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ヤムチャの失恋
 

 

177 :やむ管 :03/03/15 04:22 ID:EP3mq2R3
ヤムチャの失恋

当てもなく男は街を彷徨っていた。彼の名はヤムチャ。
この日、彼は長年付き合ってきた恋人に無言の別れを告げた。
彼女の日記、全てはそこから始まった・・・

その日、彼はいつものように恋人の部屋のドアをノックもなしに開いた。
だが、そこに彼女の姿はない。
(しめしめ、ちょっとだけ小遣いもらおうかなっと)
元々が盗賊だった彼にとって彼女から金を盗むという行為は
なんら自責の念を抱かせるものではない。
いつものようにまず彼女の日記からチェックし始める。
だが、彼がその行為を公開するまでにそれほどの時間を必要としなかった

日記には彼女が新たな恋を見つけたことが書かれていた。
しかも相手はかつて、間接的にしろ自分をしに追いやった男。
いや、そんなことに衝撃を受けたわけではなかった
そのあとにつづられた言葉、それはこれまで二人がすごしてきた時間
全てを否定するものだったのだから。

彼女の日記にはこうつづられていた。


178 :やむ管 :03/03/15 04:22 ID:EP3mq2R3
○月×日
私はベジータを愛し始めている。
信じられないがその気持ちは日に日に強くなっていく。
ヤムチャを殺した相手なのに?
いえ、きっとヤムチャを殺してくれた時から私は彼を愛し始めていたのかもしれない。

ヤムチャとの出会い。私の人生は全てそこから狂い始めた。
あの胸躍る大冒険、そうドラゴンボール捜しの旅の途中に
出会ったあの男が私の人生を変えた。
見た目は確かにかっこよかった、それなりに腕も立つし頼りがいもあると思った
だが全ては勘違いだった。

あの男にさえ出会わなければ、私の人生はもっと輝いていたに違いない。
あの屈託のない笑顔を浮かべる少年時代の彼の顔は今でも鮮明に思い出すことができる。
なぜ素直になれなったのだろう?
私が男は顔で決まるものだと思っていたから?
違うそうじゃない・・・
自分よりも年下で世間知らずのおチビさんに見栄を張っていただけ・・・
でも、再会するたびに彼は変わっていった。
どんどんかっこよくなっていく彼に私の心には後悔の念だけが募っていった。
なぜ、素直になれなかったのだろう・・・

そして、今、私のそばにはベジータがいる。
かつて私が本当に愛した彼の最後の同胞であるベジータが。
だが、自分は彼にこの気持ちを打ち明けることはないだろう。
ヤムチャがいる限り・・・

そして、あのプライドの高いベジータにもまた、胸の内を明かすことはないだろう。
それは彼のプライドを大いに傷つけることになる
私が彼の、孫悟空の代わりに自分を欲しているのだと知ったらば・・・



179 :やむ管 :03/03/15 04:23 ID:EP3mq2R3
日記を読み終わると彼は無言で彼女の家を飛び出した。
もう、あの家に戻ることはあるまい。
今は彼女の幸せだけを祈ろう。
だが、彼女が幸せになることはあるまい。
なぜならば、彼女は本来、一つになるべきだった存在『ベターハーフ』をすでに失くしているのだから


180 :やむ管 :03/03/15 04:25 ID:EP3mq2R3
恋愛もの書いてみました。
なんか本格的に同人くさくて欝になりそうだった
鳥山がヤムチャを嫌いになった理由を悟空とくっつけられなくなったことにあるんじゃないかと妄想
したらこんなのができちまいやした・・・