彼が天下一武道会に初めて出場し惨敗して一月後の事だった その頃、はっきり言ってヤムチャは落ち込んでいた。 天下一武道会で優勝する!とタンカを切ったくせに見事な一回戦負けを喫してしまったからだ。 実はヤムチャ自身「優勝は大口叩きすぎかも」とか思っていたが、幾らなんでも一回戦負けは予想外だった。 まあ、あの伝説の武道家武天老師が相手ではくじ運の悪さを恨むしか無いのだが、それでも醜態を晒した事に変わりは無い。 微妙に見栄っ張りなヤムチャにとって、これはかなりの精神的ダメージとなっていたのだ。 要するに彼を沈ませる最大の要因は…世間体であった。 元々ヤムチャは名も無き砂漠の盗賊である。 殺しこそ控えていたものの、やっている事は悪人のそれだ、どう考えてもマトモな人生を歩んで来たとは言えない。 そんな彼が天才科学者で大金持ちの令嬢で、おまけに美人なブルマと付き合うことになったのだ。 周囲の目が厳しくなるのは当然の帰結といえた。 勿論元盗賊というのは伏せたものの、所詮盗みと格闘技しか能の無い男である。 他人様に自慢できるステータスなどあるはずも無く、世間の風当たりは相当なモノとなった。 これに元来女性恐怖症だったりと小心者のヤムチャはすっかり参ってしまう。 彼は、なんとか世間に認められることばかりを考え、部屋で悶々とするようになっていった。 もっとも、そんな事をしているから 「女の家に居候するだけで定職にも着かないヒモ野郎」 という評判まで呼んでしまう訳なのだが、その辺に気付かない辺りがヤムチャのヤムチャたる所以であろう。

291 :ドクターヤムチャ誕生5(回想編2) :02/09/10 02:13 ID:29/FiyvV

まあそんな訳でヤムチャは自分の事を世間に認めさせ為、天下一武道会出場を決めたのだった。 が、結果は前述の通り初戦敗退、しかも内容は最悪。 これでは世間に認められるどころか、より馬鹿にされかねない。 「なんとかしないと…このままじゃブルマにまで愛想つかされちまう」 しかしいくら考えても良い考えが浮かばない。 勿論、次回の天下一武道会出場という手もあるが四年後では遅すぎる。 「なにか良い手はないだろうか…」 そう考えているうちに、ふとブルマとブリーフが楽しげに話している声が聞こえた。 「まさか…あの二人まで俺の事馬鹿にして笑っているんじゃ…」 いささか被害妄想の入ったヤムチャは耳を澄ます。 しかし、なにやら内容が難し過ぎて何を話してるのかさっぱり理解出来なかった。 「なんか俺、ブルマとブリーフ博士の会話についていけない…」 そうなのだ。ブルマとブリーフは共に天才科学者、共通の話題はやはり科学。 二人きりになると研究の話で盛り上がるのは当然だった。 普段こうした話題がヤムチャの前で出ないのは、二人がヤムチャに気を使っているからに他ならない。 その事に気付いたヤムチャは愕然とした。 「なんてこった、俺はあの二人にまで気を使わせてたのか…なのに俺と来たらこうして部屋で落ち込んでいるばかりで…」 そのとき、ヤムチャの頭にある考えが浮かんだ。 「大学へ行こう!そしてあの二人と共通の話題を身につけるんだ!一流大学に入れば世間からも認められるし一石二鳥だぜ!」 それが後に宇宙最高と呼ばれる科学者の第一歩であった。

293 :ドクターヤムチャ誕生5(回想編3) :02/09/10 02:19 ID:29/FiyvV

こうして大学入試を受ける事を決めたヤムチャ。 しかし問題は山積みであった。 まず参考書を買ってくるものの、そこには見たことも聞いたことも無い記号の山。 次に予備校とやらに通ってみるが、講師と名乗る連中が喋る内容はとても地球の言葉とは思えなかった。 試しに高校受験用の問題集も買ってみるが、それすらさっぱり解らない始末。 結局、受験を決めた3日後には背中が煤け始めていた。 しかし諦めるわけにもいかない。  なにせ、つい浮かれてブルマに 「超一流の大学に入るからな!」 と天下一武道会での失敗にも懲りずに宣言してしまったのだ。 中途半端にプライドの高いヤムチャが今更後に引けるはずも無い。 片っ端から願書を取り寄せまくり、数打ちゃ当たる作戦で受験に望むヤムチャであった。 そして…彼は合格した。 事の真相はこうだ。 すでにいくつかの大学を受験したものの、その全てが落書きか空白の答案を提出しただけだった。確実に落第である。 そして、そんな事をしているうちにとうとう最後の一校の受験がやって来た。 もう後が無いヤムチャは死に物狂いで勉強していたが、付け焼刃でどうにかなるようなら世の受験生も苦労はしない。 試験問題を見た瞬間、魂が抜けそうになるヤムチャ。はっきり言って一問も解らない。 だが、そのとき5つ前の席の女生徒の答案が目に飛び込んだのだ。 砂漠の暮らす者は概ね目が良い。中には平均視力が10近い部族も居るぐらいだ。 ヤムチャもその例に漏れず、極めて高い視力を持っていた。 しかもその娘は比較的小柄な上、机の脇に答案を置いていたので、その内容が殆ど全て見ることが出来たのだ。 すかさず鉛筆を握り締めてその答案をそっくりそのまま映し出すヤムチャ。 (神様有難う!) 思わず今までロクに信じてもいなかった神に感謝する。 後にその神から酷い目に合わされるのは、この時の天罰かも知れない。 とにもかくにもこうしてヤムチャは合格した。 それも理工系最高峰と謳われるRR(レッドリボン)大学に。 なお、この大学はこのすぐ後にスポンサーのレッドリボン軍が壊滅して廃校の憂き目に会う。 そこをブリーフ博士が買い取り、CC(カプセルコーポレーション)大学に改められる事になる。

294 :ドクターヤムチャ誕生5(回想編4) :02/09/10 02:20 ID:29/FiyvV

余談だが、この後ヤムチャが大学の授業についていけるはずも無く、 「ヘイ彼女ぉ、俺と飲茶しないか〜い?」 などとキャンパスライフをナンパで過ごすヤムチャはあっという間に留年の危機を迎えることになる。 その結果、ブリーフ博士に頼み込んで勉強を見てもらう事になるのであった。 何ゆえ恋人のブルマではなくブリーフ博士に頼んだかといえば、カンニングで合格した事を彼女に知られたくない為であった。 当然ブリーフ博士にはこの事をブルマには内緒にしておくよう頼み込んだ。 人の良いブリーフ博士はこの申し出を快く引き受ける訳だが、実はそこには裏があった。 実はヤムチャが入試の時カンニングをした相手は、なんとプーアルが変身した姿だったのだ。 そしてプーアルに外から超小型通信機で指示を送って、答案を書かせたのはブルマであった。 二人は天下一武道会でボロ負けしたヤムチャをなんとか立ち直らせようと、結託して一計を案じたのだ。 つまりヤムチャのカンニングは始めからバレバレだったのだ。 その事をヤムチャが知るのはずっとずっと後のことになる。

572 :ドクターヤムチャ第六話 :02/09/17 18:47 ID:R2SYHRTG

>>41 >>46 >>66 >>67 >>112-115 >>290-294 の続きです。駄文ですが気が向いたら読んでやってください。 <第六話> ブリーフ博士と学生時代の思い出話に花を咲かせたりしながらも、ヤムチャの学習の日々は続いていた。 ヤムチャには武道家としての才能は(他の連中に比べれば)まるで無かったが、こと学者としては天才的だったようで、 悟飯とクリリン、そしてブルマがナメック星へと旅立った頃には、もはやブリーフ博士と対等に議論するようにまでなっていた。 そんな天才ヤムチャであったが最近は切実な悩みを抱えていた。 それというのも界王星の重力である。 「あー体が重い…こんなんじゃ研究がはかどらないぜ。」 途中から修行を辞めて学問に没頭したので、10倍の重力は彼にとってかなりの負担となっていた。 おかげで肩こりと腰痛、さらに胃の中身が下に引っ張られる事によって生じる下痢などに苦しむ毎日だったのだ。 無論、修行して重力に馴れれば事は早いのだが、そんな根性はもはや今のヤムチャには存在していない。 このままではヘルニアになる日もそう遠くは無いだろう。 なにか良い手はないだろうか、とブリーフ博士に鍛えられた頭脳をフル回転させるヤムチャ。 「そうだ、ブリーフ博士の言っていた重力発生装置、あれを応用すれば!」 我ながら名案だ…と一人ほくそえむヤムチャ。 幸いにして元になる重力発生装置の原理は解っている、後はそれを逆転させるだけだ。 早速発明品第一号、「反重力発生装置」の設計図を書き出すヤムチャであった。 元来発明というのは怠け心から生まれるものである。 洗濯機にせよ車にせよ大体は「楽をしたい」という思いが原点だ。 そういう意味でヤムチャは最も発明家に向いた人種だったのかもしれない。 とにかく十倍の重力から逃れるため、ヤムチャは全身全霊を持って「反重力装置」の開発に取り組んだ。 そして、なんとわずか3日で設計図を完成させてしまったのだ。 「ようし!これで肩こり腰痛からおさらばだぜ!」

573 :ドクターヤムチャ第六話その2 :02/09/17 18:48 ID:R2SYHRTG

なんと3日で反重力発生装置を開発したヤムチャ。 しかし残念ながら界王星には材料が無いので、実際に装置を造る事は出来ない。 そこでヤムチャは設計図をブリーフ博士に伝え、代わりに造って貰う事にした。 設計図さえあればブリーフ博士の事、そうかからずに組み立ててくれるだろう。 そうすれば、後は完成品を占いババに届けて貰えば良い。 ただ、完成品をあの世の入り口まで取りに行くのが面倒だったが、こればっかりは仕方ない。 本当はチャオズをパシらせようかとも考えたのだが、天津飯が怖かったので辞めた。 「次は舞空術よりも早い乗り物でも造るか…」 蛇の道の途上、一人ごちるヤムチャであった。 その頃地球では、ヤムチャの設計図を元に反重力発生装置を完成させたブリーフ博士が呆然と溜息をついていた。 「なんということじゃ…まさかこれほどとは…」 そう、実際のところ反重力発生装置はとてつもなく複雑な構造だったのだ。 それこそ天才科学者であるブリーフ博士でもこれを設計する事は容易ではない。最低でも半年はかかるだろう。 それをわずか3日でやってのけたヤムチャはまさに天才の中の天才と言えた。 「ワシの予想を遥かに超える才能じゃ。ヤムチャなら本当にサイヤ人をも上回る人造人間を創れるかもしれんのぅ…」 そして偶然にも同じ時間、もう一人の天才科学者がブリーフ博士と同じ台詞を呟いていた。 「なんということじゃ…まさかこれほどとは…」 その眼前には「16号」と書かれたカプセルが横たわっている。 「永久エネルギー炉…これを制御するのは相当の時間が必要じゃな。」 ドクターヤムチャ最大のライバルは、未だ雌伏の時を過ごしていた…

879 :ドクターヤムチャ第7話(前編) :02/09/21 00:51 ID:+J5X4TeC

自ら設計した反重力発生装置をあの世の入り口で占いババから受け取ったヤムチャは、早速界王星への帰路に着いた。 しかし界王星までの道のりは遠い。 この帰りの道程はヤムチャの根性を持ってしてもかなりの苦痛であった。 「あーだりぃ。なんで界王様はあんな遠くに住んでんだ?ったく界王星に着いたら絶対凄ぇ速い乗り物造ってやる・・・ブツクサ」 いい加減、舞空術で飛ぶのにもだれて気が尽きてきたとき、ふとヤムチャは思いついた。 「別に界王星まで行かなくても、ここで乗り物を造ればいいじゃないか!」 実は反重力発生装置と一緒に、簡易研究所を丸ごと詰めたホイポイカプセルも貰っていたのだ。 これさえあれば界王星に居ても研究開発、さらに製造まで行えるだろうというブリーフ博士の心遣いであった。 早速、研究所の詰まったホイポイカプセルを投げるヤムチャ。 BOMB! だが蛇の道のような横幅の無い所で、簡易とはいえ研究所のような大きなものを出せば・・・ ぐらーり 当然のようにバランスを崩して雲の海へと落ちてゆく研究所。 「どわぁ!?大変だぁ!!」 あわてて研究所を受け止めるヤムチャ。 しかしここのところ修行をサボっていた彼には落下を止めるほどの力は無かった。 「ぐ・・・く、くそォ・・・こうなったらあれを使うしかない・・・」 ヤムチャは今まで暖め続けてきた必殺技を使う決心をした。 その名も狼牙界王拳。 集中力を高め超スピードで攻撃する狼牙風々拳と、気を凝縮し爆発的に高める界王拳との合わせ技だ。 元々界王拳を使うことの出来無いヤムチャだったが、狼牙風々拳の力を借りれば可能だと確信していた。 「行くぞ!狼牙界王拳!!!」 (全身のパワーを一点に集めるんだ、そして一気に研究所を押し戻す!) ありったけのパワーをこの一瞬に注ぎ込むヤムチャ。 だが、バランスを崩した研究所はビクともしなかった。 ヤムチャは驚愕した。 「馬鹿な!俺の狼牙界王拳は計算上あのサイバイマンの1.46倍ものパワーがあるはずなのに!」

880 :ドクターヤムチャ第7話(中編) :02/09/21 00:54 ID:+J5X4TeC

「くそォ、最後の手段だ!」 懐から反重力発生装置の入ったホイポイカプセルを取り出すヤムチャ。 この装置で周囲の重力を消せば研究所は無事で済む。 だがこれは賭けだ。もし失敗すれば折角の反重力発生装置まで研究所と一緒に失ってしまうだろう。 しかしヤムチャに迷いは無かった。 なにしろこのままでは自力で遠い界王星まで行かなくてはならなくなる。 (そんな疲れる事はしたくない・・・)(絶対に乗り物を作って楽してやる・・・)(てゆうか界王星、女っ気無さ過ぎ・・・) その決意はあまりにも固かった。 ヤムチャは素早く研究所から離れるとホイポイカプセルを投擲した。 当然、支えを失った研究所は前よりも速度を増して落下していく。 「いけ!反重力発生装置!」 BOMB!小爆発の後、空中に反重力発生装置が出現した。 「音声入力、作動!重力0倍!」 ヤムチャの叫びと共にぶぶぶん!と反重力発生装置がハエが飛ぶような音を立て始める。 途端、ヤムチャの全身が一気に軽くなった。 「やったぜ!重力が無くなったぞ!これで研究所も・・・なにぃ!?」 しかし、研究所の落下は止まってはいなかった。多少速度を減じただけで白亜の建造物は雲の海へと飛び込んでいく。 「な、なんで!?・・・ってそうか、慣性が消えるわけじゃないんだから重力を0にしても加速が止まるだけだった!」 極めて初歩的なミスである。流石はドクターヤムチャだ。 「と、とにかくまだ間に合う!最大出力、重力マイナス30倍!」 慌てて反重力発生装置のパワーを最大のマイナス30倍まで上げるヤムチャ。 するといまにも雲海に没しようとしていた研究所がピタリと止まった。 「ふぅ・・・今度こそ・・・」 と、安心して胸を撫で下ろすヤムチャ。しかし次の瞬間、とんでもない事が起こった。 そう、重力マイナス30倍とは通常の30倍の重力が「逆向き」に働く事である。 この場合「空」目掛けて引っ張られる訳だ。 そして反重力の効果範囲は研究所だけではなくヤムチャも含まれていたのだ。 当然ヤムチャが30倍の重力に逆らえるはずも無く・・・ 「うわぁぁぁ!落ちる!!助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 ドップラー効果と共に上空へと消えるヤムチャであった。

882 :ドクターヤムチャ第7話(後編) :02/09/21 00:55 ID:+J5X4TeC

「あ、危なかった・・・」 あやうくお星様になりかけたヤムチャだったが、なんとか反重力発生装置を制御して危機を逃れていた。 研究所と反重力発生装置も無事だ。 しかし、30倍の重力下で上空目掛けてロープレスバンジーという前人未到の荒行は彼に相当のダメージを与えていた。 重力に逆らおうと必死に力を振り絞ったため体力の大半を使い果たし、全身の筋肉も悲鳴を上げている。 これではしばらくは舞空術を使うことは出来ないだろう。いや、それどころか歩く事もままならないかもしれない。 だがそんなことよりも重大な被害があった。それは、 「パンツ濡らしちまった・・・」 やはり心の傷であったことは言うまでもない。 今回の失敗はやはり慣性を考えず、単純に重力を0にすれば良いと考えた事にあるだろう。 「慣性か・・・」 確かに慣性という奴は厄介だ。 慣性さえ無ければ、こんなに酷い目に会わずとも重力を0にした時点で研究所の落下を阻止できたはずだ。 「これは考える必要があるな。」 そうなのだ。パンチを食らって吹っ飛ぶのもとどのつまり慣性の影響。 ジャンプして飛び上がることが出来るのも慣性あっての事だ。 ならば、もし慣性を操れればたとえ自分より何倍も強い相手と闘っても勝てるはず。 そしてその技術をいずれ創るであろう人造人間に応用すれば。 「より完璧な存在になるぜ。よし、俺の創る人造人間には慣性制御装置を搭載しよう!」 失敗は発明の母と言う。 エジソンもノーベルも多くの失敗から学び素晴しい発明を生み出してきた。 ヤムチャもまたしかり。 彼は失敗から学び、さらに成長しようとしていた。 しかも今回に限らず失敗だらけのヤムチャはまさに天性の発明家であったと言えよう。 「ま、その前に乗り物を造ろう、乗り物。まさか走って界王星まで行ける筈無いしな。」 そう呟きながらヤムチャは「湿ったパンツって気持ち悪いな」と思うのであった。

198 :ドクターヤムチャ第八話(前編) :02/09/23 12:37 ID:tar2ZqX8

ひと悶着あったもののなんとか蛇の道に研究所を建てるヤムチャ。 今度は反重力を上手に使って固定したので、落ちる心配は無い。 「よし、後は界王星までひとっ飛び出来る乗り物を作るだけだ。」 研究を開始するヤムチャ。 そして数日後、 「出来た!」 新発明、新マイティマウス号が完成した。 この「新マイティマウス号」は一見、車の形をしているが陸海空あらゆる環境を移動することが出来るスーパーキャリアーだ。 最高速度はヤムチャの舞空術の10倍以上。 動力源は搭乗者の気を吸収するエネルギー吸収タイプなので完全無公害、環境にも優しい。 車体は高級感ただようセダンタイプ。その強度はサイバイマンの自爆にも耐える。 さらにボンネットに輝く「Y」エンブレムがヤムチャブランドの高品質をアピール。 そして車内は広々とした造りの6人乗り。勿論、冷暖房完備。 乗員がリラックスできるよう人間工学を考慮した設計のリクライニングシートには自動マッサージ機を搭載してあり、運転者の疲れを癒す。 さらにはアロマテラピーを駆使した各種芳香剤も用意。 操縦システムはマニュアルだけでなく高度なAIを用いた自動操縦機能を備え、行き先さえ入力すれば後は勝手に目的地に連れて行ってくれる。 まさに完全無欠、夢の乗り物である。 しかも発明品はこれだけではない。 ヤムチャは高分子化学を駆使した強化型パンツも開発していた。 これは横漏れ防止ギャザー付き、蒸れない漏れないはみ出さないの三拍子そろった大発明だ。 これさえあれば、もう恐怖のあまり失禁しても大丈夫。 流石はヤムチャ。失敗から学べる男である。

213 :ドクターヤムチャ第八話(中篇) :02/09/23 14:44 ID:tar2ZqX8

ヤムチャは早速、新マイティマウス号に乗り込むとエネルギー吸収炉を起動させる。 「新マイティマウス号、発進!ポチっとな。」 すると凄まじい勢いで加速を始める新マイティマウス号。 「よし、このまま界王星まで直行だ!!」 各種インジケーターを確認、オールグリーン。操縦をマニュアルから自動操縦に切り替える。 こうなったら後は到着するのを待つだけだ。 ヤムチャは自動マッサージ機のスイッチをONにすると、シートを倒して横になった。 「あー極楽極楽♪ってここはあの世だから本当に極楽なんだけどな、はは。」 設計通り最高の乗り心地と自動マッサージ機によって、ヤムチャはこの上無く上機嫌である。 「さーて、着くまでひと眠りするか。おっと忘れていた。寝る前にちゃんとあれを装着しないとな。」 あれとは新発明、強化型パンツのことである これをしっかり穿いていおけば、怖い夢を見てオネショをしても問題は無い。 安眠するにはかかせないアイテムだ。 ヤムチャはこれに加えてナイトキャップを身につけると、幸せに包まれながら眠りにつくのであった。 この乗り物の動力源がエネルギー吸収タイプだと言うことを完全に忘れたまま・・・ 最初にそれに気付いたのは、空中戦の修行をしていた天津飯だった。 「なんだ?あれは。」 蛇の道の続く先に、なにか車のような物体が浮いているのが見える。 (車か?見た事の無いデザインだが・・・ん?ボンネットになにか付いてるな。) 三つの眼を凝らして良く見ると、それがアルファベットの「Y」の文字をあしらったエンブレムであることが解った。 そのエンブレムになんとなく嫌な予感を覚えた天津飯は、その車らしきものの正体を確かめるため界王星から離れていった。 (敵ってことはないだろうが・・・念の為だ) そしてすぐ傍まで接近したとき、ふとその物体の中から微弱な気を捉えた。 「この気はヤムチャか?妙だな・・・いくらあいつでももう少し気が大きいはずだが。なっ!?」 不審に思って車内を覗き込んだ天津飯は、思わず驚きの声を漏らした。 なんとそこには干からびた男の即身仏が座席に横たわっていたのだ。 しかもどういう原理かわからないが、その即身仏は微妙に前後左右にうごめいている。 「な・・・なんて気味の悪い・・・」 絶句する天津飯であった。

238 :ドクターヤムチャ第八話(後編) :02/09/23 20:57 ID:tar2ZqX8

空中に浮いている車(?)の座席に横たわる、うごめく即身仏。 百戦錬磨の天津飯でも、流石にこんなシチュエーションにはお目にかかったことは無い。 「さ、流石はあの世だな。こんなわけのわからないものが出るとは・・・」 思わず妙なところで感心してしまう天津飯。物珍しさも手伝って即身仏をまじまじと眺める。 するとその頬に十字型の傷があることに気付いた。 「どこかで見た事のある傷だな。えーと確かヤジロベー・・・じゃないな。桃白白・・・でも無い。ランチ・・・は論外。」 腕を組んで考え込む天津飯。 「・・・はもう少し背が低かった・・・男狼・・・は顔を覚えていない。パンプットは・・・あっ!」 パンプットの自信に満ち溢れた表情と無様な負けっぷりに一人の男の姿がダブった。 「ま、まさかこれが・・・ヤムチャ?」 そしてやっと、さっきこの車からヤムチャの気を感じ取った事を思い出した。 集中してみるとたしかにその即身仏から、わずかではあるがヤムチャの気が感じられる。 なんとうごめく即身仏の正体はヤムチャだったのだ。 干からびているのはエネルギー吸収炉に気を吸い尽くされた為。 そして前後左右にうごめいているのは自動マッサージ機に揺さぶられているだけであった。 勿論そんな事を天津飯が知るはずは無い。 「まだかすかにだが息がある。仕方ない、助けてやるか。」 ヤムチャはすでにサイバイマンの自爆で死んでいる。 故にこれ以上死ぬとは思えなかったが、あのヤムチャの事だ、万が一という事もある。 天津飯はフロントガラスを叩き割ると車内に侵入して即身仏、もといヤムチャの干物を抱えあげた。 「待ってろよ、今界王様の所に連れて行ってやる。」 余談だがこの後、弱りきったヤムチャは界王星の十倍の重力でさらに死にかけてしまう。 そして一週間ほど昏睡状態が続くわけだが、その際、彼はとある不思議な夢を見る。 そしてその夢が後の人生に大きな影響をもたらす事になるのであった。

239 :狼牙の拳(ドクターヤムチャ幕間劇) :02/09/23 21:00 ID:tar2ZqX8

199X年。地球はサイヤ人襲撃にさらされた。 あらゆる生命体は絶滅したかのように見えた。 だが、人類は死滅していなかった!! <主題歌>(北斗の拳OP「愛を取り戻せ」替え歌) YAMU CHA! 天津飯に倒される YAMU CHA! 俺の脚が折れている 新しい技 あみ出し使っても いつも無駄だよ 闘うたびに 足元お留守で ダウンさ YAMU CHA! 自爆で鼓動 停止する YAMU CHA! 俺の鼓動 停止する ブルマに隠れ 浮気の心 今 熱く萌えている 愛想尽かされ 無残に捨てられる はずさ 俺との愛を忘れさり お前は妊娠 ベジータと結ばれた 微笑み浮かべた顔など 見たくはないさ 愛を 取り戻せ!!

243 :狼牙の拳(ドクターヤムチャ幕間劇) :02/09/23 21:06 ID:tar2ZqX8

時は世紀末、暴力の嵐が吹き荒れる無法の荒野。 一子相伝の暗殺拳、狼牙風々拳の伝承者であるヤムチャは恋人ブルマと共に、亀仙人の墓の前に立っていた。 ブルマと旅立つ事を今は亡き師、亀仙人に報告するためである。そして、安住の地を求め出発しようとする二人。 だがそんな二人の前に、つるっぱげとサイバイマンを引き連れたベジータが現れた。 「その女は貰っていくぞ!」 居丈高に宣言するベジータ。だがヤムチャはその挑戦を真っ向から受ける。 「今の時代は力こそが正義。ブルマが欲しけりゃ力ずくで奪ってみやがれ!」 「いいだろう・・・やれ、サイバイマン」 「手下に俺を倒せると思うか?狼牙風々拳の力を見せてやるぜ!アチョー」 バキッ!!ズガッ!!ゴス!!チュドーン!! 「ふっ、力では何も解決しない。ここは平和的に話し合いでかたをつけないか?」 ボロ雑巾のようになって地面に転がったヤムチャは提案した。 「ふざけるな。」 無論、却下。 「おいナッパ。こいつを捕まえておけ。」 「わっ!何をする、やめろ!」 ベジータは部下にヤムチャを羽交い絞めにさせると、手刀でその顔に傷を付けていく。 「ひとーつ、ふたーつ、みいーつ・・・」 「や、やめろ!俺の甘いマスクに傷をつけないでくれーー!!」 そしてあっという間に、顔に七つの傷を持つ男にされてしまう。 そのヘタれた様子に満足するとベジータはブルマの元へ近づいていった。

244 :狼牙の拳(ドクターヤムチャ幕間劇) :02/09/23 21:06 ID:tar2ZqX8

「ブルマ、おれを愛しているといってみろ。」 「ベジータ、愛してるわ」 即答である。 「さもなくばお前の愛するヤムチャの命は・・・・おい、今なんと言った?」 「愛してるわ、ベジータ。何度も言わせないでよ、もぅ・・・」 頬を染めてはにかむブルマ。 「そ、そうか。(お、女の心変わりは恐ろしい・・・)」 ちょっぴり冷や汗の流れるベジータ。 「さあ早く行くわよ。まずは二人のマイホームを探さなきゃ」 そう言ってブルマはベジータの手を握り締める。 「ブ、ブルマ・・・俺を助けるためにそこまで・・・」 ヤムチャは呟き、感動のあまり涙を流した。 そして、サイバイマンもヤムチャのあまりにも哀れな境遇に涙を流していた。 その後、ブルマとべジータは共に手と手を取り合っていずこかヘと消えていった。 後に残されたのは、顔に七つの傷を付けられ面白い顔になったヤムチャと、彼に同情して残ったサイバイマン一匹のみである。 「ははは、もう俺には何にも残っちゃいない・・・このまま野たれ死のう・・・」 「キーキー(そういうなよ、生きてれば良いこともあるさ。)」 ヤムチャの肩に手を置いて、慰めの言葉をかけるサイバイマンであった。 「う〜ん、サイバイマン・・・お前・・・むにゃむにゃ」 「ヤムチャの奴、眠りながら涙を流している。一体どんな夢を見ているのでしょう?」 なぜか干物状態で発見されたヤムチャに気を送り込みながら、天津飯は界王に話しかけた。 「うーむ、恐らく夢の中でサイバイマンと戦っておるんじゃな・・・泣いておるのは夢で仲間が命を落としたのじゃろう。」 「なるほど、夢の中でも闘っているとは・・・ヤムチャも一応、武道家のはしくれなのですね。」 少しヤムチャの事を見直す天津飯。 しかしこの後、ヤムチャは 「俺の名を言ってみろオ」「汚物は消毒だぁ」 などと意味不明な寝言を連呼しだし、別の意味でヤムチャの事を見直す必要を感じる天津飯であった。

647 :ドクターヤムチャ第九話(前編) :02/09/26 23:25 ID:BRmzp1Dc

自ら作ったエネルギー吸収装置に気を吸い尽くされ、干物と化したヤムチャ。 天津飯が気を分けてくれたおかげでなんとか回復する事が出来た彼は、再び発明三昧の日々を過ごしていた。 「いやー快適、快適♪界王星に居るなんて嘘みたいだぜ。」 ヤムチャの研究所の中は反重力発生装置のおかげで地球の2.5倍の重力となっていた。本当は地球と同じ重力にしても良かったのだが、餃子より弱くなるのは悔しかったのであえて2.5倍に設定したのだ。 それでも十倍の重力下に比べれば体がまるで羽のようである。肩こり腰痛もすぐに回復した。 「これなら研究もはかどるってもんだ。やっぱ科学の力は偉大だね。」 こうして本格的な人造人間の開発に着手するのであった。 そして、遂にブルマ達三人がナメック星に到着する日がやってきた。 その日の朝も、ヤムチャは人造人間の開発に没頭していた。 研究に余念がないあまり、ここ数日はほとんど眠っていない。 実際、サイヤ人の戦闘服の素材をスプリングに使用した「顔を蹴られた地球もニッコリするほどフカフカベッド」も埃をかぶったままだ。 とにかくそんな状態であったから、界王から聞かされた話は彼にとってあまりにも衝撃的であった。 「ようやく孫悟空の息子達がナメック星に着いたぞ。」 その言葉にヤムチャのみならずピッコロ、天津飯、餃子も安堵の表情を浮かべる。 だが、界王の次の一言に緊張が走った。 「だがナメック星にはあのベジータというサイヤ人が居たのだ。」 「なんだってーーーー!!!!!」 真っ先に絶叫したのはヤムチャであった。 「あ、あのチビ、ブルマ目当てでナメック星くんだりまで来やがったのか!?」 ヤムチャは干物になっていた時見た夢(狼牙の拳参照)の影響で、ベジータがブルマを奪わんとしているという被害妄想を抱くようになっていた。

648 :ドクターヤムチャ第九話(中編) :02/09/26 23:30 ID:BRmzp1Dc

「しかしわざわざナメック星に来るとは、あの野郎俺が超強い人造人間を創ってるんで焦ってやがるな!」 ただでさえ寝不足のヤムチャはどんどん妄想を膨らませていく。 「あの糞サイヤ人どもは満月見たくらいで大猿になる変態なんだ。ブルマを見た日にはとんでもない猿になるに違いねぇ!」 チチが聞いたら、なかなか面白いリアクションを見せてくれそうな台詞をのたまうヤムチャ。 そもそもこの時点では、ブルマとベジータは共に面識が無いはずなのだがそんな事はお構いなしだ。 「ブルマ相手に猿になっていいのはこの俺だけだぁーーーー!!!」 ろくでもない内容を力いっぱい主張するヤムチャ。これにはピッコロ達もあきれ果てて開いた口が塞がらなくなる。 「お、落ち着けヤムチャ。ベジータはブルマを狙っているのではない。」 なんでこんな当たり前の事を説明しなきゃならんのだろう?と内心ぼやきながらも、予想外の暴走をみせるヤムチャをなんとか鎮めようとする界王。 「気休めは辞めて下さい!奴がブルマ以外の何を狙うって言うんですか!?」 「いや、ドラゴンボールを狙っとるんだが・・・」 「なんだ、それなら問題ないですね。」 ヤムチャはほっと胸を撫で下ろした。 「よ、良いのか?ドラゴンボールを奪われたらおぬし達皆生き返れなくなるのだぞ?」 「し、しまったぁーーーー!!!!そいつは気付かなかった!」 (気付けよ・・・)その場に居た全員(ヤムチャ除く)が心の中でつっこんだ。 「それだけではない。あそこにはベジータより遥かに凶悪なフリーザという奴もおるらしい。」 気を取り直し、沈痛な面持ちで語る界王。 「そ、そんな・・・サイバイマンより強いベジータよりも凶悪って・・・そりゃサイバイマンよりずーっとずーっと強いって事じゃないですか!?」 どうやらヤムチャにとっての強さの基準はサイバイマンらしい。 「う、うむその通りだ・・・しかもそやつまでドラゴンボールを狙っておる」 界王はヤムチャのあまりの狼狽ぶりに、ちょっと引きつりながらもなんとか応じた。 「そ、そんな・・・」 その言葉の持つ絶望的な意味がヤムチャの中で数100倍に増幅されてゆく。 「それじゃ俺は生き返れないじゃないか・・・てことは人造人間を創っても無駄・・・うああああもう駄目だぁーーー!!!」 ヤムチャは泣き叫びながら研究所へと駆け込んでいった。

649 :ドクターヤムチャ第九話(後編1) :02/09/26 23:36 ID:BRmzp1Dc

「ヤムチャの奴大丈夫でしょうか?」 頭が、とはあえて付け加えずに界王に問いかける天津飯。 「あやつが武道家の道をあきらめ、科学者となった目的を知っておるか?」 「いえ・・・」 天津飯は首を横に振った。 確かにヤムチャが科学者になったのは知っていたが、その理由までは天津飯も聞いていない。 「地球を守る人造人間を創る為だ・・・悟空を始めとする仲間達が戦って傷つくのを見たくない。だから皆の代わりに人々を守る人造人間を創りたいとな。」 界王はどこか遠くを見ながら語った。 「あのとき、わしにそう宣言したときの心が残っている限り、必ずあやつは立ち直る。わしはそう信じておるよ。」 それはヤムチャを買いかぶりすぎなんじゃ?と天津飯は思ったが、いつになくシリアスな界王を前にそれを口には出せなかった。 「くだらん。」 その様子を少し離れた場所から眺めていたピッコロは、吐き捨てるように呟くとその場から立ち去った。 研究所に駆け戻ったヤムチャは最初、完全に冷静な思考を失っていた。 「はっはっはっはっは!どうせ生き返れないんだ、こんなもの!こんなもの!くらえ躁気弾!ちょあえー!!」 意味不明の雄たけびをあげながら、今まで作り上げてきた発明品の数々を次々と破壊していく。 無理もない話である。己の生命の危機と、恋人の命と貞操(ヤムチャはそう思っている)の危機が同時に訪れたのだ。 しかも付録としてライバルの息子と修行仲間のピンチも付いてきている。この状況で冷静さを保っていられる人間の方が特殊であろう。 もっともこの時のヤムチャほど取り乱す人間もまれであろうが。

650 :ドクターヤムチャ第九話(後編2) :02/09/26 23:36 ID:BRmzp1Dc

「たりゃあーーー新狼牙風々拳!あたたたたたたたた!!!」 がこん! 「痛ぇーーーー!!!」 どうも凄まじく硬いものを殴ってしまったらしく、拳を握り締めてうずくまるヤムチャ。見るといつの間にか目の前にゼダンタイプの高級車が鎮座していた。 どうやら暴れまくった拍子に、新マイティマウス号の入ったホイポイカプセルを作動させてしまったようだ。 「こ、これは・・・新マイティマウス号・・・」 この車の形をした乗り物の装甲がヤムチャの渾身の一撃をはじき返したのだ。 実際、この新マイティマウス号の強度はサイバイマンの自爆にも耐える。長年の修行をこなしたヤムチャを一撃で葬ったあの自爆をだ。 ヤムチャはうずくまったままポツリと呟いた。 「畜生、俺はこんなにも凄いものが造れるのに・・・なのにブルマ一人救えない・・・」 両手を床について頭を垂れるヤムチャ。瞼からポツポツと水滴が流れ落ちる。 何もかもが無意味に思えていたその時、研究所の扉を開いて意外な人物が姿を現した。 ピッコロである。

651 :ドクターヤムチャ第十話(前編) :02/09/26 23:40 ID:BRmzp1Dc

ピッコロはヤムチャの脇までやってくると、無言のまま彼を見下ろした。しばらくの間、二人の間に沈黙が流れる。 先に口を開いたのはヤムチャのほうだった。 「なんだよ、俺を笑いに来たのか?」 「ふん、そのつもりだったが今の貴様を見て気が失せた。拳の道を捨ててまで科学者になったくせに、結局自分に出来る事を何もしようとせんクズなど笑ってやる価値すらない。」 ピッコロは蔑げずむような眼差しでヤムチャを睨んだ。ちょっぴりビビるヤムチャであったが、なけなしの勇気を振り絞って言い返す。 「じ、自分に出来る事だって?俺に何が出来るって言うんだ。だいたい何も出来ないのはお前だって同じだろ?生き返らなきゃ天下のピッコロ大魔王様もただの死人さ。」 「だからどうした。生き返れるかどうかなど俺達が悩んだところでどうにもならん。だったら俺は生き返った後にベジータやフリーザとかいうヤロウをぶちのめす為の力を身につけるだけだ。」 その言葉にヤムチャはようやく顔を上げた。 「生き返った後・・・」 「そうだ。俺は生き返った後、ナメック星に行く。そして俺の故郷を滅茶苦茶にしてくれたヤロウ共を叩き潰す。」 ヤムチャは驚いた。 「馬鹿な、よしんば生き返れたとしてもドラゴンボールの願いは一つしか叶わないんだ。ナメック星になんか行けるはず無いだろ?」 この時点ではポルンガの願いが三つある事など知るはずもない。それはピッコロも同様である。 「ああ、戦士である俺には無理だ。だが、それを考えるのは俺じゃあない。科学者であるお前の仕事だ。」 いきなりのご指名にヤムチャは思わず目を丸くした。

652 :ドクターヤムチャ第十話(後編) :02/09/26 23:41 ID:BRmzp1Dc

「お、俺が?」 「そうだ、お前が俺をナメック星まで連れて行くんだ。」 そのピッコロの一言が冷え切ったヤムチャの魂に再び火をくべる。 (そうだ、こんなところで腐っている場合じゃない。ナメック星にいるブルマ達を助ける為に、たとえわずかな可能性にでも賭けてみるべきじゃないか!) ヤムチャはぎゅっと涙をぬぐって立ち上がった。 「ピッコロ、礼を言うぜ。おまえのお陰で自分のやるべき事がわかった。」 「ふん、勘違いするな。俺はただお前を利用しようとしているだけだ。」 少し照れたように顔を背けるピッコロ。自分自身に戸惑っているようにも見える。 確かにピッコロに打算があったのは事実である。だがその為だけでヤムチャを激励した訳ではなかった。 ナメック星人は雌雄同体の生物である。つまり男でもなければ女でもない。だが逆の言い方をすればその両方でもある。 ようするに父親にも母親にもなれる存在なのだ。ゆえに彼等には強い母性本能が備わっているのは当然であろう。 そして、これはピッコロとて例外ではなかった。ただ悪の化身として生まれたため、ずっとその本能が抑えられてきただけだ。 だが、孫悟飯との触れ合いがきっかけとなって母性本能に目覚めてしまった。だから悪の化身である事を超えて悟飯を庇ったのである。 そしてヤムチャのあまりに情けない姿もまたピッコロの母性本能をくすぐったのだった。 勿論、これはピッコロ自身も気付いていない変化である。 「とにかく礼を言わせてくれ。ありがとう。」 そう言ったヤムチャの瞳に、もはや迷いの色はなかった。

799 :ドクターヤムチャ第十一話(前編) :02/09/28 16:13 ID:B2W4kMEd

ナメック星にベジータと、それを遥かに上回る極悪人のフリ−ザが居ると聞いて絶望のどん底に叩き落されるヤムチャ。 彼はやけになって反抗期の中学生のように暴れまくる。だがそんな情け無い姿がピッコロの母性本能をくすぐった。 とまどいながらもヤムチャを激励するピッコロ。 その激励によって自分を取り戻したヤムチャは、ピッコロをナメック星に送り届けるための装置の開発に取り掛かるのであった。 それから数日、 ヤムチャはピッコロとの一件以来、研究室に篭ったまま一度も界王たちの前に姿を見せないでいた。 とうとうヒッキーになってしまったかと心配する界王。 どうせ腹が減ったら出てくるだろうとたかをくくる天津飯。 中で首を吊っているに違いないと主張する餃子。 唯一ヤムチャが研究所から出てこない理由を知っているピッコロが、それを誰にも話そうとしなかったので皆好き勝手にヤムチャの事を噂していた。 だが人の噂も75日、ヤムチャの噂は49時間。 すぐにそんな噂も消え去り、誰もヤムチャの事を話題にしなくなった。 そしてブルマ達がナメック星に到着してから六日、遂にドラゴンボールの願いが叶う日がやってきた。 悟飯達が奇跡的にベジータを出し抜くことに成功したのだ。 喜ぶ一同。しかし、いきなり難題が持ち上がった。 なんとナメック星のドラゴンボールで生き返らせる事が出来るのは一人までだったのだ。 三つ願いが叶うとしても生き返れるのは三人まで。これではとてもサイヤ人に殺された地球の人々を救う事など出来ない。 だがそこでピッコロが一計を案じた。 ピッコロを蘇らせれば地球のドラゴンボールも復活する。 その地球のドラゴンボールなら一度に、殺された人々を生き返らせる事が出来るのだ。 そして、その計画通り一つ目の願いで蘇るピッコロ。 「よーーーし!生き返ったぞ!!さあっ、次の願いだ!!」 二つ目の願いは生き返ったピッコロをナメック星に飛ばす事。 だがその願いを悟飯に伝える前に、ピッコロはヤムチャの研究所を振り返った。 「やはり間に合わなかったか・・・」 どこか残念そうに呟く。 と、その時何者かが背後からピッコロの肩を掴んだ。 「おい、なんでお前だけ生き返ってるんだ?話が違うじゃないか!」 それはこの六日間、一度も姿を現さなかったヤムチャであった。

800 :ドクターヤムチャ第十一話(後編) :02/09/28 16:14 ID:B2W4kMEd

「なっ!?」 ピッコロは驚愕した。ヤムチャの勘違いにではない、ヤムチャが自分に気付かれずに背後に回っていた事にだ。 それは天津飯達も同様だった。なにしろ彼らの目にはヤムチャがピッコロの背後に「突如として」出現したように見えたのだ。 なにしろあのヤムチャだ、目にも留まらぬ超スピードというのはありえない。ならば一体どうやって? 「ははぁーん、さてはお前一人だけ生き返って地球を征服するつもりだな?そうはさせないぞ!」 と、事情の解っていないヤムチャは誤解しまくってピッコロを睨みつけた。 だが、そんな戯言を無視してピッコロが怒鳴りつけた。 「時間が無い、その話は後にしろ!それより例の装置は完成したのか!?」 そう、例の装置。あれが完成したのならばヤムチャの魔法は説明がつく。 「ご、誤魔化そうとしたって駄目だぞ?お、お前が裏切ったのはわかってるんですぅ・・・」 何故か語尾が敬語になってしまうヤムチャ。 「良いから答えろ!!!」 「は、はいぃ!物質転送機、本日1200(ヒトフタマルマル)時を持って完成いたしました、サー!!」 ヤムチャは思わず敬礼して答えた。 (こりゃピッコロの部下になって地球征服の手伝いするしかないのかなぁ・・・トホホ) 「そうか!よし悟飯!二つ目の願いは「ヤムチャを生き返らせろ!」だ!」 その言葉を聞いた悟飯は一瞬、新手のジョーク?と思ったがすぐにピッコロさんには何か考えがあるんだろう、と考え直した。 「デンデ君!二つ目のお願いでヤムチャさんという人を生き返らせて!」 「悟飯正気かぁーーーーー!!!!」 クリリンは絶叫した。

934 :ドクターヤムチャ第十二話(前編) :02/09/30 03:03 ID:Or3y+QXK

ドラゴンボールによって遂に生き返ったピッコロ。 彼が悟飯に伝えた二つ目の願いは「ヤムチャを生き返らせろ」であった。 頷く悟飯、絶叫するクリリン。 そして、悟飯とクリリンは仲間割れをおこしていた。 「悟飯!ヤムチャさんを生き返らせるなんて馬鹿なことはよせ!!」 「でも、ピッコロさんがそうしろって言ったんです!」 「ピッコロはもう寿命なんだよ!きっと死ぬ間際のうわ言だったんだ!」 同じ死にかけでも最長老とはエライ違いだ、と思うクリリン。 「ヤムチャさんならともかく、ピッコロさんに限ってそんなことありません!」 失礼な事を言うな、といきり立つ悟飯。 その争いに呆然とするデンデと、見守るポルンガ。 『!!』 そのとき、争う二人の間に緊張が走った。 「この気はベジ−タ!」 「デンデ君、早くヤムチャさんを生き返らせて!」 「やめろデンデ!ヤムチャさんだけは駄目だ!せめて天津飯、いや餃子を!なんだったら地球に居るヤジロベーをここに呼んでくれぇーーー!!」 もうやけくそのクリリン。しかし時すでに遅し。 「よくも俺を出し抜きやがったな。まあいい、その様子じゃまだ貴様等の願いは叶っていないようだからな。」 彼らの前にうすら笑いを浮べたベジータが現れた。 だがこのとき、ベジータの内心は外見ほど穏やかではなかった。 (ヤムチャだと?そいつを生き返らせる為にこのナメック星まで来やがったのか。) ヤムチャ、聞いたことのない名前である。 しかし、この状況で生き返らせようとするのだ。カカロット以上に強大な力の持ち主に違いない。 そしてどうやってかは解らないが、このナメック星に一瞬にしてやって来る手段を持っているはず。 でなければこのタイミングで生き返らせる意味が無い。 (そのヤムチャとやらを生き返らせて、俺やフリーザに対抗しようってわけか。) だがクリリンとかいうハゲはヤムチャの復活に反対していた。つまりそのヤムチャとやらは邪悪な存在でもあるのだろう。 ベジータは、己の中で強い敵を求めるサイヤ人の血が騒ぐのを感じていた。

936 :ドクターヤムチャ第十二話(後編) :02/09/30 03:07 ID:Or3y+QXK

(もっとも、どれほど凶悪な相手だろうとこれから不老不死となる俺の敵じゃあない) そう考えると、ベジータは悟飯達に向かって言った。 「さあ、早く俺を不老不死にしやがれ!フリーザはもうそこまで迫っているぞ!」 「わ、わかった。こうなったらやぶれかぶれだ。」 仕方ないといった様子で頷くクリリン。そしてデンデの方に向き直る。 「デンデ!ベジータを不老不死にしてやってくれ!ベジータはとんでもない悪だがヤムチャさんを生き返らせるよりはマシだ!」 (な、なんだとォーーー!!!) そのクリリンの言葉にベジータは驚愕した。 (不老不死となったこの俺より、そのヤムチャとかいう野郎の方が恐ろしいというのか!?) 信じがたい話である。しかし目の前のハゲは相手の力が解らないほど愚かでは無いはず。 (ヤムチャ・・・一体どれほどの力を持ってやがるんだ?) そしてポルンガにベジータを不老不死にするよう願いを言うデンデ。 しかしポルンガの答えは残酷であった。 「それは叶わぬ願いだ。私の力を超えている。」 「な、なにぃーーーー!?どういうことだ!」 だがこの答えは当然のものだった。 ドラゴンボールの力では寿命で死んだものを生き返らせる事は出来ない。 ようするに寿命にはいかなドラゴンボールでも干渉できないのだ。 そもそも不老不死などという願いが叶えられるのなら、地球やナメック星にそうした人間が一人くらいは居るはずである。 だがナメック星人はその殆どが絶滅の危機に晒されもしたし、地球にも不老不死の人間など存在しない。 もしも願いが「不死身」であったなら寿命以外での不死が叶えられたかもしれなかったが、このときのベジータにそこまで思いつく知識も余裕もあるはずが無かった。 不老不死が叶わないと知ったベジータは最後の手段に賭ける事にした。 「くそっ!こうなったら仕方ない!早く例のヤムチャとかいう野郎を生き返らせろ!」 「へ?」 思わず目が初登場時のように点になるクリリン。 「もたもたするな!フリーザが来ちまうぞ!」 「わ、わかった。デンデ頼む。」 もう何がなんだか解らなくなったクリリンは、とりあえずデンデに向かってそう言った。 「早く来やがれ、ヤムチャ。てめぇの力をこのベジータ様に見せてみろ!」

122 :ドクターヤムチャ第十二.五話 「クリリン崩壊」前編 :02/10/02 00:53 ID:sUsSRGVU

「ヤムチャを生き返らせろ」 折角命がけで集めたドラゴンボールを、そんなしょうもない事に使われてはたまらない。断固反対するクリリン。 その結果、ピッコロの言うとおりにヤムチャを生き返らせようとする悟飯との間で口論となる。 そしてその会話を聞いたベジータは、ヤムチャがとてつもない力の持ち主だと誤解してしまう。 フリーザに対抗すべくヤムチャの復活を命じるベジータ。クリリンはもう何がなんだか訳が解らなくなってしまうのであった。 そしてデンデがポルンガにナメック語で何かを語りかけ始めた。 「よかろう、たやすい事だ。」 ああ、やっちまったよ・・・とうとうヤムチャさんが生き返ってしまった。 一体全体ベジータの奴、ヤムチャさんなんかを生き返らせてどうするつもりなんだよ。もしかしてサイヤ人にとってサイバイマンの自爆で死ぬのは名誉なことなのか? それとも人柱にして雨乞いでもするのか?そうか、惑星ベジータってのは慢性的な水不足に悩んでいたんだな。それで今でもそんな風習が残ってるんだ。 いやまてよ、だからってなんでわざわざヤムチャさんなんだ?人柱なら他にも適任者は幾らでもいるじゃないか。そうか、サイバイマンの自爆で死んだ者を生贄にする事で願いが叶うと信じてるんだ。 馬鹿だな、だったら直接ドラゴンボールに願えばいいじゃないか。戦闘民族だけあって頭悪いんだな。はははバーカバーカ 「クリリンさん、クリリンさん!しっかりして下さい!気を確かに持って!」

124 :ドクターヤムチャ第十二.五話 「クリリン崩壊」後編 :02/10/02 00:54 ID:sUsSRGVU

そうそうドラゴンボールと言えばピッコロだよ。あいつが「ヤムチャを生き返らせろ」なんて寝ぼけた事言うから何もかもがオカシクなったんだ。でも、あいつもなんでヤムチャさんを生き返らせようとしたのかな? あ、きっと頬に十字傷のある動物はナメック星人にとって神の使いなんだ。戒律で食べてはいけない事になっていたり、いろいろ大変なんだろう。 それにしてもヤムチャさんって天然記念物として保護しないと、すぐ足元がお留守で絶滅しそうだよな。まあそれにしても、 「地方の風習も厳しい戒律も動物保護もみんなくそっくらえだぁ!あーっはっはっはっは!!!」 「うああ、クリリンさんが、クリリンさんがぁーーーー!!!畜生、魔閃光ォーーーー!!!」 悟飯は怒りに我を忘れて魔閃光を放つ。その一撃はポルンガを一撃で吹き飛ばした。 「なっ!?」 (あ、あのチビ、ヤムチャとか言う奴が復活したのを知ってショックのあまり暴走しやがった・・・そこまで恐ろしい奴だってのかヤムチャってのは・・・) ますます誤解を深めるのベジータ。 「ああっ!ポルンガがっ!願いは後一つ残ってたのに!」 そしてあまりの事にベジータが居る事も忘れ叫んでしまうデンデ。 「な、なんだとォーーー!!!それは本当か!? ポルンガの願いが三つある事を知らなかったベジータが色めきたつ。が次の瞬間、すぐ傍にとてつもない気が存在する事に気付いた。 とっさに振り向いて構えるベジータ。その視線の先には・・・ 「フ、フリーザ!!」 「やってくれましたね、みなさん。わたしの不老不死の夢を打ち砕くためにドラゴンボールの龍を殺すとは見事な覚悟です。」 フリーザはなにか勘違いをしていた。 そして同時刻、最長老が息を引き取った。もちろんその死を知るものは誰も居ない。合掌。

326 :ドクターヤムチャ第十三話(前編) :02/10/04 17:47 ID:6h9st0wD

ピッコロの命令とベジータの勘違いによって二つ目の願いはヤムチャ復活とあいなった。 そして界王星では・・・ 「よぉし!生き返ったぞぉーーー!!」 喜びの雄叫びをあげるヤムチャ。嬉しさのあまり、決勝点を上げたサッカー選手のごとく踊りだした。 「馬鹿なことをしている場合か!早く例の物質転送機とやらに案内しろっ!」 ピッコロの一喝。 「わ、わかった、こっちだ!」 (ピッコロの奴、そんなに早く地球を征服したいのか。悟空が居ないんだからもっと余裕もてばいいのになぁ) ナメック星のドラゴンボールが一人ずつしか生き返らせられない事を知らないヤムチャは、ピッコロが一人だけで生き返ったのは地球を征服するためだと思っていた。 そして下界の様子を眺める界王以外の皆を研究所の中へと案内するヤムチャ。 一同が扉をくぐると、そこには高さ3メートル、幅2メートル程の円筒形の物体が置かれていた。 「こ、これが・・・」 天津飯は絶句した。 物質転送機、その表面はド派手な金箔で覆われ、あちこちに狼を象ったレリーフが彫られている。 さらに円筒形の天辺には、ヤムチャをモデルにしたとおぼしき大理石の像が狼牙風々拳の構えをとっていた。 「これが俺の造った物質転送機だ。なんと物質を量子変換して極少のワームホールを通し、目的地に転送復元するという世紀の大発明なんだぜ!いやぁ、これを造るのには天才の俺も苦労したよ。わっはっはっは!」 早速自慢話を始めて高笑いのヤムチャ。 ピッコロ、天津飯、餃子の三人はただ無言で視線を泳がせていた。物質転送機のあんまりなデザインに開いた口が塞がらなかったのだ。 それを同意と受け取ったヤムチャはさらに高笑いを大きくした。 そんなヤムチャの馬鹿笑いに、いい加減ピッコロがキレそうになったその時だった。 「ヤムチャ様、その下品なお顔で品性の欠けた笑い方をされるのはとてもお似合いですが、お客様が迷惑されてますよ。」 物質転送機の影から、丁寧な口調とは裏腹な内容の言葉とともに小さな生き物が姿を現した。 その姿を見た天津飯は驚きの声をあげる。 「お、おまえは確か・・・プーアル!?」

327 :ドクターヤムチャ第十三話(中編) :02/10/04 17:51 ID:6h9st0wD

猫のような狐のような小動物。天津飯は数回しか会った事が無かったが、それでもそれがプーアルであると確信した。 何故ならこの世に(あの世にも)ヤムチャを様付けする奇特な存在はプーアル以外にありえないからだ。たとえその台詞の内容が、罵倒以外の何物でもなかったとしても。 「おい、ヤムチャ。なんでプーアルがここにいるんだ!?」 ここは界王星である。言うまでも無いが、一部の例外を除き、死人以外が立ち寄れる場所ではない。しかもある程度の実力を持った武道家でなければたどり着く事すら出来ない。 そして、そのどちらでも無いはずのプーアルがそこに居る。天津飯が驚くのも無理は無い。 天津飯の問いに、ヤムチャは先ほどとはうって変わって沈んだ声で 「ああ、こいつはプーアル2。俺の創った人造人間さ。まあ、どっちかというと人造動物の方がしっくりくるけどな・・・」 と答え「はぁ」と溜息をついて肩を落とした。 そしてそんなヤムチャにプーアル2が、 「ヤムチャ様ほど肩を落とした姿の似合う人はそうはいませんね。流石はヤムチャ様、敗北が板についているだけあります。」 と、優しげな口調で語りかけてきた。当然、さらに肩を落とすヤムチャ。 「なあ、もしかしてお前、こいつに嫌われてるのか?」 「ああ・・・どういう訳だかは解らんがそうらしい。一応俺の言う事を聞いてはくれるんだが・・・」 いささか冷や汗交じりで尋ねた天津飯に、ヤムチャはこめかみに手を当てて答えた。 プーアル2を創ろうとしたきっかけは単純だった。 ヤムチャは家事が全く出来ない。やろうと思えばなんとかなるのだろうが、根が怠け者の彼にそんな面倒な事を進んでやる根性があるはずもない。 そこでヤムチャはプーアルそっくりの人造人間を創って家事をやらせようと考えたのだ。ところが、色々と欲を出して戦闘を含む様々な機能を付加したため、コントロールが甘くなってしまった。 最初にプーアル2を目覚めさせたときなど、いきなり殴られて差し歯が抜けたほどだ。しかもそのマヌケな顔に加害者のプーアル2は大爆笑する始末。 その後、なんとか緊急停止させて修理したものの、口の悪さだけはどうしても直らなかった。 なお、余談ではあるがドクターゲロもまたこの時期、人造人間16号の制御に苦心惨憺していた。 やはり人造人間とはなかなか生みの親の言う事を聞かないものらしい。

328 :ドクターヤムチャ第十三話(後編) :02/10/04 17:52 ID:6h9st0wD

「おい、時間が無い。とっととその物質転送機とやらでナメック星に行くぞ。」 無駄口を叩くヤムチャと天津飯に苛立ったのかピッコロが口を挟んだ。 「え?地球に行って世界征服するんじゃないのか?」 次の瞬間、ヤムチャの頬にプーアル2のケリが入った。 なにはともあれ、ピッコロとヤムチャは物質転送機に乗り込んだ。プーアル2もヤムチャの右肩に乗っている。 「おい、もう一つの物質転送機はちゃんと用意したか?」 「ああ、ちゃんと左ポケットに入っている。ブルマ達を回収したらこいつでナメック星を脱出だ。」 と、ホイポイカプセルを取り出して見せるヤムチャ。頷くピッコロ。ヤムチャは再びカプセルをポケットに入れるとコンソールに向かった。 「座標軸固定、目標ナメック星。転送開始!」 こうしてピッコロとヤムチャ、そして人造人間プーアル2はナメック星へと旅立っていったのであった。 三人が姿を消した後、残された天津飯は界王の隣までやってくると事の次第を伝えた。その内容に界王はふと抱いていた疑問をもらす。 「しかし何故ピッコロはヤムチャと共に行ったのか。物質転送機さえあればヤムチャ自身は必要ないだろうに。ピッコロとヤムチャにはなにか考えがあるのだろうか・・・」 「界王様、ヤムチャは羊の皮をかぶった負け犬です。どんな策があろうと何の役にも立たないでしょう・・・」 天津飯は苦々しい表情でそう答えた。